GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は散歩の日常会から入り、ゲームの達人の内容を書いて行こうと思います。最近影の薄い、おキヌちゃんと一緒の話を書いてみたいと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その4

 

 

リポート20 狼の居る日常 その4

 

横島とおキヌ、それと蛍とグレムリン、猪、タマモ、シロという面子でまだ朝早い道を一緒に走る。早朝の散歩の護衛は私が引き受けるとジークと大姉上に言って、これで2日目。私が感じたのは前の世界よりも横島が勤勉と言う事だ

 

「そう、その調子。霊力の循環だけじゃなくて、周囲の霊力を効率的に取り込むことを意識して」

 

【横島さん、頑張ってくださいね】

 

蛍とおキヌの言葉におうっと返事を返す横島。はっはっはっと小刻みに呼吸を繰り返し、全身に霊力を張り巡らす。だが自前の霊力だけではそれは自分に掛かる負荷が非常に大きくなる、それを周辺の霊力を取り入れることで自身の霊力のキャパを増やすだけではなく、高利率的に自身も強化する。神魔では基本的な動作だが、人間ではかなりの難易度であるその技術を横島は体得しようとしていた

 

【だが、自分の存在をしっかりと認識しろ。取り込んだものを異物として認識しろ……そうだな身体に鎧を纏うイメージだ】

 

心眼と言うバンダナは今横島は身に付けていない。蛍の首にスカーフのように巻かれてる、恐らく昔話にあった横島の霊力を補助する精霊。本当はGS試験で消滅したはずだが、どうやらまだ生きているようだ。自分に頼らず霊力をコントロールする一環と言う所だろう

 

「ふー……やっぱり心眼が居ないとしんどいな」

 

【何時までも私に頼るな。私は手伝いはする、だがそれに頼っていては何時までも1人前には程遠いぞ】

 

【もう少し休んでいる時まで小言は良いと思いますよ?あ、横島さん。動かないでくださいね】

 

ゴールである川原に寝転がる横島の額には大粒の汗が浮かんでいて、それをおキヌがタオルで拭っている。万全のバックアップのある修行、そして指導者も居る。確かに横島の能力が私の知る横島よりも伸びているのは納得だ

 

「みむー♪」

 

「ぷぎゅっ!」

 

一緒に走ってきたグレムリンと猪は川原を駆け回っている。しかし横島のグレムリンは凄いな……魔界正規軍で飼育されている魔獣よりも強いんじゃないか?と思う時がある。幼年期は弱いはずなのに……一体どうやってあそこまでの力を手に入れたのだろうか

 

「コンッ!」

 

「ワンッ!」

 

監視役のシロとタマモに吼えられて川の上から戻ってくるグレムリン。しかし何故人化出来るのに動物の姿で着いて来たのかが気になるな

 

「じゃ、横島練習始めましょうか?」

 

「えーっ、俺それ苦手なんだけど」

 

私の見ている限り貪欲に修行を積んでいた横島が嫌そうな声を出す。一体何の訓練なんだ?と振り返り蛍が手にしている物を見て納得した

 

「待て。それだったら私が教えてやろう」

 

蛍が手にしている拳銃、横島には普通の射撃と言うのは恐らく合わないだろう。私はそう判断して、蛍と横島にそう声を掛けたのだった……

 

 

 

ワルキューレさんが私が教えてやろうと言って近づいてくる

 

【ワシが教えるんじゃ!】

 

「安心しろ、お前の指導を奪うつもりは無い。こういうやり方もあると教えるだけだ」

 

ワルキューレさんが蛍に近づいてきて、手を差し出す

 

「壊さないでくださいね?」

 

「判っているよ、心配するな」

 

蛍からアンちゃんが作った霊波銃を受け取り観察するワルキューレさん。

 

「ふむ、洗礼弾を装填出来つつ、霊波を打ち出せるタイプか。人間が作った割には良い出来だ」

 

両手で構え照準を合わせたりしながら銃の評価をしたワルキューレさんは俺に視線を向けて

 

「拳銃と言うのは射撃武器としてはそう優秀な部類ではない。強いて言えば護身用だ、射撃武器としてはマシンガンと比べれば制圧力も火力も乏しく、ライフルと比べれば言うまでも無く射撃距離や威力も低い。このタイプなら有効射程は約50m、敵を狙うなら20m強、撃つだけなら射程はもう少し延びるが、そうなると命中率は期待出来ないし、威力も下がる。威力・命中共に期待出来るのは約7mほどがこのタイプの銃の特徴になる」

