GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は冥華さんの体験入学を計画した目的などを書いて行こうと思います、その後は次回のリポートへのフラグとかですね、少し短めの話になるかもしれないですが、今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

 

 

リポート18 福の神 頑張る その5

 

横島君と蛍ちゃんの体験入学をしている1週間。私は除霊の依頼を受けるのを止め、代わりに今まで除霊した現場の再除霊や、地鎮祭に参加することを主な仕事にしていた。その理由は助手がいないからという理由ではない、横島君を襲撃した人形使いの情報を集めるためだった

 

「判らないことが、判ったって何の冗談?」

 

私の言葉に西条さんは深い溜息をはきながら

 

「すまないね。僕も教授もネットワークをフルに使って情報を集めたんだけど、何も判らなかったんだ」

 

【いやいや、警察のネットワークまで侵入してみたけど、あははは!神代君が見たという男の痕跡は何処にも無かったよ】

 

琉璃が見たと言う長身で痩せぎす、無精髭姿の猫背の男。似顔絵も作り、表と裏両方から調べたのに痕跡なし

 

「人形も指紋から全部調べてみたんだけど、指紋すらない」

 

【手袋とかそういう次元じゃないね。多分人形使いとやらは指紋も全部削ってる】

 

指紋すらも削り、存在しないことになっている男。恐らく戸籍すら持ち合わせていない、正真正銘存在しない男。それが人形使いの男

 

「陰陽寮じゃないかもしれない?」

 

陰陽寮と私は思っていたけど、もしかしたら違うのかもしれない。勿論陰陽寮が白ってわけでは無いが、限りなく黒に近いグレーだろう

 

「特定の相手の仕事だけを請ける裏の人間かもしれない」

 

【そういう相手だと、六道や警察、公安、オカルトGメンの情報にもないのも納得だ】

 

特定の顧客の仕事しか請けないタイプの霊能者と言うのは少なからずいる。暗殺や呪いというタイプの霊能者がそれだ、そうなるとやはり情報を集めるのはかなり難しいかもしれない

 

「態々すいませんでした、西条さん。教授」

 

「いや、気にする事は無いよ。僕も気になっていたからね」

 

正直求めていた人形使いの情報は無かったが、それ以外の私が離れていた間に動いた組織、組合員などが事細かく調べられていた

 

【まぁ私からすれば、自分で動くは愚作だヨ。蜘蛛の様に巣を……ん?んんーー……今何か思い出しそうだったような……】

 

記憶喪失だと言う教授。だがその知性と頭の回転は恐ろしいほどに早い……だが決して信用してはいけない、それは私も西条さんも感じていた。彼は決して正義側の英霊ではない、反英霊。悪に属する英霊のはず

 

「失礼する」

 

突如聞こえてきた第三者の声に振り返ると、そこにはブラドー伯爵が佇んでいた

 

「ブラドー伯爵。どうしたの?」

 

「いや、少し気になる事があってな。彼か?記憶喪失の英霊とは?」

 

ブラドーは私の問いかけに答えず、教授を見つめる。その目は鋭く、剣呑な光を放っていた

 

【な、何かナ?私と君は初見だと思うが?】

 

その視線に怯えながらも笑みを絶やさない教授にブラドー伯爵は

 

「鹿撃ち帽は好きか?」

 

その表情からは信じられないほど普通の事を尋ねた。私も西条さんもそして教授自身も不思議そうにしている

 

「そうか、では滝はどうだ?落ちたら戻って来れないほどの滝だ」

 

【いや、そんなのは好きじゃないが……一体何なのかな?】

 

教授の言う事は最もだ。ブラドー伯爵が何を尋ねたいのか、理解出来ない。ブラドー伯爵は判らないなら良いとぶっきらぼうに言い放ち

 

「邪魔したな」

 

現れた時と同じように突然と消えた。一体何がしたかったのだろうか

 

「ん、ん。それよりも時間が無いから簡潔に言う。現在陰陽寮についての調査は無理だ、あそこは一応まだ国家のお膝元だからね」

 

既に術師がいなくても今までの経歴がある。だから陰陽寮は日本直属、いかにオカルトGメンやGS協会、そし冥華おば様ならと思うが……それでも核心に踏み込む事は出来ないだろう

 

「現在当主は躑躅院の人間になっている」

 

「……ごめん、聞いたこと無いわ」

 

