GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
別件リポート 変わる現代
横島達が無事に現代に帰ってきた翌日。ワシはいつの間にか郵便受けに入れられていた美しい装飾が施されていた封筒を手に、唐巣の教会を訪れていた
「ドクターカオス。いらっしゃい、どうかしましたか?」
「ブラドーは居るかの?話に来たんじゃが?」
ワシを出迎えてくれた唐巣にブラドーはいるか?と尋ねると人のいい笑みで笑い
「居ますよ、今から私はピート君とシルフィー君を連れて除霊に出ますのでゆっくりして行って下さい」
「うむ、おぬし達も気をつけてな」
最近何があるか判らんからなと唐巣達に声を掛け、ブラドーの部屋へ向かう
「カオスか……横島達はやったのだな」
その一言で理解した。ブラドーもまた記憶の書き換えが行われたのだと……
「どうじゃった?お前の変えて欲しいと願った過去は変わったか?」
ブラドーと向かい合うように椅子に腰掛ける。ブラドーは少し目を伏せてから
「変わった。ソフィアとノアの墓がブラドー島に作られた……美しい花々に囲まれた……それはそれは……素晴らしい物だった」
我が望んで止まなかった物が……手に入ったよと搾り出すようにブラドーは言った
「ワシもじゃなぁ……横島には返しきれん恩が出来てしまった」
今指に嵌めているマリア姫の指輪。そして届けられた封筒には「マリア7世」の文字……内容はマリア1世の命日に行われる鎮魂祭にワシも参加して欲しいと言う旨の手紙だった
「ワシの記憶ではマリア姫は独身で死んだんじゃがな……」
マリア姫であの血統は途絶えた。だが今もなおその血脈が続いている事に……そしてワシを恩人として迎え入れてくれる。ワシに帰るべき場所が出来たと言うことだった……
「シルフェニアが横島を想う理由も判った。帰るまでの間横島は2人の面倒を見てくれていたようだしな」
「ああ。直ぐに帰る準備が出来ないとかで1度お前の所に戻ったの……」
儀式を行う必要があり、それの準備と材料を集める為にブラドーの所に戻ったのだ
「死んだ初恋の人に似てると言っていたが、まさかの本人だぞ?」
「まさか時間移動しているなんて思うまい」
血を吸って吸血鬼にして永遠に一緒にいたいと思うシルフェニアの気持ちも判らないわけではないが、そうなると確実に殺し合いが発生しかねないのでブラドーに注意をしておく
「牙を封印して置けよ?あの子は活動力がありすぎる」
「判ってる。シルフェニアはソフィアにそっくりだからな、性格なんて特に似ている」
……あの上品なソフィア姫とあの暴走特急が?ワシが首を傾げると、ブラドーは懐かしいと言うように窓の外に視線を向け
「我はいきなり頭を殴られて連れ去られたのだ」
「あのお姫様はなにをやったんだ?」
あの虫も殺せないですよ?と言う人畜無害そうな顔で何をしでかした?あのお姫様は
「目覚めて直ぐ、一目惚れでしたと言われ困惑した物だ」
「誰だって困惑するぞ」
殴られて、拉致されて、一目ぼれと言われて困惑しない人間など存在しないと思う
「だが我もときめいたのも事実だった」
「何故そこでときめいた!?」
普通は警戒するだろ!?と言うとブラドーは笑いながら
「我を昏倒させる人間がいるのだと思うとな……人間も悪くないと思った」
……星の抑止力であるはずの始祖の吸血鬼が何を言っていると思ったのだが、その結果子供を授かっているのだから、相性自体は悪くなかったのだろうな……ただシルフェニア以上の暴走特急だったのは予想外だったが……
「横島が記憶を失っている英霊を連れて帰ってきた。お前も今度見にきてくれないか?」
「英霊か……真名が判らぬと敵か味方も判断が付かないな。判った、我も見に行こう」
あの英霊はワシの本能的に危険だと感じていた。気のせいかもしれないが、どこかで会った気がしなくもないのだ……
「ブラドー島から戻ったら1度横島の家に寄ろう」
「戻るのか?」
このタイミングで?と尋ねるとブラドーはすまないと頭を下げ
「記憶だけではない、目で見たいのだ。ノアとソフィアの墓を……我侭だとは判っている。だが許してはくれないか?」
「許すも何もないだろう、行って来い」
そう言われ止める権利を持つ人間など存在しない。失った筈の物が手元に帰ってきた……物言わぬ骸だが会いたいと思うのは当然の事だろう
「出来るだけ早く戻る。ピエトロとシルフェニアは残して行く」
「連れて帰っても良いんだぞ?」
戦力は減るが、それでも家族で墓参りの方がいいんじゃないのか?と尋ねるとブラドーは小さく笑い
「命日なら連れて帰るが、今回は我の確認だ。連れて行くわけにも行くまい」
2人が妙な違和感を感じるだろう?と笑ったブラドーは立ち上がり
「これを持って帰るといい、最近シルフェニアがもってきた物だが……お前なら顔が広いから確認が取れるだろう」
折りたたまれたチラシをワシに押し付け、考えたい事があると言って部屋を追い出すブラドー。それは自分の弱い所見せたくないという行動に思えたので、ワシは何も言わず唐巣の教会を後にし、ブラドーに渡されたチラシを開いた
「……これは」
そこにはまだ大分先の話になるが、古代ヨーロッパ展としてマリア7世から借り受けた品として、竜の紋章が刻まれた旗が日本に来日にする。そしてその旗は国宝級の品であり、閲覧者に制限が掛かると記されていた
