GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート20 狼の居る日常 その2
今日は昼から六道女学院に行くと美神さんに聞いていたので、美神さんと蛍が迎えに来てくれるまで、チビ達と遊びながら家で待ってることにしたんだけど……
【ノブ!ノブノブ!のーブーッ!!!】
チビノブがなんか怒ってる。家に置いていったのは謝ったので許してくれたと思ったんだけど……まだ何か怒ってることがあるっぽい
「シロかタマモ、何て言ってるか判る?」
煎餅を齧りながら何か話をしていたシロとタマモに声を掛ける。チビとうりぼーが何て言ってるか判る2人ならと思ったのだが……
「申し訳ないでござるせんせー、拙者にはなんて言ってるか判らないでござる」
「チビとかうりぼーなら判るんだけどね」
駄目か。エキサイトしているチビノブが何で怒ってるのか知りたいんだけど……じゃないとどう謝れば良いのかも判らないし、どうした物か……
「シロ、あんたの服ボロボロすぎ。こう言うのを手伝いして買いなさい」
「えー拙者着物欲しいでござるよ」
何か見ていると思ったから服のカタログを見ていたのか、あんまり高いのじゃないなら買ってやれるけど、うちの財政は基本ロリオカンだからなあ……欲しい服が有るならロリオカンに交渉して貰わないと
【ノッブウ!ノーブブー!】
「ちょっと待って、待って!」
怒って足をぽかぽか叩いてくるチビノブ。痛くは無いけど、ここまで何かを訴えようとしているのだ。それを何とか理解してやりたいんだけど……シズクが居ればシズクがチブノブの言葉が判るのだが、残念な事に買い物に出掛けてしまっているし……本当にどうすれば良いんだと困り果てていると救いの手は意外な所から伸ばされた
「アリス判るよー?」
「え?アリスちゃん判るの?」
判るよーっと言ってにぱっと笑うアリスちゃん。今まで机の上で何かポーズ、可愛いというか、勇ましいというか、判断に悩むポーズをしているチビとうりぼーを見てどっちの勝ちーって言っていたが、どうも話はちゃんと聞いていてくれた様だ
【別にそこまで気にしなくていいじゃろ?置いて行った事を怒ってるだけじゃろ?】
【いえ、そう決め付けるのは良くないでしょう。チビノブはノブノブしか言いませんが賢いですから、何か主殿に言いたい事があるのでしょう】
メロンパンを食べ終え、林檎ジュースの缶を握り潰しながら言うノッブちゃんと、そんなノッブちゃんを窘めている牛若丸。こんなことを言ったら悪いけど、ノッブちゃんのこういう所がチビノブがノッブちゃんを嫌っている理由なんじゃ?とか思っていると、チビノブの話を聞いていたアリスちゃんが判ったよと笑う
「あのね。お兄ちゃん、今度からチビノブも除霊について行くって」
「え!?大丈夫なのか!?」
除霊について行くって言っても怪我とかしたらと思うと心配で心配で仕方ない。チビノブはふんすっと鼻息荒く窓を開ける
【のーのーのーぶーぶー】
なんか大きく息を吸い込み始めた。何だ?何なんだ?何をするつもりなんだ?俺達の視線がチビノブに集まった瞬間
【ノッバアアッ!!!】
「ビームでた!?」
【霊波砲だな、出力も凄いぞ】
心眼がビームではなく霊波砲と訂正する。開いた窓から外に向かって放たれたチビノブビームは雲を薙ぎ払い、青空へと消えていく。チビノブはそれを見て自慢げに振り返る、口から少し煙が出ている以外はいつもと同じ顔なのだがどこかドヤっとしているように見える
「いや、なんで口から霊波砲出るのよ、普通手の平でしょうよ」
「え?拙者頑張れば、口から出るでござる」
「……あんた。もう少し女としての自覚無いわけ?」
