GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

137 / 232
どうも混沌の魔法使いです、今回の話は横島の家で遊んでいるマスコットから始まり、犬を追う、そしてナイチンゲールとの遭遇までを書いて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その3

 

 

 

リポート20 狼の居る日常 その3

 

我が家には沢山の動物が暮らしている。それはにぎやかで楽しいのだが……1つだけどうしても避けては通れない物がある

 

【散歩って言って連れ出すしかないだろうな】

 

「うん、それしかないんだよなあ……でもその後なんだよ、大変なのは」

 

散歩って言って連れて行くとすっごい楽しそうなんだけど、途中であれ?なんか違うぞ?って気付くんだよと呟く、動物なので危機察知能力が凄いんだよ。散歩って思わせる為にアリスちゃんにも手伝ってもらおうと思うけど、それでどこまで誤魔化せるかな

 

【シズクに手伝って貰うしかあるまい、あとノッブも良いな。普段怠惰で過ごしてるんだ、1年に1回くらい手伝わせるべきだと思うよ】

 

まぁ私は初めてだからお前から聞いただけだが大変なのは良く判るよと笑う心眼。本当に大変なんだよ、1年に1回だけなんだけどさ……

 

「牛若丸にも手伝って貰おう」

 

今回は只でさえ人数が増えている。これは確実に俺だけでは無理なので、2人にも手伝って貰おう。俺は溜息を吐きながら立ち上がり、机の上の1枚の紙を手にした。その文字を見て更に深く溜息を吐く、その紙にはでかでかと大きな文字で

 

【使い魔の予防接種のお知らせ】

 

と書かれているのだった。1年に1回のチビ達の恐怖のイベント、妖怪特有の変な病気にならないための予防接種のシーズンが訪れているのだった……

 

「うおうっ!?」

 

リビングに入るなり、部屋の奥から凄い勢いで飛んできた何かを反射的に受け止める。何だ?何が飛んできたんだ。若干混乱しながら受け止めたそれを見る。もふもふとした茶色い身体の……って

 

「うりぼー!?」

 

【なんで飛んできたんだ、うりぼーは】

 

俺と心眼は俺の手の中で目を回しているうりぼーを見て、リビングで何が起きていたのかと見ると

 

「みむう」

 

部屋の隅に置かれているハムスター用の台車(ドクターカオス製)が凄まじい回転音を上げ。その隣でチビが頭を抱えて小さくなっている

 

「うりぼーが楽しすぎて回転させすぎて、飛んで行ったんだよお兄ちゃん」

 

アリスちゃんがはしゃぎ過ぎたんだね!っと笑う。どれだけ回転させたら、あんな弾丸みたいな勢いで飛んで来るんだろうな

 

「ぷぎ?ぴぎー♪」

 

目を覚ましたうりぼーは俺の手の上から飛び降りて、再び台車の方に走っていく。よっぽど気に入ったみたいだ、部屋の隅から台車を回す音を聞きながらキッチンに居るシズクの方に向かう

 

「……どうした?何か用事か?」

 

食器を拭いているシズクに手にしている予防接種の受付の紙を見せる。シズクはそれを見てその時期かと呟く

 

「……牛若丸かノッブを連れて行くべきだな」

 

「やっぱり?」

 

いつもはチビとモグラちゃんの2匹だが、今回はチビ、うりぼー、シロ、タマモ、チビノッブと5匹だ。特にシロとタマモは人化して逃亡する可能性が非常に高いので、それを捕まえれる人員は必須だ

 

「散歩って言って連れ出すつもりなんだけど、どうかな?」

 

「……それなら散歩の帰り道に商店街に寄ろう」

 

丁度その通りに病院があるから、そこで予防接種をすればいいというシズク。道中で買い物をすれば警戒心も薄れるだろう、これはシズクの良いアイデアだな

 

「じゃあ、ノッブちゃんと牛若丸に頼んで早速」

 

【待て横島、勝手に出歩いてはいけないと言われているだろう?まず美神に連絡を取り、ジークかブリュンヒルデを派遣して貰ってからだ】

 

