GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。第2部もそろそろ完結に向けて動いて行こうと思います。色々とやってきましたが、ここで大きく話を動かして行こうと思います。魔人復活、中世での英霊の実用実験、限定的な権限を持ったフェンリルの復活。様々な場面で暗躍してきたガープ……アスモデウス一派の本格的な進軍を描いて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


リポート24 反逆者達の進軍
その1


 

 

リポート24 反逆者達の進軍 その1

 

 

それはまさしく一瞬の出来事だった。天界、魔界、人間界の3界に同時に侵攻したアスモデウス一派、その動きはいままでの戦力を削ぐ小競り合いなどではなく、相手を叩き潰す事を目的にした電光石火の強襲であり、予想外の進軍であった。それも当然、集団ではなくアスラ、アスモデウス、ガープ、そして暗躍するセーレの4人のみ、本来なら強襲とすらも言えぬ自殺となるはずだが、力を蓄え続けた4人には部下の存在すらも邪魔であったのだ。

 

「どうしたどうした!天界正規軍!敗残者である我を打ち倒すことすら出来んのか!!!」

 

悪神アスラは天界正規軍をその巨躯と拳を持って文字通り叩き潰した。

 

「今この時より我らの反逆は始まる。敗残者と、逃亡者と侮った貴様ら自身を悔いろ」

 

アスモデウスはその憤怒の炎を持って、しかし冷静に激情に駆られる事なく魔界軍へと宣戦布告を上げる、

 

「……パチン」

 

東京では突如異形の塔が現れ、その頂上にはローブ姿の人影と、黄金の様に輝く髪と真紅の瞳を持つ少女の姿があった。

 

「やれやれ、どうして東京で宣戦布告しないの?」

 

「はっ!横島忠夫も、美神令子もいない時に宣戦布告などして何の意味がある。弱者に興味など無い」

 

だがその中でガープ、そしてセーレは東京にはいなかった。アスラは天界にいるシヴァ、ヴィシュヌの2柱に対する宣戦布告、アスモデウスはオーディン、アマイモンの2柱に向けての宣戦布告。ガープの興味の対象がいない以上、態々表舞台に立つ気はガープには無かった。根本的にガープの気質として暗躍している方が性にあっていると言えるからだ。

 

「で、大丈夫なの?東京は」

 

「ホムンクルスや魔獣に、悪魔とゾンビまで預けてある、教授がいれば問題は無い」

 

ガープの言葉にセーレは肩を竦め違うと言って、モニターを指差した。

 

「僕が言ってるのはお人形の方」

 

「ああ。問題なかろう、あれはあれでいい」

 

人形であることに意味があると笑うガープはセーレと共に人里離れた山中へ向かった。

 

「東京は陽動、本命はこっちだ」

 

「はいはい、どうせどっちが成功してもいいって事でしょ?」

 

セーレの言葉に判ってるじゃないかと笑い、ガープとセーレは山の中へと消える。アスモデウス一派の宣戦布告、そしてアスモデウス達が敗残者と言う認識はこの日を持って覆ることになるのだった……

 

 

 

~琉璃視点~

 

 

地響きと共に東京に現れた異形の塔。東京タワーよりも大きいその塔からはゾンビや顔の無い人型、そして凶暴な魔獣が多数出現した。

何かあると思っていたが、まさかこれほどの大規模な襲撃とは予想だにもしていなかった。あちこちに散らばっていた神代家の霊能者から多数寄せられる報告の数々、だがシェルターも救助物資も、そして何よりも唐巣神父もブラドー伯爵も、エミさんもそして白竜寺にも、マルタさんにも、そして三蔵法師様にも連絡はついている。

 

「東京タワー周辺の民間人の救助を最優先!唐巣神父とブラドー伯爵、それにくえすの3人を塔周辺に向かうように伝えて!塔から出てくる悪魔とかの進軍を防ぐのを優先!次に結界で可能ならば周辺の封鎖!私もすぐ現場に出る!」

