GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

105 / 232
どうも混沌の魔法使いです。今回は巻き戻ってきた美神の視点で話を書いて行こうと思います、しかし歴史を変えるには余りに難しい状況。そこをどうやって変えていくのかを楽しみにしていてください、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その9

 

 

リポート16 竜の魔女 その9

 

眩い光の中に自分の意識が溶けて行く……幾つ物景色が浮かんでは消えて行き、また浮かんでは消えていく……そして目の前に浮かんで来たある光景。横島君と蛍ちゃんが揃っている……その光景が目の前に浮かんだ瞬間。私は反射的に両腕を2人に向かって伸ばした。私が護らなければいけなかったのだ、その光景を、それなのに私は護る事が出来なかった。目の前でむざむざと破壊されてしまった……そうはさせない、私が護るのだ。自分が溶けて行く中、それでもそれだけは私の脳裏に焼きついて離れなかった。横島君を護り死んだ蛍ちゃんと、狂神石で歪んだ姿になった横島君……それはすべて私の責任なのだから……

 

「美神さん?どうしました?」

 

「大丈夫ですか?」

 

「よ、横島君?蛍ちゃん?」

 

居る。2人が目の前に居る……その事に一瞬呆け。そして振り返る、そこには兜が命中し引っくり返っているヌルの姿がある

 

「あいつがあの程度で死ぬとは思えませんが、何か策はあるのですか?」

 

小馬鹿にした態度はそのままだが、ジャンヌも居る。何が起こっているのか判らず混乱する。夢や気のせいとは思えない、2人が目の前から消えた。その狂おしい喪失感は私の中に残っている

 

(戻って来たんだ)

 

ママも時間移動能力者だった。霊能力は遺伝する……私にも時間移動能力があったんだ。ガープの稲妻の恐ろしいほどの電圧……その破壊力が私の中に眠る時間移動能力を呼び起こしたのだ。だがこれは偶然だ、2度同じ事があるとは思えない、ガープが来る。蛍ちゃんを殺し、横島君を奪いに来る……

 

「横島君。これを持ってなさい」

 

「これ……良いんですか?」

 

はっと息を呑む蛍ちゃん。それはノーフェイスを倒した黄金のライダーが投げ渡した黒い眼魂だ

 

「最悪の場合使う事を許可するわ」

 

「……うっす。理由は聞きません、霊感が囁いているんですよね?」

 

今まで使用禁止所か取り上げている眼魂を渡された。その理由を霊感と尋ねてくる横島君、だけどそれは違う。私は見たからこれを渡したのだ。ガープに対応出来る可能性を持つ武器はこれしかない

 

「それとジャンヌ。ヌルをぶっ飛ばしたら1度下がって欲しいのよ」

 

「下がる?そこに何の「お願い」……はいはい、判りました、下がれば良いのでしょう」

 

強い口調で下がって欲しいとジャンヌにお願いする。氷の散弾、あれは今の私達では防げない。炎を扱えるジャンヌが頼みの綱だ、もしモグラちゃんが居れば違うが、タマモはマリア姫の護衛で送り出した。炎の使い手が居ないのだ

 

「それと心眼。物凄く嫌な予感がするから、周囲の警戒をして欲しいわ。何か探知すれば直ぐに教えて」

 

ガープの事は複製と言っていたが、あの圧力は本物だ。例え本体ではないとしても、私達では勝てない相手に間違いは無いのだ

 

「全員攻撃よりも防御に重点を置いて頂戴。アタッカーはジャンヌに任せるわ」

 

「私をこき使うつもりですか?「あのハゲむかつくでしょ?私達もぼこぼこにして良いの?」……ふふふ……ええ、そうですわね。むかつきますね」

 

なんとなーくジャンヌの操縦方法が判って来た気がする。プライドが高く、そして好戦的。うん、くえすにそっくりだ。だから横島君が仲間に引き込む事が出来たのかもしれない

 

