GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート17 嵐を呼ぶ男 その3
横島さんが提案した美神さんの顔写真入りのポケットティッシュの配布。これは思ったよりも効果が出ていると思います、霊症に悩んでいる人達が相談だけでもと電話してくる事が多かったから、ただ駅前なので配布するのでナンパに遭遇すると言うデメリットがやはり大きいですね
「おねーさん。俺とお茶しない?」
そんなことを考えていると、早速テレサがナンパされているのを見て、いけないと思い、慌てて駆け寄るがテレサは目が全く笑っていない笑顔で
「あたしは仕事してるの、お茶とかしたくもないから」
ちゃら男という感じをしっしと追い払う。その反応に少し驚いているとテレサはにこにこと笑いながら
「今日事務所に帰ったら横島と散歩に行くから、そっちの方が楽しみで~」
……どうしましょう、テレサが横島さんを好きになってくれたのは非常に嬉しいのですが、そのベクトルがアリスちゃんと同じ方向だった
(そうじゃない、そうじゃないんですよ。テレサ)
今のテレサの横島さんへの好きが近所のお兄さんとかに向ける好きと一緒で、私はなんだかとても悲しい気持ちになるのだった
「美神除霊事務所をよろしくお願いしまーす。初回電話相談、無料にてお聞きしまーす」
シルフィーさんが張り切ってポケットティッシュを配っているが、その理由は歩合で全部配りきれば、その日に現金を支給すると横島さんと約束しているからで、物欲に溢れている姿に思わず溜息を吐く
「1ついただけるかしら?」
「は、はい……どう……ミス・神宮寺……何をしているのですか?」
ポケットティッシュを差し出そうとしたら、不機嫌そうなミス・神宮寺が目の前にいて、思わずそう尋ねる
「横島の助っ人は私は禁止されてしまっただけですが何か?」
基本的にどの事務所の助っ人もOKされているが、事務所のオーナーは禁止されていると言うのをミス・神宮寺に今聞かされた
「オーナーとして聞ける相談もあると思ったんですのに」
確かにミス・神宮寺の言う事は判らないでも無いですが、今回は横島さんの経営能力や、適切な人員の割り振りが出来るかの試験でもあるので、流石にOKが出なかったのだろう
「……まぁ良いですわ。個人的に横島の所に行くのは問題ないでしょうから」
御機嫌ようと手を上げてふらふらと歩いていく姿を見ていると
「くひひ!くえすは横島が大好きだからねえ♪こんな良い機会に動けなくてやきもきしてるのさ」
「ひ、柩さん!?」
背後から笑いながら声を掛けられ、思わず後ずさる。柩さんはそんな私を見て、くひひっと笑いながら
「ちなみにボクも禁止されちゃってねー、このチョーカーのお礼に手伝おうとしたのに残念極まりないよ」
不気味に笑う柩さんは私を見て、ニタァっと笑いながら
「まぁ横島によろしく言っておいておくれよ。ボクもくえすも君の味方だってねえ」
くひひっと笑いながら去って行く柩さんの小柄な背中を見つめながら
(横島さん、皆さんに優しいのは良いことだと思いますが、もう少し気をつけたほうが良いと思いますよ)
明らかに気色が違うと言うか、ちょっと危険な方向に振り切っている2人と出会った事で私はそう思うのだった
「柩ちゃんも神宮寺さんも困ったら助けてくれるって?本当2人とも優しいなあ」
テレサとの散歩に私も付き合うことにして、周りに人の居ない時に伝言を伝えると横島さんは信用しきった表情で嬉しそうに笑っていて、私の心配は横島さんにとっては考えて見た事もないことなのだと判り。私の心配する内容は横島さんにとっては心配する事でも無い事の様で……
(豪胆なのか、それとも……ド天然なのでしょうか)
「テレサー、お兄ちゃん!いっくよー♪」
「おー!」
「よっしゃこーい!」
アリスちゃんと一緒に遊んでいるテレサの隣で両手を上げる横島さん、勿論その周りでは
「みむー♪」