 

スーツから巫女装束に着替え、霊刀を2振り腰に挿し会長室を出ようとすると査問委員達が血相を変えて飛び込んできた。

 

「あ、悪魔に幽霊それにゾンビの強襲が!早く避難場所を教えてくれ!」

 

「し、死にたくないのよ!!」

 

耳障りな怒声を上げる馬鹿達に1度だけ大きく溜息を吐いた。

 

「残念ですけど、GS協会の役員が入る避難場所なんて最初から用意してません。GS協会日本支部の職員全員は既に遺書も遺言書も用意して職務に当たっています」

 

私自身も勿論遺書も、遺言書も用意している。ガープが横島君達に目をつけている以上戦場になる事は必須、何時死んでも良い様に全員が既に覚悟を決めてこの業務についている。

 

「私は前もって神魔から齎された情報として、東京が襲撃させる可能性があると言う機密書類を渡したはずですが、見て無いのですか?」

 

私の言葉に顔を歪める海外の査問委員達。私は最悪の状況に備えて準備しろと伝えてあった、それをしなかったのは自分達だ。

 

「ガープの襲撃を嘘だ、虚言だと言っていたようですが、これが事実。日本は今、世界中のどこよりも危険な場所ですね」

 

窓の外を飛び交う悪魔達を見て、私は会長室の電話を手に取り、館内放送の番号を入力する。

 

「GS協会日本支部を最悪放棄します!今支部に残っている職員全員は緊急マニュアルAを実行するように!」

 

館内放送を流し、会長室を出ようとすると査問委員のユースウェルに肩を掴まれる。

 

「緊急マニュアルとは?」

 

「全員武器を持って民間人の救助を最優先にしろって言う指示ですよ、貴方達もGS協会の人間だ。戦えるでしょう?武器庫に案内しましょうか?」

 

私の言葉にしどろもどろになる査問委員達に私は頭に血が上った、偉そうにしている癖に自分では何も行動しようとしない。GS協会の査問委員会の者だと言っておきながら、いざ悪魔が出てくれば戦う気概も無い。

 

「偉そうなことを言っていざ危機になれば保身に走る愚か者共!死にたくなければ自分で考えて行動しろ!言っておくけど、日本支部に避難用のシェルターなんて無いからね!!」

 

GS試験、魔人復活の件で日本は戦場になると実感していた、だからこそ私は退職を勧めたがそれでも残ってくれた面子だけが今のGS協会の職員だ。

 

「会長!車の準備が出来ました!」

 

「なら行くわよ!あの塔に!!」

 

あの塔が原因で何かが起きている。神魔とも連絡が取れず、そして他の県にも連絡がつかない。恐らくあの塔を基点に結界が作られ、東京は封鎖されているのだろう。

 

「ま、待ってくれ!わ、私達はどうすれば!?」

 

「自分で考えろって言いましたよね!お偉い役員さん達なら最善が判るでしょう?」

 

散々いい加減に狂言はやめろとか言いまくってくれたんだ。私も西条さんも良く我慢してきたと思うが、こうしてガープ達の進軍があれば助けてくれ、どうすれば良いのか教えてくれ、護ってくれなんて都合が良過ぎる。私はへたり込んでいる10数人の査問委員達の首元を指差す、これ見ようがしに付けている精霊石のペンダント。その使い方くらい知っている筈だ。

 

「精霊石をそれだけ持っているんだから、全員で結界でも何でも張りながら逃げればいいでしょう?」

 

それだけ身に付けている精霊石を使って逃げればいいと言って、私は車の用意が出来たと呼びに来てくれた職員と共に駐車場へ走る。

 

「いい気味でしたね会長!私胸がスーッとしましたよ!」

 

「私も言いたい事は全部言ってやったわ」

 

女だからと私のことをずいぶんと舐めてくれていたから、あの絶望したって顔を見ると本当に胸がスカッとした。

 

「でもそんなことを言ってる場合じゃないのよね」

 