「私の幻術を解除したことはまず褒めましょう。賞賛に値しますよ」

 

起き上がったヌルが先ほどと同じ言葉を口にする。ここからだ、ここからが勝負なのだ。あんな結末にはさせない、私は強い決意を胸にヌルを睨みつけるのだった……

 

 

 

 

 

 

薄れていた意識が急速に浮上してくる。バラバラになっていた私と言う個が再構築され、再び私になる

 

【培養液を排出します】

 

機械音声で繰り返しその言葉が発せられ、液体が排出されていく。ゆっくりとポッドの中から外に出る

 

「……ふむ、こんな物ですか」

 

作り物の体に意識だけをダウンロードする。手足の感覚には若干のズレがあるが、自分自身を使った実験とすればこれは十分な成果だろう。今後自分達の複製体を使って多面的に同時襲撃と言うことも可能になる、弱体化しているが戦闘技能や経験は紛れも無く自分自身

 

「これは面白いかもしれないですね」

 

魔力で服を作りそれを身に纏いながら、今後の作戦として面白いと笑みを浮かべる。本体の能力からすれば、そのスペックは約半分以下。それでも複数体同時に襲撃させれば相手は混乱するだろうし、何よりもその中に本体が紛れると言うことで相手の出足を崩せる

 

(問題は私以外は無理と言うことか)

 

アスモデウスやアスラの脳まで筋肉では、本体と分身の両方で自分を確立する事が出来ないだろう。それを解決できるか、そこが問題になるか……まぁ時間をかければ十分に解決できる問題だな

 

「さてと……久しぶりに合見えるとするかな」

 

GS試験から大分時間が経った。横島忠夫が何処まで使える存在になったか、見ておくとするか……私はそう笑いその場を後にした

 

「げほっ!!ぐっぐうううう!!おのれええええええ……」

 

侮るなと言っていたのにヌルは侮った。その結果がこれだ

 

「恥じるか、だがそれも良かろう。その屈辱が、その怒りがお前を成長させるのだ」

 

だがそれで良い。この結果は判っていた、だからこそ良いのだ。人間の脅威を学んだ、これでヌルはより成長する

 

「これはこれは横島忠夫、美神令子。こんな時代で合間見えるとはね……時空移動能力。これはレアな能力だな……」

 

驚愕に顔を歪める横島達。ただ美神令子だけは恐ろしいほどに殺気を放ち、私を睨みつけてくる

 

「……お前……私達の時代のガープね?」

 

鋭い目線を向けたまま私の正体に気付く美神令子

 

「ご明察。中々の頭の切れだ、褒めてやろう」

 

この時代の私と遭遇しているのにそれに気付くとは……中々頭が切れるじゃないかと笑う

 

「そこの所を詳しく説明するほど暇ではないし、敵に説明するほど愚かな事もあるまい。ただ神魔よりも私が優れている……それだけで言葉は十分だろう」

 

他の神魔では辿り付く事の出来ない領域に私は辿り着いた。それが事実、それ以上の言葉は必要ない。

 

「英霊召喚はやはり未知数だ、まさか自我を取り戻し離反するとは……まぁそれも良かろう。貴重なデータだ、次に生かせばいい」

 

横島達の側にいるジャンヌを見てそう笑う。まさか自我を完全に崩壊させ、憎悪と復讐心だけを与えたと言うのに……まさか自我を再構築し離反するなんて想像もしていなかった

 

「お前!お前がッ!!!」

 

激昂し私に駆け出そうとしたジャンヌの腕を美神が掴んで止める

 

「挑発よ。乗るんじゃないわ」

 

「ぐっ……く!!」

 

ジャンヌを止めた。そして私の挑発と言うことも読みきった……それには少しばかり驚かされたが、正直問題のあるレベルではない。ジャンヌの攻撃力は確かに神魔に匹敵する物に強化しているが、それでも脅威か?と言われるとそうでは無いからだ。力があっても技術が無い、それが所詮農村の生まれ神託を聞けるだけの小娘をベースに持つ竜の魔女の限界だ。当たらない攻撃など脅威とは程遠い

