GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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別件リポート

別件リポート 白竜寺3人組みの戦い その2

 

 

仙人綱手は楽しい喧嘩と私達に告げたが、私達はとても喧嘩なんて思うことは出来なかった。あの細腕は軽く当たっただけで、木々を薙ぎ倒し、地面を蜘蛛の巣状に粉砕する。そしてその攻撃は恐ろしいほどに早く、拳を握っているのを見るだけで恐ろしいプレッシャーを感じる

 

「どうしたんだい?反撃すらまともに出来ないのかい?」

 

これじゃあ詰まらないよと鼻を鳴らす綱手。女性の細腕とは思えない、その怪力と恐ろしいほどのプレッシャーに足が竦む

 

「おおおおおおおーッ!!!!」

 

雪之丞が雄叫びを上げて魔装術を展開し、綱手に向かって駆け出す。それを見て小さく舌打ちする、大分体の動きは戻ってきたが、霊力の制御は私も陰念もまだまだだ。陰念はまず魔装術を使えないが、私は魔装術を鎧の形状に固定出来なかった。溢れ出す霊力を身体に纏うのが限界であり、陰念は横島君が使う眼魂と同じ物を所持しているが、その副作用は深刻でおいそれと使う事は出来ない

 

「魔装術か、若い割にはまずまずだね」

 

「おらあッ!!」

 

駆け出した勢いで拳を繰り出した雪之丞だが、綱手はそれを片手で受け止めて

 

「脇が開いてる、足を開きすぎてる。そんな拳じゃあ届かないよッ!!!」

 

風を巻き込んだ。私は少なくともそう感じた、腰の動きと足の移動だけで凄まじい風を起こしながら繰り出された拳が雪之丞の顔面にめり込み

 

「ぐおっ!?が……ッ!うおおおおッ!?!?」

 

「雪之丞!!」

 

木を薙ぎ払いながら吹き飛ばされ、雪之丞の絶叫が恐ろしい勢いで遠のいて行く……

 

「陰念!雪之丞の方に!」

 

私の言葉に頷き山の斜面を駆け下りていく陰念。その方向に行かせないように綱手の前に立つと綱手は頭の後に手を回し、頭を掻きながら

 

「殺しはしないよ。言っただろ?喧嘩だって」

 

喧嘩だと軽い口調で言うが、あの豪腕で殴り飛ばされたら魔装術があったって確実に死ぬ

 

「最初にサイコロとかを出したのは何だったんですか?」

 

「いやあ、負け続けでね。むしゃくしゃしてたから八つ当たりで来そうな奴が来たらそりゃ喧嘩しようってならないかい?」

 

この人八つ当たりって言い切った!!仙人なのに!!!私の中で仙人と言う幻想が砕け散った瞬間だった

 

「大丈夫だよ。私は医療とか治癒の術は大得意さ、だから死に掛けても死にはしないよ」

 

骨とか折れてもちゃんと治してやるから、そんなに怖がってないで掛かっておいでと笑う綱手。その顔に殺意などは無く、本当に只喧嘩したいだけだと判った……仙人と言う事を知らなければ気の良いお姉さんに見えるのだが……私は溜息を吐きながら拳を握る

 

「良し良し、おいでおいで、ちょっと遊ぼうじゃないか」

 

まるで子供と遊ぼうとしている姉のように優しい顔で、恐ろしい圧力を放ちながら手招きする綱手に恐怖を感じながら、私は綱手のほうに駆け出すのだった……

 

 

 

 

鬼とか、天女様とか言われながら何年もこの山で過ごしてきた。たまーに人間と賭けをして遊ぶ程度だったのだが、最近はあたしを鴨にしている連中が多くてむしゃくしゃしていた

 

(人間もこうなるか)

 

昔酷い日照りでここら辺が全滅しかけた時に雨乞いをしてやって、ここら辺一帯を救って神様、天女様と言われ、自分で救った場所が滅ぶのもと思いこの山で過ごしてきたが、今の人間にはそんな事は関係ないらしい。山の頂上付近に住んでいる爺さんは天女様と呼び、あたしに食事や酒を出してくれるが、最近であった人間はあたしの金や銀を巻き上げてやろうと言う欲望むき出しの連中で本当にむしゃくしゃしていた

 

(まぁあたしも悪いんだけどね)

 

