GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は前回のラストに繋がるところまでを書いて行こうと思います。のんびりほのぼので書いて行こうと思いますので、どうか今回の更新もどうかよろしくお願いします


その6

 

 

リポート23 妙神山 その6

 

~横島視点~

 

小竜姫様が山菜を取りに行くと言っていたので、モグラちゃんとチビとうりぼーが散歩したがっていると言う事もあるので、俺が行きますと言って、牛若丸を護衛にして、チビノブも交えて俺達は寝泊りしている修行場の裏手から山の中に入った。

 

「みっみーむう♪」

 

「うっきゅっきゅー♪」

 

「ぴっぐぴぎー♪」

 

【ノブノブ♪】

 

散歩が大好きなチビ達の楽しそうな鳴き声を聞きながら、出発前に小竜姫様から渡された紙を覗き込む。

 

「ここに書いている野草を探して欲しいって」

 

【お任せください!山菜取りも茸取りも昔、沢山やりましたので!】

 

弾ける笑顔の山育ちの牛若丸。ズボンとシャツ、それとジャケット姿で男装に近いが、あんまり女の子って感じのは嫌がっての選択だが、モデル体形なので、勇ましいと言うよりかは綺麗と言う印象が強い。

 

「よーし!散歩しながら一杯野草を見つけるぞー」

 

俺の声に元気良く返事を返すチビ達。楽しいなあと思いながら俺は山の中を歩き始める、手にした紙と野草を見比べる。

 

「駄目だ。判らん」

 

【落ち着いて、良く見ろ。お前なら判る筈だ】

 

心眼にこれも修行だと言われ、うーんっと唸りながら野草と睨めっこする。

 

【それそれそれ!】

 

ぽいぽいぽいっと籠の中に野草をシュートしていく牛若丸。これが経験の差かぁと思いながらジーっと見つめる。

 

「これか?」

 

【ヨモギだ。それで合っている】

 

心眼の言葉にホッとし、自分の籠に入れる前に1度チビ達に見せる事にした。

 

「これ、これを見つけるんだ。判った?」

 

「みっみ」

 

「ぴぎゅう!」

 

「うっきゅー!」

 

【ノブノブ!!】

 

ヨモギを見せると、手にとって見たり、匂いを嗅いだりして、各々の方法でヨモギを認識したのか、勇ましく鳴いて散っていく。

 

「見つけれるのかな?」

 

【動物の勘は凄いぞ?】

 

チビ達が見つけれるかなと不安に思っていたが、心眼の言葉にそれなら大丈夫かと呟き、俺は牛若丸と一緒に野草を探し始める。

 

【主殿。茸を見つけましたよ!】

 

見た感じ禍々しい茸を笑顔で掲げる牛若丸にそれ大丈夫?と尋ねる。

 

【はい!見た目はあれですが美味しい茸です!】

 

昔も食べましたと言うので大丈夫かと思い、それを籠に入れる。

 

「みみーむ!」

 

「うっきゅー!」

 

【ノブー♪】

 

チビ達もヨモギを見つけ、どんどん拾ってくる。しかしあんまり同じ種類でも困るので、本来の目的の散歩を再開する事にする。

 

「じゃあ、そろそろ散歩を続けようか」

 

散歩がメインなので、うりぼーを見つけたら散歩に戻ろうかと声を掛ける。

 

「うりぼー、うりぼー?おーい?どこだー?」

 

1匹だけ中々戻ってこないうりぼーの名を呼びながら山道を歩いていると、ぷぎゅー!と言う呼び声がしたのでそっちの方に向かうとうりぼーが木の下に頭を突っ込んで、お尻を振っていた。

 

「みむう?」

 

「うきゅ?」

 

【ノブゥ?】

 

何してるの?と言う感じでチビ達がうりぼーに駆け寄る。俺も何をしているのかな?と思い近寄ると、うりぼーが一生懸命地面を掘り返す。

 

「ぷっぎゅう!」

 

えっへんと言う感じで俺の方を見る。そこにはやや太めの茸が顔を出していた。

 

「なにそれ?」

 

