文才の無さがつらい
地球連邦軍は宇宙における反撃の第一歩として、ジオン公国軍の一大艦隊基地であり、ドズル・ザビ中将麾下の宇宙攻撃軍司令部が置かれた軍事的要衝であった宇宙要塞ソロモンを陥とし、制圧することはジオン軍の制宙権を失わせ、ジオン公国本土へ進攻するための橋頭堡とするうえで重要であった、このソロモン攻略作戦はチェンバロ作戦と名付けられた。
連邦軍は壊滅した宇宙戦力を回復すべく4月の段階でビンソン計画を発動、破壊された艦艇を補うべく、急ピッチで建造を行った。
計画は8ヶ月を経てようやく実を結び、ジャブローの宇宙船ドックで建造された艦隊は12月2日に大気圏外へと打ち上げられた。
この日打ち上げられたものがソロモン攻略の艦隊となった第2連合艦隊である。
12月2日21時00分にジャブローを発した艦隊はマゼラン級戦艦20隻以上、サラミス級巡洋艦60隻以上という大規模なものであったのされている。
地球軌道上にはルナツーから発進した誘導艦が配せれていた。
大気圏を離脱した艦隊は12月5日、これに導かれる形でルナツーへ入港した。
この段階で、ジオン軍は連邦軍の反攻作戦の存在こそ察知していたものの、その攻撃目標について探りあぐねていた。
これは連邦側が攻撃目標を機密として扱い、情報の漏洩を警戒したことが大きい、これは以前に行われた地球上での反攻作戦、オデッサ作戦において、連邦軍は情報漏れに悩まされ、ジオン軍に守備を固めさせる結果となった。
そこで、本作戦において攻撃目標は秘され、一般の将兵は直前になるまで自分達がどの戦域へ投入されるのか知らされなかった。
さらに、連邦軍は陽動のために4隻の囮艦を配してさえいる。
5日からソロモン攻略作戦が実施されるまでの間に、本国のギレン・ザビ総帥、ソロモンのドズル・ザビ中将、グラナダのキシリア・ザビ少将の3人は秘匿のレーザー通信回線を用い、今後の戦略について会談している。
残念ながら、正確な日付は不明であるが、会談の段階では連邦軍の進攻先を確定させることはできておらず、ソロモンへの速攻の確率が高いという程度のものであった。
しかし、ギレン・ザビ総帥はこの可能性に基づいて作戦を立案、命令書をドズル中将へ送っている。
とはいえ、この命令書は連邦軍のソロモン攻撃のみを対象としたものではなく、今後予想される戦局全体に対するものであった(ニュータイプの実戦投入、ソーラ・レイ・システムの使用といった作戦が記されていた)。
ドズル中将はギレン総帥の作戦がソロモンを軽視していると感じたらしい。
キシリア少将のグラナダより増援を出すという言葉にたいして、ギレン総帥へ今すぐア・バオア・クーの戦力を振り向けるよう求めたという(キシリア少将の援軍の約束はこのようなやり取りがあったためか、戦端が開かれてから、ソロモンの要請に基づいて行われた)。
ギレン総帥はドズル中将へ、準備中である旨を告げたが、この約束は履行されず、かわりにMA-08-ビグ・ザム1機を送ったのみで善しとした。
このMA-08-ビグ・ザムは大型偏向メガ粒子砲1門、小型メガ粒子砲26門、対空ミサイル6門を装備し、さらにビーム兵器を無効化するIフィールド・ジェネレータをも備えていた。
圧倒的な火力に、鉄壁の防御はまさに「化け物」としか形容のしようがない。
ソロモンは宇宙攻撃軍司令部を擁する宇宙要塞である。
宇宙攻撃軍はドズル中将の戦略思想に基づき、宇宙艦隊を中心として編成される軍である。
ソロモンはその中枢であったが、戦争中期に展開されたゲリラ掃討作戦への戦力投入によって疲弊していた。
これは、戦争後期、ジオン軍の新造艦のほとんどがグラナダやジオン公国本土の防衛のために充てられ、ソロモンへ充分な補充が行われなかったためである。
これは、宇宙攻撃軍のドズル中将の政治力のなさゆえに生じたものといわれる。