「はい!私の車で行きましょう、オープンカーなんで運転しながらじゃかじゃか撃てますよ!!」

 

……鏡原さんだっけ、この人って確かスピード狂……いやいや、死ぬ覚悟をして自分についてきてくれた職員だ、偏見とかは良くない。

 

「後、不動さんと須田さんも待ってます」

 

確か元オカルトGメン職員だったが、過激な言動と武器の乱射で解雇された人を冥華さんがスカウトして連れきたのが不動さんで、もう1人の須田は元はモグリのGSだが、精霊石の加工技術に長けたちょっとマッド系の男だ、なんでも1度六道家を単独で失脚させようとしていたテロリストでもあるが、それが面白いと冥華さんが気に入ったんだっけ?なんとも癖の強い面子だがこの場ではこの上なく頼もしい。

 

「会長急げ!悪魔がよって来てるぞ!おい!須田まだか!?」

 

「やかましい、黙ってろ竜也。すぐに済む」

 

細身だが、筋肉質で空手と重火器の扱いに長けている戦闘班のメンバーの不動竜也が、腰に鎖を巻いて、両拳にはバンテージ、背中には鎖で斧を2つ縛り付けているし、精霊石マシンガンに、換えのカートリッジに手榴弾とありったけの重火器と精霊石バズーカを両肩に担いでいる。そしてその隣で怪しい何かを作っている須田隼……集まっている面子にいろいろと言いたい事はあった。だけど、今はそれを問い詰めている場合ではない。

 

「行きましょう!」

 

今のこの状況では頼もしすぎる味方だ。鏡原さんの車に飛び乗り、私達4人はGS協会を飛び出した。

 

「世界を救うときがきたあ!!!」

 

「この腐れ悪魔共が!くたばりやがれッ!!!オラオラオラオラア!!!おい須田ぁ!爆弾よこしな!ぶっ飛ばしてやるッ!!」

 

「おう使え!!竜也!!」

 

冥華さんの紹介で職員として迎え入れたが、人選を間違えたかもしれない、私が心からそう後悔するまで時間はそう掛からないのだった……。

 

 

~美神視点~

 

明後日には東京に帰る予定で、今日は1日温泉などでのんびりとする予定だったのに、私達は起きたと同時に嫌な予感を感じていた。首筋にちりちりと来る嫌な感じだ。

 

「髪の毛が戻らない……なにこれ」

 

「うー拙者もでござる」

 

シロとタマモも髪が逆立ち、異様な気配を感じていた。シズクも目付きが鋭く、何かに警戒している様子だ。

 

(これは予定を切り上げて東京に戻るべきかもしれない)

 

疲労抜き2日の予定だったが、そんな時間は無いかもしれない……そう思っていた直後

 

「竜神王様!天界、魔界、人間界でアスモデウス一派の一斉決起が!天界はアスラで壊滅的な打撃、魔界はアスモデウスの襲撃で正規軍が大打撃、人間界では東京が封鎖されました!ご指示を!」

 

若い竜神の悲鳴にも似た叫びで私達は今何が起きているのかを理解した、ガープ達の侵攻が始まったのだと……

 

「小竜姫様!私達は東京に戻るわ!」

 

ガープ達の襲撃が起きているのに、妙神山に篭もっていること等出来る訳が無い、ここはもう決して安全な拠点とは言えないのだから、これは横島君も蛍ちゃんも同じ意見だろう。

 

「駄目です!許可出来ません!危険な場所に自ら向かうなど!」

 

しかし小竜姫様は駄目だと言って、門を封鎖してしまう。これでは妙神山から出ることが出来ない、それを見て横島君が小竜姫様に詰め寄る。

 

「何でですか!?神宮寺さんとか、琉璃さんとか危ないのに!俺達だけ隠れてることなんて出来る訳が無いでしょう!?」

 

「それは判ります!ですが、みすみす命を落とす可能性がある場所に送り出すことが師匠としてどうして出来るんですか!?」

 

