ガルパン 意味無し二次短編   作:rockless

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2話

『三式中戦車、走行不能』

 

「アーララ、もう1輌落ちたよ」

 

 脱落を告げる無線に、ごりらチームの面々は早くも気力を奪われた。諸般の事情で身バレを防ぐため、それぞれパーティー用のゴリラマスクを着けている

 

「マジかー」

 

「まーでも、普通にそうするよねー。だって、こっち9輌に対して、向こうは20輌だもん。おまけに八九式なんて向こうからしたら数に入ってなさそうだし」

 

「だよねー」

 

 試合が始まって僅か十数分の出来事、黒森峰の戦車隊が森を抜けて大洗女子の戦車隊に襲いかかる。重戦車の砲撃を受けてたった今、この試合より隊に参加したアリクイさんチームの三式中戦車が撃墜されたところである

 

「でも三式のおかげでフラッグ車は守られたから、怪我の功名ってやつなんだよね」

 

「それなー」

 

「ってか隊長は元黒森峰なんだから、この開幕突撃を予測できなかったのかな?」

 

「してても、せいぜい急いで移動するくらいしかできないし、防ぐのは無理っしょ」

 

 やる気のないやり取りをしつつも、センチュリオンはしっかりと動かし、殿としてフラッグ車のあんこうチームのⅣ号戦車や、三式中戦車と同様にこの試合が初参加のレオポンさんチームのポルシェティーガーのフォローに入る

 

「とりあえず足を止めさせる。榴弾装填」

 

「ほい榴弾」

 

「照準、パンターとティーガーⅡの間の地面。撃て」

 

「りょ、っと」

 

 センチュリオンから榴弾が発射され、指示通りの位置に着弾する。破裂した榴弾の弾殻がパンターとティーガーⅡの履帯と転輪に傷を付けた

 

『あんこうチームより各車へ、もくもく作戦開始します』

 

「ごりらチーム了解。スモーク開始します」

 

 一列に隊列を組んだ大洗女子の戦車たちがスモークディスチャージャーから煙幕を展開する。ごりらチームは最後尾に付く

 

『前方の丘を越えます。例の方法を取りますので各車準備をお願いします』

 

「例の方法ねぇ。ホントにあの子は西住流なの?」

 

 装填手のダイヤがみほの発想にぼやく。その間にセンチュリオンは最後尾から煙の中を通って一番前に移る

 

『全車停止、ワイヤー固定』

 

「はい、ワイヤー」

 

「うい」

 

 ダイヤが車長のハートにワイヤーを渡し、ハートが車外に出て、センチュリオンとポルシェティーガーをワイヤーで繋ぐ。登坂能力の低いポルシェティーガーを他の戦車で引っ張り上げて、時間を短縮するのがこの手段の目的である

 

「センチュリオンの600馬力でも、さすがにP虎は重いからなぁ」

 

「次に馬力があるのは、M3の400馬力だっけ?」

 

「だと思う。っで、Ⅳ号とⅢ突の300馬力。ルノーB1も300馬力だけど、スモーク係でワイヤーは繋がないからね」

 

「はぁー、ただいま」

 

「おかー。えー、ごりらチーム準備完了しました」

 

『ウサギチーム準備完了です』

 

『カバさんチーム、オッケーだ』

 

『あんこうチームも準備整いました。それでは牽引開始します。まずは速度を合わせて慎重に、前進開始。パンツァー・フォー』

 

 

 坂を抜け、競技エリアの207地点にある小丘に、簡易的な戦車壕を作り陣地を構築した大洗女子。丘の麓には黒森峰の戦車隊がズラリと並ぶ

 

「ハハハ、壮観ってね」

 

「攻城戦は防衛側の3倍の戦力が必要って言うけどさ。本当に3倍の戦力を揃えられると、防衛側は泣きたくなるって今わかったよ」

 

「マジ同意。まぁ搦め手で攻めてこない分、やりようがあるからマシだけど」

 

「確かに」

 

『攻撃開始!』

 

 自軍と敵軍の戦力差にセンチュリオンの4人は笑いと呆れに包まれる中、みほから攻撃命令が下る

 

「じゃあ対角のP虎狙おうとして側面晒してる戦車を集中して撃っちゃって」

 

