記憶が曖昧だ。今私がなんなのかそれも理解出来てない。私が今どこにいて、何をしているか。それすら分からない。ただ外の声だけは少し聞こえてきた。
「そうだな。これで我らの悲願は達成される。これで望む世が手に入るんだ」
自分の声が聞こえるが、自分で発しているわけではない。自分がわからないこの空間で分かったこと。それは、今していることが私の本当の望みじゃないと言うことだけだった。
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体がうまく動かない。動かないというより、とても長い時間運動していた選手のように疲労が溜まっている。ちょっと動かすのでも一苦労しそうな感覚とともに私は目を覚ました。目を覚ましてすぐには目の前が真っ暗でなんなのか理解出来ていなかった。ただ温もりだけが感じる。天気のいい時に私を包み込んでくれるような心地よい感覚だった。温かいその何かを探ろうと私は手をついて体を起こした。
「やっと起きたわね霊夢」
横には永琳がいた。
「私どれくらい寝てたの?」
「そうね……、会議の時間から途中で起きたけどすぐに寝たことも含めると、だいたい半日くらいかしら」
そんなに長く寝てたのか。よく見てみると、私には何やら点滴のようなものがある。そこまでやばい状況になっていたということだろう。謝ろうにもなんかその気分ではなかった。
「別に謝る必要ないわ。これが仕事だもの」
正直体にうまく力が入らない。確かに半日近く寝ていれば体の動きも鈍くなって当然だ。疲れもまだ取れておらず、とてつもない睡魔に襲われるが耐えられた。
「今何時かしら?」
「今昼の10時ね」
そんなに寝ていたのか。いつもそんなに長く寝ないので体の疲れは抜けるはずだが、抜けていることは無かった。
「感謝しなさいよ、ずっと一緒にいたんだから」
「ええ、もちろんよ。ありがとう永琳」
「私じゃないわ、今あなたが顔を埋めている人に言ってもらえる?」
そして私は顔を上げて誰なのか確認した。
「え!?え、あ…えっと……」
私を抱いていたのは航生だった。いつもなら起きている時間なのに航生もぐっすり眠っている。なんとなくだけど察しがついた。私が夢のことで発狂した後すぐ眠ってしまった。それがちょうど航生にだかれている状態で落ち着いて寝落ちして、少し寝たけど寝足りなくて二度寝した(している)という事だろう。あまりの驚きに口が開いたまま閉じない私に永琳は呆れたように呟いた。
「あなた凄かったのよ?恥ずかしいとか関係なく感謝しなさい」
もちろんだ。感謝しないわけがない。と言っても、なんかまた眠くなってきた。それでも寝るわけにはいかない。航生達がずっと私を守ってくれていたのだ。今度は私が守る番だ。夢のようなことにはさせない。
「とりあえずそこら辺見てくるわ。何かあったら困るから」
「わかったわ。航生は私が見ておくから行ってきなさい」
「いや、その必要はないぜ」
航生が起きた。目を擦りながら立ち上がって「ついて行くぜ」と言った。
「ありがとう。じゃあちょっと手伝って」
「もちろんだぜ」
そして私達は空を飛んで見回りを開始した。
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「ちょっと夢の事聞きたいんだけどいいか?」
俺はある程度見回ったあと、霊夢に聞こうと思っていたことを聞いた。それは、どんな夢をこいつが見たのかということ。前回があるので、もしかしたらその夢の通りに事が運ぶのではないかと思い、対策目的に聞こうと思った。でも、霊夢にとっては考えたくない未来だと思う。ただそれを防ぐにはそれしかないと思っている。
「ええ、もちろんいいわよ」
