GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はくえすと蛍のコミュを書いて行こうと思います。前回と違って登場人物もかなり多くなるので長くなると思いますが、今回の更新もどうかよろしくお願いします



その4

リポート2 これは慰安旅行ですか?いいえ、修羅場です その4

 

温水プールで遊ぼうという話になり、女子更衣室で着替えてるんだけど、私は憂鬱な気持ちで一杯だった。何故ならば……

 

(私金槌なのよね……)

 

ルシオラとしても金槌だし、横島蛍としても金槌……泳ぎに関しては本当に絶望的なのだ。しかも神宮寺と美神さんはビキニに着替えてさっさとプールに行ってしまった。私が選んだのはバンドゥビキニで、胸元にフリルが付いていて胸を隠すことが出来るタイプの水着だ。美神さんと一緒だからと胸の小ささをカバー出来る水着を選らんだのだが……

 

(美神さんだけだと思ってたのに)

 

美神さんも神宮寺も女性としては羨ましいと言わざるを得ない、黄金比の肢体をしている。そんな2人と比べると自分が女性としての魅力に欠けているとどうしても思ってしまい、思わず溜息を吐きながらパーカーを羽織ってプールサイドに出ると

 

「うきゅーうきゅー♪」

 

大型犬のサイズほどに巨大化したモグラちゃんが競泳用プールを音を立てて泳いでいた。酷く上機嫌で潜ったり、水面から飛び出してジャンプしたりしてして泳ぎをエンジョイしている。モグラちゃんって水陸両用だったのね……モグラちゃんが泳いでいるプールから少し離れたプールでは、美神さんがサングラスをしフロートを浮かべて、その上で寝転んでいた。なんかとても絵になっていたのが、妙に悔しい……横島はどこだろうか?と探していると子供用のプールサイドに腰掛けて何かの準備をしていた

 

【なあ?横島?考え直してくれないか?私を頭に巻いたまま泳ぐのは不可能だと思うんだ。私は洗濯機は嫌なんだ】

 

「いや、でも仲間外れは嫌だろ?心眼も、濡れないように気をつけるし、泳ぎよりも後でスライダーとかあるほうで遊ぼうと思っているから、平気平気」

 

【それは絶対私濡れるだろ……】

 

酷く憂鬱そうな心眼に対して、能天気に笑っている横島を見て小さく安堵の溜息を吐く、スライムの事で落ち込んでいないかと思っていたが、美神さんの激励が利いていたのかな?横島は直ぐ表情に出るので、見る限りでは落ち込んでいないという事が判り本当に安心した。横島の近くに近づくと横島はバミューダを穿いていて、膝の上でプールを覗き込んでいるチビを見ながら風船を膨らませている。風船で何をするつもりなんだろうかと思い近づいていくと

 

「何してるの?シズク」

 

「……何がだ?」

 

シズクは目を閉じて仰向けでプールを漂っていた。顔色の悪さもあり、水死体のように見えて思わずそう尋ねるが、シズクは何を尋ねられたのか判っていないようすで、これがシズクなりのプールの楽しみ方なのかな?と思う。若干間違っているような気もしなけど、シズク本人が楽しんでいるのならそれで良いかと思い子供用のプールサイドに向かう

 

「コン♪」

 

ぱちゃぱちゃと音を立てて犬掻きで泳いでいるタマモ。非常に楽しそうである、でも凄く泳ぐの上手よね……そこはやっぱりイヌ科の動物の特徴なのだろうか?

 

「みむう……」

 

「大丈夫大丈夫」

 

横島は膨らませていた風船でバルーンアートで浮き輪を作り、チビに装着させてプールの中に入れていた。明らかに怯えていたチビだが、浮いているのを確認すると

 

「みむ♪」

 

多分水面で短い足を必死に動かしているのだろう。ゆっくりとしたペースで前に進んで目を輝かせている。背中の翼もぱたぱたと動いているのが実に可愛らしい

 

「あ、蛍遅かったなあ……ん?パーカー?」

 

私に気付いた横島がパーカーを着ているのを見て首を傾げている。プールで遊ぼうと言っているのにパーカーを着ているのはおかしいって判っているんだけど……パーカーを脱ごうか悩んでいると

 