シロとタマモのなんか脱力する話を聞いていると、チビノブが自分の影に手を突っ込んで、何かごそごそと探し始める。何してるんだろ?と全員でチビノブを見つめていると玄関からシズクとハーピーさんのただいまーと言う声が響く
「……今家から凄い霊波砲が出て行ったけど誰のだ?危ないから家の中で霊波砲とかを使うな」
「あーごめん。なんかチビノブが今度から除霊に来るって言うから、そのデモンストレーションだったみたい」
チビノブの攻撃と聞いてシズクもハーピーさんも一瞬驚いた顔をしたが
「まぁ横島の家で暮らしてればなんか進化するよね」
「……まぁ殆ど異界に近いしな」
「待って、俺の家どうなってるの」
気にしない方が良い、気にしなくても良いと言うシズクとハーピーさん、こうして面を向かって言われると、怖いと思う気持ちが無いわけでもないので少し怖くなる
【ノッブー!】
気合満点の声と共にチビノブが取り出したのは、平べったくて、なんか金属質の光沢を持つ何かだった。
【お、平蜘蛛じゃな。あれは良いものなんじゃよなー、しかしレプリカかの?】
どうもノッブちゃんが知っているアイテムのようだが、一体なんに使うものなのだろうか?
【ノッブー】
チビノブはそれをノッブちゃんに投げつける。投げつけるといってもふわりとした感じで投げつけたのでノッブちゃんは楽に受け取る
【んーこの重さ、この色合い、マジで平蜘蛛そっくりじゃな】
投げつけられたそれを観察しているノッブちゃん。攻撃目的じゃなくて、仲直りの証として投げたのかな?と思ってみているとアリスちゃんが俺のズボンを引っ張る
「どうかした?」
「離れた方が良いかも、チビノブすっごい悪い顔をしてる」
そう言われてチビノブを見ると確かにすッごい悪い顔をしている。俺は机の上のチビとうりぼーを抱き抱え、アリスちゃんと共にノッブちゃんから離れる。
「タマモ、聞こえてるでござるか?」
「当たり前でしょ」
俺には聞こえないが、シロとタマモには何か聞こえているようだ。本とジュースを抱えて逃げてきた
【あのさー、横島】
金属の何かを観察していたノッブちゃんが凄く真剣な顔で俺の名前を呼ぶ、こんなに真剣な顔を見たのは初めてかもしれない
【なんか、これカチカチ言ってるんじゃけど……しかも、なんか紐が出てきて、手を縛られて手放せないんじゃけど】
【霊力が物凄い勢いで集束しているな、このままだと……】
カチカチ言ってて、手放せない……そして心眼がいやなタイミングで黙り込んだ、心眼が言いかけた言葉を想像し、全員重い沈黙が広がる。全員が物凄い引き攣った顔をしてノッブちゃんから距離を取る
【牛若丸!助けて!友達じゃろ!?】
近くに居た牛若丸に助けを求めるノッブちゃんだったが、それに大して牛若丸の言葉は……
【勘違いしないでください、主殿を護る同僚とは思っていますが、私は貴女の事を友と思ったことはありません】
めちゃくちゃドライかつ冷たい言葉と絶対零度の視線でした。そのまま牛若丸は窓を全開にする
【シズク、どうぞ】
「……お前のその冷静さ、私は買うぞ」
シズクがノッブちゃんの後ろに回りこみ、その背中に手を当てる。
「危ないからね。あたいの側に来てね?」
「はーい♪」
ハーピーさんがアリスちゃんを抱き抱えるようにして護る中、シズクが何をしようかと悟ったノッブちゃんが引き攣った顔で振り返る
【待って!そんなことをするなら助けッ!横島ぁッ!助けてぇッ!!!】
俺としても助けてやりたいけど、俺生身だし、爆弾解体なんか出来ないので俺はそっと目を逸らす事しか出来なかった
「……横島とお前を秤にかければ、お前を見捨てるに決まってるだろ?どうせ英霊だ。死なない、夕食は豪勢にしてやるから逝って来い」
