上里家で生まれた私は家から出ることもなく神樹様の神託を聞いてきた。
そんな私に少しだけの自由が与えられた、讃州中学に所属する勇者様との一時の生活だった。
だから私の決断は間違いではない。
彼女達には幸せになって欲しい。
私を忘れてしまってもいい。
どうか、これ以上の不幸を絶望を与えないでほしい。
私一人の命で鎮まるのならこの命を捧げます。
勇者様たちが幸せな世界を防人の人たちに幸せな時間が訪れますように。
私はノートにそう書き残して大切な友達の机にそれを忍ばせた。
彼女がそれを見ても私はこの世界には多分いないですが、誰かの嫌がらせに思うかもしれませんが私は彼女の笑顔を守りたい。
思い出した時には悲しむかもしれませんが、私は皆さんと過ごした日々は宝物でした。
「さようなら、友奈ちゃん」
涙を流しそうになるがそれを堪えて、何時もの様に微笑みながら席を立つ。
皆さんと過ごした時間は短いものでしたが私の中ではそれは夢のような日常でした。
この教室から見る景色も最後になってしまいました。
「皆さんと最後に挨拶をしたかったんですが」
それは叶わない。
時間は待ってくれない。
私は教室を出て下足箱に向かう。
下校する生徒、部活に向かう生徒を見ながら私は静かに歩いていく。
もしここで彼女たちに会えば平然でいられるだろうか、泣いて真実を話してしまうのだろうかと考えながら歩いていく。
上履きから靴に履き替えて正門に向かう。
ここから出たら私は明日を迎えることはない。
それを知っていても私は自らの命を差し出す決意をしたのだ。
最後に校舎に一礼してから正門の側に止められていた車に乗り込む。
この後は体を清めてから壁の外に向かう。
壁の外に出たら戻ることはない命を燃やして神様に祈りを捧げるのだ。
もし―――これ以上願いは私にはない。
どうか皆が幸せな日常を過ごせるように私は祈ります。
壁の外に向かうとき見慣れた友人が一人こちらに来た。
「壁の外を見たい奴って愛梨だったの」
「私は何もしらなかったから外ぐらいは自分の目で見たかったから」
「見たことなかったのね」
「うん、何も知らないから少しだでも知りたくて」
心が痛い友人に嘘をつくのがこんなにも苦しいなんて。
「それよりも部活に顔を出しなさいよね、皆心配してるわよ」
「そうだね、明日から顔を出すね」
顔を出すことはできないけれどしたかった挨拶ができる。
「夏凜ちゃん、また明日ね」
私はいつものように微笑みながら別れの言葉を告げた。
「ちゃんと明日来なさいよ」
そう言って夏凜ちゃんは列の前の方に行ってしまった。
さようなら
皆、幸せでいてください。