陰陽寮と言えば土門などが有名だけど……躑躅院なんて聞いた事が無いと言うと西条さんは当然だねと笑い

 

「今まで隠し通してきた平安時代の陰陽術を持ち出し、数ヶ月前にクーデター同然で当主の地位に着いたらしい。と言う事で詳しい情報は一切不明、こっちはやっとトップの頭が変わっているのを知った段階だよ。実力も何もかも判らない」

 

正体不明の敵って事……それはかなり厳しいかもしれない。

 

「もう少し詳しい情報を調べたら、また伝えにくるけど……人形使い側については不明。それ以外で動いた組織としたら、GS協会を辞職した中堅を再度雇いなおした、GS崩れが多い。後そのタイミングで国外から何人か入国して来てるみたいだ。判っているのはオカルトGメンとは関係ないって事だけ」

 

慌てて調べたからこれ以上は少し難しい。もう少し腰を据えて調べた結果を伝えに来るけど、暫くは警戒を強めた方が良いと言う西条さんのアドバイスに判ったと返事を返すと西条さんと教授を見送り、2人が調べてくれた資料に目を通すのだが、ブラドー伯爵の言葉が気になってしょうがない。あの人はそんな無駄な事を言いに来る人ではない、何か教授の正体のヒントを出してくれたのではなかろうか?

 

「鹿撃ち帽……滝……か」

 

それが教授の正体を掴むヒントなのだろうか。生憎私は海外の英雄にはそう詳しいわけではない、私はこの情報をくえすに伝える為に受話器を手にするのだった……

 

 

 

 

 

突然訪ねて来た冥華さん。話の内容は大体判っているつもりだ……横島君と蛍さんの体験入学。それ自体にたいした意味は無い、大事なのは六道の元に居ると言う事実と、六道の傘下にいる裏切り者の炙りだし……私は色々考えてその結論を出した

 

「私はあの2人が六道の下にいると言う事を証明する為に、体験入学させたと読んでいますが……どうでしょうか?」

 

私の問いかけに冥華さんは30点~と笑いながら返事を返した

 

「まだまだ甘いわよ~そんなのは誰でも判る事よ~?」

 

30点では落第点も良い所だ……だが他に何があるのだろうか

 

「まずわね~横島君を保護する為に六道を共学にするってのがあるわ~普通の高校じゃ、進入し放題でしょ?それにピート君とかもいるし……どうせ護るなら一箇所に纏まってくれたほうがおばさんとしては凄く楽なのよね~」

 

平然と言うが、それは今までの六女の歴史を大きく変える内容だろう。横島君を護るためだけに、そこまでするか?と思った

 

「後は~六女には色んな派閥の次の当主とかも多くいるから、横島君と仲良くなってもらおうと思って~ほら、彼人たらしだから」

 

それは同意する。横島君はあっという間に仲良くなってしまう。だから次の名家と呼ばれる人と仲良くなってくれれば、横島君の身を護ることにも繋がるだろう

 

「後は~ハーレムで喜ぶかなあ~って」

 

「はい?」

 

若い男の子だからハーレムって喜ぶかなあって思ったんだけど~あんまり効果なかったわね~と笑う。こ、この人……自分の学園の生徒全員を使ってハニートラップを……

 

「琉璃ちゃんはどう~?横島君って可愛いでしょ~?」

 

「……ノーコメントで」

 

嫌いではないし、嫌いか好きか?って言われれば好きと言えるけど、そういうのは考えてない。ただ可愛いか、可愛くないかと言われると……彼を知れば知るほど、可愛いと思うことはあるかもしれないけど

 

「まぁ~共学は無理だったけど~」

 

無理だったんだ……物凄く残念そうな冥華さんには悪いけど、失敗してくれて良かったと思う

 

「でも~今回のは今回ので成功よ~陰陽寮の息の掛かっている生徒を炙りだせたし」

 

「……ちなみに何人くらいですか?」

 

5人くらいね~と冥華さんは笑う。陰陽寮、日本国内の霊的組織だが、完全に対立関係にあり。お互いに干渉すること無い組織同士だ

 

「その子達は?」

 

「んー実は~全然話を聞いて無いみたいなのよね~横島君をどう思うか?って言うのを教えてくれってそれだけ」

 

それだけ?これだけ大規模な事をしておいて、それだけとは正直信じられない

 

