GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回も前回に続き、六道での話を書いて行こうと思います。最後のほうで悪巧みしているガープとかを入れたいかな?と思っております。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

リポート18 福の神 頑張る その3

 

横島さんと蛍ちゃんの六道女学院の体験入学の2日目。私は美神さんの指示で2人に同行していた

 

【美神さんが言うには、横島さんを六道に入れる為だけに共学にするとか考えていると思うから、教師を信用しないようにと……】

 

私の言葉に横島さんと蛍ちゃんが心底嫌そうな顔をする。昨日はシズクちゃん達が同行していたらしいが、今日は2人の姿は無く。横島さんと手を繋いでいるアリスちゃんとチビちゃんとうりぼーちゃんとタマモちゃんといういつもの面子だ

 

「結構助けてもらっているし、悪い人じゃないと思うんだけど……」

 

「でも善人とも言えないわよ、計算高いし……ちょっと素直に信用するには怖いかも」

 

バスを待っている間。昨日よりもちょっと警戒して過ごしましょうと言う蛍ちゃんと横島さんを見ながら

 

(一文字さんとか弓さんはどうなんだろう……)

 

私が生き返るのはもう少し先……だと思う。生き返った後は友人関係だったけど、今幽霊の姿で会っても大丈夫かな?と言う不安を抱きながら、バスに乗り込んだ2人の後を追って、私もバスの中に移動するのだった……

 

【1つの教室全部使っているんですね】

 

霊能科の棟の空き教室が横島さん達の待機所になっているらしい。1つの教室を丸々使わせて貰っているなんて思っても無かった

 

「お兄ちゃん、えーい」

 

「っとと」

 

アリスちゃんは自分が背負っていた鞄からボールを横島さんに投げ渡す。横島さんはそれを受け取り、アリスちゃんに投げ返す

 

「へへー♪」

 

横島さんに遊んで貰っているのが嬉しいのか、幸せそうに笑っているアリスちゃんに横島さんは近寄って、うりぼーちゃんとチビちゃんと一緒に遊び始める

 

【良いんですか?】

 

「いいのよ、本当体験入学って形だけみたいで、好きに授業に出て、好きに見学して、好きにうろついて良いって」

 

それ体験入学って呼んで良いんですかね?と首を傾げる。とても体験入学には思えないんですけど……

 

「それよりも小鳩さんが入学してる」

 

【本当ですか!?】

 

蛍ちゃんの言葉に思わず本当ですかと叫んでしまい。アリスちゃんと遊んでいた横島さんが振り返り

 

「どうかした?」

 

何かあった?と尋ねてくる横島さんに慌ててなんでも無いですよ!と返事を返し、蛍ちゃんに頭を寄せる

 

【本当に?】

 

「うん、しかも福の神と一緒。私を見て驚いた様子だったから、記憶があるかも知れない」

 

小鳩ちゃんは強かで、横島さんを計算高く狙っていた……そんな相手がいるなんて思っても無かったので、正直かなり驚いた

 

【小鳩ちゃん自身は?】

 

「記憶は無さそう。でも横島に熱っぽい視線だったわね」

 

……前のアパートじゃないのに、なんで横島さんと小鳩ちゃんが出会ってしまったんだろう?思わず溜息が出てしまう

 

「私はあんまり小鳩さんに詳しくないから、おキヌさん。どんな様子か見てくれる?」

 

【はい、大丈夫ですよ】

 

あの人は笑ったまま嘘をつける人だ。そしてそれを隠し通す術にも長けている……私も完全に見破れるか自信は無いけど、1度会ってみよう。そう思ったとき教室の扉が開き

 

「教師からの命令で1週間ボクも君達と一緒に教室らしい、くひひひ♪よろしく」

 

……柩ちゃんがくひひっと笑いながら入ってきて、蛍ちゃんを見ると疲れたように溜息を吐く……体験入学って聞いて平和に過ごせると思っていたのに……やっぱりまた何かありそうな予感がして、私も深く溜息を吐いてしまうのだった……

 