横島君の怒声に負けない声で小竜姫様が怒鳴り声を上げるが、それを諌める竜神王様の静かな声が周囲に響き渡った。

 

「小竜姫、お前の気持ちは判るが止めるのは無理だ」

 

「竜神王様!?」

 

私達を止める事が出来ないと判断したのは竜神王様だった。

 

「送る事は出来る。だが戻ることは出来んぞ?それでも良いか?」

 

確認と言う感じで尋ねてくるが、私達の答えは決まっている。行く以外私達の返事はありえない、仲間が戦っているのに安全な場所でのうのうとしていられるわけが無いのだ。

 

「な、なんで!なんでですか!?」

 

「小竜姫、冷静になれ、ここは天界と魔界の中間点、つまり両方から攻められる可能性がある。この場所にいる事の方が危険じゃ」

 

老師の言葉にハッとなる小竜姫様。確かにその危険性は極めて高い、仮に安全だとしても妙神山にとどまるという選択肢は私達には無いけどね。

 

「小竜姫、同行しろ。悪いが、私達も時間が無い、今直ぐに出立して貰う。目的地はGS協会か、白竜寺どちらにする」

 

シズクがいてくれて正解だったわね。荷物は全部シズクが水の中に入れて運んでくれる、それならば何も心配することは無い。

 

「美神さん、目的地は?」

 

「GS協会よ」

 

琉璃達と合流するのが最優先。白竜寺は安全だろうが、その分山の頂上と言う立地が行動する上での邪魔となる可能性が高い、それならばGS協会に向かうのが一番効率がいい。

 

「老師後はお願いします」

 

「うむ、任された」

 

まさか修行中にこんな事になるとは思っていなかった、寝巻きから着替え、精霊石、破魔札などの装備を整える。

 

「よこしま、気をつけて」

 

「うん。ありがとう、天竜姫ちゃん、モグラちゃんも修行頑張ってな」

 

「うきゅ」

 

横島君が天竜姫様とモグラちゃんと別れを告げ庭に出てくる。

 

「陣で跳ぶ、小竜姫はそのまま美神達と行動を共にせよ。連絡係だ」

 

「はい、判りました」

 

小竜姫様が同行してくれるなら心強い、そう思いながら私達は竜神王様の作り出した陣で東京へと跳んだのだが……。

 

「「「あいだあ!?」」」

 

強烈な衝撃と共に地面に叩きつけられる。幽霊組みのダメージは殆ど無いが、私達のダメージが深刻だ。

 

「う、うおおおお……」

 

「やばい……これやばい……」

 

横島君が4つ這いで、うおおおっと呻き、蛍ちゃんが自分で自分の身体を抱きしめて痙攣してる、私は全身を強かに打ちつけたショックで声も出ない。

 

「死ぬ……これは……死ぬ……」

 

「足……これ骨逝ってる気がするでござるぅ……」

 

タマモとシロも重症で痙攣している。平気そうなのは本当に沖田ちゃん、牛若丸、ノッブ、おキヌちゃん、そしてシズクの5人だけだ。

 

「みむ?」

 

「ぷぎー」

 

【ノブー?】

 

あ、後ついでにチビとうりぼーにチビノブも無事なようだ……動く事が出来ない私達にシズクが水のペットボトルを無言で開けて私達の傷を治療してくれる。

 

「あいたた、なんで……何が起きたんだ」

 

「判らない、判らないけど、竜神王様と小竜姫様がいないのと関係してるかも」

 

ゆっくりと立ち上がり、叩きつけられた理由を考えるが、恐らくこの場にいない竜神王様と小竜姫様の事が大きく関係してる筈だ。

 

【恐らく転移で分断されたな。何か条件があるのかもしれない】

 

小竜姫様達と分断された……恐らくだけど、2人は東京にすら入れなかったと見て間違いないだろう。

 

【ノォ、あれ何に見えるかの?】

 

【ずいぶん悪趣味ですね】

 