 

さすが本職流れるように銃の解説をしてくれた。ただ構えて撃つって代物じゃないのか

 

「しかしだ。蛍のようなタイプなら足を止めての射撃が向いているが、横島。お前には無理だ、何故ならお前のようなオールラウンダーを射撃要因として一箇所に留めるのは馬鹿のする事だ」

 

「じゃあ蛍に向いているって事ですか?」

 

そう言う訳じゃないと笑ったワルキューレさんは牛若丸を出してくれと言う。眼魂を取り出して、牛若丸に出てきてくれるように頼む

 

【私に何か?】

 

「軽く稽古に付き合ってくれ、横島に指導したいんだ」

 

少し不機嫌そうだったが、俺の指導と聞いて牛若丸は表情を変えて刀を構える

 

【言っておきますが、私は手を抜くと言う事は出来ませんよ】

 

「それで構わない。私も英霊の強さと言うのを見て見たいと思っていた」

 

ワルキューレさんは俺が貰っていた銃を逆手に構え、自身が持っている拳銃を正眼に構える。だがその構えは銃を撃つように適しているように見えなかった

 

【そのような構えで私をどうにかできると?】

 

「御託は良い。来い」

 

挑発するような言葉に牛若丸は体勢を低くして、獣のような勢いでワルキューレさんに飛び掛る

 

「ふっ」

 

【!】

 

逆手で構えた銃の銃身で牛若丸の刀を絡め取るようにして受け流し、正眼に構えた銃を牛若丸の顔面に向けて放つ

 

【くっ!】

 

牛若丸は顔を逸らして霊波を回避するが、その隙に懐に回りこんだワルキューレさんが腕を掴んで投げ飛ばす。その腕の極め方は俺も教わった相手が抵抗すればそのまま腕をへし折る極め方に酷似していた。牛若丸はそれを承知しているので自ら飛んで交わすが着地するまでの間にワルキューレさんが両手に構えた銃から霊波が連続で放たれ、牛若丸の体を大きく吹き飛ばす

 

「銃だから遠距離攻撃と言うのは先入観だ。銃を使いながらも近距離戦闘を好む者は多い、何故なら近づけば近づくほど、命中率は増すからだ。だが無闇に近づけば良いと言うものではない、相手が後衛タイプなら防衛手段にも当然特化している」

 

【何故!?】

 

「驚く事は無い。私は銃の使い手として知られている分、近づけば有利と思っている相手はこれでもかと相手にしてきている」

 

俺と蛍に話しかけながらも背後から襲ってきた牛若丸の攻撃を見もせず、銃身で受け止め反対の手に持った銃を牛若丸に押し付け引き金を引く

 

【ぐうっ!】

 

「牛若丸!?」

 

苦悶の声を上げながら吹き飛んでいく牛若丸。その姿を見て思わず名前を呼んだが

 

【心配無用です!こんなに楽しい遊びは久しぶりですッ!】

 

「……戦闘狂め」

 

弾ける笑顔の牛若丸にワルキューレさんは仕方ないという様子で笑いながら

 

「ほら、もっと遊んでやろう。来い」

 

【言われなくても!】

 

地面を蹴った牛若丸の姿が掻き消える。地面を蹴る音は聞こえるので、高速で走り回っているのが良く判る

 

「心眼、見えてる?」

 

【ギリギリな。だが本当に早いぞ、小柄な分捉えるのは難しいはずなのに、良くあそこまで対応できる物だ】

 

心眼の感心した声が響く、ワルキューレさんは縦横無尽に襲ってくる牛若丸の刃を受け止め、受け流し、叩き落し対応している

 

「打撃と防御に使うことにより、相手のペースを崩す。ただしそのまま防御はするな、霊力で銃身を強化して耐久を上げろ。いざ撃つ段階で壊れていては話にならない。また、銃口から霊波刀を展開してやるのも有効だッ!」

 

【ギッ!】

 

銃口から伸びた霊波刀を牛若丸は歯で受け止め、噛み砕く、なにそれ!?そんなの出来るの!というか大丈夫なのか!