「ぴぐうー!」
【ノッブー!】
チビ達も楽しそうに鳴いていて、物凄く平和な感じなのですが
「てーい!」
可愛い声から超がつく剛速球を遠慮なしに投げ込むアリスちゃん。少しでも受け止めるのをミスれば吹っ飛ぶという殺伐とした遊びをしているのにも拘らず楽しそうで……
「何も考えていないのでしょうか」
横島さんは実は何も考えていないのでは無いかと思わざるを得ないのだった
「買った買った♪」
「その日のうちに支払ってくれて本当に助かりますね」
そしてピートとシルフィーはその日の内に払ってくれたギャラで電車で3駅先の安いスーパーでの買出しを終え、ご満悦と言う様子で教会へと帰っていたりするのだった……
美神さんがオカルトGメンに出向し、横島君が所長代行を勤めて3日目……笑いながら訪ねて来た冥華さんに私は溜息を吐きながら
「横島君ってめちゃめちゃ優秀ですね」
「私も結構驚いてるわ~」
エミさんの所のタイガー君、唐巣神父の所のピート君とシルフィーちゃん。そして白竜寺の伊達君、陰念君、そしてクシナさん。更にマリアさんとテレサさんを助っ人に引き込んだだけではなく
『霊症にお困りの方は是非1度美神令子除霊事務所まで、初回相談料無料にてお話をお聞きします』
東京のアイドル事務所にいる幼馴染の伝手を利用して、TVCM。そしてそこの事務所に紹介した精霊「セイレーン」までも借り出し、特製のCMソングまで……
「発想が凄いと思うんですよ。彼」
「ちょっと普通じゃないわよね~」
マリアさんとテレサさんにハーピーに、駅前などで広告入りのポケットティッシュの配布など。普通のGSが使わない手をどんどん使っているが、それが意外な事に嵌りに嵌り、依頼が殺到している
「もし~令子ちゃんがオカルトGメンに転職しても~横島君がいれば~GS業界は安定ね~」
ま、令子ちゃんがオカルトGメンに行くとは思えないけどね~ところころと笑う冥華さん。正直私は冥華さんが何を考えているのかまるで判らないので口を挟まないが、本当に美神さんがGS協会に戻ってきてくれるのか?と言う不安はどうしても感じる
「大丈夫よ~彼女はね~お役所仕事とか向かない性格なのよ~」
まぁ暫くしたらお役所仕事に疲れ果てて、GSに戻るって始まるわよ~っと冥華さんは笑い
「じゃあ~またお茶にしに来るわ~頑張ってね~」
にこにこと笑い会長室を出て行く冥華さん。今回は横島君が凄いって言いに来たのか、それとも美神さんは大丈夫と言いに来たのか?それともその両方か……何をしに訪ねて来たのか、単純にお茶ではないと思うんだけど……他にも何か意図があるように思わなくも無い
「冥華さんも相当狸なのよねぇ……」
20歳程度の私じゃ、冥華さんの考えている事なんて全然判らないし、それに何よりも下手に怒らせて援助を打ち切られても困る。
とりあえず冥華さんの言う事を信じて、美神さんが戻ってきてくれるのを待つのが一番ベストなのかもしれない
「それに白竜寺の件もあるしね」
最近鬼が出ると有名な山で伊達君達が見つけた鬼……正しくは仙人であるという女性「綱手」確か歌舞伎の演目の児雷也豪傑譚で出てくる人物なのだが、まさか実在する人物とは思っても見なかった。しかもなんか陰念君を気に入り、白竜寺で世話になると言って空き部屋に陣取ったらしい
「女傑って感じだったわね」
1度会いに来てくれたが、女性にしては長身で快活な人物だった……まぁ男所帯の白竜寺だけど、自衛は普通にするだろうし、何よりも自分で言い出したことを曲げるタイプには見えないので。好きにしてくださいと陰念君達に押し付けることにした……凄く死んだ目をしていた陰念君の顔が凄かったなあっと思い返す
「1回、横島君の所見に行こうかな」
今のところ目立った失敗もないが、やはりそこは仮免許のGSだ。1度GS協会長として様子を見に行くべきだろう
「それにしてもくえすにも困るわね」