ほんの息抜き程度にやる賭け事は面白かったし、勝っても負けても、昔はそのまま宴会や食事となって楽しかったが……今は本当に単純に金を巻き上げるか、あたしの身体を見て欲情する連中ばかり、イライラしていたから霊能者と思わしき3人に喧嘩を吹っかけた……これは正直仙人らしくないと思った……だが

 

「お前は中々筋がいいな」

 

顔を目掛けて蹴りを入れてきた少女の足を掴みながら言う。最初に魔装術を使って突っ込んできた少年は思わず全力で殴り飛ばしてしまった、だけど魔装術を展開していることを考えれば致命傷ではないだろう。そしてあの3人の中でリーダー格と思われる少女は霊力は標準以上なのに、それを上手く使えないと言う変わった相手だったが、体術のキレとあたしを思うように戦わせまいとする、戦闘状況のコントロールは抜群に良く、思わずそう呟く

 

「それはどうも!」

 

足を掴まれているのを無視して、飛び上がりもう片方の足で蹴りを入れてくる。それを首を傾ける事でかわし、掴んでいた足を離し拳を繰り出す

 

「い、今殺す気でしたよね!?」

 

「いやいや、避けるって判ってたよ?」

 

なんで疑問系なんですか!と叫ぶ少女に思わず苦笑する。今まで溜まっていたストレスが一気に消えていくのを感じる、楽しいと単純にそう思う

 

「どれ少し本気を出してみるかな?」

 

霊力があるのにそれを使わない、その理由が知りたくて指で印を結ぶ。身体の中がカッと熱くなり、その熱が徐々に口まで込み上げてくる

 

「火遁の術ッ!!!」

 

息を吐き出すように、体の中で生まれた熱を口から吐き出す。それはあたしの目の前で弾けて広がる

 

「ッ!!!」

 

少女の顔が歪み、炎の中に呑まれる。そこまで力を練り上げたわけじゃない、目晦ましに近いそれだ。だけど突如目の前に炎が広がれば、身体を守ろうとするだろう……その反応を見ようと思ったのだ

 

「っつつう……」

 

「っ!すまない!!」

 

霊力を放出してあたしの炎を防いで見せたが、その額からは大粒の汗を流し、身体が小刻みに痙攣している。それに加え、霊体の様子がおかしい……慌てて駆け寄り治癒を施して理解した

 

「お前の身体、人間じゃないね?」

 

「……ええ、ソロモンのせいで身体を失いまして」

 

見かけも中身も人間だが、その要所要所に精霊石などの高純度の霊石などの霊石の存在が感じられる。霊力があるのに使えない理由、それは魂と肉体の拒否反応!慌てて治癒を施したが、少女は目の前で倒れる……無理に霊力を使ったから、意識を保っていられなかったのだろう……

 

「てめえ……やりやがったな」

 

最初に殴り飛ばした小僧と助けに行った2人が山の斜面を駆け上り戻ってきたが、周囲の焼け焦げた跡と倒れている少女を見て、その目に怒りの色を宿す

 

「おい、雪之丞。お師匠様とクシナ説得するの後で手伝え」

 

「……ちっ、しゃーねえな」

 

魔装術を展開した小僧の後でもう1人が球体を取り出す。それを見て無性に胸騒ぎがした……あれを使わせてはいけない。直感でそう感じたのだが……もう遅かった

 

【アーイ!オソレテミーヤーオソレテミーヤー!】

 

球体を握り締めている小僧の回りを青い禍々しい気配を持つ服が踊りだす。その服が持つ気配は既に瘴気、人間が触れてはいけない力だ

 

「変身」

 

【カイガンホロウ!心中!ゲッチューッ!ガクガクゴーストッ!!!】

 

その服は紐のような腕で小僧の首に手を伸ばすが、小僧はその腕を振り払う。その瞬間その身体はノッペラボウの姿へと変わり、その服を纏うと、錠前と鎖でその手足を封印する

 

(なんだあれは……)

 

ソロモンの魔神の出現はあたしも感じていた。そしてそれによって運命を狂わされた人間の事も予知した……だがこの力は想定外であり、予想外だった

 

「雪之丞!行くぞッ!」

 

「ああッ!最初から全開だッ!!」

 

同時に駆け出してくる2人にこれはとんでもない物を呼び出してしまったかもしれないと後悔したが、時既に遅し、もう賽は振られている。あたしは小さく溜息を吐きながら拳を握り締め、凄まじい勢いで突進してくる2人に対峙するのだった……

 

 

 

 

ホロウとなると魂の奥がざわめく、自分が自分じゃなくなるような……魂を削られているかのような不快な感覚

 

