GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は美神達が突入する所まで書いて行こうと思います。ジャンヌが横島に着くのか、それともやはり敵となるのか?そこを楽しみにしていてください


その7

 

 

リポート16 竜の魔女 その7

 

「ふむ、そうか……愚かだなヌル。やはりお前は研究者だ」

 

ヌルからの定期報告を聞いて、少しばかり落胆しながらヌルの評価を改める。優秀だが、人間を少し甘く見ていると

 

『わ、私は何か間違えたのでしょうか!?』

 

横島を傷つけるような発言と一方的な宣告、そして私の写し身が完成するまで2日掛かることを考え、4日と言う猶予を与えた

 

「間違えたとは言わない、人間と言うのを計算していないと言っているんだ」

 

ゴーレムやガーゴイルで護りを固めてあるヌルの拠点。その防衛能力は中世の時代を考えれば最高レベルだ、更にワイバーンまでいるので、大群で動けば察知でき防衛を固める事が出きる。相手を慎重に動かす為の4日という嘘の情報を流す、人間を見下している魔族にしては良く考えているといえるが、それでもまだ足りない。美神令子という存在と横島忠夫の価値をあまりに甘く見ている

 

(さてどうするか……)

 

若き日のドクターカオスが居るとなれば、向こうの技術力はヌルよりも上。そして人質交換を匂わせている所から……恐らく人質としてヌルが要求したと言うマリア姫とやらの偽者を用意して、そこから切り崩しに来るだろう

 

(偽者のマリア姫を連れ、城へ突入。陽動を兼ねての行動で、城の中で騒動を起こし、更に外から別働隊……っと言った所か)

 

美神令子は電撃戦を得意としている。更には直感にも長けている……恐らく想像にもしない、作戦で仕掛けてくるだろう。とは言え、考えられる向こうの戦術をヌルに伝えては意味が無い、ヌルの対応力を見るためにも、ここはあえて何も言うまい。ヌルの対応力を確かめる試験にはなるだろう

 

「まぁ良い、人間に対する対処は任せる。私の意識が写し身に宿る前に破壊されるようなくだらない結末にはしてくれるなよ?」

 

『はは!!万全の状態でお迎え致します!まずは竜の魔女の精神操作を行い、再び記憶と意思の剥奪を行い、人形に戻します』

 

記憶と意思の剥奪……横島と共に居る時間が多いと報告にあったが、私の精神操作を外から解除するか……

 

(やはり面白い男だ)

 

義経の事もある、やはり横島忠夫は要警戒だな。その能力にはまだ未知数なところがある、私直々に霊基を操作し、属性を反転させ、記憶と意思を剥奪してから、ヌルの場所に送り込んだが拒絶反応ではなく、記憶と意思を取り戻すとは……これは予想外だが、横島の能力の未知数さを私に教えてくれていた

 

『それではガープ様。朗報を座してお待ちください』

 

深く頭を下げたヌルの姿を最後に通信は途絶えた。私は椅子に深く背中を預けながら

 

「万全か……ふふふ。恐らくありえまい……」

 

恐らくヌルは窮地に追い込まれる。そしてその時に私を頼り自分で何もしないのか、それとも自分の手持ちの兵力で撃退して見せるのか……それを持ってヌルを本当に配下として迎え入れるか。それを見極めてみるとするか……正直私の興味は既にヌルよりも美神達がどのような戦術を持ってヌルに戦いに挑むのか、そして横島の能力の未知数さ。その2つに向けられているのだった……

 

 

 

 

その日は朝から妙な緊張感を感じていた、ピリピリと肌に刺激が来る。殺気とかそういうのじゃない、何か起こるのではないか?と本能的に感じる何か……を感じていた。そしてその予感は朝と夜の2回だけ、与えられる食事の後。確信へと変った

 

「えっとどうかしましたか?」

 