そう言って彼女はためらいながらも教えてくれた。その夢の内容は予想通り前回よりも大幅にひどかった。なんと夢の中では生存者は霊夢だけだという。勝利したらしいけど、残ったのは彼女だけだそうだ。一人だけになるのを恐れた時に息が絶えそうだったのが俺だったそうで、それで夢の中で泣き叫んだと言うが、それが普通外の世界まで聞こえるのはおかしいし、その夢のことをはっきり覚えているのもおかしい。必ず意味があるはずだ。
「その夢が現実になる可能性が高すぎるのよね」
そうだ。前回もあるし、確実にないとは言いきれない。1つ気にかかることがある。俺も最近変な夢を見る。それは別の世界の夢だ。その中では誰かが世界征服を企んでいたのだが、場所は知らない、誰かわからないというとても不確定な情報なので警戒せざるを得ない。霊夢に続き俺までそういう夢を見るとなると、明らかに起こることであると予想できる。もし同時にそれらが起こるなら、それを防ぐのは難しい。1度に2つ来ないことを祈るしかない。
「そんな夢の通りには絶対にさせない。みんなで生きて宴会するんだろ?」
「ええ、酒飲むためには頑張らないと」
俺は酒飲めないが、それは関係ない。みんなで楽しく生きるためには結局終わらせないといけないのだ。
「さあ、いくぞ!」
「とか言って動き回ったのはいいけど、成果なしか」
いつもの家に帰ってやっと一息つけた。それまでは良かったが、問題は成果なしということ。やみくもに動いた訳ではない。何かありそうだと思ったところ手当たり次第に見たが結局何も見つけられなかったのだ。復活した霊夢も襖を開けると「だぁー!」と言って倒れ込む。疲れもあるだろう。しかもここまで何も無いとイライラする気持ちもわかる。
「まあ、そう言っても仕方ない。今は休んで明日に備えようぜ」
「そうね。じゃあ先お風呂はいっちゃうから沸かしてくれる?」
「普通自分でやるだろ……まあいいや。俺も入りたいし」
そう言って俺は風呂場に行った。
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記憶が曖昧だ。それはあの夢の前の事、私は今日の朝ゴーヤチャンプルーを食べたのだが、それを食べた後の記憶がほとんどない。考えられるとすれば、あれに何か入っていたということ。もしくはあの夢を見たせいで覚えてないだけ。その後は普通に晩御飯を食べた。
「そろそろ寝るわ。色々あって疲れた」
疲れが表に出ているのは当たり前かもしれないが、いつもより疲れているのは数ヶ月一緒に生活していたからわかった。目は二重になり、大きく口を開けあくびをしている。
「ええ、おやすみ」
それを聞いた彼は目の前に敷いてある布団に潜り込んで1分経たないうちに寝息を立て始めた。
「………別にいいわよね?」
既にいびき(もどき)をしている航生だ。何をしても気づかないだろう。この時何をしているのか私自身理解出来ていなかった。彼がいびきを立て始めたあと確かに布団に入った。しかしその後、彼に気づかれないように彼の布団に潜り込んだ。
「だ、大丈夫よね?起きないわよね?」
潜り込んだ時にもぞもぞしたから起きるかと思ったが起きなかった。今は誰もここにはいない。何をしても問題は無いはずだが、私としては紫が起きてるはずなので警戒しきれない。特になにかする訳では無いのだが……。
「おやすみ……航生」
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「なんか暑いな……なんか最近よく暑くなるよなぁ」
毎朝感じる極度の体温上昇に違和感を覚えながら目を開ける。
「………なんだよこいつ。寝ているとはいえどうにか直して欲しいよ」
夏だから暑いのだがそれに加えてこいつがいるからなおさら暑い。それのせいで毎回朝起きると汗がすごいのだ。昼夜の気温差が大きくなる夏。夜と朝方は少し寒いかもしれないが起きる時も暑い。
「汗拭き取らないと風邪ひいちまうよまったく……こいつ締める力強くね?なんか抜け出せないんだけど。どうすんだよもう……」
そして俺はこいつが起きるまで何も出来ず、起きた瞬間に何故か怒られたのであった。