「芦蛍は泳がないようですから、私と泳ぎませんか?」

 

黒のビキニ姿の神宮寺が微笑みながら横島に声を掛けてくる。横島に微笑みかける前に私を見て嘲笑うかのように口元が動いたのは見逃していない……本当……いい性格をしてる

 

「え。あ……そのお……」

 

胸の谷間を見せ付けるような体勢をしている神宮寺を見て、顔を紅くしている横島……くっ……本当こういう所は純情で可愛いと思っているんだけど、自分じゃなくて神宮寺に対してその姿を見せているのが腹ただしい

 

「さ、行きましょう。折角のプールなのに泳がないというのは勿体無いですよ」

 

ぐいぐい押して行くわねぇ……横島は押しに弱いので、このままでは不味い。ここで引いてしまえば、神宮寺の思い通りになってしまう、そうなってしまったら、このままでは楽しい思い出は何も無いままに終わってしまう

 

「横島!私泳げないから!泳ぎ方を教えて欲しいのッ!!!」

 

神宮寺に横島を連れていかせる訳にはいかない。私はパーカーを脱ぎながら、横島に泳ぎを教えて欲しいと叫ぶのだった……

 

「んじゃあ。まずは手を持ってるから、浮かぶ練習をしよか?」

 

横島は私のお願いを聞いてくれて、神宮寺の誘いを断って私に泳ぎ方を教えてくれていた。神宮寺が物凄い目で睨んでいたが、そんなのは正直どうでも良かった。横島が私を選んでくれた、それだけで十分だ

 

「う、浮かべるの……?」

 

本当に金槌なので泳げるとか言う以前の問題で、浮かぶ事が出来るのか?と言う不安が大きかった

 

「大丈夫やって、ほら……な?人間は浮かべるやろ?」

 

私の手を離して、水の上に浮かんで見せてくれる横島……頭では判っているんだけど……ものすごく不安だ

 

「みむ?」

 

私の近くを浮き輪を使って浮かんでいるチビが不思議そうに見つめている。浮き輪とかあれば平気なんだけどなあ……とは言え横島が手を握っていてくれるなら、大丈夫よね……

 

「わっわあ……ほ、本当に大丈夫!?」

 

「大丈夫大丈夫。ワイもこうやってオカンに泳ぎ方を教えて貰ったから!絶対大丈夫やって」

 

自信満々に笑う横島に自分でも判っているくらい引き攣った声で返事を返し、私は横島に泳ぎを教えて貰うのだった……

 

 

3時間後……

 

「私……ずっと金槌だわ」

 

横島はとても丁寧に教えてくれたが、私の泳ぎは全くと言って向上することは無かった。もしかすると蛍魔ルシオラとして完全に金槌なので努力しても練習しても泳げないと言う可能性があったのだ。なんせ元々は虫をベースにした魔族だ、水を苦手とするのは当然の事で……

 

「う、ううむ……いや、でも浮けるようにはなったやん?」

 

「水に顔を付けたら沈んじゃうじゃない」

 

練習して浮かぶようにはなれた。じゃあ今度は泳ごうって事で水に顔を付けたら、パニックになって沈んでしまった……慌てて横島が引き上げてくれたが、とてもじゃないが泳げるようになれるとは思わなかった

 

【うーん、水に顔をつけるのに慣れる必要があるのかもしれないな】

 

「だな。段階的に慣れていけば、泳げるようになるって!今日は無理でも、何回でも付き合うからさ」

 

横島はそう笑うと、泳ぎの練習はこれまでと笑ってプールから上がって

 

「じゃあさ!あれ!あれやろうぜ!浮き輪で滑るスライダー!あれなら金槌とか関係ないと思うから」

 

私は横島の言葉に頷き、2人で手を繋ぎスライダーのある方向へと歩き出したのだった……

 

「でっか……こんな浮き輪初めて見た」

 

横島が驚いたように呟く、2人が並んで座るソファーのような大きさの浮き輪。ホテル側の善意でスタッフを配置して動かして貰っているスライダーは高さもあり、曲がりが連続していて、もしかすると下手なジェットコースターより怖いかもしれない

 

「どうする……止めとく?」

 

「折角来たんだから、やりましょうよ」

 