【しかし、あれはどう見ても前から東京にあったものではないですよね】

 

【東京タワーはあっちですしね】

 

ノッブ達の話し声に振り返ると、そこには不気味に脈動する異形の塔の姿と、そこから飛び立つ悪魔の姿が遠目に見えた。状況はかなり悪いと見て間違いない、そう思った直後塔の方から火柱が上がる。あれは……くえすの炎だ。

 

「神宮寺さんだ!」

 

横島君が立ち上がり駆け出す、私達はまだ立ち上がるほど回復していない。

 

「横島君!勝手に行動しない!」

 

「駄目!戻って!」

 

私と蛍ちゃんの声に横島君は少し減速したが、振り返り私達に向かって叫んだ。

 

「先にどうなってるか見てきます!ノッブちゃん!沖田ちゃん!美神さんと蛍を頼む!シズクは勿論皆の怪我を治してやってくれ!!」

 

【主殿!私も行きます!】

 

そう言って再び駆け出す横島君の後を追って、牛若丸が走り出す。

 

「おキヌちゃんも行って!横島君がくえすと合流してたら撤退するように伝えて!私達もすぐに行くから」

 

【は、はい!!】

 

牛若丸も突撃癖がある、止めることが出来る人員が必要だ。だからおキヌちゃんに横島君を追いかけるように頼む。

 

「あーっもう!なんであんなに独断専行するのよ!!」

 

どうすれば横島君の突撃癖を無くす事が出来るのか、それを知りたいが、今はそれ所では無い、まだ痺れている身体に鞭を打って立ち上がり

 

「シロとタマモは無理そうなら獣になって!急いで横島君を追いかけるわよ!」

 

このまま更に分断なんて冗談じゃない、可能ならばくえすと合流してその場を離脱。それが最も理想的だ、何故ならば塔周辺には異様な瘴気に満ちている、今の私達では装備が足りない。そのうち瘴気に蝕まれ、動けなくなる前に横島君と合流しなければならない。

 

「……動くな、すぐに済ませる」

 

2本目のペットボトルを使い治療を施され、やっとまともに立ち上がる事が出来た。だが戦闘には到底耐えれそうに無い、相手を妨害してその場から逃げるしか無いだろう。

 

【前衛はワシと沖田でやる!シズクは美神と蛍を頼む!】

 

【行きますよー!】

 

まだ身体が思うように動かない私達はノッブと沖田ちゃんを先頭に、横島君の後を追って悲鳴と炎に満ちている東京の街を走り出すのだった……。

 

 

 

~くえす視点~

 

塔から湧き出る悪魔とゾンビ達の撃退に借り出されているが、状況は芳しくない。

 

「神宮寺君!そっちに行ったぞ!」

 

「言われなくても!」

 

唐巣の言葉に即座に魔本を開き、魔力を増幅させて炎を放つ。黒炎の火柱が悪魔とゾンビを纏めて薙ぎ払うが……倒した以上の敵が姿を見せる。

 

「……はっ……はっ」

 

流石にこれだけの長時間魔法を使い続ければ、体力も、魔力も限界が近い。

 

「ちっ!こちらの戦力は有限だというのに!!」

 

ブラドー伯爵がマントを翻し、稲妻を放つ。その圧倒的な破壊力は再び悪魔達を薙ぎ払うが、倒した数の倍以上が再び姿を見せる。

 

「シッ!フッ!」

 

唐巣が拳で悪魔を打ち砕くが、明らかに精彩に欠いている……。

 

(撤退しなければやられる)

 

状況は明らかに不利、更に魔の眷属である私とブラドー伯爵さえも蝕む瘴気。

 

「はっ……はっ……まだまだ!!」

 

ブラドー伯爵が腰に挿した剣を抜き放ち、悪魔とゾンビを薙ぎ払っていく。私ももうこれ以上は魔法を使えない、撤退時に発動させる転移の魔力を残しておかなければならない。聖句で清められた弾丸が装填されているベレッタを両手に持ち応戦するが、やはり3人に対して敵が多すぎる。

