タイトル保持者のおしごと!   作:霧島ナガツキ
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投稿後追記:
ネタに困ってクロスオーバーに手を出しました。アイドルマスターシンデレラガールズとバーチャルyoutuber2つです。登場頻度は高くありませんが、そういうの嫌いな方には本当に申し訳ないです。
この2つの理由は単純明快で私がハマったからです。


六手

 天衣の指導を九頭竜に任せ4月半ば。名人戦第一局を落とし、第二局が今日執り行われる。

 第一局は相居飛車の将棋となり、伊沢が雁木、名人が矢倉という戦形となった。結果は181手で伊沢が投了した。

 当事者以外が見れば大熱戦となった第一局だが、当事者の伊沢は「不甲斐ない将棋を指した」と八一達に語ったが、それ以上のことは言わなかった。

「それでは定刻になりましたので、伊沢三冠の先手でお願いします」

「「お願いします」」

 伊沢は始まって30秒ほどして、パチンではなく、バチンと力強く7六歩と指した。

 そして盤面は思いもよらない状況になった。

 四間飛車から幾らか手が進み、3八銀として美濃囲いを組むと思われたが、3六歩と指し、五十嵐名人が指した後に3七桂馬と跳ねる定跡外の手を打った。名人はそれの手に2時間ほど指すことができなかった。名人の次の手は昼食後の対局再開後指された。

 

 ちなみにこれは現実でいうところの藤井システムで、この世界では似たようなものがあったが、完全には確立されていなかった。

 

 そして第一局前の伊沢曰く、

「名人? 強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。でも俺は負けないよ」

「駒たっ……駒達が躍動する将棋を皆さんに見せたいね」

 ということである。

 

 

 

 

 

 ―――伊沢―――

 新戦術は上手くいったか……。しかし油断は禁物……。相手は名人だ。ここからが正念場……。

 

 

 

 

 

 その後も指しに指し、2日目午後8時。全くが未知のこの将棋には時間がかかり、現在俺が残り時間12分。名人が秒読みという展開だ。

 そして現在139手。ここからはまだ分からない。ただ一度でもミスをすれば最悪勝ちを逃すだろう。

「50秒。1、2、3、4、5―――

 

「負けました」

 

 」

「どうも失礼しました」

 俺の頭を下げた。

 名人の投了。このままいけば勝てるだろうとは考えていたが、やはり思いと、まさか勝てるとはと思いの2つで頭の中は一杯である。

 その後は記者に質問をされたが、意外と早く終わり、俺は自室に戻って畳の上に転がった。

「勝ったー」

 やはり実感が沸かない。何度勝っても……だ。盤王戦、棋帝戦、玉座戦など多数のタイトル戦で名人と対局をしたが、今日の一勝ほど嬉しいものはない。

 今後ともこの調子でいこう。

 

 

 

 ――――――

 第三局は伊沢が右四間飛車左美濃、名人が角換わり四間飛車の戦形となった。両者ともに譲らぬ攻防戦となり、70手程度指しても未だに均衡状態であったほどだ。

 しかし、伊沢の一手から全てがガラリと変わり、伊沢の攻守の両方は屋根に積もり崩れる雪のようだった。

 119手目に伊沢が投了。感想戦終了後、伊沢は自宅にトンボ帰りしてカップ麺と水、紅茶をコンビニで買い込むと、1週間自宅に籠城して外には出なかった。

 

 

 

 伊沢を除く清滝一門は清滝邸に集まり、全員で夕食をとっていた。

「最近伊沢さんを見てないんだけど、八一何か知らない?」

「え? あぁ、伊沢さんは部屋から一歩も出ずに、コンビニで買い込んだ食料頼りにソフトを使って将棋指してるらしいですよ。なんでも10秒将棋で一日30局指してるとか。本人曰く大丈夫らしいですけど、実際は知りません」

 銀子の問いに八一が答えると、桂香は何か心配そうな顔をして何か考えている。

「そうなの……明日行ってみようかしら」

 結論が出たのか、桂香はそう言ってまたお好み焼きを焼き始める。

 翌日、伊沢の家に行った桂香は部屋の汚さに驚いたという。

 

 

 

 1週間ほど経って、将棋の研究も程々に最近流行りのアイドルである神崎蘭子とやらがテレビに出ていたので、のんびりとみていた。

 伊沢は基本的にテレビを見ない。まずここ3か月テレビをつけた記憶がない。その3か月間は詰将棋をするか、研究をするかしていただけである。

「へー、最近の歌ってこんなんなのか。ふーん。えっと、経歴……はっ!? えっ!? 中学生なん!? うっそだろおい」

 人をダメにするソファに座って……というよりは寝転がっていたが、思わず飛び上がった。

「いやまぁ、あり得るか。それを言ったら俺や八一、名人がその部類だもんな……。しっかし、何ともねぇ……」

 そんなことを考えていると、突如として電話が鳴りだした。

「はい、伊沢です」

『あ、伊沢三冠、ご無沙汰しています月光です』

「あ、どうも。どうされました?」

『先ほどテレビ局の方から、伊吹三冠にテレビ出演の依頼が来てます』

「こんなバカ忙しいのにですか?」

『えぇ。もちろん断ることもできますが……どうしますか?』

 伊沢はしばし考え、結論を出した。

「先方にお受けしますと伝えて下さい」

『わかりました。伊沢三冠の電話番号を伝えておきますので、今度からそちらにかかってきますので』

「あ、はい。了解しました。それでは失礼します」

 そう言って電話を切ると、また人をダメにするソファに寝転がった。

 

 その日、伊沢vが目を覚ますことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 名人戦第四局。第三局までの対局までとは違い、ゆったりとした将棋になった。

 それもそのはず、攻め将棋の伊沢が今回は鉄壁の受け将棋を展開したからだ。検討室は大荒れであった。

 名人の攻めも、伊沢の短い期間で調整したとは思えない頑強な受けには攻め手を欠いた。100手を超えたあたりから伊沢吹の受けが徐々に攻めに転換され、受けの難しい名人はじりじりと押され、結果171手で投了した。

 記者からの質問に対して、伊沢は「名人の棋譜を見て研究するよりも、受け将棋を学びどう勝つかに心血を注いできました」と答えたという。

 

 

 

 名人戦第五局。相掛かりという、あまり面白みのない将棋となった。名人戦の中で一番伊沢が厳しい表情をしていた。そして幾らか進んだとき、伊沢が定跡外の一手を指した。25手目3五歩。前例のない将棋となった。

 ここからは誰にも分からない、二人だけの世界、初めての将棋となった。持ち時間10時間の2日制という時間を両者フルに使った。112手目6一角。

 そこで名人の投了となった。

 色々と終わり、八一から電話がかかってきた時、眠すぎて死にそうだったため、適当に「いやー、勝ててよかった」といって電話を切ると、携帯の電源を落としそのまま寝てしまった。

 

 

 

 

 6月中旬

 ここまで3勝2敗。

 名人のタイトルを勝ち取るのは、次回の第6局になるのか、それとも最終戦第7局になるのか……。

 終盤戦に差し掛かった今期名人戦を制するのはどちらになるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近は若干説明文ありきになっているような気がするので、次回からは気を付けたいと思います。

6月くらい追記:
名人に名前追加したのを報告するのを忘れてました。すみません。
そしてなぜ主人公の名前をすべて間違えたのか。全くもって不思議である。







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