くえすも柩も横島君の所に助っ人に行くと騒いでいて、それを宥めるのに本当に苦労した。横島君は気のいい子だけど、もうちょっと普通の女の子に好かれるようになってくれると私としても本当に安心なんだけどねえ。ちょっと横島君の周りの子は皆癖が強すぎるから
「はーどうしよっかなあ」
この調子で横島君が利益を上げ続けるのなら、GS業界で色々問題が起きそうだし、冥華さんが責任を全部取ると言ってくれたけど……
「色々考えるわよねえ」
横島君の才能はもう少し隠しておくべきだったんじゃないかなあと思いながら、執務室の机の写真立てに視線を向ける。帰る前に2人で撮った舞ちゃんとの写真に笑みを浮かべる
(舞ちゃんも帰したしねぇ……)
オカルトGメンが発足して、舞ちゃんがスカウトされないようにと早めに氷室家へと帰した。正式な書類を作り、六道の庇護下に置く準備が整ったらまた呼び戻すつもりだけど……なんか家に帰っても静かで寂しいのよね……私は思わず溜息を吐きながら会長室を後にするのだった……
美神さんの代わりに事務所の経営、蛍や皆が手伝ってくれているから何とか形になっているけど……俺1人ではとてもではないが、まともな経営なんて無理だっただろう。改めて美神さんの凄さを尊敬するのと同時に、家に帰っているのに頭の中を数字が踊り続けている
【横島。家に戻った時は数字を考えるのは止めろ、ストレスになるぞ】
心眼の言葉にうん。と返事はした物のどうしても明日の除霊はどうしようとか、依頼料の話はどうしようとかそんな考えばかりが頭を過ぎったその時
「お兄ちゃんドライヤーしてー♪」
「んぐふっ!?」
アリスちゃんの真横からの体当たりに変な声が出る。アリスちゃんは見た目よりも遥かに力が強いので身構えて無いと致命傷に成り兼ねないのだが、それに加えてアリスちゃんとお風呂に入っていたチビ達も加わる
「ぷぎゅー!」
「みみーむー!!」
【ノッヴァー!!】
自分達もドライヤーをしろーっと言わんばかりに突進してくるチビ達の勢いには耐えられず、そのままカーペットの上に寝転がる
「早く♪早く♪」
兎の着ぐるみパジャマを着ていて、早くドライヤーしてと言うアリスちゃんに判ってると返事をして、体を起こすと机の上の資料が無い
【ボーイ、これは私がやっておいてあげるヨ。なーに、幽霊だから疲れることなんて無いからネ。生身の人間はゆっくり休みたまえヨ】
アーチャーさんが俺が見ていた資料を手にして、消えて行ってしまう
【ほい、横島】
「っと」
ノッブちゃんがほいっと投げ渡してきたドライヤーを受け取ると、おキヌちゃんと蛍、そしてシズクがキッチンから顔を出して
「……十分頑張ってる。休む時は休んでいろ」
「そう言う事、交渉とか全部引き受けてくれてるでしょ?家に戻ったらゆっくりしてて良いんだから」
【チビちゃんやアリスちゃん達と遊んでいてあげてください、それが1番落ち着くでしょ?】
まーTVを見るとかよりもチビとかアリスちゃんと遊んでいる方が落ち着くかな。なんかこう、上手く言えないんだけど、チビ達の元気とかを分けて貰ってるようで、凄く元気が出る
「じゃあアリスちゃんからな」
「うん♪」
胡坐をかいた俺の膝の上に座るアリスちゃんの長い金髪にドライヤーを当てながら、櫛で丁寧に梳く
「♪~♪」
鼻歌を歌っているアリスちゃん、なんか最近髪を梳くのが上手くなってる気がする
「はい、おしまい」
「ありがとー」
にぱっと笑ったアリスちゃんは俺の後ろに回って、背中に抱きついてくる。力が強いのですこしウっとなったが、それは気合で我慢する
「おいで、チビ」
「みむう」
机の上で丸くなるチビの毛にドライヤー当ててチビ達用のブラシで毛並みを整える。モフッとした毛玉になるのだが、その姿は愛嬌たっぷりで思わず笑ってしまう
「みむ?」
「プギュ?」
何笑ってるの?と言う感じのチビ達を見て、更に笑っているとアリスちゃんがパジャマからトランプを取り出して
「ご飯までトランプしてあそぼー」
