GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

121 / 232
どうも混沌の魔法使いです。今回は弓や一文字の視点を書いて行こうと思います、横島とその周辺を見ている霊能者はどう感じるのか?と言う感じの話に出来たらと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その4

 

 

リポート18 福の神 頑張る その4

 

 

お母様から言われて横島君と蛍ちゃんの組み手の稽古の見学に来たんだけど~正直横島君と蛍ちゃんが負ける姿なんか想像できなくて、やっぱりそしてその結果も私の予想通りだった

 

「思い切りはいいけど、それだけじゃ駄目ね」

 

「あいた」

 

頭の上の風船を割られると負けと言うルールで蛍ちゃんと横島君1人ずつに対して、六女の生徒は10人1組。普通に考えれば数の多い六女の生徒の勝ちなんだけど~それはあくまで普通の人間が相手の場合だ。除霊をしていれば、相手の方が数が多いと言うのはザラだ、令子ちゃんの所で助手をしている2人なら~乱戦は嫌ってほど経験してる

 

「隙を狙ってって言うのは良いけど、霊体ボウガンは生身相手じゃあ、そんなに効果ないわよ」

 

神通棍でボウガンを叩き落とし、そのまま頭を叩いて紙風船を割る蛍ちゃん。令子ちゃんと同じで正攻法な戦闘スタイルなので六女の生徒には凄く勉強になると思うわ~問題は

 

「ていていてい!!」

 

「あいた!?」

 

「空中走って!?あた!?」

 

「腕が伸びてー!?」

 

横島君の方ね~彼は本当に自由にさせるととんでもない戦法を思いつくのよね~

 

「冥子も見学に来たんだ?」

 

「うん~お母様がねえ~見に来なさいって言うから~」

 

マルタに見学に来たのよ~と言うとマルタは苦笑しながら

 

「それ騙されてるわよ?見学に来たら横島と組み手させなさいって聞いてるわよ?」

 

「えええ~」

 

横島君と蛍ちゃんが頑張ってるところを見に来たのに~横島君が栄光の手やサイキックソーサーを自由に使いこなし、上下左右縦横無尽に攻撃を繰り出す。その自由さと予想外の方向から繰り出される攻撃は除霊での悪霊の攻撃の模範と言えば判りやすい。真正面から攻撃してくる悪霊なんていないから、横島君の奇抜と言うか~定石とは程遠い動きに何処まで対応出来るかね~六女の理詰めの考えとは真っ向から異なる横島君の動きにどこまで喰らいついていけるかよね~と思っていると私にも紙風船が渡される

 

「やらないと駄目~?」

 

「頑張れば横島が凄いって言ってくれると思うけど?」

 

横島君に凄いって尊敬してもらえる……私は少し考えてから、持ってきていた重箱をベンチの上に置いて

 

「頑張るわ~」

 

丁度決着がついた所なので私は横島君に声を掛ける

 

「次はね~私よ~」

 

「え?冥子ちゃんと?」

 

困惑してる横島君。私も困惑してるので~それはお互い様よね~

 

「えーっとなんで冥子さんと勝負を?」

 

「お母様が~」

 

蛍ちゃんの質問にお母様の命令なの~と言うとあーっと言って納得してくれたようだ

 

「じゃあルールは一緒、紙風船を割られたら負け。紙風船以外を攻撃しても良いけど、常識の範囲内で」

 

マルタの説明に頷きながらも、心の中で横島君と私の相性のことを考えていた。

 

(なんで勝負しろなんていうの~)

 

横島君は動物に好かれるのでショウトラちゃんとか凄く嫌そうにするのよね~お母様も判らないわけじゃないのに~でも横島君に良い所を見せたいから~頑張りましょ~

 

「アンチラちゃん~アジラちゃん~」

 

直接攻撃に長けているアンチラちゃんと間接攻撃に秀でているアジラちゃんを召喚する。サンチラちゃんとビカラちゃんではやりすぎてしまうかもしれないので、一番コントロールしやすい二匹を向かわせる

 

【キュー!】

 

「っと!」

 