 

「神宮寺さん!唐巣神父!ブラドー伯爵!!」

 

背後から聞こえてきたのはこの場にはありえない声。思わず振り返ると横島がこっちに駆けて来る姿が見える。待ちに待った応援だが、横島では駄目だ、今この場に1番来てはいけない人物が応援に来てしまった。

 

「横島!来るな!!」

 

「横島君!来ちゃ駄目だ!」

 

「横島!来るな!戻れ!」

 

私だけでは無い、唐巣もブラドーも叫ぶ。ガープ達の最優先ターゲットの横島ではそれこそ飛んで火にいる夏の虫だ。その後から牛若丸とおキヌの姿も見えるが、美神達では無いことに思わず舌打ちする。私達の叫びも横島には届かず、Gジャンから眼魂を取り出した横島がボタンを押し込み、ベルトにセットする姿が見える。

 

【アーイ!ガッチリミナー!ガッチリミナーッ!】

 

漆黒のパーカーと15の光が横島と共に追走する。横島は走りながらレバーを掴み、それを力強く引いた。

 

「変身!!」

 

【カイガン!グレイト!15の英雄!結集!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!】

 

漆黒のパーカーが装着され、15の光が胸に吸い込まれて消えていく、肩や腕部に金のワンポイントを持つ、みた事も無い姿に変身した横島が私の横を駆け抜けていった。

 

「フッ!」

 

横殴りの一撃で悪魔を殴り飛ばし、背後から飛びかかってきた悪魔は後蹴りで胸から上を蹴り砕く、圧倒的な攻撃力と防御力の高さに驚かされる。

 

「ガアアアア!」

 

「せやっ!!!」

 

悪魔の巨大な腕を片手で受け止め、がら空きの胴体に拳を叩き込み悪魔を一撃で絶命させる。その動きの早さと攻撃力は今まで見たどの姿よりも強烈だった。悪魔が横島を脅威と判断し、横島へと向かっていく、横島はそのまま私達から距離を取り叫んだ。

 

「神宮寺さん!唐巣神父!ブラドー伯爵!俺が引き受けます!早く撤退準備を!」

 

腰にベルトに両手を翳すと、そこから2振りのガンガンブレードが飛び出し、横島は両手にガンガンブレードを持ち、悪魔を両断し、ゾンビを薙ぎ払う、その姿はまるで嵐、悪魔もゾンビもお構いなしに引き寄せ両断し、消滅させていく、正直私達の苦労がなんだったんだと思うレベルだ。

 

【早く!いつまでも残られていては主殿も撤退できませぬ!】

 

【すぐに美神さん達が来ますから】

 

牛若丸とおキヌの言葉、確かにこの場面なら横島に任せて撤退するのが間違いなく正解だ。

 

「ぷぎゅう!」

 

「みむう」

 

分裂したうりぼーが背中に乗れと身を低くし、チビも早く乗れと促す。この場はうりぼーのダッシュ力で逃げるのが得策と言うのは誰もが理解していた。

 

(駄目、今この場を引いてはいけない)

 

だが私の直感は今この場から逃げてはいけないと告げていた。今この場を引き、横島だけを残せば取り返しのつかない事になることを感じていた。

 

「神宮寺君!早く!横島君が足止めしてくれている間に!」

 

「屈辱だが、この場は引くぞ!」

 

唐巣とブラドー伯爵が逃げると言う、だがそれでも私はその場に立ち竦んだままだった。横島から目を離してはいけない、魂の奥底からそう叫ぶ声が聞こえていたから……。

 

「変身!」

 

【決闘!ズバッと!超剣豪!】

 

黒い姿のまま、横島のパーカーが真紅のパーカーに変わりに、動きが格段によくなる。その姿を見れば、体力も魔力も精神力も集中力もつきかけている私が邪魔になると言う事は判る。だがそれでも今逃げてはいけないと直感が叫んでいた……そしてその時はすぐに訪れた。