早速出かけようと言う俺に待ったをかける心眼。勝手に出歩いて怒られるのも嫌なので、美神さんの事務所に電話を掛けるのだった……

 

「いや、なんかすいません」

 

シズク、ノッブちゃん、牛若丸、シロ、タマモ、アリスちゃん、俺と言う大所帯で予防接種の前に公園に向った。楽しそうに遊んでいるアリスちゃん達を見ながらベンチに腰掛け頭を下げる

 

「何気にするな、これも私の仕事だ」

 

ジークかブリュンヒルデさんが来ると思っていたんだが、我が家に訪ねて来たのはワルキューレさんだった。ジークの姉で、ブリュンヒルデさんの妹と聞いているが、2人とは大分雰囲気が違う

 

「いっくよー♪」

 

「ぴぐー♪」

 

「みみーむ♪」

 

【のぶぶー♪】

 

ボールを投げるアリスちゃんとそのボールを追いかけて行くチビとうりぼー。非常に楽しそうだが、その後の予防接種でどんな反応をするのかが心配でしょうがない。なおボール遊びを提案したのはアリスちゃんで、遊び疲れさせて暴れないようにしたら良いよとの事。魔界にも予防接種が有るそうで、逃げ回るぐーちゃん対策らしい

 

「……大体店の位置は覚えたな?今度からお使いを頼む時があるから真面目に覚えろよ」

 

「判ったでござる!頑張って覚えるでござるよ」

 

「めんどくさいわねー」

 

シロとタマモは人化出来ると言う事なので、これからお使いを頼むこともあると言うちょっと強引な理由かもしれないが、それで連れ出してきた。口ではめんどくさいわねーと言いながらもちゃんと手帳にメモをしているタマモに思わず苦笑をする。なんで私がとか言う事もあるのだが、ちゃんと基本的にお手伝いをしてくれているので、やる前に何か言いたいという感じなのだろう

 

【んーこうして太陽の下を歩き回るのは良い物ですねー】

 

「そうだなー、縁側で日向ぼっこするのも良いけどなー」

 

肉体を構築する霊力が回復した牛若丸がぐーっと背伸びをしながら嬉しそうに笑う。散歩とか出来るのも楽しいが、やっぱり大勢で食事が出来ると言うのが俺としては一番嬉しいかもしれない。美神さんもちゃんと食費に関しては別途で支給してくれるし

 

【メロンパンを忘れるなよ】

 

「判ってるって」

 

恐らく予防接種で大変なことになると判っているので、ノッブちゃんも連れて来たのだ。報酬を忘れるなんて事はしない、俺とノッブちゃんがそんな話をしているとワルキューレさんがくすくすと笑い出す。2人で振り返るとワルキューレさんはすまないと言いながらも、それでも口元に笑みを浮かべ

 

「余りに楽しそうでな、つい笑ってしまった。平和っと言う感じでいいじゃないかとな」

 

ガープの事で神魔は常に殺伐としているから余計にそう思ってしまったよと笑い

 

「リラックス出来ると言う事は良い事だ。ずっと気が張っているより良い」

 

【うむ、その通りだな。ずっと張り詰めていると、簡単に緊張の糸は切れてしまうからな】

 

心眼がワルキューレさんの言葉に付け加える。適度に気を緩める事が大事なのだろうか?と思っているとボールが足元に転がってくる

 

「お兄ちゃんもあそぼー♪」

 

「みむー♪」

 

「ぷぎゅー♪」

 

【のっぶー♪】

 

あそぼーと言うアリスちゃんに判ったと返事を返し、ベンチに座っているノッブちゃんとワルキューレさんに頭を下げて、アリスちゃん達の元へ向かう

 

【私の必殺シュートです!】

 

「ボールが分裂した!?」

 

牛若丸も遊びに参加したのだが、牛若丸と遊ぶ時はきっちり身構えていないと怪我をする。最初のボール投げが4つに分裂したのを見て、俺はそれを確信するのだった……

 

「「じゃ、私(拙者)は急用を思い出したから!」

 

