幻想郷物語   作:Koki6425

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話が食い違わないようにしてるつもりです。



終戦への道と新たなる事件

(そうか・・・私、死んだのね・・・)

いきなり現れた白い空間で最初に考えたこと。それは自分の死の実感だった。生き物なら何しも必ず死を迎えるのが当たり前。私もただその一つにすぎないのだ。何も怖いことは無い。自分が死ぬ。ただそれだけなのだ。

「お前はまだ死ぬべきじゃないぞ・・・」

いきなり聞こえてきた声に思わず振り向いた。聞き覚えのある少しだけトーンの高い声。聞き間違えることは絶対にない。聞いた瞬間に目には涙が浮かび始めた。泣かずにはいられない。振り向いた先にいたのは航生だった。

「なんでお前がこんなとこにいるんだよ。早く戻れ」

「でも私の心臓は・・・」

「まだ方法はある。俺の力を霊夢に託す。その力で幻想郷を俺の故郷を救ってくれ」

そんな大役をなんで私に任せるの?私の力なんてたかが知れてる。誰一人として救えない力のないただの人間にすぎない。

「頼むよ・・・お前は俺の最後の希望なんだよ。今も魔理沙がお前の死体をかばって戦ってる。みんなのためにお願いだ・・・」

私は昔魔理沙と会う前仲の良かった奴がいた。そいつとはとても小さい頃からお母さんが知り合いでよく一緒に遊んでいた。でもそいつはいつだったかは忘れてしまったがある時を境に私の前に姿を見せなくなった。そいつは最後に「また遊ぼう」と言っていた。その時の私は裏切られたと思って誰も信じなくなったことがあった。それが今でも覚えていることでためらいが生じている。自分が望む道と、自分が進まなければいけない道。どちらを選ぶべきかいつも迷っている。

「うぅ・・・」

私が出した答え。それは自分が望む道であり、他の皆も望んでいるであろう道。

「頼むぜ・・・俺たちの幻想郷を・・・」

その会話を最後に私の意識は現実に引き戻された。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「霊夢・・・」

さっきからやられた霊夢を庇って戦っているのだがやはり難しい。いくら私であっても誰かを庇いながら何かをするのは無理に等しい。

「うわぁぁぁ!」

フランが腕を掴まれてこちらに投げられてきて衝突。一緒に地面に墜落した。そしてその場に残されたのは霊夢の死体。死んでいるはずはないとずっと思っているのだがここまで目を覚まさないとなると死んでいることを認めざるを得なかった。霊夢を無視してこちらに向かってきている奴をどう倒そうかと考えているのだが全く思いつかない。それどころかさっきから攻撃をよく喰らっているのでまともに動くことすらできない。一歩一歩近付いてくる。フランでさえも疲労で膝をついてしばらく動けなさそうな状態だ。

「これで終わりだ・・・地獄のそこへ沈め!」

周りには倒されて動けない奴らが沢山いた。私でさえももうこれ以上魔力を放出すればどうなるのか自分でもわかっていない。咄嗟にフランを庇って目をつぶった。

「霊符『夢想封印』!!」

7色に光り輝く球体がゼルエルに向かっていった。いきなり来た弾幕に咄嗟に防御したやつだったが、力に押されて後にのけぞった。

「情けない・・・あなたそれでも異変解決のプロを自称するの?」

聞き覚えのある声。この声は間違いなく霊夢のものだった。

「霊夢!」

情けないが嬉しくて涙が出てしまった。頬を流れ落ちる温度の高い液体は自分の手に落ちた。何度も何度も絶え間なく出てくる涙を拭っているがキリがない。嬉しい以外に表せる表現が出てこない。

「馬鹿な!博麗の巫女だと!?貴様はさっき・・・」

「あの程度の攻撃で私を殺そうなんて100年早いわ」

(余裕こいているけど実際死んでるんだよなぁ)

なんてことを考えているうちに霊夢はすごい速さで弾幕を打ち続けている。そして今までに見たことのない密度でもあり、完全防御型のゼルエルとは相性がいい。すべての弾幕を防げるわけはなかった。

「これで終わりよ」

「貴様如きにぃぃぃぃぃぃ!!」

「神霊『夢想封印 瞬』!」

霊夢のスペルがひと足早く発動。そして威力も絶大でどんどんゼルエルの攻撃を押し返していく。それをそばで見ていた私は霊夢が全く別人に見えた。怒りではなくアリスやパチュリーと似たような存在。しかし、霊夢は魔法を使わない。対してアリスたちは自分たちの魔力で活動に必要なエネルギーを補うことで不老不死となる。それに近しい存在になっている事が私には感じ取れた。霊夢の場合は・・・。

「もう少しちゃんと修行しとけばよかったわね・・・」

後悔しているようだが既にもう死なない体だぞお前・・・。より正確には老化による死を遂げなくなるだけであり、ほかの理由。つまり、殺されたりしない限りは死ぬことはないということなのだ。一応私もそれを目指しているが、まさか霊夢に先を越されるとは・・・。

