GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート19 魔狼の咆哮 その7
亜空間を進んでいるとここまで響いてくる強烈な神通力の波動に足を止める。魔狼が目覚めたか……
「争乱の狼煙となる」
今の世界から消え去った古き獣が目覚めた。魔力と神通力を併せ持った桁違いの咆哮は神魔は勿論、様子見に徹している魔人達にも大きな影響を与えるだろう
「時代が動くぞ、偽りのデタントの崩壊だ」
あの人狼は良くやってくれた。神魔などに倒されることもなくその本懐を遂げれるように祈りながら私は亜空間を進む、いかに私の技術があるといえど、亜空間での長時間の活動は文字通り命を削る……私は翼を翻し、私自身の目的を達成する為に亜空間の奥へ、奥へと向かうのだった……
影が爆発したと思った瞬間。俺達の目の前には小山ほどの大きさの狼が現れていて、俺達を睨みつけていた。その圧倒的な巨体と身が竦む様な殺気に足が震える
「んーこれならギリギリかなー?まだ相手の力。万全じゃないみたいだし」
アルテミス様の言葉にこれで!?と思わず叫んでしまった。マタドールやガープクローンとまでは言わないけど、凄まじい力を放ってるのに!?
「霊力の吸収を徹底して阻害していたからだ。本来のエネルギー量からすれば半分にも満たない!」
ビュレトさんの言葉にそれなら勝てるかもしれないと言う考えが脳裏に浮かぶ。美神さんや琉璃さんも同じだったのか
「じゃあ霊力が枯渇してるいまなら勝てる?」
その言葉にシロとシズクに手当てを受けていたクロさんが血相を変えて叫ぶ
「飢えた狼は危険だ!手当たり次第に喰らいに来るぞ!」
『腹が減った……』
クロさんの言葉と狼が腹が減ったと叫ぶタイミングが殆ど一緒で、俺は殆ど反射的にアリスちゃんとタマモの腕を掴んでを横っ飛びする。頭の上とかのチビやうりぼーの驚いた声がするが、それには我慢して貰うしかない。その直後に地震のような音が響く
「シロや横島殿やアリス殿、それに魔女殿は格好の餌じゃ!その霊力を完全に狙われておるぞ!」
言峰神父に介抱されている長老に叫び声に俺はアリスちゃんを背中に背負い、タマモの手を放す
「アリスちゃん、しっかり捕まってて」
「う、うん」
アリスちゃんの腕が首に回される。恐怖で震えているのか、その手は小刻みに震えている。誰だってあんな化け物相手だ、震えて恐怖を感じて当たり前だ
「タマモは悪いけど、走ってくれよ」
「判ってる、アリスに走らせるのは酷だわ」
アリスちゃんは確かに霊力とかは多いかもしれない。だけど精神が幼いと言うのは判っていた、別の言い方をすると俺以上に力のコントロールを知らないのだ。だからこんな状況で走らせるというのは幾らなんでも酷過ぎる
「琉璃!高城!横島君達を避難させてッ!」
「判ってます!シズクさん!負傷者の運搬をお願いします!」
「……判ってる。横島、シロ!先に行け。この3人を治療したら、直ぐにお前達も水の中に取り込む」
琉璃さんと美神さんの怒声に返事を返す間もなく走り出す。地面を喰らっていた狼がのそりと身体を起こし
『逃がすと思っているのか?』
その言葉に背筋に冷たいものが流れるのを感じた直後。心眼の声が脳裏に響く
【止れ!先に魔力塊がある!】
俺の勘が当たっていた事に良かったと思いながら、前を走っていたシロとタマモの服を掴む
「わぷっ!?」
「わわ!?」
シロとタマモの驚いた声が聞こえるが、体重的には俺の方が上だ。2人が仰け反って止った直後、2人の目の前を黒い刃が通過する。影のときも使っていた能力だ
『狼の狩は始まったばかり、逃がしなどはしないぞ』
4つの瞳が俺達を睨みつける。その目を見て、俺は逃げる事が出来ないと悟るのだった……シズクの舌打ちが嫌な沈黙に見たこの場に響き渡る。それだけで水を媒介にした転移も出来ないと言う証拠で逃亡できないというのが如実に判ってしまった