ギレン・ザビ総帥、キシリア・ザビ少将は戦後の発言力確保のためにも指揮下の戦力増強を図り、故意にドズル・ザビ中将のもとへ新造艦を回さなかったというものである。
無論、この可能性は歪めないものの、ドズル中将が彼らの政敵となることはあり得なかったし、実際に、本人にも軍人としての分を越える気はなかった。
したがって、ドズル中将麾下の戦力が充分な補強をなされなかったのは、彼の追い落としを謀ったものではなく、ジオン軍そのものの戦力が不足していたため、優先度を下げられたと考えるのが妥当であろう。
また、ギレン総帥も、キシリア少将もソロモンの守備がこの戦力で充分であると見做していた節がある。
おそらく、3倍といわれる艦挺数をものともせずに得た緒戦での大勝利が、観客的判断に狂いを生じさせていたものだろう。
最良の戦略が「常に強大な兵力を保有すること」と「将帥が彼の兵力を集結しておくこと」であるというK・クラウゼヴィッツの戦略理論についてジオン軍首脳部の中でドズル中将が最も、このことを認識していたともいえる。
ルウム戦役において、数においては圧倒的不利な状況で大勝利を得た彼であるが、このときもジオン軍の戦力のすべてに近い数を投入し、できるかぎり自軍の戦力を充実させるべく心掛けていた。
しかし、この緒戦での勝利は「彼我の戦力差は勝利の決定的な要因たり得ない」とする誤った結論をジオン軍首脳部の多くへ植え付けてしまったのである。
進攻の第一歩はルナツーからの第3艦隊の発進であった。
20日02時00分に発した艦隊は、マゼラン級戦艦を旗艦とし、ワッケイン少佐に率いられた。
ワッケイン少佐はルナツー方面軍司令として戦争中期の
ゲリラ戦を支えた人物であり、麾下の艦隊もルナツー所属の艦挺でまとめられていた。
続いて、第5、第9艦隊が出港。
更に、22日02時00分、ティアンム提督率いる第2連合艦隊が主力部隊として第2、第11、第13艦隊とともにルナツーを出た。
以上の艦隊に囮艦を加えたものが、ソロモン攻略の連邦側総戦力である。
連邦軍のソロモン攻略戦力は戦艦24隻、巡洋艦120隻、輸送艦520隻、突撃挺他280隻、MS 5200機、戦闘機880機、加えてミサイル駆逐艦、ビーム砲艦が多数参加していた。輸送艦はコロンブス級であり、MS母艦としてもっぱら使用されていたことから、改コロンブス級も多数投入されていた。
ジオン軍のソロモン戦力は戦艦3隻、巡洋艦48隻、空母1隻、突撃挺88隻、MS 3400機、戦闘機580機だった。
第3艦隊、第13独立部隊とは別に、連邦軍主力であるティアンム艦隊はソロモンに対して大きく迂回して進んでいた。
そのため、第3艦隊と第13独立部隊はソロモン攻略の先鋒としての役割を担うこととなった
この段階でソロモン側はルナツーに集結したティアンム艦隊に注目していたが、ソロモンに接近しているという事実こそ明らかであったものの、高濃度のミノフスキー粒子と連邦側の散布したダミーに惑わされ、正確な位置を掴むことができなかった。
ソロモンから第3戦闘距離に到達した第3艦隊と第13独立部隊は横一文字に隊列を移動。
サイド4の残骸に紛れて進み、これを抜けたところで突撃挺を前面に出し、ビーム撹乱膜を形成。
その後、全艦で正面から進攻するという正攻法の戦法を採用した。
とはいえ、第3艦隊と第13独立部隊に課せられたのは、ソロモンからの攻撃を15分間だけ引き付けることであった。
その間に本隊であるティアンム艦隊が対要塞兵器ソーラ・システムの準備を完了。
これを使用する手筈となっていた。
12月24日18時10分、第3艦隊と第13独立部隊は予定通りにサイド4の抜けると攻撃を開始した。
ソロモン攻略戦の戦端が開かれた。
ソロモン側も艦隊からのビーム攻撃を確認後、砲撃を以て反撃を行った。
また、チベ級高速重巡洋艦、ムサイ級軽巡洋艦を敵艦隊からの攻撃にさらされてない方向の港より発進させた。
