GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
その1
リポート28 切り開け、己の未来 その1
~横島視点~
おキヌが東京から消えて数時間後、凄まじい地震が東京を襲った。だがその地震の大半は物理的エネルギーではなく、霊的なエネルギーを伴った攻撃で東京中に雑霊や浮遊霊、そして地蔵などの霊的防衛装置に容赦なくその牙を剥いた
「な、ななな!?なんだこれえ!」
【動くな横島ッ!!!】
その凄まじい揺れに飛び起きた俺に心眼の動くなと言う怒声が響き、慌ててベッドの上に留まる。
【こういう時こそ落ち着いて行動しろ、寝起きで動けば必要の無い怪我をする。まず落ち着いて深呼吸をしろ】
心眼の言葉に頷き、1~2度深呼吸を繰り返す。すると寝起きでぼんやりしていた頭がしっかりしてくる、寝ていたから大きな地震に感じたがその震度は3か4程度、確かに揺れているがパニックになるようなレベルではない
【落ち着いたな、周りを良く見ろ】
俺以上にパニックになっているチビ達。小さい動物だから、弱い地震でも恐ろしく感じるのかもしれない
「おいで」
「み、みむう!?」
「ぴ、ぴぎゅうー!?」
【ノブノブー!?】
地震に驚いて飛び起きたチビ達がベッドの上に飛び乗ってくる、チビ達を宥めながら地震が終わるを待つが、5分経っても……10分経っても止まる気配が一向に無い。
「心眼……これもしかして」
【ああ、間違いないな】
ガープの言っていた日本の危機……それがこの大地震なのだ。緋立病院の事件から2週間……ガープがついに動き出したのだ
「……大丈夫か」
「あ、シズク……。シズクが何とかしてくれたのか?」
シズクが俺の部屋に入ってくると同時に地震が止まり、シズクが何とかしてくれたのか?と尋ねる。
「……神通力に反応しての攻撃だ、神通力を解除して、竜気に切り替えただけだ。心眼、お前も気をつけろ」
【助言感謝する】
神通力を竜気に切り替えたとか、良く判らないが、これがガープの攻撃であるのは明らかだった
「移動した方が良いか?
「……ああ、準備を急げ。着替えは多めにな、シズクタクシーで一気に向かう」
シズクタクシーは死ぬほど恐ろしいが、多分今は最も安全に移動できる手段だろう
「判った。シロとタマモに声を掛けてから移動しよう」
「……準備が出来たらリビングに来い、シロとタマモには声を掛けておく」
シズクの言葉に判ったと返事を返し、札を作る為の筆や墨に紙、それに眼魂や、トカゲデンワを鞄の中に詰めてビニール袋で包み込む
「せんせー、どうやって移動するでござるか?」
「これ絶対慣れないわよ。シロ、息止めてなさいよ?」
「え?どういうことでござるか?」
シズクタクシー初体験のシロに心の中で南無と呟き、シズクの周りに立つ。すると空中なのに水が発生し、俺達を包み込んでいく
「せんせー!?これはなんでござるかあ!?」
「とりあえず我慢した方が良い、終わってから説明する」
パニックになっているシロにそう声を掛け、俺達はシズクの作り出した水のドームの中に飲み込まれた
「「「げほがほっ!!!」」」
「……到着」
本拠地になっているだろうと予測したGS協会に一瞬で移動したのは良いが、全員びしょぬれで4つ這いで蹲る姿に丁度GS協会に訪れたであろう美神さん達の悲鳴が上がるのだった……やっぱりこれ駄目だ。本当に死に掛ける、ジェットコースターよりも凄まじい衝撃に気絶しそうだ
「横島、大丈夫?」
「……ごめん、無理……」
心配そうに俺の目の前にしゃがみこむ蛍に無理と言って、俺の意識は闇の中へと沈んでいくのだった……
~西条視点~
水に包まれてダイナミックに登場した横島君達、着替えこそしているが完全にグロッキーで背凭れに背中を預けていた
「大丈夫?」
「……大丈夫じゃない……吐く」
「うえ……気持ち悪いでござるよお……」
「耳の中に水が入って抜けないんだけど」