 

 

 

横島がくれたチョーカーのおかげで、未来視の暴走は収まった。そして薬の量も減った……それは良い事なんだけど

 

(行動を読まれるようになっちゃったんだよね)

 

未来視に制限が掛かったので、自分の生死(横島もついでに)に関わる未来のみに限定し、未来視をしていた。だけどそれのせいで今度は会長殿達の行動を読めなくなった。そのおかげで気がつけば六道に編入され、そして今は横島と同じ教室だ

 

「うりぼー、ほーれ」

 

「ぴぎー♪」

 

「うりぼー上手だね♪」

 

横島の投げたボールをジャンプして、鼻で投げ返すうりぼー。モグラが居ない変わりにうり坊がいる……一体どういう経緯でと疑問を感じずにはいられない

 

「柩。最近見なかったのってもしかして編入手続きとか?」

 

仲が良いと言う訳ではないが、それでも蛍とも美神とも世間話はする。ましてや後4日間はクラスメイトのような物なのだから、つっけんどんにする必要は無いので普通に話をすることにした

 

「……くひっ!そんな所だね」

 

チョーカーを外せば未来視の制限が外れるが、文字通り折角人並みの寿命になるかもしれないと思えばチョーカーを外す気にはならない

 

「1ヶ月に2回、2回だけ全力の未来視をしてるんだけどね……先のことばかり見ていて、近々起きる事が読めないんだよ」

 

チョーカーを外して全力の未来視をする時間は30分ほど、しかもその内容もガープとかの襲撃などを重点的にし、暴走する前に再びチョーカーを装着しているので、自分の未来まで見ている余裕は無い

 

【ちなみに何か見えたんですか?】

 

「くひひ、ぜーんぜん。あ、でも蛍と横島が過去に行ったのは知ってるよ」

 

未来視で見たからね、でも何時行くかとかは判らないから何も言わなかったし、美神の超レア技能を公にするつもりもなく、ボクの胸の中に留めておいたよと笑うと、蛍はそれなら良いけどと呟き

 

「1ヶ月に2回って言ってたけど、次は何時?」

 

「明後日かな。新月か満月の時が良いんだよ」

 

月の満ち欠けの時に未来視すると短時間で必要な情報を手にしやすいので、その時が都合が良いのだ

 

「それよりも1限目の授業には出ないのかい?」

 

「普通の教科じゃね……それなら図書館とかで本を見たりしたほうが良いと思わない?」

 

なるほど、だから横島は遊んでいるのか……ん?横島の方に視線を向けるとうり坊が6匹に増えて、なんかアリスの指揮でぴぐぴぐ鳴いている……

 

「あれも妖怪かな?」

 

「……乙事主かも知れない」

 

……いや、それ日本で最大級ともいえる知名度の神獣じゃないか……と言うかなんで、そこまで考えた所で大分前に会長殿に伝えた山のことを思い出した。でもその時は山を破壊され、怒り狂った乙事主が周辺を更地にすると言う未来だったと思うんだけど……

 

「……もしかして神の山関係かな?」

 

こくりと頷く蛍。また未来を変えた……その事に本気で驚くし、凄いと思うのだが……

 

「「「「「ぷぎゅー♪」」」」」

 

「くすぐったい!やめ、こらこら!止めろー」

 

「あはは、くすっぐったいよー♪」

 

ちょっと大きくなったうり坊とアリスに囲まれて、楽しそうに笑う姿に自分がどんな存在と一緒にいるのか?それを確実に理解していないだろう。と言うか、横島に教えてない可能性が高いかな

 

「くひひ、君達も大変だね。所であれいいのかな?」

 

ボクは多分初めて心の底から、他人に同情した。少し離れた所で見ている分には面白いが、側にいる人間は大変なんだろうな……更に巨大化し増えたうり坊に飲み込まれるようにして消えていく横島とアリスを見て、蛍とおキヌが慌てて救出に向かう姿を見て、ボクはくひひっと笑うのだった……やっぱり見ている分には面白いから……

 

 

 

