まあ当たり前か
「龍哉がこの状態だと真面目にきついな…俺と霊夢だけでこの数を相手にすることになるかもしれないのか…そうはならなかったとしても戦力の差は歴然としてるからなぁ」
皆がそろえて首を振っていた。数の差はそれほどなかったとしても力の差がどうなるか分かったものじゃない。
「それでもやるしかないだろ。この世界で戦えるのは俺たちだけなんだからさ」
そう。今この世界でまともな戦力になるのは俺たちだけ。簡単に言うと戦えるのは俺たちしかいないということ。みんなの命が俺に、訂正俺たちにかかっている。幻想郷の人里の奴らもおびえている。俺たちがやられれば幻想郷は終わり、外の世界も崩壊する。負けるわけにはいかない勝負だ。とはいったもののみんな不安を隠せずにいた。チルノはいつも調子に乗っているがその分気持ちに迷いがない。そこだけはうれしいと思う。しかし他のみんなだ。幻想郷の住人全員が不安を抱えているのは間違いない。『死なないだろうか』と思っているのだ。それを口に出した奴がいた。それは人里の慧音だ。慧音が心配性なのは知っていたがここでそれを言うべきではないことの判断を怠った。その場にいた全員の表情が変化し不安の色に変わった。
「なんで下を向くんだ!」
そういったのは魔理沙だった。どうやら考えていることは同じのようだ。
「死にたくないから戦わないだぁ!?そんなのおかしいだろ!何もしなかったとしてもどうせ死ぬんだから!死にたくないならあらがって奴らを倒すべきだろ!?」
俺が言おうとしていたことを魔理沙は口に出した。みんなの表情が一気に引き締まり、その後に元に戻った。いつも通りの笑顔。それが見れた。みんなこれが最後かもしれないと思っていたようだった。戦えば道は開けるかもしれないということを魔理沙はみんなに伝えようとしたのだ。みんなそれを言われたことで目が覚め、気持ちに余裕を持ち始めた。そこに萃香と勇儀が言った。
「いつも通りだろ?みんなで終わったら宴会するんだろ?だったら頑張ろうぜ!」
みんなそれでさらに少し気持ちにやる気に力がこもったように感じられた。俺は引きこもりのクソニートだがやると決めたことにはどんなことがあってもやりたいと思う人間だと思っている。
「俺たちどうなるのかな…正直なところめちゃくちゃ怖いわ」
「そんなもん誰だって同じだよ。怖いさ…でもやるしかないんだ。頑張ろうぜ」
「そうだよ。死にたくないよ…。だから頑張ろう?」
外の世界グループのところに行って話をしようと思った。こんなことに巻き込まれてどう思っているのか改めて聞きたかった。近づいて話しかけたらちょうどよくこの話題になった。みんな怖がっているのは当然だ。でも妖怪というものをあまり体験したことがないから恐怖は倍増する。
「なあ、航生。俺たち…戻れるよな?元の生活に…」
「当たり前だろ。俺たちで幻想郷の歴史書に載ってやろうぜ」
「鈴仙。ちょっといいか?」
次は永遠亭組。…といっても永琳と輝夜は紫のとこにいるのでここにはいない。今ここにいるのは俺と鈴仙だけだ。
「怖いか?」
「当たり前ですよ。私だって死にたくないですよ。でも月から逃げてきた私を受け入れてくれた幻想郷を見逃すわけにはいきません。奴ら全員吹き飛ばしてやりますよ!」
「そうか…強いな鈴仙は…。頑張ろうぜ!俺たちの世界を守ろう!」
「うん!」
「航生。ちょっといい?」
次に話したのは妖夢だった。というかあちらから話しかけてきたのだが…。
「私ね…死ぬかもしれないから最後に相談しときたいことがあるんだけど…」
「死ぬことはないよ。まあとりあえず聞くよ」
「うん…私。颯の事気に入ってるの。前に早苗に話したとき『それは恋ですね』って言われたんだけどいまいちわからなくて…」
恋の相談をされてもいまいちわからない。でも一つだけ確信していることがある。自分の経験から言えることだから確実性がある。
「後から何もできずに後悔するより先にやって後悔するべきだ。お前がそういう気持ちを抱くのは当たり前なんだ。だから言いたいなら先に言っとけばいいんじゃないか?」
「うん。ありがとう…」
妖夢はそういって颯の方に向かっていった。
「早苗…少しいいか?」
次は早苗にした。
「なんですか?」
「早苗は怖いか?」
「異変についてですか?そりゃあ怖いですよ。死にたくありませんよ。でも私は幻想郷を出ても家にいても居心地悪いですし、そういう理由もあって戦うことを決意してます。自分の身くらいは自分で守って見せますよ」
「そうか…それが聞けて良かった。ありがとな…」
「いえいえ、何かあったらまた呼んでください」
早苗の明るさは何度でも心を綺麗にしてくれる雰囲気を醸しだしてくれる。俺もそれで心を洗われたような気分になった。その言葉を聞いた後俺は早苗のもとを去った。
「航生、少しいいか?」
屋根の上にいると魔理沙が話しかけてきた。どうやら何か言いたそうな眼だった。
「さっき、私がみんなに喝を入れた時威張ってたけどさ…やっぱり私も怖いわ」
魔理沙の手は震えていた。何時しかの霊夢を見ているようだった。昔からずっと霊夢と一緒にいる友人だからか似てきているのだろう。
「私今はこんな感じに見栄っ張りだけど昔から治ってなくて怖がりなんだよ。それを紛らわすためでもあるけどこんな感じに性格をずらしてったんだ。でも…ほんとは…」
魔理沙の手に力が入っているのがなんとなくわかった。そして魔理沙の目には涙が浮かんでいた。力強さのある彼女でもやはり女の子のようだ。俺は魔理沙の手を握っていった。
「死ぬのが怖くない人なんて一人もいない。それに魔理沙がそれならみんなに笑われるぞ?泣くのをこらえて俺たちの力を奴らに見せてやろうよ。弾幕は力だろ?」
「ああ、わかった。でもしばらく…ほんの少しだけでいいから胸を貸してくれ…」
俺はうなずくと魔理沙は俺の胸へダイブ。強く抱きしめてきたので苦しかったがそれは我慢した。俺は魔理沙の頭を少しだけ撫でてしばらく過ごしていた。
「ちょっととなり座っていいかしら?」
魔理沙を早苗に預けて俺は再び屋根の上に登っていたところ霊夢も登ってきた。一人でいたかったのだと思うが俺がいたからなんとなくってところだろう。
「私ね…自分でよかったのかなって思ってるの…異変解決をする巫女が私でいいのかって」
「そうだな。それはお前が決めることだ。自分がいいと思うならそれでいいんじゃないか?」
「ふふっ、あんたらしいわ」
霊夢の笑う顔が久しぶりに見れた気がした。本当の笑顔というのはあまり見たことがなかったから新鮮だった。この笑顔を見たい。そのためにこれまで戦ってきたのかもしれない。
「いつまでも一緒にいてくれるか?」
「ええ、もちろんよ。いつまでも一緒よ」
そういって俺たちは話した後部屋に戻って床についた。
次で最終回の予定です