妖怪達が集いしレストラン   作:ヨシフ書記長

4 / 4
今回のテーマは死神とさせていただきます。
今回は何故か思いついたやつなので少し今までの話と違いますがそこには目を瞑って呼んでください。


三品目〜クリームあんみつ〜

ある住宅地の通学路を3人の少年達が喋りながら歩いていた。

 

「なぁ?リョーチン!」

「何?てっちゃん?」

「あの洋館の噂知ってるか?」

「洋館?」

 

こてんと首を傾げながら良次はてつしの話に耳を傾けた。

 

「ほら!地獄堂の親父が言ってたとこだよ!」

「イラズ森の近くにある…あの建物…」

「あー!あの古い建物かぁ!」

 

てつしの話が分からないリョーチンの為に、横から椎名は説明をするとリョーチンは手を叩くと、てつしを見ながら思い出したかのように頷いた。

 

「あの洋館さ…出るって有名だよな?確か?」

 

椎名はそう切り出すとリョーチンは小さな声で悲鳴をあげた。てつしはそれを聞くと頷きながらこう返した。

 

「そうらしいな!そのせいであの洋館は取り壊されないって話だぜ!」

「あー!それで取り壊されないのかァ!」

 

リョーチンが大きな声でそう言うと、てつじは急に暗い顔をしながらこう言った。

 

「それがよォ…。あの洋館に行くと…死んじまうらしいんだよ」

「え?それってどういう事?」

 

リョーチンは恐る恐るてつじに聞き返した。

 

「何でもよォ…。あの洋館に夜…行くと誰かの話し声がして…。

そいつらの姿を見ちまうと2日後に死ぬって噂だぜ?」

「ヒィィ!死にたくなーい!」

 

リョーチンは泣きながら椎名に抱きついた。椎名はリョーチンの頭を撫でながらてつしを見てこう言った。

 

「それで?なんでその話を俺たちに?」

「そんなに悪い霊ならよう?俺達(・・)で祓っちまおうぜ?」

 

てつしはにこやかな笑顔を浮かべながらそう言うと、それを聞いたリョーチンは卒倒した。

 

「やべ!リョーチンが倒れた!」

「とりあえず…地獄堂に運ぼう…」

 

椎名とてつしは顔を見わせうなづくと、リョーチンを担ぎながら、地獄堂へと向かうのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一方…ここは童守小学校

放課後の教室に5人の生徒が残っていた。

 

「ねぇ?知ってる?イラズ森の洋館の噂!」

 

美樹は前のめりになりながら、目の前にいるヒロシたちにそう言った。

響子は首を傾げながらこう返した。

 

「イラズ森?知らなーい」

「イラズ森?そんな森この近くにあったかー?」

「なんだか知らないけど…怖いのだー」

「あーもしかして…あの上院小学校の近くのか?」

 

美樹の言葉に克也はだるそうに答えた。

 

「何よォ?食いつき悪いはねぇ?もっと…!そうなんだァ?とか言ったらいいじゃないのよ!」

 

美樹は克也の態度を見ると喚きながらそう言った。

 

「よっ!ほっ!っと…!それで?イラズ羊かんが何だって?」

 

ヒロシはサッカーボールを弄びながらそう言った。美樹は眉間に青筋を立てると怒鳴った!

 

「羊羹じゃないわよ!あたしが言ってるのは建物ほうの洋館よ!」

 

まるでネコが威嚇するように美樹はヒロシに言うと響子はこう返した。

 

「ちょっとォ〜。うるさいわよォ〜美樹〜」

「何よ!このまな板!」

「…!誰がまな板よ!誰が!」

「それはねぇ〜?その胸じゃあ〜?」

 

美樹は響子の胸を見ながらそういうと響子は怒りながらこう言った。

 

「何よ!このホルスタイン!」

「言ったわねぇ!この絶壁胸!」

「この胸はただの脂肪じゃないのよ!」

 

響子と美樹がギャーギャー騒いでいると、教室のドアがガラッと開いた。

 

「こらー。お前らー早く帰れー」

 

そう言ったのは響子達の担任である鵺野鳴介だった。

 

「あ!ぬーべー!」

「おっし!帰っか!」

「帰るのだー!」

 

ヒロシたちは立ち上がり帰る用意すると美樹はこう言った。

 

「何はともあれ!今日の夜!9時にイラズ森に集合よ!いいわね!」

 

ヒロシたちが何か言う前に美樹は走り去るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ところ変わって…ここは地獄堂

