GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はヌル戦ですが、原作の杖に加えて魔法使いとしての戦術もプラスした。強いヌルを書いてみようと思います。ジャンヌがメンバーINしているので戦力UPしているのでね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その8

 

 

リポート16 竜の魔女 その8

 

 

額に青筋を浮かべたヌル。その表情は憤怒に染まっているのだが、それなのにヌルの戦術は冷静でそして対処を間違えば一瞬で全滅に追い込まれるほどに緻密に組み立てられた物だった……

 

(学者か研究者って風貌だけど……強いッ!)

 

隊列を組んで襲ってくるがらんどうの鎧の剣を神通棍で受け止め、鎧に蹴りを入れて距離を取る

 

「風よ!炎よッ!!!」

 

ヌルが杖を大きく掲げると城の床を炎が走り、胸の周辺を狙い風の刃が飛び出す。その殺意に満ちた攻撃に舌打ちする

 

「精霊石よッ!!!」

 

残り少ない精霊石で風の刃を無効化する、地面を走っていた炎はジャンヌが剣を地面に付き立てることで相殺して見せた

 

「これで4つ。さて、あといくつ精霊石を持っていますかな?」

 

にやにやと笑うヌルに思わず舌打ちする。殺意に満ちた攻撃の組み合わせであり、厄介な波状攻撃だ。だがそれは殺す為の攻撃ではない、私達の防御を削る為の攻撃だ

 

(残り……3個)

 

思った以上に速いペースで精霊石を消耗させられている、狭い城の通路に何度も現れるがらんどうの鎧……それは蛍ちゃん達の合流の妨げと戦術の制限。そしてヌルの呪文詠唱の時間稼ぎの3つの役割を果たしている

 

(人間だって侮ってくれればいいのにッ!)

 

人間なんて神魔と比べれば弱い存在だ。それこそ、ゴーレムやガーゴイルよりも弱い……だから弱い存在だと侮ってくれればいい。そうすれば付け込む隙もあるのに、ヌルにはそれが無い

 

「まぁ答えてくれるとは思っていませんよ。精霊石がなくなるまで削れば良いだけなのですから」

 

再びヌルの影から中身の無い鎧がぞろぞろと姿を見せる。このままだと本当に全滅する……なにか、この状況を変える一手が無ければ押し込まれ続け、まともな反撃も出来ずヌルの魔法の直撃を食らう……

 

「美神さん!大丈夫ですか!?」

 

「私の心配より自分の心配をしなさいッ!!!」

 

鎧の合間から私の心配をする蛍ちゃんに私より自分の心配をしなさいと叫ぶ。不幸中の幸いにも横島君と蛍ちゃんが2人で分断されたのは幸いだと思っている。横島君が眼魂を使うのを阻止してくれるし、何よりも意外な事に直情派の横島君を押さえてくれるからだ

 

(問題はまず私なのよ)

 

ヌルは徹底して私を狙っている。蛍ちゃんや横島君への攻撃はさほど激しくは無い……それは私を先に潰す事で2人に動揺を与えると言う目的なのだろう。その証拠に2人に向けられる攻撃は当たれば致命傷だが、速度の遅い氷や岩の魔法だ。避けても足場を封じ、防御すれば防御ごと押しつぶす。厄介ではあるが、神通棍や栄光の手で十分に対処出来る攻撃だ

 

「稲妻よ!炎よ!氷塊よッ!!!」

 

桁違いの魔法の弾幕に使いたくないと思いつつも、再び精霊石を切らされる。残り、2個……もう精神的な余裕は無い。早くこの状況を何とかしないとと焦りばかりが募っていく……

 

(カオスはまだなの!?)

 

あのヌルの力は地獄炉が大きく作用しているはず。先行し、地獄炉を破壊しに行ったドクターカオスはまだなのか?と心の中で叫ぶ。ヌルを倒すには地獄炉を破壊するしかない、だが専門知識が無ければ壊せる訳も無い。難しいのは判っているが、早く何とかしてくれないと本当に全滅する

 

「あああああッ!!鬱陶しいッ!!!」

 

全滅するという考えが脳裏を過ぎった時。ジャンヌが鎧を物凄い勢いで破壊する音と怒声が通路に響く……

 

(待てよ……?)