アンチラちゃんの耳の攻撃を栄光の手で受け止めて、反撃でデコピンをする

 

【きゅ!?】

 

みゅーっと鳴きながら私を見るアンチラちゃん。うんうん、判るわ~横島君に攻撃されてショックなのよね~

 

「うっ、罪悪感が凄い」

 

横島君も胸を押さえているので、やっぱり今回のは早く終らせるべきだと確信した

 

「アジラちゃん~お願い~」

 

【ウー!!】

 

アジラちゃんが口を開いて炎を吐き出す、横島君が炎を見てサイキックソーサーを出した瞬間に追加で2体の12神将を召喚する

 

「あんまり熱くない?【!】え!?俺!?」

 

炎の中から横島君に変身したマコラちゃんを見て横島君が停止した瞬間に

 

「えい!」

 

メキラちゃんの瞬間移動で後ろに回りこんで、横島君の頭の上の紙風船を両手で割るのだった……皆がびっくりしてる中、私はピースサインをして

 

「私の勝ち~♪」

 

と笑い、変身を解除したマコラちゃんの頭を撫でてあげるのだった……

 

 

 

 

シズクがお弁当を用意してくれていたのでそれを机の上に広げ、皆でお昼にしながら冥子ちゃんとの試合を思い出す

 

「いや、あれ凄い驚きました」

 

「ふふ~自分と同じ顔が出てきたらびっくりするでしょ~?」

 

うふふと冥子ちゃんが笑う。自分と同じ顔が出てきたらそりゃ誰だってびっくりすると思う、卵焼きを頬張りながら蛍に視線を向ける

 

「悪霊向けの戦術じゃないですね、対人ですか?」

 

「うん~お母様が覚えておけって~あ、この卵焼き甘いのね~」

 

「あ、俺が好きなんですよ」

 

甘い卵焼きは俺が好きなのでシズクが良く焼いてくれる。甘いのは好きじゃないですか?と言うと冥子ちゃんはううんっと首を振り

 

「甘い卵焼きは~私も好きよ~あ!横島君と蛍ちゃんがいるって聞いたから~お弁当を作ってきたのよ~2人も食べて食べて~」

 

ショウトラの背中の上の重箱を机の上に広げる冥子ちゃん

 

「きゃー!おいなりさんじゃない!あんた気が効いてるわ!」

 

タマモがすぐに狐モードから人間モードになって、お稲荷さんを美味しそうに頬張る

 

「んーこの甘しょっぱい感じがいいわ。横島、これめちゃくちゃ美味しいわよ」

 

お稲荷さんが好きなタマモが言うのなら美味しいのは間違いないだろうけど

 

「ちょっと待って、はいあーん」

 

「みーむう」

 

「ぴぐう!」

 

あーんっと口をあけるチビとうりぼーの口に林檎を入れてやると嬉しそうに鳴く。その姿を見ていると

 

「あーん」

 

……アリスちゃんも口を開けていたので卵焼きを入れてあげると嬉しそうに笑う

 

「美味しい!私はパンとかの方が好きだけど、これも美味しいよ!」

 

そりゃアリスちゃんはどこからどう見ても外人さんだから、洋食の方が口に合うよなと思いながらタマモが絶賛してるお稲荷さんを手に取る

 

「あ、本当だ。美味しい」

 

「本当?嬉しいわ~」

 

にこにこと冥子ちゃんが笑う。寿司飯はやや酸味が強く、甘く煮られているお稲荷さんと一緒だと実に美味しい

 

「美味しいですね、冥子さんは料理お上手ですね」

 

蛍の言葉に冥子ちゃんはうんっと嬉しそうに笑う

 

「お花とか~琴とか~裁縫とか~お掃除なら私は誰にも負けないと思うわ~」

 

……多分冥子ちゃんにGSと言う職業はあんまり向いてないのかもしれないなあと思いながら、唐揚げを食べる。やや塩味の効いているこれは

 

「これおキヌちゃんだ」

 

【わ!判ったんですか!?】

 

「うん、判る判る、この煮っ転がしは蛍だろ」

 

