GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート16 竜の魔女 その11
戦闘の疲れとジャンヌの消滅と言う衝撃的な光景に横島君は泣き疲れたのか、気絶するように深い眠りに落ちてしまった
「とりあえず、城から出ましょう。あれだけの戦闘ですもの……いつ倒壊してもおかしくないわ」
「……そうですね」
複雑な表情で立ち上がる蛍ちゃん。横島君があそこまで泣き崩れた、それが敵であったはずのジャンヌだったからのこの複雑な表情だろう
「色々思うことはあると思うが早く出よう。何が起きるか判らない、調査に戻るにしろ1度準備を整える時間が必要だ」
意識を取り戻したドクターカオスが気絶している横島君を背負い。早く出ようと声を掛けてくる
「判ってるわ。蛍ちゃん、行きましょう」
「……っはい」
何か考え込んでいるような素振りを見せる蛍ちゃんの背中を押して、ボロボロのガーゴイル製造工場から出ようとした時
(あれは……)
ジャンヌが消えてしまったのに唯一残っていた黒い旗。今にも崩れ落ちそうな床の上に落ちているのを見て、私は慌てて駆け寄りその旗を手に城を後にするのだった……
城を脱出した所で隠れていたマリア姫達。それがとてもありがたかった特にうりぼーの存在が大きかった。私達の疲労具合を見ると即座に分裂し、巨大化。そして私達を乗せて森の中の砦まで引き返してくれたのだ……
「城を取り返し、そして父を助けれくれた事。深く感謝する、ありがとう」
一晩明けたが、まだ霊力の消耗でフラフラしていたがマリア姫の感謝の言葉になんと返事をしたら良いのか?私も美神さんも悩んでしまった。全力は尽くした、だが今回もガープを退けたのは横島であり。私達は目立った活躍をしていない、それが胸に引っ掛かりどうしても砂に返事をすることが出来なかったのだ
「美神も蛍もまだ考えている事がある。感謝の言葉を口にするのは少し早いですよ、マリア姫」
「そ、そうか……そうだな……元の時代に戻るという事もあったか……」
返事に困っている私達を見てドクターカオスが助け舟を出してくれた。確かにもとの時代に戻る手掛かりを見つける必要がある……マリア姫もそれもそうだなと頷いてくれた
「私達は城の調査を始めます。早くマリア姫が城に戻れるように尽力しますが、最悪の場合も考えてください」
最悪の場合……それは城の放棄だろう。マリア姫は明らかに気落ちした様子だが、判っていると返事を返し
「まだまだ苦労をかけますが、どうかよろしくお願いします」
私達に向かって深く頭を下げるのだった……意識をまだ取り戻さない父親の事もあるのに、そんな弱さを見せないマリア姫に私はこの人はなんと強い女性なのだろうと思うのだった……
「ぴぎい!ぷぎー♪」
「あ、美神さん、蛍。おかえりなさい」
大事を取って部屋で休んでいるようにと美神さんに言われていた横島だが、うりぼーの前足を持ってうりぼーを二足歩行させていた……うりぼーがめちゃくちゃ楽しそうだけど……あれ大丈夫なのかしら?