シズクはそう言うと大量の水でノッブちゃんを窓の外に押し出した。字が違ーう!!っと言うノッブちゃんの声がドップラー効果で響き渡り、数秒後にドカンっと言う音が周囲に響き渡った……俺の気のせいでなければ、青空にノッブちゃんの横顔が見える気がする
【ノッブー!】
そして竹光を振り回し、勝ちーっと喜んでいるチビノブを見て、おいて行くと家が爆破されるかもしれないと思った俺は、今度の除霊にチビノブを連れて行く事を決めた
「ノッブちゃん大丈夫かな?」
「大丈夫だと思うよ、服はボロボロになってるかもしれないけど、もう死んでるから死ぬことは無いよ」
弾ける笑顔でとんでもないことを言うアリスちゃんにう、うんと返事を返しながら、ノッブちゃん大丈夫かなあっと開いている窓の外を見つめていると美神さんのバンがやってくるのが見え
「なんか凄い霊力がこっちから来てたけど、なんかあったの?」
美神さんの言葉に俺達が言葉に詰まったのは言うまでも無いだろう……
六女に向かう中。先ほどの霊力の正体を横島君が教えてくれた
「チビノブの攻撃ねえ……」
チビノブビームとチビノブボンバーと横島君は言っていたが、霊波砲と爆発する霊力の塊を作るとか危険すぎるだろう、しかも除霊について行くと騒いでいるので今度から連れて行きますと言っていたが……もう少しだけで良いので妖怪っぽいのを連れて歩くことの危険性を考えて欲しい
【ノブ!】
「よーしよし、良い子だから大人しくしてような」
車でのお出かけが初めてだから興奮してるんですと横島君がチビノブをフォローするように言うが、微妙にフォローになってない。
「所で横島。シロとタマモ、それにアリスちゃんは?」
付いてくると思っていたシロ達が居ない事を蛍ちゃんが尋ねる。横島君は膝の上に座っているチビノブの頭を撫でながら理由を口にした
「タマモがなんか買い物に行くって言うから、ハーピーさんが付き添って買い物に行ってる。なんか服とか買うんだって、尻尾が9本全部揃ったから精霊石なくても人化出来るから服がいるって」
「「え?」」
私と蛍ちゃんの困惑した声が重なった。8本目まで揃って最後の一尾が全然戻らなかったのに……いや戻ったことが悪いって言うつもりは無いんだけど……
「ちなみにもう子狐には戻らないって?」
「いえ。狐モードも楽は楽だからって言ってましたよ。尻尾は完全復活した幻術で隠すから問題ないって」
問題は無いかもしれないけど、その全力モードの幻術とかの能力がどれくらいな物なのかが実に気になる。仮にも九尾の狐、神魔に最も近い妖怪と言われた実力は健在だろうし
「尻尾がモフモフしてて可愛いんだよ」
「……そう」
蛍ちゃんが遠い目をして横島君に返事を返す。何処の世界に九尾の狐の尻尾がモフモフしてて可愛いという感想を抱くGSがいるだろう?多分世界中を探しても、横島君くらいの物だろう
【所で美神さん、今日六道女学院に行く理由ってなんなんですか?】
おキヌちゃんが横島君の頭の近くで浮きながら六道に行く理由を尋ねてくる。蛍ちゃんとおキヌちゃんの顔が嫌そうに歪んでいる、六道に関わると嫌な事になると言うのが良く判っているからの反応だろう
「ちなみに今回は冥華おば様の話じゃないの、なんか面白い物が出来たからそれを見に来て欲しいって」
面白いものがあると電話で聞いて見に行く事にしたのよと言うと横島君達が不思議そうな顔をする。私も見に行くか本当に悩んだんだけど、霊能関係で新しい発明になるとか、特許になるとか聞いたら興味が出てきたのだ
「まぁもうすぐ着くから見て見ましょうよ」
