GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
別件リポート 白竜寺3人組みの戦い
横島からの頼みで鬼が出るという山へ向かう電車の中で事前調査リポートを読んでいるクシナに尋ねる
「本当に鬼がいると思うか?」
「そうね、可能性は五分五分って所ね……とくに鬼に関する逸話も無い山だし」
鬼と勘違いされる土着の精霊や妖怪っていう可能性と、本当に鬼がいるのどっちかねとクシナは笑う。1日で見つければいいが、発見出来ない事を考慮し、泊りがけの準備もして来た
「陰念。お前はどっちだと思う?
「……どっちでも良い。外での除霊もしくは調査の感覚を掴めればな」
腕を組んで目を閉じていた陰念が少しだけ目を開きそう呟くと、また目を閉じる。よく見るとうっすらと霊力を身体に纏っているので、霊力を練り上げる訓練をしているのだと悟った。
「そうね、話し合いで済む可能性もあるし、戦闘前提じゃなく、まずは対話から考えましょう」
クシナの言葉に判ったと返事を返し、目的地の山に到着するまでの1時間。クシナに叱られながら、事前調査のリポートに目を通すのだった……
「本当。横島君って有能ね」
「……だな」
クシナの言葉に若干気落ちしながら同意する。俺はてっきりテントなどでキャンプする前提だと思っていたので、荷物にテントを持ってきていたのだが、横島が東京で俺達が捜索する山の近くの温泉宿に俺と陰念、そしてクシナの部屋の2つの予約を取ってくれていた。しかもオンボロ宿ではなく、ちゃんと旅行MAPなどにも乗っている立派な宿だった
「あいつは自分で前線に出るより、こういう風に仕事させたら優秀かもな」
「頭はかなり良いみたいだしね」
横島と言えば俺の中ではGS試験のタイマンの印象が強かったが、実際は横島がかなり頭が良いと言う事を知り、少しだけブルーな気分になりながら、鬼の目撃情報が多いという山に足を向けるのだった……
鬼が出るという山の調査を横島君に頼まれて、件の山に来たんだけど……そこには予想外の光景が広がっていた
「これは予想外だわ」
鬼が出ると言う事で観光客などは少ないと思っていたんだけど、実際は逆で観光客だらけだ……しかも鬼が出る山と言う事でTVまで来ている始末だ
(クシナ、これは良いのか?観光名所みたいになってるぞ?)
これで仮に鬼と戦うことになったら恨まれるんじゃないか?と陰念が訪ねてくる。だけど今回の依頼は県からの依頼なのだ
(大丈夫だと思うわよ。とりあえずまずは調査しましょう)
賭けを挑んでくるが、弱すぎるらしい。そして負けると山の奥へ逃げていくのだが、その鬼が持っているのが宝石の原石や、金や銀の希少金属などが多く、それを求めて暴力団関係者などがこの周辺に来て治安が悪いという事情もある。
(とりあえず今は登山客と言う感じで山へ行きましょう)
宿の周辺でも感じた事だが、GS関係者を暴力団が監視している。そんな感じだった……県の依頼がGS協会にあり、GS協会からの依頼と横島君は言っていたが、その情報は既に暴力団に流れているようだ
「じゃあ。トレーニングを始めましょう、雪之丞、陰念。手足にリストバンドを付けなさい」
「「うっす!!」」
胴着に着替えている2人にリストバンドを渡す。その姿を見て、この山にトレーニングに来たと偽装する計画だ。そもそも到着した段階で15時を過ぎている、今日はまともな調査は難しいと既に理解しているから、まずはトレーニングをしつつ、可能な限りの情報収集。これが今日出来る中での最善だろう。手足にリストバンドを付けて走り出す2人を宿で借りた自転車で追いかけるのだった……
「さて、事前調査の通りね」
登山の入門として勧められている山だけあって、子供でも登れる様な山だ。車やバイクでも通れるように道も整備されている
「鬼が出るって言うのは?どっちのほうだ?」
「中級者用ね」
ここまでは整備された初心者用の山を登って来たが、ここから先は整備されていない山を登った先に茶屋があり、その先で鬼が出ると言う広場があるらしい
(どうする?このまま行くか?)
