異変解決のための攻勢まであと10日を切った。霊夢の夢もあって最終的には人里周辺で戦うことになったのだが、しばらくは力を蓄える必要があるため防衛の主体は俺が受け持つことになった。龍哉と彩夏には「似合わない」と言われたけどみんなからの多数決で結果的に俺になった。
「何かする事無いなぁ。攻めてこない間の美鈴の気持ちがわかった気がするよ……」
「2人とも!寝ないでちゃんとしなさいよ!」
「そうは言ってもなぁ。何もすることないだろ」
暇である。ひーまひまひまひまひまひまひま(うるさい)。今は博麗神社に全員(俺、霊夢、龍哉、彩夏)が集まっている。4人で呑気にお茶をしている。そんな場合ではないのだが。
「そろそろ敵来てくんねーかなぁ」
「縁起の悪ぃ事言うな。来ない方が幸せだろ」
「そうだけどよー」
「そんなこと言ってると……」
『航生!聞こえるかしら?』
「思考の境界なくさないでくれますか紫さん」
紫の能力は『境界を操る程度の能力』こういったことも可能なのだが、これをされるとさとりと同じような感覚に襲われるのでやめてほしい。気持ち悪くなる。まあ、こんな話をしてる時に話しかけてきたということだから予想はできている。
『攻めてきたわよ。数は100くらい。』
「了解した。それじゃあ3人とも。行ってくるよ」
「気をつけなさいよ?」
当たり前だと言って俺は撃退に向かった。
案外楽に倒せて戻るまでに30分もかからなかった。戻ると普通に昼寝をしているやつを見つけた。俺だって寝たいんだよ我慢しろコノヤロー!
「ホント呆れてものも言えないよ」
起きていたのは彩夏だった。霊夢と龍哉はぐっすりと寝ている。2人揃って気持ちよさそうな寝顔しやがって……。確かにもう夜だし眠くなるのもわからなくはないが。俺と彩夏は夜型人間だが、霊夢と龍哉は健康的な生活重視なのでこの時間には寝ていることがほとんどなのだ。
「とりあえずお茶入れてくるよ。飲むだろ?」
「うん。ありがとう」
そう言って即座に台所に行き、お茶を入れて彩夏に出した。彼女はゆっくりお茶を啜った。
「やっぱり美味しいよね。航生と霊夢が入れたお茶って」
「お気に召したようならよかったよ」
『航生ー!またよろしく』
ゆっくりしようと思ったのにそれを邪魔する紫賢者。
「ハイハイ、今行きますよ。人里か?」
『いいえ、三妖精の巨樹よ』
「んで〜?あそこにいるのは誰だろなっと」
そこでは誰かが戦っていた。しかし苦戦気味で少しずつ木に追い詰められていた。数を聞いていなかったが割と大丈夫そうだった。
「大丈夫か!?……って」
「あぁ!大丈ぶ……」
そしてお互いの顔を確認する。見たことある顔だった。リアルではよく話した仲だった。
「颯じゃねえか!」
「航生!?なんでこんなところに!?」
「というわけで連れ帰ってきました」
「久しぶりだな」
「まずなんであなたがここにいるのか説明してくれるかしら?」
「出来たらしてるよ!」
こいつは立花颯。同じく俺の同級生で仲良く4人同じ高校生活を送る予定だったのだが、幻想入りしてしまいそれでもう8月末くらい?になった。普通の異変は数日で終わるが今回は数ヶ月もかかった。ちなみに外の世界では俺と並んで大の東方好きと中学のヤツらに言われてきたものだ。そのためか好きなキャラは違くても仲は良かった。こいつの好きな東方キャラは妖夢だ。
「ハイハイ自己紹介はそこまで。ある程度主要な場所で人選を分けるべきなんだけど航生と霊夢はこのまま博麗神社の防衛。龍哉と彩夏は今まで通り紅魔館。まあ消去法的に魔理沙と颯君は白玉楼の2人を連れて永遠亭に避難して防衛。いいわね?」
「「「ラジャー!」」」
「ちょっと質問いいか?」
手を挙げたのは颯だった。こいつアニオタの癖に(俺もアニオタかもだけど)頭は冴える凄いやつだ。多分戦況のことに関してだろう。
「俺が防衛するのは永遠亭でいいけどよ。2人は?航生達は2人で博麗神社の防衛か?いくら何でも人数足りなくね?さっき航生から戦況記録見せてもらったけどいくらふたりが強かったとしても危険すぎると思うんだけど」
ここまで頭が回るのもすごい。
「正確に言えば防衛待機ね。最後に攻めてくる場所が人里ってなってるから全体的に見ると周りから囲んで挟み撃ちにするって感じかしら」
「確かに最終決戦は人里だな」
ちなみにこいつの勘はよく当たる。それどころかほぼ百発百中だ。本人曰く小学校の頃からよくあるらしく何もかも先読みするので鬼ごっこでは捕まらず、サッカーのPK戦ではゴールキーパーがとんでもない反射を持ってない限り必ず入っていたし、自分で作ったテストの対策問題がテストと全く同じ問題だったこともあった。つまり、頭がいいのもあるが学校での成績が良かったのはこの勘の良さがあるからなのである。過去に1度強盗に出くわし、拳銃を突きつけられたことがあったらしいが約1mの距離から撃たれたのにそれをかわすという神業も見せた。勘がいいにしてはおかしいという話をしたこともある。
「今の話を聞く限り航生達は何となく分かってるんじゃないかしら?」
「「「もちろん」」」
「多分、というかほぼ絶対こいつの能力だよな」
「颯君の能力は『未来を見る程度の能力』ね」
『未来を見る程度の能力』
名前からしたら単純だが未来を見るだけではない。未来を見るということはその行く末を知れるということ。未来を知ってそれに関わりそうなところに干渉できるということだ。干渉すれば未来は変わるが良い方向にも悪い方向にも行くのだ。こいつが点数が良かったのはそういうことだ。俺達はだいたい分かっていたがそれだとかなり作戦を訂正しなければいけない。未来を見てなるべく安全な策を抗するべきだ。
「作戦自体に穴はないけど、人里だけじゃなく妖怪の山や守矢神社。博麗神社に紅魔館とか結構いろんなところに来るぞ」
「仕方ないとりあえず人選はさっきのやつでいいとして、やばい時は俺がスキマで送ればいいでしょ」
「そうだな。じゃあ今のところはその作戦で行こう」
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「・・・様全ての手はずは整いました。いつでも仕掛けられます」
暗闇の中2人が喋っている。
「行くぞ・・・世界を越えすべてを支配するのだ。まずは手始めにこの幻想郷とやらを頂こう」
「はっ!・・・様の仰せの通りに……」