 

襲ってきた鎧を神通棍で殴りつけ、札を叩きつけて吹き飛ばしながらふと疑問が頭を過ぎった。ここは城の通路だ、この時代の事を考えれば通路は決して広い物ではない。そう……これだけ鎧が密集出来るはずも、これだけの距離を取れる筈も無いのだ。

 

「横島君!床をぶち抜いてッ!!!」

 

「え……あ、っ!はい!!!!おおおおおおおおッ!!!!」

 

横島君の突き出した右手に霊力が集まり、肘までの栄光の手が肩までの勝利すべき拳へと変化する

 

「そうはさせませんッ!!!……「このハゲ頭ぁッ!!!」げっぶああっ!?」

 

ヌルが横島君に杖を向けた。やはり私の考えは当たっていたのだ、鎧が動く前にジャンヌが自分がぶち砕いた鎧の兜をヌルの顔面に投げつける。生々しい音を立てて、ヌルの首が大きく捩れる。人間だったら死んでるわね……あれ……

 

「業炎のおおおおおおッ!!!ファーストブリッドオオオオオオッ!!!!」

 

何かの砕け散る音と視界を埋め尽くす真紅の炎……って!!!

 

「誰もそこまでしろって言ってないわよ!?」

 

「すんません!!でも電気と氷がどうしても付与されちゃうんで!!!」

 

電気と氷ならコレが一番被害は少ないわね……横島君の霊能力って本当未知数すぎるわ。床が砕けた事で視界が大きく揺らぐ

 

「これって!?どう言う事!?」

 

「嘘だろ!?ここどこなんだよ!?」

 

蛍ちゃんと横島君の動揺した声が高い天井に向かって響く、城の通路にいたはずの私達は気がつけば、ライン作業でゴーレムやガーゴイルが作られ。動物の身体に機械を埋め込んでいるプラントの中にいた……

 

「高位の転移と幻術よ!しかも対象に気づかれないレベルの!」

 

【馬鹿な!?私が気付かなかっただと!?】

 

心眼が気付かなかった。それはそれだけ高位の術だったという証明だ、心眼は確かに優秀だがこうして欺かれる事もある。それだけ神魔の力がこちらよりも高いと言う証明……だが幻術が解除され、正しい距離感と場所を認識した今が大きなチャンス。私は向かってきた鎧を薙ぎ払い、その隙に私を取り囲んでいた鎧の包囲網を駆け抜け、蛍ちゃんと横島君と合流すべく走り出すのだった……

 

 

 

 

 

 

私の幻術が破られた……竜の魔女の投げつけてきた鎧で大きく捩れた首を元の位置に戻す。その間に美神達が何かを話し合っていたようですが、その程度脅威足りえる物ではないと判断する

 

(相手戦力の情報の修正が必要ですね)

 

マリア姫の奪取の邪魔をした人間。ゴーレムを一撃で粉砕したのは判っていたが、想定よりも攻撃力が高い。恐らく攻撃力だけではない突破力も相当な物だろう

 

(魔女と組まれると厄介ですね)

 

破壊に特化した魔女と突破力に長ける人間。この組み合わせはもっとも避けなければいけないのだが

 

「へー?邪。あんたずいぶんと面白い能力を持ってるじゃない」

 

竜の魔女と横島の相性はいい。突撃思考の魔女に対して同じ攻撃力を持ちながら、柔軟性に富んだ横島。この2人は組ましてはいけない、組めば最後。そこからこちらの戦略を大きく崩される事になる

 

「私の幻術を解除したことはまず褒めましょう。賞賛に値しますよ」

 

私の幻術は魔族の中でも相当な物だと自負している。それを力任せに解除されるとは……少々腹立ちを覚えずにはいられない

 

「ふー……認めましょう。ええ、裏腹ですが認めざるをえない」

 

人間が弱いという考えは改めましょう。ほんの僅かなヒントで私の幻術を破って見せたり、人形であるジャンヌダルクに自我を取り戻させた。それは恐らく神魔でも出来ぬだろう。可能性に満ちた人間だから出来る事……

 

「ですが、それでも人間は神魔には勝てぬ!英霊であろうと!それは変わらない!!!」

 

人間の姿から私本来の姿である蛸の姿へと戻る。本来なら魔族は人間界での活動に制限が掛かる、それを攻略する手段として私は地獄炉に目をつけたのだ。そしてこの場所は地獄炉の直ぐ側……私の力を最大限に発揮できるフィールド

 

「はっ!そっちのほうが人間の時よりまともだわッ!!」

 

魔女が駆け出してきて剣を突き出してくる。私はそれを避ける事も防御する事も無く身体で受け止める

 

「お褒めに預かり光栄だ」

 

「ッ効いてない!?」

 

効いていない訳ではない。ただダメージよりも私が地獄炉から供給されるエネルギーの総量の方が上なのだ

 

「お返しですよ」

 

「っうああああああああ!?」

 

4本の足から放った火炎が魔女を包み込み、その華奢な身体を大きく弾き飛ばす。炎に対して強いトラウマを持つ彼女にとって炎が最も有効打撃となる。炎に包まれ、地面を転がりまわる姿にこれで魔女が行動不能になったと確信した。私の炎はそう簡単には消えない、そして英霊であれ人間の姿をしている以上

 

「さあ!お前は蛙になれ!!!」

 

横島忠夫。こいつを自由にさしてはいけない、こいつが動き回れば一気に戦局を変えられかねない。杖を振りかざし蛙に変化させる呪を放つ

 

「え?今なんかした?」

 

「……弾いただと?」

 

呪が直撃したのに横島は平然としている。完全に無効化しただと……やはりこいつ只者ではない!

