ジオン・ズム・ダイクンが提唱したニュータイプ
それは人々がいずれ争わずに理解し合える様になると願った人の革新
しかし様々な思惑が絡み合った結果
ジオン・ズム・ダイクンが願った人の革新は
平和の希望ではなく戦争の変革たる存在になってしまったのだ
ミハエルはニュータイプ適性検査の結果、やはりニュータイプだった。
そのため試作機である、MAN-03-ブラウ・ブロのテストパイロットに選ばれた。
ブラウ・ブロはニュータイプによる使用を前提としたMA《モビルアーマー》である。
2連装メガ粒子砲2基、単装2基を装備するが、どちらも従来型が使用されたため、大型の熱核反応炉を必要とした。
これによりブラウ・ブロの機体はきわめて大きくなり、AMBACによる機動はほぼ不可能で、実際には機体各所に設けられたスラスターによって姿勢制御が行われた。
AMBACとはMSの開発に当たり開発されシステムである。
正しくは「能動的質量移動による自動姿勢制御システム」(Active Mass Balance Auto Control System )という。
これはZEONIC社の開発スタッフにより考案されたものであり、かつてジオン公国軍の次期主力汎用主力戦術兵器の最終選考に提出されたZI-XA3に搭載されていた。
このZI-XA3がのちのMSの原点である。
通常、宇宙戦闘機は姿勢制御にバーニア・ロケットを用いる。
宇宙空間に空気などの抵抗がなく、航空機のように運動量を翼を介して空気分子に与えることで反作用を生み出すことができない。
そこで、バーニア噴射によって反作用を得、機体を任意の方向へ回転させるのである。
しかしこの方式で旋回を行った場合、推進剤の消費量は多大なものとなってしまう。
たとえば、公国軍が次期主力汎用戦術兵器の開発に着手した70年代当時の一般的な宇宙戦闘機の推進剤搭載量では、180度の姿勢制御を2.5秒で行った場合、およそ30回で推進剤切れとなる。
姿勢制御の回数を増やすべく、推進剤の搭載量を増加させると今度は機体の重量が増し、1回あたりの推進剤の使用量を増やさねばならなないといった問題が発生してしまう。
したがって、バーニア・ロケットに頼った姿勢制御は決して効率のよいものではなかった。
宇宙戦闘機の戦法は一撃離脱が主流で、宇宙戦闘は実際には不可能であるとされていた。
AMBACシステムは、この問題点を解決すべく考案された。
すなわち、バーニア噴射による反作用にかえて、機体に追随させた、相応の重量を有する物体を高速で運動させることで生み出される反作用を利用して、機体姿勢を変更させるのである。
無論、このような発想はZI-XA3開発以前よりあり、宇宙作業挺などのバランス調整などで実用に供されていた。しかし、これを姿勢制御の基本とし、しかも、10mを超える巨大兵器に採用するには、関節の駆動力があまりに不足していた。
ZEONIC社の開発スタッフはこの点を新たに開発した関節駆動方式、流体内パルス・システムによって乗り越えたのである。
ZI-XA3は腕の先端を100G以上の加速度で運動させ、180度の姿勢変化を平均的宇宙戦闘機の値に近い3秒という短時間で可能とした。
AMBACシステムは推進剤を必要としない姿勢制御であったが、これに100%依存することはできない。
何故ならば、MSの腕は各種兵装を持ちかえ、運用する役目を担っていたため、姿勢制御のたびに振り回すわけにはいかなかったからである。
そこで、MSの機体の各所には姿勢制御の補助として用いられるバーニアが配されることとなった。
話を戻すと、ブラウ・ブロは機体が大型しすぎたため、AMBACシステムでの機動がほぼ不可能で、そのためスラスターによって姿勢制御行われていたのだ。
これに加え、作戦行動時間の延長と本体の航続性能を高めようとしたことで、機体には大量の推進剤の搭載を余儀なくされた。
ニュータイプと認定され得るパイロットが極端に少なかったため、ニュータイプ用の機体には脱出コックピットが採用されているが、ブラウ・ブロはさらに機体自体を複数のブロックに分割、被弾時の誘爆を避けるべく図られていた。
大きく分割して3つのブロックに分かれ、それぞれ単独航行さえ可能であった。
また、この分離機能はパイロットの保護のためのみならず、機体自体に立体攻撃力を持たせるという目的も有していたという。
4基のメガ粒子砲はそれぞれ、切り離してコントロールすることが可能であり、これによってオールレンジ攻撃が実現されることとなった。同時的に多方向から敵を包囲攻撃するオールレンジ攻撃を1機で実現したことは非常に大きい。