普段は昼前から夜まで話をしているジャンヌさんが、朝食の後直ぐに現れたのだ。しかもめちゃくちゃ不機嫌そうな表情で……しかも何かを喋るわけじゃない。ずっと俺の隣に座り、不機嫌そうに眉を顰めるだけ……このあまりにピリピリした空気に耐え切れず、どうかしましたか?と尋ねる。するとジャンヌさんはやっと口を開いた

 

「自分が馬鹿みたいって思ったのよ」

 

何が憎いのかも判らないのに誰かを憎んで、復讐する相手も知らないのに復讐って口にした自分が馬鹿みたいと乾いた笑い声を上げる

 

「どうしたんですか?」

 

この様子は尋常ではない。なにかあったのでは?と思い尋ねる

 

「どうしたも何も無いのよ!!私は!!ヌルと名前も知らないくそったれの魔族に記憶も!感情も奪われて!!!人形に戻すってさ!!」

 

「ぐっ……うぐっ……」

 

激情に囚われたのか、ジャンヌさんが俺の首を片手で掴み締め上げながら持ち上げる。その圧倒的な腕力と憎悪に満ちた瞳に全身に震えが走る

 

「どうせあんたも私を裏切るんでしょう!見捨てるんでしょう!!!私に味方なんかいないのよッ!!!!!」

 

「お……俺は……裏切……らな……い」

 

ここで彼女を見捨ててしまえば、彼女は本当に魔女になってしまう。ジャンヌから真の竜の魔女になってしまう……

 

(横島!私が!)

 

心眼が攻撃すると叫ぶが、それを心の中で駄目だと叫ぶ。殺そうと思えば、首をへし折り、もう俺を殺せている。彼女自身だってまだ揺らいでいるんだ……ここで攻撃してしまえば、2度と俺の言葉は届かない

 

「口ではなんとも言えるわよ。こうして殺されかけて、死にたくないから口からでまかせを言っているんでしょう?」

 

「ち……がうっ!!!」

 

口からでまかせなんかじゃないっ!息が出来ないなか、出せるだけの大声でそう叫ぶ

 

「うっ!げほっ!!ごほ!!!」

 

首から手を放され、尻もちをつく、4つ這いになって咳き込みながら、必死に息を吸う

 

「絶対私を裏切らないって言えるの?ま、まぁ私は1人だろうが、寂しくなんかありませんけどね!」

 

目がむっちゃ泳いでるな。変なところで意地っ張りなんだな……そう思うと、なんだか微笑ましく思えた

 

「俺は……裏切らない、何があってもジャンヌさんの味方だ」

 

「……そう、じゃあ裏切ったら、私の憎悪の炎で2人で死にましょう。道ずれよ、それでも私の手を取れると?味方だと言えますか?」

 

死にたくはないし、蛍や、美神さんの事もある。それでも、俺は目の前で悲しんでいる人を、それもこんなとびっきり美女を見捨てたくは無い

 

「みむう?」

 

Gジャンのポケットから顔を出したチビに大丈夫と笑いながら、ジャンヌさんの手を掴んで

 

「俺はジャンヌさんの手を掴める。俺は……何があっても、貴方の味方だ。俺は裏切らない」

 

そもそも俺に裏切るって言う選択肢が無いんだ。短い間だったけど、過ごしてジャンヌさんが優しい人だって判ったから、この人はきっと、あれだ。神宮寺さんと同じだ、とても優しい人なんだけど、その言動で勘違いされるんだと思った

 

「私はこれからヌルをぶっ飛ばしに行くわよ?それでも着いて来てくれる?」

 

「丁度いいな、人を人形とか言う奴は俺も大嫌いだ。ぶん殴りてえ」

 

泣いて笑って、生きている人を人形なんていう資格は誰にも無い。そういう奴は大嫌いだ、仮に相手が魔族だったとしてもそれは変らない

 

「じゃあ行きましょうか。もう1回言うけど、裏切ったら許さない」

 

「大丈夫、俺は裏切らない」

 

ジャンヌさんが突き出した拳に右拳を合わせ、栄光の手を両手に作り出す

 