 

(危険だ、こいつは危険すぎる)

 

何をしてくるか、何が出来るか?こいつは私の頭脳をしても読みきれない。雑魚ソルジャーを呼び出すと同時に杖を構える、

 

「呪は効きませんか、ならば力で押しつぶすまで!稲妻よ!」

 

「チビ!電気ショックッ!!!」

 

「みぎゃあああああッ!!!」

 

横島のポケットから飛び出したグレムリンが信じられない事に私の電撃を相殺する

 

「馬鹿な!?」

 

地獄炉で強化されている私の電撃を何故グレムリンなどと言う下等な悪魔が相殺出来る

 

「ぐっ!ああああああああ!?」

 

動揺した一瞬に美神達の放ったボウガンの矢が目を打ち抜く。ダメージ自体は大きい物ではない、だが眼を潰された痛みはある

 

「貴様らああああああ!!!」

 

冷静であれ、冷静であらなければならない。そう判っているのに、目の前が怒りで赤く染まる

 

「はっ!ほんと外見相応ね!?」

 

「な、何故動ける!?」

 

横手から旗で殴り飛ばされ、城の壁に叩きつけられる。私の炎でのた打ち回っていたはずなのに!何故!何故動ける!!

 

「はぁ?のた打ち回る?なんの話ですか?」

 

魔女の手には焼け焦げた黒い札……札?なんだ、あれは……破魔札ではないはず。見たことも無い、それに困惑するがあれが身代わりになっているという事は一目で理解した

 

「今度こそ燃えるがいい!!!」

 

杖と足の両方から炎が魔女へと走る。いかに美神達が精霊石を持っていたとしても、この距離では間に合わない

 

「急急如律令ッ!!!炎の力を散らしめよッ!!!」

 

「な、なっなにいいいいいいいい!?」」

 

横島の放った札が私の炎を完全に掻き消す。なんだ!?なんだあの術は!?なぜあんな事が出来る!?理解出来ない現象に一瞬完全に思考が停止した。それはこの乱戦で許される物ではなく……

 

「「精霊石よ!悪魔を退けたまえッ!!!」」

 

「がっ、がっはあああああああ!?!?」

 

美神達の投げつけてきた精霊石が炸裂する。これは駄目だ、地獄炉よりも回復量よりも大きなダメージを叩きつけられた。なによりも精神的な混乱が大きい

 

(いかん!いちど立て直さなくては!)

 

混乱した精神状態ではまともな魔法の行使は出来ない。雑魚ソルジャーを呼び出し、距離を取ると同時に乱戦に持ち込めば数で勝るこちらが上だ

 

「数で勝ればこちらが上などと下らぬ事を考えてはいないだろうな?」

 

「ぬっぐううう!?」

 

背後から打ち抜かれると同時に恐ろしい脱力感が襲ってくる。まさか、そんな……ありえない!!

 

「中々に難問だったが、この私の頭脳を持ってすれば地獄炉の停止など容易い。良くぞ耐えた」

 

「ドクターカオスウウウウウウッ!!!」

 

私に匹敵する頭脳だと思っていた、だがこれだけの短時間で停止させれるなんて思っていなかった。ガープ様の降臨の邪魔をされた、私の完璧な計画を妨害された。それを妨害したドクターカオスへと突進する……怒りで我を見失い、完全に状況を一瞬忘れた

 

「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……!吼え立てよ、我が憤怒ッ (ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)ッ!!!!!!」

 

「が、っっつうがあああああああああああああああッ!!!」

 

魂が軋む、全身が燃える。信じられない激痛に魔族としての姿を維持できず、人間の姿に戻り地面をのた打ち回る

 

「あはははははは!!無様ね!人を人形だなんだって言っておきながら、あはははっ!!!その人形に痛めつけられるなんて無様なんでしょうか!」

 

その嘲笑に心が抉られる。無様……なんと言う無様さだ!!!ガープ様の降臨も妨げられ、完璧に進めていた計画は横島ただ一人のせいで魔女の離反から始まり完全に破綻した

 