 

「だが打撃と防御、そして射撃では決めきるのは難しい。また相手の攻撃力が自分よりも上回っていれば、持久戦に持ち込むのは自身が不利。つまり銃で近接を行う場合、銃の役割とは……」

 

【足が!?】

 

「本命の攻撃を通す目晦まし、牽制、及び相手の機動力を奪う為に使うのだ。チェックメイト」

 

牛若丸の動きが急に止り、ワルキューレさんが牛若丸の額に銃を突きつける

 

【参りました】

 

牛若丸が剣を捨てて、両手を挙げる。ワルキューレさんはそれを見て銃を戻す

 

「今のは射撃の中にルーン魔術と、銃痕で魔法陣を刻み、それで相手を捕縛することを考えていた。牛若丸の足元を見てみろ」

 

そう言われて足元を見ると淡く光る文字が見えた

 

「私は大姉上ほど、ルーン魔術に精通しているわけでは無いが、捕縛と身体強化は使い慣れている。近接と銃による中間射撃で相手に脅威だと思わせ、銃を避けさせる事で罠の所に追い込み、後は仕留める。横島にはこういう風があっているだろう、反射神経と動体視力がずば抜けているからな」

 

だがその為にはもう一丁これが必要になるがなとワルキューレさんは笑い。俺と蛍を見て何か質問は?と問いかけてくる

 

「銃で打撃戦をするとか結構やる人いるの?」

 

「居るな、ナイフの延長みたいな感じで使う物は案外いる、私も現に最初はナイフだったが、その内に銃での打撃戦を覚えた。そっちの方が良い場合もあるんだ。武器を持ち替えずに、戦闘レンジを変えれるのは実に便利でな」

 

相手の目論見を崩す事も出来るんだとワルキューレさんは笑い

 

「近接戦闘の訓練をする時に時間を見て試して見ると良い、その場合は木か何かを銃の形にして、イメージを掴むと良いな」

 

にこりと微笑んだワルキューレさんにありがとうございますと頭を下げ、朝の訓練は終わりになり、家までゆっくりと散歩しながら戻っていくのだった

 

「じゃ、横島。お昼から霊具の呪いを解除するらしいから14時30までには事務所に来てねって」

 

【時間の前に迎えに来ますからねー】

 

朝御飯の後に蛍から今日のスケジュールを聞いて、迎えに来てくれると言うおキヌちゃんに判ったと返事を返し、リビングに戻る

 

【負けた……あれは相手の出方が判らなくて……不覚です】

 

【銃で殴りかかるとかめっちゃ面白いな!ワシもやってみるかなあ!】

 

ワルキューレさんに負けた牛若丸が落ち込んでいて、ノッブちゃんはワシもやってみるかなあっと笑っているのを見ながらソファーに座る

 

「ワン♪」

 

「コン」

 

「あーそれで動物モードな訳ね。判った」

 

どうして動物モードなんだろうか?と思っていたのだが、ブラシを咥えてシロが来たのを見て何をして欲しいのか理解し、シロから膝の上に乗せてブラシをかけてやる

 

「クウ……」

 

気持ち良さそうに目を細めているシロのブラッシングを終えて、リボンを結び、そして今度はタマモもブラッシングをして

 

「はい、アリスちゃんもおいで」

 

「うん」

 

ぱあっと華の咲くような顔で笑ったアリスちゃんの長い金髪に丁寧にブラシを通しながら

 

「黒おじさん達から連絡合った?」

 

「まだ無いから遊んでていいと思う♪」

 

そっかぁ、魔界の仕事で忙しいって言ってたけど、あの2人何してるんだろうねぇと呟くと、アリスちゃんはアリス知らないと笑う

 

「はい、リボンも結べたよ」

 

「ありがとー♪」

 

嬉しそうに笑ったアリスちゃんがチビ達と遊ぶのを見ていると、今度はチビノブがやって来て

 

【のぶ】

 

「はいはい、もうみんな髪梳いてやろうな。おいで」

 

【ノッブウ♪】

 

もうこのまま全員髪梳いてやれば良いんだろうと思い、普通に並んでいるノッブちゃんとその後のシズク。何でシズクまで並んでいるんだろと思いながら、膝の間に座ったチビノブの髪をゆっくりと梳き始めるのだった……

 

 

 

 

美神さんと蛍ちゃんに横島さんを呼んで来てと頼まれて13時15分に呼びに行ったんですけど……うりぼーちゃんにもたれて、アリスちゃんやシズクちゃん達と気持ち良さそうに昼寝をしていて、起こすのが可哀想に思ってしまったのと、無防備に昼寝をしている姿が可愛くて暫くその寝顔を見ていた