態々電話してきたくらいなんだから相当珍しい物なんだろう。六道には霊具開発をしている学科もあるし、そういうのを専門を研究していた教師を講師として呼んでいた。だからそういう教師や生徒が何か開発したのかもしれない、そんなことを考えている内にバンは六道女学院の駐車場に着いた。
「じゃあ行きましょうか。新しい神通棍か、それとも霊体ボウガンか……もしかすると精霊石銃とかもありえるわね」
新しい特許が取れるような物と聞いていたので、どんな物が来るのか楽しみで楽しみで仕方ないわね。横島君と蛍ちゃんにそう声を掛けてバンを出て入校許可証を貰う為に職員室に足を向ける
「あー来てくれたのね、助かるわ」
「本当ですね」
「マルタにキアラ?どうしたのよ」
明らかに私達を待っていたって言う様子の2人にどうかしたの?と尋ねる。正直マルタならよっぽどの事が無ければ十分対応出来るだろう、キアラの能力は正直未知数だが、カウンセラーとしての能力だけではなく、それなりに戦闘能力を持ってなければ六道女学院の教員になれない筈。カウンセラーとして迎えられるくらいだから回復系の能力を持っていると思うんだけど
「ちょっと正直どうしたものかって思う事が起きてるのよ」
「ええ、花戸小鳩さんはご存知ですよね?横島さん、蛍さん」
私じゃなくて横島君達に声を掛けるキアラ。2人の方を見ると横島君達は不思議そうに首を傾げながら
「小鳩ちゃんって、福の神と一緒の子ですよね」
「なんかありました?小鳩さんってそんなに問題児って人じゃないって思うんですけど……」
福の神を連れている生徒……横島君と蛍ちゃんが知ってる理由はそれで判った。使い魔学科の生徒だろう……
「えっとね……とりあえず付いて来て。話すよりも見た方が早いと思うから」
口では説明しにくいと言うマルタに頷き、2人が持っていた入校許可証を受け取り保健室に足を向ける
「お元気そうですね。どうですか?霊能の修行は進んでいますか?」
「私はまずまずですかね、横島の方も良い感じよね」
「蛍にそう言って貰えると嬉しいけど、実際どうなのかな?」
【私も大分横島さんは強くなっていると思いますよ?】
「みむーみみー♪」
「ぴぎゅう?」
【ノブゥ】
【お前達は横島の家に着たばかりだからな、そのうち判ると思うぞ】
横島君は自信無さそうにしているけど、ここ最近の横島君の実力は相当伸びていると思う。眼魂だけの話じゃない、陰陽術の伸びも良いし、一緒に居るチビ達の能力も非常に高い。正直眼魂を使わなくても十分戦えるだけの能力を持っていると思う。心眼とおキヌちゃんに言われても、うーんっと唸る横島君。自分では実感がもてないのよね、霊能力の強さって
「ふふ、成長する時期が来ているのかもしれないですね。もし悩み事とかがありましたら、尋ねてきてくださいね。カウンセラーとしてご相談に乗りますよ」
にこにこと笑うキアラ。冥華おば様が態々呼び寄せたカウンセラーなのだから、きっとカウンセラーとしての腕は本物だろう
「相談に乗って貰うと良いと思うわよ、やっぱり伸び悩む時期ってのもあるし、正直私に相談しにくいこともあるだろうし」
現に私が唐巣先生に相談できなくて、冥華おば様に相談した事がある。近い人に相談するよりも、ある程度距離を取ってる人に相談した方が良い時もあるし、キアラのカウンセリングを受けても良いんじゃない?と言う話をしていると保健室はもう目の前だった
「ここよ。とりあえず見てみて」
マルタに言われて扉を開けるとそこでは……
「ふ、福ちゃん。何て物を作ったの」
赤みが掛かった髪をお下げにした少し気弱そうな少女とその隣にいるファラオみたいな服装の小人……多分福の神が困ったような顔をして