気絶したリョーチンを奥の部屋で休めると、てつしと椎名は親父に話をし始めた。

 

「おい!オヤジ!イラズ森の中にあるあの古い洋館について教えてくれ!」

 

地獄堂の親父は目を瞑りながら、膝で寝ているガラコを撫でるとこういった。

 

「ヒヒヒ…聞いてどうする?」

「あそこにいる悪霊を祓うんだよ!」

「お前らではあの洋館にいる連中を祓う事なんぞ…出来んぞ?」

 

親父はそう言うと立ち上がり後ろのタンスを漁り始めた。

 

「なんでだよォ!オヤジィ!俺は死神ギーにも勝ったんだぜ?あの洋館にいる幽霊ぐらいへっちゃらさ!」

「ヒヒヒ…お前らの倒した死神はあれは下っ端だ…。あそこにいるのはもっと…上のやつだ」

「死神ギーが下っ端ぁ?マジかよ!」

 

親父はガラガラ声でそう言うと紫の風呂敷に包まれた物と何かの手紙をてつじたちの前に置いた。

 

「ん?なんだこれ?」

「なんの手紙だ?オヤジ?」

 

椎名は手紙を掴みあげると差出人の名前を見た。そこには万年筆で書かれた字で『怪談レストラン』と書かれていた。

 

「怪談レストラン?こんな名前のレストランなんかあったか?」

「聞いたこともないな?」

 

親父はてつし達を見ながらこう言った。

 

「ヒヒヒ…。それがあの洋館だ…」

「へ?あのイラズ森のか?」

「あそこ…怪談レストランって言うのか…」

 

手紙をじっと見ながら椎名がそうつぶやくと、親父はまたあるものを取り出した。

 

「あ?なんだこれ?」

 

それは御札で封をされた小さな小瓶だった。

 

「それは死神ギーだ…」

 

親父の言葉にてつし達はギョッとして言った。

 

「死神ギー!?アイツは地獄に封印されてる筈だろ!?」

「何でここに?」

 

てつし達はそう驚いていると親父は言った。

 

「ヒヒヒ…。死神ギーはこっちの地獄の死神じゃない…。日本にはお迎え課があるからの…。アイツは西洋の死神だ…」

「それとこの瓶にいる死神ギーに何の関係があんだよ!オヤジ!」

 

てつしの言葉に親父はこう返した。

 

「ヒヒヒ…。ついこの間…あの怪談レストランで違う死神が暴れてな?ほかの連中が倒したらしいが…。その捕まえた死神を今夜引き渡すらしいぞ?」

「誰にだよ?」

 

てつしは親父の言葉に対してそう言うと親父は椎名を見た。

 

「椎名よ…。お前は…黙示録という物を知っとるか?」

 

親父は怪しく目を光らせながら椎名にそう言った。椎名は少し悩むとこう返した。

 

「少しなら…知ってる」

「ヒヒヒ…。その中に黙示録の四騎士というのがおるじゃろ?」

「黙示録の四騎士だァ?何だそれ?」

「世界が滅亡する時に現れるっていう騎士の事だ…。飢饉…戦争…疫病…そして…死」

 

椎名がそうてつしに説明しているとオヤジは話し始めた。

 

「かつて…アメリカで1度だけ地獄の門が開かれた事がある…。その時にこの世に現れた悪魔の1人が黙示録の四騎士の復活させおったのだ…。まぁ…その悪魔はある兄弟(・・・・)に倒されたがの…。その内の騎士の1人…死が…あの洋館に今夜現れるのだ」

 

親父がそう言うとてつしはこう言った。

 

「つまり…そいつを倒せばいいのか?」

「ヒヒヒ…。バカモン…お前などあれの足元にも及ばん…。

あれは死神共からすれば…神だ。そいつにコレを渡すといい。きっちりと処分してくれるだろう」

 

てつしが渋い顔をしていると親父は目の前に置いてある紫の風呂敷に包まれたものを解いた。風呂敷を開くとそこにはある物があった。

てつしはそれを見るとこう言った。

 

「これ十手じゃん!よく時代劇とかでよく見る!」

 

てつしは十手を持ち上げると、ズシッとくる重さにニヤッと笑いながら

振ってみたり、ポーズを決めたりしながらそう言った。親父はそれを見ながらニヤニヤと笑いながらこういった。

 

「ヒヒヒ…。そいつはただの十手じゃない…。それは死神鶴次郎という岡っ引きが持っておった十手じゃよ…。ヒヒヒ…」

「死神…鶴次郎?」

 

