GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は原作よりも人数が増えた状態での、鼠の死霊使いの話を書いて行こうと思います。原作とは大分違うアレンジを加えていこうと思っているので、どんな話になるのか楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その6

 

 

リポート20 狼の居る日常 その6

 

令子嬢ちゃんに何年かぶりに助っ人に呼ばれたが、こりゃ今回の山はそう簡単なものじゃないみたいだな。狼と狐のお嬢さんに指導をしてくれと言われていたが、そんな余裕は無さそうだぜ……

 

【横島さん。アリスちゃんをお願いしますね】

 

「アリスちゃん、おいで」

 

「はーいっ!」

 

幽霊の巫女さんが青いドレスのお嬢さんがバンダナの小僧に渡す。これで全員降りて来たわけだが……正直全員で降りてきたのは失敗だったかもしれないな

 

「食い散らかされた食べ物とか一杯落ちてますね

 

「……勿体無いことを、罰が当たるぞ」

 

【食べ物を粗末にするなんて許せないですね】

 

周囲の捜査をするのは基本だが、もう少し気を張り詰めてやるべきだ。特にあのバンダナの小僧、潜在能力は桁違いそうだが、それを扱いきれてないのが良く判る

 

「蛍ちゃんは見鬼君を、横島君は結界札を持って待機。シズクとノッブちゃんは悪いけど先行「グルルルルッ!」マーロウどうしたの?」

 

令子嬢ちゃんの指示は的確だが、今回は愚策、先行させる予定だった2人を動かしてはいけないと、唸り声で警告する

 

「何これ!?めちゃくちゃな反応が!」

 

ちいっ!遅かったか!!!周囲の気温が下がったように感じるほどに爆発的に霊が集まってくる気配がする

 

【来るぞ!上だ!】

 

バンダナの小僧の額当てから目が浮かび上がり、警告を発すると同時に恐ろしい数の動物霊が上下左右から湧き出るように姿を見せる

 

「この数は異常だぞ!?」

 

【マジかよ!?ちょっとこれ洒落にならないって!】

 

その圧倒的な数に一気に騒がしくなる。周囲の霊気の匂いを辿るが、ここまで雑霊が多いとすぐに発見出来ない

 

「だーっ!なんだよ!この量は!」

 

バンダナの小僧は霊波刀で動物霊を切り裂きながら、青いドレスの少女を必死に守っている。その反射神経と霊力の集束技術は確かに人間と思えば異常と言える。令子嬢ちゃんが弟子として連れている理由も判った

 

「シロ!あんたは突出しない!横島の後!分断されるわよ!固まりなさい!」

 

「ッ!判ったでござる!」

 

狐のお嬢さんは気の強い外見に反して非常に冷静だ。この乱戦になり、好戦的な性格なのであろう狼のお嬢さんが前に出かけるのを一喝して止める

 

「……行け」

 

「シッ!」

 

水神と神魔と思われる女は氷と銃で動物霊を祓っているが、倒した倍以上の悪霊が姿を見せる。やっぱり普通の除霊では無理だ、霊気を辿り、この霊を操っている何かの気配を探す

 

「オオンッ!」

 

そしてその気配を見つけ、雄叫びを上げながら前足を繰り出す。だが操っている何かは攻撃を簡単にかわし、令子嬢ちゃん達の前に姿を現した

 

「キギィッ!」

 

「「「ね、ネズミ!?」」」

 

それはバンダナの小僧が連れているグレムリンよりも更に小さい、だがその目に狂気の光を宿す姿はその身体の大きさよりも、遥かに大きく威圧感に満ちているのだった……

 

 

 

 

私達の前に現れたネズミ。その後の攻撃は恐ろしいほどに素早かった、だが相手が悪かった

 

「シューッ!」

 

両手を突き出し、凄まじい霊気を放つネズミだったが、それよりも早くワルキューレさんと、シズクの2人の防壁がその霊気を弾き飛ばす

 

「チュウ……ッ!」

 

忌まわしげに鳴いて、動物霊を爆発させその霊気に紛れて姿を消すネズミ。この暗い下水道であんな小さい相手を見逃すのは、次見つける事がどれだけ困難かと言う事を示していた。現に横島君と蛍ちゃんが後を追おうとしていたが、それを慌てて止める

 

「全員動かないで、固まって!」

 

このまま追いかけて行くにはリスクがありすぎる。1度状況を整理するべきだと判断して、全員に動くなと指示を出す

 