「おおおおおおッ!!」

 

判っていた事だ、ホロウの中に眠る悪魔はまだ俺の身体を諦めていない、隙あれば俺の身体を奪おうとしている。時間をかけるわけには行かない、必然的に速攻しかない。雄叫びを上げながら拳を繰り出す

 

「ちっ!」

 

綱手が舌打ちしながら後方に飛びのく、それを見て雪之丞が追撃にと駆け出す。だが俺の目は捉えていた……綱手の指が何かの印を結ぶのを

 

「馬鹿!罠だッ!!」

 

「風遁!暴風激の術ッ!!」

 

鋭い呼吸音と同時にその息が暴風の名の通り、砂煙を上げ、石を砕き俺と雪之丞に迫る。とっさに両腕をクロスして顔を守るが……

 

「「ぐううっ!!!」」

 

巻き上げられた木や石、そして風の塊が叩きつけられる衝撃で思わず苦悶の声が零れる。それは数秒の攻撃だったが、その数秒俺と雪之丞はその暴風に耐える為に完全に足止めされた。風が止んだその瞬間

 

「ぐっふっ!!」

 

腹にめり込んだ綱手の拳。だが俺はそれを拳と最初認識できなかった……拳大の鉄の塊のように思えたのだ

 

「その力は嫌な予感がする、悪いけどさっさと意識を刈り取らせてもらうよ」

 

「陰念!」

 

綱手の心配そうな声と雪之丞の俺を呼ぶ声が聞こえたと思った瞬間。凄まじい衝撃が連続で2回叩きつけられた……俺の身体はまるでボールのように弾け飛び木々を薙ぎ倒しながら山の奥へと弾き飛ばされた

 

(ぐ、ぐうう……)

 

立ち上がろうとするのだが身体に力が入らない。衝撃としか理解出来なかったが、恐らく綱手の拳は俺の顎を打ち抜いていたのだ、三半規管が揺らされバランス感覚が狂わされているのだ……だがそれよりも俺は不味いと直感していた

 

(だ、駄目だ……)

 

その凄まじいダメージに意識が薄れていく……だがそれと同時に俺の中で何かが暴れ始める。眼魂の中に封じられた悪魔が俺の意識が薄れた事で活性化していた。必死に意識を保とうするが……あまりに大きいそのダメージ、意識を失うなと何度も何度も自分に言い聞かせたが、綱手の言っていた意識を刈り取る。その言葉に嘘は無く、俺の抵抗は無意味であり俺の意識は苦痛と共に闇の中に沈んで行った……意識が途切れるほんの少し前

 

【ホロウ、フォロー、嘆きのソウルッ!!!】

 

鎖の弾け飛ぶ音と獣じみた唸り声を聞いた気がした……

 

 

 

 

また、クシナとママお師匠様に叱られるのは覚悟して眼魂を使った陰念。横島と同じ力だが、横島のと違い暴走する危険性はあるということは知っていた、だがクシナが倒れているのを見て頭が血が上っていたことは認める。本来俺が止めるべきだったのだが……俺もGOサインを出してしまった……その結果がこれだ

 

【ウォオオオオオオオッ!!!!】

 

山全体を震わせるような咆哮と共に陰念が木をなぎ払いながら姿を見せた。だがその姿は先ほどとはまるで異なる姿をしていた……青いパーカーはまるで闇その物のような漆黒に染まり、胸の中心にあった錠前は存在せず両肩のプロテクターは3つ爪の鉤爪になり両腕に装着されていた。そして猫背で獣じみた唸り声を上げるその姿を見て

 

「陰念?」

 

思わずその名を呼んだ。その瞬間陰念の顔がこっちに向けられた。その瞬間身体が金縛りにあったかのように動かなくなった……叩きつけられた殺気に完全に威圧された

 

【オオオオオオオオオオッ!!!】

 

地面を蹴りこっちに飛び掛ってくる陰念の姿が見える。この瞬間俺は理解した、逃げても、防いでも、反撃してもだめだと……森の中で出あった肉食獣のように逃げる事も、防ぐ事も出来るだろう。だが結果は変わらない、殺されるという結果は……変わらない。呆然と動く事が出来ずにいると綱手が俺の前に回りこみ、飛び掛ってきた陰念の頭部に回し蹴りを叩き込み蹴り飛ばす

 

「おい!あれはなんだ!何でもいい、知ってる事を言え!」

 

そう怒鳴る綱手。俺はママお師匠様から聞いた限りの事を話した

 