「横島君。周囲の警戒、下手に動かないで」
「嫌な流れだ。あちこちから殺気が漏れている」
琉璃さんと高城さんが俺達の側に来てくれたが、それで状況が何か変るわけではない。周囲から感じる恐ろしい気配はますます強くなっていて……足手纏いにならないようにこの場を離れる事も出来ない。咄嗟に懐の眼魂に手を伸ばしたが、それはいつの間にか隣に来ていた牛若丸とノッブちゃんに制された
【主殿、変身すれば主の身体は私達と同じになります】
【霊体の攻撃はアイツには通らん。無駄死にするだけだ】
いままで起死回生の一手になっていた眼魂が使えない……それは俺がこの戦いでは何の役にも立たないと言う事で、俺は悔しさから拳をきつく握り締めるのだった……
フェンリルの復活。それは霊力が満ちてなければ為されないと私は考えていた……アルテミス様になんとか協力を取り付け、影の段階ならば数の有利をとれば封殺できると考えていた……だが向こうは降臨しようとしているアルテミス様を吸収しようと考え、わざと影のままだったと言った。その段階で全員でこの場に来た事が完全に裏目に出てしまった
『ガアアアアアッ!!』
咆哮を上げ、巨大な牙を剥き出しにして飛び掛ってくるフェンリル。復活したばかりで頭の回りは良くないのか、攻撃自体には反応出来るから避ける事も出来るし、防ぐことも出来る。だがこちらの攻撃が全く通らない
「ちいっ!攻撃が通らんッ!」
「私の魔法も効果が殆ど見えませんわ!?」
ビュレト様の舌打ちと神宮寺の動揺した声が響く、フェンリルにこちらの攻撃が通らないのだ。攻撃力だけで考えれば神魔の中でも上位に入るビュレト様と、人間の中では最高位と言える魔法使いの攻撃を無効にする。その理由は判っている、フェンリルは古き神。今の神魔とは力の概念が違う!その概念が攻撃を阻んでいる
「アンサズ!」
それならと空中にルーン文字を刻み、炎を放つがフェンリルはそれを受けても何のリアクションも見せない
『ああ……腹が減ったッ!!』
腹が減ったと叫び、前足を振り、尻尾を振り回す。時折影が刃になるのも厄介な上に、フェンリルはその巨体もあり、掠っただけでも致命傷になりかねない攻撃を多用する。私やビュレト様なら問題ないが、美神には反応出来ないと判断しルーン魔術を施しておいて正解だった
「あーん!ダーリン!全然効果ないよー!?」
「だーってろ!今考えてるッ!!」
アルテミス様も弓矢を放つが、効果が薄く。そしてアルテミス様を喰らおうとするフェンリルにアルテミス様の声にも泣きが混じってくる、復活したばかりと言えばアルテミス様も条件は同じ。だが月を司る神と言う事で、フェンリルに大しては有利に立てるはずなのに……
「フェンリルって言うのはこんなに規格外なの!?ブリュンヒルデ!」
突進攻撃を転がって回避した美神が悲鳴にも似た声で叫ぶ
「いえ!流石にここまでの無敵性は無かったはずなんです!」
お父様を食い殺した時よりも体のサイズは一回りほど小さいんですと叫び返す
「こ、これですか!?」
霊力の大きい順にターゲットと見ているフェンリル。この中で最も霊力が大きいのはアルテミス様でその次にビュレト様と私に閣下、そして美神、神宮寺、蛍、横島、アリスちゃんと続いていく……そのおかげか横島達にあまりフェンリルの攻撃が向く事はない……いや、実際は何度もその牙がそちらに向き掛けるのだが
「おい!犬っコロ!よそ見してるんじゃねえッ!」
「はっ!!」
ビュレト様の挑発と共に放たれた炎と私の刺突が首を捉え、私とビュレト様にフェンリルの視線が向けられる。私は美神達に目配せする、正攻法では勝てない。この不死身性を見破る事が最善だ、人間ではいつまでも精神力も集中力も続かない。私とビュレト様が戦っている間に、何か攻略のヒントを掴んで欲しいと思ったのだ
