これからもどうぞよろしくお願いします!
「痛ぇじゃねぇか!何してくれてんでぃ!」
赤髪が叫ぶ。
「アンタはうるさい」
「非道いな花鳥、何も殴ることはないだろ?」
幸徳井が不満をぶつける。
「アンタは変態」
「」
「気持ち悪い」
言葉も発せないまま少年は断じられる。
「俺はまだ何も言ってなかったろ!?」
少年は口を開く、が。
「気持ち悪い」
「二回目!?」
抑揚のない言葉で少年の心を打ち砕いた少女は
栗毛の長い髪をたなびかせ、端的に言えば美少女の部類、高水準で整っている一つ一つの顔のパーツ、中でも特徴的なのは凛とした瞳、そして類まれなる絶壁の胸で3人の前に立ちはだかる。
「こんなだから皆に隣のクラスと双璧をなす3バカなんて言われるのよ」
「な、なんだって!? 俺達は優等生ではないにせよ、そこまで言われる筋合いはないぞ!」
少年は反論する。こうして遅刻にまで気を使っているのだ。3バカなどと言われる云われは無いと。それに壁というならそっちの方ではないか、と言おうとするが言った後がひどいのでそれは思い留まった。
「はぁ……気持ち悪い」
「お願いですから会話をしてくれませんでしょうか!?」
あまりにも酷いこの態度に少年は涙目になる。
「まぁまぁ、そう虐めてやるな。俺達だってこんな暑い中で一つの楽園《ブラジャー》があったんだ、縋りたくなるだろ?」
「そうでぃ!ま、花鳥ちゃんのまな板スポーツブラはお呼びでねぇけどな!」
赤髪がそう言った瞬間にヒヤリ、と『文字通り』空気が凍った。
「……確か涼しくなりたいのよね。いいわ、思い通り冷たくしてあげる。全身、肺の中までね……」
少女は眠たげに瞼を半分閉じつつゆっくりと右手を3人の方向に向け能力を発動する。彼女の能力は『氷結使い』の
「誰かぁ! 助けてくれ!」
少年は叫んだが誰も助けに来ない。それどころか皆視線をわかり易い程に逸らしている。
このままでは3バカの氷像なるものが出来てしまう。確かに氷で涼しくなるだろうが、そんな見栄えの悪い氷像を見て授業を受けるのは誰が得をするんだ。
周囲のクラスメイト達はそう思いながらも暗いオーラ、沈んだ眼で3人を凍らす瑞稀を止めることが出来なかった。
しかし
「止めときなよっ瑞稀、能力の無駄遣いだし校則違反だよっ!」
いよいよ自分たちも芸術の一つになってしまうのかとポーズを決め始めた3人とその製作者に一人の少女が躍動感溢れる声をかけてきた。
「
瑞穂と呼ばれた少女は瑞稀と同じ顔、違いと言えば髪は長くなく短めのボブカットだ。それ以外に『違いは無い』つまり瑞穂は瑞稀の双子の姉妹なのだ。
「全くっ、瑞稀はこのクラス、いや学校のエースなんだよ? つまらないことで手を汚さないでっ!」
「うん、わかった、ごめんね。」
「ましてやこの3人を相手取るなんてっ……隣のクラスの3バカと合わせて
バカの
なんて事だ。少年は双子の会話を聞いて絶望していた。自分は真面目に学校へ勤め上げてきたのではないか。
何故そんな不名誉の一角を担わなければならないのかと。
丁度ポーズもどこぞの考える人だ、悩むにはちょうどいい。そう考えていると、
「そうそう、そのままじゃ皆に迷惑がかかるねっ、あたしも校則違反だけど
「なっ! ちょっと待て! それは俺達の事か!?」
考える人(半ば氷像)は疑問の声をあげるが瑞穂は無視をする。
「もうやだこの姉妹」
瑞穂の能力は発火能力者の
大部分の氷が溶け、もういいだろうと思うが瑞穂は溶けた箇所への能力を止めない。
「おい、もういいぞ、むしろさっきより熱くなっちまっている、って! 熱いって!」
3バカは叫び、足の氷が溶けたと同時に逃げるが瑞穂は目は爛々としながらも若干俯きながら追いかけてくる。
口元がブツブツ動いているのでよくよく聴き取ると、「誰が垂直90°だっ、誰が絶望の壁だっ」と呟いていた。
先程の赤髪の言葉に対して『髪の長さ以外に違いは無い』瑞穂も怒っていたのだ。
「待て、そこまで言ってないし! っていうか俺は言ってない! 思っただけで!」
瑞穂は少年を無視し、いや、最後の言葉だけには反応し、今にも燃やし尽くしそうな勢いで迫ってくる。
もうダメか、そう思った時。
「おい皆!先生が来たぞ!」
一人のクラスメイトが周囲に呼びかけ、教室の雰囲気が変わった。
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