「さぁ!ワイバーン達よ!!!暴れなさい!!敵はゴーレム、ガーゴイル!そしてくそ鬱陶しいゲソバルスキー達!!これから反逆の始まりよッ!!!!!」

 

「「「「「ガアアアアアアアッ!!!!!!」」」」」

 

ジャンヌさんの振り上げた旗に呼応するように雄叫びを上げ、飛び立つワイバーン達。その先陣を切るのは俺に卵を差し出した銀色のワイバーンだ

 

「宣戦布告!どでかいの行くわよ!!!「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……!吼え立てよ、我が憤怒ッ (ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)ッ!!!!!!」

 

「ちょっと待ってええええええ!!!!」

 

剣を大広間の床に付き立てた瞬間。凄まじい黒炎が大広間の床を焼き尽くす、それから少し遅れて感じた浮遊感に絶叫しながら、俺は1階へと落ちていくのだった……

 

 

 

 

遠くにマリア姫様の居城が見えた、私は溜息を吐きながら振り返り

 

「やっぱり引き返してはくれませんか?」

 

マリアにマリア姫様の格好をしてもらい、突入する。それが当初の計画だったのだが、父を助け出すのは私の役目だと言ってマリア姫様も私達に同行している。無理と言うのは判っているが、今からでも引き返してくれないだろうか

 

「すまない、マリア姫は言い出したら聞かないんだ」

 

申し訳無さそうなドクターカオス。でもここまで来たら仕方ない、前に進むしかないのだから。マリアが自分のモチーフになった人物を見て複雑そうな顔をしながら

 

「蛍さんとマリア姫、そしてドクターカオスが光学迷彩のマントで姿を隠し、城内へ突入。領主の捜索および、ゴーレム、ガーゴイルプラントの破壊で良いですね?」

 

突入前の打ち合わせとして尋ねてくるマリアに頷く、私が元の時代に戻る為にマリア姫様を手土産にヌルと謁見する。だがマリア姫様ではなく、マリアなので光学マントで隠している装備で開幕ブッパし、ゴーレムとガーゴイルを操作している機械をぶっ壊す。そしてゴーレムとガーゴイルが混乱している間に横島君を救出する。それと同時作業でマリア姫様、蛍ちゃん、ドクターカオスの3人のペアで製造プラントと破壊と領主の救出からの速やかな脱出。正直どれだけ装備を整えても最上級神魔相手に勝てるわけなど無いので、ドクターカオスが準備してくれたのは徹底的に生存率を高める防御の霊具の数々だ。この時代は神魔が幅を利かせているので、ガープクラスが暴れていたら神魔も動き出す。ノア領主の時はブラドーの存在があるので神魔は動かなかったが、今回はそうではないので恐らく、神魔の援軍が来る可能性に賭けている

 

「私とうりぼーは城の外でゴーレムやガーゴイルと戦う。合図があればうりぼーを巨大化させて、城へ突撃でいいのね?」

 

これはマリア姫様は難色を示したが、ゴーレムやガーゴイルの製造プラントになっていた事を考えると、あの周辺は既に魔力で汚染されている。そのまま運用するには、厳しい立地になるだろう

 

「やはり城は破壊するのか?」

 

「そうなりますね。ですが、ご安心ください!あの城よりも防衛に長けた城を作り上げましょう」

 

ドクターカオスの言葉によろしくお願いします。と返事を返すマリア姫様、それじゃあ作戦開始……

 

ドガアアアアアンンンンッ!!!!

 

「「「「何事!?」」」」

 

「城がぁッ!?」

 

作戦実行される前に吹き飛んだ城の一部に私達の驚愕の声が重なり、城の壁が吹き飛んだのを見て絶叫するマリア姫様……

 

「み、美神さん。ワイバーンがゴーレムとガーゴイルを襲ってます」

 

信じられないという様子で呟く蛍ちゃん。可能性としては考えていた、だけどありえないと思っていたんだけど

 

「あいつ、やったのね!?」

 

ワイバーンに浚われたはずの横島君。それがワイバーンを味方に……いや、違う。ジャンヌを味方につけて、城の内部から破壊しているのだ

 