椎名はそう聞くとオヤジはこういった。

 

「あぁ…。鶴次郎には死神がついていると言われるほど…やつの周りではよく女共が死におった…。やつはその度に女の髪を、その十手の持ち手に編み込んでお守りにしおった。今でもその十手には死神を祓う力があるという…」

 

てつしは親父の言葉を聞きながら、十手を店先から差し込む太陽の光に当てた。すると、十手は鈍く銀色に光り輝いた。

 

「ヒヒヒ…。万が一の為だ…持っていくといい…。その十手を持てば…死神を寄せ付けんよ…」

 

てつしはオヤジの言葉を聞きながら、十手をズボンに差し込み刀のようにしながらこう言った。

 

「うっし!じゃあ、行こうぜ!椎名! 」

 

てつしがそう言うと親父はこういった。

 

「まぁ…待て…。今から来るやつも連れていくといい」

「え?誰か来んのかよ?」

 

てつしが首を傾げると地獄堂入口のガラス戸がガラリっと開けられた。

 

「オヤジさん!来たわよ!」

「おっ!お前は!」

「鳴神!」

 

入口に立っていたのは魔女の末裔・鳴神だった。

鳴神はてつし達の顔を見ると不機嫌そうにこういった。

 

「なぁーんだ。私だけ頼まれたと思ったら…あんた達も呼ばれてたんだ」

「俺らもだよ!鳴神を連れてけってどういう事だ!オヤジ!」

 

てつしはそう言うと親父の方を見た。親父は猫のガラコを撫でながらこう言った。

 

「ヒヒヒ…。お前らはあの怪談レストランをただのお化け屋敷かなんかだと思っとるみたいだがの?あの洋館はただでは入れんよ…。幾重にもかけられた呪いのせいでの…。その為に鳴神を連れていった方がええと思ったからじゃ…」

 

親父はそう言うと後ろの部屋で寝てるリョーチンを見ながらこういった。

 

「ワシが出来るのはここまで…。ほれ…さっさとリョーチンを起こして帰れ…。早く帰らんと怪談レストランに行けんようになるぞ?」

 

親父の言葉にてつしは頷くと椎名がリョーチンを起こし、2人で肩を貸しながら地獄堂を出た。てつしは椎名とリョーチンと鳴神を見るとこう言った。

 

「うっし!それじゃあ…今日の夜10時にイラズ森の入口に集合な!」

「分かった…。でも、てっちゃん…どうやって家から抜け出すんだ?」

「竜二兄の夜の散歩に便乗するのさ!そうすりゃ外に出れるからな!」

 

ニカッと笑いながらてつしはそう言うと鳴神の方見てこう言った。

 

「お前んとこは大丈夫なのか?」

「ええ…。親にはちゃんと言ってるから…」

「そっか…それならいいや」

 

てつしはリョーチンをおぶると走り出し後ろにいる椎名達に大声でこう言った。

 

「夜の10時だからな!遅れんなよ!」

 

椎名達はそれを聞くと一旦家に帰るため家路を急ぐのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜???〜

 

「ウフ♡何か面白い事は無いかしらねぇ?」

 

全身真っ赤の服に身を包んだ男は暗い路地裏を歩いていた。

すると、闇からまた違う男が現れるとこういった。

 

「先輩〜!」

「あら?よくここが分かったわね?」

「めちゃくちゃ探しましたよ!それより!任務っすよォ〜」

「あら?どんな任務かしら?」

「悪魔堕ちした元死神の回収らしいっすよ」

「死神が悪魔に?あら?とっても面白そうねぇ?」

 

ニヤニヤと笑いながら男達は闇へと消えていくのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして…夜も更け…

ここはイラズ森の入口

 

「全く…!遅いわねぇ!レディを待たせるなんてどういう神経してるのかしら?」

 

鳴神はプリプリと怒りながら杉の木にもたれかかりながらそう言った。

 

「おーい!」

 

鳴神が声をする方を見るとてつし達の姿があった。鳴神は腰に手を当てながらこういった。

 

「ちょっと!10分も遅刻よ!」

「すまねぇ、すまねぇ!リョーチンがよォ…怖がって中々家から出てこなくてなぁ?」

 

鳴神はてつしの後ろでガタガタと震えるリョーチンの姿を見ながらため息を吐いた。

 

「ふん!本当に腰抜けね!もういいわ!さっさと行くわよ!」

 