「だから~多分人間を囮にして~人形で情報収集してるんじゃないかしら?」

 

「そうだったら厄介ですね」

 

戦闘タイプの人形のリーチは短いが、諜報タイプの人形はとにかく射程が長いと聞く。文献などが頼りだからどこまで信憑性が有るか判らないが、梅さんに聞いた所かなりの射程と、隠密動作が出来るらしいので警戒するに越したことは無いだろう。囮と組み合わせて使われると情報はどこでも抜き出し放題だ

 

「もし可能なら~私が面会を頼んでみるわ~」

 

敵なのか、味方なのか?それを知りたいから~と笑った冥華さんは、どっこいしょっと言いながら立ち上がり

 

「とりあえず~今回のは良く判らないって結果ね~またなにか判ったら~伝えにくるわ~」

 

そう笑って会長室を出て行く冥華さんだが、立ち上がる瞬間。ソファーの間に何かを入れていた……多分今回訪ねて来たのも、六女の話も全てブラフ。本命はソファーに挟んだ何かを私に渡す事だろう……

 

(こっちも監視されている?)

 

態々尋ねて来て、世間話をして、そして手渡ししないで隠すように席を立った。それは直接渡すのが危険と言う事ではないだろうが?だから私はそれに気付かない振りをしてソファーから立ち上がり、執務席へ戻るとエントランスから電話があり

 

「もしもし?どうしたの?」

 

『言峰綺礼氏が尋ねてきています』

 

……言峰神父が?正直あんまり話したい人物ではないけど、通してくれる?と返事を返す。それから3分ほどで言峰神父は訪ねて来た

 

「突然申し訳ない。神代会長」

 

「いえ、大丈夫ですよ。それでどうしたんですか?」

 

言峰神父は基本的に海外で活動している。そんな人物が訪ねて来たと言うことは何かトラブルか?と思って当然だろう

 

「ふむ。実は昨日、神のお告げがあった」

 

「はい?」

 

予想外の言葉に思わず変な返事を返してしまった……え?神のお告げ?

 

「私は破門されていたと思ったのだが、いや、主の懐はよほど広いらしい」

 

逆光で顔を見ることは出来なかったが、間違いなく神だったと確信したと言峰神父は笑い

 

「日本へ向かえと、私はそれに従ってここに来たのだ。暫くの間日本に滞在したいのだが、構わないか?」

 

駄目って言っても居るだろうし、神のお告げと言うのも気になる。もしかすると本当に何かあるのかもしれない

 

「判りました。GS協会の寮が空いているので、お好きな所をどうぞ」

 

ありがとうと笑った。言峰神父は執務室をそのまま出ようとして、思い出したように

 

「英霊ナイチンゲールも共に入国している」

 

クリミアの天使!きっと優しい人物……と思ったのだが、言峰神父の次の言葉に絶句した

 

「殺してでも治療すると言って人の話を聞かない人物だ。気を付けたほうが良い、かなりの危険人物だ」

 

危険人物に危険人物と言われる英霊……私は出来れば会いたくないと思いながら、忠告ありがとうございますと頭を下げるのがやっとだった……

 

 

 

お昼からは座学なので私も横島も普通の授業を受けるつもりは無いので休憩していた時。キアラさんが入ってきた

 

「まぁ、横島さんはお昼寝中ですか?」

 

「ええ。どうもアリスちゃんを寝かしつけている間に自分も寝ちゃったみたいで」

 

うりぼーにもたれかかり、アリスちゃんと並んでいる横島を見て苦笑する。寝かしつけていて自分も昼寝をしてしまう姿に可愛いと思ってしまう

 

「そうですか、案外疲れておられるのかもしれないですね」

 

そう笑い机の上に重箱を置くキアラさんはにこにこと笑いながら

 

「おはぎなどを作ってまいりましたのでおやつにどうぞ」

 

ご丁寧にどうもと頭を下げる。六女にいる間キアラさんは良くおはぎを持ってきてくれた、カウンセラーの技術として甘いものを提供し、心を穏やかにさせるというものらしい

 

「キアラさんはなんでカウンセラーになろうと思ったんですか?」

 

私や横島の話を聞いてくれるが、キアラさんは全然話をしてくれないので、どうしてですか?と問いかける。するとキアラさんは驚いた顔をする。何をそんなに驚くかな?