「気分が悪いとかは無い?あれだけの霊気を受けると人間でも操られる可能性があるわ、どこかおかしいとおもうところは無い?」

 

横島君と蛍ちゃんに気分は大丈夫か?と問いかける。2人は1度頷いてから

 

「俺は全然大丈夫です」

 

【横島に来た霊波は私も防いだ、問題は無い】

 

心眼が憑いている横島君の霊的防御力は間違いなく最強クラスだ。そこにシズクとタマモの加護が加わっているから、呪いや霊波攻撃に関しては横島君は無敵に近い。だが蛍ちゃんの表情は芳しくなく

 

「精霊石が一発で砕けました」

 

「私も、1回は耐えたけど、多分次は無理」

 

「拙者もでござるよぉ……」

 

シロとタマモに念の為に預けていた精霊石のペンダントが軒並み砕け散っている。シロはそれとは別に純度の高い精霊石のペンダントをしているから人化を維持しているが、やはり状況は決して良くないだろう

 

「……あれは普通じゃないぞ。怨念や恨みが物凄い」

 

【ですね、私もゾクっとしましたよ】

 

【ワシもじゃなあ、ありゃ、体こそネズミじゃが、中身は別物じゃ】

 

私でも感じていたが、やっぱりシズクと元が霊体のおキヌちゃんとノッブちゃんはあのネズミの中にいる何かを感じ取ってるようだ

 

「グルルル、バウ!!」

 

「マーロウ殿が1度撤退も考慮しろって言ってるでござる」

 

……やっぱりか。マーロウは私にとっては世界最高のGS犬ではなく、まだ霊能者としてどんな道を進めば良いのか悩んでいた私に道を示してくれた相手でもある、その意見は聞きたい所だ。事実1度撤退と言おうとしたのだが、アリスちゃんとワルキューレの言葉でその言葉を飲み込んだ

 

「ここいっぱい人が死んでる……」

 

「……魔界正規軍が討伐した死霊使いと同じ霊波パターンが検知された。あのネズミに憑依しているぞ」

 

……人がいっぱい死んでいる……それと魔界で死んだ死霊使い。ここで撤退して、あのネズミが更に力を付ける可能性を考慮すると、撤退して装備を整えたとしても討伐しきれない可能性がある

 

「シズク、この下水道の中どうなってるかとかって判ったりする?」

 

「……少し待て、今確認する」

 

シズクが目を閉じて、意識を集中する仕草を見せる、数分後目を開き

 

「……大分先で入り組んでいるが、コンクリートの壁の向こうに木で出来た通路がある」

 

「決まりね、最悪だわ」

 

第二次世界大戦の時に破棄され、忘れられた基地。どうもそれとこの下水道が繋がっていると見て間違いないだろう、となればネズミに憑依しているのは死んだ死霊使いに加え、戦死した軍人の魂と言った所だろう。横島君と蛍ちゃんが私を見る、ここで決断するべきなのだろう

 

「進むわ。マーロウ、それとシズク、お願い出来る?」

 

私達では感知できない、ならばマーロウとシズクに頼るしかない。それにこれ以上力を付けられるのも怖いが、ここが日本軍基地の跡地と繋がっていると考えると何かの武器を持ち出す可能性も高い。その前に、ここで叩いておく必要がある

 

「ワン」

 

私が決めたなら逆らわないと言う感じのマーロウと仕方ないなと言う素振りのシズク

 

「横島君、蛍ちゃん。周囲を警戒して進むわよ。最悪でも日本軍基地の入り口だけでも見つけないと、撤退しても何の意味も無いからね」

 

最低限そこまでやれば撤退も出来る。方位磁石は持っているし、どこのマンホールから入ったのも覚えている。後は基地の場所を特定して、古い時代の地図を見て基地の出入り口を知れば、こんな相手のホームを通る必要も無くなる。戦うことになる可能性も高いけど、このまま撤退して被害が大きくなる可能性を考えれば進むしかない。この暗く、隠れる所が多い場所でネズミなんていう小さい敵を相手にすると言うのは相手にとって有利すぎる

 

「タマモ、狐火で明るく出来る?」

 

「出来るけど、全員をフォローするとなるとそれを維持するので手一杯よ。動いたりなんてとてもじゃないけど出来ないわ、横島」

 

「あ、じゃあ、俺がおんぶしてタマモを運ぶからそれならどう?」

 

その横島君の提案が通り、タマモを横島君がおんぶし、タマモの狐火が私達の周辺を明るく照らす

 

「……ギリッ」

 