鳴神はそう吐き捨てると怪談レストランへと歩みを進めるのだった。

 

 

怪談レストランの前へと来たてつし達は不気味な外観を見ながらこう言った。

 

「本当に営業してんだよな?」

「ああ…この手紙にはそう書いてあるぞ」

「ヒィィ!本当になにか出そうだよォ!」

 

リョーチンが悲鳴をあげていると鳴神は怪談レストランのドアのところまで近づいていた。

 

「おい!何近づいてんだよ!」

 

てつしがそう言うと鳴神は面倒くさそうにこう言った。

 

「うっさいわね!営業してるってんならさっさと入ればいいじゃない!」

 

鳴神がドアを開けようとすると…ひとりでにゆっくりとドアが開いたかと思うと、まるで何者かに引き込まれるように鳴神は怪談レストランの中へと引き込まれていった。

 

「鳴神!」

 

てつしは慌てて走り出すと怪談レストランの中へと消えていった。てつしがレストランの中へと入るとドアは勢いよく閉まり開かなくなってしまった。

 

「てっちゃん!」

「クソっ!開かない!」

 

椎名とリョーチンがそう言っていると、後から誰かが声をかけてきた。

 

「ねぇ?大丈夫?」

 

椎名が振り返るとそこには響子が立っていた。

 

「あんたは?」

 

椎名は警戒しながらそういうと響子はこう言った。

 

「私?私は童守小学校の響子…あなたは?」

「上院の椎名…」

「そう!椎名くんっていうのね!」

 

響子がそう喋っているとヒロシや克也に美樹も合流してきた。

 

「あら?ほかの人来てたんだァ〜」

「おっ!本当だ」

「ふわあああ…。眠い…」

 

ヒロシは大きなあくびをしながら椎名達に近づいてきた。美樹は怪談レストランを見ると言った。

 

「さぁ!私たちの手でここの幽霊を浄霊するわよォ!」

 

美樹は鼻息荒くレストランに入ろうとしたが入れなかった。悔しそうに地団駄を踏みながらこう言った。

 

「あれ?開かないじゃない!聞いてた話と違ーう!」

「何だよォ…。せっかく家抜け出してきたのによォ?開かねぇのかよォ」

 

克也がそう愚痴ると椎名はこう返した。

 

「いや…さっきは開いた…」

 

椎名の言葉に美樹はこういった。

 

「さっきは開いたー?って事はあんた達がドアを壊したのねぇ?」

 

美樹はそう言ったが椎名は首をブンブンと振りながらこういった

 

「違う…!中に友達が2人連れ込まれて突然扉が閉まって開かなくなった…」

 

椎名がそう言うとヒロシたちは唾をゴクリと飲んだ。椎名達が怪談レストランを見るとリョーチンが椎名を肩を叩きながらこういった。

 

「椎名…!あ…あれ!」

 

椎名はリョーチンが指差す方を見ると、そこにはガシャガシャと音を立てながら大きくなっていくお化けの姿があった。椎名は慌てて経典を取り出すと真言を唱えた。

 

「おんはらしゃのう…!」

 

椎名が真言を唱えると経典が扇状に広がり、お化けの姿がだんだんとはっきりとしてきた。それはとても大きな骸骨だった。

椎名はその姿を見るとリョーチンに言った。

 

「あれは…!前に地獄堂の本に書いてあった妖怪だ…!怨念の集合体…!ガシャドクロ!」

椎名がそう言うとガシャドクロは左腕をゆっくりとあげると椎名達に振り下ろしてきた!

 

「あ…危ない!」

 

リョーチンはそう言うと懐から数珠を取り出すのだった…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーてつしsideー

 

「痛てて…。はっ!鳴神!鳴神どこだ!」

 

てつしは起き上がると周りを見渡した受付の近くに鳴神が倒れているのを発見し、近づくと体を揺すりながらこう言った。

 

「おい!起きろ!鳴神!」

「んぅ…。ううん?」

 

鳴神はガバッと起き上がるとてつしを見ながらこう言った。

 

「な…何が起きたの?確か私はドアを開けようとして…それで…。」

「俺たち…どうやら閉じ込められたみてぇだ」

 

てつしは鳴神にそういうと鳴神は目を大きく開きながらこういった。

 

「嘘…!冗談でしょ?」

 

鳴神がそういうと向こうの扉の方から何やら音が聞こえてきた。

 

「誰か…いるみてぇだな…」

 

