GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
その1
リポート23 妙神山 その1
~美神視点~
ガタンゴトンと電車の揺れる音が響く、あんまり馴染みの無い音のはずなのにやけに気分が落ち着くのは何故だろうか?本能的に好きなのだろうかと思う。
「俺むっちゃ浮いてると思うんですけど、そこはどう思います?」
「気のせいよ」
横島君の問いかけを一言でバッサリと切り捨てる。私、蛍ちゃん、シロ、タマモ、沖田ちゃん、ノッブ、シズク、牛若丸、おキヌちゃんにそして横島君。女性9に対して、男性1、これは目立っても仕方ないし、愛嬌のある顔という感じの横島君が浮くのは仕方ないのだ。
【ノーブウー】
「え、ああ。みかん?今剥いてやろうな」
横島君の膝の上でノブノブ鳴いているチビノブも目立っている理由だと理解してくれれば、もう少しおどおどしているのが治ると思うんだけど、多分横島君が気付くことは無いと思う。
「しかし、GS免許って便利ですね」
「まぁね。持っていると結構便利よ?」
でもその便利さを利用して、偽造して、GSだろって言われて霊能も無いのに、除霊に挑戦して死亡するという事件が1時期多発したので、今は顔写真入りになって、身分証明書も兼ねるようになったけど、昔は本当に悪用された時期もあった。
「俺、正直チビ達は鞄じゃないと駄目だと思ってました」
膝の上のチビノブとチビにみかんを与えている横島君。確かに電車なので普通は動物を乗せる事は出来ない、けれども
「横島君の場合。妖使いとして登録されてるから、動物じゃなくて除霊道具扱いに出来るのよね」
GS免許にはそれぞれ専門としている除霊の種類が記録されている。私の場合は「道具使い」であり、くえすだと「魔法使い」、唐巣先生だと「体術(特)」と言う感じにある程度の分類分けがされている。ブラドー島に行った時はGS免許が無かったので、貨物室となったが。GS免許を取った今は霊具扱いで持ち込めるのだと説明すると横島君と蛍ちゃんは自分の財布からGS免許を取り出す
「あ、本当だ。私も道具使いになってる」
「……俺、妖使い、特殊霊術、符術とかなんか物凄い事になっている」
「あ。本当だ」
【横島さんは色々出来ますからねー】
横島君って多才すぎるから、琉璃も頭を悩ませていたのよね。まぁ、GS免許のそんな細かいところを見る人はいないのでそこまで気にする事は無いけど
(やっぱり人来ないわね)
現代風の服に身を包んでいるノッブや、牛若丸に沖田ちゃんだけど、ばっちり人魂が近くに浮いているし、何よりもふわふわ浮いているおキヌちゃんを見れば、誰もこっちの車両に来ないのは当然だ
「……しかし電車で移動するのは長いな」
シズクがやや不機嫌そうに言うが、そればっかりは我慢して貰わなければならない。神魔の協力で移動したとなるといらない疑いをかけられるし、今回の修行の件だって、叩かれれば西条さんにも琉璃にも迷惑を掛けかねない。集団で行動して目立つくらいならまだいい、だがそれ以外で目立つのは非常によろしく無い案件なのだ
【あ、駅弁くれー】
【私もお願いします】
そう、普通に行動してくれることが何よりも良いのだ。幽霊が駅弁を食べるなんて誰も想像がつかないだろうから
「種類はいいから、駅弁を9個頂戴」
妙神山につくまでは遠足気分でも良いだろう。妙神山では修行漬けの2週間になるのだろうから
「……ていっ」
【ああ、横島さん。ありがとうございます】
横島君が駅弁の蓋を開けて、箸を刺して手を合わせる。おキヌちゃんへのお供え物で、こうすると味が判ると言っていたけど、目の前で見ると結構引くわね
「……鮭弁か。悪くない」
「私は焼肉ね」
種類に拘らず頼んだので、何が出るのか判らないが、それはそれで面白いわねと思いながら、私達は少し遅めの朝食とした。始発で出発したからおにぎりで済ませたから、お腹が空いたのよね。これから登山する前にしっかり食べておこうと思った
「あ、すいません。バナナ5つください」
「はいよー。お兄さん、バナナ好きなのかい?」