【ディーフェンス!ディーフェンス!!】

 

公園で遊びつかれた頃合で予防接種をやってくれる動物病院に直行。シロとタマモが気付き逃亡を図るが、ノッブちゃんにガードされ

 

「……ここで逃げたら水で締め上げるぞ」

 

シズクの絶対零度の声と視線にしゅんっと大人しくなった。シズクが怒るとメッチャ怖いからな

 

「みむーみむうむみういいいい!!」

 

「はい、暴れない」

 

俺の手の中で暴れているチビ。普段は捕まえるのに苦労するが、遊びつかれて体力が減っているので捕獲しているのは案外楽だった

 

「ぷぎゅ?」

 

【ノブ?】

 

予防接種初体験のうりぼーとチビノブが大人しくしているが、病院の中に入ったらどうなるかな

 

「予防接種なんで逃げようとしたら捕まえてくれますか?」

 

「良いだろう。私も手伝おう」

 

ワルキューレさんにも逃げようとしたら捕まえるのを手伝ってくださいとお願いしてから、俺達は病院の中に足を踏み入れた

 

「ぷぎ!?ぷぎゅうう!?」

 

病院の中に満ちる動物の鳴き声にうりぼーがここは怖い所なんだと理解したが、もう遅い

 

「すぐ済むからおとなしくな?これは大事なことだから」

 

「ぴ、ぴぎゅ……」

 

そわそわしているが、それでも一応は伏せてくれる。シロとタマモはシズクに睨まれ、人化を解除して子狐モードと子犬モードでシズクとノッブちゃんに確保されている

 

【ノブ?】

 

自分も予防接種されると思っていないチビノブを見ながら順番待ちをしていると、割とすぐ俺の名前が呼ばれる

 

「みむ、みみむうう」

 

ぺちぺちと俺の手を叩いているチビにすぐ済むからと声を掛けて、病室に足を踏み入れる

 

「よろしくお願いします」

 

「はーい、すぐ済みますからねー」

 

チビをしっかりと捕まえて、逃げられないようにし、お医者さんの方を向ける。チビはそれでも最後まで抵抗していたが

 

ブスリ

 

「みっぎゃああああああああ!!!」

 

暴れると判っていたので手早く注射を刺されて絶叫するチビ。その後は絆創膏を張られて待合室に戻る

 

「ぷぎゅ!ぷぎゅううううう!」

 

「落ち着いて、すぐ終わるから。ね!」

 

【主殿と暮らすのに大事な事ですからね!】

 

チビの悲鳴にうりぼーが暴れているが、アリスちゃんと牛若丸に確保されている。俺は涙目で丸くなっているチビをアリスちゃんに預け、うりぼーのリードを手にして病室に戻る

 

ブスリ

 

「ぷっぎゃあああああああッ!!!」

 

注射を刺されて絶叫するうりぼー、後シロとタマモとチビノブか……先は長いな。その後は勿論なのだが、最後まで逃げようともがいていたシロとタマモだが

 

「では神魔合同で横島の護衛を勤めている立場から言うが、病気になるかもしれないお前達は排除対象になるがいいかな?」

 

ワルキューレさんの言葉に暴れるのをやめた2人を抱き抱えて病室に入り、数秒後……

 

「「きゃいーんんッ!!!」」

 

悲壮すぎる鳴き声が2回続いた後、チビノブも自分も!?って言うリアクションで初めて逃亡に出たが抱き抱えて病室に入るが、頭を抱えて体操座りで丸くなり完全防御体勢だ。

 

「帰りにメロンパン買ってやるからな」

 

【ノッ!ノバアアアアアアアッ!!!】

 

メロンパン!?と顔を上げた瞬間にブスリとやられたチビノブの絶叫が病院に響き渡るのだった……

 

「ほらー、チビの好きなメロンだぞー、うりぼーは安納芋、シロはビーフジャーキー、タマモは揚げもあるぞー、チビノブはメロンパンあるよー」

 