てつしはそう言うと懐から護符を取り出すと身構えた。鳴神も立ち上がるとその音がする扉の方へと近づいた。

 

「開けるわよ?いいわね?」

 

鳴神がそう言うとてつしは黙って頷いた。鳴神はゆっくりとレストランの扉を開けた。

「この世には流行り廃りってものがございやす。それはあの世でも同じでして…」

 

窓際の席にてつし達に背を向けながら座る老人の姿があった。てつし達がジリジリと近づいていくとその老人は気づいたのか…ゆっくりと後ろを振り向くと言った。

 

「おや…?なんだい?あんたら…何者だい?」

 

その老人は紋付きの袴を着て白髪をオールバックにしたどこか色っぽい老人だった。

 

「お前こそ誰だ!」

 

てつしが護符を向けながらそう言うとその老人は言った。

 

「私かい?わたしゃあ…噺家だよ」

 

老人は懐から煙管を取り出すとそれをくわえた。

 

「噺家ぁ?噺家って何だ?」

 

てつしが鳴神の方を見ると鳴神は溜息をつきながらこう言った。

 

「あんたって本当バカよね…。噺家ってのは落語家って事よ」

「落語家ぁ?なんでそんなやつがここに…?」

「そんな事は知らないわよ!もしかしたら…あの人が死神かもよ?」

 

鳴神達がそう言い合っていると老人はこう言ってきた。

 

「ちょいと…お前さん達…。そこで言い合いしていないで…私と少し話をしないかい?」

 

老人は手招きしながらそう言った。てつしは小声で鳴神に言った。

 

「あの誘いって乗っても大丈夫か?」

「多分大丈夫だと思うわ…あの人からは悪いオーラが出ていない」

 

てつしと鳴神はうなづき合うと老人の座る席の前に座った。老人はてつし達を見るとこう言った。

 

「名前を名乗ってなかったね…。私ゃ…有楽亭 八雲ってんだ」

 

八雲と名乗った老人を窓から差し込む月の光が妖しく映し出した。てつし達もそれに反応し、名乗って言った。

 

「俺は…てつし」

「私は…鳴神よ…」

 

八雲は名を聞くと狐のような目をさらに細くしながら、ニコリと微笑み言った。

 

「いい名前だねぇ?お前さん達…」

「ね…ねぇ?」

「ん?なんだい?」

「あ…貴方はこのレストランで何をしているの?」

 

鳴神の言葉に八雲はキョトンとするとこう言った。

 

「お嬢ちゃん…。ここはレストランだよ?勿論料理を頂きに来てるのさ」

 

八雲は微笑みながらそう言った。鳴神が何かを言おうとすると八雲は続けてこういった。

 

「まぁ…ここの料理の代金の代わりに…私ゃ落語をしているがね?」

 

八雲が言った『落語』という言葉にてつしはピンと来た。あの噂の原因はその落語ではないのかと…てつしは八雲を睨みつけるとこう言った。

 

「なぁ…八雲のおっさん!」

「おっさん?私ゃもうジジイだよ!」

 

おっさんと言われたことに八雲は眉間皺を寄せながら睨みつけた。

 

「お前…!もしかして死神か?」

 

てつしの言葉に八雲は怖い顔しながら大声でこう言った。

 

「あんなのと一緒にしないでおくれ!気分の悪い!あたしゃ死神じゃないよ!」

 

八雲のあまりの怒りっぷりに鳴神は横にいるてつしの腹を殴ると八雲にこういった。

 

「すいません!お気を悪くされたのでしたら謝りますわ…。あんたも!謝んなさい!」

 

てつしの頭を掴みながら思いっきりテーブルに擦り付けた。

 

「そこまでしなくても構わんよ…。あたしも怒鳴ってすまなかったね…」

 

八雲がそう言おうとした瞬間…!怪談レストランが揺れた!

 

「な…何だ?」

 

てつしが慌てて外を見るとガシャドクロと戦うリョーチンの姿があった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜リョーチンside〜

 

「んぅぅぅ…!」

 

リョーチンは数珠を握りしめながら、美樹達をガシャドクロから防いでいた。しかし…その結界も限界が近づいて来ていた。ピシッとヒビが入り始めたのである。

 

「も…もう!げ…限界…!」

「頑張って!リョーチン君!」

「頑張れ!」

 

響子は傷だらけになった椎名を抱えながらリョーチンにエールを送った。しかし…その声援虚しく結界は音を立てて崩れ去った!