長い階段を昇って来たんだし、やらないで帰るとしたらまた長い階段を下りることになるので、それならば滑った方が良い。怖がりながら浮き輪に並んで座ると

 

「では、行きますよー?しっかり掴まっていて下さいね」

 

スタッフの言葉に頷くと、浮き輪が押される。そして凄まじいスピードで下り始める浮き輪

 

「う、おおおおおお!?は、半端ねぇ!?」

 

「そ、そうねえ!?これ結構怖いッ!!」

 

【ああ、私は濡れるのだな……また洗濯機送りか……】

 

私と横島の悲鳴と諦めにも似た心眼の呟きを聞きながら、回転しながらスライダーの出口へと滑って行く……そして

 

「「へ?」」

 

私と横島の間抜けな声が重なった。出口はジャンプ台になっていて、私と横島は空中に飛び出していた

 

「おおおおおお!?」

 

「っきゃああああ!?」

 

結構な高さから落ちる、その浮遊感に私と横島の悲鳴が重なりそのままプールへと着水したのだが

 

(!?)

 

手を繋いでいたのが原因だったのか、着水の衝撃が原因だったのか?それともキーやんとサッちゃんの悪戯だったのか、それは判らないが、プールの中で一瞬……本当に一瞬だったが、横島と私の唇が重なった。甘酸っぱい味では無く、ただの水の味しかしなかったが、私にとってはファーストキスで喜ばしい物だったが、人間は水の中で息をする事が出来ない。慌てて水面から顔を出す

 

「ぷっはあ!?こ、このスライダー危なすぎるやろ!?」

 

「そ、そうね!?危ないわね!?」

 

【……洗濯機確定だな……】

 

横島の言っている危ないと私の言っている危ないの内容は全く違うけど、これは危ない。本当に危ない

 

(胸が痛い)

 

トップギアに入れたようなに心臓が暴れている。ただその痛みは苦しい物ではなく、心地よい痛みだった

 

「あれ?蛍?顔妙に紅くない?」

 

「え?そ、そそ、そんな事無いわよ!?き、気のせいじゃない!?」

 

そうかあ?と首を傾げる横島。このままだと私のほうがボロを出しそうだ……ど、どうしようか?と悩んでいると

 

【あ、居た居た。横島さーん、蛍ちゃーん。美神さんがそろそろお昼だから、1回プールから上がろうって言ってますよー】

 

ナイスタイミング!!私は心の中でそう呟き、横島と一緒にプールを出ながら

 

「判ったわ、今行くわねー」

 

「そういやあ、もう昼過ぎてるんだよな。道理で腹が空いてるわけだ」

 

そう笑う横島の隣を歩きながら、唇に触れる。恥かしいけど、嬉しいといった複雑な気持ちが抱きながら、私はプールを後にするのだった……

 

なお昼食後。横島はと言うと

 

「すげー!モグラちゃんすごいぞー!」

 

「うきゅーん!!」

 

でかい浮き輪をロープで縛り、そのロープの先をモグラちゃんに咥えて貰って流れるプールを逆送していた

 

【あっははは!!!これは良い!これは良いぞ!横島!ワシは泳げんから退屈していたが、これは面白い!!行け行け!モグラ!!】

 

【ひーん……怖いですよぉ……】

 

幽霊だから泳げないノッブとおキヌさんも浮き輪に乗っているんだけど、ノリノリのノッブに対して、おキヌさんは号泣している。私は凄く嫌な予感がしたので辞退したが、辞退して良かったと思う。

 

(こわ……)

 

私が怖いと思ったのは浮き輪の隣、シズクがうつぶせで1回も水面から顔を上げる事無く。その横をぴったりと付いている光景を見て、背筋が冷えるような感覚を味わうのだった……

 

 

 

 

 

 

横島に誘われて慰安旅行に付いて来たのはいいのですが、予想よりも芦蛍などの妨害が激しく、横島と過ごす時間が取れていない……

 

(厄介な……私を完全に邪魔者扱いですわね)

 

横島自身は自分が誘ったと言う事もあり、私を気に掛けているようですが……それを邪魔するかのように芦蛍やシズクが動く……これでは慰安旅行に付いて来た意味が無い……

 

(温泉……混浴……いやいや、駄目ですわ)