【い、いやあ、ワイは福の神として利益になるものを……】
利益になるもの?福の神の視線の先にはダンボールに入った何かがあった
「あ、ハンバーガーじゃん。一個もーらい」
「ま、待って!横島さん駄目!」
少女が止めに入るが遅く、横島君はハンバーガーを齧る
「んごふっ!」
「横島君!?」
「横島!」
【あ、あー!思い出すのが遅れ……」
口からぶばあっと口にしたものを吐き出し倒れた横島君に、私と蛍ちゃんの悲鳴が重なり、おキヌちゃんが何か言っていたがその声は良く聞こえなかった
「あちゃー……食べちゃったのね。まぁ見た方が早いかな」
マルタが溜息を吐いていると横島君の背中から霊体の横島君が姿を見せ
【んじゃこりゃあああああ!?】
「すみませんすみませんすみません、福ちゃんが本当すいませんすいません」
可哀想になるくらい頭を下げる少女とふわふわと浮かんでいる横島君。私は深く溜息を吐きながら、詳しく事情を説明してとマルタにお願いするのだった……
保健室の中をふよふよ浮かんでいる横島と、白目をむいたまま立ち上がる横島の身体。GSって言う職業じゃなかったら絶叫していた……そんな嫌な確信が私にあり、フラフラと動く横島の肉体から目を背けながら
「心眼、怖いからやめてよ」
今横島の魂が肉体に無いので、恐らく身体を動かしているのが心眼だと思い。やめてと言うと、バンダナに目が浮かび上がる
【だが床で放置する訳にも行くまい。ソファーまでだ】
ぎくしゃくとまるでマリオネットに動く横島の身体を見て、これ心眼に動かせるんじゃなくて私が抱き抱えた方が良かったんじゃ、そう思ったのは言うまでも無いだろう……
【すげー箒で飛ぶのとまた違う感覚だな、はっ!あのバーガーを食べたらチビと空中散歩できる!?】
「「止めなさい」」
相変わらず発想が常人の斜め上を駆け抜けている横島に私と美神さんの静止の声が重なる。
【良し、横島はソファーに横にした】
「それでなんでこんな食べ物を作ったの?」
「あ、あのそれ作ったの私じゃなくて、福ちゃんが」
前の世界の記憶を持つ福の神の仕業と聞いて、私とおキヌさんの視線が福の神に向かう
【ありゃ食いもんじゃないで、食べたら幽体離脱するもんや】
福の神は食べ物として作ってないんやと言って、自分が作った物の効果を説明してくれた。確か私の記憶だと、未来だと食べ物で幽体離脱するのが普通で、しめ鯖バーガーがその始まりだったとか聞いたような……福の神が作った奴だったんだ、初めて知った事実に正直少し驚いた
「……あーそれは確かに特許取れるわ」
福の神の言葉に美神さんが判るわと呆れた様子で返事を返す。確かこの時の幽体離脱って金属バットで殴るだったから、確かに食べる事で幽体離脱するなら痛みは無い分売れる可能性は極めて高い
【ノーブー♪】
【おお!幽霊でも触れる!あ、チビノブだから触れるのか?】
横島は横島で自由にチビノブを抱き抱えて空中でくるくる回転している。魂の緒が繋がっているから大丈夫だけど、魂が肉体から出ていて案外危険な状態って判って欲しいんだけどなぁ……今度はうりぼーを抱えてくるくる回ってるし……
【幽霊って結構色々な事ができるでしょ?横島さん】
【本当だなー、もっと不自由な物だと思ってた】
おキヌさんが幽霊の利点を横島に説明している。後横島、色々出来るのは横島自身の霊力が高いから干渉出来るだけであって、幽霊全てが物質に干渉出来る訳じゃない
「それで美神どうなの?幽体離脱バーガーって売れるの?」
「売れるとは思うわよ。六道にスポンサーになってもらって……レシピを公開すれば十分売り物になるし、特許も取れば完璧に小鳩さんの
利益になるし、金属バットで殴られるのは誰だって嫌だと思うし」