 

福ちゃんは正確には使い魔じゃなくて、神様なんだけど、私は使い魔学科に配属される事になった。神憑きだから憑依や、神託という学科も合ったらしいが専門的な知識が多すぎて、理解出来ないだろうという判断らしい。

 

「小鳩さん、多分今日も横島さんが来ると思うよ」

 

「え。そ、そうなの?」

 

カソと言う火鼠を使い魔にしている藤村さんが、カソの顎の下を撫でながら教えてくれる

 

「横島さんは使い魔学科に良く来てくれるしね」

 

「……ちょっとずれてるけどね」

 

使い魔学科の生徒はそんなに多くないから皆の名前を覚えたけど、ちょっと怖いと思っていた葉月さんや、篠村さん、それに火野さんも横島さんには割りと友好的だった

 

「横島さんってそんなに結構来てくれるんですか?」

 

結構と言うか……六女に来た時は大体顔を出してくれるわよ?と全員が答えた

 

「私達よりも凄い妖使いだしね?」

 

「それに使い魔も皆良く懐いているし……薫のキョンシーと違って」

 

そう苦笑する火野さんの視線の先を見ると篠村さんが2人のキョンシーに悪戦苦闘していた

 

「ごめんって!ほらプリン!プリン上げるから」

 

【【キシャーッ!!】】

 

「きゃあー!髪!髪止めてええ!!!」

 

……キョンシーに髪を引っ張られて泣いているのを見て、大丈夫なんですか?と尋ねる

 

「大丈夫じゃないけど、信頼関係ゼロだから仕方ないわね」

 

天城さんはそう言いながら、自信の足元に伏せていた炎を纏う犬……狼かな?の頭を撫でる

 

「そもそもキョンシーなんて言う使い魔を選んだ段階で扱いにくいでしょうに」

 

「たーすーけーてーッ!!!」

 

【【シャアアアアアッ!!!】】

 

キョンシーに追い掛け回されている篠村さんを助けようか悩んでいると、教室の扉が開き

 

「見学に……【【ニャー♪】】うおう!?」

 

横島さんが入ってくるなり、篠村さんを追い掛け回していたキョンシーが猫みたいに鳴いて横島さんに突撃する。

 

「大丈夫かしら?」

 

「……ぐすっ……どうして言う事を聞いてくれないの……」

 

へたり込んで泣いている篠村さんを励ましている短い黒い髪の女性。芦GS……近くで見て思うけど、綺麗な人だ。それに優しそう

 

「ゾンビだ!こんにちわ!アリスだよ?」

 

【【シャー♪】】

 

青いエプロンドレスの少女が自己紹介すると、キョンシーは横島さんからアリスちゃんの方に移動し擦り寄っている

 

「ぴぐ」

 

「みーむぅ」

 

「ココーン」

 

【お邪魔しまーす】

 

尻尾を振りながら小さな猪と、ふわふわと空を飛ぶハムスターくらいの生き物と、鮮やかな金色の毛をした狐。そして最後に巫女の幽霊さんが入ってきて、扉を閉める。私は思わず隣に居た藤村さんに

 

「これって普通なんですか?」

 

違うに決まってるでしょ?と笑う藤村さんに横島さんの周りが特別なんだと、私が理解するのにそう時間は掛からなかった……

 

「よし、うりぼー。これだ、見たな?」

 

「ぷぎゅう♪」

 

「良し、取ってこーいッ!」

 

横島さんがフリスビーを投げて、それをうりぼーが凄まじい勢いで追いかけて行き

 

「ぴっぐう!」

 

「「「「おー」」」」

 

ジャンプして空中でフリスビーを受け止める。うりぼーに私を含めて皆の拍手が出る

 

「よーしよし!偉いぞー」

 

「ぴぐう」

 

フリスビーを咥えて戻って来たうりぼーの前に座って、偉い偉いと撫で回す横島さん。その姿は犬を飼っている人みたいに見えるんだけど……撫でているのは猪である

 

「良し、今度はチビだ。これな」

 