【横島、それは松茸だ】

 

呆れたような心眼の言葉にマジ!?と返事を返す。松茸なんて初めて見たぜ……。

 

【そんな茸が嬉しいのですか?主殿。それならこの牛若丸も見つけれますよ!】

 

「ぷぎー!!」

 

自分の方が見つけれるとうりぼーが大きく鳴く。俺は籠を背負いなおす。

 

「楽しく散歩をしてるんだから、見つけれたらで良いよ、な?」

 

散歩に来たのであって、喧嘩しに来たんじゃ無いんだからと言うと牛若丸はしょぼんっと頭を下げた。

 

【私はただ褒めて欲しくて】

 

「ぴーぎー」

 

褒めて欲しかっただけという牛若丸と、それに同意するように鳴くうりぼー。俺は牛若丸の頭を撫でてから、うりぼーの頭を撫でる。

 

「皆凄いって、俺なんか全然見つけれて無いんだから」

 

籠に一杯の野草と茸は牛若丸達が頑張ってくれたんだからと言って笑い、喧嘩なんかしないでのんびり散歩しようと言ってやっと散歩が再開されたのだった……。

 

「ぷぎゅ♪」

 

「みみーむうー♪」

 

「うきゅーん♪」

 

【のーぶー♪】

 

【イヒッヒー】

 

開けた場所があったので、そこで荷物を降ろして、ボールで遊ぶ。人気の無い静かな森の中にチビ達の楽しそうな声が響き渡る。

 

「うきゅー♪」

 

「よしよし、偉い偉い」

 

ボールを咥えて戻ってきたモグラちゃんの頭を撫でて、ボールを受け取った時。

 

「ん?なぁ、牛若丸。何か聞こえないか?」

 

【……はい、聞こえます】

 

とても弱々しい泣き声が聞こえた、牛若丸も聞こえますと言うので、ボールをポケットの中にしまい。俺達はその声の主を探し始めた。

 

「あーあれかあ」

 

声の主は案外すぐ見つかった。やや大きめの樹の枝にしがみ付く様にして鳴いている茶色いもこもこ……猿じゃないな

 

「心眼。あれは何かな?」

 

【良く判らないな。普通の動物では無いと思うが】

 

普通の動物じゃないって事はチビ達の仲間か……どっちにせよ。あんな上で鳴いているのを見て、ほっておくわけにも行かない。

 

【主殿。私が行きましょうか?】

 

「ありがと、でも大丈夫。うりぼー、ちょっと増えて大きくなっててくれる?」

 

俺の言葉に頷きうりぼーが増えたことを確認してから、籠を下ろすと牛若丸が心配そうに言う。

 

【私が行きますよ?主殿は下で待っててくれても大丈夫です】

 

「だから良いって、折角買ったばっかりなんだから、大事にした方が良いって」

 

妙神山に来るのに動きやすい服と言って買ったんだからと言って、木の枝に手を掛けて上へと登る。

 

「く、くー……」

 

「よーし、おいでおいで」

 

木の枝にしがみ付いていた茶色いもこもこは額に宝石みたいなのがある小熊だった。ぷるぷる震えながら寄ってきた熊を脇に抱えると、みかけよりも大分軽い。それこそ、チビとか、うりぼーくらいの軽さだ。これなら落ちることは無いなと思い、ゆっくりと樹から下りて、小熊を地面に降ろす。

 

「くーん!くーん♪」

 

地面の上に足が着くと嬉しそうに鳴きながら擦り寄ってくる。額と胸に宝石みたいな輝きがあるのが良く判る。

 

「みむう!」

 

「くー!」

 

「うきゅー!」

 

「くっくーん!!」

 

「ぷぎー」

 

「く、くう?」

 

【ノブー?】

 

「……?」

 

チビ達ときゃっきゃとはしゃいでいる姿を見ていると、牛若丸が小声でどうします?と尋ねてくるので、チビ達と遊んでいる熊に視線を向ける。

 

「くう?」

 