普通に待ってるのは嫌と言うアリスちゃんに判ったと返事を返す。
「あ。それなら私も混ざる」
【では私も】
【暇じゃからワシも】
トランプで遊ぶと言うと、牛若丸や、ノッブちゃん、タマモも加わる。俺はトランプをシャッフルしながら
「何して遊ぶ?」
「んーババ抜き」
ババ抜きね、この人数ならすぐ決着が付きそうだなあと思いながら、俺はシャッフルしたトランプを配り始めるのだった……
「横島の父性がカンストしそう」
【もうカンストしてると思いますよ?】
「……カンストの意味は判らないが、まぁ横島は父親がなんか板についてるな」
キッチンで料理をしていた蛍達は、ほのぼのとしている横島達を見て、同じく微笑ましそうに笑いながらそんな話をしているのだった……
【ほほう?もう成果が……いやいやボーイの才能は怖いねえ】
横島が経営に手を出してから僅か3日。その3日の間に利益が上がり始めている事に気付いたアーチャーは笑みを深める
【良いねえ、私が生きてる時にボーイがいてくれたら……んん?いま、なにーか、思い出しそうだったようなー?】
一瞬物凄いあくどい顔をしたアーチャーだったが、結局何を思い出しかけたのかを思い出せず、この3日の横島の指揮の元で使われた必要経費、得た収益などの計算を再開するのだった……
除霊から戻り、西条さんに提出する書類整理を始める。民間GSでは使えないような高級な装備をふんだんに使えるので除霊自体は楽なのだが……横島君や蛍ちゃんと組んで仕事する時よりも疲労感を感じて仕方ない
(やっぱり私にはお役所仕事って言うのは合わないのかも……)
お兄ちゃんに助けて欲しいとお願いされたからオカルトGメンに出向したが、やはり私は民間GSの方が性に合っているのかも知れない
「どうしたんだい?ずいぶんと疲れた様子だけど……今回の悪霊は少し強かったかな?」
「え?あ、ううん。そう言うのじゃないわ、西条さん」
お兄ちゃんでも構わないよとくすくすと笑う西条さんは、窓から見える私の事務所を見て
「横島君と蛍君。2人ともずいぶんと頑張っているようだね、きっと令子ちゃんの教え方が良かったんだよ」
そう笑う西条さんだが、私は経営手腕なんて教えてない。横島君と蛍ちゃんが手探りで頑張ってくれているんだろう
「お昼からの除霊は僕と一緒だけど大丈夫かい?無理そうなら休んでいてくれてもいいんだよ?」
「ううん!大丈夫!手伝うわ」
自分で手伝うと言って2週間の出向で契約した。プロとして気分が乗らないとかそんな理由で除霊を断るわけには行かない、心配そうな西条さんに大丈夫と声を掛けてオカルトGメンの事務所を出ると丁度出動する所だったのか、横島君とあった。普段のGジャン、Gパンではなくスーツ姿で、心眼も額に巻いてない。オールバックにしているだけでグッと大人っぽい雰囲気になっている
「美神さん、それに西条さん。どうも」
「やあ、横島君。ずいぶんと頑張ってるみたいだね、CM見たよ」
西条さんと休憩中に見た私の事務所のCM。横島君の幼馴染の近畿剛一が所属する事務所に協力を頼んだか、かなり派手なCMが流されていた
「美神さんの事務所ですから、俺と蛍が所長代行をしている時に、売り上げを落とす訳にはいかないですから頑張ってますよ」
私の事務所の評判を上げる為に頑張ってくれている横島君。少し疲れが溜まっているのか、目の下に薄い隈が見える
「大丈夫?疲れてない?」
「大丈夫ですって!心配しないでくださいよ」
美神さんの顔に泥を塗るような真似はしませんよと笑った横島君は腕時計を見て
「とっ!すいません、昨日の依頼者との料金の話し合いがあるんでこれで!じゃあ」
そう笑ってタクシーを呼び止め、乗り込んだ横島君を見送る。依頼者との料金の話し合い、それは精神的にかなり来る場合もある。その精神的な疲労での隈だったのかもしれない……
「さ、僕達も急ごう。悪霊の大量発生……下手をすれば霊団になりかねない」