 

「ここからはヌルに代わり私が相手をしてやろう。ここで私を倒せば、未来が変わるぞ?この首欲しくは無いか?」

 

まぁ絶対に不可能だがなと笑い、私はステッキを剣に見立て構えるのだった……

 

 

 

 

「お前達が欲して止まないアスモデウスの参謀の首だぞ?死ぬ気で取りに来なくていいのか?」

 

ガープが笑いながら挑発を重ねる。それは自分が負けないと言う傲慢とも取れる自信から来ている

 

「これだから神魔なんて冗談じゃないわ!破魔札も何も通用しないんだから!」

 

美神が激昂して叫ぶ。こちらの攻撃はほぼ無効、それに対して向こうの攻撃は掠りでもすればそれだけで致命傷。アンフェアにも程がある

 

(強い……)

 

ノア領主の城で戦ったガープよりも数段上だ。直接的な戦闘力に変わりは無いとしても、時間が過ぎる事で研磨された実力は横島が退けたガープよりも上だ……しかも精神面が大きく成長している。あの城で対峙した時のような荒っぽさが無く洗練された精神力にはとても付け入る隙など見当たらない……単純に言おう。勝てるイメージが沸かない、どう足掻いても死ぬ映像しか見えない

 

「横島忠夫。お前には顔を殴られた、その借りをきっちりこの場で返しておこう。なに顔を殴り等しないさ、その首を貰おう」

 

地面を蹴り恐ろしい勢いで疾走して来るガープ。無駄だと判っていても精霊石の銃弾を放つ霊波銃の引き金を引く

 

「無駄だ」

 

銃弾をステッキで両断したガープの足が一瞬止まった。瞬きほどの一瞬だが、ガープの足が止ったのだ。だが次の瞬間には走り出し横島の前に移動していた……だが精霊石の銃弾で止った一瞬。その一瞬は非常に大きい物だった

 

「「「こっのお!!」」」

 

横島に向かって振り下ろされたステッキをジャンヌ、蛍、美神の3人がかりで受け止め弾き飛ばす。その威力に3人が後に押し込まれるが、それでも致命傷は避け防いで見せた。ガープは舌打ちし、地面を蹴り大きく距離を取り詠唱に入る

 

(なんだ、なんだあの違和感は……)

 

その光景を見て私は妙な違和感を感じていた。仮にも最上位に位置する神魔が精霊石で動きを阻害されるとは思えない、そもそもソロモンの悪魔は元々天使である。天使であり、悪魔。光と闇を内包する上位種族だ。神魔の中でもその強さは紛れも無くトップクラス……それが精霊石如きで動きを止めるか?

 

「氷の散弾!」

 

展開された魔法陣から恐ろしく巨大な氷の氷柱がマシンガンのように放たれる

 

「ジャンヌ!炎!!横島君はフォローして!」

 

「言われなくても!!!」

 

ジャンヌが旗を突き立てると、それを起点にして炎の壁が現れる。それを更に横島が陰陽術で強化する、圧倒的とまで言える火力は氷の氷柱を溶かしていく。だが完全には溶かしきれていないが

 

「これなら弾けるッ!」

 

炎の壁を突きぬけ、勢いも大きさも半分以下になっら氷柱を弾く事は容易だった。美神と蛍が氷柱を迎撃しているのを横目に私はガープに対して感じた違和感を考えていた。この違和感の正体を知ることが、ガープの攻略のヒントになるのではないか?

 

地獄炉停止による魔力の枯渇 否 ヌルとは元より別格の神魔。地獄炉の影響など微々たる物

 

こちらを警戒している 否 横島忠夫に強い興味を持っているようだが、それ以外に対した反応は無い そもそも人間を神魔が恐れる必要は無い

 

精霊石に弱い 否 元は天使が精霊石に弱い訳が無い。多少の不快感はあるだろうが、そんな物は微々たる物であろう

 

「カオス!?なに考え込んでるのよ!そんな暇があったらこっちを手伝ってよ!」

 

「黙ってろ!今何か閃きそうなんだ!!」

 

美神の怒声に負けない怒声で怒鳴り返した時、漠然としていた違和感が形になり始めた

 

(何故追撃しない?)

