GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は同窓会と言うタイトルですが、あんまり同窓会と言う感じではない話となります。セカンドのメインストーリーの最終話の「スリーピングビューティ」へと繋ぐ話となりますので、やや短い話となると思いますが、今回の更新もどうかよろしくお願いします


その4

 

 

リポート27 同窓会 その4

 

~横島視点~

 

シズクが小竜姫様とどこかに行ってしまった。本来ならば、俺の家の食卓は質素になるか、それとも蛍やおキヌちゃんが来てくれて用意されるはずだった。だが、今はルイさんから俺の家のお手伝いのルキさんが居てくれた。ルイさんのメイドさんだけあって家事も料理も何でもござれだったのは非常にありがたかった。それにあんまり馴染みが無い洋食が続くと言うのも中々面白いと思う

 

「こんなパンとか正直初めてね」

 

「そうでござるが、美味いでござるよ」

 

【おかわりー!めちゃうめえッ!!】

 

【パンはあんまり好きではないんですが、これは美味しいですね】

 

【ノブー!!】

 

パンを卵と牛乳のソースに浸して焼いた……えーっとフレンチトースト?とか言う見慣れないパンとコーンスープとベーコンエッグとサラダ、シズクの作る和食とは勿論全然違うのだが、これがまた美味しい。それに俺達があんまり洋食に慣れてないのも判っているのか、ナポリタンやシチューなどの普通の高校生にもなじみのある料理を出してくれているのが本当にありがたい。

 

「この乳液って何かコツがありますか?」

 

「たっぷりの卵と砂糖、それと無調整の牛乳です。味の濃い牛乳ではなく、無調整の牛乳がポイントですね」

 

蛍はなんかルキさんに話を色々聞いてメモしてる、やっぱり本職のメイドさんだ。簡単そうに見える、料理にも本職の凄い技術とかが使われているのかもしれない。

 

(いや、ホント美味いな)

 

半熟卵にカリカリのベーコン、味付けはシンプルに塩だけなのに本当に美味しい。香港の高級ホテルで食べた朝食と比べても遜色ないかもしれない、俺はそんな事を考えながらフレンチトーストに齧り付くのだった……

 

「と言うわけでルイさんのメイドさんは物凄いと思う」

 

もう少し休みが長期になりそうなので、高校に手続きに来た時にピート達にあった。まだ復学の目処は立ってないので、休憩時間の時に少し話をしていたのだが、それがいつの間にか盛り上がっていた。

 

「父の城のメイド長も凄かったですしね」

 

「何時休んでるのかって思うくらいだったよね、お兄ちゃん」

 

「ワッシは一般庶民だから、メイドさんの凄さって言うのは判らんですジャー」

 

日本では貧乏暮らしだが、ブラドー島では貴族の2人もメイドさんの凄さを知っており、タイガーだけはピンと来ないのか、首を傾げていた。

 

「所でさ、横島君ってメイドさんが好きなの?」

 

「どういう意味か良く判らないだけど愛子」

 

メイドさんが好きとか正直ちょっと意味がわからないんだけど……愛子にどういう意味なのか?と尋ねると愛子は手をぶんぶん振りながら

 

「な、ななな、なんでもない!ちょ、ちょっと気になっただけ」

 

いや、その反応はどう見ても大丈夫には見えない反応なんだけど……その時俺の脳裏に電撃が走った。愛子が何に慌てているのか判ったのだ

 

「ん?愛子!」

 

「な、なに!?別にメイド服着てみようとか考えてないわよ!?」

 

違う、そうじゃない、俺が言いたいことはそんなことじゃなくて……俺は愛子の後ろ、つまり愛子の本体を指差して

 

「机が大変なことになってる!?」

 

「「「え!?そこッ!?」」」

 

ピート達が驚いているが、俺にとってこれ以上驚くことはないと思う

 

「助けてくれー!!もうやだああああーーーっ!!」

 

「ダーリン逃げちゃ駄目ーッ!!!」

 

愛子の机から逃げようとする熊……多分オリオンとそのオリオンを捕まえている腕、腕しか見えないけど確実にアルテミス様だろう

 

「もうやだあああ!!頭が変になる!!」

 