「……行けッ!」
シズクさんの氷の矢や槍が虚空から現れ、前足から放たれた魔力刃を弾き、そして進行方向や足の下にそれらを発動させる事でフェンリルの動きを大きく阻害してくれてる
「えーいっ!!」
『くはははは!!効かんぞッ!』
よろめいた先にアルテミス様の8連射が叩き込まれるが、命中する寸前に何かに弾かれるように霧散し、周囲に神通力の幕を作り出す
「ええい!あれでもダメージが通らないのか!?」
ビュレト様が苛立った声で叫ぶ、私もその光景が信じられなかった。古き神の力の高さは私達よりも遥かに多い、ガープに何かされていたとしてもあの防御力は異常すぎる
「ではこれならどうだ」
神通力の幕を目晦ましに使い、言峰が飛び蹴りをフェンリルの頭に叩き込んだ。凄まじい重音を響かせフェンリルの頭が大きくねじれる、信じたくは無いが、言峰の純粋な肉弾戦での攻撃力は私を上回っているかもしれない……あの蹴りの威力を見て私はそう感じた
『人間如きが!』
「人間だが、私とて人間兵器とまで言われた男だ。そうそうに倒れはしないッ!」
私とビュレト様と言峰、そしてアルテミス様とシズクさんの5人でフェンリルへと立ち向かうのだった……
横島のほうに走っていると、横島達も横島達で相当苦戦していたのが近くによって直ぐ判った
「大丈夫ですか?」
「あはっ……流石におねーさん、錆付いてるわ……」
霊刀を手にしている琉璃さんは膝を着いて荒い呼吸を必死に整えていて、横島は両手に栄光の手を作って周囲を油断なく警戒している。だがフェンリルはビュレトさん達が相手をしているのに何と戦って……私がそう思った瞬間。
「蛍!頭下げろッ!」
「えっ!?」
横島の怒声に反射的に頭を下げると、私の頭上を栄光の手が通過し重い金属質な音が響き渡る
「影の刃があちこちから飛んでくるのよ!早くこっちに来なさいッ!」
タマモの声に私達は走り出し、横島達がいる場所に近づくと巨大な狐火に照らされた一角に横島達の姿があった。早く早くと手を振る横島を見ながら狐火の下に飛び込む
「な、何が起きてるの?」
「影から剣とか槍、それに斧なんかが飛び出てきて!てえいっ!いるでござるッ!」
話をしている間にも槍が飛んできて、それをシロが霊波刀で打ち落とす
「い、いやあ……物理刀じゃ駄目です。簡単に曲げられて……多分神通棍も殆ど効果ないですよ」
刀とは思えないほどに曲がっているそれを見せながらへたり込む琉璃さん。会長って言う立場もあり実戦から遠退いていたのがかなり響いているのが良く判る
「ぷぎゅう!」
「みむー!」
チビとうりぼーもビームと電気ショックで影の武器を迎撃していて、アリスちゃんは増えたうりぼーの中に埋もれるようにして隠されていた。クロさんとポチさん、それと長老はシズクの氷の結界の中にいるが倒れていて意識があるようには見えない
「横島。おキヌや信長はどうしたのですか?それに高城は?」
姿の見えない幽霊トリオのことを尋ねるくえすに横島はそろそろ来ますと言って、次の瞬間魂を揺さぶるような衝撃を受けた
「うっくう……な、なにこれ……」
【フェンリルが空気を吸い込むたびに周囲の霊力を奪っているんだ。ビュレトとブリュンヒルデの結界が生きているから、フェンリルに霊
力は流れていないが、持久戦になればなるほど不利になる】
私の問いかけに心眼が答えてくれたが冗談じゃない。ただでさえ強い相手がこんな絡め手まで使ってくるなんて……
「ノッブとかがいないのは、霊体だからね?」
「うっす、俺よりもダメージが大きくて。眼魂の中にいます、おキヌちゃんは……【横島さんに憑依させて貰って耐えてます】
横島の背中に重なるようにおキヌさんが姿を見せる。だがその顔色は悪く、霊力吸収攻撃の脅威を物語っている
