GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート25 横島家の非日常 その3
~横島視点~
外出禁止なので家でトランプやベーゴマをして時間を潰していた。昨日は蛍が家にいたが美神さんと一緒に琉璃さんと話があるそうで、今日は俺達だけだ
「はい、あーがりっと」
【マジで!?横島がずっと一番なんじゃけど!?】
【凄いですね。主殿】
「……これで2週間ゴミ捨て免除だな」
俺とシズクとノッブちゃんと牛若丸の4人でババ抜きをして時間つぶしをしていた。途中でノッブちゃんがドベは買出しとかで固定じゃーと叫んでいたのだが
「言いだしっぺの法則ね、馬鹿みたい」
「でござるなー」
観戦に回っているタマモとシロがノッブちゃんを指差して、けらけら笑っている。俺が5戦ともずっと1位で、シズクが2位、牛若丸とノッブちゃんが一進一退と言う状況だ
【ワシのドロー!!ぬああ!?】
【では私です。はい、あがりです】
なああああっと嘆いているノッブちゃんを見て全員で笑っていると玄関のチャイムが鳴る
「あ、俺が出てくるよ」
シズクが立とうとしたので、それを制して玄関に向かう
「はーい、どちらさまですか」
玄関を開けてそこに居たのは予想外の組み合わせだった
「よう、横島」
【ごめんねー、横島君】
「綱手さんと三蔵ちゃん?どうかしました?」
白竜寺の三蔵ちゃんと綱手さんにどうかしました?と訪ねる。綱手さんは着物の上に半被を羽織り、三蔵ちゃんは法服じゃなくて普通のワンピース姿だった。正直あの法衣って本当に仏門?と思う時があったので普通の格好をしてることに安堵する
【何ってあれよ。横島君の家の結界のバージョンUPに来たのよ?】
「私はあれだ。こいつが時々とんでもないポカをするからそれを監視に来た」
酷いという三蔵ちゃん。結界を強化してくれるのは嬉しいけど、チビ達が大丈夫か不安になる
【横島の家にはグレムリンとかがいるんだぞ?】
俺の不安を心眼が告げると三蔵ちゃんは大丈夫大丈夫と笑う
【ちゃんと聞いてるから大丈夫!あたしに任せて!】
自信満々と言う感じなので任せても大丈夫かなと思い。俺は三蔵ちゃんと綱手さんを家の中に招き入れる
「……なんとも凄い面子だな?どうした?」
「なんか家の結界のパワーアップだって」
【そう言う事!あ、横島君。ちょっと家の中を見てくるからねー】
霊力の流れとか溜まり場を見るからと言ってリビングを出て行く三蔵ちゃんを見送っていると、綱手さんが机の上のトランプを見て
「お、絵札遊びか、良いね良いね!私もいれてくれよ」
「あ、でしたら俺の変わりにどうぞ」
毎回俺が上がってしまうので面白味がないかもしれないし、何よりチビとうりぼーが遊んで欲しそうなので俺の座ってた場所に綱手さんに座ってもらい、俺はソファーに腰掛けて
「チビ、うりぼー、チビノブおいでー」
「みむう♪」
「ぷぎゅ!」
【ノーブー♪】
ソファーの上に登ってきたチビとうりぼーを膝の上に乗せて遊んでやりながら綱手さん、牛若丸、ノッブちゃん、シズクのババ抜きの観戦に回る
「みむ」
「ねこじゃらしが良いのか?」
「みむみむ♪」
猫じゃらしを咥えているチビから猫じゃらしを受けとり、それを揺らす。チビとうりぼーが嬉しそうにそれを追いかけ、チビノブは膝の上にちょこんと座り、ボールをぺしぺし叩いている
「少ししたらボールで遊ぼうな」
【ノブゥ♪】
チビもうりぼーもボール遊びは好きなので順番で遊ぼうなと声を掛ける
「せんせー、拙者散歩いきたいでござる」
「だからそれは駄目だって言われてるでしょうが」
散歩かぁ、良い天気だから散歩行きたいけどなあとソファーから窓の外を見つめる。美神さん達の許可が下りないと駄目だなあと苦笑する
「じゃあ、今度皆で海か山に行くでござる」
「だからそれも美神達の許可が出ないと駄目でしょうが」
シロはよっぽど外に行きたいんだなと苦笑していると机の方から
【やったあー!やっとワシの勝ちじゃあ!!】
「むむう、もう1回だ!」
ノッブちゃんの勝利の雄叫びを聞きながら、俺は猫じゃらしを振り
「それで心眼せんせー、俺の体調って正直どう?」