蛍ちゃんが音がするくらい歯を噛み締めてるけど、横島君にとってはタマモが人化していても、可愛い子狐という印象が抜けないのだろう。だからタマモには極めて甘い

 

「はいはい!拙者もおんぶを!」

 

「シロ、炎出せる?」

 

「……無理でござる」

 

じゃあ今は駄目だと横島君に断言され、しょんぼりするシロ。横島君は空いている左手でアリスちゃんと手をつなぎ、右手でタマモを支える。

 

「とりあえず横島君は戦闘に参加出来そうに無いわね。ノッブちゃんとワルキューレ、よろしく」

 

移動とお守を担当する横島君は戦闘には参加できないので、ノッブちゃんとワルキューレに横島君の援護を頼み、シズク、マーロウ、シロ、ワルキューレ、私、蛍ちゃん、横島君(タマモ、アリスちゃん&マスコット軍団)おキヌちゃん、ノッブちゃんと言う陣形で周囲を警戒しながら、ゆっくりと下水道の中を歩き出すのだった……

 

なお歩き始めて数分後

 

「あれ?うりぼーの上にタマモが乗れば、あいだだだだ!!」

 

「なんか言ったかしらー?」

 

「ひゃひゅもおおーー」

 

横島君が余計な事を言ってタマモに頬を抓り上げられるという一幕があり、私と蛍ちゃんの集中しなさいと言う一喝が下水道に響いたのは言うまでも無い……

 

 

 

 

マーロウ殿とシズクと一緒に前衛で周囲の警戒をしながら前に進む。

 

『なんだお前さん、案外やるじゃないか』

 

「どうもでござる!っと!」

 

マーロウ殿のお褒めに言葉に返事を返し、振り返り様に霊波刀で下水から飛び出てきた下級霊を切り捨てる。

 

『お前さんらにGS犬としての指導をしてやれって言われてきたが、こりゃ出る幕が無いな』

 

歳を取ったかぁと笑うマーロウ殿だが、拙者にとってはマーロウ殿からは何度も何度も指導を受けている。だから大事な事は全部覚えているのだ

 

「まだまだ小娘でござるよ、悪いところがあったら教えて欲しいでござるなあ」

 

『じゃあまず1つ、周囲を警戒してるときはぺらぺら喋るんじゃねえ』

 

マーロウ殿が飛び出し、コンクリートの隙間から顔を出した下級霊を噛み砕く

 

『軽いお世辞に大袈裟に喜んでるようじゃあ、まだまだだぜ』

 

その言葉にその通りでござるなあと呟く、少し褒めてまだまだと言うのはマーロウ殿の指導の時に何度も体験していた。それなのに喜んでしまうとは、まだまだだ

 

「みむう!」

 

「ぷぎーッ!」

 

【のーぶッ!!】

 

せんせーの大事にしているチビ達。だが彼らも恐ろしいほどに強い、チビは電気ショック、うりぼーは牙の間からビーム、そしてチビノブは竹光で雑霊をずばずば切り裂いている

 

「あんまり前に出るなよー?危ないからなー」

 

せんせーの言葉に元気良く返事を返す、どうもせんせーに良い所を見せようと思って頑張っているようだ、その姿に思わず微笑ましいと思いながら鼻に意識を集中させる

 

(ん、んー……ちょっと違うでござる)

 

匂いは感じる、感じるのだが何かおかしい。拙者が感じると言う事はマーロウ殿も同じで1度立ち止まる

 

「どうした。何か問題か?」

 

手にしていた銃のカートリッジを交換しているワルキューレ殿がそう尋ねてくる。マーロウ殿は小さく唸り、拙者に喋るように促す

 

「気配が幾つも別れたでござる」

 

「「「気配が別れた?」」」

 

ここまで追いかけてきたネズミの気配と霊気が一瞬にして4つに増えて、バラバラの方向に向かったのだと告げる

 

「マーロウが見失うわけ無いし……本当に分裂、いえ、そんな事はありえないし……もしかして追いかけた霊気が最初から違ったって可能性は無い?」

 

美神殿にそう言われると拙者はあんまり自信が無い。前よりも霊気が強すぎて、何度か方角を間違えかけたから

 

【話すのは良いが、出来るだけ早く方向性を決めてくれんかの!】

 

「……数が多いからな」

 

こうして話をしている間もシズク達が無尽蔵に湧いて来る動物霊と雑霊の対応をしてくれてる

 

「ちっ、雑魚は雑魚だが、これだけ出てくると鬱陶しいな」

 