「ちなみに私とシロ、それとチビとうりぼーは平気。種族的にはフェンリルの遠縁とも言えなくも無いし、人間だけがターゲットみたい」
「だけどあの影の刃は厄介でござる」
私よりも小さいチビとうりぼーが平気な理由を教えてくれたけど、それは何の救いにもならない。ただ1つ気になるのは、フェンリルと戦っていた時は感じなかったのに、どうして横島達の側に来たらそれを感じたかが頭のどこかにひっかかった……本当ならお父さんの助言を受けたい所だけど、今朝は大丈夫だったのにいまは連絡がつかない。フェンリルの復活の影響だろうか……
「私はここだ」
そして高城はアリスに抱きつかれ、うりぼーの群れの中から顔を出した。酷く疲れた顔をしているのがやけに印象的だった
「とりあえず、こっちの状況は判りました。それよりの今の問題はフェンリルをどうするかですわ」
攻撃が効かない無敵の狼、それをどうやって倒すかだ。いつまでも攻め手が見つからなければビュレトさん達が消耗する一方……みんなの限界が来る前になんとかする方法を見つけ出す必要がある
「心眼。何か感じたことは無い!?」
アリスちゃんを安心させる為にアリスちゃんに心眼のバンダナを渡していた横島。私達はアリスちゃんに頼んで心眼を借りて、何か判ったことは無い?と尋ねるが心眼はすまないと前置きしてから
【馬鹿でかい霊力の塊があるから、普段通りの探知能力は期待してないでくれ】
っぐう……心眼の探知能力を頼りにしていたのに!普段通りではないとしても、私達よりかは上だと思うしかない。私達が頭を抱えている
間も背後からは重い金属音が響き
「シロ!そっち鎌行ったぞッ!」
「っはい!せんせー!」
シロと横島、それとタマモが必死に影から伸びて来る刃を迎撃している。私も美神さんもくえすも霊波刀は使えない、横島達が必死に耐えている間に何か良策を見つけ出さないと……
「別の空間に存在しているというのは?」
【いや、空間の歪みは探知していない】
「そうですか、位相をずらして空間自体を防御手段にしていると思ったのですが……」
魔法は無効、物理は仰け反らせる程度の事は出来るが効果ゼロ……あの無敵性には何か理由があるはずなのに……
「精霊石も神通力も効果が無いのよ。それで考えられるのは?」
【難しい所だな、考えられるのは自身に命中した力と同じ力を外に向かって放出しているという可能性はあるが……】
それはかなりタイミング的に難しいと心眼が言う。あれだけ同時に攻撃を受けて、それら全ての威力を目視で判断して相殺する。それがどれだけ難易度が高いかなんて言うまでも無いだろう
「いやー!私の弓が全然効かないよー!!」
「だーっ!落ち着け!パニックになるな!」
アルテミス様のパニックになった声とそれを落ち着かせようとするオリオンの声。それに続いて
「合わせろ!ブリュンヒルデ!」
「はいっ!」
ブリュンヒルデさんとビュレトさんの左右からの同時攻撃が叩き込まれるが、2人の身体が斜め上に弾き飛ばされ
「……流石に辛くなってきたな。おい、そっちは大丈夫か?」
「右手の指は全部死んだが。左が残っている、何も問題は無い」
水切れを起こしかけているシズクと肉体的なダメージで限界が近い言峰神父に焦りばかりが募る
【横島さん、後ろから来ます!】
「だーっ!そろそろやばいぞッ!!!」
「横島切れるんじゃないわよ!」
私達への攻撃を防いでくれている横島とシロ、それにタマモにも疲労の色が濃い
「みむう!」
「ぴ、ぴぎーッ!」
電気ショックを繰り出しているチビはまだ元気そうだが、うりぼーは少し声に元気が無い。それでも私達に向かってくる刃を迎撃してくれている……だが誰もが理解していた。限界が近いと……このままではジリ貧であり、何も対抗手段が無いと……
『そろそろ限界だろう、1人ずつ食い殺してくれる』