【私を外せば、どんな状況か一瞬でわかるぞ?私は責任を持たないが】
その心眼の言葉にまだ不味い状況なんだなと思い、俺はバンダナに伸ばしかけた左手を引っ込め、膝の上のチビノブの頭の上に乗せて撫でる事にした
~20分後~
「むぐぐぐ……」
【え、お前弱すぎじゃろ】
【そうですね。これは勘が弱いとかではなく】
「……純粋に幸運が低すぎる」
綱手さんがフルボっコである。ソファーに座りボールを投げてやりながら見ていたんだけど、とにかく連敗である
【ノブ】
「はいはい」
チビノブがボールを拾ってきたので、それを受け取りチビノブの頭を撫でるとノブーと嬉しそうにチビノブが鳴く
「むぐぐう……もう1回!」
綱手さんが肩を震わせて、もう1回と叫んだタイミングで玄関のチャイムが鳴る
「くう?」
「わん?」
飽きてきたのか小動物フォームでソファーの上に寝転がっていたシロとタマモの頭を撫でて、俺は誰が尋ねてきたのか確かめるべく玄関へと向かうのだった……
~シズク視点~
綱手の引き運が弱いというか、幸運その物から見放されているような貧弱すぎる引きに笑っていると横島が尋ねてきた人達を連れて、リビングに入ってくる。そして入ってきた面子を見て、思わず眉を吊り上げる
「ネロちゃんと、ルイさんとえーっと志波さんで良いですかね?」
明らかに人間では無い3人組。そのうち2人の気配には覚えがあった。私達がいない時にお客さんが来ていたと言っていた時に家に残っていた魔力と同じ気配だ
「ああ、それで良いがさんはいらない。志波と呼んでくれれば良い」
そうですか?と横島が能天気に笑いながら、お土産でケーキとジュースを持ってきてくれたと言って
「じゃあ、お皿とかコップとか用意してくるなー」
鼻歌交じりで横島がキッチンの中に消える。さも当然のように座る3人組……志波と言う男を見つめて
「……お前偽名名乗る気あるのか?シヴァ」
インドの破壊神シヴァ……天界にいた時なんどか話をした事がある
「無理矢理連れて来られたのだ、即興ではこんな物だ。後私は今は志波だ、シヴァと言うな?良いな」
その言葉に込められた神託が信長達を縛る。私はギリギリセーフだが、争乱になるような真似はしたくないので黙ることにする
「それで志波さんは何のようで人間の所に?」
「ああ。それは私立案だよ。横島とゲームをしようと思ってね」
【殺人ゲームとかじゃないよね?】
ノッブの言葉にそんなわけある訳ないじゃないかと笑うルイ。だがそのにこやかな笑みには闇があり、とても嫌な予感がする
「……それでお前は誰だ?」
神魔かどうかもあやふやだが、この2人と共に居ると言うことは間違いなく神魔のはず
「余か?余は可愛くて美人のネロ様だ!」
……なるほどまともな会話が出来ないタイプか、ならば無視しよう。それが一番だ
「はーい、ケーキ持ってきましたよー、ネロちゃんとルイさんが持ってきてくれたから2人から選んでください」
にこにことこの状況を理解していない横島に思わず溜息を吐くが、横島は顔に出てしまうのでこれが一番良いのかもと思うことにした
【横島君。結界……】
しかしそこですまないのが横島家だ。三蔵が現れ志波を見て絶句する
「回れ右、お前はここで何も見なかった」
【はい!失礼します!】
敬礼して回れ右してリビングを出て行く三蔵。そのやり取りを見ていた横島は何かいいたそうにしていたのだが、この圧倒的な魔力にチビ達が怯えて擦り寄ってきたので、チビ達を膝の上に乗せて口に仕掛けた言葉を飲み込んでくれた
「これはね、良いケーキなんだよ。ああ、全員分あるからそこの人狼と妖狐も人化するといい」
そう笑いながら告げるルイ。横島の家だが、今この場を支配しているのはルイなのだった
「あ、美味しいですね。これどこのケーキなですか?」
「んー。これは日本のケーキじゃないんだよ。そんなに気に入ったのならまた今度持ってきてあげよう」
本当ですか!嬉しいですと笑う横島だけが、リビングに満ちるこの異様な空気に気付いていないのだった……
「トランプで遊んでいるみたいだし、私の好きなゲームをしないかい?」
その言葉にシヴァの顔が引き攣る。なんだ?ルイは何をしようとしているんだ?