三者三様に弱りきっている、その姿に可哀想だとは思いつつも、今は情報整理が必要だ。琉璃君に令子ちゃん、唐巣神父等の今東京にいるGSが全員揃い、小竜姫様やブリュンヒルデさんをオブザーバーとして招いている。ガープが攻撃を予告していたが、それがこれなのかどうかを特定する必要もある
「まずは集まっていただきありがとうございます。早速本題に入りますが、本日未明に起きた震度3の地震。軽震にも関わらず余震が続き、不可解な被害が続出しています」
GS協会とオカルトGメンの力を使い、手に入れた日本各所の被害状況を纏めた資料を全員に配る
「嘘、この弱い地震で神社仏閣が崩壊って」
「ありえないわね」
「明らかに意図的と見るべきだね。私の教会も震度5か6くらいの振動だった、ブラドー伯爵が何とかしてくれたが、そうでなければ私の教会も倒壊していただろう」
「……ちなみに横島の家も凄い地震だったぞ」
神社仏閣、それに唐巣神父の教会も、横島君の家が地震の範囲に入ったのは少し気がかりだが、恐らくこれは神通力を目安にした広範囲攻撃だと思っている。
「小竜姫様。何かご意見はありますか?」
「まずこれですが、自然発生の地震ではなく、霊脈を利用した攻撃であることは間違いありません」
やはりか、小竜姫様の同意を得れたことで自分の考えが当たっていたという事を確信した。
「私とメドーサ、そしてシズクさんの3人で日本の土着の竜族の力を借りているので、この程度の被害ですが……時間を掛ければ」
「より強い地震が日本を襲うことでしょう」
今の地震でも凄い被害が出ている、だがそれで神魔の力を借りて軽減されているとなると状況は悪化の一途を辿ることになるだろうな
「西条、震源地の特定はもう出来ているんでしょうね?」
「ああ、それは地震があってすぐに特定している。オロチ岳の地下数百メートルが震源となっている」
「……氷室神社の近くですね」
今まで黙り込んでいた琉璃君が疲れた様子で呟く、震源を素早く特定出来たのもガープから与えられていた情報、そして氷室神社からの報告でもある。
「今回の地震は間違いなく霊障なワケ」
「うん~あのガープが言ってたって奴よねえ~」
ガープ陣営に囚われているであろう名も無き神霊、その神霊の力を使った大規模攻撃と見て間違いない。
「日本が沈没しているとかはまだ出てないわよね?」
「教授に分析を頼んでいるが、今の段階では問題ない。だが時間を掛ければどうなるか……」
海に浮かんだ島国……それが日本だ。名も無い神霊の力が未知数だが、大地に関係する神霊ならば、日本を沈めることなど容易いだろう。いや、まず間違いなく、ガープの目的は日本を沈める事にあるだろう
「それについてなんだけど、おキヌちゃんが姿を消したわ」
「おキヌちゃんが?どこか別にいるとかじゃなくてですか?」
令子ちゃんの言葉に横島君がそう尋ねるが、令子ちゃんの顔は険しいままだ。
(おキヌ君……か)
おキヌ君はオロチ岳の周辺の山を鎮める為の生贄として死んだと聞いている。つまり、今回の事件に関係している可能性は極めて高い
「琉璃、氷室神社の文献になりかありませんでしたの?」
「氷室神社は殆ど廃れてるから、霊能に関しての情報はちょっと……ただ何かを祭っているってくらいね」
廃れた神社だからこそ、琉璃君が自分の妹を隠す場所として選んだのだが、今回はそれが足を引っ張る。氷室神社が、霊能を伝えて入れば何か有力な情報を得る事が出来ただろうからね
「令子ちゃん、当初の予定通りに動いてくれるかい?」
「会議が終わったらすぐ出発できる準備は整えてるわ」
危険だと判っている場所に令子ちゃんや横島君を送り込まないといけない、その事に心を痛める。だがおキヌ君と最も縁が深いのは令子ちゃん達だ、彼女達以上の適役はこの場には存在しない
「すまないがすぐに氷室神社に向かって欲しい、小竜姫様。お願い出来ますか?」
「はい、判っています」
令子ちゃん達だけで送り出すのは危険だ。小竜姫様に付き添いを頼み、GS協会を出て行く令子ちゃん達を見送る
(相変わらず悪辣な手だ)
戦力を分散したくないのに、戦力を分散せざるを得ない状況を作り出す。神社仏閣が潰れた事で溢れ出す悪霊や怨霊、それは既に白竜寺の面子が調伏に向かっているが、地震が続けば新しい結界も意味を成さないだろう。
