GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回はワイバーンに浚われた横島君や、美神と蛍。それにヌルの視点で話を書いて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

 

 

リポート16 竜の魔女 その5

 

眼魂の使用に加え、勝利すべき拳の全力使用。更に竜の魔女との極限状態での近接戦闘、その3つの要素が加わり、横島は意識を失っていた。そして目を覚ましたとき。見覚えの無い古びた城の一室にいた、広いその部屋を見て数回目を擦った俺は思わず

 

「え、ここどこ?」

 

俺今どこにいるの?と言うか、美神さんと蛍は!?負けた?負けて捕虜として回収された?とか色んなことを考えていると

 

「みむう?」

 

Gジャンのポケットの中にいたチビが顔を出す。チビがいたことにほっとしながら、額に手を伸ばす。バンダナはしっかりと巻かれてるし、眼魂もウィスプとブラドー伯爵の2個ちゃんと残っていることに安堵する

 

(監視状態にある。声に出して喋るな、私が心の中で状況を教える。いいな、声に出すな)

 

心眼の緊張しきった声に相当危険な状態だと判断し、震えながら頷く

 

(まず、私達はワイバーンに拉致された。竜の魔女の拠点へと回収されている)

 

いきなりの言葉に噴出しそうになったのを必死に堪える、どう考えても行き成り詰んでいるようにしか思えなかった。どうせならもう少し気絶していたかったととも思った

 

(そしてここはワイバーンの寝床だ)

 

(死ぬじゃねか!それ!!!)

 

どう考えても肉食だろ!?俺くわれて死ぬぞ!?心眼の言葉に叫ばず、心の中で叫んだ俺を褒めてやりたい

 

(いや、それに関しては……)

 

心眼が何かを言おうとした時。開いていた窓から大量のワイバーンが部屋の中に飛び込んできて、その真紅の瞳が俺を捉えたその瞬間。地響きを上げながら迫ってくるワイバーンに俺は恐怖を堪える事が出来ず悲鳴をあげるのだった……

 

 

 

 

横島君を浚った後ワイバーンはあれほど私達を執拗に追い掛けていたのを嘘のように止め、空へと飛び立っていった。直ぐにでも横島君を追いかけたい所だったんだけど、装備も無い、疲労も濃いとマリアに説得され、私達は砦へと帰還していた

 

「ぴぎゅう……ぴぎゅうう……」

 

「コン……」

 

ぽろぽろと涙を流すうりぼーと、そんなうりぼーを慰めているタマモ。そして蛍ちゃんは茫然自失と言う表情で目に光が無い、ワイバーンに浚われて横島君が無事とは思えないと思うのは当然だが

 

「蛍ちゃん。横島君はきっと無事よ」

 

「……何か、根拠があるんですか?」

 

重い口調で尋ねてくる蛍ちゃん。そりゃワイバーンはどこからどう見ても肉食だし、浚われて横島君が無事とは思えないから落ち込むのは判るけど……私には無事と言う確信があった

 

「横島君を浚った後一斉に撤退した。それは回収しろって命令があったからだと思うわ。ドクターカオスは?どう思う」

 

「同意する、もしもヌルとやらがガープの一件を知っていれば、その価値を知り浚うことも考えられるし、人質としてこっちへ何かを要求することも考えられる」

 

最後の可能性を口にしなかった事に私は感謝した。態々人間を浚うメリット、そして魔族ならばっと考えなくてはならない事……それは

 

(横島君を洗脳して、こっちへの敵をする事)

 

横島君には心眼がいるし、シズクの加護や清姫の竜気がある。そういう耐性は私達よりも遥かに上だ

 

「私は……その、ありえないと思うのですが」

 

マリアが口をもごもごさせながら、やっぱり気のせいだと思いますと呟く

 

「何?何か思いついたら教えてくれる?」

 

私がそうたずねても言いにくそうにしているマリアにドクターカオスが、お前の考えを教えてくれと促すとマリアは観念したように

 

「その、ワイバーンが横島さんを気に入って巣に連れて帰ったっと言うのはどうでしょうか?」

 

……何を馬鹿なと一瞬思ったが、チビ、うりぼー、モグラちゃん、タマモの事を考えてから

 

「「ありえるかもしれない」」

 

私と蛍ちゃんの呟きが重なった。いやむしろそっちが正解のような気がしてきた……マリア姫様もそう言えばと呟き

 