「はいよー、わかってるって」

 

 事前の打ち合わせ通り、大洗女子にあるたった2輌しかない重戦車を左右の端に配置し、どちらかの重戦車を狙う相手戦車をもう一方の重戦車が狙うという連携プレーで、砲塔や車体側面を次々に打ち抜いていく

 

「はーい、ヤク虎登場」

 

「センチュリオンでも正面はキツイか。側面もいい感じに昼飯角度になってるし、足狙いで」

 

「りょ」

 

 足止め目的で、クラブがヤークトティーガーの転輪を狙い、発射。ヤークトティーガーは転輪が吹き飛び、丘の中腹で操縦不能になってしまう

 

『ヤークトの足が止まった今がチャンスです。ここから撤退します。カメさんチーム、例の作戦を実行してください』

 

『りょーかい』

 

 丘の麓にいる黒森峰のさらに後方から、ヘッツァーが突っ込んできた。1輌の戦車にいいように掻き回されながらも、同士討ちを恐れて手を出せず、混乱する黒森峰

 

「多少の犠牲もやむなしなら同士討ちなんて気にしなきゃいいのに」

 

「だよね」

 

 混乱して、丘上の本隊の存在を忘れてヘッツァーを狙おうとする戦車に、呆れながら1発撃ち込んで撃破する

 

『陣形が崩れました。突破します』

 

 簡易の戦車壕から飛び出し、混乱する黒森峰の戦車たちの間を縫うように1列で丘を駆け下りていく。ポルシェティーガーを先頭にし、その反対側にいたセンチュリオンがまた最後尾となり、スモークを展開して、丘を後にした

 そんな大洗女子の戦車隊を、混乱からいち早く復帰したティーガーⅡが追おうとするが・・・

 

「さて、その足で追っかけてこれるのかな?」

 

 ハートがそう呟いた瞬間。ティーガーⅡの足回りが故障を起こし、操縦不能で止まるのであった

 

 

 丘から撤退後、模擬住宅地エリアまでやってきた大洗女子の戦車隊。途中、ウサギさんチームのM3が渡河中にエンストを起こすトラブルがあったものの無事復活。戦力を失うことなく移動することができたのだったが・・・

 

『ま、マウス?!』

 

 団地の間を逃げるⅢ号戦車を追い駆けていた大洗女子の戦車隊。しかしその前に超重戦車マウスが立ちはだかる

 

「カモチーム、車体砲に榴弾装填。履帯と転輪を撃って破壊!急いで!」

 

『りょ、了解!!』

 

 一番マウスに近い位置にいるカモさんチームのルノーB1に、ハートが指示を出す。マウスの履帯が破壊され、後退が止まる。マウスはその場で砲塔を回そうとするが、砲身が団地の建物にぶつかり、大洗女子の戦車隊にまで向くことは無かった

 

『全車後退してください』

 

「ごりらチームより作戦提案よろしいでしょうか?」

 

『なんでしょう?』

 

「アヒルチームがここに残ってマウスを押さえ込んでもらいたいと思います。アヒルチームがここでマウスにペチペチ撃ち込んでいれば、競技規則上、マウスの乗員は修理をできません」

 

 一見なんでもありに見える戦車道の試合だが、実際は細かいルールが存在する。例えば乗員が戦車外に出ることにも安全上の観点から規定があり、『修理等で乗員が戦車外にて作業を行う場合、当該戦車が戦闘状態にある空間に無いこととする』と決まっている。要するに、『砲弾が飛び交う場所では危険だから、選手は戦車内にいるように』という意味である

 

「砲がこちらに向けられないここは、対マウスの安全地帯。装甲の薄い八九式でも撃破される心配はない。例え八九式の主砲がマウスの装甲にダメージを与えられなくても、攻撃している以上、そこは『戦闘状態にある』と言えます。隊長流に言うなら『ペチペチ作戦』でしょうか」

 

『う、うーん、少しズルイ気が・・・』

 

「そうでしょうか?バスケのファウルトラップだったり、サッカーのオフサイドトラップのような、ルールを利用した作戦ってあるじゃないですか」

 

 っと、渋るみほにハートは、あえて他のスポーツの例えを出す

 