このメガ粒子砲のコントロールは有線誘導で行われていたため、ニュータイプ以外での運用も可能であった。
もっとも、サイコミュを使用せずにこれを用いる場合、操縦への負荷から1人のパイロットで十全な性能を発揮することは難しい。
そのため、ブラウ・ブロには専属の砲撃手のためのコックピットが用意されており、ニュータイプ以外のパイロットでも一応の操縦が可能なように配慮されていた、ただし複数のパイロットにより運用した場合、運動と攻撃の連携が問題となり、ニュータイプ単独で操縦されるときほどの性能を発揮することはできない。
ニュータイプ用に特化してはいないが、この機体がニュータイプ専用であることにはかわりないのである。
試験運用に当たってミハエルは、連邦軍のパトロール部隊に攻撃し可能なら殲滅する任務を受けた。
技術員としてニュータイプ用兵器開発部隊に所属するジオン公国軍技術士官シムス・アル・バハロフ中尉以下数名が乗り込むこととなっていた。
ミハエルはブラウ・ブロに乗り込もうとしていた、その時、後から声をかけられた、声をかけてきたのはハマーンだった。
「ミハエル様待ってください!、御願いがあって参りました」
「何かな、ハマーン穣、俺に何の頼みがあるのだ」
ミハエルはハマーンにどんな頼みか聞いた、ハマーンは緊張しながらもミハエルに頼み込んできた。
「ミハエル様!、わ、私も連れていってくれませんか!」
「この目で見てみたいんです、本物の戦争を、、」
「だが君は、、人の感情を感知し過ぎる、、そんな君が
戦場に立てば只ではすまないぞ」
ハマーンはその高いニュータイプ能力のせいで、人の感情を拾ってしまうのだ、そこにいるだけで感知した人の気持ちなどが読めてしまうのだ。
それは便利な能力に聞こえるが実際は、聴きたくない人の気持ちと言うものも存在しているだろう、人は誰しも心に闇を持っているものだから、知らないほうが幸せなことは存在しているのだ。
そんなハマーンが戦場に立てばどうなるか、戦争は人の生の感情をぶつけ合っているのだ、感知し過ぎる彼女はそんなものにさらされたら只ではすまないとミハエルは考えたのだ。
しかしそれでもハマーンは譲らなかった、ミハエルとの出会いが彼女にも変化をもたらしていた。
「私は、逃げるだけでは駄目だと気付いたのです、だから戦争と言うものに向き合っていくために、私は知りたいんです」
それは彼女の覚悟の現れ、ハマーンは知ったのだ、逃げても意味がないことを、向き合わなければならないことを。
そう、ある男は一切自分に言い分けをしないのだ、自分が殺めた者達にも言い分けなどしないのだ、どんな理由であれ、殺したのは俺だと受け入れ、自分を塵屑だと断じて、それでもジオンの勝利のために背負って行ける男がいることを知ったのだ。
なら自分も少しずつでも今の立場を受け入れて行こうと思えるようになったのだ。
ミハエルはハマーンの覚悟を無下にはできないと同行を受け入れたのだ。
「わかった、いいだろう、君の同行を許可しよう」
「ありがとうございます!」
ハマーンは急ぎ、宇宙服を取りに行った、ミハエルはシムス中尉にハマーンが同行すると連絡をした。
「シムス中尉、教育生のハマーン・カーンが同行を願い出た為、それを許可した、同行を許可してもいいだろうか」
シムスはブラウ・ブロの試験の邪魔にならないなら構わないと言った。
「構いません少佐、ただしブラウ・ブロの試験の邪魔にならなければです」
「あぁ、そのように言っておこう」
ミハエルは、ハマーンの到着を待って出撃した。
初めて乗るブラウ・ブロをあっさりと乗りこなしながら目的宙域に向かっていった。
ミハエル達は目標宙域で連邦軍のパトロール部隊が来るのを待っていた、この宙域はデブリなどが多く、隠れるには最適だった。
パトロール艦隊がこのルートを通るのは調査済みだった、デブリの影にブラウ・ブロのその大きな機体を隠していた。
「ミハエル様、本当にこのルートを通るのですか?」
ハマーンは本当にこのルートを連邦軍が通るのかミハエルに尋ねた、その疑問にシムス中尉が答えた。
「我々の事前偵察で判明したことだ、連邦軍は必ず通る」
シムス中尉は自信を持って断言した、しばらくするとハマーンはなにかが近付いてきていると感じた、しばらくすると敵艦隊が姿を現した。
ミハエルはこの戦いで、ニュータイプの可能性を示すのだった。
戦いの変革、人は新たな火をその手に掴んだ、いつ終わるともしれない戦いの螺旋の中にミハエルはいた。
「目標確認、任務、開始する」
ミハエルは連邦軍のパトロール部隊がブラウ・ブロの隠れているデブリを通過したのを確認すると、連邦軍の艦隊に襲いかかった。