「みむ」

 

「良し、とってこーい!」

 

「みむー♪」

 

空を飛んでハムスター(グレムリンと言うらしい)がボールを追いかけていく、その姿は愛らしいし、とても見ていて平和な気分になるんだけど……これ授業なのかな?と福ちゃんと一緒に首を傾げる

 

【なぁなぁ、これ何の授業なんや?】

 

「使い魔と仲良くなる時間よ、信頼関係が無いと、篠村見たいになるからね」

 

キョンシーに噛まれたり、追いかけられたりするのを見ているとちょっと怖い。福ちゃんはそんな私を見て

 

【大丈夫。ワイはそんなことしないで】

 

「うん、ありがとう」

 

小さい時から一緒にいるから、信頼関係は大丈夫だと私も思っているから、こうして面と向かって言われると凄く安心する

 

「じゃあ皆も使い魔とスキンシップをしてください」

 

担当の先生の声を聞いて、自身の使い魔と思い思いの時間を過ごすクラスメイトの皆……

 

「お姉ちゃん。この子達アリスに頂戴♪」

 

「え、いや、駄目……私の使い魔居なくなっちゃう」

 

「懐いてないから良いでしょ?アリスに頂戴」

 

「駄目。お願いだから……帰ってきて」

 

篠村さんの使い魔のキョンシーがアリスちゃんに懐いてしまい。頂戴、駄目と言う押し問答を繰り返している……私はどうしようか悩んだけど、芦GSと一緒にうりぼー達と遊んでいる横島さんの方に足を向けた。折り机と椅子を用意して、何か話しているので、邪魔かなとは思ったのだが、やっぱりもう1度ちゃんとお礼を言っておこうと思ったのだ

 

「あの、あの時はありがとうございました」

 

悪霊に追われてる時に助けてくれてありがとうございましたともう1度お礼を言う

 

「そんなに気にしなくて良いのに、それより小鳩ちゃんは福の神だったっけ?」

 

横島さんが私の顔の横を浮いている福ちゃんを見てそう尋ねてくる

 

【ども、福の神やってますねん、よろしゅう】

 

にこにこと笑いながら福ちゃんが頭を下げる。そんな福ちゃんを怪訝そうに見つめる芦GSとおキヌさん

 

「えっと芦GSに、おキヌさんでしたよね?福ちゃんがどうかしましたか?」

 

私がそう尋ねると、2人は小さく笑みを浮かべ

 

「ううん、なんでもないの、福の神なんて初めて見たから珍しくてね。あ、それと芦GSじゃなくて蛍で構わないわよ?」

 

芦GS……ううん、蛍さんは私が思っていたより優しい人だったみたいで、小さく笑みを浮かべながらそう言う

 

「じゃあ花戸小鳩です。よろしくお願いします」

 

改めて自己紹介をし、他の生徒と違って福ちゃんは明確なコミュニケーションを取れるので、私は勧められるまま、横島さん達が腰掛けているパイプ椅子を自分の分も組み立て、福ちゃんの話をしながら横島さんと蛍さんと話をするのだった……ただ最後のほうで

 

「あの白い私ってなんですか?」

 

私のことを白いとか言ってた2人の小声が気になり、どういう意味か問いかける

 

「【気にしないで、こっちの事だから】」

 

声を揃えて言う蛍さんとおキヌさんに私と横島さんは揃って首を傾げ、福ちゃんが何故か滝のような汗を流しているのが妙に気になったのだが

 

「お兄ちゃーん!あそぼー♪」

 

アリスちゃんが大声で横島さんを呼び、横島さんもそれに答えて席を立った事でその奇妙な雰囲気は一瞬で霧散してしまうのだった……

 

 

 

 

 

六女の体験入学をしている横島GSと芦GS。本来の課題とは異なり2人が滞在している1週間は六女の生徒は特別な課題を出されていた。それは2人の動きを見て何を思ったのか、何を感じたのかをリポートとして纏めると言う物だった。1日ごとに提出されるリポートの山を見て私は笑みを隠す事が出来なかった

