ガルパン 意味無し二次短編   作:rockless

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5話

『ただ今、電話に出ることができません。ピーという発信音の後に』

 

 Pi

 

「ハァー・・・」

 

 エキシビションマッチ終了後、懇親会代わりのお風呂タイムもそこそこに、また愛里寿に電話をかけているアイリだったが、今回も電話に出てもらえず、ため息をつく

 エキシビションマッチは最終的に、大洗・知波単連合のフラッグ車であるあんこうチームのⅣ号戦車が撃破されて敗北で終わった。アイリたちのセンチュリオンとノンナのIS-2の一騎打ちは決着がつかないまま試合終了となった

 

「どうだった?・・・って、ダメか」

 

「ホントどうしよう・・・」

 

「ここまで電話に出てもらえないなら、一旦時間を置くのも手かも」

 

「ハァー・・・」

 

 

「大洗女子学園は、8月31日を以って、廃校となる」

 

 大洗女子の学園艦に戻ってきた戦車道履修者たちだったが、『KEEP OUT』のテープで封鎖された校門がそんな彼女たちを出迎える

 

「どういうことですか?全国大会で優勝すれば廃校処分は取り消しだって」

 

「あの約束は確約ではなかったらしい」

 

「そんな・・・」

 

「だからって何で繰り上がるんだー?!」

 

「検討した結果、年度末では遅いということがわかり、8月31日を以っての廃校処分ということが決定した」

 

「それじゃ、私たちががんばったのは、なんだったんですか・・・?」

 

「すまない・・・」

 

 杏と他の履修者たちのやりとりを、アイリたちごりらチームは傍観することしかできなかった

 

「みんな、会長の話は聞いたよね。寮の人は荷物をまとめて、自宅通学の人はお家の人と引越しの準備に取り掛かってください」

 

 杏の意を汲んだ副会長の柚子が、履修者たちをとりなして、各々帰宅の途につき始める

 

「ホント、なんだったんだろうね・・・」

 

 

「結局さ、残ったのは愛里寿ちゃんとの軋轢だけ。あー笑えない」

 

「あーやってらんない」

 

「やっぱり高校生の間は関わらなきゃよかった」

 

「それもこれも全部あの生徒会のせいだよ。小者臭い悪巧みなんかするから大人にいいように使われるんだよ」

 

 次の日の朝、大洗女子学園艦は廃艦処分のためにひっそりと出港した。大洗女子学園の生徒たちは付近にある廃校になった小学校を間借りして集団生活を始めていた

 工学科の生徒であるアイリたちは、最低限の生活環境の確保のため、校舎内の掃除と補修をしていた

 

「はーアホらしくなってきた」

 

「とか何とか言いつつも、作業の手は止まらないんだね」

 

 悪態をつきながら作業をするアイリたちを、通りかかったナカジマたちレオポンさんチームの面々がツッコミを入れた

 

「そりゃまぁ、不満タラタラですけど、やらなきゃ終わらないですから」

 

「校舎がこんなボロボロのままだと、居心地悪くてストレス溜まりますし」

 

「こういうときのための工学科の技術実習の授業ってのもありますし」

 

「他のみんながやってるのに、自分たちだけサボると風紀委員がうるさそうですし」

 

 各々が言っていることがまるで言い訳のようで、レオポンさんチームの面々はクスクスと笑う

 

「なんですか?」

 

「あぁ、ゴメンゴメン。けど、わかるよ。結局のところ、友達との喧嘩とか、廃校とか色々あって、手を動かしてないと落ち着かないってことでしょ」

 

「まぁ、そうですね。それは否定しませんよ」

 

 アイリたちは高校から大洗女子学園に入った生徒であり、たった1年と少しだけだったが、あの場所は間違いなく自分たちの居場所だった。それを奪われて、荒れる気持ちが無いと言えば嘘になるのだ。自分たちを置いて学園艦が出港していく姿を見送ったあの時、間違いなく彼女たちの中は悲しみの気持ちで一杯だったのだ

 それと同時に、自分たちの居場所を守るために戦ったことを、なぜ愛里寿に責められなければならないのか、というイライラも新たに生まれてきたのだ。自分たちはあんな気持ちにならないために、ただ必死で戦っただけなのに、それでも一応は謝ろうと、この廃校舎に着いてからも数回は電話をかけているのに、1回も出もしないのだ

 