 

「うわあああ!」

 

響子達の悲鳴と共にガシャドクロの腕が振り下ろされようとした瞬間!

 

「ウフ♡」

 

何者かが森の中から飛び出し、響子達のあいだに入った。リョーチンはやられた!と思い目を閉じたが…全然体が痛くならないのに不思議に思い目を開けると、そこには!全身赤で統一された男がたっていた。

 

「本当にJAPANって不思議よねぇ?こんな悪霊を放って置くなんて!」

 

その男は片手に持っていたチェーンソーのエンジンをかけると…!ガシャドクロを弾き返した!それを見たリョーチンはこう言った。

 

「あ…あなたは誰?」

 

男は振り返るとリョーチンを見下ろしながらこう言った。

 

「ア・タ・シは♡死神派遣協会のグレル・サトクリフDEATH★」

 

グレルはリョーチンの前で決めポーズを決めるとしゃがみこみリョーチンの顔を触りながらこう言った。

 

「それにしても貴方…いい顔してるわねぇ?あと2、3年すれば食べ頃になりそうねぇ…?」

 

グレルにそう言われるとリョーチンは全身の毛が逆立ったような気がした。グレルがそんな事をしているとガシャドクロが起き上がってきた。グレルはガシャドクロの方を見るとこう言った。

 

「あらあらぁ〜★頑丈なのねぇ?骨だから結構脆いと思ってのに!」

 

グレルはチェーンソーを構えながら飛び上がった。ガシャドクロはグレルをつかもうとしたが反対に腕を切り落とされた。

 

「でも、ワタシの死神鎌(デスサイズ)の切れ味には負けるわよねぇ?だって!あのセバスちゃんでも傷つけられるのだもの!」

 

嬉しそうにグレルはガシャドクロを倒そうとすると、怪談レストランから手が伸びてきた。

 

「おいおい…お客さんよォ?今は支配人がいないんだ。あまり荒らさんでくれや…」

 

その手の正体は大きな鬼だった。

 

「うわあああ!鬼だああ!」

「くわれるぅぅぅ!」

 

ヒロシ達が叫び声をあげると鬼はそちらを見ながらこういった。

 

「食う訳ねぇだろ?人なんか食ったら腹を壊す前に鬼灯様に殺されちまうわ!」

 

鬼はそう言うと手の中にいるグレルが暴れ始めた。

 

「キィィィ!離しなさいよ!このデカブツ!」

「お前…海外の死神だな?この国にゃあ…奪魂鬼って奴らがいるんだ。お前さんらはお門違いだぜ?」

「アタシは!指令で来てるのよ!離しなさいよぉ!」

 

まだジタバタともがくグレルに対して鬼はため息をつくと、怪談レストランの方に向かってこういった。

 

「おーい!死神サン〜こいつを説得してくれや!」

「何ガミか?」

 

怪談レストランの入口が開くと2頭身の死神がこちらを見ていた。鬼はグレルを死神サンに近づけるとグレルは言った。

 

「何よ!このチビ死神は!さっさと離しなさい」

 

グレルは悪態をついたが…死神サンはそんな事も気にせずこう言った。

 

「うっさいガミ、オカマ死神!少し黙れガミ」

「誰が!オカマですって!訂正なさい!訂正を!キィィィ!」

 

グレルと死神サンが揉め始めると鬼は溜息をつき、リョーチン達を見るとこういった。

 

「すまねぇな…?お前ら…怪我させた見てぇだな…。代わりと言っちゃあなんだが中で何か料理でも食べてってくれや」

 

鬼はそう言うと優しくリョーチン達を怪談レストランの中へと招いた。リョーチン達は目をぱちくりさせながら鬼の後を追いながら目を覚ました椎名は鬼に聞いた。

 

「なぁ…あのガシャドクロは一体なんなんだ?」

「ん?あれか?あれはなぁ…飢餓で死んでいった人達の怨念の集合体って所だ…。腹が減った思念の集まりだからか…よくこのレストランに集まってくんだよ」

 

鬼に連れられ中へと通されて扉を開けた瞬間!てつしがリョーチン達に飛びついてきた!