「ポーカーをやろうじゃないか、何シンプルな賭け事だよ」
賭け事と聞いて綱手が目を輝かせる。こいつ引き運とかめちゃくちゃ悪いくせに賭け事好きだよな
「この人数で出来るの?」
「出来るとも、そうだね。でもあんまり人数が多いと面白味も無い、ドベから抜けて行って、最終的には1対1で勝負になるようにやっていこうか」
ルイがトランプをシャッフルし、私達の前に2枚ずつおいて行く
「ルールはテキサスホールデム。4回のラウンド勝負だ、1回目は手持ちの2枚、2回目は場に3枚のカード、3回目は更に1枚、4回目も更に1枚カードが追加される、場のカードと手札の2枚で役を揃えるというゲームだ」
絵合わせと言う事か、ルイは鞄から役の組み合わせの一覧を取り出す
「これが役か、ほほー色々あるなあ。はい、横島」
「ありがとう、うわあ。覚えるの大変だ」
順番で回されてくる役の組み合わせを見て横島が覚えるのが大変そうと言うのも納得だった。
「本当は賭けだからお金か物品を手持ちにするが、人数が減るまでは賭け無しでやろう」
ルールを詳しく知っているのは私だから、最初は私がディーラーとゲーム進行をやらせてもらうよとルイが笑い。ポーカーが幕を開けるのだった……だが私達は確信していた。一番最初に脱落するのは綱手だと……
~ネロ視点~
机の上に置かれている5枚のカード スペードの9・クローバーの5・クローバーのJ・ハートのA・スペードの3……
(うむむ……)
前に置かれているカードが2枚ダブっていれば4カード、3カードが狙えるが、余の手持はクローバーの4とハートの3……
(やはりこの人数ではなぁ)
余と横島とシヴァとシズク、綱手、信長、牛若丸、シロ、タマモの9人……最初の数回は豚が何人か出るだろう
「では全員の手札をオープンしてくれ」
余が クローバーとハートの3を出す 1ペア
シロとタマモはそれぞれハートとスペードの5で1ペア
信長がハートとクローバーの9で3カード
シヴァがダイヤとスペードの9で信長と同じく3カード
牛若丸と綱手がハートの2とハートのK、スペードの2とクローバーのKで豚
そして横島はと言うと……驚きだが、余達の中では最も強い組み合わせだった
「クローバーの2とハートの4だから、場のA・スペードの3、クローバーの5と合わせてストレートですよね?」
「ああ、そうだよ、横島。このラウンドでは横島がトップだね。今回の脱落者は牛若丸と綱手だね」
【うーむ、正直全然判りませんでした】
「花札とかならわかるんだけどねえ」
元々トランプにはあんまり強くないらしく、牛若丸という英霊と綱手と言う仙人が抜ける。これで場のカードが少しは良くなるかと思い、手持ちのカードをルイに返す。ルイはそれを受け取るとそれを良くシャッフルする
「ルイさんは良いんですか?」
「ああ、もう少し人数が減ったら参加するよ」
にこにこと笑うルイだが、これは間違いない。自分が勝負するのに値する順番を待っているのだと……ならば余が勝ってテーブルにルイを引きずり出してやるといき込む
「チビ、うりぼー、チビノブー♪俺勝ったよー」
「みみーむ!」
「ぴぎ!」
【ノブブー♪】