除霊の都合上幽体離脱しないといけない場合はあるけど、金属バットで殴打なんて誰だって嫌だし、肉体に戻った時に頭めちゃくちゃ痛いし
【あーチビを見つけた時に戻った時めちゃくちゃ頭痛かったな】
「みむう?」
そのとき赤ちゃんだったチビはその事を覚えてないのか、自分なの?と言いたげに何度も何度も首を傾げていた。横島はそんなチビが可愛いのか頭を撫でていた。と言うか何時まで幽体離脱しているつもりなのだろうか
【いやー俺はてっきり小鳩ちゃんが超料理下手なのかと思ったぜ】
「あ、い、いえ!私結構料理得意なんですよ!?」
横島が小鳩さんに料理が下手だと思ったと言ったら、小鳩さんが慌てて立ち上がり、料理得意なんですよと叫び、私達の視線に気付き、小さくなりながらすみませんと謝る
「横島さん、それは失礼ですわよ?小鳩さんは家庭科の成績はトップクラスで、料理の成績は特に優秀ですよ」
【あ、すみません。ちょっと軽い気持ちで】
キアラさんにたしなめられ謝る横島。ここで終わればよかったんだけど
「じゃあ今度使い魔学科に来てくれる時に簡単に食べれる何かを用意しておきますね」
【え?良いの?ありがとなー】
自分のアピールポイントを知っていて、それをぐいぐい前に出してくる。横島はのほほんと楽しみにしていると笑っているが、私とおキヌさんはそれ所ではなかった
((やっぱり敵だ!しかも超強かッ!)
やはりこの人は危険だ。一見大和撫子だが、自分の目的を最優先にする強かさがある!私とおキヌさんが驚愕していると、眼魂が光り牛若丸が姿を見せる。
【主殿、幽霊となり空を飛べるのが嬉しいのは判りますが肉体に戻れなくなる前にお戻りください】
【そうだぞ横島。魂の緒が切れれば元に戻れないぞ】
【え!?そ、それはあかん、どうすればいいんや!?】
肉体に重なるように倒れ込めばいいと心眼に言われ、倒れ込むように肉体に戻る横島。意識が戻るまでは数分あるので、さっさと話を纏めて横島を連れて帰ろう
「じゃ、これ一応琉璃に話を通し通しておいて上げるわね。多分後日GS協会から人が来ると思うから、ちゃんと話を聞いて……そうね。霊具学科の教師に同席を頼むと良いわ。じゃ、私達は仕事があるから」
そう笑って帰るわよと言う美神さんに判りましたと返事を返し、まだ意識が戻らない横島を巨大化したうりぼーの背中に乗せて、私達は保健室を後にした。後日TVCMで
【花戸印の霊体離脱バーガー!好評発売中!】
そのCMを見て、私達が微妙な表情をしたのは言うまでも無いだろう……
「なーノッブちゃん、ごめんってー」
部屋の隅で体育すわりをしているノッブちゃんにごめんって謝るが、こっちすら見てくれない
「んー拙者こういうのはあんまり好きでないでござるよ」
「良いからちゃんと服を着るの!あんまりボロを着てると横島が変な顔で見られるんだからね」
えっ!?それは不味いでござる!と言って買って来たであろう服の袋をごそごそと漁っているシロとタマモの話を聞きながら、言葉だけでは駄目だと判断して六道の帰りにメロンパンを色々買ってきた。もう物で釣るしかない
「チビ、うりぼー、見てみて!ボール買って来たのー♪あそぼー♪」
「みっむう♪」
「ぷぎゅー♪」
アリスちゃんがボールでうりぼー達と遊んでいる声を聞きながら、ノッブちゃんの周りにメロンパンをおいて行く
「シズクー、今日は野菜中心で行こうと思うんだけどどうかなー」
「……焼肉とかだったしな、今日はサッパリ系で行くか」