 

「くひひ、こういうタイプは自分が質問されるなんて考えた事がないんだよ」

 

「……昼寝してたんじゃないの?」

 

横島の近くで寝転んでいた筈の柩が笑いながら言うので、寝てたんじゃないの?と尋ねると柩はくひひと笑いながら

 

「アリスに捕まってただけだよ。どうもあの子は同年代に対して押しが強い」

 

困った物だと笑うけど、アリスちゃんのことを考えると無理も無いのかもしれない。ネビロスさんとベリアルさんとハーピーさんとの3人暮らし、必然的に大人と暮らすことになるので同年代の友達が欲しいのかもしれない

 

「ふふふ。なんだかんだいっても面倒見が良いのですね?」

 

「……ボクも似てると言えば似てるしね」

 

恥ずかしいのかくひひと笑いながら顔を逸らす。その姿を見てキアラさんは笑いながら

 

「カウンセラーを目指した理由ですけども、こうして話す事で誰かを助ける事が出来ると

言う事を知ったからですわ」

 

にこにこと笑いながらキアラさんはさらりととんでもない事を口にした

 

「私の実家は真言立川詠天流の寺でして」

 

……その言葉に私も柩も目を見開く、霊能に関わる人間ならばその流派が何を意味するのか知っている。

 

「とは言え私が物心つく頃には廃れ、性交を用いた儀式も本尊もない、ただのそうあるだけの組織でした。変な規律を作り病気の私を自然の中にいれば治るとか訳の判らない事を言っておりましたね」

 

ふふと笑うキアラさんに思わず私は尋ねてしまった

 

「そんなに重い病気だったんですか?」

 

「まさか!点滴をして栄養を取れば治るほどの簡単な病でしたわ」

 

「……なるほど、変な戒律で病気が悪化してたのか」

 

柩の言葉にキアラさんはその通りですと笑い

 

「このまま死ぬのかと思い始めたとき、信者の1人が私を連れ出して病院に連れて行ってくれたのです。そして私の病気は治りました」

 

その後私の実家はオカルトGメン、陰陽寮、GS協会によって滅ぼされ、私は自由になりましたと言った

 

「確か何年か前にあった、山の中の違法GS組織の一斉検挙ってまさか!?」

 

犬猿の仲である組織が3つ協力したと言う事件だったので覚えていた。まさかそれが立川流の寺なんて夢にも思わなかった

 

「私はその人に助けられ、六道の保護下に入る事が出来ました。そしてその人は言いました、人は獣と違い、言葉を話すことが出来る。言葉があれば分かり合える事があると、言葉を交わすことが出来るのが人間だと」

 

話し、言葉を交わすことの大切さを知り。そして私は言葉で人を癒す事の出来るカウンセラーを志したのです

 

「結構ハードな人生歩んでますね?」

 

「うふふ、私もそう思いますけど、今は楽しく生きてますわ」

 

柔らかく何もかも包み込むような雰囲気があるけど、それは自身の苦しい体験から齎された優しさなのだと判った

 

「ですから話し合いましょう?言葉は相手を傷つける剣にもなりますが、相手を癒す薬にもなるのですから」

 

キアラさんって凄いなあっと私は思う。

 

「じゃああれだ。ロリコンじゃないって言う2歳年上をどうすればいいかな?」

 

「ちょっとおお!?」

 

「ふふふ、これでは女子会という奴になってしまいますね」

 

横島とアリスちゃんが起きるまでの間。私が柩とキアラさんに振り回されたのは言うまでも無いだろう

 

「なんか疲れてない?」

 

「……気のせいよ」

 

あの2人思った以上に相性が良くて厄介だった。横島との関係とかを根掘り葉掘り聞かれ、精神的に疲れて果ててしまいながら、私は横島にそう返事を返すのだった……

 

 

 

 

 

1週間あれば横島さんとお話できると思っていたのに、私が思う以上に横島さんには人気が合った。私があった時はスーツ姿で真面目と言う感じだったんだけど、Gジャン、Gパン姿の今の横島さんは気さくで優しい人物だった。使い魔学科の生徒にも、私と同じ1学年の生徒にも凄い人気だった……だけどそれはアイドルとか、そういう人に対する人気に近かったというのもいやと言うほど思い知らされた

 

(蛍さんとか凄く綺麗)

 

ずっと横島さんと一緒にいた蛍さん。まだお付き合いしていないという噂を聞いたが、それでもその中睦まじさを見ると彼氏、彼女になるのは時間の問題に見えた

 