ワルキューレ殿が顔を歪め、向かってくる雑霊を打ち落としているが、その表情を見ればいらついているのは明らかで早く解決策を見つけないと大変な事になりそうな気がする。

 

「俺のダウジングでどうですか?」

 

「何を元にダウンジングするの?そもそも動き回っている相手のダウジング出来るの?」

 

「うっ……それはちょっと、じゃあ心眼!」

 

【すまないが、近くにいるのならまだしも、これだけ霊気に満ちた所では私の霊視はそれほど遠くまでは見えないぞ】

 

自身の提案も駄目、頼みの綱の心眼も駄目

 

「……美神さん、これはもう限界だと思うんですけど」

 

「そうね、私も無理だと思うわよ」

 

色々と話し合ったが、どうすれば良いのか皆目検討が付かず、やっぱり1度引き返すと言う流れになり掛けたとき

 

「お兄ちゃん。これはあれかもしれない……あんまり自信が無いんだけど、黒おじさんの得意な奴」

 

美神殿達が話し合っているとアリスちゃんがあんまり自信が無いと前置きしてから口を開いた。それは一定の間隔で死霊を召喚する術式と言うのがあると、自分はまだ使えないけど、黒おじさんと言う人物が得意としていると……

 

「うーん、ある程度の距離に近づけば雑霊を召喚するように調整して、それを別のネズミとかにくっつければ気配が分裂したように感じるわね」

 

「でもそうなると追いかけて行くのは難しいですよね。別れて調べるなんて論外ですし」

 

そんなことをしたら個々で撃破されるわよと美神さんが即答する。ここでまた先に進むか、戻るかと言う選択肢が拙者達に突きつけられたが、解決の糸口と言って良いのか、悩むがこの状況を打破するヒントはタマモが持っていた

 

「一々めんどくさいわね、こういうのはね……」

 

タマモがせんせーの背中の上から降りて、両手を広げる。その動作を見て、拙者を含め全員が強烈に嫌な予感を感じた

 

「ちょっとタマモ。あんた何をするつもり」

 

引き攣った顔で美神殿が止めに入ろうとしたが、それよりも早く雑霊にイライラしていた他の面子も動き出してしまった……

 

【おお!そうじゃな!ぐだぐだ考えても何も変わらんわ!】

 

「……そうだな。めんどくさいし、臭いし、気持ち悪いし、さっさと片付けるか」

 

「……ああ、その意見には私も同意しようか」

 

「みむー!みむううー!!!」

 

「ぴぐう!ぴぐぐー!!」

 

【のーぶう!ののーぶ!!!】

 

タマモの反応を見て、せんせーが大事に育てている動物達が騒ぎ出し、少しだけ先行し偵察していたおキヌ殿が戻ってきて

 

【なんか奥から大きいのが……って何をするつもりですかぁ!?】

 

「おキヌちゃん!こっち!こっち!!頭抱えて伏せろ!」

 

「最悪すぎるわね!本当!なんでもっと冷静な面子がいないのよ!!」

 

「精霊石だけじゃ足りないですよね!?結界札、結界札は何処!?」

 

「みみーむううー!!」

 

「ぷぎゃあああ!!!」

 

【ノブノブゥゥ!!!!】

 

美神殿達が慌てて自分達の身を守る算段を付ける中。拙者はマーロウ殿を抱え、せんせーの元に走り、おキヌ殿がせんせーの近くに来たのとほぼ同じタイミングで

 

「狐火ッ!!」

 

【ぶち抜けえッ!!!】

 

「……消えろ」

 

「吹き飛べ」

 

タマモの狐火、ノッブ殿の霊波砲、シズクの強力な水鉄砲、ワルキューレ殿の手榴弾が同時に暗闇に向かって放たれた……

 

「耳塞いで!頭を下に!」

 

美神殿の怒声の次の瞬間、凄まじい振動が下水中に響き渡り、凄まじいほどの霊波の奔流が下水道中を駆け巡った

 

「あ、あんたらねえ!何してくれてるの!?もし天井壊したらどうするつもりなの!?」

 

美神殿が怒り心頭と言う感じで怒鳴るが、今の惨劇を起こした全員はシレっとした顔をして

 

「良いじゃない、おかげで待ち伏せしてるの動いたみたいよ」

 

「……結果がよければ良い、それに天井が落ちても護れるしな」

 

【そう言う事じゃな】

 

全然反省して無いタマモ達に美神殿がまた怒鳴ろうとしたが、それはアリスちゃんの言葉で遮られた

 

