あの日からもう4日経ち、航生はもうピンピンしている。元気になったのはよかったが良くなりすぎではないだろうか。元気なのがやはり1番な気もする。ちなみに今何をしているのかというと…。
「それで?どうしてあんなことしたのかしら?」
「いやいやいや!紛らわしかったお前にも非はあるだろ!」
「私は悪くない!だって私は悪くないのだから!」
「うん。まず文章を慧音先生のところで習ってこい」
何があったのかというと、今は夜。風呂に入って寝ようと思い、風呂に向かった。すると風呂の中に航生がいたのだ。まあ、私も一応女なので裸体を見られれば恥ずかしいし、それが男なら尚更だ。いくら一緒に住んでいるにしても流石に嫌だ。
「逆に俺が入ってるところに来たお前も悪いだろ!」
「問答無用!夢想封印!」
「やめっ、やめろォォォォォォ!」
目の前で盛大にピチュッた剣士を1人発見したがそのままにしておいた。そのままにしておけばどうせ残機回復に時間はかかれども戻ってくるからだ。(この知識は航生から教わった。外の世界で私たちはゲームの中の存在らしい)
「イッタイメガー!」
ぴちゅったのは間違いだったようだ。正直夢想封印受けて健在なのは神とか紫あたりで十分だ。確かに航生は神だなと思った瞬間だった(肉体は神様と同じ)。
「これでも言う?」
「すみませんでした霊夢様」
「よろしい」
何をしたか?そんなもの決まっている。弾幕ごっこだ。ちょっと苦戦したが、経験の差があり勝ったのは私だった。残機を最後まで削り残り1個まで追い詰めたのだからすごい腕だ。
「疲れた……なんか無駄に動いた気がするわ」
「あんたも早く寝なさいよ?傷も症状も完治したって言っても油断は禁物よ」
「わかってるよ……ヾ(*´・ω・`*)おやすみなさぁ~ぃ」
そう言って航生は布団の中に潜り込んだ。流石にさっきのは言いすぎたか?たしかに知らずに入った私も悪かったかもしれないが……。さっきの光景が再び頭に浮かび顔が熱くなった。これで何度目だろうか。最近何故か航生といると違和感があるというか、なんか苦しく感じる。別に一緒に暮らすのが嫌だと言っているのではない。心苦しく感じるだけなのだ。
「こんばんわー霊夢さんまだ起きてますか?」
「あら?早苗じゃない。いらっしゃい……と言いたいところだけどこんな夜中になんの用?」
「いえいえ、別に大した内容じゃないですけど霊夢さんにお話がありまして……」
「ワカッタ(。-`ω´-)" ワカッタ。お茶くらい出すからそこで座ってて」
縁側に早苗を座らせ、お茶を入れに行った。このタイミングで来るのはおかしい。顔赤くなったままでなかっただろうか。すごく心配だ。
「お茶入れたわよ、はい」
「ありがとうございます」
早苗がこの時間に来るのは大体この時間まで神社の仕事をしているからだ。何をしているのかは置いといて早苗の話を聞くことにした。
「それで?今日はどうしたって言うの?」
「実はですね……最近よく外の世界のものが幻想入りするようになったんですけど、博麗大結界の歪みが原因なんじゃないかと思って霊夢さんに確認してほしいと思ったんです」
博麗大結界の管理は博麗の巫女の仕事となっている。ただ歪みが出るのは60年周期で1回だけであり、それ以外の理由としては何者かによって人為的に破壊されるかのどちらかとなる。少なくとも私が70くらいになるまで歪みは出ないはずだから、その出た歪みは人為的なものになる。博麗大結界の崩壊は幻想郷の崩壊を意味する重要事項。今日の怪我だって殺意に満ちた妖怪の決死の特攻のような感じだった。そのせいで航生の結界を通り抜けたのだ。
「これでも食えば?話すにはもってこいだろ」
背後から声をかけられ振り返る。
「あんた寝ときなさいよ……」
「寝れねーんだよチキショー」
「あなたが航生君ですね」
「?ああ、そうか。こうやってタイマン(仮)で話すのは初めてか。初めまして。航生って言うんだよろしくな」
「ご丁寧にどうも。私は風祝をしている東風谷早苗です。気軽に早苗って呼んでください」
「それにしても霊夢さんの噂本当だったんですね」
噂?人里で何か言われているのだろうか。あまりそっちには行かないからそういう情報は入ってこない。私に対しての噂とすればだいたい思いつかないでもないが身構えてしまう。
「どんな噂なんだ?」