【大丈夫やー、頑張れ!小鳩】

 

福ちゃんがそうやって励ましてくれるけど、それでもやっぱり自分が劣っているような気がしてしょうがない

 

(横島さん素敵な人だもんね)

 

少し話す事が出来たが、気さくで優しくて、思いやりのある人だった。それに横島さんの側にいるチビちゃんやうりぼーちゃんもとても幸せそうで……タマモちゃんは私に対して凄く唸ってて怖かったけど……これだけ動物に好かれる人が悪い人とは思えなかった

 

「お兄ちゃん、帰ったら散歩に行こうね」

 

「じゃあ今日はちょっと遠くの公園に行こうか?」

 

アリスちゃんと言う少女と優しく話している姿を見ると、きっと子供が出来ても優しい父親でいるだろうと言うのも良く判った……使い魔学科なら結構会えるよ?と皆が言うけど、きっとそれは外から来てくれた講師と生徒という関係が近いだろう……

 

(はぁ……)

 

もっと踏み込めばよかった。もっと近づいて話をすれば良かったと後悔ばかりが募っていく

 

「どうかした?」

 

「ふえ!?」

 

近くで横島さんの声がして顔を上げると、心配そうにこっちを覗き込んでいる横島さんが居て変な声が出てしまった

 

「え、えっと?」

 

「いや、福の神が元気ないからって言うから……」

 

にっと笑った福ちゃんが溶ける様に消えていく。折角連れて来てくれたけど、アリスちゃんやおキヌさんが居るから告白なんて出来るわけも無いし、そもそもそんな風に仲良くなっているわけではないので、なんと話をすればいいのか判らない

 

「あ、あの!横島さん」

 

自分で思っていたよりも大きな声で呼んでしまい。顔がカッと熱くなるのが判る、だけど横島さんは嫌そうな顔をせずにどうしたの?と尋ねてくる。なんと言えば良いか、ぐるぐると頭の中が空回りするのを感じながら

 

「ま、また色々教えてください。私霊能とか全然判らないから」

 

結局無難に霊能について教えてくださいと言うのがやっとだった。横島さんは俺に出来る範囲で良ければと笑う、その後でおキヌさんが面白く無さそうに私を睨んでいる。その視線に背筋に冷たい汗が流れる

 

「横島ー。そろそろバス来るわよー?」

 

「判ったー、今行く。小鳩ちゃん、またな」

 

そう笑ってアリスちゃんと手を繋いで門へ向かっていく横島さん。その背中を見つめていると心臓が大きく脈打つのが判った……ああ、やっぱり私はあの人が好きなんだなと思い、横島さんの姿が見えなくなるまで、私はその背中を見つめるのだった……

 

花戸小鳩 4.4倍と言う名前がこのとき、トトカルチョに刻まれるのだった……

 

 

 

お兄ちゃんと手を繋ぎながらのんびりと散歩する。これがここ最近の私の楽しみだった、最初はお兄ちゃんもお仕事で忙しくて遊んでくれなかったけど、今は沢山遊んでくれるのでとても楽しい

 

「ぷぎゅー♪ぴぐー♪」

 

短い尻尾をぴこぴこ振りながらお兄ちゃんの前を歩くうりぼーにその上をふわふわと浮かんでいるチビ。お兄ちゃんの回りには可愛い動物が沢山いて、お兄ちゃんと一緒に遊ぶのも、チビ達と遊ぶのも本当に楽しい

 

「あのさー?牛若丸。そんなに警戒しなくても大丈夫だと思うんだけど?」

 

【いえ、用心する事に越したことはありません】

 

お兄ちゃんの肩の上でちかちかと光る球体。玩具みたいだけど、玩具じゃない。お兄ちゃんを護ってくれてるらしいけど、あんな姿でどうやって護るんだろうか?私はずっとそれが不思議だった

 

「それなら牛若丸も人間モードになったら?」

 

【隠れて行動する事に意味があるのです】

 

人間モード……お兄ちゃんのその言葉にほかの姿があるんだと納得していると、前のほうから歩いてくる金髪の女の子の姿を見て

 

「あ、ベルゼ「よーし、アリスは良い子だなー!!」ふがふが」

 

確かベルゼブルお姉ちゃんだったと思い。名前を呼ぼうとすると、一瞬で口を塞がれた

 