「何、奥からなんか凄い幽霊の塊が……来てるよ?しかも凄い勢い」

 

アリスちゃんの言葉に頭に血が上っていた様子の美神殿も落ち着いたのか、アリスちゃんが指差した先を見て顔色を変える

 

「逃げるわよ!なんかやばいのが来る!」

 

通り過ぎた広い場所に戻るわよと言う言葉に頷き、足の遅いアリスちゃんをせんせーが抱き抱え走り、全員で狭い通路から広場へと走るのだが

 

【なんじゃ!物凄い重い音が響いてくるんじゃけど!?】

 

「……でかいぞ、これは……」

 

ノッブ殿とシズクの言葉を聞かなくてもそれはわかる。下水が大きく波打ち、何かが近づいて来ているのが良く判ったから

 

「おキヌちゃん、奥で何を見たんだ!?」

 

【おっきい金属の何かですう!】

 

「それってまさか日本軍の兵器とかじゃないわよね!?」

 

全員で慌てて狭い通路を駆け抜け、広い場所に出てここで迎え撃つわよと美神さんが口にした次の瞬間

 

【きーさーまーらーーーーー!!!】

 

「「「「はああああああああッ!?!?」」」」

 

現れたのは錆付いた金属の体を持ち、ドラム缶のような形状をした両腕と、肩と背中、そして胴体に機銃らしき物があり、それを操作する役割があるのだろうか、軍服姿の幽霊が機械の歪な巨人に乗り込んでいた。怒鳴り声を上げたのもその軍人の幽霊だった

 

【お前らのせいで下半身が吹き飛んだではないか!だが上半身が残っていれば十分!貴様らを血祭りに上げてくれるわああ!!】

 

ネズミが饒舌な言葉を喋り、怒りの声を上げる。最終的には結果オーライだったが、半分吹き飛んでいるとは言え、機械の巨人相手なんて冗談じゃない

 

「ワルキューレ!あんた後で絶対ブリュンヒルデに言ってやるからねっ!!」

 

「それだけは止めてくれえッ!!!」

 

【死ねええッ!!!】

 

美神殿の怒声とワルキューレ殿の悲鳴、そして幽霊の怒声と訳の判らない中、歪な機械巨人との戦いが幕を開けるのだった……

 

 

 

 

【はーははははっ!俺は最強だアアアア!!この力があれば、日本の勝利間違い無しだアア!!】

 

狂ったように笑う軍服の幽霊に舌打ちする。既にまともな思考を持ち合わせていない、恐らくまずネズミに死霊使いの魔族が取り憑いて、そしてその上で軍服の幽霊を使役しようとして逆に支配権を乗っ取られたと見て間違いないな

 

「……こんな汚い水……最悪だ」

 

シズクが下水で氷の壁を作り出し、放たれた機銃を防ぐ。状況は最悪と言える、相手の武器は実弾で、鉄の装甲……私が今手にしている銃を駄目元で撃ってみるがやはり装甲に阻まれる

 

「みーむーッ!!!」

 

【効かんわぁッ!!!】

 

チビが高出力の電撃を打ち出す。今度は装甲ではなく雑霊を盾にして防ぐか

 

「これ不味いわね。逃げようにも追いかけてくるだろうし、外に出たらもっと大変なことになるわ」

 

「あの馬鹿でかい砲塔が自由になりますもんね」

 

美神と蛍が巨人の姿を見ながら、冷静に状況を分析する。下水道だからか、あちこちの壁に引っ掛かり、思うように動けない。それが今の所の幸いと言える点なのだが、問題は敵の防御をこちらが貫けないと言う所だ

 

「「「アオオオオオーーーンッ!!!!」」」

 

タマモ、シロ、マーロウの三重の雄叫びが一瞬、巨人の回りの雑霊を浄化するがすぐに雑霊が集まってくる

 

「ぜーぜー!駄目でござる!祓っても祓っても、すぐ集まるでござるよ!?」

 

「さ、先にこっちの喉が潰れるわ……」

 

「グルゥ」

 

狼の声は魔を払う効果があるが、それでも祓いきれないほどにこの下水道には雑霊が満ちている。それは倒しても倒しても切が無く、そしてこちらが徐々に疲弊していく最悪の流れとなっていた

 

「装甲の中にいる、幽霊を除霊すれば倒せるんだけど……」

 

「装甲の中に隠れるからボウガンとかは届かないし、精霊石も無理……なんとか打開策を考えないと」

 