・ガープによって憑依させられた悪魔を封印している球体

 

・あれがないと陰念は霊力を使えない

 

・陰念の意識があれば表に出てくることは無いが、気絶すると表に出てくる可能性がある

 

・悪魔の力を引き出して霊力を使っている、錠前があれば大丈夫

 

途切れ途切れにしか思い出せないが、確かそんな話だったと告げると綱手はそうかと呟き、親指を噛み切る

 

【オオオオオオッ!!!】

 

「悪いね、陰念。あたしのせいだ……憂さ晴らしに喧嘩なんて売ったあたしのせいだよ」

 

飛び掛ってきた陰念に対して申し訳無さそうに口にした綱手で、血で空中に文字を描いた

 

「あんたが狂わないように重ね合わせて封印してやるッ!!四神結界ッ!!!」

 

力強く叫びながら印を結ぶとドズンッ!!と言う重い音を立てて、陰念の身体が地面に縫い付けられる。よく見るとその手足には巨大な4つの鉄の杭みたいなのが突き刺さっているのが見える

 

「だ、大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫だよ。動きを封じているだけだからね」

 

【オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!】

 

鼓膜が破れるんじゃないかという咆哮が森の中に響き渡る。思わず耳を塞ぎたくなるが話を聞かなければならないのでそれを我慢する。綱手は耳を塞ぎながら、凄まじい音を立てて暴れる陰念を見つめて

 

「とは言っても凄い力だ。あたしの結界を力づくで破ろうとする相手なんか初めてだ」

 

そう呟いた綱手はゆっくりと陰念に近づき

 

「ふんッ!!!」

 

拳を硬く握り締め、陰念の頭部に振り下ろした。陰念の身体が更に地面にめり込み

 

【オヤスミー】

 

機械的な声でそんな声が響くと、陰念の姿が元に戻る。綱手はそんな陰念を背負いながら

 

「あんまり時間が無い、あんた達が泊まっている旅館に案内してくれ、そこできっちり封印を施すから」

 

案内してくれと言う綱手に頷き、俺は陰念と同じように意識を失っているクシナを背中に背負って、綱手と共に山を駆け下りるのだった……その後は旅館の俺達の泊まっている部屋で綱手が何か幻想的な術を行っているのを呆然と見つめ

 

「いっつつつ……雪之丞?ここは……陰念!?何!?何があったの!」

 

目を覚ましたクシナに事情を説明したら、全力で拳骨を落とされ

 

「どうして止めなかったの!この馬鹿ッ!綱手さん、陰念は大丈夫ですか!?」

 

「何とかね。でも定期的に封印を掛け直さないと不味いかも……あんた達どこで暮らしてる?あたしも近くに移住するよ」

 

拳骨を落とされた頭を抑えながら、俺達の横島の事務所での最初の依頼はこうして幕を閉じ、横島に負担を掛けないようにこの事は決して話はいけないとママお師匠様とクシナ、それにクシナに呼ばれたメドーサと綱手の4人に陰念共々こっぴどく叱られる事になるのだった……

 

後、白竜寺に住むことになった綱手がどうなっただが……

 

「よし、良い霊力の練り込み。ただ荒いね、もう少し丁寧に練りこむことを覚えな。そうすれば魔装術の安定度も増すよ」

 

「うっす!!」

 

「陰念はもっときっちり基礎トレーニングね。少ない霊力を使うんじゃなくて、外の霊力を使うことも覚えるのよ」

 

「はい、お師匠様ッ!!」

 

ママお師匠様と共に俺達の新しい師匠として恐ろしいほど早く、白竜寺に馴染み

 

「三蔵、もうちょい感覚じゃなくて丁寧に教えてやれないのかい?」

 

「あはは……そういうのはちょっと苦手かなあ?」

 

「ったく、しょうがないね。ほら、霊力の扱いの苦手な子はおいでコツを教えてあげるからね」

 

ちょっといい加減な所のあるママお師匠様とちょっと口は悪いが、優しい綱手師匠。2人の美人なお師匠様として白竜寺へ受け入れられるのだった……

 

 

リポート18 福の神 頑張る その1へ続く

 

 




白竜寺のお師匠様その2として綱手INしました。メインがどうしても横島になってしまうので別件でちょくちょくで白竜寺の面子も強化して行こうと思います。そして陰念が気絶するとビーストモードとへと移行するホロウ魂。別件でさっくりとした感じで書きましたが、今度書くときはもっとしっかり書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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