GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
どうも混沌の魔法使いです。今回で東京編は終わりで、次回から妙神山のリポートに入って行きます。そして妙神山から帰れば、何が待っているのかは判りますね?大きいイベントが待っておりますのでどうなるのか楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
リポート22 いざ、妙神山へ その4
カーテンの隙間から入ってくる日差しにむうーと唸りながら身体を起こす少女。美少女と言えるほどに整った容姿をしているのだが、色素の薄い髪と焦点の合っていない瞳が美しさよりも不気味さを際立たせている。少女の名は「夜光院柩」神魔から見ても規格外の「未来予知」「空間把握」などのレアな稀少技能をこれでもかと持つ天才少女だった。
「ふわ……あー眠いねえ」
頭痛がしてくる前に横島から貰ったチョーカーを身に付ける。それと同時に背後まで見えていた視界が正面だけに限定され、脳に直接やすりをかけられるような痛みを一気に軽くなる。
「……本当横島には感謝しかないねえ」
自分への褒美で望んでくれたボクの能力を抑制してくれるチョーカー。この首輪型のアクセサリーが愛おしくて堪らない。
(……まさか自分の性癖がねえ)
まさか自分に束縛願望があるなんて思って無かったよ。まぁそれも個性かな?そんなことを考えながら洗面台に向かうと、そこには何故か人影があった。
「あ、柩ちゃん。おはよー」
「……おは……よう?」
朝は元気良くと笑う女性が一瞬理解出来なかった。そこにいるだけで空間を侵食するような圧倒的な美の象徴。少し紫が掛かった髪と、穏やかな光を宿す黒目……そして鍋から漂ってくる甘い香りと、何かを焼く香ばしい香り。朝はパンだろうか?……いや、現実逃避は止めよう……受け入れるべきなんだ。
「なんでここにいる!?ゴモリー!?」
ソロモン72柱ゴモリーが何故、ボクの家で、しかも普通に料理をしているのか、叫ばずに入られなかったのだ。
「ダンタリアンと一緒に魔界から出て来たのよ。ちょっと騒ぎがあって、魔界正規軍がバタバタしているうちに」
コーンスープとベーコンエッグトーストを食べながら、ゴモリーがのほほんと告げる。
「それはそれは、残された部下が可哀想だね」
「良いの良いの♪」
きっと魔界では大騒ぎになっているだろう。魔界の重鎮が勝手に魔界を抜け出したのだから、きっと大変な騒ぎになっているはずだ。
「柩ちゃんに会いたかったってのもあるんだけど、ちょっとね。気になる事があるのよね」
「気になる事?」
くそ、このコーンスープ美味しいじゃないか……なんでソロモンの魔神がこんなに料理が上手なんだと思いながら、尋ね返す。
「うん。魔界でも有名だから横島君を見てみようと思って」
「よし、帰れ!」
そんな動物でも見るような感覚でほいほい動き回られたら困るし、何よりも横島達は修行で出発前なのだ。ゴモリーの遊び半分で横島を尋ねさせるわけには行かない。
「横島達は明日には修行に出るから暫く東京にはいないよ」
「え?そうなの?うーん、今から会いに行くのは迷惑よね?」
当たり前!と怒鳴る。ゴモリーが頭の上に手を当てて、蹲る仕草をする。全然怖いなんて思って無いくせに……そう思うと思わず溜息が出た。
「じゃあ柩ちゃんと遊ぶわ」
どうしよう、普段学校に行きたいなんて欠片も思わないのに、今は学校に行きたくして仕方ない
「あれ?そのチョーカー……ヒャクメ族の」
ゴモリーの視線がボクの首に向けられて、思わず手で隠す。だがゴモリーはその仕草で気付いたらしく、その目に剣呑な光が宿る。
「そっかー、横島君って子に貰ったのね?」
「い、いや違うから!」
違うと言いつつも声が裏返ってしまい。ゴモリーはニコニコ笑いながら判ってる判ってると笑い。
「チョーカーかぁ……へぇ。女の子にねえ」
あ、これはやばい。横島の命が危ない、窓ガラスに皹が入るくらい、ゴモリーが怒っている
「これはボクが欲しいって横島にお願いしたんだよ。そのヒャクメ族に知り合いがいるなんて思ってなかったけど、これがあるから能力が暴走しないから寿命が延びそうなんだから」
寿命が延びると聞いてゴモリーから怒気が静まる。危ない、本当に危ない所だった。横島が殺される所だったよ。