 

氷の氷柱が通用しないのは判っている筈。それなのに氷柱はいまだに発射されている。ガープほどの魔力の持ち主が魔法を1つしか使わない、これもおかしい。同時に2~3種類の魔法を展開出来てもおかしくは無い……それに魔神形態ではなく、人間の姿を取っている。何故弱体化する人間の姿で戦う?ノア領主の城で戦った時は恐らく人間界で活動する限界で人間だっただろう。だが英霊召喚まで辿りついた未来のガープが自分の時間制限を解除する方法に辿り着かない訳が無い。そして何よりもこうして私が考え込んでいる時間がある。それがおかしい、あれほどの神魔が相手だ、本来ならこうして考えている時間などある訳がない

 

「そうか!判ったぞ!!」

 

精霊石で立ち止まった理由も、魔法が単発的なのも、その理由が判った。私は精霊石の銃をガープに向けながら

 

「その自信満々な態度に騙されたよ。お前人形だな?」

 

その余裕タップリな話し方と圧倒的な戦闘力に完全に騙された。恐らくあのガープは本体ではない、意識は本体ではあるが身体は偽者だ。ジャンヌを人形と挑発したのは、その火力により人形を破壊される事を恐れたから奇襲で仕留めようとしたのだ

 

「カオスのじーさん!?人形ってどういう事だ」

 

「は!人の事を人形って言っておきながら自分も人形なんて笑わせてくれますね」

 

「簡単だ、魔力を注ぎ込み作り上げる複製。ホムンクルスの技術の応用、ゴーレムやガーゴイルを作るんだ。ホムンクルスの技術も確立させているだろう」

 

要人に化けさせたホムンクルスで、人間社会を混乱させる。そんな一手も打てるはず、恐らくマリア姫の父王を監禁していたのはそのデータを得るためだろう

 

「待って、もし本体だったらどうするんですか」

 

「無いな」

 

蛍の慌てた声に無いと即答する。もし本体ならば人間にここまで馬鹿にされて黙っているわけが無い、そしてもう1つ

 

「ガープが降臨していれば、この城が消し飛んでるわ」

 

未来から本体が直接降臨していれば、その魔力の余波でこの城は消し飛んでいる。それが判っているからこその言葉だ

 

「ふっふふふ!ははははッ!!!いやいや素晴らしい、素晴らしい頭脳だよ」

 

ガープが上機嫌に笑いながら拍手を始める。だがその眼は全く笑っておらず、私を睨みつけている

 

「優秀な人材と言うのは神魔であれ、人間であれ素晴らしい。人材とは宝、無能な味方は敵にも劣る。あのベルゼバブのような屑はその筆頭だ、物は相談なんだがね?君達をこちらに迎え入れる事が出来ると言えば……うんっと言ってくれるかね?」

 

これはただのリップサービスだ。ガープの眼には殺意が込められている、味方に迎え入れるつもりなど微塵も無いのが手に取るように判る

 

「俺はお前が嫌いだ!」

 

「残念交渉不成立だ。ならば……お前達を死体にして連れて帰ろうか」

 

ガープの身体が膨大な魔力が放出し、その姿を作り変えていく……だが、それは醜悪な姿をしていたくすんだ銀色の身体に、崩壊しつつある翼……伝承のガープの姿とは程遠いのだが

 

「……何故……ですか」

 

「お前を連れて帰るより、あの人間の方が有益だからだ」

 

ヌルの身体にガープの尾が突き刺さり、その身体を分解し吸収する。そこまで評価されたのはありがたいが、正直冗談ではない。僅か、身体の2割ほどだが、金色になった部分がある。それはガープ本来の神性を手にしたという事だ