「なんで!?こんなに楽しい空間なのに!!」

 

逃げたいオリオンと逃がしたくないアルテミス様。俺は顎の下に手を当てて愛子の方に視線を向けた。

 

「愛子の机の中って凄かったよな、もしかして何か悩んでる?それなら相談に乗るけど」

 

柩ちゃんが俺のことお兄ちゃんとか、タマモがなんか訳の判らないことになっていた。もしかしてそれが愛子のストレスが原因なら友人として相談にくらい乗ってあげたいと思うんだけど……

 

「いえ、愛子さんの悩みは横島……「ちょっと黙ってくれるッ!?」げふうっ!?」

 

「ピートッ!?」

 

愛子の唸る左ストレートがピートを殴り飛ばす。その凄まじい腰のキレに思わず驚愕する

 

「横島君は気にしなくていいわ、ね?」

 

「あ、はい」

 

これは駄目だ、容易に触れてはいけない話題だと判断し、何度も何度も頷いていると愛子がよろしいと笑う。なんかその隣でシルフィーちゃんが溜め息を吐いているけど、多分そのことも指摘しないほうが俺の身の安全に繋がると思う

 

「横島さん、あれいいんですかのー?」

 

「どうだろうなあ」

 

熊の姿でなければ底なし沼とか、妖怪に捕まってる人って感じだよな。心情的には助けるべきだと思うんだけど、相手は神様だし、下手に怒らせるといけないって美神さん達にも言われているから、どうするべきか本当に悩む

 

「あ、横島!助けて!助けてくれええええ!」

 

名指しで助けてくれとわめいているオリオン……名指しされたから何とかしてやりたいと思うんだけど……

 

(心眼、どうしよう?)

 

(悩む所だ)

 

オリオンを助けて得れるメリットとデメリット、アルテミス様の邪魔をして、得れるメリットとデメリット……そのどちらも非常に大きいぞと言う心眼。

 

「もう空想とか、そういうのは嫌なんだよ!」

 

「いいじゃない!遊び放題じゃない、日暮れの学校に遊園地にプールに海、それにキャンプに星空の下!どれも凄く楽しいし、ロマンチックじゃない、ダーリン!」

 

話を聞いている限りだと外に出たいオリオンと、色んなシュチェーションで楽しめるということで外にでたくないアルテミス様。正直どっちもどっちだと思うんだけど、顔だけではなく耳まで真っ赤な愛子が可哀想なので止めに入ることにする

 

「あのーアルテミス様」

 

「あれ?横島ー!元気?」

 

机の隙間からハイライトの消えた目が俺のほうを見ている正直メッチャ怖い。それとオリオン、助かったって言う顔をしないでくれ、多分俺がやるのは別方向であんたにとっては地獄だ

 

「あ、はい、元気です。東京で有名な遊園地のフリーパスがあるんですけど、オリオンと行きませんか?」

 

「行くー!なにそれ!凄く素敵!」

 

「裏切ったな!俺をぷぎゅるっ!?」

 

抱きしめられて白目を剥くオリオンに心の中で南無と呟く。いい人……かは判らないけど、冥福くらいは祈ろうと思う

 

「俺の家にあるんで、取りに来てくれますか?」

 

「勿論!やったー遊園地だー!!」

 

バインバインと跳ねまくる胸に一瞬目が奪われそうになり、俺は首を左右に振ってアルテミス様と白目を剥いて泡を吹いているオリオンを自宅へと案内することにした

 

「あ、随分早かったですね。どうでしたか?」

 

ルキさんがさっと和食のレシピ本を隠すのをみて、この人も何か悩みがありそうだなと思った。

 

(やっぱり思うところがあるんだろうな)

 

ルイさんのメイドなのに、俺の家にいる。やっぱりその事には思うところがあるんだろうな……ちょっと話を聞いたほうがいいかもしれない……だけどまずはアルテミス様にデジャブーランドのフリーパスを渡すことにするのだった……

 

 

~ブラドー視点~

 

ブラドーの部屋にカツンカツンと言う小気味良い音が響く、ブラドーとカオスが向かい合いチェスを指しているのだが、2人の視線は盤上に一切向けられていない、それなのに駒が動き回り、盤上から駒が取り除かれていく。