 

「大丈夫か?椎名!リョーチン!」

 

「うん、何とかね」

 

リョーチンがそう言うと椎名も同じく頷いた。てつしはリョーチンたちの後ろにいる響子達を見ながらこう言った。

 

「お前ら誰だ?」

「アタシは童守小学校の響子!後ろにいるのが美樹とヒロシと克也!」

「美樹でぇーす!よろしくー!」

「ヒロシだ!助けてくれありがとな!」

「克也だぜ!本当に助かった!」

 

響子たちはてつし達に握手しながらそう言った。てつしもこういった。

 

「上院のてつしだ!無事で何よりだぜ!」

 

てつしが笑いながらそう言うと克也はこういった。

 

「上院のてつし…?あー!ま…まさか!上院の三悪か?」

 

克也のリアクションにてつし達はニヤッと笑いながらうなづいた。克也は嬉しそうにしながらこういった。

 

「いやぁ…まさか!イタズラ3人組に会えるなんてな!俺も運がいいぜ!」

「お話の途中失礼するがよォ?席についてくれるか?そろそろ支配人が帰ってくるからよ…?」

 

克也たちを見下ろしながら鬼がそう言うと響子達は席につき始めた。

みんなが席につくと天井からギャルソンが現れた。

 

「いやはや…申し訳ございません。お客様…私が不在の間に起きた事とはいえ、お怪我を負わせてしまいまして…」

 

ギャルソンは響子達を見るとペコリとお辞儀をした。

 

「フレンドリー&スマイルが私達の心情なのですが…少しそれを理解出来ないお化けや妖怪もおりまして…。皆様に危害を加える結果となってしまいました…。本当に申し訳ありません」

 

ギャルソンが謝る姿を見て、てつしは言った。

 

「そんなに謝らなくてもいいぜ?俺達も面白半分でこのレストランに来ようとしたのが悪いんだからよ」

「そう言っていただけると助かります。しかし…それでは私の気が収まりませんので…どうぞこちらの料理をお召し上がりください」

 

ギャルソンが合図をすると厨房からたくさんの妖怪達がトレーを持って現れ始めた。妖怪達はてつしたちの前に料理を置くと蓋を一斉に開けた。ギャルソンはそれを見ると言った。

 

「こちら…お詫びのクリームあんみつとなります。あんみつを上からかけてお召し上がりください」

 

ギャルソンの言葉にヒロシたちはスプーンを持ちながらこういった。

 

「うひょー!美味そー!」

「めちゃくちゃ美味そうだな!」

「こんな時間に甘い物を食べたら…太っちゃーう!」

 

てつし達もクリームあんみつを食べようとしたら…てつしは目の前に座っていた八雲が居ないことに気づいた。

 

「あれ?じいさんは?」

 

キョロキョロと辺りを見渡したが八雲はいなくなっていた。鳴神はてつしを見ながらこう言った。

 

「どうやら…どこかに行った見たいね…」

「あの世に帰ったのかなぁ?」

「あら?気づいてたのね?」

「まぁな」

「ねぇねぇ!2人で仲良く何話してるの?」

 

リョーチンが楽しそうにこちらを見ながらそういうとてつしと鳴神は声を揃えながらこういった。

 

『別に!』

 

2人はあんみつを上からかけるとスプーンを持ち、あんみつを口へと運んだ。黒糖の甘い蜜の味と共にアイスクリームの濃厚な味が口1杯に広がり、とても幸せな気分になった。

 

「んぅぅぅ!美味い!」

「むちゃくちゃ美味しいよぉ!」

「響子!少しフルーツをよこしなさいよ!」

「嫌よ!美樹なんかにやるもんですか!」

 

ギャーギャーと揉めながらも各々にクリームあんみつに舌鼓を打つのだった…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ごっそーさん!」

「あー美味しかったわー!」

「また食べたいねぇー?」

「次は甘い物じゃないのが食いてぇな!」

 

童守小組は早くも食べ終わり席から立ち上がると、てつし達見ながらこういった。

 

「またね!リョーチン君!」

「童守町に来ることあったら!俺らに会いに来てくれよ!案内するからよ!」

「助けてくれたお礼はきっちりするわよォ〜!」

「じゃあな!」

「おう!」

 

ヒロシたちはそう言い残すと怪談レストランをあとにするのだった。

 

「てっちゃん…俺らも…」

「そうだな…帰っか!」

「そうね…何か忘れているような気がするけれど」

 

てつし達が怪談レストランから出ようと、席を立って少し歩き出した瞬間!4人の背筋がゾクッとした。4人はゆっくりと後ろを振り返ると…そこには!