 

「ずいぶんと良い男になったみたいね」

 

美神の皮肉にガープは楽しそうに笑う。だがその威圧感は先ほどよりもはるかに高い

 

「どなしよ、俺のせいか?」

 

「違うわよ、アレはガープの挑発。断っても、受け入れても結果は同じよ」

 

【悪辣な男だ、アイツの言葉は気にするな】

 

横島が動揺しているのを見て蛍と心眼がフォローする。良いチームだ、横島は確かに基点となる。若く、暴走する事もあるが柔軟性にも知識にも長けている。これからの成長が楽しみだ、微笑ましい物を見た気がして一瞬気が緩んだ……

 

「ぐっふう」

 

「カオスのじーさん!?」

 

ガープの手が光ったと思った瞬間。何かに吹き飛ばされる、何がと手を胸に当てて、その手が鮮血に染まっているのを見て

 

(不覚)

 

私はやはりどこまで言っても科学者なのだ、そんな男が良くここまで戦況をかき乱し、そして状況を変えた。だがそれが限界だった……気を緩めてはいけない所で緩めてしまうとは……不死ではあるから死にはしないが駄目だ。意識を保つ事が出来ない……私の意識は闇の中に沈んでいくのだった……

 

 

 

 

ガープの放った霊波弾でカオスのじーさんが吹き飛んだ。胸に風穴が開き、口から血を吐き出している姿を見て死ん……

 

「横島。大丈夫、ドクターカオスは不死よ。回復するまで動けないだけよ」

 

だから今は集中してと言う蛍の言葉に振り返るのを堪え、ガープを睨みつける

 

「やれやれ、お前は良い味方に恵まれているよ。私の仲間は脳味噌まで筋肉の連中で困る」

 

気は良い奴らなんだがなと肩を竦めるガープ。人間のような仕草だが、油断など出来る訳が無い……俺は懐の黒い眼魂に手を伸ばす

 

(まだ早いわ!向こうは複製の身体で魔神形態になってるから時間を稼げば自滅するのよ!)

 

だから無理をする必要は無いと蛍は言う。だが俺はそうは思わなかった、何か、何か嫌な予感がするのだ。胸を締め付ける狂おしいまでの焦りが俺に言うのだ……戦えと……

 

【落ち着け横島。冷静になるんだ】

 

心は熱くても、頭は冷ややかにそれが戦いの鉄則だと心眼にも注意される。

 

「この姿になった以上この複製体は数分も持たぬ。だから全力で遊ばせて貰うぞ、抗ってみろ」

 

ガープの姿が掻き消えた。一瞬超加速と思ったが、違う。

 

「横島君!後!」

 

美神さんの声に反射的に横っ飛びする、すると銀色の光が俺の居た場所に突き刺さっている。それはガープの拳、反撃を繰り出そうと思った瞬間には既にガープの姿は掻き消えている

 

「集まったら駄目!相手は魔法使いよ!纏まれば一網打尽にされる!」

 

蛍と美神さんの元へ走ろうとした瞬間。美神さんの怒声に止められた

 

「ちいっ!鬱陶しい!」

 

ジャンヌさんのイライラした声が耳に届く、致命傷には程遠いが一撃一撃を的確に叩き込まれ。その顔には激しい苛立ちの色が浮かんでいる

 

「蛍!後!」

 

銀の閃光が蛍の背後に走る、それを見た瞬間。蛍の名前を叫んでその華奢な身体を突き飛ばす。2人でごろごろと石の床を転がる

 

「ご、ごめん!横島!」

 

「怪我が無いなら良い!」

 

速い、あの速度の攻撃を喰らえば致命傷だ。しかも魔法使い……魔法……使い?待て、何で魔法使いが拳で戦う?おかしい、おかしいじゃないか。修行の時の神宮寺さんの言葉を唐突に思い出した

 