俺の視線に気付いたのか、きょとんとした表情でこっちを見る小熊。人懐っこいし、胸の宝石見たいのは装飾品っぽく見えるから、もしかすると誰かのペットかもしれないという考えが頭を過ぎる。

 

「もしかしたら小竜姫様のペットかも知れないから連れて帰ろうと思うんだけどどう?」

 

【ま、まぁその可能性はあるな】

 

人を怖がらないし、人懐っこいし、それにここは小竜姫様が山菜を取りに来る場所と聞いていたので、もしかしたら小竜姫様のペットかもしれないと思い。俺はその小熊を抱き抱え、来た道を引き返す事にした。

 

「小竜姫様のペットだと思って連れて来たんですけど」

 

「その大変愛らしいですけれども、私のペットでは無いのですが」

 

小熊を見て、即答で違いますと言われ、俺は胸に抱えた小熊を庭に放す。

 

「くー!」

 

「みむうー!」

 

「うきゅきゅー♪」

 

「ぴぎゅう!」

 

【ノーブー】

 

きゃっきゃっと庭ではしゃぎまわるチビ達を見て、俺はにっこりと笑いながら美神さん達に助けを求める。

 

「どうすれば良いですか?」

 

「「だから拾ってくるなっていつも言ってるでしょうが!!」」

 

蛍と美神さんの怒声に俺はすみませーんっと慌てて頭を下げるのだった。

 

【松茸を取ってきたんですよ】

 

【マジで!?今日の晩飯はご馳走じゃな!】

 

【ほんとですねー、あ、早く厨房に持って行きましょう!】

 

謝っている俺をガン無視して、厨房に野草とかを運んでいくノッブちゃん達。

 

「せんせー、拙者も散歩行きたかったでござるよー」

 

「なんで誘わないわけ?」

 

風呂に入っていたので誘わなかったシロとタマモの責める様な視線といじけた声に俺は更にごめんと深く頭を下げるのだった……。

 

夕食の前に順番で風呂に入る事になり、横島がモグラちゃん達とお風呂に入っている頃、意を決した表情で部屋を抜け出る人影があった。

横島の横島のサイズを聞いた、ノッブが実際どんなものかと見に行こう抜き足で歩き出した時。

 

【やはり覗きですか、私も同行しましょう】

 

【沖田院。やっぱりムッツリか】

 

【べ、別に良いじゃないですか、それはそれ、これはこれです】

 

頬を赤らめ、風呂場に向かおうとした2人だが、その足はほんの数歩で止まった。

 

「何をするおつもりでしたか?」

 

【【逃げるんだよぉぉおおおッ!!!】】

 

「逃がしませんッ!!!」

 

鬼の表情をしている小竜姫に追い回され、神剣で2人が峰打ちを喰らった時。

 

「今何か変な声しなかったかな?」

 

「みむう?」

 

チビ達と温泉に入っていた横島は、競い合うように泳いでいるモグラちゃんとうりぼーを見つめながら、ペット用シャンプーでチビを洗っているのだった……。

 

 

 

 

~美神視点~

 

横島君を自由にさせた結果。また訳の判らないのを捕まえて来た。本人が言うには小竜姫様のペットと思ったらしい、私も縁側に腰掛けて様子を見ていると、向こうから擦り寄ってきた。

 

「くー?」

 

足元によって来て甘えるように鳴く。確かにこれだけ人懐っこい姿を見ると誰かのペットかもしれないと思う。

 

「この額と胸のも理由ですかね」

 

「多分ね」

 

額には翡翠色の宝石、胸にも同じく翡翠色の宝石。しかも金の縁取り見たいのがあるので、確かに見ようによっては装飾品を見に付けているようにも見える。

 

【美神さーん、蛍ちゃん。横島さんが一杯松茸を拾って来たので、今日は松茸ご飯と土瓶蒸しとかにしますねー】

 

壁からひょこっと顔を出したおキヌちゃんが笑いながら言う。精進料理中心なので、松茸とかが食べれるのはまあ良いかと思う。

 

「とりあえず松茸で今回のは許すとしましょうか」

 

別に名前をつけている訳でもない、小竜姫様のペットと思って拾って来たらしいので、そのまま野生に返しても大丈夫だろう。

 