 

「今、日本の神魔に特に異常は感じられない」

 

「そう……か。ワシの考えすぎだったかの?」

 

ナイトが大きく動き、僅かにブラドーの眉が動くがすぐにクイーンが動きナイトが盤上から取り除かれる

 

「アシュタロスにも話を聞いたのだろう?どうだった」

 

「お主と大体同じじゃな。ただ、やはり白骨温泉の近くの霊力の流れがおかしいそうじゃ」

 

怪しい場所は判っている、だが相手もそれは100も承知。そこに飛び込むには其れ相応の準備が必要だ

 

「武器の方はどうだ?」

 

「むっ……昆虫であり、植物、殺虫剤と枯葉剤を併用してみたわい」

 

どうもカオスが押されているのか眉が大きく動く、それでもブラドーは大きく駒を動かす事無く丁寧に駒を動かす

 

「誘いには乗ってこんか」

 

「安い誘いだ、我を釣りたければもっと大きな餌を用意することだ」

 

カツンっと大きな音を立ててビショップがキングの前に動き、カオスのキングはチェックメイトを逃れる為にキャスリングでキングを大きく逃がす

 

「餌と言えば、ワシは日本での騒動を餌にするつもりではないかと思っている」

 

「ありえなくはないな」

 

神魔からすれば日本はさほど重要度の高い場所ではない、だがそれは一部の神魔にとっての話だ。特定の神魔にとっては、日本は何よりも死守すべき土地となる

 

「小竜姫達が土着の竜族の助けを求めている」

 

「8ー2だな」

 

「ちなみにどっちじゃ」

 

「判っているだろう、協力するのが2割だ」

 

「だろうなあ……」

 

理想はもっと多くの竜族を仲間にすることだが、土着の竜族はどちらかと言うと、天界を憎んでいるとも言える。すべてはメドーサとシズクの頑張り次第ではある、小竜姫がやや弱い所があるが、竜族の中ではカリスマと言えるシズクとメドーサの存在が説得、もしくは交渉のキーポイントになるのは明らかだ

 

「チェック」

 

「む、良い手を打ってきたな」

 

話をしながらもカオスとブラドーのチェスは進み、追い込まれていたカオスのクイーンがブラドーのキングを射程範囲に収める。

 

「お主は今回は表に出るのか?」

 

「いや、止めておこうか」

 

確かにブラドーは強力な吸血鬼ではある、だが操られないと言う保証もないので東京に残る事を選択した。

 

「東京と言えば躑躅院が来るらしいな」

 

「あいつか、あいつは中に獣を飼っているぞ。チェック」

 

「むっ……」

 

お返しと言わんばかりにチェックをされ、カオスの顔色が変わる。そしてそれを見てブラドーは楽しそうに喉を鳴らす

 

「マリア姫の子孫が日本に来るそうだな」

 

「む、ああ、横島が預けたジャンヌダルクの旗を届けに来てくれるそうじゃ」

 

「嘘を言え、お前を迎えに来るんだろう」

 

「ワシはいかんよ、日本でやることが……ちっ、参った」

 

これ以上打つ手がないと判断したカオスが降参し、ブラドーは笑いながら駒を片付ける。

 

「その白骨温泉とやらに向かうメンバーは?」

 

「美神、横島ファミリー、蛍、琉璃、くえすらしいな」

 

「会長が動いていいのか?」

 

「自分の妹がいれば黙ってはおられんじゃろうよ、ワシ達は東京の防衛じゃ」

 

「未来の記憶は使わないのか?」

 

「もう大して役に立たん、あの時代では過去じゃが、今では未来じゃ。未来は簡単に形を変えるからな」

 

未来は簡単に形を変える。カオスの言葉にブラドーは獰猛な笑みを浮かべ

 

「では手始めにガープの思い描いている未来を変えてやるとするか」

 

「その意気じゃ、何もかもあいつらの思いとおりにはならないと言うことを教えてやろうじゃないか」

 

そう笑いあうカオスとブラドーの目には凄まじい決意の光が宿っているのだった……

 

 

~ルキフグス視点~

 