横島が楽しそうに自分の周りの小動物と戯れているのを見ていると、再びトランプが配られる。今度は6人なので少しカードが良い筈と思い手札を見る
(ダイヤの10とスペードの7か……)
これもまた微妙な手札だなと思っているとルイが机の上に5枚のカードを並べる。スペードのJ・クローバーの10と4、それとダイヤのKとスペードの4
(……1ペアかぁ……)
カードをドローするポーカーなら馴染み深いが、こういうスタイルは初めてなのでこれが良い引きなのか悪い引きなのかが今一判断が出来ない
「では勝負だ、全員カードをオープンしてくれ」
余がダイヤの10とスペードの7で場のカードと合わせて1ペア
「……今回はあんまり良い引きじゃなかった」
シズクはハートの4とクローバーの10で1ペア
「……揃ってないでござるよぉ……」
シロはハートの8と6でブタ
「やり、今度は私は良い札よ」
タマモが笑いながらカードを出す、ハート、クローバーのKで3カード。確かに余達の中ではいいカードだ
「私も3カードだ」
シヴァが出したのはクローバーの4とスペードのA。4が3枚でスリーカード
「えーっと俺はハートのAとQです。場のカードが10とJとKだからフラッシュって奴ですよね!」
にこやかに出された2枚の絵札に全員が凍りつき、ルイが嬉しそうに笑い出す。これは自分の敵を見つけたと言わんばかりの笑みで、シロの変わりにルイがテーブルに着いたのだが
「あ、また似てる組み合わせだ」
場のカードがハートのJ、Q、10でスペードの3、Qで横島がハートの9と7を出した時。全員が硬直した……回が進む事に恐ろしい引き運を発揮する横島にタマモとシズクが抜け、4人での勝負になった時。これは勝てないかもしれないと思うのだった……
~美神視点~
ブリュンヒルデと見たことの無いメイド……魔界の宰相。ルキフグスと言う組み合わせが血相を変えて私の事務所に来て、ルイ・サイファーがポーカーをすると言って横島君の家に行ったと聞いた。最初はなんでもないじゃないと思ったんだけど
「ルイ様は取れるものを何でも持っていきます。横島さんでしたっけ?彼を連れて帰る可能性も十分にあります」
「美神さん!すぐ行きましょう!除霊は中止です!」
横島君が拉致されるかもしれないと聞いて、今日予定してた除霊現場の下見は中止にした
【私、先に見てきます!】
おキヌちゃんが飛んで行き、私と蛍ちゃんも慌てて横島君の家に向かい。そこで私達が見た者は
「わーはははは!!良いぞ!良いぞ!横島!その調子だ!その調子で私の槍を取り返してくれ!」
「ぐぐぐうう!!せ、折角巻き上げたのに……ええい!次だ!私はこの志波から取り上げた三又の槍を賭ける!さぁ!横島君。君は何を賭ける!」
何か異様に白熱したポーカーが繰り広げられていた。と言うか志波と三又の槍って……思わず冷や汗が流れる。横島君の家の結界を強化すると言っていた三蔵を見つけ、志波と言う男を指差すと、壊れた人形のように何度も頷く
(シヴァ神なの!?)
インドの神シヴァ神が何でと思うのだが、上機嫌で横島君の肩を叩いているので最悪の結果にはならないだろうと安堵しながら、小声で
(聖奈、マジ?)