「今から城の調査に向かうわ。マリア、横島君の調子は?」
「全く問題ありません。恐らく、美神さんや蛍さんよりも絶好調だと思われます」
変身していたのに?と言う疑問は残るが、マリアの診察結果なら嘘は無いだろう。それにジッとさせているとジャンヌのことばかりを考えて悪循環になるかもしれない
「じゃあ横島君も同行してくれる?無理そうなら無理って正直に言ってくれたら良いわ」
美神さんの問いかけに行きますと即答する横島、その姿は妙に切羽詰っているように思えた……そんなことを考えながら準備を整えている横島の背中を見つめていると、ふと脳裏にジャンヌの姿が浮かんだ
(私に似てたな……)
姿の事ではない、その在り方が、その死が……その存在が実に私に似ていたと思う。消えてしまわなければ案外気があったんじゃないか?と思うほどにだ……
「横島君。ジャンヌの旗だけど……マリア姫様が恩人の旗ってことで大事に保管してくれるって」
「……そうですか……良かった。流石に俺の家には飾れないですからね」
確かに竜の魔女としては引き受ける事は出来ないが、恩人のジャンヌとしてならばその遺品。我が名に置いて預かろうと約束してくれたマ
リア姫様。最悪の場合持ち帰るつもりだったけど、ドクターカオスもいるしきっと現代まで無事に保管されると思う
「あの旗さえ残っていれば、また会えるかもしれないわ」
英霊召喚の触媒として、本人の遺品ほど確かな物はない。それに眼魂もきっと強力な触媒になると思うわと励ますように言う美神さん
「そうですね。また会おうって約束しましたから……また会えるって言う希望になりますよね」
寂しそうに笑う横島の姿に短い間だが、ジャンヌの存在が横島にとってとても大きな存在だったのだと判り。胸が痛んだ……そんな事を思
ってはいけないと判っているのに私とどっちが大事っと聞いてしまいたいと思う自分が居て
「じゃあ行きましょう。早く現代に戻る術が見つかるといいわね」
このまま黙っているのが辛く、横島と美神さんに声を掛け、城に向かって出発するのだった……
(なんとも複雑な……こんなのばっかりね)
どうして横島君の周りの恋愛沙汰ってこんなに重いのばっかりなのかしら?横島と蛍の様子を見ていた美神は疲れたように深く溜息を吐くのだった……
マリア姫様の城に戻って来た俺がどうしても気になっていたのは、銀のワイバーンがくれた卵の事だった。2階の大広間に置いてあるその卵を何とかして回収したいと思ったのだ
「ふむ、悪魔などの気配はなしか……となれば、私と美神と蛍でゴーレム製造プラントの捜索。マリアとタマモ達と横島で1階、2階の捜索とするほうがいいか」
カオスのじーさんが何かの機械を操作しながらチーム分けの提案をする
「戦力をそんなに片方に集めるの?」
「1階や2階は大して拠点として改造されているわけじゃない。改造されているのは玉座の間周辺だけだ。横島、玉座の間には足を踏み入れるなよ?捜索は1階と2階だけだ」
カオスのじーさんの言葉に判ったと返事を返す。2階の大広間に行きたかったので、地下の捜索に割り振られなくて良かったと安堵する
「製造プラントの捜索が終わったら、2階の大広間に向かう。そこで合流して玉座の捜索を行おう、美神も蛍も異論は無いな?」
美神さんも蛍も危険な地下より安全な上の階層の方が良いと判断したのか、それで大丈夫と返事を返す。そして俺とマリアとタマモ達は1階、2階の部屋の捜索、美神さんと蛍とカオスのじーさんは地下へと判れ、マリア姫様の城の捜索を始めるのだった……
「横島さん。こちらは大丈夫です、どうぞ」
「ありがとう、マリア」
銃を手に通路などを警戒しているマリアが大丈夫ですと声を掛けてから、通路を進む。うりぼーはやや大きくなって匂いを嗅ぎながら歩いている。敵の匂いを探しているのだろう
「……まぁ製造プラントが潰れてるから悪魔やゴーレムの追加は無いと思うけど……警戒に警戒をすることに越した事はないわよ」
俺の隣にぴったりついているタマモ。別にそこまでしてくれなくても大丈夫だと思うのだが……
【いや、安心するには早い。後遺症がないのが心配なんだ】
「……ま、まぁ今までのことを考えればそうかなあ