雪之丞がストレッチをする振りをしながら小声で訪ねてくる。先ほどから私達を追いかけて来ている何者かの気配は感じている……妖怪などではなく、人間の気配なので恐らく暴力団関係者……
「今日はこのまま初心者用の山を登って、頂上を目指しましょうか」
業と追いかけて来ている連中にも聞こえるように大きな声で言って、陰念と雪之丞を促し初心者用の整備された山道を登る
(良いのか?)
(構わないわ。今日は調査だもの)
それにここに到着した段階で既に夕方の少し前。今から調査を始めるのは元々難しいというのは判っていたし、それに鬱陶しい連中に付き纏われては調査所ではない。とりあえず今日はトレーニングに来ている集団と言う事にしておこうと思い、初心者用の山を登る事にする。暫く登ったところでお爺さんが蹲っているのを見つけ、陰念に目配せすると陰念はお爺さんの方に駆け寄る
「爺さん。大丈夫か?」
「あ、いやあ……ちょっと腰を痛めてねえ」
「麓まで運んでやろうか?」
陰念は口は悪いが、基本的に善人だし、年功序列を重んじる性格もあり。老人、子供などには非常に優しい
「いや、麓じゃなくて頂上に用があるんじゃ。山頂の休憩所の管理人をやっとるからそっちに行きたいんじゃ」
元々頂上に用があるということもある。陰念は構わないぜと笑い、お爺さんの前にしゃがみ込む
「すまないねえ」
「気にするな、しっかり掴まっててくれよ。爺さん」
お爺さんを背負い山を歩き出す陰念。私と雪之丞はお爺さんの荷物を持って、2人を後を追って頂上に向かって歩き出すのだった……
山を登っている最中に腰を痛めたという爺さんの案内で俺達は山の頂上付近の爺さんの家に到着した
「お爺さん。1人でこんな所に住んでるの?」
「いやあ、この時期だけじゃよ?息子も毎日様子を見に来てくれているし、今日はただ運が悪かったんだ」
息子が生活必需品を届けてくれた後、買い忘れをしていることを思い出しタクシーを呼び、俺達が見つけた少し前で降ろして貰い上り始めた所で腰を痛めたらしいのだ
「いやあ、ワシも歳と言う事じゃなあ」
はっははっと笑い、あいたたたっと腰に手を当てる爺さん
「おいおい、無理しないほうがいいんじゃないのか?今からでも遅くねえ、山を降りたらどうだ?」
流石に心配になり、山を降りて病院に行ったほうが良いんじゃないか?と言うと爺さんは大丈夫だとにこやかに笑う
「大丈夫じゃよ。この山には天女様が居られるからな」
天女?鬼じゃなくて?俺達が首を傾げていると爺さんは知らんのか?と言ってその天女様の事について話し始めた。昔とある仙人に選ばれ、不老不死になった女性の話。美しく、気高く、そして強く。かなり昔、この周辺が酷い日照りに襲われた時。空を舞い、雨を呼び起こしたと言う天女の話
「あのお方はなぁ、ちょーっと俗世に触れてそれが楽しくて仕方ないと言っておられたよ。勝っても負けても面白い、賭けって言うのは堪らないとな」
「……お爺さんの口ぶりだとその天女様と知り合いみたいだけど?」
「おお。知り合いも知り合いじゃ、3日に1度はこの家に来て飯を食って行かれるよ。その後は花札とかで遊んでるわい」
昨日来たばかりじゃから暫くは来ないじゃろうがと爺さんは笑う。なんてこった……こんな所でこんなにも凄い有力情報を得られるなんて……情けは人の為ならずと言うが、正にこのことなんじゃないだろうか?