(はい、大マジです。神魔混成軍がお妃であるパールヴァティ様を呼びに動いています)
……やめてよね。隕石落しからたった2日なのでなんで横島君の所にこんなに神魔が集まるのよ……
「よーし!行けー!横島!あのルイの余裕綽々の顔を崩してやれ!横島の掛金は余が出そう!この黄金の杯だ!」
「良し!なら今度こそ私の勝ちだ、巻き上げさせてもらうぞ!その杯を!!」
あの金髪の子誰かしら?初めて見るんだけど……タマモとシロ、それにシズク達も観戦していて盛り上がっているので何があったのか尋ねてみる
「あ、危ないところでござった……せ、拙者霊刀を取り上げられるところでござった」
「……私尻尾の毛2束切られる所だったわ」
どうやらルイに負けて色々と巻き上げられる所で横島君が連勝してるって言う所らしい
「……蛍。お前はいなくて良かった、さっきまでは凄い地獄絵図だった」
【ワシ、あいつと2度とポーカーなんてやらん】
【主殿がいないと大変なことになってましたね】
……一体何があったのかしら?物凄いことになっているって言うのは分かるんだけど
「綱手何があったの?」
酒を片手に馬鹿笑いしている綱手に声を掛ける。私達は何があったのか判らないからまず状況を把握したかった
「いやあねえ、私達から色々巻き上げようとしていたルイを逆に返り討ちにしてるんだよ」
いやあ、横島の幸運は凄まじいねえと爆笑している。そう言えば横島君って何気にめちゃくちゃ運良いのよね……
「フルハウス!これでどうだい!」
「えっと4カードです」
また横島君の勝ちのようで、ルイが唸りながら金色の槍を志波に返す。それを見て横島君の隣の少女が横島君に抱きつき
「よーし良し!横島!凄いぞー!偉い偉い!」
「い、いや、あのネロちゃん。止めて欲しいんだけど」
「照れてるのか!愛い奴め!!」
横島君が照れて顔を真っ赤にしているのを見て、蛍ちゃんが不機嫌そうに割り込み、ネロと言う少女を引き離す
「ルイ様。そろそろおやめになりませんか?相手が悪いのです」
ルキフグスがルイを止めに入るが、ルイはその制止を振り切りにっこりと笑いながら、横島君に顔を近づける
「……良いだろう、横島君。君は強い、それは認める。だけど私も負けたままじゃあ帰れないんだよ」
「あのルイさん、俺が今回は運が良かったって事で終わりにしません?」
横島君が引き攣った顔で提案するがルイは当然それを受け入れることは無く
「最後の勝負だ。これで負けたら私は大人しく帰る」
「わ、判りました。じゃあこれが最後ですよ?」
横島君がトランプをまとめて、机の側に待機しているシズクに手渡し、シズクがそれをシャッフルしてルイと横島君の間に置く
【よーし!やれ!横島!】
【こういう性悪は徹底的に叩くのです】
牛若丸とノッブの野次にビクビクする。普通のポーカーなら良いのに、相手は魔界の重鎮しかもルシファー相手とか冗談じゃない。私なら勝負になる前に逃げる。知らないって幸福なことなんだと心から思った
「む?なんだ。余が横島を愛でるのを邪魔するな」
「……そっちこそ横島に近づきすぎよ」
ネロと蛍ちゃんに挟まれておろおろしてる横島君。ここだけなんか修羅場になってる
「私が勝ったら、横島。君の持っている眼魂と言う不可思議な物を貰おう。君が勝ったら」
ルイはそこで言葉を切り、聖母のような清らかな笑みを浮かべ
「私のメイド。ルキを暫く君に預けよう、彼女はスーパーメイドだから生活が楽になるよ」
「ルイ様ぁ!?」
まさかのルキフグスを賭けに上乗せ、ルキフグスが絶叫する中。トランプは配られ
「ふふふふ、横島。また来るよ、今度はルーレットで勝負だ」
ネロと志波2人と、メイド服姿のルキフグス事ルキを残してルイは帰って行ったのだが、帰り際に念話で余計なことを喋るなと言っていたので、私達はルイの正体を横島君に伝える事が出来なかった
「えっと、その……暫くの間お世話になります」
死んだ目で頭を下げるルキの姿とどうすれば良いですか?と困惑した様子で尋ねてくる横島君に私も蛍ちゃんも何も言う事が出来ないのだった……
~ネロ視点~