フェンリルの挑発するような声に焦りばかりが募っていく。なにか、何か無いの……あの無敵性と貫く方法は無いのかと必死に頭を働かせるが何も思いつかない……焦りばかりが胸を埋め尽くしていく……
「え?アリスちゃん!?今なんて言ったの?」
琉璃さんの驚いた声に振り返ると、アリスちゃんが影を指差して何かを呟いていた。アリスちゃんの指の先を見て、アリスちゃんが何を言っているか理解した……フェンリルに影が無いのだ。山の中で雲もなく満月のおかげで街灯がなくても足元が見える、だからフェンリルの影が無いのはおかしい……フェンリルの無敵性それは本体ではないから、魔力と神通力で出来た分身だから攻撃が通らなかった
「アルテミス様!上に飛んで下さい!その狼は違うッ!」
美神さんの叫び声を聞いたアルテミス様が上空へと凄まじい勢いで飛び上がっていく
『させるかぁッ!』
4つの目と口から霊波砲を放ち、アルテミス様を打ち落とそうとするが、オリオンが指示を出して、アルテミス様はそれを減速せず回避し、更に更に上空へと昇っていく、天空まで上っていく……
「さぁダーリン、愛を放つわよ!『月女神の愛矢恋矢ッ!!(トライスター・アモーレ・ミオ)』 」
「冷静に考えろ、お前どこ出身!?」
どこか真剣になれ切れないやり取りが上空から聞こえ、ピンク色の光を伴った巨大な神通力が流星のように地面に向かってくる。
『くそ!ふざけるな!我は、我は今度こそ世界を変えるんだッ!!』
自身に向かってくる神通力を迎撃しようと必死に霊波砲を放つが、密度が違いすぎる。フェンリルの攻撃は全て弾かれる
「終わりですわ。あの密度の神通力を弾き飛ばすのは不可能ですわ、それよりも美神精霊石の準備を!あれだけの神通力が炸裂すれば全員只ではすみませんわよ!」
「そ、そうね!精霊石よ!」
くえすの魔法のよるバリアと精霊石の護り、そしてアルテミス様が上昇するのと同時に、こっちに向かっていたビュレトさん、ブリュンヒルデさん、シズクの3人の結界が構築され、私達全員を包み込んだ直後。神通力の矢が地面に突き刺さる
『己!己!己ええええええええッ!!!ウ、ウォオオオオオオオォンンンンンッ!!!!』
地面を震わせる凄まじい狼の断末魔の叫び、そして視界を埋め尽くすピンク色の光に私達は完全に視界を失い、その直後に結界を揺さぶる凄まじい衝撃に思わず悲鳴を上げてしまう
「ちい!ふざけた言動でも古き神か!おい!くえす!魔力を回せ!結界が砕けるぞ!」
「は、はい!しかし、古き神の力がここまでなんて思っても見ませんでしたわ!?」
「ソーンッ!」
「ちっ、あの馬鹿女神め、もう少し手加減って物を考えろ。アリスはうりぼーの中に隠れろ」
「う、うん……」
結界が音を立てて砕け、ビュレトさんとブリュンヒルデさんの魔術で結界を内から強化する。高城もこっそりと魔術で結界を強化してくれてた。アリスちゃんはまだ増えたままでぴぐぴぐ鳴いているうりぼーの群れの中に潜り姿を隠し、チビは本体のうりぼーを抱えて、横島の頭の上に避難する
「ややや、やばくないかあ!?」
【落ち着け!これだけの神性の結界だ!そう簡単に破れることは無い!】
チビとうりぼーを頭の上から、Gジャンのポケットに入れた横島が動揺して叫び、心眼が大丈夫だと言うが結界越しでも地面を揺らしていて、大変な事になってるのが判る。現に限界を超えていた言峰神父は着弾時の神通力の衝撃で気絶してしまっている、良く私達や横島が意識を保っていると正直感心してしまった
「蛍ちゃん!横島君の方に行きなさい!琉璃は琉璃でしっかりしなさい」
「だ、駄目です……久しぶりの規格外の神通力で腰抜けました……」
なにやってるのよ!?と叫び琉璃さんと庇う美神さんを見て、揺れる地面に足を取られながらも横島の方に向かうが……
「ちょっと!横島!抱っこしてよね!?」