「爺さん。俺達はGS協会から鬼が出るって聞いてきたんだが……鬼について知らないか?」
「鬼?……ああ、天女様が雨乞いをする前は鬼と呼ばれていたの……美しい、金の髪に紅い瞳と日本人とは思えない姿じゃから」
昔の雨乞いの石碑にちゃんと天女様の容姿が記されているから、麓に下りたら調べると良いと爺さんは笑う
「鬼って言われてるのは天女様は知ってるのかしら?」
「知っとるよ。まぁ天女様は気にしないと快活に笑っておられたがな……じゃが、最近はたちの悪い連中が天女様の財宝を狙ってくる。ワシはそれが嫌じゃなあ」
……その言葉に鬼と天女様が同一人物だと悟り、俺達が顔を見合わせていると爺さんは椅子を揺らしながら
「天女様は何かを待っていると言っておられたよ。それがもしかするとお前さん達かもしれないな」
天女というだけあり、何か特別な力を持っているのかもしれない……しかしそれで俺達を待っていたと言うのなら、一体俺達に何をさせたいのだろうか
「天女様は気まぐれじゃからなぁ、お前さん達がいる間に天女様に会えると良いの」
また何時でもおいでと言う爺さんに見送られ、その山小屋を後にする
「クシナ、どうする?」
「とりあえず明日朝早くから中腹に向かいましょう」
何かを待っていると言う天女様と言う女性。その女性を早朝から探そうと言う話になり、暗くなる前に山を下りるのだった……
早朝、クシナと雪之丞と共にまだ朝靄の掛かる山道を登る。そして中級者用の方へと足を向けたとき
「あたしと勝負しないかい?」
突如背後からそう声を掛けられ、警戒しながら振り返る。そこには紅い布が引かれ、その上に座っている金髪紅目と言う日本人離れした容姿に着物を着込んだ女性の姿があった……今通り過ぎたばかりなのに、全然気が付かなかった……天女の術なのか、仙術なのか……それはわからないが、気配の気の字も無かった女性の存在に否が応でも警戒度は跳ね上がる
「ママに似ている……」
馬鹿がぼーぜんとした表情で告げる。いい加減にしろよ……このマザコン野郎と心の中で罵る
「勝負って何の勝負ですか?」
クシナが警戒しながら問いかけると、天女様は両手を広げ楽しそうに笑いながら
「サイコロでも、花札でも何でも良い。1勝負しようじゃないか、ソロモンの魔神に運命を乱された子よ」
その言葉に俺達の眉が釣りあがる、何で知っている。いや、よく見ると雰囲気がさっきと変わっている……お師匠様や、メドーサ様に似た……人間よりも遥か上位存在だけが持つ圧倒的な存在感。自分がとても小さい存在に思えてくる……
「それとも……お前さん達はこっちの方が良いかいッ!!!」
座っていた天女様が急に立ち上がり、顔目掛けて拳を繰り出してくる。凄まじい音を立てて迫ってくる拳をとっさに後に飛びのいてかわすが、その強襲に俺達3人とも拳を握った……握ってしまった
「拳を握ったね?じゃあ、勝負の形式は喧嘩だよ」
いつの間にか手に握っていた羽織を羽織ながら拳を鳴らす天女様。妙齢の女性に見えるのだが、その圧力と存在感に額から汗が流れ落ちる
「天女様は賭けが好きと聞いていましたが?」
「それも好きだよ。でもあたしは喧嘩も好きなんだよ」
にっと笑うが、その笑みには押さえられない戦いを好む戦闘狂の色が浮かんでいた
「それとあたしは天女様なんかじゃない。あたしは仙人綱手。楽しい喧嘩をやろうじゃないか」
天女様……いや、綱手はそう笑うと、その細い腕を振り上げ、地面に叩きつける
「「嘘だろ!?」」
「驚いている暇があったら飛びなさい!」
クシナの怒声に反射的に地面を蹴り跳ぶ。綱手の拳が命中した場所が陥没し、それによって山の中に埋まっていた石が槍のように飛び出してくる……なんつー馬鹿力だ。その恐ろしい怪力に額から冷たい汗が流れ落ちるのだった……
別件リポート 白竜寺3人組みの戦い その2へ続く
綱手姫はNARUTOの綱手よりも原典の児雷也豪傑譚の綱手をベースにして考えております。仙人の弟子として長命と言う設定です、忍術ではなく仙術を使うという感じですかね。次回は戦闘メインなので少し長めの話となります、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い