「でもチョーカーを欲しがるなんて、柩ちゃんって苛めて欲しい子なのかしら?……はうっ!?」
ゴモリーの言葉に、ボクは飲み終わったマグカップを全力で投げつける。
「あ、でも私泊まる所とか無いから、暫くお世話になるわね?」
マグカップの直撃を受けた所に絆創膏を張りながら、魔法で自分の荷物を取り出すゴモリーを見て、ボクは受話器を手にしていた。
「あ、もしもし?ボクなんだけど、会長殿。ちょっと相談に乗ってくれないかな」
この自由さ、横島と似すぎている。ゴモリーに迷惑を掛けられているはずなのに仕方ないと思うのは絶対にそれが理由だと思い、会長殿に相談することを決めるのだった……
柩から相談に乗ってくれない?と言う電話があった。急にやってきて、くひくひ笑う柩が事前に言うって事は相当な事情だと判断して良いわよと返事を返すと、お昼前には来ると言うのでそれくらいなら私の方の用事も大丈夫と言って電話を切る。
「お疲れ様でした。大丈夫でしたか?」
「いや、私は平気だよ。大体連絡付かない場所だからね」
向かい側のソファーに座っているメドーサさんに頭を下げる。2週間の間横島君達を妙神山に隠してくださいと言うのをお願いするのに、妙神山に連絡が付かないと言う事でメドーサさんにお願いしたのだ。
「それでその妙神山の方は?」
「全然OKだってさ、小竜姫も相当乗り気だし、何よりも……」
そこで言葉を切ったメドーサさんに少しだけ嫌な予感がした。今白竜寺に駐在している三蔵様、でも妙神山には彼女のお弟子さんであり、闘神の孫悟空が居るはずなんだけど、嫌な予感が拭えない。
「ハヌマンの爺がめっちゃ乗り気。横島を最強にするとか何とか」
「……それは大丈夫ですか?」
孫悟空と言えば知らない人が居ないとまで言える非常に有名な神様だ。確かに修行を見てくれるというのなら、これ以上に無い誉だと思うけど……人間で大丈夫なんですか?と尋ねる。と言うか、なんで横島君の事を知っているんだろうか。
「多分三途の川をメドレーすると思う」
「駄目じゃないですか!?」
殺してどうするんですか!?と思わず叫ぶ。メドーサさんも顔を歪めて、深く溜息を吐きながら今回人間界にいる理由を説明してくれた。
「だから三蔵に無理しないようにって手紙を書いて貰おうと思って」
「是非お願いします」
修行に行って再起不能では洒落にならないので、本当にお願いしますよ?と頼み。窓から出て行くメドーサさんを見送る。
「はい、もしもし?」
『ああ、神代会長。申し訳ないね』
メドーサさんが出て行ってすぐ鳴った電話を取ると西条さんからの電話だった。やや電波が悪いから、恐らく携帯で電話をしてきているのだと判断して手帳を開く。
「何か問題でもありました?」
『ああ、問題とかじゃなくてだね。令子ちゃん達が居ない間の打ち合わせをしようと思ってね』
今オカルトGメンは西条さんが日本に居た時の知り合いで構成されているので、打ち合わせの必要はあんまり無い。それなのに打ち合わせをするって事は……間違いないわね。
「配属される予定なのは日本人では無いってことですか?」
『いや、日本人は日本人だけど、向こうに移住した日本人とかが中心になる見たいでね。少々厄介な事になりそうだ』
国際GS連盟の事もあるし、オカルトGメンも問題ばかりだわ……思わず深く溜息を吐いてしまう。
『まあエリート風を吹かしている馬鹿な連中だから、現実を知れば大人しくなるよ』
こんな事を行ってはいけないが、ガープとかの襲撃があって、1度心を折ってくれれば良いのにと思わず思ってしまった。
『あ、そうそう。君に頼まれていた事だけど、接触出来たよ』
「本当ですか?どうでしたか?」
舞ちゃんに聞いていた氷室神社の近くに住むと言う神様。それと接触を取ってくれるように頼んでいたのだ。
『かなり力のある地霊のようだけど、真名は不明だ。記憶がないそうでね、それと神魔の方にもあったんだが……神と言うよりかは非常に
高位の精霊という事だ。ガープに利用されないように注意を払ってくれるそうだよ』
詳しくは東京に帰ってからと言う西条さんに判りましたと返事を返し、電話を切る。
「高位の精霊かぁ……」
もしもガープに利用されたりすると非常に厄介ね。しかも地霊となると大地に関係する権限も持っている可能性が高い、最悪の可能性を考慮しておく必要もありそうだ。
「もしもし?一応災害救助用の避難キットとかを、東京の避難所とかに配置しておいて、それと水とか灯油もお願いね」