帰宅後リビングの隅に固まり恨めしそうにしているチビ達に声を掛ける。1年に1回の予防接種、この時だけは本当に大変だ。ワルキューレさんに迷惑を掛けたので夕食を一緒にどうですか?と誘ったのだが

 

【私も仕事があるのでな、またな。暫くの間早朝の散歩の頃にはまた来よう。間違っても勝手に出歩くんじゃないぞ】

 

そう笑って帰って行ったのだが、本当に出来る人って人で格好良いよなあっと思わず思ってしまった

 

【ノーブ♪】

 

チビノブはメロンパンと聞いてダッシュで駆け寄ってきた。ちょっと心配になるが、寄って来てくれたので膝の上に乗せて、メロンパンを小さく千切る

 

「はい、あーん」

 

【ノッブ♪】

 

予防接種を我慢してくれたので思いっきり甘やかしていると、今度はうりぼーが寄って来た。安納芋を半分に割って

 

「ほら、おいで」

 

「ぷぎゅう!」

 

お尻の絆創膏がやけに目立つが駆け寄ってきたうりぼーの口元に芋を向ける。嬉しそうに鳴きながら芋を貪るうりぼー、そしてチビノブにメロンパンを与えていると我慢出来なくなって来たのか、チビも寄って来る

 

「元気で過ごすためだからな、意地悪してるわけじゃないからな?」

 

「……みむ」

 

メロンを小さく切ってフォークにさしてチビに向ける。あむっと頬張りにぱっと笑うチビ、本当に何時も予防接種の後は大変だ、モグラちゃんとかは全然抵抗しなかったし、刺されても鳴かなかった分。余計に大変に思う

 

「シロとタマモはー?」

 

「……貰うけど、揚げじゃなくてご飯の時」

 

「拙者もそっちが良いでござるなー」

 

予防接種に騙して連れて行ったのは俺なので判った判ったと返事を返すと、今食べるおやつとして貰うと言うのでジャーキーの袋と揚げの袋を渡す

 

「全く、なんで予防接種なんてあるのよ」

 

「そうでござるなー、痛いだけでござるよ」

 

深く溜息を吐き、ぐちぐちと文句を言っているシロとタマモ。一応念の為と言われてるからそれを言われると俺としても辛いんだよなあ……チビ達にメロンを与え終わると今度はアリスちゃんが俺の膝の上に座り

 

「はい♪」

 

プリンを差し出してくるアリスちゃん。それを受け取るとあーんと口を開く、どうも今日はこうしてやることになりそうだと苦笑するのだった……

 

【48の医療技の1つ、フローレンスバスターッ!!!】

 

「ごばあああああ!!」

 

翌日クロさん達のお見舞いに病院に行ったのだが、軍服を着た女性がプロレス技見たいのをポチさんに仕掛けて目の前に落下してきた……その余りの光景に美神さん達も絶句し、付き添いのジークがありえないくらい震えだした

 

【予防接種が嫌で逃げるなんて情けない!早く来なさい】

 

泡を吹いているポチさんを引き摺っていく女性と目が合った。そしてその視線はチビ達に向けられ

 

【予防接種は済んでいますか?】

 

「はい!大丈夫です!」

 

俺が即座にそう返事を返すとそれなら良いのですと微笑み、泡を吹いているポチさんを引き摺って病院に戻っていく女性

 

「昨日予防接種行っておいて良かったと思う人手あげて」

 

チビ達が前足や尻尾を上げる。昨日予防接種行ってなかったらどうなっていたんだろう?俺は昨日の内に行った自分を褒めてやりたいと思うのだった……

 

 

 

人の話を聞かない狂戦士なナイチンゲール。これはフェンリル事件の時に知っていたつもりだけど、こうして目の前で見るととんでもないと思う

 

「ジーク。大丈夫か?めっちゃ震えてるけどどうした?」

 

「大丈夫だよ。横島君、ただ基地で追い回されて最終的に〆落とされたことを思い出しただけさ、全然大丈夫、僕は全然大丈夫さ」

 

大丈夫じゃないだろ!?と叫ぶ横島君。どう見ても完全にトラウマになっているのは一目瞭然だ

 