変身すれば今まで何らかの後遺症が出ていた。それが無いから心配なんだという心眼そこまで言われると俺も強く出ることが出来ず、2人に護られながら城の捜索を続けるのだった……
「心眼。ワイバーンの姿が無いのは何でだ?」
ゴーレムやガーゴイルの残骸はあるのにワイバーンの姿はない。なんでだろうと思い尋ねる
【恐らくジャンヌが召喚した存在だからだろう、召喚主が消えれば召喚獣は消える】
消える……その言葉に俺が貰った卵も消えてしまったんじゃないか?と言う不安が募る。
「1階は何も無さそうだから2階へ行こう」
卵が心配で2階へ行こうとタマモとマリアに提案する。2人とも今まで調べて何も無かったから、俺の意見を聞いてくれ3人と2匹で2階へ続く階段へ足を向けた
「ここが横島が閉じ込められていた大広間か……思ったより広いわね」
「ですね。敵の気配もないですし、散会して調べましょう」
ワイバーンの住処となっていたので荒れ果てている大広間を見て、タマモとマリアが散会して調べようと言った。これはチャンスだと思い
「じゃあ俺はあっちを調べる。うりぼー、チビ、行こう」
「みむう!」
「ぴぎい!」
元気良く返事を返すチビとうりぼーと共に大穴が開いている場所へと走るのだった……
「良いんですか?タマモさん」
「良いんじゃない?横島が何か気にしてるみたいだし、あんまりそわそわされると心配でしょうがないわ」
大広間になにかあり、それを横島が回収しようとしている。それが何か判らないが、横島の意思を尊重したいタマモとマリアは横島を止める事無く横島を送り出していたのだった……
「あった……よかったぁ……」
ジャンヌさんもワイバーン達も消えてしまった。だけどあの卵は俺がいた場所に確かに存在していた……卵に駆け寄り抱き抱える。触れる事が出来る……俺はその場に座り込んで卵を胸の中にしっかりと抱え込み
「ちゃんと孵化させてやるからな……」
美神さんや蛍が怒るかもしれないが、それでも俺はこの卵を……ドラゴンの卵を孵化させると強く決意した。このドラゴンの卵が孵化すればジャンヌさんにまた会えるかもしれないという希望になるから……
「何も言わないのか?」
【言えんよ。私もジャンヌとあのドラゴンは嫌いじゃなかった。お前を護ろうとしてくれたからな】
心眼の言葉にありがとうと呟き、あらかじめタオルや古い布などを詰め込んだリュックの中に卵を丁寧に入れるのだった……
「横島君。何かあった?」
美神さんの俺の名前を呼ぶ声にびくっとし、振り返るとカオスのじーさんと美神さんと蛍の姿があり
「いえ、特に何も無かったですよ?」
自分でも声が震えてないことに安堵しつつ返事をすると、3人の視線が一瞬鋭くなるが……
「ま、それなら良いわ。これから玉座の間の捜索を始めるから移動するわよ」
「地下は特に何も無かったし、何かあるとすれば王座の間だと思うわ」
美神さんと蛍の言葉に判りましたと返事を返し、俺はリュックを丁寧に背負いなおし、美神さん達の後を追って歩き出すのだった……
((またなんか拾ってる))
なお美神と蛍は横島が何かを隠しているのに気付いていたが、出発前の切羽詰った雰囲気が無くなっていたので、仕方ないと黙認し、横島が自分から言い出すのを待つ事にするのだった……
先ほどから感じていた頭痛が強まって来た……それに伴い記憶が書き換えられていく不快感が強くなる
「それで?過去で横島達に会っているとはどういう事ですか?」
「そのまんまじゃよ。横島達はワシが若い時代にタイムスリップして来ていたと言うことじゃよ」
目の前で殺気むき出しの神宮寺に苦笑する。この少女の横島に対する執着心は凄まじい物がある、これは最早執念などに近いかもしれない
「……それで横島達は戻ってくるのか?」
「戻ってくるとも、ワシはちゃんと送り返した」
横島達とマリア姫様の城の点検を行い、問題が無い事が判ってから美神達をちゃんと現代へ送り返した。確か、横島と美神から受け取った
ブラドー伯爵への手紙を持って1度あいつの所にも戻ったらしい……記憶の書き換えなので確信はないが
(後でまたすり合わせに行くかの)
生き証人はワシとブラドーだけ、また記憶のすり合わせに行かないと行かんなと思いながら、案ずる事はないと言う
「もう直ぐ帰って来るじゃろ?」