「ワイバーンは家や森は焼きましたが、人間は殺してはいなかったような……」

 

そう言われるとそうかもしれない、私と蛍ちゃんを襲っては来ていたが、確かに攻めては少し精彩を掛けていたような気がしなくも無い

 

「前者なら人質の交渉、後者なら横島はワイバーンに護られて安全と言う所か」

 

「あのカオス様?横島はそこまでに人外に好かれるのですか?」

 

信じられないという顔のマリア姫様、まぁ普通はそう思うのが当然よね。でも横島君は人外に好かれやすい体質だ、もしかしたらという可能性はゼロではない

 

「そういう人間と言うのは稀に存在するのですよ、人間でありながら魔の領域に近い存在。神話でもあるでしょう?竜を手懐かせたや、獣に助けられた英雄は数多く存在します。横島はもしかするとその類かもしれませんよ」

 

そう笑ったドクターカオスはでも楽観視も出来ないので、探索用の使い魔を飛ばしましょうと笑い。使い魔を3匹飛ばしてくれた、拠点としている場所はマリア姫様もドクターカオスも知っている場所だから、こっそりと偵察するくらいは分けないだろう

 

「所で美神、君は竜の魔女の正体に予想がついたと聞くが、何者なのだ?」

 

マリア姫様に内密な話があると言って、部屋を出てもらった後にドクターカオスがそう訪ねて来た

 

「確証はないんだけどね。多分はつくわよ?」

 

炎を恐れ、神に裏切られたと叫び、フランスと言う言葉を呟いた。それからその正体を絞り込むのは簡単な話だった

 

「もう少し先の未来にあわられる聖人「ジャンヌ・ダルク」だと私は思ってる」

 

イングランド王国との戦争「100年戦争」後期に現れた少女。フランスを取り返し、シャルルを皇帝にした、救国の聖女とまで呼ばれた人物だが、その最後は悲惨としか言いようが無い、貴族達の裏切りに会い、魔女とされ火炙りの刑にされた。それがジャンヌダルクと言う英雄だ

 

「ふむ、未来の人物か……となると私は推測が出来んが……そのジャンヌダルクは竜を操ったのかね?」

 

「ううん、そんな逸話は一切無し。争いを拒んだ人物ね」

 

確か旗持ちで味方の士気を上げたりしていた人物のはず。その伝承の中に当然、竜を操ったと言う物はない

 

「正義であるはずの英霊が竜の魔女を名乗り、破壊を尽くす……か、本来聖女であるからこその拒絶反応かもしれんな」

 

本来は善の存在であり、破壊とは程遠い人物。それが何らかの方法で悪になり、破壊を繰り返す。その事に対する拒絶反応が、情緒不安定と言う症状を引き起こしている可能性は十分にある

 

「でもそれってヌルが英霊を召喚できるってことですか?」

 

横島君が無事かもしれない、その可能性が出てきて少し元気を取り戻した蛍ちゃんがそう呟く、確かに英霊が存在するのだからそれを召喚した存在はいるだろうが……

 

「うーん、それだと違和感があるわよね」

 

「うむ、英霊を召喚できるのなら、ガーゴイルなどを戦力にする価値は無い」

 

英霊を複数召喚すればそれで済む話だ、製造に時間のかかるゴーレムなどを戦力にする意味は無い

 

「じゃあジャンヌダルクはどこから?」

 

竜の魔女の正体は判ったが、新しい謎が生まれた。属性の反転した英霊「ジャンヌ・ダルク」はどこから現れたのかだ……謎が1つ解決すればまた新しい謎が生まれる。本当嫌になるわ

 

「とりあえず当面の目的は横島の救出になるはず、美神、それに蛍。お前達は休め、私は装備の見直しを行う」

 

ゴーレムなどよりもワイバーンに対する備えをしっかりしていれば、こんなことにはならなかった。だから今度はワイバーンに備えると言うドクターカオスの言葉にお願いねと呟き、蛍ちゃんとタマモ達を連れて部屋を出る

 

「美神さん、誰がジャンヌダルクを召喚したんでしょう……まさかガープ」

 

ありえない可能性ではないが、あれだけの手傷を負って直ぐに活動するとは思えない、考えられるのは

 

「ノア領主を洗脳したときから、ヌルと関係があったくらいだと思うけど……情報があまりに無いわ」

 

情報が無いのに、あれやこれやと考えていても意味が無い。下手に考え込んで、こうだと思い込んでしまうことが恐ろしい

 