「やったよ・・・航生」

私は霊夢が不老不死になったわけだか、また別の存在になる予感がしていた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「よかった。勝てたんだな・・・」

(ここで補足。さっきの霊夢の回想に出てきた俺は本物の俺である。よくある魂だけってやつだ)死の世界から現世を見る日が来るとは予想もしていなかった。今現在も見ているが外では仲間を失った悲しみ(死んだの俺だけ)から泣くやつ(二つの意味で?)と異変解決による喜びを表に出している人がいた。正直俺は後者の方が見たかった。実際はどうか知らないが俺の死で悲しんでいるのならやめてほしい。俺なんかの死でみんなの涙を見たくない。誰だってそうだろう。誰かの幸せが自分の喜びというやつは少なくないはずだ。俺もそのうちの一人だ。自分をなげうってでも自分の希望にすべてを捧げる。誇れることではないができるやつは少ないのではないだろうか。

「さてと・・・俺はお迎えを待ちますかね・・・」

『先に言っておくがいつまでたっても迎えは来ないぞ』

「誰だよ・・・」

『なんか飽きられそうだけど、一応神様だよ』

なんかもう聞き飽きた。神様はいいから早く死なせろ・・・。もう何も望むことは無い。異変はもう終わるんだ。

『まだ終わってない。君にはまだ活躍してもらわなければならない』

霊夢も心配する必要はないのだから活躍する場などあるはずがない。俺なんかより霊夢の方が力も経験もある。たしかに今回俺の力で解決させたようなものではあるが、霊夢の俺に対する影響は計り知れない程のものだった。

『君も気づいているはずだ。まだ倒せてない奴がいることを。そしてそいつが真の黒幕だということに』

確かに気づいている。紫たちが昔封印したやつが逃げてしまった。そいつは幻想郷を破滅に導くほどの力でその時の博麗の巫女が存在しない時代であったため紫とか幽々子とかが封印したのだが、そいつは今どこにいるかわからず何をしているのかもさっぱりわからない。

「そいつを倒したら本当にこの異変は解決するのか?」

『わからない。でもそいつを倒さないと君たちとあちら側の戦力差はひっくり返らないさ』

「・・・別に構わないが、わかると思うけど今俺死んでるんだぞ?仮に亡霊として出るにしても、力が回復していないこの状況でどうしろと・・・」

『言わなかったか?私は一応神様だ。私の持っている術式なら君を不老不死にすることも可能だよ。でもそれには大きな代償があることは君でもわかるだろう』

蓬莱の薬のように、不老不死を成し遂げた者は必ず自殺願望に溺れるという。しかし、死にたくても死ねない為ついには精神崩壊を起こし生きる屍となってしまうのだ。アリスたちは自分の魔力で生命力を補っているから物理的消滅を遂げることは可能だが、神様とか神霊とかは信仰心が生命エネルギーとなり、なければ消滅してしまう。諏訪子とか神奈子がいい例だ。こいつは俺に不老不死となれと言っている。それは俺を精神崩壊させるのと何ら変わりはない。

『もちろん強制はしない。その上、神様もしくは神霊としての存在に変わるにはとても長い時間を必要とする。そいつが出てくるまでに間に合うかどうかはわからない。それでももし、君がまだやりたいと思っていることがあるというのなら・・・』

もちろん俺はもう少し霊夢たちと一緒にいたいと思ってはいる。しかし、俺なんかが戻ったところでどうにもならない。現に俺はゼルエルに殺された。今目の前に生き返る手段が残されているのだから普通ならそれを選ぶだろう。不老不死は確かに望んだことがない訳では無いが、霊夢が先に死ぬのは目に見えていた。

『君のいう博麗霊夢だが、今彼女は死ねない体だよ』

「!?どういうことだよそれ!」

『彼女は君の力を受け取りゼルエルを撃破した。知っての通りゼルエルは力を冠する天使。天使とは天界に住む神の使いでもあり、神のように世界を想像する力はないものの、不老不死に近い体を持っている。ただ彼らが死ぬ条件。それは、跡形もなく消滅させられた時だけだ。霊夢の体はもう神様と同じ体なんだ。これが何を意味するかわかるかい?』

考えずともわかる。不老不死ということは、途中で死にたくなる可能性があるということ。人間として今までを過ごしてきた霊夢がいきなり輝夜と同じ体になったということに近い。霊夢がいくら精神力が強くとも、万が一目の前で誰かが殺されたら自分を責め続けて精神崩壊を起こしかねない。輝夜のように、体感感覚を操るような能力を持っているのであれば話は別だがそういう能力は持っていない。

『それでも君は彼女をそのままに出来るのか?』

出来るわけがないだろう。自殺願望に溺れる霊夢など見たくない。

「分かったよ。そこまで言うならその方法を受け入れようじゃないか」

『頼むよ・・・僕の故郷を・・・』

 

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