「横島を応募しておくかの」
抽選だから選ばれる確率はそう高くないが、横島の幸運ならばその僅かな可能性を引き寄せるかもしれない。ワシはそんなことを考えながら、自宅へと足を向けるのだった……なんせあの謎の英霊の正体の特定もしなければならないし、過去のワシが現代に送ってきた霊具のメンテナンスもある……やる事は恐ろしいほどに多いのだから時間を無駄にしている場合ではないのだから
「これは暫く忙しくなりそうじゃわい」
過去では最適だったかもしれない霊具だが、この時代では使えないと言うものもある。だがこの時代では手に入らない、貴重な材料を使っているものもある。
「ガープに対する切り札になれば良いが……」
せめてあやつが常に展開している障壁。それを突破出来るだけの武器になってくれれば良いが……ワシはそんなことを考えながら、美神達から預かった霊具の改造案を考えながらその場を後にするのだった……
ヴァンパイヤミストから生身の体に戻り、花を踏まないように気をつけ着地する
「あれか……」
遠くに見える2つの墓標……我の記憶では何もない海に面した花畑だったんだがな……まさか横島の特異点としての能力は物体にまで干渉するのかと驚きながら墓標へ足を向ける。咲き乱れる色取り取りの花の香り、風に乗って空を舞う花びら……それは月の光に照らされているのもあり、幻想的な美しさを持っていた
「ノア……それにソフィア……」
白く美しい石に刻まれたノアとソフィアの名前。その墓標には汚れ1つなく、ここに来る前に城に寄ったのだが、執事の事が嘘ではなかったという証拠だった……偉大なる君主ノア様と慈愛の姫ソフィア様の墓標は常に汚れ1つない状態にしてあるという言葉は……
「これも全て横島のおかげなのだ。あのどこまでも馬鹿なお人よしのな」
2人の墓標の前に座り込み、城から持ち出したワイン……我とソフィアが結婚した年に作られたワインの栓を開ける
「我は横島に底知れぬ借りが出来てしまった」
過去でソフィアの命を救ってくれた。そしてそのおかげで我には数多の思い出が生まれた……それは遠い昔の記憶なのに、決して色褪せない美しい思い出となった。本来は罪人として追われ、決別することも出来ず。何故ノアがそんな暴挙に出たのかと思い悩み続けた1世紀……死別と言うのは代わらないが、それでも我はノアと和解する事が出来。その影に居た存在の事も知った
「我はあいつらを、ノア……お前を歪めたガープ達を許しはしない」
我は錆付いている。それは自覚しているのだ、本来の役割を放棄し、ソフィアと共にあることを望み。そして子を為した……それは本来の調停者たる我の務めではない
「我は弱くなった。弱くなってしまったのだ……」
本当はソフィア、お前が背後によってくるのを感じていた。お前の一撃など避ける事など容易かった……だがその深い蒼い瞳に我は魅入られてしまったのだ
「ノア。お前に与えられた知恵もそうだ……本当なら我には必要ないものだ」
貴族としての知恵など、高貴なる者の矜持など我には関係のない物だった。だがそれでも熱心に教えてくれるお前に恩を感じた、永遠の孤独を生きるはずの我が得た一時の安らぎ……我はそれを心地よいと思ってしまったのだ
「だが我はあの時よりも弱くなったが、それゆえに今の我はあの時よりも強い」
使命だけに生きていた我は強かっただろう。だがそれはガープ達と同じ強さだ、全ての者を見下し自分だけが絶対的な強者とした張りぼての強さだ
「我には大事な物が出来た」
本来は得ることが出来なかったソフィアとの楽しい思い出、愛しい息子と娘……シルフェニアのほうは少し暴走しがちで困るが大切な娘である事は間違いない
「勝つ強さではない、護るための強さを我は手にしたよ」
破壊し殺戮するだけの力ではない。護り慈しむ力を我は手にした……それは壊す為だけの力よりも遥かに強い力だ。栓を開けたワインを煽り、残りをノアとソフィアの墓標に掛ける
「我は勝つ、お前達を侮辱したガープ達を何をしても倒す。無論我も死ぬつもりなどない」
必ず生きて勝ち、再びお前達の前に来る。それを心に誓う
「いや、その前にピエトロとシルフェニアと墓参りに来るか」
思いつきで行動してしまったなと苦笑する。だがそれすらもきっと我らしいとソフィアとノアなら笑ってくれるだろう、どうしても我は2人の前では孤独に生きていた時の自分が表に出てしまうから……
「ではな、ソフィア、ノア。今度はピエトロとシルフェニアと共に来るよ」
マントを翻し、我はその場を後にしようとした時……
『気をつけて』
『負けるなよ』
背後から聞こえてきた声に咄嗟に振り返る。だがそこに霊の姿は勿論ない……だが確かに我はソフィアとノアの声を聞いた
「ありがとう」
その言葉があれば、我は進んでいける。どれほどの茨の道であったとしても……我は進み続ける事が出来る。胸の前で拳を握り締め、ヴァンパイヤミストとなりその場から消えて行くのだった……
別件リポート 明けの明星へ続く
今回の別件は少し短めとなりました。フラグを少し用意するだけとなりましたが、次回の明けの明星では神魔の視点で大きく話を動かして行こうと思います。ルイだけが知っていることとか、そう言うのをちらほらと書いて、嵐を呼ぶ男に入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い