「う、うん、そうだけど、本当に判るの?」

 

信じられないと言う感じの2人だけど、シズクもおキヌちゃんも、蛍も味付けの癖とかあるから判るんだよな

 

「……あ、これはアリスちゃんだな」

 

「わー!お兄ちゃん凄い!それアリスが作ったんだよ!」

 

……1個だけめっちゃでかいおにぎりだから、これアリスちゃんってすぐ判った。頑張って作ってくれたと思うのでそれを齧りながら、唐揚げを頬張りながら、話を元に戻す

 

「やっぱり対人型の技術は覚えないといけないんですか?」

 

「うん~そうらしいわ~私はそうでも無いけど~霊能科には稀有な固有技術を継いでる子もいるから~悪霊よりも人間に気をつけないといけないのよね~」

 

「結構聞く話ですよね。霊能って遺伝しやすいらしいですから」

 

【横島さんも気をつけるほうがいいですよ?】

 

「はは、俺男だぜ?なんで気をつけるんだ?」

 

女の子が気をつけるのは判るけど、男の俺が何を気をつけるんだ?と言うと、黙り込んでいた心眼が

 

【横島の血を入れようと、薬を盛ったりする相手がいるかもって事だ】

 

はははは、何を馬鹿なと思ったのが、深刻な顔をしてる蛍達を見て

 

「え?マジ?」

 

「「「大マジ」」」

 

嘘ーと言いたくなるが、その真剣な顔を見ればそれが本当の話だと判り、六女が全寮制なのってそういうのから守る為だったりするんだと理解し、霊能者って悪霊とかを倒すだけじゃなくて、もっと大変なこともあるのだとしみじみ思うのだった……

 

 

 

 

体験入学と言うか、今後GS業界を引っ張るかもしれない若手GSが見学に来ている。と思えば良い、聞きたい事があれば何でも聞きに行って良いと言う担任の言葉が合ってからは横島と芦の周りは話を聞きたい生徒で埋め尽くされてた。あたしはそんな2人を見ながら

 

(横島は変わってるな)

 

幽霊の巫女さんが背中に憑いているし、グレムリンとか猪とか狐を抱き抱えているし、明らかに外人さんの少女にお兄ちゃんって言われてるし。しかも今日は

 

【のっぶのぶー♪】

 

なんかノブノブないてる変な生物も一緒だし。あたしが横島を見ていて思ったのは変わった人だった……芦は弓とか似ている真面目な人って感じなんだが、横島は何を考えているのか今一良く判らない

 

「チビ、うりぼー」

 

ねこじゃらしをグレムリンと猪に向かって振る辺り、本当に変わっていると思うのだが、それはあたしも似たような者だ。悪霊に襲われている時にあたしは必死で応戦したのだが、どうやらその時の経験で霊力に覚醒したらしく、後日六道の教員にスカウトされ六女に転入したのだが……ぶっちゃけ馴染めない。完全なお嬢様学校に、不良の生徒のあたし……正直馴染める訳も無い。

 

「あのさ、横島GSちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 

だから横島GSに話を聞こうと思ったのだ。話を聞けば彼は普通の中学を卒業し、更に言えば今も普通の高校に通いながらGSとして活動していると聞いた。芦GSに話を聞くよりも、よっぽど参考になると思ったのだ

 

「俺に?別に良いけど……俺馬鹿だぜ?」

 

「お兄ちゃんは馬鹿じゃないよ?」

 

隣に座っている少女。アリスちゃんと横島GS達は呼んでいた、青いエプロンドレス姿に青い目金髪と明らかに日本人ではない。一体どういう関係なのだろうか

 

「いや?俺結構馬鹿だぞ?赤点ギリギリだし」

 

【でもそれは除霊を手伝ってるからじゃないですか?えーっと一文字さんでしたよね?どうぞ、座ってください】

 

巫女の幽霊さんにあたしの名前を呼ばれたことにも驚いたが、座ってくださいと言われたので空いていた椅子に腰掛ける

 

「みむ」

 

「ぷぎゅー」

 

【のーぶ♪】

 

変な生物が猫じゃらしを振って、それを追いかけているグレムリンと猪。めっちゃ楽しそうだ……なんと言うか横島の周りだけ、雰囲気が違うように見える

 

「……」

 

(怖ッ!?メッチャ見てる!?)