「美神さん、蛍さん。今のうちに1つ伝えておきたいことがあるのですが……」

 

小竜姫様が真剣な顔をして、私達の側に座る。その表情を見て、ただ事では無いと思い私も蛍ちゃんも姿勢を正す。

 

「今日の夜ヒャクメと竜神王様が妙神山に参られます」

 

竜神王……確か天竜姫の父親で竜族の長だったわね。そんな神族が妙神山に……考えられるのは1つしかない。

 

「横島に何か?」

 

ヒャクメがしてくれたと言う私達の検査結果。それに何か問題があったのだろうか。

 

「私もそこまでは流石に判りませんが、老師を交えて、美神さんも話し合いの場に参加して貰うこととなります」

 

思い当たる節がある事と言えば、1つしか無い。マタドールが言っていた横島君が魔人に近づいていると言う言葉……それが確定になったと言う事なのだろう。

 

「私は聞かない方が良いと言うことですか?」

 

「……一応と言う事ですよ。それに美神さんと蛍さんがいなければ流石に横島さんも不信に思う筈なので、後で美神さんに聞いてください。話すかどうかは美神さんにお任せしますので」

 

お出迎えの準備があるのでと言って席を立った小竜姫様を見送り、庭を駆け回っている小熊を見る。

 

「最近ちょっと色々ありすぎてるわね」

 

「……本当ですね」

 

色々な出来事が起きているが、そのどれもが横島君を中心にしている。横島君には平安時代の陰陽師の転生者と言う可能性があるが……。

 

(それ以外に何かあるのかしら)

 

私達が知らない何かが横島君にはあるのだろうか、そして今夜の小竜姫様と孫悟空老師、そして竜神王との話し合い……蛍ちゃんに話しても問題の無い話だと良いんだけどと思っていると、横島君がお風呂から出て来た。

 

「はい、順番なー。チビからおいでー」

 

「みむう♪」

 

ドライヤーとブラシを手にチビから順番にドライヤーを掛けて、ブラシをする横島君。その姿は余りにも何時も通りで、おかしいところなんて微塵も無くて、魔人になりかけているなんて嘘としか思えなかった。

 

「せんせー、拙者もお願いするでござるよ」

 

「じゃ、私も」

 

【主殿。申し訳ないですが、私もよろしくお願いします】

 

……姿が見えないなあと思っていたら、またお風呂に入ってたタマモとシロもチビ達の列に並び、それから数分後。

 

「どうも貴女達には説教だけでは足りないようですね!!」

 

【【ちょっとした出来心で……】】

 

頭にたんこぶをつけたノッブと沖田ちゃんが小竜姫様に引きずられているのを見て、私と蛍ちゃんは揃って深く溜息を吐き。

 

「じゃーん♪ツインテール!」

 

「おおー!せんせーありがとうでござるー♪」

 

手先の器用さを存分に発揮し、シロの髪型をツインテールにし、今度はタマモの髪にクシを通しながらどんな感じに整えるかを尋ねる。

 

「どんな感じにする?」

 

「何時も通りでいいわよ」

 

了解と笑い、鼻歌交じりでタマモの髪を整えている横島君の姿になんか保護者と言う立場が板についてきたように思う。

 

(毎回思うんですけど横島の天職って保父さんとか、ブリーダーかもしれないですよね)

 

蛍ちゃんが小声でそう呟く、GSなんていうあこぎな職業でなければ、横島君の天職は確かにそっちの方だと思う。

 

「あ、清姫ちゃん。悪いんだけど、チビ達に水を出してくれるかな?お風呂に入ってたから」

 

「はい、判りました。すぐにご用意しますね」

 

うん、ありがとーと笑い。タマモの髪を何時ものナインテールに整えていく。その手並みは何時も通りというタマモの言うとおりと言うのが良く判るなあと思い。

 

「はい、どうぞ。お待たせしました

 

「みむー」

 

「ぴぐ」

 

「うきゅーん」

 

【ノッブウー♪】

 