「父上が心配になってきたでござる」

 

「まぁ、あれを見れば心配になるわよね。早くお見舞いに行きましょうよ」

 

地面に出来ている蜘蛛の巣状を見れば心配になるのは当然。それに私達もクロさん達が今後どうするのか?と言うのを聞こうと思っていたので、受付に声を掛けてからクロさん、ポチさん、そして長老の3人が入院している病室に向かった。なおチビ達は病院内と言う事もあり

 

「その使い魔はこちらのケージに入れてくださいね」

 

「はい、ちょっと狭いけど大人しくしててな」

 

病院の中なのでうろちょろしないように、病院側から貸し出されたケージの中に入れられた。のだが……横島君がゴムボールを入れてやるとケージの中でそれで遊び始める。賢いだけあって、騒いではいけない場所とは理解してるみたいね。エレベーターで教えられた階まで移動して、3人の病室に足を踏み入れると私達を出迎えたのは苦悶の呻き声だった

 

「うごご……ごおおおお……」

 

「暴れるから酷い目にあうのだぞ、ポチ」

 

「全くじゃな、婦長殿は大人しくしておれば酷いことは……いや、するな。あのお方には話が通じぬ」

 

クロさんと長老はベッドに腰掛けて、腰を押さえて呻いているポチさんを見て、呆れた様子で溜息を吐いていた。ナイチンゲールの姿はないから、多分別の病室に入院している西条さんと言峰神父の所に居るのだろう。出来れば悲鳴とかが聞こえてこないと良いんだけどと心の中で祈る。ジークは護衛だからと言って病室の外で待機しているが、ちょっとこう軍人だからか、固すぎるって気がするわね

 

「父上ー元気そうでござるな」

 

「シロ、お前も元気そうで良かった。所でその召し物はどうしたのか?」

 

せんせーに買って貰ったでござると弾ける笑顔でシロが言う。横島君は小声で蛍ちゃんに

 

(俺金出してやってってシズクに頼んだだけなんだけど)

 

(シロにすれば横島に買って貰ったって事なのよ。多分)

 

自分の頭の中で都合よく解釈してるみたいね。まぁ、子供特有の考え方よね

 

「それは横島殿、申し訳ないことを」

 

クロさんに頭を下げられおどおどしている横島君。こういうのに慣れてないからどういう反応をすればいいのか判らないのね

 

「美神殿、本当は元気になってから頼みに向かおうと思っていたのですが、相談事があるのです」

 

クロさんがベッドに正座して、私と横島君を真剣な眼差しで見つめる

 

「ポチさん。大丈夫か?」

 

「うごごおおお……あの暴力女、手加減って言葉を知らないのか」

 

……多分と言うか確実に横島君にも関係のある話なんだから、もう少しこっちの話に集中して欲しいんだけど……蛍ちゃんに腕を引っ張られ、私の後ろに横島君が来た所でクロさんは口を開いた

 

「横島殿、シロを預かって貰えぬでござるか?これは長老も了承してくれたのだ」

 

「うむ。シロには里は狭すぎる、いや、もっと言えば人狼全体がもっと広い視野で見る時代が来たと思うのだ」

 

やっぱりね、シロは横島君を慕っているから横島君の所に預けようと言う相談だった

 

「俺は別に構わないですけど……シロは良いのかな?」

 

……横島君。お願いだから良いって返事をする前に少しは相談って物をして欲しいんだけど、とは言え、人狼族との橋渡しはこれから必要かもしれないから、OKは出すつもりだったから良いんだけど……もう少し、報告・連絡・相談ってことを覚えて欲しい

 

「拙者はお願いしたいでござるよ!良いんでござるか!父上、長老!」

 

「うむ。色々と考えたのじゃが、今は日本全体もおかしくなっている。結界も簡単に破られた、いつまでも里を隠しておけるとは思えんの

じゃ、美神殿。シロを横島殿に預けるのと同時に、人狼の一部をじーえす?じゃったか?それにすることは可能かの?」

 