横島に抱きつき頭を撫でていると不機嫌そうに割り込んできた黒髪の女。中々に整った容姿ではあるが、天上の美たる余と比べると劣るな
「なんだ?余が横島に褒めることに何か問題でもあるのか?」
「横島が困っているわ」
困っているねえ……まあ確かに赤面しておろおろしているが、決して困っているようには見えぬな
「横島は嫌か?」
「え、えっとお……」
横島の腕を胸の間に挟むと目に見えてきょどきょどし始める。その反応が又愛いのだが、蛍は不機嫌そうに顔を歪める
「横島の友達なのは判るけどさ、あんまりべたべたしすぎじゃない」
「……揉め事は困るんだがな」
【横島さんも横島さんだと思いますよ】
タマモとシズク、そしておキヌの反応を見て横島の回りの人間関係が大まかに把握した
(面白いなあ)
これだけ好かれていると言うのに、これほど愛い反応。誰にも手を出していないと判る、だからこの反応だろう。横島の性格はすでに把握しているが、誰か1人と定めればその相手だけに愛を注ぐだろう。これはそういう男だ
「ふむ、横島は誰かと付き合っているのか?」
違うと判っているがあえてそう尋ねる。余の言葉に動揺する蛍達の反応が見ていてまた面白い、しどろもどろになる姿を見て心の中で嘲笑う。恋や恋愛と言うのは戦争なのだ、それなのに動き出せないのならば別の相手に掻っ攫われても仕方ないという物だ
「い、いや、そういうのは無いけど……」
唇を噛み締める蛍達の反応が面白い。これほど愉快なのは早々無い
「では余はどうだ?これでも余は尽くすタイプだぞ?」
「え、えああ!?」
奇声を発するのは横島だけではない、蛍達もだ。その反応を見て余は笑いながら立ち上がり
「まぁ今直ぐ答えはいらんよ。考えておいてくれればな。余は結構お前の事好きだぞ?」
横島に投げキッスをしてその場を後にする。横島の家を出ると爆弾が爆発するかのような大騒ぎが聞こえてきて、それがますます余の笑みを深くさせる
「なんとも楽しい時間であった」
ルイのあの鉄面皮を崩し、恋愛で動かない横島達に爆弾を投げ込んできた。これほど楽しい事は早々ない
(まぁあながち嘘でもないのだが……)
横島の側にいるのは面白いし、暖かい。だから余が横島が好きと言うのはあながち嘘でも無いし、冗談でもない
(ああ。早く堕ちて来てくれないか)
横島の魔人としての力は強まっている。だから横島は余に嫌悪感を抱かない、普通自分の家をあれだけ騒がしたのにまた来て下さいなんて言える訳が無い、人間と言うのは自分のテリトリーを壊されるのを嫌がる物だからだ
「しかし、それだけとも言い切れないか」
横島が余に嫌悪感を抱かないのは魔人になっているとの関係しているが、余が横島を好ましくのはまた別の問題である。魔人の姫たる余が魔人に想いを寄せることなどはありえない、だが実際問題余は横島を好ましく思っている
「ふふふ、ああ……楽しいなあ」
これほど楽しいと思ったのは今までただの一度も無かった。1人の行動に一喜一憂し、そして横島の言葉に喜ぶ、こんな事は今までならありえない。だが今の余の心の動きはまるでただの少女のようで、その自分では今までありえないその心の動きが何よりも余の楽しみとなっていた
「横島よ、もっともっと余を楽しませてくれ」
この退屈しかない世界で心から楽しいと思える者を見つけた。だからもっと余を楽しませてくれ、横島ならば余の空虚な心に確かな熱を与えてくれると思ったから……もっともっと余を楽しませて欲しいと心から願うのだった……
~蛍視点~
ルイさんが帰り、横島を誘惑していたネロが帰る。勿論家の空気は何とも言えない空気に満ちている
「じゃあ、私は十分楽しんだから帰るかね、じゃあな」
【結界の強化は済んだから、じゃあね。横島君、今度は白竜寺に遊びに来てくれると嬉しいわ】
そしてその嫌な雰囲気を感じ取った三蔵さんと綱手さんはそさくさと逃げて行き
「私も仕事がありますので、そろそろ失礼致します」
聖奈さんも逃げて行った。志波と言う神魔は上機嫌に笑い
「横島。お前は面白い、気に入った。今度何か困った事があれば声を掛けるが良い、助けてやろう」