人間世界の弱い霊とは言い切れない、相手は鉄としての特徴をフルに使い、攻防共に高い次元で成立させている。なんとかしてあの戦車の部分だけでも破壊しないと全滅は必須だ。最悪美神達だけでも撤退させて、力を解放して周囲に被害が出る可能性があるが、圧倒的な魔力で押し潰すか?今自分に出来る対処法を考えていると

 

「よし、ノッブちゃん頼む」

 

【よ、横島さん、本気ですか?】

 

【お、おう。でも大丈夫かの?】

 

横島が何かしようとしている声が聞こえて、全員で振り返ると、ノッブがその手にうりぼーを乗せていた

 

「ぴっぐう!」

 

「うりぼーはやる気だ。だから俺はうりぼーを信じる」

 

【言っても無駄だ、やるだけやらせてみよう……】

 

「うりぼー!がんばれー!」

 

「ぴぎいっ!!!」

 

【ノーブ!ノブブブー!!!】

 

横島達とチビノブ達がうりぼーを激励する。待て、あいつらは何をするつもりだ……強烈に嫌な予感がするのだが……

 

【もうワシどうなっても知らんからのッ!?】

 

ノッブが大きく足を振り上げ、大きく踏み込みながらうりぼーを投げる。英霊の力で投擲されたので、そのスピードは凄まじい……

 

「「「なんでうりぼーを投げたの!?」」」

 

何をどう考えたらうりぼーを投げると言う考えに到達するのか理解出来なかったが、投げられて数秒後

 

「ぷっぎいいいいいいいッ!!!」

 

うりぼーは高速で回転しながら巨大化していく、その短い牙から霊力で出来た牙が伸び、その勢いはドリルと言っても十分通用するレベルだった

 

【な。なにいいっ!?】

 

「ぷぎゃああああああッ!!!」

 

激突音ではなく、何かを抉る金属音が響き、鉄の巨人の胴体には大きな風穴が開いていて、うりぼーは着地する同時に振り返る。チビとチビノブもその動きに何をしたのか気付き、素早く飛び上がりうりぼーの上に移動しチビノブは竹光を構え、うりぼーの横に立つ

 

「ぴっぎゅううううッ!!!」

 

「みっぎゃあああああ!!!」

 

【ノーブーーーーーッ!!】

 

【ば、馬鹿なぁああああああああ!?】

 

牙の間から打ち出された極太の霊波砲と下水道を照らす凄まじい電撃、そして竹光から飛び出した霊波刃が胴体に飛び込み、その中にいる幽霊を纏めて消し飛ばした……爆風で煽られながら、あの小動物達の攻撃力の高さは何だと思わず思考を放棄したくなった……

 

「うりぼーすげえ!俺の家族は最強だぁ!!」

 

「やったあ!うりぼー凄い!チビもすごい!!」

 

アリスと喜んでいる横島を見ながら、私は美神のほうに視線を向け

 

「お前、自分の弟子に何を教えてるんだ?」

 

「あんなことを教えてるわけが無いでしょうがッ!?」

 

「私、横島が何を考えてるのか判りません……」

 

「……心配するな、横島の考えている事を理解しようとするのがまず無理なんだよ」

 

横島に戦士としての素質があると思っていたが、どうもそれとはまた違うようだな。だがなんにせよ、打開策が無い状況で打開策を見出した、その発想は賞賛に値するだろう。そのときふと足元まで吹き飛んできた鉄板が目に付いた

 

(日本陸軍霊能特殊装備開発室 局長……蘆屋)

 

製作者と作られた場所が書かれている鉄板を拾い上げる。これはもしかすると調べておく必要があるかもしれない、と私は直感でそう感じたのだ。

 

「とりあえず、下水道から出よう、ここは臭い」

 

流石にもう耐えれないので下水道から出ようと促し、私達は下水道を後にするのだった……だがこの時、気付くべきだったのだと思う、鉄くずの近くにしゃがみ込み、何かごそごそしている横島とアリスの姿に……気付いていれば、あんなことにはならないのだったが、気付いた時にはもう何もかも手遅れになった後なのだった……

 

 

リポート20 狼の居る日常 その7へ続く

 

 




次回は最初の方で今回の事件の〆の話、後半はデジャブーランドの話を書いていくつもりです。その8でリポート20は終了とし、次のリポート21に入っていこうと思います。スパイラルうりぼーアタックは合板を打ち抜く超絶破壊力でした、そしてトドメはチビとの合体攻撃の破壊光線と電気ショック、マスコット同士の連携もレベルアップです

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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