「少しでも早く横島君を助ける作戦を実行できるように、今は休みましょう」

 

「……はい、判ってます」

 

今私達に出来るのは、少しでも早く横島君を助ける作戦を立案すること。そしてその作戦を実行するための体力と霊力を回復させることなのだから……

 

(横島君、どうか無事でいて)

 

無事でいてくれる事を祈るしかない、嫌と言うほど思い知らされた無力感が肩に重く圧し掛かってくるのを感じながら、部屋へと足を向けるのだった……

 

 

 

 

鈍い頭痛を感じながら私は城の通路を歩いていた。炎を見てからの記憶が無く、気がつけば、私は城に戻っていた。

 

(何が起こった)

 

この激しい頭痛と苛立ちは何だ……頭を片手で抑えながらワイバーン達の巣へと向かう。目覚めて直ぐハゲに出会ったのは最悪の一言だが、ワイバーンがあの赤い額当てを巻いた男を持ち帰ってきたと聞いて、巣で殺されている姿を見て溜飲を下げようと思ったのだ、だが私が見たのは予想だにもしない光景だった

 

「「「ぐるう……」」」

 

「よーしよし、良い子良い子」

 

「なにやってんの!?」

 

赤いバンダナの男に擦り寄っているワイバーンを見て、思わず私はそう叫んでしまった。男とワイバーンがびくりっと身体を竦める、男のほうは私を見ておろおろしているし、ワイバーンは今までぶんぶん振っていた尻尾をどうしようかときょどきょどしてる。その光景に激しい苛立ちを覚えながら男のほうに詰め寄る

 

「ぐ、ぐうう……」

 

「邪魔ッ!」

 

私の前に立ち塞がったワイバーンに一喝する。ビクンっと体を竦め、巣の隅へ逃げていくワイバーン。その中にリーダー格である、銀のワイバーンを見て何をやってると更に苛立ちを覚えた

 

(なんでこんなのに)

 

どこからどう見ても人間だ。私の攻撃に対応できていたので、ただの人間と言うには謎が残るが、人間は人間だ。丁度良い、ここでこの男を殺して、あの女達の前に投げ捨ててやろう、そう思い右手を伸ばすと

 

「大丈夫ですか?」

 

「はぁ?」

 

命乞いでもなく、私を心配するような言葉を発した男に伸ばしかけた腕を引っ込める。その目には恐怖の色は浮かんでいるのだが、その表情はこっちを心配していて

 

「あんた自分の立場わかってる?」

 

他人の心配をするよりも自分の心配をするべきだとは思わないのだろうか?私が殺す気ならば、もう死んでいる。それが判らないほどに能天気なのだろうか?

 

「判ってるとは思います、ワイバーンにしろ、貴方にしろ、俺を簡単に殺せるのは判ってます」

 

「そう、じゃあなんで、そこで私を心配できるのかしら?馬鹿にしてるの?」

 

こっちがいつでも殺せると判っているのに何で私を心配するの?と尋ねる、すると男はうーんっと唸りながら

 

「いや、自分でもよく判らないんですけどね。さっき凄く苦しそうにしてた……からかな?」

 

自分が殺されるかもしれないと判っているのに、他人の心配をする。こんな馬鹿な男を私は知らない

 

「死ぬのが怖くないの?」

 

「むっちゃ怖いです。死にたくないから必死に抵抗します、無駄だと思っていても、最後の瞬間まで絶対に諦めない」

 

死にたいわけでもない、それなのに自分を殺せる相手に平然と大丈夫ですか?と問いかける

 

「はぁ。あんた、名前は?」

 

完全に毒気を抜かれた。このままここにいても私の望む光景は見ることは出来ないだろうが、部屋に戻ってあのハゲやゲソなんちゃらに文句を言われるのもごめんだ。鬱陶しい上にめんどくさい、だから瓦礫の上に腰かける

 

「あんた名前は?」

 

呆然としている男にもう1度名前を尋ねる

 

「え?あ、横島」

 

「邪?」

 

ふーん。面白い名前ね、少なくとも長い上にめんどくさい、ハゲとかゲソなんちゃらよりかは数倍良い

 

「死にたくないなら、なんか面白い話をしなさい。気に入ればあんたを殺さないであげる」

 