 

【横島さーん、そろそろ起きましょうよー?】

 

ふと時計を見て13時50分、そろそろ起こさないと14時30分までに事務所にいけないのでほっぺたを突いて起こす

 

「んああ?あれ、寝ちゃってたかぁ」

 

【おはようございます、もうそろそろ14時になっちゃうんで早く行かないと間に合いませんよ?】

 

私の言葉に不味いと言って飛び起きた横島さんはアリスちゃん達に毛布を掛けて

 

「行こう!遅れたら怒られる」

 

【あんまり遅れそうだったら、私が先に行きますよ】

 

頼むと言う横島さんと一緒に美神さんの事務所に慌てて向かい。到着したのは14時45分

 

「怒ってるかなあ」

 

【アリスちゃん達を寝かしつけてたって言えば大丈夫じゃないですかね?】

 

今回は道具の除霊なのでチビちゃん達は駄目って話だったので、ぐずるので寝かしつけてきたって言えば許してくれますよと言いながら事務所の中に入る

 

「すいません!遅れ……ました?あれ?美神さん?蛍ー?」

 

居るはずの2人の姿が無く、そして変わりに置いてあったのはクレーンゲーム……それを見て、呪われたクレーンゲームの事を思い出した

 

「クレーンゲーム?何でこんな所に」

 

横島さんがクレーンゲームに近づいて、その中を覗き込むとギギって言う効果音が聞こえそうな感じで振り返り

 

「物凄く見覚えのある人形がたくさん入ってるんだけど……」

 

横島さんに言われてクレーンゲームの中を覗き込む

 

【……私もすっごく見覚えがあります】

 

美神さんに蛍ちゃんは勿論、唐巣神父にエミさんにピートさんにタイガーさん

 

【……この黒いドレスと半笑いの人形って】

 

「神宮寺さんと柩ちゃんかな?……心眼これってどう?」

 

【呪われてるな。ゲームに負けて取り込まれたのだろう】

 

……事務所の中に物凄くいやな沈黙が満ちる。横島さんは冷や汗を流しながら財布を取り出して

 

「……1プレイ100円と6プレイ500円。どっちが良いと思う?」

 

【500円にしましょう】

 

【そうだな。500円だ】

 

私と心眼さんの言葉を聞いて、横島さんがコイン投入口に500円を投入する

 

「……エミさんか、神宮寺さんが取れそうだな」

 

正面からと側面から人形を覗き込んでボタンを押す……んですけど

 

「ああっ!落ちたぁ」

 

エミさんの人形を持ち上げたアームだが、人形の数が多く、人形同士が引っ掛かりアームから落ちる。

 

「……500円でよかった……」

 

横島さんは服の袖で汗を拭い、今度は神宮寺さんの人形に狙いを定めたみたいです

 

【エミさんは?】

 

「人形が落ちて場所が変わったから直ぐは無理。人形が動いて、神宮寺さんの人形の位置が変わったから確実に取れる。良し……行けッ!」

 

横島さんの操作でクレーンゲームのアームが動き、神宮寺さんの人形の上に移動し、その胴体にしっかりとアームを食い込ませる。2人でクレーンのアームを真剣に見つめ、商品取り出し口に神宮寺さんの人形が落ちる

 

「やった!」

 

【やりましたね!】

 

神宮寺さんの人形が落ちた瞬間。強い霊力がクレーンゲームから発せられ

 

「助かりましたわ。横島」

 

「神宮寺さん!じゃあ、やっぱりこれって……」

 

人形から人間に戻った神宮寺さんは不覚を取りましたと言ってから、このクレーンゲームの事を教えてくれました

 

「数年前に倒産したゲームセンターに設置されていた機械です。その店の店主は倒産のショックで自殺し、この機械に取り憑いているんです。私と柩は面倒だから壊そうとして、ルール違反と言う事で取り込まれてしまったんです」

 

……面倒だから壊そうとする。それはそれで問題があると思うんですけど、呪われた機械のルールに正直に付き合う必要は無いと考えているのならそれは当然の行動だろう

 

【へいへい!おいらはクレーンゲームさ。人質を助けたかったらちゃんとクレーンゲームにコインを入れて、正々堂々取り返しなよ!言っとくけど、今度壊そうとしたら中の人間の魂がどうなっても知らないぜ!】