 

横島の膝の上で丸くなっていた狐がめっちゃあたしを見ている。牙むき出しだからめっちゃ怖い

 

「んー?タマモー、牙出してどうしたー?」

 

「グルルル」

 

なんかご機嫌斜めだな?どした?と能天気に笑う横島。だがタマモと呼ばれた狐はまだあたしを凄い目で見ている……本当怖い

 

「GSの事を聞きたいなら蛍だけど……俺に何か答えれるのがあると良いんだけど……」

 

「あたしはさ、一般の学校から転入したから、GSの事ってあんまりよく判らないんだよ」

 

そう切り出すと横島はそれは俺じゃない駄目だなと笑う。同じような経験をしている人じゃないと判らない話と言うのはある、多分弓とか芦は話があうと思うけど、経験も知識も足りないあたしにはその話を理解出来ない。実際授業にもついていけない部分もある

 

「どうやって霊能力があるって判ったの?」

 

「俺?俺は蛍にスカウトされたかな」

 

「スカウトって言うか、横島がナンパして私が受け入れたって感じよ」

 

そんな感じ、いや……そんな感じって言われても判らんし……と言うかナンパかよ。周りの女子生徒がじゃあ付き合ってるんですか?と盛り上がりながら尋ねる

 

「いや、俺が全然駄目すぎてなぁ……」

 

……あ、これ横島の方が尻込みしてるやつだ。芦が凄い深い溜息を吐いているから良く判る……とは言え、あたしは恋話とかをしたいわけではないので強引に話を元に戻す

 

「普通の学校に通ってて、GSやって……大変とは思わない……んですか?」

 

弓の眼力が凄いので途中で敬語にすると、横島は喋りやすいほうで良いよと笑いながら

 

「俺は大変とか思わないかな。毎日楽しくないか?」

 

楽しくないか?と逆に問いかけられ、困惑していると横島はグレムリンを抱っこしてそう尋ねてくる。意味が判らず、首を傾げると横島はグレムリンの顎の下を撫でながら

 

「判らない事が判るようになる、知らないことを知れる。それって面白いことだと思うけどな」

 

「みむう♪」

 

横島はグレムリンを撫でながらのほほんと笑う。横島の言葉は考えても無かったことだから、正直困惑した

 

「転入とか、入学した人ってさ、自分だけ違うとか、周りの人は凄いとか思うと思うんだよな。俺も同じだし、と言うか美神さんと蛍が凄すぎるし……」

 

その言葉にハッとした。横島はあたしよりも遥かに凄い人間を見ていて、そしてそれでもここまでやってきたんだと

 

「俺は馬鹿だけど、馬鹿だから色々覚えると思うんだよな。おキヌちゃんはどう思う?」

 

【わ、私ですか?そ、そうですね……私は幽霊だから、今見る物、あるものは皆新鮮で面白いですよ。だって私幽霊して300年ですし】

 

300年前の幽霊!?そのとんでもない言葉に思わず絶句するが、確かに300年前の幽霊ならば今あるものはどれもきっと新鮮だろうし、見たこと無いものばかりで面白いと思うだろう

 

「勉強して良い成績をとるのはまぁ、それも1つの楽しみ方だと思う。でもそれだけだと疲れるだろうし、面白くないだろ?もっと肩の力を抜いてさ、判らない事は判らない、だから知ってる人に助けて貰うとかして、一歩踏み出してみればいいんだよ」

 

俺なんてなんも判らんから蛍とか、霊能に詳しい人に頼りっぱなしだぜ?と横島は笑う

 

「前に踏み出してみれば……うん。きっと楽しい事も、面白いこともあると思うぜ?」

 