妙神山に向かう前の最後に買い足す物を買い足していると、横島君が実費でバナナを大量に買い込んでいた
「……ちなみになんでバナナ?」
「いや、チビもうりぼーも果物好きだし、モグラちゃんもバナナ好きですし、それに登山するじゃないですか、甘い物はあったほうがいいかなって」
横島君の言葉にそれもそうねと思い、私は更にチョコレートを注文する事にするのだった……
~横島視点~
前も登った妙神山。以前と違う事があるとすれば、俺がGS免許を取り、そしてやってきた面子が倍近く多くなっていると言う事だろう
「ぷぎゅう♪」
山を見てうりぼーが尻尾を振りまくる。緋鞠さん達がいた山を離れて久しい大自然に興奮している様子だ
【これは良い。なんと良い山なのでしょうか、胸が躍りますね】
何故か牛若丸も興奮しているが、あんまり気にしないようにする
「それで前と同じでキャンプするんですか?」
前は途中でキャンプしましたけど、今回はどういうスケジュールで行くんですか?と尋ねる。背負いきれない荷物などは分身して増えた
うりぼーに括り付けてある。結構な重量のはずだが、尻尾を振りながらついてくるので案外平気そうだ
「ある程度進んだらうりぼーに乗って行くわ。2週間の修行スケジュールも向こうも組んでくれてるだろうから」
美神さんは腕時計を見る、暫く考え込む素振りを見せてから
「今9時30分だから、15時過ぎくらいに到着するスケジュールで行きましょう」
1時間は普通に登山をして、その後はうりぼーで一気に登ると美神さんが言うと、シロが手を上げて
「はい!はーい!狼になって走るのはありでござるか!?」
「……そこはシロとかタマモの好きにしてくれたらいいわ」
なんで私まで走る前提なのよと文句を言うタマモ。運動は嫌いじゃないらしいけど、シロと同じ扱いは不満らしい
【私最後まで登れますかね?】
【コフるなよ?】
持病を抱えている沖田ちゃんがやや不安だが、最悪うりぼーに乗って貰えばいいだろうと思い、俺達は妙神山を登り始めるのだった
【ああ、なんと楽しいのでしょうか!】
「本当でござるなあ!」
山に入った瞬間、猿のように木の枝にしがみ付き、その上をぴょんぴょん跳ねながら、高速で移動するシロと牛若丸
「……野人め」
「いや、そんなことを言ったら可哀想だと思うけど」
元々山暮らしらしいし、山の中でテンションが上がっているだけだと思う。暫くすれば落ち着くだろう
【やっぱり妙神山の近くですから、空気が綺麗ですね】
おキヌちゃんも鼻歌交じりでご機嫌と言う感じで俺達の頭上を飛んでいるし、うりぼーとチビもめちゃくちゃ元気だ
「ぷぎゅぷぎゅ!!」
「みむー♪」
余り遠くまでは行かないが、それでも楽しそうに山の中を走っている
「はぁー子供は元気ねえ」
なんかタマモが年寄り臭い事を言うが、基本的に街の方が好きというタマモは2週間の妙神山暮らしに少し不満を持っているようだ
「もう少ししたら、うりぼーに乗って移動するからね」
美神さんの言葉に判りましたーと返事を返し、汗を流しながら山道を登る。シズクは足を動かさず、水を使ってスーっと登って行き、ノッブちゃんは普通に登山を楽しみ、先ほど1度吐血した沖田ちゃんは杖を突いて、もう少し登ると頑張っている
【のーぶのぶー♪】
「チビノブも元気だなあ」
俺の横から離れず、木の枝をぶんぶん振り回しているチビノブ。楽しそうでなによりだ、表情の良く判らない顔も楽しそうに見えてくるから不思議だ
「美神さん、蛍大丈夫?」
ちょっとペースの遅れてきた2人に大丈夫?と尋ねる。前は俺が着いて行くのがやっとだったのに、今は俺の方が先行している
「大分横島君が鍛えられてるって事よ。なんだかんだ言っても女だからね、私も」
「ふう……基本的な筋力とか脚力には差が出てきても当然よ」
毎日健康的な食事をして、運動しているから、ゆっくりだけど差が出てきてるといわれて、そんな馬鹿なと思ったのだが
【普通の人間は人狼のダッシュには追いつけないからな?】
【競争して勝てるだけ、横島さんが凄いんですよ?】
心眼とおキヌちゃんに言われたが、俺は違うと思うんだけどなあと思いながら、山道を登るのだった