『魔法使いが詠唱するって言うのは偏見ですわ。確かに詠唱は行いますが、魔法陣で発動させる事も出来るのです。魔法で地面に魔法陣を刻み、そしてそこから魔法を放つ。そういう戦術も魔法使いの戦略なのですよ』

 

だから魔法使いと戦う時は本人だけじゃなく、その周辺も見る事です。その言葉が脳裏を過ぎった

 

「美神さん!足元の破壊跡を壊してください!」

 

間違いない。拳で戦うのは地面に魔法陣を刻んでいるのだ、速度と攻撃力で脅威と思わせる。そして地面から注意を逸らし、大きな魔法を使う。これだ

 

「……ッ!魔法陣!」

 

美神の判断が遅れた事を責めるのは酷と言う物だった。現在で魔法使いの数は少なく、更にそれを実践レベルで使用出来るのはくえすを含め、5人にも満たない。魔法使いと戦う経験などある訳が無い、そしてガープが真っ先にカオスを潰した理由。それは錬金術師であり、魔法使いのカオスが真っ先に気付く、そう判断しカオスを真っ先に潰したのだ

 

「惜しいな。気付くのが少しばかり遅かった」

 

ガープが指を鳴らすと魔法陣が光り輝き、そこから血の槍が無数に現れ全方位から横島達に殺到する

 

「防げるか?ははは、防いで見せろ。さもなくば死ぬだけだ」

 

高笑いするガープに憎まれ口を叩く余裕も無い、両手に栄光の手を作り自分に向かってくる物を必死に撃退する

 

「邪魔よ!」

 

ジャンヌさんは右手に旗、左手に剣で恐ろしい数の槍を打ち落としているが、それでも打ち落とす以上の槍が魔法陣から現れ、ジャンヌさんを完全に足止めする

 

「横島君!蛍ちゃん!自分を護る事だけに集中して!」

 

美神さんの怒声に蛍と声を揃えて判りましたと返事を返す。だが槍の勢いが凄まじい、そう指示を出されなくても自分の事で手一杯だった……

 

【斜め後ろと前からだ!霊力を放出しろッ!】

 

自分の判断と心眼の指示。自分で考えつつ、心眼の指示にも従う。極限の集中状態の中俺は見た……美神さんと蛍が打ち落とした槍が再び浮き上がるのを、声を出す。間に合わない、陰陽術それも間に合わない……2人が背後から貫かれる。その未来が脳裏を過ぎった瞬間

 

「届けええええッ!!!」

 

左手で自身に向かってくる槍を弾き飛ばしながら、右手を伸ばす。手のままでは駄目だ、届かない。切れ、切り捨てろ。伸びていた栄光の手が変化し、剣の形となる。鋭い音を立て槍が両断され落ちる、呆然としている美神さんと蛍。2人が無事だった、それに安堵した瞬間

 

「お前は自分よりも他人を優先する。そうすれば隙を見せると判っていた」

 

背後からガープの声が聞こえた。どうして!?目の前に……上空のガープの姿が幻のように消える。

 

【げ、幻術だと!?……避けろ!横島!】

 

「さよならだ。お前は私が有効に使ってやろう」

 

ガープの振り下ろした杖がスローモーションに見える。だが俺の体は動かない……避けれないスピードではないのに……横島は知る由も無い。高位の神魔はその言葉ですら強い力を持つ、声を掛けられた。それだけで横島の霊体は麻痺し、その自由を奪っていたのだ

 

「横島!」

 

「じゃ、ジャンヌさん?」

 

殺される。そう思った瞬間、ジャンヌさんが槍に突き刺されながら俺の方に走ってきて俺を突き飛ばす。そしてガープの振り下ろした杖に切り裂かれながら、その両肩を掴み

 

「燃えろぉッ!!!!」

 

「ぬ、ぬおおおおおおおお!?」

 