辛い事もあると思うけど、うん、きっとそれよりももっと楽しい事、嬉しい事、面白い事が沢山あると思う。そう言った時の横島の顔は私と同じ歳なのに、やけに大人びて見えた。1年生や中等部の子がお兄ちゃんっぽいって言っていた理由がこれかもと思った

 

「後はあれだな。迷った時は自分の心に従えって事だな、最後に大事なのは自分が何をしたいか?だと思うぜ」

 

そう締めくくった横島。経験談も混じったその言葉は進路相談や担任に言われるよりも、心に響いた。あたしは横島に相談して良かったと心の底からそう思うのだった……後日カウンセラーの殺生院先生のその話をしたら

 

「横島さんはのほほんとしていますが、かなり辛い事も大変な事も経験してますからね。ああいう人がカウンセラーとかに向いているんですよ」

 

と穏やかに笑い、あたしにおはぎと緑茶を差し出しながら

 

「そして私も出来る限りお力になりますわ。一文字さん、貴女はまず誰かに頼る事、そして助け合う事を覚えると良いですよ」

 

自分が劣っているなどと思わないでね?と笑いかけられ、あたしは素直にはいっと返事を返すのだった……

 

 

 

 

 

横島さんと蛍さんが高等部にいるのは知っていたが、人だかりがあって中々話を聞けなかった。今日も諦めて引き返そうかと思ったとき

 

「ぷぎゅ」

 

「みむう」

 

「あ、うりぼーにチビ。私の事覚えてる?」

 

前に一緒に川原でご飯食べたよね?と問いかけると、うりぼーは尻尾を振りながらぴぎーっと鳴き、背中の上のチビもみーむーっと鳴く、どうやら私の事は覚えていてくれたようだ

 

「横島さんと蛍さんに会いたいんだけど、一緒に行ってくれる?」

 

ぷぎーっと鳴いたうりぼーはそのまま少しだけ大きくなり、人だかりを突っ切って移動する。私はその後を早足で歩いてうりぼーの後を追いかけるのだった

 

「あ、アンちゃん。久しぶりね」

 

「ど、どうも」

 

私に気付いた蛍さんが小さく手を振ってくれるので私も振り返す、横島さんはうりぼーの前に座り込んで、犬を撫でるみたいにわしゃわしゃと撫で回していた

 

「どうしたの?」

 

「はい。実は、前に見せた除霊銃の試作品が出来たので見てもらおうと思って」

 

前にピートお兄様と訓練した時はヘルシング家の試作型だった。これは私が日本で更に改良した物だ

 

「へー。思ったより軽くて良いじゃない、素材は、んー見た所、聖句を刻んだ強化プラスチックとか?」

 

「はい!それと樹齢300年とかの神社の御神木の枝を頼んでわけてもらって使ってます」

 

霊力の伝達が良い素材などを選んで、加工して組み立てたんですと笑う。オートマチックにしてあるのでスライドさせながら

 

「弾は?」

 

「マルタ先生と唐巣神父に聖句でエンチャントして貰いました。あ、でもそのままでも使えます」

 

私の話と蛍さんが理解出来ないのか、首を傾げている生徒を尻目に蛍さんはスライドを戻し

 

「霊波弾の感覚?」

 

「それで大丈夫です」

 

片手で銃を持ち、照準を合わせる蛍さん。引き金を引くと鋭い音と共に霊力が銃弾となって飛び出す、それは開いていた窓から飛び去ったが、中々の速度だった

 

「反動もまずまずだけど、これ普通の人じゃ使えないんじゃない?」

 

さすがと言うべきなのだろう、たった1回の試射でこの銃の欠点に気付いた、聖句で強化した外枠、中に組み込んである御神木の枝。それらは霊力を爆発的に増大させるが、その反面使用するのに相当な霊力を必要とする

 

「うっ。実はそうなんです……ちなみに私じゃ無理です」

 

最低でもBランク相当のGSじゃないと使用できないのだ、駄目じゃないと蛍さんが笑う。試作だからこれから機能などを厳選していく予定だが、使ったデータが無いと改良品の製作は難しいだろう。だから私はここにきたのだ

 