 っとそのとき、ジャンボジェットの旅客機のような飛行機が、超低空で彼女たちのいる廃校舎の上空を通過した。高音で大音量のエンジン音が、校舎の窓ガラスをビリビリと揺らす。その音と飛行機の姿に、戦車道履修者たちは、一斉に走って校舎の外に出て、近くの太い県道道路までやってきた。そこにはサンダース大学付属高校の輸送機から、廃校のによる処分を免れるため、一時避難のために預かってもらっていた大洗女子の戦車たちが返却のために投下されていた

 

「なんか、戦車を見ると安心する・・・」

 

 ウサギさんチームの言葉が、戦車道履修者たち全員の気持ちだった。それはもちろんアイリたちも同じだった

 

「ねぇ、リカ、カナ、ナオ」

 

「なぁに、アイリ」

 

「ま、だいたいわかるけど」

 

「同じく、付き合い長いもんね」

 

 何かを決心したアイリに、他の3人が笑顔で返す

 

「行こう。会いに」

 

 

 投下され、返却されたセンチュリオンの点検をレオポンさんチームの4人に任せ、その日のうちにアイリたちは大洗町を出発をした。会いに行くと言っても、相手は島田流の後継者で、現在大学選抜チームの指導をしているという忙しい身の人物である。アポ無しでは絶対に会うことなどできない

 まず彼女たちが向かったのは、自分たちが所属する島田流戦車道道場の支部だった。アイリたちは10歳から島田流戦車道道場に通っていた。そして支部同士の交流戦で、アイリたちと愛里寿は出会った。そこで腕を認められ、中学3年間、彼女たちは愛里寿を車長とした1つのチームとして研鑽を積んでいたのだ

 個人的な連絡が通らないならば、島田流戦車道道場の正規のルートでアポを取ればいい。いくら愛里寿が13歳でも、後継者として活動をしている以上、公式の手順でアポを取ろうとしている私たちを無視はできない。最低でも断るという対応をしなければならない。それならそれで次の手を考えるまでだ・・・っとアイリたちは考えていた

 いたのだが・・・

 

「あなたたちが愛里寿に公式の手順でアポを取るということは、あの子となにかあったのね?」

 

「は、はい・・・」

 

 アイリたちは翌日、島田流の本部事務所の応接室に呼び出され、愛里寿の母親であり、現島田流家元の島田千代と話している。まさかの母親登場である

 

「私たちは、中学を卒業して、学園艦の高校に進学する際、愛里寿ちゃんと約束したんです。『また、この5人で戦車に乗ろう』って。でも、私たちが通っている大洗女子学園が廃校になると聞かされて、全国大会で優勝すればその処分が撤回されると聞いたので、たまたま乗り手の当てがなかったセンチュリオンに乗って参加しました。それが、愛里寿ちゃんには約束を反故にしたように思われたみたいで・・・」

 

 4人を代表したアイリは内心ビクビクしながら事の次第を説明する。事戦車道に関しては娘にも厳しく指導する千代だが、それ以外ではかなり甘い親バカ気質であることを、アイリたちは知っているからだ。今回のような戦車道に関係すること、しないことが混ざった問題だと、どちらに転ぶかわからないのだ

 

「電話も出てもらえないから、直接会って話そうと思って、公式の手順で連絡を取ろうとしたのですが・・・」

 

「事情はわかったわ。あの子は今、大学選抜チームの合宿で・・・」

 

 っと、千代が愛里寿の居場所を教えようとしたとき、応接室の扉がノックされる

 

「どうぞ」

 

「失礼します。家元にお客様です」

 

 事務員が入室してきて、千代に用件を伝える。それをアイリたちは一旦気を抜いてテーブルに出されている紅茶を飲み・・・

 

「客・・・?今日はそんな予定は無いはずですが・・・」

 

「それが、西住流の家元の西住しほ様が」

 

 ブーっと噴出しはしなかったが、盛大にむせて咳き込んだ

 

「え?ナンデ?ニシズミリュウナンデ?!」

 

「予定は無かったって、電撃訪問?」

 

「電撃戦は戦車道の試合だけにしてよ」

 

「アワワワ・・・」

 

 4人はパニックになりながら小声で話し合う。まさか愛里寿との仲直りのために来たはずが、日本戦車道の二大流派の家元の会談に遭遇してしまうとは、誰が想像しえただろうか。まさに人生こんなはずじゃないことばかりである

 

「ちょっとこれまずくね?」

 

「疑問系じゃなくまずいよ」

 

「あーせめて制服なんて着てなかったら言い訳のしようもあったのに・・・」

 