ドライヤーと櫛で毛玉みたいになっているチビ達が美味しそうに水を飲む中。

 

「失礼するのね~」

 

「夕食時にすまんな。失礼する」

 

「よこしまー久しぶりです」

 

予定よりも早く来てしまいましたと言って、小竜姫様が青い顔で走ってくる。恐らく、横島君のお風呂を覗こうとしていた、馬鹿英霊2匹の制裁をしていたのだろうけど、なんとも間の悪いタイミングで竜神王とヒャクメに加え、天竜姫までもが妙神山を訪れた。横島君はタマモの髪を丁度梳き終えた所で、一瞬驚いた顔をした後。

 

「初めまして、横島です」

 

状況を理解していない表情のまま、竜神王にぺこりと頭を下げ、私達もそれに続くように頭を下げ、自己紹介をするのだった……。

 

 

 

~龍神王視点~

 

 

くつくつくつっと小気味良い音を立てて、小さな鍋が煮られる。中は厚くスライスされた松茸と山菜だ、他には山菜の天ぷらや、妙神山にしては珍しい魚などの姿もある。

 

「横島様ぁ!この土瓶蒸しは私が作ったのですよ」

 

「へーそうなんだ、清姫ちゃんは料理が上手なんだなぁ」

 

横島の言葉に嬉しそうに身を捩る清姫。仮にも先代様の孫娘と言う立ち位置にありながらと思うと、頭痛をどうしても覚えずにはいられない

 

「心を御すなど事は出来んよ。まぁ、飲め」

 

老師がそう笑い、徳利を差し出してくるので猪口を差し出す。横島の事について話し合う予定が、天竜も来ると言うので、夕方に到着し、そのまま夕食にご相伴となった。

 

「そろそろ食べれるかな?」

 

「……待て、もう少しだ」

 

松茸の傘は汁が溜まってそれが美味いんだと言って、横島の側で小さな七輪を覗き込んでいるシズク。

 

(いや、直に見ると驚くな)

 

シズクも清姫も横島に想いを寄せているとは聞いていた。正直話半分だったが、こうしてみると本当のことなんだなと思う。

 

「もう少し時間が掛かるのか、じゃあチビー、おいでー」

 

「みむう♪」

 

膝の上に乗ったグレムリンに林檎を与える横島。グレムリンは口を押さえて、尻尾と羽根を動かして非常に嬉しそうだ。

 

(あれは本当にグレムリンか?)

 

感じる力の波動がとてもグレムリンとは思えない。それにロン老師の孫も横島の膝の上に登り始める。

 

「うきゅー」

 

「はいはい、はいあーん」

 

「うきゅーん♪」

 

横島に甘えまくりだ。しかもそれだけではなく、莫大な神通力を宿している猪に、小さな人型の精霊も横島の側に集まっていく。人外に好かれる性質と聞いていたが、予想よりも凄まじい力だ。

 

「小竜姫が松茸を用意するなんて驚きなのね~」

 

「私が用意したんじゃないですよ?横島さんが採って来てくれたのです」

 

私が来るから用意したと思っていたのだが、まさか横島が採って来たとは……滅多に見ない、非常に大振りな松茸だからずいぶんと奮発したと思っていたのだが……そして横島は横島で自分に視線が向けられている事に気付いたのか、首を左右に振った。

 

「俺じゃないですよ?うりぼーと牛若丸が見つけてくれたんだよ」

 

「ぷぎゅう♪」

 

【頑張りました】

 

……仮にも英霊と神獣が何をしているんだと頭痛を覚えたが、まぁそれはいいだろう。本人達が納得しているのなら、私から言う事は何も無い。

 

【あー松茸ご飯うめーッ!これなら明日も採りに行こうと思うんじゃが】

 

【ですねー、松茸入りの茶碗蒸しなんて贅沢の極みですよね】

 

【私も美味しいですよ~】

 

英霊も普通にパクパク食べてるし……いや、それが悪いという訳では無い。英霊は食べた物を霊力に変換出来る、霊力などを回復させる術としては決して間違いでは無いのだが……後、約1名。松茸ご飯に箸を指してお供え物として味を実感している幽霊が普通なのだが、この状況では浮いて見えるから不思議だ。