 

そこまで仲が良いとは言えないのに、そんな事をすれば痴女扱いで終わりだろう。横島を観察して思っていたのは、女好きだが非常に純情なのだ。ある程度は色仕掛けも効果を発揮するだろうが、それ以上になると逆効果になる……なんとも厄介な性格をしている……

 

(どうしましょうかね)

 

明日は全員で遊園地と聞いているので、そうなれば妨害を受けるのは必須なので遊園地で遊ぶと言う事も難しい……どうやって横島との時間を作ろうかと考えながら部屋の鍵を開けると

 

「……手紙?」

 

扉の間に手紙が挟まれており、扉を開けると私の足元へ落ちてきた。それを拾い上げ中身を確認した私は

 

「まぁ妥協点として褒めてあげましょうかね」

 

それは横島からの手紙で、夕食後に少し時間をくださいと書かれ、ある場所で待っていると書かれていた。それを軽く丸めてから小さな炎で燃やす。これを見られてしまうと確実に邪魔をされると思ったから

 

「さてと態々夜に私の時間をくれとは何を考えているのやら」

 

本来夜に誘われれば警戒するだろうが、横島の性格を考えれば危険なことは無いと判断する。大体女性を襲えるような性格じゃないですからね、あの男は……まぁ仮に襲われたとしても私ならば迎撃など容易いので、横島の誘いに乗る事にするのだった……

 

「あーすんません。態々」

 

夕食の後。1時間ほど時間を置いてから待ち合わせの場所に向かうと、横島がベンチに腰掛けて待っていた。周囲を確認するが、普段連れているグレムリン達の姿も額のバンダナも無いので横島1人だ。よく考えると横島が1人で行動しているのを見るのはこれが初めてかもしれない。

 

「いつから待っていたんですの?」

 

「え?30分くらいですかね?後で時間の指定をしてなかったと思って早めに来て待っていたんですよ」

 

夕食の後直ぐ動くとは思ってなかったので、時間を置いてから来たのですが……ずいぶん待たせてしまっていたようだ

 

「全く……貴方は馬鹿ですわね?」

 

「あっははは……よく言われます」

 

そう言う意味で言った訳じゃないんですけどね……季節は春。まだ夜は少し肌寒い、そんな中で長時間待たせしまったと思うと悪い事をしたと思ってしまう

 

「仕方ありませんわね」

 

指を鳴らし炎を横島の前に発生させる。炎を見て仰け反る横島に

 

「その炎は殺傷能力なんてありませんわよ。少し暖まりなさいな」

 

寒そうにしているのを見ると気の毒に思えてくるので、まずは身体を暖めなさいと言うと横島は微笑みながら

 

「やっぱり神宮寺さんは優しくて良い人ですね。ありがとうございます」

 

子供のような純粋な笑顔を向けられて、妙に気恥ずかしくなり、横島から目を逸らすのだった……

 

「折角の旅行に誘ったのに、蛍達がなんかすいません」

 

横島が最初に切り出したのは、芦蛍達の事に付いての謝罪だった。ですが私としてはその反応は余りに当然過ぎる反応だ

 

(色々やってきましたからねぇ……)

 

暗殺や殺しもやってきた。元々私はそう言う方面のGSだ。今は、通常のGSとしての看板を掲げているが、やはり今も暗殺の依頼をしてくる者が居ないわけではない、悪行と言うのは消えない。だから芦蛍達が私を警戒し、そして横島から遠ざけようとするのは当然の事だと思っている

 

「俺は神宮寺さんが本当は優しい人って知ってます。だから俺は出来たら蛍やシズクも神宮寺さんと仲良くして欲しいって思ってて、だからこの慰安旅行に誘ったってのもあります」

 

あ、勿論。最大の理由は神宮寺さんが俺の修行を見てくれたことに対する感謝ですからね!と言う横島に

 

「まぁそう言う事にしておきましょうか。仲良くするかどうかは別として」

 

うえっ!?っと呻く横島。だけど私も仲良くしようなんて思っていないし、向こうも当然仲良くしようなんて思っていないだろう。横島がいくら言った所で元々お互いが平行線なのだ、どうやっても交わる事なんてありえない

 

「それで?話はこれで終わりですの?そんな話をする為に私を呼んだんですの?」

 