「作戦変更!!タマモ、うりぼーに分裂するように頼んで!」

 

向こうでも暴れているのなら、態々ヌルの所に直接向かってから考える必要は無い。この騒動を生かして、一気に制圧まで持ち込んだ方が良い

 

「うりぼー、増えて大きく。良い?6体よ」

 

「「「「「「ぷぎゅうううう」」」」」」

 

タマモの指示を聞いて、気合の篭もった声で巨大化するうりぼー。うりぼーの突進力で一気に横島君と合流する、これだけパニックになっていれば人質として領主を連れ出す余裕も無いだろう。人間にいいようにやられている、それが魔族のプライドを損ねる。まず鎮圧する方向に動くはず、私はそう判断し、巨大化したうりぼーは私達をその背中に乗せると、信じられない加速で城の方へ走り出すのだった……

 

 

 

 

横島がジャンヌかワイバーンを味方にして暴れている。それによって本来の計画は大幅に狂ったのだが……

 

「「「ギガアアアアアッ!!!!」」」

 

「!?!?!?」

 

城の外でも見たが、城の中でもワイバーンはガーゴイルとゴーレムに襲い掛かり、その鋭い爪と牙でゴーレムとガーゴイルを粉砕している

 

「横島の特異性は聞いていたが、まさかここまでとは……恐ろしい才能だな」

 

「横島さんはとても凄い方です。人外にとても好かれる人ですよ」

 

驚いているドクターカオスにマリアさんがそう補足する。実際横島は凄いと思うのだが、私は妙に不安だった。ワイバーンはジャンヌ・ダルクの反転存在にしたがっているわけで……

 

(いやいや、無い、無いよね……?)

 

うん、無い無い、幾ら横島でもそこまでは……無いよね?と言うか、そうならないでくださいと心から祈った

 

「ぷぎゅう!」

 

「うりぼーが横島の匂い見つけたって!」

 

赤いバンダナを首に巻いたリーダーのうりぼーが力強く鳴く。領主と横島、その2人を見つける必要がある、先に横島と合流して、そこから横島のダウジングで見つけて貰ったほうが良い、だけど一応美神さんに指示を仰ぐ

 

「どうしますか?先に横島と合流しますか」

 

城の中はとんでもない騒ぎになっている。時間をかければかけるほど合流するのは難しくなる、今は大丈夫だが、そのうち炎が上がれば合流する難易度は跳ね上がる。自分で身を護れる横島に対して、洗脳されている領主の方が優先度は高い。

 

「……マリア姫様。悪いですけど、先に横島君と合流します」

 

「……ちなみに理由はあるのですか?」

 

自分の父を見捨てるに近い選択をした美神さんにマリア姫様が納得していない、と言う表情で尋ねる

 

「横島君は探知に特化しています。先に合流すれば領主様を発見出来る率が上がります」

 

この広い城の中でどこにいるのか判らない相手を探すのは骨が折れる。今は城の中で混乱が起きているから、行動が楽になっている。だがこの騒動が落ち着けば、移動は愚か捜索も難しくなる

 

「マリア姫。領主を生かしておかなければヌルは領主を殺した犯人となります。身の安全は確保出来ていると思います」

 

「……カオス様……わかりました。では先に横島と合流しましょう」

 

ドクターカオスの進言でようやく納得してくれたのか、マリア姫様が頷く

 

「タマモ、横島君の所に案内して」

 

「OK。うりぼー、横島の所に案内して」

 

ぴぐうっと鳴いて、城の通路を走るうりぼー。今までよりもかなり早い

 

「て、敵!?「ぴぐうっ!」

 

中身がない鎧に何度も遭遇するが、うりぼーが体当たりやビームで吹き飛ばし。どんどん加速していく

 

「私は今猪突猛進の意味を知った気がします」

 

「……私も」

 

目的地に向かって脇目も振らず猛突進。これぞ、正に猪突猛進。そんなくだらない事を考える余裕がある事に気付き、これも横島の陽動のおかげかと思っているとうりぼーが扉に体当たりして、ある部屋に突撃していく