【あ、横島!鹿!鹿見つけたぞ!撃つか!】
「止めとこう?神様の山だから勝手に殺したりするのは不味いと思う」
もし何かを捕まえたり、採ったりするなら1度小竜姫様に聞いてからにしようと言うと、ノッブちゃんは火縄銃を降ろして
【良く肥えて旨そうじゃったんだがなあ】
戦国時代の武将との認識の違いかなと思った。俺には肥えて旨そうと言うよりも、円らな瞳が可愛いと思ったんだけどなぁ
【んごふっ!ぜー……ぜー!も、もう無理です!】
登山を始めて1時間と20分。良く頑張っていた沖田ちゃんのギブアップの叫び声に、美神さんはタオルで額の汗を拭い
「ここまでくれば見られても心配ないわね。横島君。お願いしてくれるかしら?」
「判りました。うりぼー!」
俺が呼ぶとダッシュで駆け寄ってくるうりぼーの頭を撫でながら
「人数分に分身してくれる?その後皆を乗せて、山を登って欲しいんだけど大丈夫か?」
俺の問いかけにうりぼーは元気良く返事を返し、そのまま分身し大きくなって地面に伏せる。ただバンダナ付きの本体は俺から離れなかったが……木の枝を利用して高速で移動しているシロと牛若丸を除いた全員はうりぼーに乗り、妙神山を登り始めたのだが
「「「「ぷぎぎー♪」」」」
縦横無尽に跳ねて、飛んで、曲がって、加速するうりぼーは下手なジェットコースターよりも激しくて、1度休憩に立ち止まった時。俺、蛍、美神さんが手足を付いて蹲り
「は、吐く……やばい。これは駄目」
「で、ですねえ……ちょっと……うっ……」
「俺もやばい……」
【ノブ?】
駅弁をリバースしかけたのは言うまでも無く、俺の背中を撫でてくれているチブノブに小さくありがとうと呟いた……なおノッブちゃんとシズクは平気そうで
【……】
たださえ青白い顔を更に白くさせて、瀕死状態になっている沖田ちゃんとの温度差が凄まじかった……
~蛍視点~
うりぼーに揺られながら山を登ること1時間。やっと遠目に妙神山を確認出来た。ここまで来れば歩いて行っても大丈夫だと判断して、うりぼーから降りる
【馬みたいで楽しかったです】
「……もう少し仲良くならないと、乗りこなすのは難しそうです」
木が見えなくなって来たら、牛若丸とシロもうりぼーの分身に乗って移動してきたけど、やっぱり昔の人からすると、うりぼーも馬って言う認識なのかもしれない
「ふふ、私はうりぼーとも仲良しだもんね」
「ぷぎゅー♪」
どうもタマモはうりぼーと仲良しらしいので、安全運転だったらしい。その話を聞いていた横島はうりぼーの顔の前にしゃがみ
「めちゃくちゃ凄い走りだったけど、もしかして俺の事嫌い?」
「ぷぎーぷぴぎー」
首をぶんぶんと左右に振るうるぼー。そのしぐさを見ていて判った
「大好きだから、一緒に走るのが楽しかったんじゃない?」
【あ。そうかもしれないですね】
ぴぎーっと大きな声で鳴くうりぼー。どうも、横島を背中に乗せて走るのが楽しくてしかた無かったらしい
「ふう、とりあえずまずは妙神山に行って。小竜姫様に挨拶するわよ」
行きましょうと言って先を歩く美神さんの後を歩く。妙神山での2度目の修行、それでどこまで自分の力が伸びるのか、横島にだけ負担を掛けなくてすまないようになれば良いんだけど
【所で横島君。妙神山ってどんなところなんです?】
【修行場とは聞いておるけどな】
妙神山が初めての沖田さんとノッブが横島に問いかける。横島はいつの間にか狐に変化していたタマモを胸元に抱き抱え
「小竜姫様って言う竜の神様が居る場所で、霊能者のスキルUPをする所かな?」
ふわりとした説明だけど、言いたい事はそう間違っていないと思う
【幽霊にも効果があるのでしょうか?】
「あるんじゃないかな?多分」
牛若丸達がパワーアップするかは良く判らないが、霊力とは魂の力なので多分パワーアップはすると思う
【むう?なんだろうな、妙な気配がする】
妙な気配と聞いて思わず身構え、次のシズクの言葉で全力で身構えた
「……妙な気配じゃない、これはあのストーカーの気配だ」
……え?居るの清姫?思わず横島とおキヌさんと一緒に周囲を見るが、それらしい姿は無い
「清姫?誰でござるか?」