おキヌが用意してくれたお茶を啜っていると、黒いワームホールが現れる。とっさに身構える神宮寺達だが
「うりぼー!がんばれー!あと少しだ!」
「ぴ、ぴぎゅうううッ!!!」
ワームホールの奥から聞こえてきた横島とうりぼーの鳴き声に警戒を緩める。しかし何が起きているんじゃ?と見つめていると
「ぷっぎいいいいッ!!!」
うりぼーが何かを咥えてそれを引っ張っていたのだと判った。うりぼーとうりぼーが引っ張っていた台車の上の横島達が姿を見せるとワームホールが跡形もなく消え去った……
「うりぼー!お疲れ様!良く頑張ったなあ!」
「ぴぎー……」
台車から飛び降りて、うりぼーの顔辺りにしゃがみ込み、頑張った頑張ったと頭を撫でる姿は余りに自然体で、一瞬硬直した神宮寺達が再起動するのに十分な姿だった
「横島、良かった。無事だったのですね」
「……横島。良かった……お帰り」
【横島さーん!おかえりなさいいいいい!!】
「わわわ!ちょっと待って!ちょっと待って!リュック!リュックを下ろさせて!」
横島の姿を見るなり駆け寄る神宮寺とシズク、そしておキヌの姿。そしてリュックを下ろさせてくれと叫ぶ横島に苦笑しながら、台車から立ち上がろうとしない美神と蛍に足を向ける
「大丈夫じゃったか?」
「酷い目にあったわよ……」
台車の上で疲れた様子の美神達。その後には大量の霊具が詰め込まれている、それは現代では作る事が出来ない稀少な霊具の数々……過去の自分がこれからの美神達の戦いの事を考えて持たせたのだろう。その配慮に感謝しているとマリアが台車から降りてきて
「ドクターカオス。これを……」
「これ……は」
マリアが差し出したのはマリア姫様が死ぬ前に返した、彼女の騎士であるという証明の指輪とそれと対になるマリア姫の指輪だった……
「マリア姫様から伝言です。例え貴方がどこにいようと私の心は貴方と共に、そして貴方はどこにいても私の騎士様です……っと」
マリアから差し出された指輪を両手で握り締める。それは過去ではマリア姫の葬儀と共に消滅した物……ワシはもう会う事は出来ないから……ワシがそこにいたという証明としてマリア姫様の葬儀に共に埋葬して欲しいと彼女の子孫に渡した物……
「ありがとう、マリア」
歴史改変の不快感はこの指輪で消えてしまった。その指輪を大事に胸ポケットにしまう……まさかこんなサプライズがあるなんて思っても居なかった……大事に、大事に持っていよう。彼女の存在を忘れないために
「姉さん……良かった……無事で」
「大丈夫ですよ、テレサ。心配してくれてありがとう」
マリアに抱きつくテレサの背中を撫でるマリア。色々と記憶と異なる事は起きていたが、無事に全員戻って来て良かったと安堵する
【ん?んん?……】
横島達が消える前に拾ってきた老紳士の幽霊がゆっくりと身体を起こす。その深い青色の瞳に思わず寒気を感じた……危険な存在だとワシの本能が目の前の幽霊の危険性を感じ取っていた
【はて?美しいお嬢様たちがこんなに……ここは天国なのカナ?】
やや訛りのあるのある日本語を口にした幽霊は軟派な事を口にした後に
【所で誰か私の名前を知ってる人はいないカナ?私は……私の名前……いや、そもそも私が誰か知らないカネ?】
胡散臭い笑顔を浮かべ、私の名前を知らないか?と尋ねてくる幽霊……いや英霊
「どうもまた面倒ごとが始まりそうじゃな?」
「……過去から戻ってきたばかりなのに……」
がっくりと肩を落とす美神にどんまいと声を掛け、ロマンスグレーの幽霊に警戒の視線を向けるが……
「爺さん、名前判らないのか?大変だな」
「みむーみみーむ?」
「ぴぎー!」
【そうなのだよ、ボーイ】
警戒心ゼロで、うりぼーとチビ、そして眠っているタマモを抱き抱えながら話しかける横島に事務所の中に居る全員が深く溜息を吐くのだった……
別件リポート 変わる現代
今回はやや短めでした。書きたかったのが「ドラゴンの卵」を回収する横島だったので、そして事務所で目覚めた老紳士……一体なに教授なんだ……?次回は別件1で記憶が書き変わったブラドー達。別件2で神魔の話を書こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い