「おのれおのれおのれおのれッ!!!この屈辱!怒り!!ただでは済まさんぞッ!!!」

 

屈辱と憤怒に顔を歪めながら立ち上がろうとするが、それよりも早く魔女の一撃が胴を穿つ

 

「げほっ!!ぐっぐうううう!!おのれええええええ……」

 

人形に!存在を歪められ、本来のあり方さえも見失った無様な英霊に……この私が!天才学者であるこのヌルが追い詰められるなんて……屈辱だ、失態だ、ここまでのミスを取り返す術を私は持たない

 

「恥じるか、だがそれも良かろう。その屈辱が、その怒りがお前を成長させるのだ」

 

この声は!?聞こえる筈の無い声に顔を上げると、そこには私の作り上げた複製体で降臨なされたガープ様の姿があるのだった……

 

 

 

 

 

馬鹿な……どうしてここに……俺は突然現れたガープに完全に混乱していた。ガープはモノクルに黒いスーツ姿、そして杖を突きながら優雅に歩いてくる。その瞳が俺を見据えた瞬間、恐ろしい寒気を感じた

 

「これはこれは横島忠夫、美神令子、それに芦蛍。こんな時代で合間見えるとは思ってもみなかったよ……時空移動能力。これはレアな能力だな……」

 

その言葉には余裕さえも感じられた。ブラドー伯爵の時の荒っぽい雰囲気が無いのだ

 

「……お前……私達の時代のガープね?」

 

「ご明察。中々の頭の切れだ、褒めてやろう」

 

俺達の時代の!?じゃあこのガープはGS試験のときに現れたガープなのか!?

 

「そこの所を詳しく説明するほど暇ではないし、敵に説明するほど愚かな事もあるまい。ただ神魔よりも私が優れている……それだけで言葉は十分だろう」

 

自信過剰とは言い切れない。それだけの凄みがガープには合った

 

「英霊召喚はやはり未知数だ、まさか自我を取り戻し離反するとは……まぁそれも良かろう。貴重なデータだ、次に行かせばいい」

 

「お前が!お前がアアアッ!!!」

 

ジャンヌさんが怒りに満ちた表情でガープへと駆け出し、剣を振るうが

 

「ふう、聞き分けの無いお嬢さんだ。いや、人形か……くだらない」

 

「っ……あっ……」

 

ジャンヌさんの小さな声がやけにハッキリと聞こえた。すれ違うその一瞬でジャンヌさんの首は宙に舞い、その姿は金色の粒子となり消え去ったのだ

 

「ガープウウウウウウウッ!!」

 

「横島ッ!」

 

蛍の一喝とビンタで怒りに染まっていた思考が一瞬冷える。蛍に張られた左頬を押さえた

 

「落ち着きなさい、ガープがいつもやることでしょ?こっちの精神を逆なでするのは」

 

動揺するよりも、怒りに飲まれるよりも先に冷静になりなさいと美神さんにも怒られる

 

「ふむ、多少は成長したか、ならこれはどうだ?」

 

ガープの目の前に魔法陣が展開される、そこから溢れ出る冷気に猛烈に嫌な予感がした。避ける事は出来ない、ガープが避ける事が出来る様な容易な攻撃をしてくるとは思わない。美神さんも同じだったのか、最後の精霊石を手に取った

 

「精霊石よ!我らを護りたまえ!」

 

「試作機だが、霊波遮断装置起動!!」

 

精霊石のバリアとカオスのじーさんの機械が作動した同時に、魔法陣から巨大な氷柱の雨が放たれた。

 

「なんてパワー!?この時代のガープよりも強い!」

 

「駄目だ、機械がオーバーヒートする!」

 

美神さんとカオスのじーさんの悲鳴にも似た絶叫が結界の中に響く。まるでガラスが割れるような音を立てて氷柱が迫ってくる……それがやけにスローモーションに見えた

 

【横島!呆然とするな!動け!】

 

「横島ぁ!」

 

心眼と蛍の声。そして蛍に突き飛ばされた……尻餅をついた数秒で氷柱は止ったのだが……

 

「あいたた……蛍。あり……蛍……?」

 

力なくもたれかかって来る蛍に血の気が引いた。蛍の背中には3本の氷柱が突き刺さっていて……それは完全に身体を貫通していた

 

「蛍……ちゃん?」

 

美神さんの呆然とした声が聞こえる。嘘だ、嘘だ……こんなの嘘だ。カオスのじーさんに視線を向けるが、カオスのじーさんは力なく目を伏せるだけ……両手を見つめる。そこにはべったりと蛍の血がついていて、蛍が死んだと言う事を俺に教えていた