「判ってるわ、行きましょう」
横島君があれだけ頑張っているのに私がこんな有様が余りにみっともない。気合を入れるために頬を叩き、西条さんの運転する車に乗り込むのだった……
横島の考えた経営プラン。それは全てが殆ど当りか大当たりに近かった……CMやティッシュの広告で電話したんだけどと言う相談者が多かった。しかも横島の提案した初回相談料無料と言うのも大きく、除霊のほかに面談による相談を聞くのも多くなっていた
「祖父が急死してから、廊下や壁に刀傷が出るようになって……」
「なるほど……ちなみにおじい様はどのような方だったんですか?」
「もう引退したと言ってましたが、昔は退魔師だったとか……GSみたいな職業ですよね?」
相談者の質問にそうですよと返事を返しながら、相談を受けた霊症の内容から考えられる内容を告げる
「急死したおじい様。それすらも悪霊の仕業と言う可能性がありますね、1度霊視などを行わせていただいても宜しいでしょうか?そのまま除霊出来るのなら除霊、無理ならば準備を整えて再度除霊をさせて頂きます。どうでしょうか?」
「お願いします、怖くて怖くて」
震えている女性の依頼者に窺う日時の打ち合わせを済ませ、今日の面談は終わりとなった。
【お疲れ様です。蛍ちゃん】
「うーありがとー」
おキヌさんが差し出してくれたチョコレートを口にする、苦味のある甘さがほっと一息つかせてくれる
「……面談出来るのが蛍か横島だけだからな、負担は流石に大きいか……私が大人になって面談を手伝うか?」
「ううん。大丈夫よ、横島の方がずっと大変なのに甘えた事言えないわ」
正直私よりも横島の方がずっと大変だ。依頼者との料金の打ち合わせに、クシナさん達の霊能力のスキルを的確に判断し、派遣する場所を決める。心労も精神的な疲労も私とは比べ物にならないだろう
「はい、美神令子除霊事務所です!依頼ですね、はい、はい……悪霊の数は1。先日購入した仏像が原因かもと……」
タイガーさんの大きな声による応対。それは私達に大体の除霊の内容を伝える為であり、アーチャーさんの提案だ
「ポルターガイストと体調不良ですね」
タイガーさんがこっちを向く、直ぐに派遣するべき案件かもしれないと判断したのだろう
「ピートさん、行けますか?」
今戻ってきたばかりのピートさんに心苦しいがお願いできますか?と尋ねる
「……大丈夫です。行けますよ」
栄養ドリンクを口にして行けますと返事を返してくれるピートさん。伊達や、陰念では屋敷での除霊には向かない、マリアさんやテレサさんは銃器などを使うので、やはり家での除霊には不向きだ。そうなると家などでの除霊は私か横島、それかクシナさんかピートさんが候補に出る。私は面談、横島は依頼料の交渉、クシナさんはさっき出発したとなると消去法でピートさんしか残っていないのだ。指でOKサインを出す
「判りました、直ぐに派遣させていただきます。場所は東京都××ー○○丁、□ー△の1ですね」
タイガーさんが住所を読み上げると、窓を開けてピートさんがヴァンパイヤミストで出撃する。繁盛しているのはいいけど、ちょっと苦しくなってきてるかもしれないわね
【はい、美神令子除霊事務所です。はい、はい……賽銭箱を荒らしたら、夢で刀の化け物が出てきて、罪人は首を切ると言う……夢だと思ったら、箪笥や扉が刃物になっていた……】
どうします?と愛子さんが振り返る。只の自業自得なのだが……私は溜息を吐きながら
「お仕事ですよ、伊達。ついでに説教もお願いできますか?」
さん付けは気持ち悪いというので呼び捨てにしているが、基本的にさん付けで呼んでいるので少し違和感がある。
「おうよ。任せてくれ」
ソファーで寝ていた伊達が跳ね起きて、帽子とジャケットに袖を通す
「やばそうだったら援軍連絡入れてね」
「OK。深追いと無理はしねぇ。まずはその神社とやらを見てみるぜ」
そう笑って事務所を出て行く伊達を見送る。美神さんが居る時以上に疲れるわね
