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七月十六日
「理不尽だ……」
少年は一人、部屋の中、心で呟く。
新品で買ったとある時計の目覚まし機能が失われているのだ。
時刻確認も不可能であり、近くで充電をしていた携帯で時刻を確認すると一気に脱力感に襲われ、少年はベッドの上で天井を見つめる。
「ってボーッとしている場合じゃない! 学校に行かねえと!」
ベッドから飛び跳ねるように素早く起き上がり、制服に着替える。
そして靴を履き、弾き飛ばされたように自宅から出て行く。
今日はとてつもなく暑い、真夏日なのだろう。完全に目覚めていない身体が更に重く感じる。
しかし遅刻するわけにはいかない、今なら全力で走れば間に合う。
少年のクラスは今まで誰一人として遅刻をしていない。誰か一人、一回でも遅刻をするものなら今後に重大な影響を及ぼすのだ。
「遅刻したらクラスの皆からなんて言われるか……恐ろしすぎるぜ」
ドアの鍵を閉めると、自宅の隣から「不幸だぁぁぁぁ!!」という声が聞こえたが気にしない。大方隣の住民も同じような
「……間に、合った」
少年はクラスに到着し、自分の席に座るやいなやグタリと机に伏せた。普通に歩いて登校していても汗が滲んでいただろうYシャツは走って来たためにビッショリだ。衣類が身体に張り付いている不快感はあったが、無事に間に合った達成感と全力で学校まで駆けつけた疲労感の方が強い。
そんな少年の背後に二人の人影が静かに迫る。
「おう! おはようさん! どうしたぃ!? 朝から不景気な面ぁしちまってよぅ!」
一人が後から背中を叩く(スキンシップ)と共に挨拶をしようとするが少年は反射的にかわす。
「なんでぇ! 冷てぇなぁ! オイラの挨拶受け取ってくんな!」
「嫌だよ! 暑苦しい! お前の風貌を見るだけでも暑いんだからよ!」
そう言いながら少年は相手の顔を見ると、この上ない眩しい笑顔で少年を見ている。本当ならばその顔だけならばまだ許せる。しかしそれ以外に外見がプラスされて暑苦しさに拍車をかけているのだ。真夏の炎天下に燃えるような赤髪、Yシャツは長袖。そしてうっすら汗ばんだ直接着ているYシャツから透けているのは自分にとって嫌な連想をさせる刺青。
少年は思う、何度見ても。
「お前はその筋の方の
ため息と共に吐き捨て、肩と一緒に顔を落とす。
「落ち着けよ、もう今更如何し様もないだろう?」
もう一人の影の持ち主が声をかける。
「
幸徳井と呼ばれた黒髪中分けの少年は涼しげな目元でこの暑さにおいても動じず、眼鏡の位置をクイ、と中指で直しそして、
「解ればいいんだ、さぁ汗でブラウスの透けた女子達でも眺めようじゃないか」
「冷静だな! 流石だな! と思った矢先のその発言!? 何そのクールスケベは!?」
結局こいつも俺を取り乱させているじゃないか、と少年は二回目のため息をつく。
「現状で一番得が出来る状況を分析した結果だ。このクラスには男子と女子の比率は1対1、何よりもこのクラスには中々の粒揃いが多数。これを踏まえてどう思う?」
赤髪は既に同盟を果たしており、「いいねぇいいねぇ、ブラ透けは学校の華だねぃ」とだらしなく顔を緩ませている。
本日学校で三回目のため息をついて少年はグッタリとまた机に伏せる。
しかし二人だけの同盟会議は終わらない。
「むっ、あれはクラス、いや学内でも7人しかいない
「なんてぇこった、学内でも7人しか認定されていないだけあらぁ……」
「ああ、ハッキリクッキリだ……まさに人間兵器の名に相応しいな……」
と、畏敬の念も含まれている声が聞こえてくる。
ここまで言われれば少年もお年頃だ、見たくないといえばウソになる。いや見たい。
あっさりと誘惑に負け、視線をゆっくりと戻した時、
「何だ、もっと自分の気持ちを受け入れ、素直に見ればいいじゃないか。」と幸徳井。
「へへっ、素直じゃねんだからよぉ、待ってたんだぜ!?」と赤髪。
「お前ら…」と少年。
同士が優しげな瞳をたたえて待っていた。
そこにはさっきまでの暑苦しさは無い、あるのは清々しい程までの清涼感。
気が付けば、肩を抱き合って笑っていた。
「「「さあ見よう! 俺達の
しかしそこに、
「アンタ達うるさい、変態、気持ち悪い」
目の前に現れた
「おうっ!」
「くっ!」
「ぐはっ!」
---3人の幻想は打ち砕かれた。
この内容と勢いは次話も続きます……
相当くどくなるかもしれません(笑)
今回もご精読ありがとうございました!