清姫の事を知らないシロが羨ましい、あのインパクトのある竜族は間違いなく、1度見れば忘れることなど出来ないだろうから
【横島さんのストーカーをしている竜族のお姫様です】
「それはお姫様として良いんでござるか?」
お姫様としては駄目だと思うなあと呟く横島。どこかの影から清姫が出てくるかもしれないのでやや警戒しながら、妙神山の門まで向かう
「うっきゅー♪」
「モグラちゃんー!」
後もう少しと言う所で勢い良く扉が開き、弾丸のような勢いで横島に突っ込んでいくモグラちゃん。横島もモグラちゃんを抱きしめてくるくる回り始める
「モグラちゃん。元気?」
「うきゅーうきゅー♪」
横島に頭を摺り寄せているモグラちゃんを見ていると、門から小竜姫様も姿を見せる
「お久しぶりです。今回はよろしくお願いします」
「ちょっと迷惑を掛けるかもしれないけど、よろしくね」
ノッブ達も居るので、間違いなく騒がしくなり、迷惑を掛ける事になるかもしれないので先に謝る美神さん。それに対して小竜姫様は柔らかく微笑み
「お待ちしておりました。美神さん、蛍さん、今回は私の師匠も修行に協力してくれるそうですよ」
小竜姫様のお師匠様って確か……物凄く嫌な予感がした。だって小竜姫様のお師匠様ってハヌマンだから、しかも間違いなく逆行の記憶があるに違いない人物だからだ
「……久しぶりと言うべきなんだろうな」
「ええ。どうもお久しぶりです、シズクさん。もうあちこちの竜を襲ったりしてないですよね?」
小竜姫様の言葉に、横島に迷惑を掛けるからとシズクは言うが、横島に迷惑を掛けなければ襲っているのかな?と少しだけ考えてしまった
【私は修行は出来ないので、お料理とかお掃除のお手伝いをしますね】
「ありがとうございます。おキヌさん、人数が多くなるので少し不安だったんです。手伝って貰えるならとても助かります」
おキヌさんは修行じゃなくて付き添いだしね。適材適所という奴だと思う
「うきゅう?」
「新しいファミリーのうりぼー、そしてチビノブだ」
「ぷぎー♪」
【ノブー!】
「うきゅきゅー♪」
「みみーむ♪」
横島はうりぼーとチビノブをモグラちゃんに紹介するのを見ながら、私達も新しい面子の紹介をする
「この子が織田信長、こっちが牛若丸、それでこの子が沖田総司」
【よろしくなのじゃー】
【よろしくお願いします】
【よ、よろし……こふっ】
なんで自己紹介の間に吐血するかな?小竜姫様は苦笑いを浮かべながら
「はい、初めまして小竜姫と言います。英霊の皆さんもここで修行すれば、より強くなれると思いますよ」
「拙者、犬塚シロでござる!」
「はい、シロちゃんですね。よろしくお願いしますね」
全員の自己紹介を終えた頃合でモグラちゃん達と一緒に私達の方に来る
「小竜姫様。今回はよろしくお願いします」
「ぷぎゅー♪」
「みみーむ♪」
【ノッブー♪】
横島と横島の周りのマスコット軍団に圧倒される小竜姫様だったが、穏やかに笑い
「はい、今回は横島さんも修行を頑張りましょうね」
「うっす!」
小竜姫様の言葉に気合の入った声で横島が返事を返したその時
「気合が入っていていいの、今回の修行希望者は」
「前も来ていたぞ?お前が遊んでいるうちに」
ロンさんとその隣の服を着た猿……間違いないハヌマンだ。私が思わず身構え、そして美神さんがその笑い顔を引き攣らせる中。横島は肩に下げていた鞄から何かを取り出す
「よろしくお願いします。あの、これ宜しかったらどうぞ」
頭を下げながらバナナ1房をハヌマンに差し出した。一瞬私も美神さんも、そして小竜姫様も顔が引き攣ったのだが
「ほほう。これは良さそうなバナナじゃ」
「ほっほ、横島殿お土産感謝するよ」
皮を剥いていきなりバナナを頬張るハヌマンとロンさんに、私達の目から光が消えたのは言うまでも無い……
リポート23 妙神山 その2へ続く
今回は短めでした、次回からは修行編前の準備段階の話になります。バナナから入る交渉術を披露した横島への突っ込みとかも書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い