頭の痛みが少し引いてきたし、何よりもこんな馬鹿見たこと無い。ハゲとハゲの仲間とゴーレムとガーゴイルしかいないこの城は退屈な上に窮屈だ、なんか面白い話をしなさいと言うと邪は困ったような表情をしながらも、こんな話はどうですか?と訪ねて来た

 

「え。えあ、えっとじゃあ……増えるうりぼーの話を」

 

増えるうり坊?くだらないようなら殺そうと思ったけど、まぁまぁ面白そうじゃない。私は柱の残骸に腰かけながら、邪の話に耳を傾けるのだった……

 

 

 

横島をワイバーン達が回収してきた翌日の夜。ガープ様への定期報告のとき、私は懸念していた事が現実になったことを伝えた。今まで以上の拒否反応の事だ

 

『拒否反応は出て当然。元々出ることは想定内です、むしろ出ないほうがおかしい』

 

元々は完全な善の存在、悪の側面を持たないジャンヌダルクの属性を反転させ、憎悪と殺意を植えつけた、拒否反応が出て当然だと笑うガープ様

 

「しかし、いい所で意識を失われては」

 

『そう焦ることも無いヌル、私の写し身が出来。私がその時代に移動してから精神操作をすれば十分に間に合う。それよりも美神令子は補足出来たのか?』

 

「は、はい!マリア姫とともに篭城していると思われます。それにつきましては人質を確保したので、自ら乗り込んでくることが予測されます」

 

それは素晴らしいとガープ様からお褒めの言葉を頂いた。美神令子、未来では有数の霊能者にして、時間移動能力を所有している可能性が極めて高いとされている

 

『それで人質と言うのは?確実におびき出せるだけの存在か?』

 

「そ、それは少しばかり自信がありません」

 

私も調べたが霊能が高いわけでもない、どこまで言っても普通の凡人と言う様子の人間だった。人間は仲間意識が強いので、取り返しに来ると言う予想をしただけだ

 

「赤い額当てをした、平凡な男です。役に立たないのなら『ヌル!よくやった、その男が最優先ターゲットだ』へっ?」

 

あんな凡人がガープ様の最優先ターゲット?それほどまでに重要な人物だったのかと思わず混乱した

 

『横島忠夫を確保しておけば、美神令子は間違いなく現れる。最高の人質だ、私も出来る限り早く其方に合流したい、写し身の準備を急げ』

 

「畏まりました」

 

お前には期待している。その言葉を最後に、ガープ様との通信は途切れた、それを確認してから大きく深呼吸をする。ガープ様と話をする、その緊張感は凄まじい物がある

 

「ヌル様」

 

「どうしました?ゲソバルスキー?」

 

報告に私の部屋に入ってきたゲソバルスキーは竜の魔女が横島と接触したと報告してきた。その報告に眉を顰め、モニターを操作して横島を閉じ込めているワイバーンの巣を確認する

 

【へー?そんなことがあるのね、お前普通じゃないわ】

 

【え?そうですか?】

 

【そうよ、お前絶対変】

 

モニター越しだが、竜の魔女が穏やかに話をしているのを見て、正直驚いた。竜の魔女の精神は安定せず、常に暴走していたのに……もしかするとこれが横島とやらをガープ様が最優先ターゲットにした理由かもしれない

 

「暫くの間様子見をします、もし部屋の中が騒々しくなれば突入。横島を救出してください、あの男はガープ様への捧げ物ですので」

 

「了解しました」

 

敬礼して部屋を出て行くゲソバルスキーから視線をそらし、培養液の中のガープ様の写し身を見上げる。私の持ちうる技術全てをつぎ込んだ、それでもきっとガープ様の力は見るに堪えないほどに低下するだろう……だがこれが今の私の限界だ。ガープ様の配下になり、更なる技術をなんとしても手に入れてみせる。私はそう意気込み、窓の外に視線を向けた。写し身が来るのは早くて2日後の夜、昨日の今日で横島の奪還作戦を考えるとは思えないが、少しでも長く調整する時間が欲しい。ならば……

 

「ここは1つブラフを打っておくとしますか」

 

出来るのならば直接ドクターカオスと交渉したい所だが、それも叶わない。一方的な宣言をすることで向こうが慎重になるか、それとも強襲に出るか?それを1度確かめておくべきだと思い、砦があるであろう森の周辺に使い魔を飛ばすのだった……

 

リポート16 竜の魔女 その6へ続く

 

 




今回は繋ぎの話になるので、少し短めでした。次回はヌルの視点から入って、城突入まで書いていけたらと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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