夜に呼び出されるのだから、若干何かあるかと期待していたが、それも無くただ仲良くして欲しいなんて話なら、来る意味も無かった。だからそれなら帰りますわよ?と言うと横島は違います違います!と慌てて両手を振りながら

 

「えっとこれ、その無くしちゃった指輪の代わりにはならないと思いますけど……」

 

差し出された小さな箱。割と丁寧に梱包されており、箱を縛っているリボンも安物ではないと判る。開けますわよ?と声を掛けてから梱包を開けると、そこには明らかに手作りであろう、本を模したシルバーアクセサリーのペンダントが納められていた

 

「いや、俺貧乏なんで高級な物とか買えないんで、手作りで作ってみたんですけどどうですかね?」

 

確かに私が普段身につけている装飾品とは比べるまでも無く粗悪な出来だ。だが作った横島の想いが込められている、世に2つと無い代物だ。緩みそうになる顔を鉄の自制心で押さえ込み、出来る限り平常心を保ったまま

 

「まぁ悪くないですわね。気が向けば、身につけようと思える程度には気に入りましたわよ」

 

口ではそうは言ったが、家に戻ったらこれに魔力術式を刻み込んで護身用の魔道具にしようと決めていた。

 

「気が向いたときで全然構いませんよ。いやあ、俺なんかの手作りだから捨てられるんじゃないか?ってビクビクしてましたし」

 

手作りと言う割には、かなり丁寧に作られている。もしかしたら売り物に出来るかもしれないと思うレベルの仕上がりだ

 

「貴方、なかなか手先が器用なんですのね。今度私が魔道具を作る時に助手でもやって貰いましょうかね」

 

私はあんまり造型には詳しくないので、指輪型しか作ってこなかったが、横島が手先が器用なら他の形の魔道具を作ることも可能だ。だから今後魔道具を作る時は声を掛けても良いかもしれない

 

「あ、じゃあ、これ。俺の家の電話番号です」

 

手帳に番号をメモして渡してくる横島を見て、溜息を吐きながら

 

「あのシズクが邪魔をするんじゃないですの?」

 

あっと呟く横島。美神令子は知らないですが、芦蛍やシズクが私との関わりを持つことを良しとしていないのだから妨害される可能性が高いという事に今気付いたのだろう

 

「私の方から使い魔で連絡しますわ。その時はよろしくお願いしますわね」

 

「うっす!任せてください!手先は器用ですから」

 

にかっと笑う横島に背を向けて部屋へ戻ろうと思ったのですが、部屋に戻る前に1つだけ聞いておきたいと思った事があった

 

「もしもですわよ?私が好きだと言ったらどうしますか?」

 

私がそう尋ねると横島は真顔で冗談ですか?と言いますと返事を返した。何でですの?と尋ねると

 

「いや、俺美形って訳じゃないですし、馬鹿ですし、助平ですし、神宮寺さんよりも遥かに劣っているのに好きって言って貰える訳が無いじゃないですか?琉璃さんのドッキリですか?」

 

そんな物ですわと返事を返し、冷えてくるので横島も部屋に戻りなさいと声を掛けてからその場を後にしようと思ったのだが、どうしても尋ねたいことがあり、その場で立ち止まる

 

「貴方は大丈夫ですか?」

 

「大丈夫ってどういうことですか?寒くないかってことですか?」

 

不思議そうな顔をする横島に薮蛇になるかもしれないと思いはしたが、私は聞かずに入られなかった

 

「今回の事件の事ですわ。スライムとスライムを作っていた霊能者……それに関してはどう思っていますか?」

 

私がそう尋ねると横島は拳を作って、それを手の平に打ちつけながら

 

「どうしてそんな事をしたのかって聞きたかったですね。金に困っていたとか、ここのオーナーさんに恨みがあるとか、どうしてこんなことをしたのかってそれを問いただしたかったです。霊能があるから助けれる人が居る、誰かを助ける事が出来る力なのにどうして誰かを傷つける事に使ったのかって思いました」

 

横島の言葉を聞いて私はそうではありませんわと呟いた

 

「良いですか?霊能は誰かを救う力ではありません。誰かを殺す力ですのよ?私の事は聞いているでしょう?」

 