 

クレーンゲームの上のほうの人の顔が馬鹿にするように笑う、神宮寺さんは大きく舌打ちして横島さんの方を向いて

 

「横島。クレーンゲームは得意ですか?」

 

「……そ、そこそこです!」

 

「良し、なら人質を全部取り返してやりましょう。正し、このクレーンの中のは全部本物ですわ」

 

本物?横島さんと一緒にクレーンゲームの中を覗き込む、その中には妖怪や悪魔の人形も入っている

 

「……出したら暴れますよね?多分」

 

【それ以外を取れば良いんだろう?】

 

心眼さんの言葉に横島さんはそうじゃないんだと言って、クレーンゲームの側面に回りこんで中の人形の位置などの観察を始める

 

「人形同士が重なり合ってるし、紐が引っ掛かってる部分もある。神宮寺さん、人質だけ取るのは無理です……その」

 

言いにくそうにしている横島さんの言葉を遮り、神宮寺さんが強い口調で告げる

 

「問題ありませんわ。妖怪とかを倒すのは私がやります、さっさと次の人形を取りなさい」

 

不覚を取ったと言う事で不機嫌そうな神宮寺さんに怯えながら、横島さんはクレーンゲームの正面に立つ

 

「あの取りやすそうな位置にあるピエトロか、柩は取れませんの?」

 

「無理っす。あの怪獣のぬいぐるみが引っ掛かってるんで……失敗するかもしれないですけど、この位置だと取れるのは唐巣神父になりますね」

 

「唐巣ですか……ちなみに横島、硬貨は後何枚ありますか?」

 

神宮寺さんの問いかけに横島さんは財布を取り出して

 

「100円玉が2枚と500円が1枚です、換金してきましょうか?」

 

「いえ、このクレーンゲームは勝手に動きますわ。離れればどこに行くのか判りません」

 

現に日本のゲームセンターのあちこちに現れて、人を飲み込んでは消えていくってので危険妖怪として登録されていますわと教えてくれた

 

【神宮寺さんは硬貨は?】

 

「カードとお札しかありませんわ、硬貨なんて持ち歩きませんもの」

 

さっきの沈黙とは違う沈黙が広がる。私はクレーンゲームの中を覗き込んで

 

【西条さんとか持ってそうじゃないですか?】

 

「最悪換金にも行って貰えるしな、良し、神宮寺さん、妖怪2個取ります」

 

横島さんの言葉に神宮寺さんが頷いた所で、横島さんがクレーンゲームの操作を始める

 

【ギシャ……「死ね」】

 

鳴き声を最後まで上げる事無く消滅した妖怪。その絶対零度の声も合わさり、その怒り具合が判り。私も横島さんも若干震えながら

 

「お、おキヌちゃん。俺が妖怪とか引き抜いたら横の人形とかがどう動くか見ててくれる?」

 

【は、はい!判りました!】

 

少しでも多くの味方を増やしたいと思い。私と横島さんは必死で呪われたクレーンゲームと対峙するのだった……

 

~6時間後~

 

「ひい……ひい……し、しんどい!」

 

6時間横島さんが頑張ってくれたおかげで、人質はほぼ全員解放され、残るは美神さんと蛍ちゃんの2人になったんですが

 

「ひひひ、肩でも揉んであげようか?ボクは何にも出来ないからね」

 

「い、いや、良いよ……」

 

戦闘に向いていないという理由で柩ちゃんは私達と一緒にクレーンゲームの攻略に回っているんですが、余りにくっついていて少しムカっとします

 

「すまないね横島君。退院して直ぐで遅れを取るなんて」

 

「いや、大丈夫っすよ、と言うか西条さんはあんまり無理しない方が良いんじゃないですかね?」

 

神宮寺さん、ピートさん、唐巣神父にエミさん、タイガーさん、そして西条さん。戦力も整ってきているが全員疲労の色が濃い

 

「A級までいるなんて……どんなにこの世を怨んでいるんだい」

 

「ほ、ほんとなわけ……これだけ面子が揃ってなかったら全滅してるワケ」

 

クレーンゲームの中の妖怪は後半になればなるほど強くなり、全員疲労の色が濃い

 

「それで横島、美神と蛍の人形は取れそうですの?」

 

「……どっちもアームの死角なんですよ」

 

「「「「ええええー!!!」」」」

 