キッチンで仲良く話をしながら料理をしているハーピーさんとシズク。ハーピーさんは口調はラフなところはあるが、生活能力は非常に高いのか、シズクと同レベルの料理の技能を持っていて、本当に色々作ってくれる。アリスちゃん好みの洋食が多いんだが、実に美味しかったなあっと思いながら袋からメロンパンの包みを取り出す
「まずはオーソドックスなメロンパン、さっくり生地のメロンパン、チョコメロンパン、チョコチップメロンパン」
【……ワシはそんなに安い女じゃないんじゃ】
やはりメロンパンの効果は絶大だ、今までマントで身体を隠し、体育座りをしていたノッブちゃんが顔を出してくれた
「夕張メロンの果肉入り、メロンクリーム入りメロンパンもあるよ」
【そ、それはあ……隣街の……高級メロンパン】
美神さんに無理を言って、あの後隣町のパン屋に寄って貰って買ってきたのだ
「本当ごめん、今度からチビノブにあんなことをさせないから許してくれないかな」
俺もまさかチビノブがあんなことをするなんて思って無かったのだ。だけど今度はそんなことをさせないと約束する
【……縁側】
「え?」
ぼそりと言ったノッブちゃんに何?と尋ね返す
【縁側で一緒に食べるなら……まぁ今回は許す】
夕食前だから4個入りのメロンパンの包みを手にして言うノッブちゃんに判ったと返事を返し、縁側に2人で並んでメロンパンを齧りながら、ゆっくりと登って来た月を見つめた
【全くワシがお前のために頑張ったこともあると言うのに、何故見捨てるんじゃ】
「いや、俺爆弾なんて解体出来ないし」
【やってみれば案外出来るんじゃないのか?お前なら】
そうかなあ……手先は案外器用だと思うんだけど、正直そこまで出来る自信なんて微塵も無いんだけど……
【貸しじゃからな、今度はワシのためになんかするんじゃぞ、約束じゃ】
小指を差し出してくるノッブちゃんに判ったと返事を返し、指きりげんまんをする
【よし、なら今回は許す。じゃけど次は無いからの!】
長い黒髪を翻し家の中に戻っていくノッブちゃん、俺は完全に昇った満月を見つめながら
「今すっごい平和で幸せだなあって思うよ。心眼」
【そうだな、平和と言うのは掛け替えの無いものだ】
今これだけわいわいしていて、騒がしくも楽しい生活。俺はそれが幸せで嬉しくて、これがずっと続けば良いのになあと思って、縁側から部屋の中に向かって寝転がる
「せんせー、着替えたでござるー」
俺の顔を覗き込むようにして着替えたと笑うシロ、ちょっと身体を起こしてシロの服装に視線を向ける
「ん?おー、似合うじゃん」
見て欲しいと飛びついてきたシロ。Gパンにシャツとジャケットと何処となく、俺に似た感じの服装だ
「あんまり女の子っぽいの嫌でござるーって騒ぐから恥ずかしいから無かったわ」
シロに反して、ワンピース姿のタマモがやれやれと言う感じで首を振りながら言う。
「拙者そんなことを言ってないでござる!」
言ってたー、言ってないでござるという口論をするシロとタマモに苦笑しながら立ち上がる。
「あんまり騒いでいるとシズクに怒られるぞー」
シズクが怒ると大概物理なので痛いぞと言うと、口論していたシロとタマモは急に静かになる。それだけでどれだけシズクを恐れているのかが良く判る
「お兄ちゃんもあそぼー♪」
ぽーんっ投げられたボールを受け取り、尻尾を振っているうりぼーの方に転がしながら、やっぱり大勢でいるのは楽しいと俺は笑みを浮かべるのだった……
リポート20 狼の居る日常 その3へ続く
次回は犬を追う、病院の話、そしてデストロイヤー婦長とのエンカウントを書いて行こうと思います。次回もやや長めの話になると思いますが、次回の更新もどうかよろしくお願いします。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い