ルイ様のご命令で横島の家にメイドして預けられることになった。そのことに関しては特に文句はない、それがルイ様の御意思であるのならば、私はそれに従うまでだ……だがそれでも引っかかる部分が無い訳ではない

 

「どうぞ」

 

「すいません」

 

横島が用意してくれた緑茶を啜る。仮初とは言え、家の主人にこんな事をさせてしまうとは……やはり自分はメイド失格なのではと言う考えが脳裏を過ぎる

 

「ルキさんがいてくれて本当に助かってますよ、今だって俺達の事を考えてくれていたんですよね」

 

「え、まぁ、洋食よりもと言うのを考えなかったわけではないです」

 

ルイ様は洋食を好まれるので、私も洋食を得意としている。だけど今私がいるのは横島の家なので、横島達日本人の舌に合わせた料理を覚える必要もあると思ったのだ

 

「俺達は本当に感謝してますけど、どうしてそんなに不安そうな顔をしているんですか?」

 

「不安そうに……見えますか?」

 

これでもポーカーフェイスには自信があったのですが、それすらも人間相手に見破られるとは……こんな無様な有様だからルイ様に横島の所に預けられたのかもしれない

 

「そんなに不安に思うことはないと思いますよ。多分、ルイさんはルキさんを心配してくれてると思うんですよ」

 

「ルイ様がですか?」

 

ルイ様が私を心配……そんなことはありえないと思いますよと言うと、横島はそんなことはないですよと自信に満ちた顔で笑う。

 

「ルイさんは優しい人ですから、きっとルキさんの事を心配してくれると思いますよ」

 

「私が駄目なメイドだから、ルイ様は私を見限ったのでしょう」

 

横島はルイ様の事を何一つ理解していない、だからそんな甘い事が言える。あの人は冷酷で、役に立たないと思えば部下だって簡単に切り捨てる。それこそが、その力強い背中に私もベルゼブルも惹かれ、共に来たのだ。だから私も役に立たないと思われれば簡単に捨てられる

 

「そんなことないですよ、疲れてるから、そんな風に考えちゃうんですよ」

 

何故私は頭を撫でられているのだろうか……しかも何故それを振り払おうと思わないのか……上手く言葉に出来ないのだが、奇妙な安心感がある。

 

「俺の家にいる間は本当にゆっくりしてくれて良いですからね、ルイさんが迎えに着てくれたらそれからまた頑張れば良いんです」

 

「……そう……ですかね?」

 

そうですよと笑う横島、そして私は気が付いたら正座している横島の膝の上に置かれた座布団に頭を預けていた。完全に立ち位置が逆だが、私は膝枕をされていた。非常にリズミカルに頭を撫でられ

 

「あ、嫌でした?」

 

「いえ、嫌といいますか……こんなの初めてと言いますか」

 

なんでしょう、こんな無条件に甘やかされるというのは初めてで……何とも言えない感情が胸を埋め尽くす

 

「仕事で疲れた沖田ちゃんとかにやると喜んでくれるんですけどね」

 

【それはあの馬鹿だけだろう】

 

沖田……あのすぐ血を吐く英霊ですね。いつも馬鹿な事を言っていますけど……確かにそう嫌な感覚ではない

 

「すいません、少しの間このままで」

 

「はいはい、ゆっくり休んでくださいね」

 

【ここにも駄目な奴がいたか……】

 

心眼の言葉は余りに辛辣ですが、なんと言うか妙にフィットする。私に足りない何かが埋められているような……そんな気がする

 

「……ただいま……横島、お前何してるんだ?」

 

「ルキさんに休んで貰ってる」

 

それでなんでお前が膝枕するんだ?と呆れた表情をしているシズク。普通なら飛び起きる所ですが、そんな気にもならず私はそのまま目を閉じるのだった……そして、この時の報告書には一言こう綴られていた

 

【神魔を駄目にする人間、横島】

 

「……ルキフグス……君に一体何が……」

 

愉悦を求めてルキフグスを横島に預けたルイだが、自分の部下なら絶対発しないであろうその言葉に困惑し、そして次はどうするかを考えていた。

 

「もう少ししたら迎えに行こう」

 

迎えに行った時のルキフグスがどんな反応をするのか、それを楽しむ為にルキフグスを迎えに行く事を決めたのだが……まずは

 

