GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
別件リポート 星の三蔵ちゃん、白竜寺を再建する その2
横島達が慰安旅行を行っている頃。白竜寺の陰念はと言うと
「はいはい、集中が乱れてるわよ。私が霊力を回して上げてるうちに霊力の循環方法を思い出しなさい」
三蔵をその背中に乗せ、滝の様な汗を流しながら片手で腕立て伏せをしていた……
(ぐっぐう……判っている。判っている筈なんだ)
霊力の循環の方法はこれでもかと訓練した。だから出来る、出来る筈なんだ……今俺の身体はお師匠様が触れている事によって霊力を供給されこうして動く事が出来ている。お師匠様が言うにはチャクラの経路の修復は7割終わったと……後は俺の意志で霊力を手足に供給することで、修復したチャクラの経路をより強固にしていくのだと
(ぐっくくっ……駄目だ……)
徐々に手足に力が入らなくなって来る。今までと同じ方法で霊力を手足に流そうするが、途中で何かに詰まったかの様な感覚がして、手足に力が回って行かない。それでも歯を食いしばり、霊力を通そうと努力していたが、限界が来てしまった……
「うっぐう……」
俺はお師匠様を背中に乗せたままその場に倒れた。お師匠様の重さがダイレクトに来てめちゃくちゃ痛い、意識はハッキリしているのに手足が動かない……お師匠様の重さの問題ではなく、俺の身体の問題だと直ぐに判った
「あいたたた……」
尻を摩りながら立ち上がったお師匠様は動けない俺を見て
「うーん。まだちょっと早かったかな……でも霊力を通さないと錆付いちゃうし……」
どうでもいいけど、もう少し離れてくれないかな……俺の顔の近くで立っているので、見上げる形になっているのだがその際に法衣のしたからでも自己主張している胸にどうしても視線が向いてしまう
「良し、ちょっと痛いけど我慢してね」
(頼むから離れてくれ!)
今度はしゃがみ込んで来たのだが、そうなると今度は白い太ももが目の前に来る。女性をこんなに近くで見たことが無いので激しい動悸を感じていると
「あっがああああ!?」
背中に当てられた手から電流が走ったような痛みが走り、その痛みに耐えかねて絶叫すると、俺の叫び声を聞いたのか東條や雪之丞が走ってくる
「ママお師匠様!?なにやってるんだ!?」
だからよ。雪之丞。お師匠様の前になんでママをつけるんだよ……いい加減にしろよこのマザコンやろう……
「お師匠様!?陰念先輩に何してるんですか!?」
雪之丞と東條にそう尋ねられたお師匠様は真剣な顔をして、俺の背中に手を当てたまま
「チャクラの経路の修復は終わってるのよ。でも霊力が循環しない、その理由を知りたいのよ。ちょっと黙ってて」
その声はいつもと同じ明るい物だが、妙に迫力があった。雪之丞と東條は何も言えず、心配そうに俺を見つめていた
「なるほどね……雪之丞、修二。陰念を運んでくれる?とりあえずあたしの部屋で良いから」
そう行って歩いていくお師匠様と入れ違いで雪之丞と修二が近寄ってきて
「うっし、行くぞ」
「すいません。こんな運び方しか出来なくて」
雪之丞に腕を、修二に足を抱え込まれ、俺はお師匠様の部屋へと運ばれていくのだった……
おかしいと思っていた。陰念は霊能の才覚に長けた少年だ、幾らあたしの補助があってもあれだけ短時間でチャクラの経路を回復させることは通常は不可能だ。それを成し遂げたのは単純に彼の才能だろう
(おかしい、本当におかしい)
あたしの霊力を陰念に与える事で、霊力の使い方を思い出させるつもりだった……だがあの時陰念に触れた時。あたしは思わず首を傾げたのだ
(霊力が全然譲渡されてない)
あたしは少しでも陰念が霊力を使えるようになればと思い、かなり多くの霊力を譲渡した。数字で言えば100だ。だけど陰念の身体にはたった10ほどしか霊力が譲渡されていない、幾らあたしの霊力を起爆剤として陰念の霊力を覚醒させようとしても元が余りに弱すぎた。これでは霊力の覚醒など促せるわけが無い
(どうなってるのよ……)
あたしが与えた霊力はどこへ消えてしまったのか?見た所陰念の身体には何の異常も無い、では何故あたしの霊力は消えてしまったのか?それがどうしても腑に落ちない