この段階で、連邦軍の突撃挺はビーム撹乱膜の形成に成功。
ソロモン側でもこれは確認され、敵艦の数の少なさに攻撃をミサイルへと切り換えた。
MS-06FザクⅡ F型、MS-09Rリック・ドムなどのMS部隊には進攻に備えるよう注意が促され、ミルバ艦隊には左翼に展開するよう指示が下る。
攻撃をかけてきた敵艦の少なすぎる数に、ドズル中将はなおも連邦軍主力艦隊の出現を警戒。
ハーバート隊に後方位置を維持させ、別方向からの攻撃に備えさせた。
18時35分、第3艦隊司令、ワッケイン少佐はビーム撹乱膜の形成を以て、各艦に任意の出撃を命じた。
旗艦のマゼラン級宇宙戦艦からはRGM-79ジム、RB-79ボールの各隊が、他の艦挺からも搭載のMSが発進することになった(このとき、連邦側の艦挺の多くはMSの格納機能を持たず、MSは甲板上に固定されて運ばれることが多かった)。
第13独立部隊からはアムロ・レイのRX-78-2ガンダム、カイ・シデンのC-108ガンキャノン、ハヤト・コバヤシのC-109ガンキャノン、ならびにスレッガー・ロウの005とセイラ・マスの006のコア・ブースター2機が発進した。
ソロモン側はグワジン級大型戦艦【グワラン】を発進させる一方、MA-08の組み立てを急いだ。
MA-08の性能は一個師団の戦力に相当するといわれていた。
このとき、ドズル中将は参謀のラコック大佐へ一時指揮を任せ、自らは妻ゼナ・ザビのもとへ向かった。
彼は妻と、娘のミネバ・ザビへ侍女たちとともに退避カプセルへ移動するよう命じた。
ただし、これは戦局不利と見ての判断ではなく、あくまでも家族の身を案じての善後策であったと思われる。
司令室に戻ったドズル中将は連邦軍主力艦隊捕捉の報を受けた。
ティアンム艦隊がサイド1の残骸に展開し、ソーラ・システム照射の準備を行っているとの報告が、ラコック大佐のもとへもたらされていたのである(ソロモン側が発見した段階で、すでに照射準備完了まで4分であった)。
ドズル中将はこの艦隊へ向け、衛星ミサイルでの攻撃を指示。
さらに、【グワラン】とムサイ級軽巡洋艦を向かわせるように命じた。
18時50分、ティアンム艦隊はティアンム中将のマゼラン級宇宙戦艦【タイタン】を旗艦とし、その指揮のもとソーラ・システムのミラー配置を完了した。
姿勢制御バーニア連動システムも万全となり、照射軸をソロモン右翼のスペース・ゲート(ソロモン側では「第6ゲート」と呼称する)とした。
焦点合わせ10秒前に、衛星ミサイルの接近が確認されたが、主力艦隊の索敵要員はこれを迎撃機と誤認。
ティアンム中将は構わず、焦点合わせを行わせ、照射を開始した(このとき、衛星ミサイルの着弾により、ミラーの一部が破損させられることとなった)。
ソーラ・システムの照射によって、ソロモン右翼のスペース・ゲートは消滅。
レーダー反応もエネルギー粒子反応もない攻撃に、ソロモン側はこの攻撃を高出力レーザーによるものと推定した(連邦側の新兵器に対してソロモン側は状況の把握に手間取ったようで、これが大型の太陽炉であるという結論に達するまで時間がかかったようだ)。
照射元の方位か連邦軍主力艦隊であると判明したため、ソロモン側は先に発進した【グワラン】隊にこれを攻撃させることとした。
19時10分、ティアンム艦隊はソロモンに向け、進攻を開始した。
ソロモン側は【グワラン】隊を掩護すべく、軌道上に存在するすべての衛星ミサイルを発射。
しかし、このとき発進していたガトル第2・第6戦闘隊はすでに全滅し、【グワラン】も撃墜された。
19時30分、ドズル中将は残存MSに後退を命令。
ソロモンの水際で進攻する敵を殲滅する策を取った。
20時20分、RX-78-2のアムロ・レイはソーラ・システムで破壊されたスペース・ゲートより、ソロモンへ侵入(これが連邦側での一番乗りである)。
RGM-79ジムの部隊がこれに続いた。