「あのーもし良かった蛍さんか横島さん使いませんか?私じゃ使えないんで、使った感想とか聞かせてくれれば良いので」

 

実際に悪霊に使った場合などのデータが欲しいんですと言うと、蛍さんは良いわよ?と返事を返した後

 

「はい、横島」

 

「なんで俺!?」

 

それを横島さんに差し出した。横島さんが動揺してなんで俺!?と言った時額のバンダナから眼が浮かぶ。

 

【良いではないか、モデルガンを買うよりもよっぽど信用出来る。それにお前は遠距離が弱いから渡りに船じゃないか】

 

「心眼よ、でもよお?」

 

【でもではない、有効な武器を貰えた事を喜ぶべきだ。アン・ヘルシング、感謝する】

 

バンダナからの感謝の言葉に、あ、はいと思わず間抜けな返事をしてしまった。でもとりあえず、実戦データを取ってくれるなら、蛍さんでも横島さんでも良いかと呟く

 

「えっとじゃあ、これ聖句弾です。2カートリッジ分あるんで、無くなったら唐巣神父の教会に来てください。ピートお兄様に預けておくので」

 

「う、うん……ありがとう」

 

複雑そうな顔をして受け取る横島さん。用件が終わったから帰ろうと思ったんだけど……

 

「アンちゃん、神通棍の改造に興味とかない?」

 

「あります!どうするんですか!?」

 

蛍さんからの余りに魅力的な言葉に振り返り、どう改造するのか?と言う話し合いを始めた。勿論その日のうちに私と蛍さんにマッドサイエンティストと言うありがたくない渾名が付いたのは言うまでも無いだろう……

 

 

 

 

横島GSとマルタ先生の組み手と今朝の一文字さんに対する真摯な言葉で私の中で横島GSの評価は大きく変わった。GSとして尊敬し、そして教えを請うのに相応しい人物……だと思うのですが

 

「やっ」

 

「ぬおう!?」

 

ははは、驚いたねと笑う少女。高等部に飛び級で編入された「夜光院柩」GSに驚かされ、アリスちゃんと言う少女にお兄ちゃんお兄ちゃんと慕われ(中等部などの生徒にもお兄ちゃん系)と言われ、巫女の幽霊であるおキヌさんに、芦GS。それに初日にいた小学生くらいの少女と中学生くらいの少女の事もあり、容易に信用して良いのか?と言う考えがどうしても頭を過ぎる……のだが

 

「よーしよし、うりぼー、伏せ」

 

お互いに信頼関係を築く為のレクリエーションの時間。うりぼーやチビ、あと不思議な生物(チビノブ)を含め、戯れているのだが……ちょっとそこに混じるのは恥ずかしいと思い、離れてみているのだが……

 

「ぴぎ!」

 

「ジャンプ!」

 

「ぴっぎー!!」

 

「くるんくるん」

 

「ぷぎぎー♪」

 

その姿を見ていると邪気とか邪な気持ちを抱いているとか、そういう印象はまるで受けない。子供じみたと言うか……なんと言うか……どう言えば良いのか判らないが、身の危険を感じるとかそういうのが一切無いのだ

 

「横島の事がよく判らない?弓さん」

 

背後から芦GSに声を掛けられ、驚きながら振り返る。すると芦さんは困ったような感じで腕を組んで笑っていた

 

「はい、私には横島GSが良く判りません。悪い人ではないと思うんですが」

 

使い魔学科だけではない、霊能科や、霊具科などにも熱心に顔を出し、勉強している。最初は男なんてって言ってた生徒も普通に受け入れている

 

「横島って悪い事をするのに向いてないのよ。基本的に」

 

後女好きだけど、いざってなるとへタレちゃうのよねと深く深く溜息を吐く芦GS。その姿を見れば、横島GSに思いを寄せているのが良く判るし、横島GSも芦GSに思いを寄せているのが判るのだが、どうしてこれで付き合っていないのか?それが不思議で仕方ない

 

「ぎゅー♪おんぶしてー♪」

 

「はいはい」

 