誰も居なかったはずの席に1人の男が座っていた。その目の前には失神したグレルが座らされていた。男はファーストフード店の袋からハンバーガーを取り出すとそれを頬張っていた。

 

「あ…あれ…!て…てっちゃん…!」

 

リョーチンはひどく怯えながらその男を指さした。

 

「どうした!リョーチン!」

「死神ギーよりも…!やばいヤツだ!」

「何だって!」

 

てつしはハンバーガーを未だに頬張る男を睨みながらそう言った。鳴神もこういった。

 

「何…よ!あれは…!あれは…何なの?」

 

鳴神は狼狽えた様子でそう言った。椎名はその男を見ながらこう呟いた。

 

「私は死なり、世界の破壊者なり…」

 

椎名の言葉にてつしは唾をゴクリと飲みながら言った。

 

「…!へっ!あれが死神の親玉!黙示録の4騎士の1人!(DEATH)かよ!」

 

てつしの声が聞こえたのかデスは振り返りもせずに言った。

 

「お前達がぁ〜堕ちた死神を倒した子供達か…。ふむ…この私に渡すものがあるのだろう?」

 

てつしは鳴神や椎名の目を見ながら頷くと、デスへと近づいた。てつしがデスの近くへと近づくと、腰に指した十手がだんだん熱くなってきていた。てつしはデスの前へと回るとデスはてつしの目を見ずにこう言った。

 

「私を見る目付きに覚えがあると思えば…あのディーンと同じ目付きをしているな…。さて、私も忙しい身ださっさと渡せ…」

 

てつしはデスの言うわれるがままにポケットに手を突っ込み、ギーが閉じ込められている瓶を取り出し机の上に置いた。

 

「ふむ…。中々興味深いな…。堕ちたとはいえ死神を倒すとは」

 

デスはそういうとギーの入った小瓶を黒いコートの胸ポケットに入れた。デスが小瓶をなおそうとしているとてつしは言った。

 

「なんで…人間を死なせるんだよ!」

 

てつしの言葉に空気が凍りついた気がした。デスはてつしをじっと見ながらこう言った。

 

「君は微生物が死んでいく事に胸を痛めるかね?」

 

デスの言葉にてつしは何も言い返せなかった。デスは構わずこう続けた。

 

「我ら四騎士は世界を終末へと誘う者…。何にでも終わりというものがあるように…。生きとし生けるものには必ず終わりが来る。それを神から任せられたのがこの私だ…」

 

デスはそう言うとストローでジュースを飲んだ。さらにデスはこう言った。

 

「確かにお前達人間が増えすぎたせいで…私だけでは追いつかなくなって…この様な者達を生み出したがね?」

 

デスは目の前で気絶するグレルを見てそう言った。デスはハンバーガーの包装紙をぐしゃぐしゃと丸めながらこういった。

 

「中には…この瓶に入れられてる奴の様に悪魔と化す奴も現れ…君達に害をなす存在になったようだ」

 

デスがそう言うと、ギャルソンがお盆に1枚のカードを載せながら現れこう言った。

 

「わざわざご足労ありがとうございます…。こちらが引き渡したい者です」

 

デスはお盆を見るとカードを受け取り、またポケットに入れると立ち上がりこう言った。

 

「さて、私は帰るとしよう…」

 

デスが去ろうとするとてつしは腰にさげていた十手を取り出しデスに向けながらこういった。

 

「待てよ!アンタが死神ギーを作った原因なんだな!なら、アイツに連れてかれた奴らを返せよ!」

 

てつしは十手をデスに向けて振り下ろした。しかし…てつしは弾き返された!

 

「う…うわあああ!」

 

てつしは尻餅をつくと前を見た、そこには冷たくてつしの顔を見るデスの姿だった。

 

「ふむ…中々面白い少年だな…。いいだろう…お前が死ぬ時は私が迎えに来てやろう…。それまで精々生きる事だ…」

 

デスはそう言い残すと消えてしまった。てつし達が呆然としていると急に眠気が襲ってきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はっ!」

 

てつしが目を覚めるとそこはイラズ森の入口だった。周りを見渡すと鳴神達も一緒になって寝ていた。

 

「さっきまでレストランにいたはず…なんで…」

 

てつしが呆然としていると頭の中で声聞こえた気がした。

 

(ホッホッホッホ…。またのご来店をお待ちしております…)




今回の元ネタわかる人いるのかな…。鶴次郎とか…。デス様とか…。マニアック過ぎたな

料理が思いつかない…。何か良い案ないですか?
クロスしてほしい原作もお願いします。
なので、案は私の活動報告に書いてください

感想をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。