「バレーでも、背の低い選手を一旦下げて、1点を守るためだけのブロッカー役として背の高い選手を入れる。ワンポイントブロッカーなんて手を使ったりしますし」

 

『ワンポイントブロッカー?!隊長!やります!私たちが大洗女子のワンポイントブロッカーになります!!』

 

 バレーの例えが琴線に触れたアヒルさんチームの典子は、無線で熱く作戦の実行を上申する

 

「もちろんリスクはあります。今こちらに向かってる敵本隊の戦車が1輌でも救援に来れば、アヒルチームは追い払われるか撃破されます。そうなればマウスの修理が始まり、再び行動可能になります。ですが、無理にマウスを撃破しようとすれば、こちらも少なくない犠牲を負うことになります。マウスとの戦闘を回避することで稼げる時間、負わずにすむ犠牲を考えるなら、そのリスクをとるだけの価値はあるかと」

 

『・・・わかりました。ペチペチ作戦を実行します。でもそのためにまず囮だったⅢ号を』

 

 っとそのとき、センチュリオンが発砲した。別の建物の陰からこちらを窺うように顔を出したⅢ号戦車に命中し撃破の白旗が上がる。団地の建物を回り込んでⅢ号戦車が偵察にしに来ることを予め警戒していたクラブが砲をそちらに向けていたのだ

 

「敵Ⅲ号戦車の撃破確認。隊長、指示の続きをどうぞ」

 

『あ、はい。アヒルチームはここに残ってマウスへの攻撃を続けてください。足回りや砲身を狙って、できるだけ修理に時間がかかるようにしてください。救援が到着した場合は応戦せず逃げてください』

 

『了解です!』

 

『残りの戦車はこれから移動を開始します。パンツァー・フォー』

 

 

「おい軽戦車!修理できないだろ、そこを退け!」

 

「いやです。それに八九式は軽戦車じゃないし」

 

「中戦車だし」

 

 

『敵本隊、住宅地エリアに到着』

 

『こちらアヒルチーム。敵救援到着につき、撤退します』

 

 偵察に出ていたウサギさんチームからの敵本隊の到着と、マウスの下に残ったアヒルさんチームからの敵救援の到着による撤退の無線が同時に届いた

 

『マウスの修理の時間は長くても20~30分ほどだと思われます。こちらまでの進軍速度を考えると、そこからさらにもう20分ほど。合わせて40分程度、これが私たちに残された時間です。残された時間で、敵フラッグ車を討ち取るには、相手をできるだけ分散させる必要があります』

 

 他のスポーツなら長い40分も、戦車道の試合となれば決して長いとは言えない時間となる

 

「さて、そろそろ私らもスコアを稼がせてもらいますか」

 

「お、じゃあ本気出しちゃう?」

 

「やっとか。正直他車のフォローばっかで飽き飽きしてきたとこだよ」

 

 これから挑む最終決戦に、大洗女子の面々がより一層の気合を入れる中、ごりらチームの面々はやっとやる気を出したかのように、試合に本腰を入れ始める

 

「しかし、わざわざ自分の尻に火をつけるような作戦を提案するなんて、ドMだよね」

 

「えー、だって何も言わなかったら、マウスを撃破しようとしてたかもじゃん。隊長だって西住流なんだし。それでP虎を失ったら、あの役をやるの私たちじゃん。それこそドMだよ」

 

「まー確かに、あの役はやりたくないからねー」

 

 試合前のブリーフィングで聞いた作戦内容を思い出すごりらチーム。今までセンチュリオンが他車のフォロー中心に動いていたのには理由があった。それは今までの戦闘での損失車輌によっては、これから行われる最終作戦で、とある嫌な役回りをしなければならない可能性があったからだった

 

『それでは最後の作戦、フラフラ作戦、開始します』

 

「了解」




操縦不能は白旗が上がっていないので修理して復帰が可能な状態です

車外作業についてのルールは勝手に作った設定ですが、あってもおかしくはないかと・・・

修理作業の所要時間については適当です。でもガルパンの世界だとホントできんの?ってくらいに早い復旧作業ですよね。11話の直下さんとか、劇場版でチハに履帯切られたパーシングとか
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