アリスちゃんをおんぶしてあげると、アリスちゃんがきゃきゃっと楽しそうに笑う。見ているととても穏やかな気分になる光景だが、芦GSが隣にいるのを見るとなんとも複雑な気分になる

 

【横島さんはロリコンじゃないから大丈夫だと思うんですけどね】

 

「お、おキヌさん!?」

 

突然私の隣の壁から姿を見せたおキヌさんに驚いて身じろぐ。横島GS達といて幽霊でも良い人が居るというのを知ったが、それでもかなりビックリした

 

【横島はぼいんぼいんのねーちゃんが好きやと思うんやけどな】

 

「ふ、福の神!?」

 

今度は小鳩さんの使い魔の福の神が窓から姿を見せて、とんでもない事を口にする

 

「また出たわね、そんなに小鳩さんと横島をくっつけたいの?」

 

【はははは、当たり前やろ?憑いてる家を幸福にするのがワイや、小鳩が横島を好きならそれが幸福になるってことやろ?】

 

【喧嘩売っているんですね?良いですよ、言い値で買ってあげますよ】

 

私を中心にして火花を散らす3人に私は心の中で誰か助けてと叫びたかった。と言うか、横島GSが気付いていないだけで、横島GSの周りの人間関係めちゃくちゃドロドロしてるじゃない!

 

(も、もしかして三角関係どころじゃない?)

 

私が知らないだけでもっと大勢の人が横島GSを好きで、それでお互いにお互いを牽制しあっている?私はこの短いやり取りでその可能性を嫌ってほど理解し、そして少し興奮した。漫画や雑誌で見る関係がこんな近くにあるなんて……だけど出来れば私を巻き込まないで欲しかったと思う

 

【弓さんはどうですか?私と横島さんは釣り合っていると思いますか?】

 

止めて!私を巻き込まないで、こんな事なら、恥ずかしいとか思わないで私もあっちに混ざれば良いと思った

 

「私と横島はどう見える?」

 

(お願いします、誰か助けてッ!!!)

 

どう答えたって軋轢が生まれるような回答はしたくない、誰か助けてと心の中で叫んだ時。ボールが転がってくる

 

「おーい、弓ー、ボールとってくれー」

 

一文字さんが手を振っているのを見て、これ幸いと私はボールを拾って、重苦しい空気の3人の間から逃げ出した

 

「大丈夫だったか?なんか凄い雰囲気だったからボールを転がしたけど……」

 

「一文字さん……ありがとうございます。とても助かりました……」

 

良いってと笑う一文字さん。だけど本当に助かった……これがきっと助け合うという事……私は助け合うということの大切さを今、身を持って知るのだった……

 

「聞こうと思ってたけど、貴方は記憶があるのね?」

 

【そやでー、横島蛍。いい加減、親離れしたらどうや?】

 

「その言葉、宣戦布告と見るわよ」

 

【そーっ……】

 

「【逃がすかッ!】」

 

弓がいなくなった事で逆行記憶持ちの3人の激しい口論が行われる中。横島とマスコット軍団は……

 

「よーしチビノブ、行くぞー」

 

【のっぶ!】

 

ペットボトルをバット変わりにし、野球の様な遊びをしていたので、そのダークマターも真っ青な暗黒空間に気付くことは無いののだが……

 

(((なんで気付かないだろう?)))

 

周りの生徒は皆気付いているのに、なんで横島はあの暗黒空間に気付かないのだろう?と首を傾げる六女の生徒達の姿があるのだが

 

【のーぶー!】

 

「ぴぎー♪」

 

「チブノブ上手ー」

 

「タマモ、取れー!!!」

 

野球っぽい遊びに興じる横島とアリスがその視線に気付く事は無いのだった……

 

 

リポート18 福の神 頑張る その5へ続く

 

 




次回は美神は、琉璃の視点で今回の体験入学の話と、大狸さんのたくらみの話。そしてリポート19のスタートを書いて行こうと思います、勿論小鳩の話も書くつもりです。今回は小休止みたいな話になりましたが、次のリポートはまた戦闘系の話になります。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。