【大丈夫かネ?疲れたのなら1度休むべきだヨ。私なら面談を引き受けれる、少し休み給えヨ】
アーチャーさんが心配そうに言うが、正直横島が休んでいないから私も休む気になれないのよねと苦笑しているといっちゃんが
【横島さんと何故か琉璃さんと一緒に戻って来ましたよ】
琉璃さんと?なんで一緒に戻ってきたんだろう?と首を傾げながら、ソファーから立ち上がり。横島と琉璃さんと一緒に飲むお茶の準備の為にキッチンへ向かうのだった……
依頼人との料金交渉を終え、事務所に帰ろうとしている途中。悪霊に追われている女の子を見つけ
「運転手さん!止めて!」
「え、あ!はいッ!!!」
タクシーの運転手さんに車を停める様に叫び、扉を蹴り開けるようにして車外に飛び出し
「伸びろーッ!!!」
三つ編みにした女の子の肩に手を伸ばそうとしていた悪霊目掛け、栄光の手を突き出す
【ギガぁ!?】
「え?」
悪霊の苦悶の声と女の子の驚く声が同時に響く、栄光の手で悪霊を捕まえ、そのまま伸ばした栄光の手を掴み一気に引き寄せ。
「オラァッ!!!」
左手にも栄光の手を作り出し、霊波刀で悪霊を頭から両断する。消滅していく悪霊を確認し、ガードレールを飛び越え追われていた女の子に駆け寄る
「大丈夫?」
「え、あ……はい。大丈夫です。助けてくれたんですね、ありがとうございます」
赤みを帯びた長い髪を三つ編みにした少女がぺこりと頭を下げる
【ん?あ、あああーッ!お前横島か!!】
その少女が肩から下げていた鞄から顔を出した小さな男。小槌を背負った金ぴかの幽霊が俺の名前を叫んだ
「誰?つうかお前は何?」
幽霊って感じじゃないし、かと言ってチビ達と同じにも見えない
【ワイは福の神や、神様同士のつながりでお前さんの事は聞いてたで】
「福の神?へー初めて見る」
美神さんに聞いた神界ではなく、人間界に出現する神の一種として福の神がいると聞いていたが、初めて見た
「私は花戸小鳩って言います。お名前は?」
「え?あ、俺は横島。横島忠夫って言うんだ、よろしく」
お互いに自己紹介を済ませていると、GS協会のエンブレムをつけた車が近くに停まり
「あれ?横島君、それに……小鳩さん?どうしたの?」
琉璃さんが後部座席の窓を開けて顔を出す。琉璃さんの知り合いですか?と尋ねる
「知り合いって言うか……六道に編入する子なのよ。迎え来なかった?小鳩さん」
「それがそのー待ち合わせの場所の近くで幽霊に追いかけられて……横島さんに助けてもらったんです」
運が良かったわねと笑った琉璃さんは運転手に何か声を掛けてから、車を降りてくる
「この車で六道女学院まで行くと良いわ。私はこっちのタクシーで美神さんの事務所に行くから、さ、早く行きなさい」
「は、はい!その本当ありがとうございました」
【おおきになー】
福の神と一緒に車に乗り込む小鳩ちゃんを見送り、美神さんの事務所に用事だったと言う琉璃さんに美神さん居ませんよ?と言うと
「どっちかと言うと、横島君と蛍ちゃんに用事なのよ。あのタクシー横島君が呼んでるんでしょ?一緒に乗っけてくれる?」
目的地が一緒だから大丈夫ですよと返事を返し
「運転手さんごめんな、また美神令子除霊事務所までお願い出来る?」
「大丈夫ですよ、乗ってください」
嫌な顔をせず乗ってくださいと笑う運転手さんにありがとうございますと頭を下げ、俺は琉璃さんと一緒に事務所へと向かった
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「という訳だったんだ」
何で琉璃さんと一緒なの?と言う蛍の問いかけに一緒に来た経緯などを説明する
「横島さんって本当トラブルに巻き込まれますノー」
昼14時。1度電話が落ち着いたのでタイガーが昼飯を食いながら苦笑する。自分でも確かにそう思うから複雑だ。なんか蛍とおキヌちゃんが小声で何かひそひそと話をしているけど、どうしたんだろうか?