長老の言葉にすぐは返事は出来ないわと返事を返す。今は人間のGSが減っているので、確かにGSとするのは可能かもしれない。霊力や剣術の技量も高い、だけどそれは私が決めれる事ではない。琉璃に相談はしてみるわと返事を返す

 

「うむ、急には里の者も動揺するだろうから、ワシが里に帰るまでにある程度話しが固まってくれれば幸いじゃ」

 

全治1ヶ月で入院期間は後3週間の予定だ。それくらい時間があれば話も固まるだろう、後は琉璃の判断次第と言うところね

 

「では横島殿。シロをよろしく頼み申す」

 

「は、はい、お預かりします」

 

「せんせー!よろしくでござる!」

 

……とりあえずあんまり良くない方向だけど、話が固まったって事でいいわね。面会時間もあるし、そろそろお暇しようかなと考えていると

 

【まだ帰らないでください。全員1度検診しますので】

 

居なかったナイチンゲールが病室に入ってきて、帰ってはいけないと言われ、もう少し早く帰るべきだったと私は心底後悔するのだった……

 

 

 

 

フローレンス・ナイチンゲール。クリミアの天使と呼ばれる偉人、その名前から慈悲深く優しい人物と言う先入観があった……のだが、実際は話を聞かない狂戦士みたいな側面があると聞き、怖いと思っていたんだけど

 

【はい。終わりです、蛍さんでしたね。先祖がえりとの事ですが、偶には魔力を放出するように、余り過度に封印すると後に身体機能に障害が出ますよ】

 

……大人しくしていれば凄く優しい女医さんでした。ブラウスのボタンを閉めながら障害ってどんな物が考えれますか?と尋ねる

 

【そうですね。まずは魔力が体に溜まりすぎての魔力中毒。これが一番可能性が大きいです、手足の感覚の麻痺などが主な症例ですね。次は女性としての機能に障害が出る可能性があります、今はそういう前兆は無いですが可能性があるとしっかり覚えておいてください】

 

「……はいっ!」

 

予想を遥かに超える障害が出ると聞き、近い内に先祖返りをしているGSとして再登録される事が決まっているので、あんまり能力を隠さないで使う事にしよう。横島と結婚した時に子供が出来ないなんて冗談じゃない

 

【後は筋力トレーニングは控えめにしてください。筋肉を付けすぎるのも余りよくありませんからね】

 

後で処方箋を出しておきますと言われ、検診室を後にする。美神さんは自分の検診表を見て

 

「私アルコール少し控えろってさ」

 

「ご愁傷様です」

 

美神さんのアルコール摂取量は常人よりも遥かに多いので、身体を大事にすると言う意味でもやはり酒を控えるべきなんだろう

 

「蛍ちゃんは?」

 

「……偶に魔力を開放しなさいって怒られました。その……今はいいけど、女の子としての機能に障害が出るって」

 

私の言葉に美神さんは顔色を変える。今は良くても、引退してからの方が時間が長い。美神さんは少しだけ怒った表情をして

 

「先祖がえりって隠すのはよく無いって事よ。最初から私に相談してなさい」

 

「……はい」

 

先祖がえりと言うのはどうしてもGSと言う家業に障害が出る。だから隠していたが、やっぱり隠すべきではなかったと後悔した。本当に障害が出る前で良かったと思う

 

「それにしても横島君はずいぶんと長いわね」

 

「そうですね……」

 

シロとタマモはクロさん達の病室に検診が終わるまで預けても良いと言う話だったので、置いてきたが、私が終わってから1時間経っても終わらないので少し心配になってきた。

 

「すいません。ずいぶんと遅くなりました」

 

横島がやっと検診室から出て来て、私達に頭を下げる

 

「特に異常とかは無かったの?」

 

「異常すぎるほど頑丈だからって色々と調べられました」

 

【私も聞いたが、今のところ横島の霊体にも肉体にも障害は無いそうだ】

 

心眼の言葉にほっと安堵の溜息を吐いたのだが、次の横島の言葉で私も美神さんも思わず凄く微妙な顔をした

 