 

「ははははッ!!どうだね?横島忠夫。これでもまだ冷静でいられるか?お前を護って、お前が好いた女は死んだぞ!!」

 

【横島!駄目だ!冷静になれ!!!】

 

心眼の叫びが聞こえたが、蛍を殺されて冷静になどなれる訳が無い、俺が、俺が悪いんだ。俺が精霊石なら、カオスのじーさんの道具なら大丈夫と一瞬でも思ってしまったから……

 

「あ、あああ……ああああああああーーーーーッ!!!」

 

吼えながらウィスプ眼魂を握り締める。その鮮やかな黄色が漆黒に染まった気がしたが、そんなのはどうでもいい

 

「殺してやる!!!」

 

「やってみろ。お前に出来る物ならな」

 

挑発するようなガープの言葉に、心眼の声も美神さんの制止の声も何も聞こえなかった。蛍を殺したあいつを殺してやる、それだけが俺の考えれる全てだった

 

【アーイッ!ユガンデミナー!トザシテミナー!】

 

漆黒のパーカーが俺の周りを踊るがそれすらもどうでもいいと思った。あいつを殺す、それしか考えることが出来なかった

 

「……変身」

 

【止めろ!横島!!!】

 

最後まで脳裏に響いていた心眼の制止の声を無視し、俺はベルトのレバーを引いた。その瞬間、ガープが何かを投げてきてベルトに中に吸い込まれるようにして消えていった。それが俺が覚えている最後の光景だった

 

【ギガン、シェイド!OK!レッツゴー!イ・ツ・ワ・リッ!ゴースト!】

 

美神は全てを見ていた。黄色のパーカーゴーストが漆黒に染まり、ベルトにガープの投げた狂神石が吸い込まれていくのを……そして狂神石を取り込み、禍々しい姿へと変貌したウィスプを目の当たりにしたのだ……獣の爪を思わせる鋭い突起物が生えた両腕、漆黒のパーカーには血の様な赤いライン、マスクに浮かんだ顔は真紅に染まり、目も口も悪魔のように大きく吊りあがっていた。激しい憎悪と殺意、そして狂神石によって心を閉ざし、歪めた横島。その名は仮面ライダーシェイド シェイド魂 

 

【■■■ーーーーーーーッ!!!】

 

「横島君!止りなさい!!」

 

大きく吼えたその叫びは、既に人の言葉ではなく、獣の咆哮だった。突起物の生えた右腕を地面に突き刺したシェイドは腕を地面から引き抜くと闇が形になったような三日月状の剣が握られていた。美神の叫びも届かない、獣のように吼えたシェイドはガープへと走る

 

「ははははは!!!これで横島忠夫は我らの手に落ちた。くっく!!ははははは!!!」

 

【■■■ーーーーーーーッ!!!!!】

 

狂ったように笑うガープに駆け出していく漆黒に染まったシェイド。

 

「横島君!駄目よ!止りなさいッ!!!」

 

だが美神は届かない。今の横島に声が届くのは死んだ蛍しかいないだろう、そして蛍が死んだ今。誰の声も横島へは届かない

 

「もはや神魔ですら私達を止めるのは不可能。歴史を改変する、横島忠夫を手にした私達を止める術はない」

 

【■■■ーーーーーーッ!!】

 

怒りの咆哮を上げガープに斬りかかるシェイド、そして城を白く染め上げる稲光。それがこの時間の美神令子が見た最後の光景だった……

 

次回仮面ライダーウィスプは!

 

ガープの攻撃によって巻き戻された時間。美神はやり直す機会を得たが、状況は絶望的。仲間はいない、道具は無い……

 

「横島君。これ……持っておきなさい」

 

「良いんですか?」

 

僅かな希望を持って差し出したのはノーフェイスから生み出された漆黒の眼魂だった

 

定められた運命をなぞるかのように繰り返される悲劇

 

変わったのは1つだけ、横島が漆黒の眼魂を手にしているかどうか……それだけだった

 

運命は変わるのか?次回仮面ライダーウィスプ

 

「偉大な眼魂」

 

カイガン!グレイト!!ゴ・ゴ・ゴ・ゴーストッ!!!

 

「命!燃やすぜッ!!!」

 

 

リポート16 竜の魔女 その9へ続く

 

 




原作での横島の死が蛍の死へ代わり、横島が暴走。狂神石によってバーサーク状態へ変貌。これが一度目の歴史、2度目の歴史は新しい眼魂を手にした横島。それが何かを変えるのか?そこを楽しみにしていてください、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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