(小鳩さんってあれよね?凄い計算高い)
(はい、横島さんと1度結婚してました、演技ですけど)
蛍とおキヌは言うまでも無く、小鳩と言う危険度Aクラスの人物が近くにいると言う事を知り、警戒度を上げる話し合いをしていたりする……
「それで何の用事だったんですか?琉璃さん」
俺と蛍に用事って聞いてたけど、なんだったんですか?と尋ねる。すると琉璃さんは
「横島君と蛍ちゃんだけで美神さんの事務所を経営してるって聞いてたから、心配になって見に来たのよ」
でもいらないお世話だったみたいねと琉璃さんは舌を出して笑う。確かに俺と蛍だけではとてもじゃないが、美神さんの事務所を経営する事は出来なかった。でも
「皆手伝ってくれましたから」
雪之丞達にピートにノッブちゃんに沖田ちゃん。皆が手伝ってくれてるから大丈夫ですよと笑う、俺1人では出来ない事だらけだが、皆が協力してくれれば、1人では出来ない事も出来るようになる
「そう見たいね。そうやって人の協力を受けれるのも横島君だからね、もし何か困った事があったら電話してきてね。協力できる範囲で手伝ってあげるから」
柔らかく微笑む琉璃さんにありがとうございますと頭を下げる。自分でも思うが、俺は回りの人間に本当に恵まれていると思う……
【ただいまー!いやー疲れた疲れた。途中で沖田の奴が血を吐きおってな】
【こふっ……ちょっと疲れただけですよ……】
「ふう、今戻りました。少し疲れましたね」
「おーい!横島!なんか神社に祭られてた刀みたいのぶち折ったからよ。謝罪頼むわ」
どたどたっと帰ってきたノッブちゃんは沖田ちゃん、それにピートと問題発言をしている雪之丞……電話が鳴り止み、少し落ち着いた雰囲気になっていた事務所が一気に騒がしくなるが、この感じは嫌いじゃない。集金してきたアタッシュケースを机の上に置き
「皆お帰り、そしてお疲れ様!昨日と一昨日の依頼料の集金も終わったし!営業終了の17時になったらぱあーっと!!皆で飯食いに行こうぜーッ!!あ、琉璃さんも来ます?カオスのじーさんと唐巣神父にエミさんとかにも声を掛けるんですけど良かったらどうですか?」
俺1人では絶対に無理だった。だからエミさん達にも声を掛けるつもりだ、だから琉璃さんもどうですか?と尋ねる
「折角誘ってもらったし、私も参加させて貰おうかしら」
琉璃さんも来てくれると笑う、やっぱり食事は大勢でわいわいと食べるほうが楽しいし、美味しい
「じゃあ、お昼からも皆宜しくな!」
元気よく返事を返してくるピートや雪之丞の姿にやっぱり俺は回りの人間に恵まれてると改めて実感し
「沖田ちゃーん、無理しないでちょっと休んでくれればいいから、ほら。こっちこっち」
【うっ、こほ、けほ……はい、すいません。横島君】
明らかに顔色の悪い沖田ちゃんを休ませる為、深夜からの除霊を行う際の俺が使っている仮眠室に案内するのだった……
リポート17 嵐を呼ぶ男 その4へ続く
原作よりも和気藹々としている横島所長代行。次回は少し時間を飛ばして書いて行こうと思います。小鳩のほうは相棒の貧ちゃんが逆行記憶あり、原作とは違う形で出会うことになりました。六道に編入することになるので、割と会うことになると思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い