出来ればそんな事にはなって欲しく無いと思っているが警戒をしておいて無駄と言う事は無い。あちこちの避難所を管理している職員に電話をして、非常用具の充実を頼んでいると扉がノックされる。
「いやー会長殿。悪いね」
いつも飄々としている柩の顔色が悪い。珍しいこともあるわねと思いながら、尋ねてきた理由を尋ねる。
「それで相談したいことって何か……」
しら?と最後まで言い切ることが私には出来なかった。何故ならば……柩の後から姿を見せた人物。見た目は普通の人間だが、その威圧感。そして存在感が桁違いだった。
「初めまして、ソロモン72柱のゴモリーよ。よろしくね」
ふわりとしたワンピース姿の紫色の髪の目を見張るような美人。だけどその名前が非常に問題だった。嘘って言いたかったけど、真実って事が判ってしまったから
「なんかソロモンの魔神がボクの家で居候したいって言ってるんだけど、ボクとしては帰って欲しいんだよ」
酷い!と叫んでいるが、柩の意見には全体的に同意出来る。だから私は再び電話を手にする。
「あ、もしもし?ブリュンヒルデさんですか?すいません、超緊急事態なので、すぐGS協会に来てくれませんか?」
『はぁ?構いませんが。どうしたのですか?アルテミス様の件でしょうか?』
「あ、それは大丈夫です。解決しました」
解決と言うか、押し付けたというか、愛子ちゃんの恋愛空間を気に入ったらしいので、愛子ちゃんに押し付けました。めちゃくちゃ号泣してたけど、あの人を自由にさせるほうが怖いので我慢して貰おう。
「ゴモリー様がそのーですね?」
『あ、はい。察しました、すぐお伺いします』
その電話の後、すぐブリュンヒルデさんは来てくれたんだけど、ゴモリー様は物凄く渋った。それこそ神の威厳なんてない、駄々っ子その物だった。
「じ、じゃあ!柩ちゃんの所に居てもいいなら、宮殿の宝を提供するわ!ガープ対策で必要でしょう!」
「い、いえですね。そういう問題では無いと思うのですが」
ブリュンヒルデさんはそうは言うが、その言葉に私は物凄く悩み(1分ほど)え、嘘だよね?と言う顔をしている柩の肩に手をおいて
「ちょっとらしいからよろしく」
柩を生贄に捧げることを決めた。それに本気で嫌がっているわけじゃ無さそうだし、接し方に困ってるって感じだから仲良くしてみれば良いと思う。フレンドリーな性格みたいだから、柩の個人主義改善になるかもしれない。
「じゃあ、すぐに連絡して運び込ませるからねー♪柩ちゃんはもっとお洒落しましょーねー」
「会長の馬鹿ぁぁ!!!」
柩から聞いた事の無い悲鳴を聞きながら、柩を抱き抱え鼻歌交じりで帰っていくゴモリー様を見送り。ブリュンヒルデさんに向き直り
「すいません。ちょっと少しの間柩をよろしくお願いします」
「……ま、まぁあのお方も人の話を聞く人じゃないので、丸く収まったと思うことにしますね」
あの女の子が可哀想ですけどと言うブリュンヒルデさんも応接間を出て行く
「そのうち自分に跳ね返ってきそうで怖いわ」
でもこれしか対処法が無いから仕方ないわよねと小さく呟き、私は机の上の書類の山に手を伸ばすのだった……
なお、その頃。妙神山では
「よいしょ、よいしょっと!!忙しくなりますね」
2週間と言う長期修行。しかも知り合いが来ると言う事で小竜姫は何時も以上に張り切って掃除をし、布団を干して迎え入れる準備をし
「やはり横島と出会わせなければ、変動せんと見た!」
いつまでも倍率が変動中の自分の弟子の名前を見て、横島の強さを見せなければ、変化しないと言って、妙に修行にやる気になり
「お前の大好きな、横島殿が修行に来るそうじゃ」
「うっきゅー!きゅきゅー♪♪」
モグラちゃんは横島が修行に来ると聞いておおはしゃぎ、そしてロンはそんな孫を見て微笑ましそうに笑いながら
「生きてるかの?」
「「……ぎ、ギリギリ……」」
モグラちゃんのサンドバック状態の鬼門達にそう声を掛けているのだった。妙神山は間違いなく修行場だった、だがその出迎える雰囲気は友人を迎え入れる田舎の家という状態だった。
「ふふふふふ、これは良い事を聞きましたわ!」
そしてどこから聞きつけたのか、清姫もにたぁっと笑っていたりするのだった……
私の報告を聞いたルイ様の眉が小さく上がる。これはお怒りかもしれないと思い、姿勢を正し
「申し訳ありません。全て私のミスです」