「……暗殺とか、呪いを使うGSってのは聞きましたけど……でも神宮持さんは優しいじゃないですか」

 

優しい、優しいですか……横島が私に向けている信頼や好意を失うかもしれないが、横島は現実を知らないといけない

 

「貴方は優しいと言いますが、私は決して優しい訳ではありません。優しい人間が呪いや暗殺をすると思いますか?」

 

「……何か理由があったんじゃないですか?」

 

「理由なんてありませんわ。私は人に恨まれる事をして来ましたし、恨まれて当然だと思っています。私は自分が悪であることを自覚し、そして裁かれる覚悟を持っています」

 

悪である以上裁かれるだろう。だがそう簡単に裁かれるようなことはしない、悪であるのなら、悪であるという誇りもある

 

「神宮寺さんは悪なんかじゃない!神宮寺さんは優しい人で……温かい人だから」

 

「ありがとうございます。貴方の言葉は嬉しいですわ。ですが、私は貴方と出会うのが遅すぎた」

 

もう少し、ほんの少しで良い。もう少し出会うのが早ければ違っていたかもしれないですね

 

「遅くなんか無い!人は変われる、変わって行ける!だから手遅れなんかじゃない!!!」

 

感情的に叫ぶ横島に馬鹿ですわねと呟いてからその頭を撫でる

 

「ありがとうございます。貴方がそう言ってくれるだけで私は大丈夫ですわ」

 

世間がなんと言おうと、ただ1人の味方が居るだけでこんなにも心強いのですね……私はそれを今まで知らなかった

 

「ですが言葉で変われない人間も居ます。そういった存在はどうしても引き返すことなどは出来ないのです、ガープとかがですね。これからきっと人間の闇を見ることになるでしょう。ですが……どうか負けないで」

 

貴方は強いですわ、心が強い。だからそういう存在と対峙する事になっても負けないでください

 

「……ありがとうございます。神宮寺さんは俺のことを心配してくれたんですね」

 

「ま、そうなりますわね。このペンダントのお礼ですわ」

 

そんな大した物じゃないんですけどとうろたえている横島に苦笑し、引き返そうとしたが、振り返り横島の前に移動する。横島は気付いていないようですが、物影に蛍やおキヌが居るのに気付いていたから

 

「えっとなんですか?」

 

私が目の前に来た事に驚いている横島の頬に両手を伸ばす。びくっと肩を竦める姿に思わずくすりと笑ってしまいながら

 

「これはお礼ですわ。私を其処まで信用してくれてありがとう」

 

「うえっ!?」

 

額に口付けを落とすと額を押さえて意味の判らない事を言う横島に苦笑しながら

 

「では御機嫌よう。それとあんまり女を本気にさせると怖いですわよ?」

 

本気ってなんですか!?っと叫ぶ横島と私に向けて殺気を叩きつけてくる蛍達。だけど蛍達はこんな場所に偶然とは言えず出て来れないのを知っているのでその言葉の通りですわと笑い私はその場を後にした。部屋に戻る途中で横島の評価を付け直していた

 

(横島は自分への評価が低い)

 

どうも自分に対して酷いコンプレックスを持っているようですわね、この様子なら芦蛍と恋仲になるのは相当時間が掛かりそうですわね。それならば付け入る隙もあると言うもの……

 

(元より諦めるつもりなんてありませんでしたが……これは朗報ですわね)

 

芦蛍が横島を篭絡する前に、私が奪ってしまえば良い……そうなった時の芦蛍の絶望した顔がどんな物か?そして横島が私だけの物になった時を想像するだけで笑みが零れる。私はそんな事を考えながら自室へと引き返していくのだった……

 

なお関係ない話だが、この日からくえすの首元には、横島から送られた手作りのペンダントが下げられており。そのペンダントが無い日は1日も無かったのだった……

 

 

リポート2 これは慰安旅行ですか?いいえ、修羅場です その5

 

 




蛍さんはスライダーの中で事故キス、くえす様は横島の手作りペンダントを入手となりました。そしてやっぱりくえす様は黒いほうが輝いていますよね。次回は遊園地での話です、これは全員出していくので、横島が遊園地で過労死と修羅場に巻き込まれるって感じで書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

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