 アイリたちは全員、家元からの呼び出しなので、正装として大洗女子の制服を着ている。ここで西住流の家元であるしほに自分たちのことがバレたら、娘のいる学園に島田流の門下生。しかも家元と個人的な仲もある生徒がいることが知られてしまう。そうなった場合、どんな面倒事に発展するか。想像もしたくなかった

 

「帰ろう、帰ればまた来られるから・・・」

 

「そだね」

 

「家元、来客の対応もおありでしょうし、私たちはこれで・・・」

 

「あら、そう?」

 

 満場一致で撤退を決意し、4人は席を立ち、そそくさと応接室を後にする。しかし彼女たちはこの状況で失念してはいけない事実を1つだけ失念している

 

「あ・・・」

 

 応接室から出て廊下を歩いていると、つい先ほどまで自分たちがいた応接室に通されている西住流の家元であるしほの姿があった

 この本部に来客用の応接室は1部屋しかないのだった

 

「待ちなさい」

 

 しほが4人を呼び止めた

 

「なぜ、大洗女子の生徒がこんなところにいるのです?」

 

 終わった・・・さらば愛しき平和な学園生活・・・

 4人は天を仰いだ

 

 

「まさか大洗女子に島田流の手が入っていたとは、さすが忍者戦法の島田流。忍び込ませるのはお手の物と言うわけですか」

 

「言いがかりもいいところですね。そもそもそちらの問題で娘さんは大洗女子に転校してきたはずですが?」

 

 しほと千代、2人の家元の間に火花が散っている・・・ようにアイリたち4人には見えた。今4人は千代が座っているソファの後ろに立たされている

 

「そんなことより、本日の訪問の用件を伺いましょう」

 

「ゴホン・・・文科省教育局、並びに日本戦車道連盟から連絡が届いているかと思いますが、この度大洗女子学園と大学選抜チームとの試合が決まりました」

 

「「「「っ?!」」」」

 

 しほの話の内容に、アイリたち4人は目を見開いて驚いた

 

「大学選抜チームの役員を務める島田流家元にも、承諾を頂きたく」

 

「そういうことでしたら、こちらも全力でお相手いたします」

 

 千代の言葉に、4人はもはや口から魂が抜け出そうになっていた

 

 

「あんのクソ会長!大学選抜チーム相手に勝てると思ってんの?!」

 

「あーもう、どうせまた大人にいいように使われちゃったんだよ!!」

 

「30対9なんてバカじゃないの!!」

 

「向こうからしてみたら射的だよ射的!的がちょっと反撃するかもしれないけどねっていう程度!!」

 

 大洗町に帰り、他の戦車道履修者たちと合流して、現在試合会場のある北海道に向かうフェリーの上である

 

「ハァー、結局本部事務所まで行ったのに愛里寿ちゃんと会うことができなかったし」

 

「その代わり、これから試合をするんだけどね」

 

「それなー。本当、どんな顔して試合に出ればいいわけ?」

 

「またゴリラマスク被る?」

 

 まさか仲違いしている相手とこれから試合をするとは、夢にも思わなかった4人である

 

「でもさ、これである意味よかったのかも。やっぱり戦車のことで起こった仲違いは、戦車で片を付けないと」

 

「そだね」

 

「ついでに勝って、廃校処分も撤回」

 

「全部やってのけようじゃん」




オリキャラたちが戦車に乗らなかった回

アイリたちは工学科だけど、普通科と一緒に集団生活・・・っというか1学年あたり、普通科が最低でもA~Fまでの6クラス?で、船舶科・情報科・被服科・栄養科・工学科・水産科・農業科が各1クラスずつでも7クラス。普通科はⅠ科とⅡ科があるみたい?それで生徒数減少って、女子校なのに定員フルに集まったらどんだけのマンモス校なんだよ
ちなみにこの話の中のレオポンチームの4人も勝手に工学科の設定だったり

愛里寿との出会いのアレコレ。勝手な設定は毎度のことで、まーありえなくはないかなっていう程度だとは思ってる

結局バレたくない人たちにバレてしまう4人・・・もう、ゴールしてもいいんじゃないかな。西住流をライバル視する島田流としては、西住流の指揮下で島田流の門下生が戦わされることをよく思わず。西住流(西住しほ)から見たら、みほを西住流から見て邪道の戦い方に染めた犯人がこの4人と見られてもおかしくない(事実は違うのだが)。つまりどちらの家元からも睨まれる結果となり、4人にとっては不幸以外の何物でもない
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