 

「美味しいんだけどねぇ、肉食べたいわ」

 

「拙者もでござるよお……」

 

あれは九尾と人狼……か?なんでこんなにも人外で溢れているのだろうか。

 

「お肉ですか、一応ここは修行場なので肉は少し難しいですねえ」

 

「いやいや、待て。小竜姫、自給自足なら良かろう。1週間に1度、2度くらい肉も食べたかろう。自分で捕りに行くのなら構わぬのではないか?これも修行だ」

 

ロン老師の言葉に九尾と人狼の目に怪しい光が灯る。それを見て慌てて小竜姫が口を開いた。

 

「無闇な殺生は駄目ですからね!1人1匹ずつ!それ以上は駄目です」

 

九尾と人狼は狩りに特化した一族だからな。2人で1匹ずつ、これが妥協点だろうなと思いながら土瓶蒸しに箸を伸ばす。良い味だな……

 

「ずいぶん無口だけど、蛍も美神さんもどうかした?もしかしてまだ小熊を拾ってきたの怒ってる?」

 

横島が不安そうに2人に問いかける。と言うか庭にいたあの精霊……横島が拾って来たのか……なんでこんな所にと思っていた。

 

「え、ううん。美味しいわよ!これだけ松茸尽くしって言うのは贅沢だなあってね」

 

「東京じゃあこんなの食べれないからね、味わってただけよ」

 

2人の言葉に横島はそうですか?と首を傾げながら頷く、その仕草から納得していないのは明らかで、2人が食事に集中できていない理由も判っている。恐らく、あの2人は聞いているのだろう。私が妙神山に訪れた理由が横島にあると言うことを……。

 

(最高指導者、そしてルイ様が目を掛ける理由もこうして直接見に来て判ったしな……)

 

なんとも不思議な人間だ。人当たりがよく、そして明るい。ムードメーカーと言う奴だな。

 

「よこしま、あの小熊はよこしまのですか?」

 

「小竜姫様のペットかなって拾ってきたんだけど、違うみたいで、どうしようかなって考え中」

 

夕食後。天竜が横島にそう尋ねる、何か嫌な予感がした。

 

(この感じ、イームとヤームの時に似ている)

 

駄目だと言っても意見を曲げず、最終的に私が折れたあの時と同じだ。

 

「天竜「あの小熊、私が飼います」え?そう?じゃあ、小熊が着いていくって言ったら連れて行って良いよ?」

 

私が止めに入る間もなく、横島と天竜姫の間で話が決まり。天竜は草鞋をはいて庭に出ると

 

「私の所に着ませんか?小熊さん?」

 

「く?」

 

ふんふんっと天竜の匂いを嗅いでいた小熊は納得したのかくうっと元気良く返事を返す。天竜は小熊を抱きしめた。

 

「父上。お屋敷に帰ったらクマゴローの小屋を作って欲しいのです」

 

……天竜は非常に優秀だが、その何とも言えない微妙なネーミングセンスはイームとヤームと名付けられた2人の竜族でよく判って……。

 

「あ、俺もクマゴローが良いと思ってた」

 

嘘だろ!?って視線が横島に向けられる。だが横島はそれに気付かずにこやかに笑い、九尾は汗も出てないのに汗を拭うそぶりをする。

 

「私自分で名乗ってて良かったって今心底思うわ」

 

「そうでござるな」

 

もしかしたら自分も変な名前になっていたかも知れない。その現実を知ったタマモが暗い顔で呟き、シロという人狼に慰められていた。

 

「そうですよね!可愛いですよね。クマゴロー」

 

うん可愛い可愛いと笑う横島と味方を得たといわんばかりに笑う天竜。まさか天竜と似たネーミングセンスを持つ者がいるとは……想像もしなかった……。

 

「くうっ!」

 

「みむう!」

 

「うきゅーん♪」

 

「ぷぐ!」

 

【ノブノブ!】

 