「なんか俺ならナインチンゲール、48の医療技と52の診察技を覚えれる筈ですって言われましたけど、どうしたら良いと思います?」

 

「それは人間で使えるのかしら?」

 

さぁ?と横島が首を傾げる。そもそもなんで診察している相手に自分の技を覚えさせようとするのか?やっぱり普通の人の考え方じゃない

 

「横島さーん、お薬取りに来てください」

 

「はーい、今行きます」

 

どうも検診が長引いている間に薬も出来てた見たいね。すぐに呼ばれ薬を取りに行く横島の背中を見ながら、美神さんに尋ねる

 

「除霊最近入れてないですけど、どうしたんですか?」

 

「ちょっと身体を休める時期だと思ってね。近隣の簡単そうな除霊はいれるけど、遠出の除霊はやらないから」

 

フェンリルとの戦いの疲れを取りたいけど、温泉とか言ってる余裕は無いからと笑う美神さん。多分近隣の除霊も入れたくないんだろうけど、どうしても依頼を受けないといけないから受けたって感じだ。

 

「判りました。でも美神さんもあんまり無理しないでくださいよ?」

 

「判ってるわ。西条さんが復帰してくれれば、後は大分楽になると思うのよ」

 

だからそれまでの辛抱よと美神さんが言うと、薬を貰った横島が戻ってくる

 

「予定じゃなかったけど、検診で遅くなったし、このまま晩御飯食べてく?」

 

「あーじゃあ1回シズクに連絡していいですか?なにか準備してたら悪いし」

 

一応病院で遅くなるかもしれないって言ってありますけどと言う横島。こうしてみるとなんか横島の家にシズクが居るのが当たり前って感じで胸がもやっとする。横島が公衆電話で電話しているのを見ていると美神さんが笑いながら

 

「あんまり出遅れてると皆に出し抜かれるわよ?横島君、結構人気有るみたいだし」

 

「う、わ、判ってはいるんですけどね」

 

電話でOKが出たのか、指でOKサインを出してくる横島に手を振り返す、すると横島も手を振り返してくれる。

 

「じゃあちょっと良い焼肉屋でも行く?多分タマモとかいるから、魚って空気じゃないと思うし」

 

「そうですね、そうしましょうか」

 

焼肉屋ではあんまりいいムードとは言えないが、皆で食事するのは楽しい。それにシロの歓迎会を兼ねていると言えば、丁度いいだろう。

病室のタマモ達を迎えに行って、そのまま焼肉屋に足を向けたんだけど

 

「せんせー、せんせー、まだでござるかー?」

 

「もういいんじゃない?」

 

「駄目!生焼けだとお腹壊す!」

 

横島がなんかお父さんとか保護者とが板についてきてる。私はそんなことを考えながら横島の分の焼肉を皿に入れてあげると

 

「ありがとな、蛍。って馬鹿か!?生で食おうとするな!」

 

「拙者その程度じゃお腹壊さないでござる!」

 

駄目だって言う横島と、生肉を食べようとするシロ。そのやり取りが面白くて、噴出してしまう。本当に横島の側にいると面白いわねと私は心の底から思うのだった

 

「ご馳走になるのは悪いので経費で出しますね」

 

「良いの?じゃあ黒毛和牛の上ロース8人前と上カルビ8人前追加でお願いします」

 

「あ、じゃあ俺メロンとかもお願いします。チビ達のごはんに」

 

「OKー♪すいませーん、メロンも3人前お願いしまーす」

 

経費で落とすとジークが言った瞬間。高い肉をどかどか頼む美神さんとそれに便乗してメロンをお願いしますと言う横島、優しくなったと思ったけど、やっぱり美神さんは美神さんなんだなあっと思うのだった……

 

 

リポート20 狼の居る日常 その4へ続く

 

 

 




次回は散歩を少し書いて、ゲームの達人などの話を書いて行こうと思います。ナイチンゲールが横島に48の医療技と52の診察技を伝授しようとしているとか、割と友好的な出会いが出来ました。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。