「お師匠様……俺はやっぱり、霊能者として再起は出来ないのか?」
腕で目を押さえて尋ねて来る陰念は震えていてあたしは言葉に詰まった。陰念は良く頑張ってきた、あたしの厳しい修行にも耐え、並の人間なら血反吐を吐いても不思議ではないチャクラの修復にも耐えた。今回ので霊能者として復帰出来るのだと言う光を見せようと思った……だが結果は最悪の結果で終わってしまった。
(考えて、考えるのよ)
どうして陰念に与えたはずの霊力が消えてしまったのか?その答えが出れば陰念の霊力が回復しない理由が判って来るはず……天界で見た小竜姫の報告書の内容を必死に思い出す……確か……そう!そうよ
「陰念。1つ聞くわ、貴方は魔装術の契約を複数行ったと言ったわね?何人と契約したの?」
複数の魔族と契約し魔装術を操る。それは本来不可能なはずだ、契約する悪魔は1人。出なければただでさえ魂に過負荷を掛ける魔装術。あっと言う間に魂を喰われて死んでしまう。だが陰念はそれを成し遂げた、ヒントはそこにあるはずだ
「……確か……そうだ……2人……か?紅い炎は覚えている」
紅い炎……それはアスモデウスの得意とする炎。だがそれだけでは無い筈だ
「よく思い出して、他にも何かあるはずよ」
竜の首と紅い炎。そして4つ腕……それらは間違いなく異なる魔族の特徴のはずだ、だから思い出してと言うと
「そうだ……何かの刃物の金属片と暗褐色の篭手……それが目の前に置かれた」
刃物と暗褐色の篭手?思い出してくれたのはありがたいが、それだけでは情報が足りない
「何か言ってなかった?どんな些細なことでも良いから思い出して」
「……思い出す事に意味はあるのか?俺は……「決め付けないで!貴方は霊能者として復帰出来る!あたしがそう保障する!だから諦めるな!」
言葉の中に含まれていた諦観の念を感じとり、陰念に怒鳴ると陰念はすいませんと謝ってから必死に何かを思い出そうとし
「そうだ……失われた同胞って」
「失われた同胞?」
それって他のソロモン72柱の事よね……確か72の内、半分ほどは消滅し復活を待っていると聞くが、何かの金属片・暗褐色の篭手・4つ腕だけでは情報が少なすぎる
(考えられるのはその失われた同胞とやらに陰念の霊力が流れている可能性)
まだ完全に契約が断たれていない。だから陰念の霊力が回復しない、その可能性が極めて高い
(となるとまだ霊力を使わせるのは無理ね)
幾ら霊力を譲渡しても別の相手に流れていくのでは、陰念の霊力が回復するとは思えない。となると手足のリハビリとチャクラの経路の回復を万全とする……今打てる手はこれしかない
「長くて辛いリハビリになると思うけど、あたしを最後まで信じることが出来る?」
きっと結果が出るのは相当先になるだろう。それまであたしを信じる事が出来る?と尋ねると陰念はあたしに即答した
「俺はお師匠様を最後まで信じる」
あたしはおっちょこちょいでドジもやる。それでもあたしを最後まで信じると言ってくれるのならば、あたしはその信頼に応えようと思う。
(慕ってくれる弟子には応えないと)
それがお師匠と呼びなさいと言ったあたしの責任なのだから……
「とりあえず今日・明日は療養してて、あたしは少し知りたい事があるから白竜寺を出るわ。明々後日までには戻るから」
まずは陰念から聞いた情報に該当するソロモンについて調べる。そして次に日本よりも遥かに霊脈が強い場所を見つける、このままでは陰念の霊力は今なお契約している何者かに吸い尽くされ、回復する目処が立たなくなるからだ。だから日本よりも霊力の密度の高い所で療養させる必要がある
「判りました。お師匠様……お気をつけて」
まだ師匠と呼ばれるほどの事をしていないのに、師匠と呼んでくれる陰念にありがとう、行って来るわと返事を返し、そのまま本堂で読経している雪之丞達に暫く白竜寺を後にすると伝え、私は人間界を後にするのだった……
な、なんだったんだ……?急に白竜寺を出て行ったままお師匠様の背中を見て困惑していると、弟弟子が伊達先輩にお客さんですと言って案内してきたのは
「伊達雪之丞君。私と取引しないかしら?」
神代琉璃……GS協会会長が不敵な笑みを浮かべて俺を見つめていた
「取引だと?」