連邦軍のパトロール部隊の編成は、旗艦1隻、巡洋艦4隻で構成されていた。
旗艦は連邦軍の戦艦マゼラン級が勤め、巡洋艦の構成はサラミス級が4隻で構成されていた。
マゼラン級もサラミス級も当初、電子機器の使用不能にするミノフスキー粒子散布時の有視界戦を考慮されていなかった、しかしその高い正面火力と防御力は艦隊戦にて脅威だった、それに加えMSやモビルポッド等が運用可能になっていた。
パトロール部隊は警戒しながら進んでいた、今日の彼らはパトロール任務ではなく、連邦軍のソロモン攻略作戦、チェンバロ作戦参加のため艦隊に合流しようとしていた。
急ぎ艦隊に合流しようといつもの暗礁宙域を進んでいた、敵との交戦の可能性もあったが、この宙域での交戦はほとんどなかった為、時間削減でいつものルートを通って向かうこととなった。
しかしパトロール部隊の不運は、この日ジオン軍がこの宙域で試作機のテストを行うこととなったことだった。
パトロール部隊は急ぎ進んでいると、突如最後尾にいたサラミス級が轟沈した、突然のことに動揺していると、さらに1隻のサラミス級も轟沈してしまった。
「何が起こっている!、状況を伝えろ!、敵はどこだ!!」
「わかりません!、っ!?、後方に敵艦1隻!、先程見逃した小型挺です!!」
「なに!、たかが小型挺がなめるな!、全艦反転!、敵艦を踏み潰せ!」
「MS発艦!、僚艦モビルポッドを発艦させろ!」
パトロール部隊の指揮官はサラミス2隻を殺られたが、姿を現した小型挺を踏み潰すべくMSとモビルポッドまで投入して撃破せんとしていた。
ミハエルは連邦軍が反転して反撃する前に戦力を減らすべく攻撃した、ミハエルの意思に従うように有線誘導式のメガ粒子砲が切り離され敵サラミス級に襲いかかった、4基のメガ粒子砲はサラミスを囲むとオールレンジからの砲撃を行った。
サラミスは発艦させようとしていたRB-79-ボールごと轟沈した、ようやく連邦軍はMS部隊とボールを発艦させてきた、ボール6機とジム4機はブラウ・ブロに接近しながら攻撃を開始した。
ミハエルは有線式のメガ粒子砲を移動させてボールを射線に入れるとメガ粒子砲がボール3機を団子のように貫いた。
連邦軍の指揮官は状況の確認をした、するとありえない情報が入ってきた。
「なんだやつは!?メガ粒子砲が動いてきます!?」
「なんだそれは!、ふざけてる場合じゃないんだよ!!」
メガ粒子砲が動く?、ありえない、そんなもの化け物じゃないか!と連邦軍の指揮官は思った。
ジムが接近する、ビームスプレーガンを撃った、連邦軍のパイロットは当たったと思った、しかしミハエルには、その攻撃が見えていたのだ、攻撃される前にブラウ・ブロは回避行動をとっていた。
「なぜ当たらない!!、化け物め!!」
攻撃してきたジムはメガ粒子砲に背後から砲撃され、爆散した、他のジムやボールも月並みにミハエルに撃破されていった。
ミハエルは敵艦に接近した、すると敵艦の集中砲火が飛んでくるが、ミハエルはその砲火を掻い潜りメガ粒子砲を飛ばした。
「オールレンジ攻撃、沈め!」
サラミスとマゼランは蜂の巣にされ轟沈した、残っていたジムとボールも撃破した。
「任務完了、帰投する」
ミハエルはいつもどうりだ、厳格な声でブラウ・ブロに乗る搭乗員に語りかけた、するとシムス中尉は興奮したように言った。
「素晴らしい戦果です少佐!、我々の研究もこれで進みます!」
ミハエルはデータの整理を開始したシムスをよそにミハエルはハマーンに尋ねた。
「大丈夫かハマーン穣、これが戦争だ、君には聴こえたか、彼らの声が」
ハマーンは震える体を抱き締めながら言った。
「はい、、これが戦争なんですね、、私にも聴こえてきました」
ハマーンは死んだもの達死の間際の言葉が残っていた、
死にたくない、死にたくない、死にたくないと人の生の感情がハマーンの中に流れ込んできた、だけどこれが殺し会うと言うこと、ハマーンは震える体を抱き締めることしかできなかった。
そんなハマーンにミハエルはどのような言葉を掛ければいいのかわからなかった、ミハエルはハマーンを慰めることができなかったなぜなら、それはハマーンが出すべき問題だからだ、それとも自分じゃなかったら彼女を慰めることが出来るのかもしれないと、このような少女にじぶんは何てものを背負わせているのかと、やはり自分は塵屑だと感じながら帰路を急ぐのだ。
帰還したミハエルはキシリアにより、新部隊の隊長を任された。
これによりミハエルはフラナガン機関から前線に呼び戻されることとなった。
ミハエルの奮戦虚しく、ジオン公国と地球連邦の戦争は地球連邦に傾きだした、ミハエルはジオンの為に何ができるのか、なにをなすのかまだ誰も知らない。