 

「やっぱり~横島君は最高だわ~」

 

横島君の世間一般の評価は才能に物を言わせ、琉璃ちゃんや令子ちゃん、私に気に入られていると言うのがGSの間での一般的な評価だ。なんせ通学しているのは普通の高校で霊能科も無い、霊能の勉強をし始めたのは中学と余りに遅い。才能に甘えていると言われても仕方ないが、実際はそんなのは能力のないGS崩れの僻みに過ぎない

 

「うんうん、本当に良かったわ~」

 

六女は女子高なので男の子の横島君を体験入学させるのは、中々骨だったけど、無理にでも体験入学させて正解だった

横島GSについて感じた事として多いのは

 

「その独創的な思考と臨機応変に対応出来る応用力は尊敬します」

 

「組み手をしたときに感じたのですが、雲か何かを相手にしているみたいで掴み所がなくて、気がついたら倒れてました」

 

「正攻法じゃないから真似しない方がいいといわれましたけど、正攻法で通る事が少ないから色々覚えたのだと思いました」

 

「使い魔との距離感、接し方がいかに大事か、そして信頼関係を築く大切さを感じました」

 

「……横島GSはロリコンなのでしょうか?なんで外人の女の子にお兄ちゃんと言われているのか気になりました」

 

なんか一番最後は余りにあれなので、気にしない方向で行きましょう。たった2日で横島君の評価は大きく変わり始めていた

 

「蛍ちゃんもいい感じ~♪

 

芦GSについて感じたことについてでは

 

「どの霊能もバランスよく鍛えられていて、攻撃だけではなく感知や調査も大事と言う事を改めて思いました」

 

「親切にアドバイスしてくれて、実際の除霊現場で起きうる自体と言う事も教えてくれてとても勉強になりました」

 

「横島GSのような奇天烈な行動はしませんが、理詰めで詰め将棋やチェスのように追い詰められる感じがしました」

 

などと正道な戦術に秀でている蛍ちゃんと邪道な戦術に秀でている横島君との合同授業と言うのは、六女にとってとても良い刺激になっている

 

「除霊は教科書通りじゃないからね~」

 

除霊は1分、それこそ1秒で状況が良くも悪くも劇的に変わる、確かにある程度は決められたパターンという物がある。だけどそれはあくまで1つのパターンと言う物だ。そうなると思い込むのが六女の生徒の悪い所で、六女の生徒で優秀なGSがいないと言われる理由だったが、今回の事でちょっと良い教訓になりそうだ

 

「もうちょっと刺激が欲しいかな~」

 

横島君はどうも守りに徹しているようだけど、それでは横島君のためにもならないし……

 

「うん、明日は~横島君にも攻撃するようにお願いしてみましょ~」

 

横島君本来の奇抜な動きを見て、皆がどう思うのか?そしてそれはそのまま除霊現場にも通用する経験になるはず、私はそう確信し明日は横島君にそうお願いしようと心に決め

 

「冥子~明日。横島君が組み手をするから見に来なさいね~」

 

「え、あ、はい~判ったわ~」

 

六女の生徒も大事だけど、冥子にももう少し頑張ろうという意志を芽生えさせる為には横島君が一番の刺激になる

 

「もうちょっと~積極的になってくれるといいんだけどね~」

 

横島君に頼って欲しい、頼れる人になりたいとおもっている冥子。それが好意によるものと言うのは明らかなのに、余りに奥手すぎる。わが娘ながら情けないわ~と私は深く溜息を吐くのだった……

 

「私が後20年若ければね~」

 

横島君の血を六道に入れるために何でもしたんだけどと思わずに入られなかった

 

「ひっ!」

 

「ん?横島どうかした?」

 

「……い、いや、今何かとんでもない寒気がしたんだけど……」

 

【うりぼーちゃんにもたれて寝てましたけど、床で身体が冷えたんじゃないですか?】

 

「そうかもしれないかな。明日はうりぼーの上で昼寝しよっか?」

 

「うん!そうするー♪」

 