「ええ、取引よ。貴方に仮GS免許を交付しましょう、その代わりに一仕事して欲しいの……判っていると思うけど……命の保証はしない。寧ろ死ぬ可能性が高いわね、断ってくれても構わないわよ」
死ぬ確率が高いと聞いて、弟弟子や修二達が立ち上がろうとするが、それを手で制し
「違法じゃないのか?俺は霊犯罪のA級に該当するはずだ」
魔族に操られていたという恩情で刑務所には収容されていないが、それでも俺は記録上は犯罪者だ。そんな俺に仮GS免許を交付する、そんな叩かれると判っている事を何故する?と尋ねると
「戦力が足りない。ソロモンのガープ一派はまだ動いている。それに対して人間陣営はGS免許を返納した臆病者ばかり……それなら犯罪者だろうと、有益な人間を使う。それが上に立つ人間のやる事よ」
毒さえも飲み干すってか……だが今の俺は弟弟子を守るという仕事が……
「それとも貴方は横島君と決着も付けずに彼に死なれてもいいの?」
その言葉に胸がざわつく。俺はあいつに負けた、次は勝つと決めママお師匠様に師事している。なのに奴が死ぬとはどういうことだ
「ガープを殴ったのよ?どう考えたって狙われるでしょう?そうじゃなくてもガープは横島君を連れ去ろうとしていた。狙われる可能性も殺される可能性も高いに決まっているでしょう?」
……それはそうだ……そんなこと考えれば馬鹿でも判る。それはつまり勝ち逃げされると言うことだ。当然ながら、そんな事を認める訳にはいかない
「伊達先輩。でも断るべきだと」
死ぬ可能性が高いと聞いて断るべきだと進言する弟弟子。確かにそれは正しい選択だろう……だが
「良いぜ、利用されてやる。俺はどうすれば良い?」
俺はあいつを終生のライバルと決めた。だから死なれたら困るんだよ、あいつが居れば俺はもっと高みに行けると判っているから
「OK!良い返事ね。近い内に迎えが来るわ、その時に詳しく聞いて。私は正直干渉できない立場にあるわ。でも……これだけは言える。これは神魔からの依頼で、貴方を名指ししているわ。もし成功すれば、貴方の罪も、白竜寺の責任も全て帳消しに出来るかもしれないわ」
そいつはありがたい事だな……だがそれはあまりに分の悪い賭け。賭け金は俺の命か……だがまぁ悪くねぇ。それに神魔の後ろ盾を得れれば、それこそ本当に白竜寺を無罪に出来るのならば、そんな賭けにも乗る価値が出てくる
(臆病者どもが)
俺達の責任問題ばかりを追及しようとする、GS免許を返納した者や、TVにはうんざりしていた。ならばそれを帳消しにするチャンスを手放すわけには行かない
「じゃあ頑張ってね。それと……こんな形でしか、救いの手を伸ばせない私を憎んでくれてもいいわ」
そう言って白竜寺を後にする会長。だが正直言えば憎もうなんて思っていない、俺達を切り捨てる事がきっとGS協会にとっての最善。それでも俺達を救おうと尽力してくれた人間をどうして憎む事が出来ると言うのだ?俺はこの仕事をやり遂げる、だからその為には仕事までにやらなければならないことがある
「今から特別訓練だ!誰でも良い!霊力の扱いを覚えろ!!」
今ここから俺が出て行くと、誰もこの山の幽霊と戦う事が出来る人間が居なくなる、いつ出発しないといけないのか判らないが、それまでに鍛えておく必要がある俺が死ぬかもしれないと聞いて、止めた方が良いという弟弟子達の声を聞いて俺は怒鳴り声を上げた
「俺を心配する前に自分達の事を考えろ!俺が無事に帰ってくる家を守り続けろ!甘えは聞かねえ!自らを鍛え続けろ!」
「「「はいっ!!!」」」
「うっし!行くぞ!着いて来い!!」
俺は白竜寺を護る為にここを出る。だから俺が出た後はお前達が白竜寺を護るんだ。だが今のこいつらは自分達も白竜寺を護る力も無い、だから俺が出発するまでにこいつらを鍛えよう。きっと出発するまでにママお師匠様が帰ってくる、その後はママお師匠様に任せて。俺は皆の為に命を賭けて神魔の依頼を達成してみせると強く誓うのだった……
リポート3 父来る その1
陰念と雪之丞をピックアップして書いてみました。弟子の為に動こうとする三蔵ちゃん、なかなか良い関係を築け始めていますね。そして次回のリポートは父来るです。これは5話くらいで書いていこうと思っています、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い