全身から炎を吹き出し、ガープの身体を燃やす。ここで戦い始めて初めてガープが出した苦悶の声、だがそれはほんの一瞬だった……ジャンヌさんの身体を吹き飛ばし上空に逃れるガープ……俺は弾き飛ばされたジャンヌさんを抱きとめ

 

「な、なんで!?」

 

「……私の味方って言ったじゃない……先に死ぬなんて……馬鹿じゃないの。味方が先に死んで……どうすんのよ」

 

馬鹿じゃないのと言いながらも、穏やかな顔で笑ったジャンヌさんの手が力無く地面に落ちる。

 

「ガープ!!!」

 

Gジャンの中から黒い眼魂を取り出す。時間で自滅するといっても、その時間まで耐えることなど出来ない。倒すしかない

 

「心眼。これしかない」

 

【……】

 

心眼は俺の言葉に返事を返さず、無言でベルトを召喚する。心眼もこれしかないと判っているのだ、俺にどれだけ負担が掛かろうとも、眼魂を使わなければがープを退ける事が出来ないとわかっているのだ

 

(チビ、美神さん達を頼む)

 

ポケットから飛び出し美神さんと蛍の元へ飛ぶチビ。チビの電撃なら、あの槍を迎撃出来る筈だ。心配そうに1度振り返り、美神さんの元へ飛ぶチビを背後に隠し、ガープを睨みつける

 

「見せてみろ。お前の力を、私はその力が見たい!神魔をも超える力を!人間など恐れるに値しない!だが貴様は別だ!横島忠夫!貴様は人間達のジョーカーとなりえる!その力の底を私に見せろ!!」

 

「後悔しやがれ、この野郎」

 

【アーイ!ガッチリミナー!ガッチリミナーッ!】

 

ベルトに眼魂を押し込む。すると黒を基調にしつつ、金色の兜を被ったようなパーカーが俺の周りを踊る

 

「横島君!」

 

「横島!」

 

蛍と美神さんがこっちに走ってこようとするのが見えるが、ガープが指を鳴らすと氷の壁が現れ2人を遠ざける

 

「邪魔者は不要。私はお前の力が見たいんだ、見せてみろ!神魔を超える力を!!!」

 

「変身!」

 

レバーを力強く引くと、ベルトから15の光球が飛び出し、黒いパーカーがその光が作り出した輪を潜りながら向かってくる

 

【カイガン!グレイト!15の英雄!結集!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!】

 

黒いパーカーを装着すると同時に15の光が胸に吸い込まれて消える。ウィスプや韋駄天の比ではない力が全身に漲る

 

「命!燃やすぜッ!!!」

 

俺は力強く叫ぶと、ベルトから飛び出した2振りのガンガンブレードを手にガープへと駆け出すのだった……

 

 

 

次回仮面ライダーウィスプは!?

 

横島が手にした新しい眼魂。その脅威の能力を持ったとしても、ガープには届かない。確かにその力は複製のガープを遥かに超えていた……

 

「くっ、くそおっ!」

 

「どうした?もう終わりか?」

 

グレイトは横島には強すぎた力だった。その力を制御しきれず空回りを続ける横島……

 

「足りないな。お前の力の底を見せろと言ったんだ」

 

これは私の見たいものではない、そう呟いたガープが美神と蛍を傷つける

 

「ガープウウウウウウウ!!!」

 

「そうだ!怒れ!もっと憎め!」

 

怒りにより力を強引にコントロールする横島。だがそれはガープの計算通りの結果だった……憎悪と怒りに飲まれ再び闇に染まろうとするウィスプ……彼を呼び戻す者は!?

 

「……ったく……おちおち……寝て……も……いられ……ない……じゃない……」

 

次回「竜の魔女」

 

「振るえよ反旗!竜の魔女!!!」

 

 

リポート16 竜の魔女 その10へ続く

 

 




グレイト眼魂。ゴーストで言う、闘魂ブーストに該当します。マスタードラゴンではない、正規の中間フォームです。イメージとしては劣化グレイトフルと言う感じですね、次回はその能力と戦闘シーンを書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。