 

「ちょっ!?うりぼー!?」

 

背中の上のタマモが慌てて、人間の姿から子狐へと変り。粉砕した扉の破片を潜り抜ける。少し遅れて部屋の中に入った私が見たのは

 

「ったく、邪。こいつ眼逝っちゃってるわよ、魔族に洗脳されてるんじゃないの?」

 

「違うって!?ジャンヌさんがビンタするから!!「ぴぐう!」ふぐおうっ!?」

 

意識のない壮年の男性の服を掴んで持ち上げているジャンヌの姿と、うりぼーの突撃でくの字に吹き飛ぶ横島の姿だった……

 

「お父様?お父様?」

 

「あー……あー?」

 

マリア姫様が領主に話しかけているのを見ながら、腰を抑えてうごごおっと呻いている横島に近寄ろうとするのだが

 

「……」

 

腕を組んだジャンヌが不機嫌そうに私と横島の間に割り込む

 

「「……」」

 

お互いの顔を睨みつける。なんであれだけ殺す、殺す言ってた相手と仲良くなってるのよ……

 

「邪。あんたの味方来たわよ?」

 

「うおおおっ……ちょっ、ちょっと待って……こ、腰がぁ……」

 

うりぼーの突進が効いているのか呻いている横島にタマモが擦り寄り、腰の辺りを舐める。暫くすると横島は身体を起こし

 

「美神さん、蛍。カオスのじーさん、マリア。無事だったんだな」

 

「「「「それはこっちの台詞」」」」」

 

私達が無事だったと喜ぶ横島にこっちの台詞だと私達の台詞が重なる。危険度で言えば横島の方が上だったんだ、こっちこそ無事で良かった

 

「それで、横島君。竜の魔女は……「その名前は嫌い、私はジャンヌよ」

 

美神さんの言葉を遮り、竜の魔女はジャンヌと名乗り、横島のほうを向いて

 

「邪。あんたの仲間が来たけど、約束は破らないでしょうね?」

 

「破るわけ無いだろ、俺はジャンヌさんの味方だ。絶対裏切らん」

 

横島の言葉を聞いて、にやあっと笑ったジャンヌは横島の隣に座る。そ、そこはぁ……私の場所……と言うか。なんでそんな約束をしてるの!?

 

「とりあえず、横島君。どういうことか説明して頂戴」

 

美神さんが疲れたように溜息を吐きながら。何があったのか?説明してくれと言うと横島は、時間も無いと言う事で簡潔に説明してくれた。ヌルとヌルに指示を出している魔族によって記憶を意思を剥奪され、憎悪と殺意だけを植えつけられ、人形だからと言われたジャンヌに味方をすると約束したと、そのおかげで閉じ込められた場所から脱出できたし、領主も確保できた……

 

(私と似てる……)

 

正確には私ではない、ルシオラだが、ジャンヌとルシオラの存在は良く似ていた。そう思うと邪険にもしにくい

 

「OK。じゃあ貴女は味方って考えて良いのね?」

 

「べっつに?私は貴女達がどうなろうが知ったこっちゃないですけどね。まぁ、邪は私の味方だから助けますけど?」

 

挑発するような口調にイラっとする。深呼吸をして、落ち着け、落ち着けと心の中で繰り返し呟く。今この状況で強い味方が出来た事を喜ぶべきなんだ。揉めている場合じゃない

 

「敵の敵は味方って思う事にするわ、ドクターカオス。領主の方は?」

 

「駄目だな。深いレベルで精神操作を受けている、1度この場所を出るべきだ」

 

戦闘力の無いマリア姫様と領主を連れてヌルと戦う事はできない。美神さんも私と同じ決断をしたのか

 

「タマモ、それとマリア。2人でマリア姫様と領主様を城から脱出させて、城内って事を考えると大人数は範囲攻撃を誘発させるから」

 

範囲攻撃をされては護るのに霊力を消耗してしまい、ヌルを倒しきれない。だからここはマリア姫様と領主様を生かす為に分かれて行動するわと告げる

 