横島を監視していた男を見つけたと言うのに、乱入者によって取り逃がした。これは紛れもなく私のミス、しかも許されないレベルのミスだ
「いや、ベルゼブル。君は良くやってくれたよ、短時間で見つけ、そして危険と判断し排除しようとした。それだけの脅威を感じたと言う事だろう」
神魔相手では、あの男は脅威と足り得ない。だが人間相手とすれば、あの男は危険だ。肩を組み、笑いながら人を殺せるような男だ。だから排除しようとした
「君の邪魔をした者って言うのが気になってね。本当に横島に似ていたのかい?」
「はい、私もそれ故に困惑し、一手行動が遅れました」
横島が変身する奇妙な姿。それに非常に良く似ていた、だから私は一瞬硬直し、一手行動が遅れた。ただの襲撃者ならば困惑こそすれど、行動する事が出来た。だが横島と似ていたから硬直してしまったのだ
「どっちに似ていたかな?」
ルイ様が差し出した写真。それは横島の変身した姿が記録されていた、ヒャクメの仕事か?と思いながらその写真を見つめる。そして私は10枚の写真から1枚を抜き出した
「これに良く似ておりました」
篭手と黒いコートのようなパーカーを身に付けた姿。違う点とすればそれは色だな
「この姿は黒を基調にしていましたが、襲撃者は鮮やかな緑色のラインが入っていましたし、色は濃い青とシルバーのワンポイントがありました」
こうしてみると全く違うのだが、あの時は奇襲だったから困惑してしまった
「ふむ。となると横島でもなく、陰念でもない。ベルゼブル、君はどう見る?」
にやにや笑う顔を見れば判っている。ルイ様はこれがどの陣営の物か理解している、そしてその上で私に問いかけている
「アスモデウス陣営と断言します」
「だろうね、あの研究馬鹿が何時までも自分が遅れをとった物を再現しようとしない訳が無い。むしろ横島の物よりも強くなっているだろうね」
あれは間違いなく、ガープ作だと言える。どこか機械的な印象を受けたのでそれは間違いない、ただ1つ気がかりなのが
「この相手からは神通力と魔力を感じました」
「……ふむ。それは少し嫌な感じだな」
神通力と魔力。それは相反する力であり、それを持つ者は極めて少ない。ルイ様もその数少ない1人だ
「暫くの間横島達は妙神山に居るそうだ。その間に東京を調べてみてくれ」
「はい。判りました」
妙神山ならば東京に居るよりも遥かに安全だ。横島が東京にいないうちにあの謎の襲撃者の手掛かりを少しでも掴みたい、私はルイ様への報告を終えて東京に戻ったのだが、東京から感じる魔力が増えている。しかも桁違いに……その魔力が知り合いの物で更に泣きたくなった
「何をしてるんだ、ゴモリー、ダンタリアン」
何故東京に来る。もっと他の場所があっただろうに……私はもう手放せなくなっている胃薬を口に含み、ペットボトルの水で流し込んで、あの謎の襲撃者の手掛かりを求めて行動を始めるのだった……
「どうだった?。レブナントの初戦闘は?」
セーレに面倒を見させていたレブナントの初戦闘の結果を尋ねるガープ
「初戦闘って言うか、奇襲で終わっただけどね」
「ふむ。戦闘には発展しなかったのか?」
「いや、なんか首を傾げて、居なくなった。追いかけるのが大変だったよ」
セーレの話を聞いて、調整不足かと呟くガープ。その視線の先には培養液の中に浮かぶ人影があった
「後なんか、鯛焼きとか言うのを食ってたけどさ、僕の話を聞かないんだよあいつ」
「まだ調整段階だからな。致し方あるまい、やはり人格に問題ありか、すぐに実戦投入とは行かないな」
ごぽんと泡立つ培養液を見つめ、ガープは小さく笑い。セーレの方を向き
「暫く私は動くつもりが無い。アスモデウスにも少し進軍を控えろ伝えておいてくれ」
控えろも何も、ルシファーの攻撃で軍隊が壊滅してるよと唇を尖らせたセーレはそのままガープの研究室を後にした。残されたガープは同じく培養液に沈んでいる幾つ物眼魂を見つめてにやりと笑う
「いつまで逆らえるか実に見物だ」
真紅の培養液。それは固形化される前の狂神石。神魔を狂わせるその液体の中で眼魂は淡い光を放っていたが、1つ、また1つと光を失い、狂神石の中へと沈んでいくのだった……
リポート23 妙神山 その1へ続く
やや不穏な伏線と、柩に苦労人が付与されました。横島とゴモリーが出会うのはもう少し先ですが、出会った時にどうなるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い