私がルイに奪われた物を取り返してくれたからなと上機嫌に笑う志波さんだったが、窓ガラスが叩かれた音に振り返ると、げえっと呻いた。誰かいるのだろうか?と思い振り返ると、そこにはピンク色の着物に似た服を着て、ふわりとカールした紫色の髪をした上品そうな女性の姿があった
【はいはい、何か御用ですか?】
牛若丸が窓を開けてそう尋ねる。女性はにこやかに笑いながら
「貴方。仕事を抜け出して何をやっているのですか?部下の皆様が困っていますよ。早く帰りましょう?」
「う、うむ。態々苦労をかけて済まない、ただな、横島がルイから奪われた物を取り返してくれたのでな」
志波さん結婚してたみたいね。この感じを見る限りでは奥さんに頭が上がらない駄目亭主のパターンそうだけど
(奥さんかぁ)
やっぱり私の夢からすれば可愛いお嫁さんになりたいわよね。そうなるように動いていたつもりだけど、思ったよりもイレギュラーが多いけど……
「まぁそれはそれはありがとうございます。何か困った事がありましたら、教えてください。必ずお力になりますので」
志波さんの奥さんはニコニコと笑い、志波さんの耳を引っ張り頭を下げて出て行く
「……さてと、横島の家で手伝いをしてくれるなら、掃除道具とかの場所を教えておこう」
「はい、よろしくお願いします」
重婚に全く違和感のないシズクはルキフグスさんを連れてリビングを出て行き、怖い相手がいなくなったと言う事で籠から出てきたチビ達が遊ぼうと横島にじゃれ付くのを見ながら
「ねえ、横島」
「は、はい!」
私は普通に声を掛けているのに怯えている。横島に変なのと思いながら
「ルイさんとネロさんって結構尋ねてくるのかしら?」
私達が知らないところで横島と接触しているのなら危ないと思いそう尋ねる。横島は膝の上のチビノブの頭を撫でながら
「そんなに毎日来るわけじゃないけど、結構尋ねてくるかな?紅茶とかお土産で持ってきてくれるし」
今日もケーキを持ってきてくれたと能天気な顔で笑う横島に頭痛を覚える。間違いなく、横島の好感度を上げる為の差し入れだ。どうも私の知らない所で横島を狙っている相手が増えているようだ。特にあのネロって言う少女は危険だ、私よりも年下そうだけど、黄金比の身体。何故こんなにも容姿が不公平なのか、神様に問い詰めたい気分だ
「美神殿ー、拙者暇でござる。外に行っても良いでござるか?」
「それなら除霊についてきても良いわよ?来る?」
美神さんの問いかけに行く!と返事を返すシロ。まぁ人数が多い方が楽なのは事実だし、横島は動かせないし
【あ、手伝えばお給金は出ますか?】
【メロンパンじゃ!メロンパンを買ってくれ!】
牛若丸とノッブも手伝うと言ってくれているので、下見じゃなくてそのまま除霊に進めそうだ
「タマモは?」
「いやよ、めんどくさい、と言うかこれだけいれば十分でしょ」
TVのスイッチを入れて、煎餅を齧るタマモ。らしいと言えばらしいわね
「おキヌちゃんは来なくても良いわ。これだけ人数が揃えば除霊も余裕だしね」
【判りました。頑張ってきてくださいね】
おキヌさんは居残りと、肉食系だから横島が心配だけど、シズクがいるから大丈夫よね。
「じゃあ横島、行ってくるわね」
笑顔で見送ってくれる横島に手を振り返し、横島の家の前に停めてあったバンへと乗り込む
「蛍ちゃん、もうちょっと頑張らないと横島君取られるわよ?」
「……はい」
私の評価が高いのは知っていたが、このままでは駄目だと改めて思った。
「ちなみ横島と一緒に出かけるとか大丈夫ですかね?」
「うーん、暫くは無理ね」
デートとかは駄目みたい。横島の家に遊びに行く回数を増やそうかな、このままだと本当に横島と彼氏彼女の関係になれないと思い焦りを覚えるのだった……
リポート25 横島家の非日常 その4へ続く
横島家の非日常は後3つくらい続けて行こうと思います。最近シリアスばかりでしたからもう少しほのぼのを続けていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い