小動物軍団に加わりくーくー鳴いている小熊。それはどう見ても自分の名前はクマゴローと自己紹介しているようにしか見えず。

 

「……そうか。大切に世話をするのだぞ?」

 

はいっと弾ける笑顔の天竜に私は深く深く溜息を吐いた。そしてその時美神と目が合った、そしてそれと同時に理解した。

 

((ああ、同類だ))

 

言う事を聞かない娘と、部下と言う差こそあるが、天竜と横島のやっている事は殆ど同じで私は美神に強烈なシンパシーを抱くのだった……だがシンパシーを得たからと言って、それで終わりにすることは出来ない。今日やってきた事、夕食の後の話し合いが本番なのだから……。

 

 

 

一方その頃。東京では……

 

「それでダンタリアン、ずいぶんとだんまりだがゴモリーについてきただけじゃないだろう?」

 

ダンタリアンは私の拠点の地下の図書館に篭もりきりだ。私と同じく過去・現在・未来に関係する権限を持つ魔神として、それなりに仲良くして来たつもりだ。ただその差異は本による物と、能力と言う差はあるが、基本的には同じ能力と言っても良い。

 

「まぁ私がゴモリーには甘い」

 

「それはよーっく知ってるよ」

 

老若問わず女性の愛を得る方法を知ると言うゴモリーは、その知識からか、どんな相手にも好かれる方法を知っている。同じソロモンはそれを知っているからゴモリーのあの我侭な性格から距離を取っていたのに、ダンタリアンだけはゴモリーと共にいた。

 

「だから柩と言う人間に会いたいと言うので共に人間界に来た」

 

「表向きはだろ?」

 

私の問いかけにダンタリアンはやっと読んでいた本を閉じ、ワイングラスを机の上に置いた。

 

「ビュレトを連れて来い、話はそこからだ」

 

ビュレトも同じビルにいるので念話で着てくれと言うとビュレトは不機嫌そうに、地下の図書館に現れた。

 

「相変わらず不愉快な面だ」

 

「そうかい、私もお前が嫌いだよ。感情をあらわにするなど、愚の骨頂。感情とは理性で制される物だ」

 

「ストップ!ストップ!ここで喧嘩してくれないでくれるか!?」

 

ビュレトとダンタリアンの相性はゴモリーとは間逆で最悪だ。ビュレトはダンタリアンを嫌い、そしてダンタリアンもビュレトを嫌う

 

「まぁ良かろう、ビュレト、アシュタロス。私が人間界に来た理由……それは1つだ、私の現在と未来を見る能力でも先が見えない。だからそれを見届けに来た」

 

ダンタリアンから告げられた言葉。それは余りに不吉で、そして最悪の結果を予想させる言葉だった。

 

「東京で何か起きるのか?」

 

私は能力に制限が掛かっているので、予知は出来ない。だからダンタリアンにもっと詳しくと尋ねるが、首を左右に振り、何時も彼が小脇に抱えている本が開かれた。

 

「それは……」

 

「見ての通りだ。私の予知は今使えない」

 

ダンタリアンの差し出した本は虫食いに加え、闇色に染まり何がなんだか判らない状態だった。

 

「ビュレトは自由に魔界を行き来できる。だから後はどうするかはお前とアシュタロスに任せる」

 

そう言うと本を開き、まただんまりとなる。こうなるとダンタリアンは何をしても口を開かない。

 

「俺はオーディンの所に行く」

 

「……気をつけてな」

 

ガープの事だ。人間界から魔界に行く通路は全て監視しているだろう、教われる可能性を考慮してくれと言って、ビュレトを送り出し。私も自分で出来る限りの最善の一手を打つ為に、動き出すのだった……ダンタリアンでさえも見通すことが出来ない未来。ガープがどんな一手を打って来ても対応出来るように準備を万全とするために……。

 

 

リポート23 妙神山 その7へ続く

 

 




次回は横島の異変と言うシリアスと、のんびりとした話と、修行中の話の3つの視点で書いて行こうと思います。妙神山はあと3つの予定なので、時間を飛ばすところもあると思いますが、ご了承願いします。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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