「あ!ずるいでござる!?」
「……私も霊力が限界だぞ、横島」
精霊石を外して子狐モードになったタマモを抱き抱える横島とそれを見てずるいというシロは、シズクと共に横島の腰元に抱きついている。それ見て私も正直膨れ面になりかけたが、それよりも早く
「蛍も!」
「え?」
膨れるよりも早く横島に抱き寄せられる。怖くて震えているのに、それでも私を庇おうとしてくれた横島にときめいた。そして永遠とも思える数秒が過ぎ去り、光の柱が消えた時にはアルテミス様が私達の目の前にいて
「ワァ! やったぁ! ダーリン大好き!」
周囲の被害なんて完全に無視で、勝ったーっと嬉しそうに笑うアルテミス様とその肩の上で周囲の被害を見たオリオンが溜息を吐きながら
「はーい、はいはい、お疲れさん……ほんと悪いね。こいつこういう奴だからさ、周りの被害とか全然考慮しないから」
酷い戦いだったのに、最後までどこか締まりきれない。脱力するのを感じながらも全員無事だった……地面は岩盤が捲れ上がり、クレーターが出来て、周囲の木が根こそぎ倒れているけど、それでも私達は全員無傷だ。私は思わずその場にへたり込みながら、良かったと呟くのだった……
「……この被害の補填を考えるだけで私吐きそうです」
「……今はそんなことを考えるのは止めましょ?」
悲哀に満ちた琉璃さんとそんな琉璃さんを慰めている美神さんの声は、聞こえたけど聞こえなかった振りをし、同じように地面に座り込んだ横島の肩に頭を預け、目を閉じるのだった……もう疲れて、疲れて……意識を保ってられないから……
亜空間にも響いてきた凄まじい魔力の波動に眉を顰める
「そうか……死んだか」
あの人狼が本懐を遂げることを祈っていた。だが死んでしまったか……そう思うと残念でならない。フェンリルの特性がなければ私も協力したが、神魔を憎む心が消えることは無い。それのせいで恐らく人間を軽視したのだろうな……負けた理由を推測し、残念だったと呟く。だがそれを悔やんでいる時間も無い……
「やっと見つけた」
亜空間の奥のそのまた奥。神々の墓場とでも言うべきその場所にやっと辿り着いた……この世界から上位の世界に行くこともなく、だがかといってこの世界に君臨することもしなかった神々が眠る場所。神魔同士の争いでその肉体を失い魂だけになった神がいる場所。その場所に足を踏み入れた瞬間、魂を鷲づかみにされたような圧迫感を感じ、身体が動かなくなる
『へえ?見てよ。何千年ぶりかに肉体を持ったのが来たよ』
『ああ、そのようだな。だが小僧、貴様何をしにきた』
姿を確認できないが、私よりも遥かに霊格のある2柱の声に押しつぶされそうになりながら、懐に手を伸ばす。話をするつもりも、ここで死ぬつもりも無い
「私に従ってもらうぞ、古き神よっ!!」
懐から取り出した球体のボタンを押し込み投げつける。小賢しいという笑い声と共に球体に手が伸ばされるが
『あ、あれ?す、吸い込まれる』
『ぬう……貴様ッ!』
怒りに満ちた怒声が響くが、それよりも先に球体に2柱の神が吸い込まれるのが先立った。目の前に落ちた赤黒い球体と翡翠色の球体……
「はは!はははははッ!成功だ!成功したぞ!私は眼魂を作り上げたッ!!!」
その2つの眼魂を持って来ていたアタッシュケースにしまい、更に空白の眼魂を手に亜空間を進む、この場に眠る神全てを眼魂へ封じるために……
リポート19 魔狼の咆哮 その8へ続く
えーっとまずはすいません!原作があっさりしすぎていたので色々プラスしたのですが、よりあっさり風味になってしまったかもしれません。もっと精進していかないといけないというのが良く判りました、原作を改造するのもある程度考えないといけないですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い