「人里の新聞に載ってましたよ?『博麗の巫女 ついに結婚』って」
「「あのデマ天狗!!」」
やっぱり予想通りだった。最近風圧がすごいと思ったことがあったがその時近くに文がいた事になる。いい加減あいつもしっかりして欲しいものだ。記者を名乗るならもうちょいマシな記事がかけないのか。
「やっぱり嘘だったんですね」
早苗と守矢組は気づいていたようだ。逆にそれで助かった。これ以上変な噂が広まるのは困る。
「その辺に対しては既に対策済みです。あの人里には嘘だって言ってあるんで」
「「ナイス早苗」」
ホントに困るところだった。もしそれが信じられていたら、『博麗の後継者現る』などという記事を書かれかねなかった。大体博麗の巫女の後継者は紫が連れてきたりしていた。私の場合は別だが、今回はどうなるかわからないと言っていた。どういう意味なのだろう。
「それと、どうした?霊夢の顔がなんか少しだけ赤みを帯びている気がするけど」
「え!?うそ!!」
顔のあちこち触って確認するが、自分の顔を自分で見るには鏡がないとダメなのでどうしようもない。目の前の風祝は、何故かニヤニヤしているし、航生はなんか呆れたようにため息をついている。私のどこがおかしいというの!?
「頭」
「服装」
2人して何だ。揃いに揃って馬鹿にしないでもらいたい。というか、今さっき初めてあったばっかりなのに何故そこまで連携が取れる?かくいう私も取れないことは無い。それどころか1番取れる自信がある。それはさておき、もういつもなら寝る時間なのに、全く眠くならない。それどころか心臓バクバクで寝ようにも寝られない。自分の心拍音で眠れないなど滑稽すぎる。何故ここまで心拍が速くなる?
「霊夢さん!やはりそれは恋……」
「それ以上言ったら神奈子に言いつけてお説教」
「それだけは勘弁してください」
当然の報いというやつだ。私は何も悪いことはしていない。むしろいいことをしたと誇るべきだ。「駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・」
「あんたにだけは言われたくないわ」
「お兄ちゃーん!!」
いきなり聞こえた声に神社の鳥居の方を見る。するとそこには安定の無意識少女。古明地こいしがいた。地底の妖怪は地底から出ることを許されていないが、こいしはその能力ゆえ、黙認されているとか。それでももう何年も生きている妖怪だ。
「お、お兄ちゃん!?もしかして俺のことか?」
「今この場にいる男の人はあなただけですよ航生君」
確かにそうだが、何故ここにいる。そしてなんで航生のことを知っている。地底の方にはまだ行かせていないはずだ。今までに行かせたことがあるのは永遠亭、白玉楼、そして紅魔館だ。地底はまた今度行こうと思っていたのだが。
「こいし……あなた無意識でついてきてたでしょ?」
「うん!そうだよ〜」
「こいし、さとりはどうしたの?」
「お姉ちゃんは寝てるよ〜私は何もすることがなかったから来ただけだよ〜」
暇なんですねわかります。叫ぶと同時にこいしは航生に向かってダイビング。みぞおちに当たったのか少し腹を押さえている。気にすることではないが、それよりも……。
「霊夢さん。気持ちはわからなくもありませんが抑えましょう。相手はこいしちゃんです。無意識なんですから仕方ないですよ」
私の考えなどわかって欲しくないが、取り敢えず早苗に同意してその場に座った。
「俺そろそろ寝たいんだけど……」
「こいし、航生寝たいって言ってるから放してあげなさい」
「一緒に寝ちゃダメ?」
「な……!?」
以外!それは嫉妬!ではなく、さすがに驚かざるを得ない。それをやられると私にまで被害が及ぶ可能性がある。あんな変態とこんな幼女が一緒に寝たら……。
「流石に一線を越えるようなことはしねーよ。俺はただ単に寝たいだけだ。睡眠の邪魔をしないなら俺は別に構わないぞ」
「というわけだからよろしく霊夢」
こいしの顔にも早苗と似たようなニヤニヤ顔が浮かんでいる。いい加減その意味を理解したいところだが教えてくれるとは思えない。航生はなんとなく理解しているようだが、教えてくれないだろう。最悪無理矢理吐かせるのも考えに入れとくべきだろうか。
結果的に一緒に寝たが、次の日の朝早苗にめちゃくちゃいじられたのはまた別の話。