「えーっと高城さん?どうしたの?」

 

「少しアリスを借りていく!知り合いだから心配するな」

 

お兄ちゃんの返事を待たずに私を抱えて裏路地に移動するベルゼブルお姉ちゃん

 

「アリス。久しぶりだな」

 

「うん。黒おじさんと赤おじさんのパーティの時だよね」

 

本当に大分前だけど、そこで赤おじさんに紹介されたので覚えていた

 

「アリス、私はベルゼブルと言う事を隠している。高城と呼んでくれないか?」

 

お仕事の都合って言うのは分かるけど、そんな名前呼びにくいし……うーん、あっ!そうだ!良い事思いついた

 

「お姉ちゃんも一緒にお兄ちゃんと散歩してくれるなら良いよ?」

 

「むぐっ……それ以外じゃ駄目か?」

 

駄目っと言うとベルゼブルお姉ちゃんはうぐぐっと暫く唸ってから、判ったと呟く

 

「じゃあ高城お姉ちゃんも一緒ね」

 

もうどうにでもなるがいいさと疲れた様子で呟く高城お姉ちゃんの手を握り、心配そうにこっちを見ているお兄ちゃんの方に向かって歩き出す。お兄ちゃんの側にいると毎日が楽しい、いつお迎えが来るか判らないけど……お迎えが来るまでは毎日楽しく過ごせると良いなと思うのだった……

 

「高城さん、アリスちゃん。鯛焼き食べる?」

 

「食べるー♪」

 

「鯛焼き?」

 

散歩の途中でお兄ちゃんが鯛焼きを買ってくれたんだけど、どこから食べれば良いのか。不思議そうに鯛焼きを見つめている高城お姉ちゃんが可愛いと思った。普段怖い鎧を着てるから怖い人だと思ったけど、本当は違うんだなあっと思うと、何か楽しくなってくるのだった……

 

 

 

 

 

 

両手足を拘束された人狼を前にして、小さく深呼吸をする。私に日本にフェンリルが封印されていると言う事を教えてくれたあの人狼だ。私は彼にもう1度問いかけた

 

「これを行えば、君の自我は滅び、君と言う存在は消える。それでも良いかね?」

 

「覚悟している。俺は神が嫌いだ、人間が嫌いだ。ならば、それを滅ぼす尖兵になることに何の後悔がある。なんの恐怖がある、ガープ様。俺を兵器にしてくれ」

 

その強い覚悟を秘めた言葉に私はそれ以上問いかけるのは、この誇り高き人狼の覚悟を無にする事と悟った

 

「最後に名前を」

 

「名は捨てた。これより兵器となる物に名は必要ない」

 

最後に名前と言う私の言葉もバッサリと切って捨てた。その覚悟、その誇り高き魂を私は忘れることは無いだろう

 

「そうか。ならば私達の為に死んでくれ」

 

「応ッ!!」

 

力強く吼える人狼の胸を麻酔なしで切り開く、目をカッと見開くが、叫び声1つ上げない。恐ろしいまでの精神力と覚悟だ、切り開いた胸の中に狂神石を液体のまま注ぎ込む、血液と反応し、狂神石が体内で結晶化し、人狼の身体を内側から貫く

 

「■■■■……■■■」

 

言葉にならない古の呪文を口にする。それは人狼の中の狂神石、そして人狼と言う存在と共鳴する。英霊を呼び寄せるのには触媒だけでは足りない、制御することを考えれば意思の無いホムンクルスではなく、適正のある生贄を使えばいい。それが私の導き出した英霊を制御する1つの答えだった。詠唱が進むに連れ自ら実験体になる事に志願した人狼の姿が変わっていく……内側から膨らむようにその身体が巨大化していく、その姿は既にもう元の姿の3倍近い巨体へと変貌していた。そして黒い毛皮は蒼く輝く体毛へと生え変わる……詠唱が終わる頃。私の目の前には既に人狼の姿はなく、3m近い巨体の狼が姿を見せていた……ゆっくりと目を開いた狼は激しい憎悪と殺意をその目に宿し、そして再び生まれた事を喜ぶように激しい遠吠えを上げるのだった……

 

 

別件リポート 高城の日記へ続く

 

 




ドシリアスな終わり方ですが、ここで1度別件で高城【ベルゼブル】がどんな事を考えながら横島の護衛をしているのか?と言う幹事の話を入れておこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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