横島さんが青い顔で振り返り事情を説明してくれた、クレーンゲームには死角がありどうしても取れない位置があると

 

「じゃ、じゃあ!ワッシが持ち上げて人形を動かせば!」

 

「いや、駄目だ!隅に引っ掛かってるから絶対動かない」

 

どうする、どうすると横島さんが繰り返し呟いていると、柩ちゃんが立ち上がり

 

「いひひ、あれ、見てごらん」

 

「え?あ!」

 

柩ちゃんに言われて中を覗き込むと、美神さんの人形の頭の紐が動いてる。それにそれだけではなく、蛍ちゃんの人形の紐も動いて、美神さんの人形の足に巻きついている

 

「霊力を振り絞っているんだ、これを逃せばチャンスは無い!横島君、急ぐんだ!」

 

「は、はい!」

 

唐巣神父と西条さんの言葉に頷き、クレーンゲームを操作し、アームが美神さんの人形の紐に通る。そして美神さんと蛍ちゃんの人形が浮き上がる

 

「落ちるな、落ちるな……」

 

横島さんの祈りの声と共に人形がゆっくりと動いていき、商品取り出し口の中に2つとも落ちる。その瞬間全員の歓声が爆発し、2人の人形が光り元の姿へ戻っていく

 

「馬鹿!なにやってるの!クレーンゲーム本体を取り逃がしてどうするの!」

 

元に戻った美神さんの怒声に振り返ると、クレーンゲーム機が無い!

 

(しまった)

 

前は人形が引っ掛かって取り出して貰ったから、2個とも落ちた事に喜んでしまった

 

「あーそれ大丈夫だよ。くひひ、ポチッとな」

 

外に出ようとしたとき柩ちゃんが何かを取り出し、ボタンを押す。その瞬間爆発音が響いてくる

 

【柩。お前何をした?】

 

心眼さんが引き攣った声で尋ねると柩ちゃんはくひひといつもの不気味な笑い声

 

「爆弾をちょろっとね?逃げるの知ってたから、くひひひっ♪」

 

怖ッ!やっぱりこの子は敵に回すといけないタイプだと今確信した

 

「……そう、それなら良いわ、皆今日は本当お疲れ様、特に横島君がいてくれて良かったわ」

 

「い、いやあ……そんな事は無いですよ?」

 

横島さんが気恥ずかしそうに笑うが、ここにいた全員が知っている。横島さんがいなければ全員あのクレーンゲームに囚われたままだと

 

「時間も時間だし、もうこのまま夕食にいきませんこと?全員むしゃくしゃしてますし」

 

神宮寺さんの提案に西条さんがそれは良いと笑い

 

「じゃあオカルトGメンの経費でだそう、正直今回はもう駄目かと僕も思ったしね」

 

西条さんの言葉に美神さんが頷き、皆で夕食に行くことになったのですが、私が考えているのは別の事だった。このクレーンゲームの事件の近くで死津喪比女が蘇る。そしてそれは私にとっての試練の時が近づいて来ていると言う証だった……

 

 

 

一方その頃、横島が通う高校では……ドクターカオスとマリアが愛子に会いに来ていた

 

「えっとその、ドクターカオス。私はその……」

 

「学校から出れるか……じゃろ?うーむ。直ぐには無理じゃな」

 

ドクターカオスの言葉に明らかに気落ちする様子の愛子

 

「依代が必要なんじゃ、しかも出来るだけ成長した大木、それがあればお前を縛っている机から脱する事が出来る。そしてその時期はそう遠くは無い」

 

「え?」

 

ドクターカオスの言葉に顔を上げた愛子。そしてマリアは愛子を見て笑いながら

 

「大きな地震を覚えていますか?東京が壊滅寸前になったあの事件を」

 

「あ……はい!覚えています」

 

「あんまり良いことでは無いが、ワシも対策をしている。その地霊を倒し、神木の枝を入手すれば全ては丸く収まる」

 

これは逆行した記憶を持つ3人だから話せる話題。おキヌにとって試練の時が近づく時、それは愛子にとって新生の時が近づいていると言う事を示していた……

 

リポート20 狼の居る日常 その5へ続く

 

 




次回は犬には向かない職業を書いて行こうと思います。シロとタマモの話をメインにする予定です、愛子とおキヌの立ち位置変更の時期が近づいてきておりますので、そのフラグもここで書いておこうと思いました。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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