この報を受けてティアンム中将は旗艦【タイタン】、他各艦よりRGM-79とRB-79ボールによる突入隊を発進させた。
ドズル中将はここに至ってソロモン陥落を覚悟していたと思しい。
妻ゼナ・ザビへ脱出するよう命じた。
このとき、ドズル・ザビ中将は次のように語ったとされる。
「ミネバを頼む。強い子に育ててくれ。私は軍人だ・・・・・・ザビ家の伝統を創る軍人だ。死にはせん。ゆけ、ゼナ。ミネバとともに」
家族の脱出を見届けたドズル中将はそのまま、司令室には戻らず、MSデッキから檄を飛ばした。
彼は決戦用に温存していたMS-09R、MS-06Fを出撃させ、帰投していたガトル戦闘隊もミサイルの補給が済んだものから出撃するよう命じた。
20時25分ーーこの時点で、グラナダはソロモン救援のために艦隊を編成。
マ・クベ大佐を艦隊司令、ソロモン到着時の参謀としてバロム大佐という顔ぶれを旗艦【グワジン】に乗せ、チベ級高速重巡洋艦、ムサイ級軽巡洋艦、さらに各艦にMSを搭載、小型突撃挺ジッコを随伴させた。
この艦隊に加え、キシリア・ザビ少将はシャア・アズナブル大佐にもソロモン急行を命じている。
ミハエル・テラーもソロモン救援艦隊に参加することになった。
そのような意味で、この援軍は錚々たる布陣であるーー寄せ集めであるという見方もできるが、それはあながち間違いではないだろう。
援軍が遅すぎた理由には、ドズル中将が面子しは拘って
正しい戦況報告を行わなかったためとする説と、キシリア少将がグラナダの戦力を温存しようとしていたためとする説、2つが主張されることが多い。
実際には、両者であり、ソーラー・システムの使用でソロモンが大打撃を受けたとき、ソロモンはようやく援軍の要請に踏み切ったのであろうし、キシリア少将はソロモンからの要請により連邦軍の主力艦隊がソロモンにあるという確定情報をようやく手にし、グラナダの戦力をソロモンでの戦闘へ割くことができたのだろう。
ミハエルはソロモンからの要請にしたがって出撃した救援艦隊に参加していた。
ザンジバル級機動巡洋艦に搭乗してソロモンに向かっていた。
通信士にソロモンの状況を確認できないのか聞いた。
「ソロモンからは報告はないのか、状況をしりたい」
「はい、おそらく、ミノフスキー粒子が散布されているため、通信が繋がらなくなっていると思われます」
ミノフスキー粒子を戦闘濃度まで上げているせいで通信が繋がらなくなっていた。
「なんだい、当たり前じゃないのさ、そんなことは」
声を掛けてきたのは、ミハエルの搭乗するザンジバルを指揮をする、長身で緑髪の妙齢な女性だった。
「シーマ中佐、しかし我々の任務遂行のためには慎重になることも必要だと、自分は愚考します」
「お堅いねぇ、坊やは、そんなんじゃ疲れだけじゃないのさ」
ミハエルに声を掛けてきたのは、シーマ・ガラハウ、突撃機動軍の海兵隊に所属する歴戦の女性だった。
シーマはミハエルが所属することになった新部隊【ヘルメス】の司令官に任命されていた。
ミハエル達の新部隊は大隊規模から旅団規模の特殊部隊だった。
ミハエルが率いていたMS部隊〈ヘルハウンド〉、シーマ・ガラハウ率いるジオン軍突撃機動軍所属の海兵艦隊であり、正式にはシーマ海兵上陸戦闘部隊〈 MAU"CIMA "〉等が再編、統一されてミハエルをMS隊の隊長とし、特殊部隊の艦隊司令官にシーマが任命されることになった。
そのとき、索敵要員より連絡が入った。
「シーマ中佐、友軍の脱出ポットを発見しました。救出しますか」
「何だって、本当かい、まずはマ・クベの奴に判断を仰ごうじゃないか」
この発見でソロモンの情報を知ることになる。
ジオンの敗北は確定しつつある
ジオンの虎はまだ目覚めていない、目覚める日はそう遠くないだろう。
そのときこそ、真の意味でジオンのために戦い続けることになるだろう。
ほぼ情報しか載せてない