「今回がどうなるかだね」

 

ガープ達が日本でまた騒動を起こそうとしている。ルキフグスを迎えに行くよりも先に、まずそれを見届ける事を決めるのだった……

 

 

 

 

雲1つ無い夜。月の光を浴びながらおキヌは横島の家が見えるビルの縁に腰掛けていた

 

【……私はどうしたいのかなあ】

 

生き返りたい……前は私は生き返れた。だから今回も私は生き返れる……私はそう思っているけど、前とは余りに違う世界、そして違う状況。

 

【……でも生き返った後……私はどうなるのかな】

 

前は生き返って、そして記憶を失ったけど私は横島さんや美神さんの事を思い出せた。だけど、もし今回生き返って、美神さん達の事を思い出せなかったらどうしよう……そんな不安を私はずっと感じていた

 

【今が凄く楽しい……楽しいけど……】

 

今のままでは嫌だと思う自分、そして今のままでも良いんじゃないかと思う自分……自分でも上手く説明できない複雑な感情。それを誰にも相談出来ず、ずっと胸に抱え込んでいた

 

【……私どうしたいんだろう……】

 

白骨温泉の近くの氷室神社……そこに向かうことが決まったと美神さんが言っていた。そこが私の死んだ場所であり、そして前の時間では私がもう一度生きて、楽しい時を過ごす切っ掛けとなった場所……

 

【でも……私は……怖い】

 

怖い、そうだ。私は怖いんだ、生き返れないかもしれないってことが怖くて、横島さんの事を忘れたまま過ごすんじゃないか?そう思うと怖くて怖くて仕方ない。でも時間はもう待ってはくれない、死津喪比女が起こす天変地異ではない。ガープが引き起こす、本当に日本全体の危機……それは紛れも無く、前回よりも大きな事件であり、そして大きな被害を起こすかもしれない自体だ

 

「くっくー」

 

「くるっくー」

 

私の動きのせいなのか、眠っていた鳩が起きて鳴き出す。その姿に可哀想になり私は殆ど無意識に歌を口ずさんでいた

 

【この子の可愛さかぎりない。山では木の数、萱の数……星の数より、まだ可愛い……ねんねやねんねや、おねんねや……】

 

そして子守唄を歌いきった時、私は思い出した。前も同じことがあった……そして流れ星が……2つ!?前は1つだったのに……今は2つ、それが私に向かってまっすぐに向かってくる

 

【おキヌ、すまないが、お前の力を貸して欲しい】

 

現れた導師様の幽霊に、思わず身体が硬直する。だが少し間を置いて、落ちてきた流星の光が消え、そこから聞えてきた女の声に私の身体に広がっていた恐怖と、束縛感は完全に消えていた

 

【案ずることはない、お前を犠牲にすることは無いと誓う。だから私と導師についてきて欲しい】

 

そこにいたのは死津喪比女……によく似た巫女服の女性の幽霊。前はいなかった存在、そして無理やりに私を連れて行こうとした導師様が私の返答を待っている……

 

(やっぱり……そうなんだよね)

 

前とは違う状況、今までも何回もあった。それは私の時も同じなんだと思うと不思議と恐怖はなかった……今までだって最悪と言われる状況だって、皆と協力して何度も切り抜けてきた……その時に未来の記憶なんて何の役にも立たなくて、自分達の力で道を切り開いてきたと言う事を私は思い出した。怖がっていても、何も変わらない。自分の未来は自分で切り開く物なんだ

 

【判りました。私も一緒に行きます】

 

だから私は前へ進もう、怖くても、恐ろしくても前に進もう。その先にきっと素敵な未来がある、その未来を切り開く為に、隠れるんじゃなくて、恐れるでもなくて前へ進もう。私はそう心に決めて、導師様の手を取るのだった……

 

 

 

リポート28 切り開け、己の未来 その1へ続く

 

 




次回はセカンド最後の長編リポートとなります。スリーピング・ビューティを大胆にアレンジしていこうと思います、大きなイベントをいくつも書いていこうと思いますので、最終リポートもどうかよろしくお願いします。それでは次回の更新をお楽しみに!

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い

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