 

「……こんにちわ」

 

周囲の悪魔が消え、ゆっくりと開いた塔から姿を見せたのは悪魔でもゾンビでもなく、ふわりとした白いローブ姿の黄金のような金髪と血のような真紅の瞳を持つ少女の姿。だがその姿を見た瞬間、全身の産毛が逆立ち、尋常では無い恐怖を感じた。

 

「……君はあの時の」

 

「はい、あの時の鯛焼き、とても美味しかったです」

 

横島とその少女は知り合いだったのか、困惑した声で返事を返す。少女は私や唐巣には視線を向ける事無く、光の無い真紅の瞳を横島だけに向けている。その異様な気配に嫌な予感がますます強くなる。

 

「本当ならこんなことはしたくないのですが……」

 

少女はそういうとローブを脱ぎ捨てる。ローブの下には脱ぎ捨てられたローブと同じ白のシャツとスカート姿……だが私の目はその少女の服装よりもその腕に向けられていた。機械的だが、どことなくナイトランターンに酷似した少女の細腕に似合わないガントレットに……。

 

「ですが貴方を捕らえろと言うガープ様の命令です。出来るだけ痛くしないので、抵抗しないでくださいね。殺すなというご命令ですが……あんまり抵抗されると殺してしまうかもしれませんから」

 

少女がスカートから灰色の眼魂を取り出すのを見て、嫌な予感は確信へと変わった。

 

「横島!止めなさい!あれは!あの女は!お前と同類ですわ!」

 

「え、え!っ!」

 

横島は困惑しているようだが、私の言葉と眼魂を見て駆け出すが、それは余りにも遅かった……少女は腕のガントレットに灰色の眼魂をセットしてしまったのだから……。

 

【レブナント】

 

「……できるだけ優しくしますね?」

 

【セット、レブナント!レディ?】

 

「……変身」

 

【ヒガン!ヒガン!!ファントムコールッ!】

 

凄まじい暴風に視界が塞がれ、横島もその突進を止められてしまった。そして暴風が収まったとき、そこには横島と酷似したボデイアーマーに身を包み、シルバーのワンポイントの入った濃い青のパーカーを纏った仮面ライダーの姿があった……。

 

 

 

次回の仮面ライダーウィスプは!?

 

 

「あんまり抵抗されると、手加減を間違えるかもしれないので大人しくしていてください」

 

「うぐっ……」

 

横島達の前に現れたガープ達によって作られた仮面ライダーレブナント。その戦闘力はグレイト魂を使用した横島よりも上だった

 

「抵抗は無意味と何故判りませんか?」

 

グレイトの攻撃力を持ってしてもレブナントの防御力を貫く事が出来ず、反撃に繰り出される拳で横島はダメージが積み重なっていく

 

「……これならどうだ!?」

 

【カイガン!ゴエモン! 歌舞伎ウキウキ!乱れ咲き!】

 

「そうですか、まだ抵抗しますか、では仕方ありませんね」

 

【セット!ロキ!レディ?】

 

「……変身」

 

【プレイヤー・イン・ラグナロク!ファントムコール!】

 

横島がゴーストチェンジすると同じく、レブナントもまたその姿を変える

 

「ロキ!?北欧の悪神!?」

 

「……こうなると手加減は非常に難しいのです。なのでどうか死なないでください、まぁ死んでも魂さえあれば問題ないのかもしれないですけど……痛いのは嫌でしょう?大人しくしていてくれれば、こっちもそれなりの対応が出来ると思うんですけど……」

 

敵意も悪意も無い、そう命じられたからと言わんばかりの態度で横島に襲い掛かるレブナント。圧倒的な力の前に敗れ去る横島

 

次回「敗北」へ続く

 

 

リポート24 反逆者達の進軍 その2へ続く

 

 




敵側の仮面ライダーの登場です。ここまで駆け足でしたが、次回はもう少しのんびりと話を進めて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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