横島はその類稀なる危機察知能力で自身に迫る危機を感じ取っていたが、それを床の上で昼寝していたからだと勘違いしていたりするのだった……

 

 

 

 

キーボードを叩き、表示された数値を見て舌打ちし、今入力した数値を全て消去する

 

「教授。理論値は?」

 

「……+45、-7」

 

教授の言葉に眉を顰め、再び計算しなおす。今まで私が英霊召喚をしたのは3回。まず冥界の女主人「エレシュキガル」だが彼女は私の制御を離れ逃走した。ホムンクルスの身体に顕現したからか本来の権限には程遠いが、私達よりも強力だった。そして2回目は教授、人間の英霊だから制御できると考えたが、やはり離反。しかしその知性を失うのは痛く、その精神を2つに分けることで従順になったが、命令しないと活動しないのでは役に立たない。そして3回目は「ジャンヌダルク」離反すると計算し、狂神石と精神操作で属性を反転させたが、横島の行動によって自我を取り戻した……

 

「まだ計算しているのか?」

 

「アスモデウスか、当たり前だ」

 

私の研究室に入ってきたアスモデウスに当たり前だと返事を返す。雑兵は多くても、突破力に長けた味方は少ない。大将であるアスモデウスが先陣を切るのは士気をあげるだけではない、純粋に人員不足なのだ

 

「ジャンヌダルクやエレシュキガルのように、逆らう手駒を使うのは危険すぎる」

 

「ああ。だから今度は観点を変えてみようと思う」

 

英霊を支配下に置き、ホムンクルスの肉体で操る。それは最終的な目的だ……理想とすれば、超人ヘラクレス、英雄王ギルガメッシュ、施しの英雄カルナなどの超級の英霊を支配下におきたいとは思っている。その為の触媒も確保している……だが

 

「私はこう考える、急ぎすぎていたのではないかと」

 

理論を試したい、実験データが欲しいと焦りすぎていた。英霊と言う星の抑止力を使役する、戦力を確保する。それだけに固執していたのではないか?と私は大いに反省している。召喚したはいいが、横島の陣営に行かれては眼も当てられない。それはジャンヌダルクで嫌と言うほどに理解した

 

「それで?では何をするつもりなんだ?」

 

「最近合流した人狼に非常に面白い話を聞けた」

 

元々は日本の生まれの狼男だが、何年か前に海外へ逃げ出し、そしてそこでアメリカの人狼と婚姻したという経歴を持つ珍しい人狼の子孫から聞いたのだが

 

「日本に魔狼フェンリルを封印している剣があるそうなのだ」

 

「それはありえないだろう」

 

もし封印されているなら北欧だ。日本なんて島国に封印されている訳が無いとアスモデウスは即答する

 

「私もありえないと思っているがまずは情報収集だ。そしてもし偽者だとしても、フェンリルと勘違いされるだけの霊核があればいい」

 

魔人と同じく制御するのではなく、魔界に放してやればいい、そうすれば勝手に大打撃を与えてくれる

 

「そして英霊とは程遠い存在を呼び起こせばいい。まぁこれは話すつもりは無いがな」

 

また秘密主義かと肩を竦めるアスモデウス。本当は説明したいのだが、まだ情報が足りないのだ

 

「待っていてくれ、今度こそ上手くやって見せるよ」

 

「期待してる」

 

そう笑って研究室を出て行くアスモデウス。私は既に3度失敗している、今度こそ、今度こそは成功してみせる。その為には入念な趣味レートだ

 

「む、また駄目か。次だ、教授」

 

「……了解」

 

85回目の計算の失敗、だがこの段階の失敗など何度してもいい、実行するまでに成功に近いデータを取ることが出来ればいいのだから……私と教授は86回目のシュミレートに向けて、また計算を始めるのだった……魔狼の雄叫びが上がる日は近い……

 

 

 

 

リポート18 福の神 頑張る その4へ続く

 

 




怪しいフラグをしっかり立てておきました。次回は弓や一文字の視点で話をかいていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い

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