「それは……いえ、その通りですね」

 

マリアの装備はドクターカオスが調整してくれたが、それでも生身に近い有機ボデイに対応する装備は用意出来なかった。現代の戦闘力と比べれば半分程度しかないのだ。ここはマリア姫様と領主様の護衛に回って貰った方が良い

 

「私は幻術で相手の視界を奪うって事ね。魔族には幻術が効かないから、ゴーレムとかガーゴイルの」

 

「そういうこと、お願い出来る?」

 

お願い出来るも何も、それしか無いじゃないとタマモは小さく笑う。尻尾が完全に戻ったタマモなら、魔族でも幻術を仕掛ける事が出来るが、今のタマモでは魔族の抵抗力を貫く事が出来ない。ヌル相手では完全に力不足になるのだ、タマモもそれが判っているから納得し、うりぼーの分身体と共にマリア姫様と領主様を連れて部屋を出て行く。この時代の人間が死ねば、歴史が変る危険性が高い。だからこの選択は間違いではない

 

「ドクターカオスは人造魔族の製造プラントの破壊出来るわよね?」

 

「出来るも何も、やるしかあるまい」

 

製造プラントを破壊しなければ、無限にゴーレムとガーゴイルは襲ってくる。だからそれを破壊する事は最優先課題

 

「私は先に行く、大暴れして陽動を頼むぞ」

 

カオスがマントを翻し、暗い通路を駆けていく。その姿はハッキリと見えていたのにいつの間にか見えなくなる、迷彩装備をしていたようだ

 

「ジャンヌさん、また一発ドカンとやってくれるか?」」

 

「むかついてるからやりたい所だけど……ちょっと時間を掛けすぎたみたいね」

 

ジャンヌの言葉を尋ね返すよりも早く。危険を感じ、大きく飛びのく、その瞬間天井が吹き飛び

 

「よくも好き勝手やってくれましたね……ッ!!」

 

額に青筋を浮かべたヌルが眼を血走らせ、私達の前に現れたのだった……

 

 

 

失態だ、失態だ、失態だ!!!ガープ様を迎える準備をしている時に、突如城の中から爆発が起こり、人間達の強襲が行われた。人間が襲撃してくる事は計算していた。だが

 

「なるほど、なるほど、人形が持ち主に逆らうと……?」

 

竜の魔女が裏切り、横島に組するとは思っても見なかった。竜の魔女の安定度が上がると思っていたのに、それがこっちを裏切る切っ掛けになるとは思っても見なかった

 

「人形?はっ!私は生きてるのよ!自分の記憶も意思も剥奪されるって言われて、誰がはいそうですかって言うもんですか!」

 

ちっ……横島が不安定な霊基を安定させる効果を持っていると思っていたが、まさか自我を芽生えさせるとは……人間を甘く見るなと言われてましたが……こんなのを予想出来る訳が無い

 

「そうですか、そうですか……良いでしょう。貴女は人形ではなく人間、認めましょう。では叩きのめし、再び精神を操作して差し上げますよ。勿論、美神令子、横島忠夫。貴方達もね!!!」

 

雑兵では勝てない。そもそも破壊に特化しているジャンヌが向こうについた段階で、ゲソバルスキーもゴーレムもガーゴイルも役に立たない

 

「貴女達に教えてあげますよ、魔族の魔法使いの実力と言う奴をねぇッ!!!!」

 

ここまで万全に計画を進めてきたというのに、それをこんな、こんなくだらない事で妨害されるなんて……ッ!!これ以上の失態は許されない!私は魔杖を取り出すと同時に、魔法を詠唱するための時間稼ぎに雑魚ソルジャーを召喚し、裏切った竜の魔女。そして美神令子たちを睨みつけるのだった……

 

リポート16 竜の魔女 その8へ続く

 

 

 




ヌル戦開始まで書いて行きました。次回はヌル戦を書いて行こうと思います、原作の流れは殆どやりませんがどういう風に変わっているのかを楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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