「では僕達がやることだが、日本を沈める事が出来る可能性を秘めた神霊は明らかに少ない、その神霊が暴れた過去の記録が無いか、それらを調べ令子ちゃん達に伝える。次に可能な限り被害を最小を抑える方法を全員で考えよう」
日本にいる以上、危険なのはどこにいても変わらない。全員が自分に出来る最善を行い、被害を最小に抑えようと告げ、東京を出た令子ちゃん達に続いて、僕達も行動に出るのだった……
~蛍視点~
美神さん、私、横島、シロ、タマモ、くえす、琉璃さん、小竜姫様にシズク、そしてノッブと牛若丸と言う11人で私達は白骨温泉の近くに来ていた。その理由は山神への生贄になったおキヌさんを祭っている祠か神社を見つける為だ。
「あのー氷室神社に向かわなくて良いんですか?」
「それは後でいいわ、まずは調べることがあるの」
氷室神社に行かなくて良いんですか?と尋ねる横島に美神さんが後で良いと言って山中に視線を向ける
「あっちが氷室神社でいいのよね?琉璃」
「ええ、あそこに見える山道が氷室神社の方角ですね」
木々が生い茂っているので、ここからは確認出来ないが望遠鏡で確認すると確かに整備された道が見える。あの先が氷室神社と言うのはあっているだろう
「横島君、牛若丸と信長に出て来てもらって」
横島が眼魂を取り出すと牛若丸とノッブが姿を見せる。
「悪いけど、2人で情報収集して来てくれる?今この森の中で何が起きているのかを重点的にお願い」
【了解です、山は私の庭みたいな物ですから!】
【横島ーメロンパンを頼んだぞー!】
やる気満々の牛若丸とメロンパンを頼んで、森の中に消えていく2人を見送り、持ってきていた地図を確認する
「琉璃は先に氷室神社に行ってもいいわよ?」
「いえ、私も先に調べるのに参加しますから」
GS協会の会長なのに、自分が一番危険な場所に出てきて大丈夫なのだろうか?それとも自分の妹が関係しているから、黙って待ってられなかったのか……多分その両方だと思うけど、琉璃さんが大怪我しないように気をつけないといけないわね。
「それで美神さん、どうするんですか?牛若丸とノッブちゃんが戻ってくるまで待機ですか?」
「ううん、私達は私達で捜索を続けるわよ。眼魂があれば、それが目印で戻ってくるだろうしね」
ちょっと酷い気もするが、仮にも英霊だ。私達よりも強さは上、どうなっているかわからない森の中を調べるのにこれ以上の適役はいないだろう
「……近いな、ここらへんに太い霊脈が通っているぞ」
「強い神通力を感じます。恐らくこの近くに祠があると思います」
シズクと小竜姫様の感覚を頼りにおキヌさんが祭られているであろう祠を探す。
「えっとつまり、山の神を鎮める生贄になったおキヌちゃんは祭られてるって事で良いんですか?」
「そうなりますわ、山の神と一体化することでおキヌもまた神の眷属として祭る事で祟りなどを押さえているのです」
どうしておキヌさんの祠があるのか理解していない横島に私とくえすで説明する
「若くして死んだからね。穢れ無き巫女の身体はいけにえとしても、人身御供としても優秀なのよ」
「……凄い胸糞悪い話なんだなあ……」
確かにその通りだけど、当時の霊能ではそれが限界だったし、今よりも神や魔物の定義があやふやだったのだ。生贄で神の怒りを鎮めようとした村人や、雨乞いをした者は多いだろう。おキヌさんもその当時では珍しくない、生贄に選ばれた1人と言うことだ
「駄目だぞ、うりぼー危ないからな」
「ぷぎゅ」
「みぎゅー」
こつんこつんとケージを叩いて外に出してとやっていたチビとうりぼーに駄目だぞと声を掛け、背中にケージを背負いなおす横島。本当ならうりぼーやチビの霊的感覚も何かの頼りになりそうなんだけど、もう少し状況を調べないと外に出せないのが現状なのよね。
「それって重くないんですの?」
「え?全然重くないですけど?」
今まで誰も触れてなかったことにくえすが触れる。それは私も気になっていたし、絶対美神さんや、小竜姫様も気にしていたと思う
【の?】
「チビノブは全然軽いから大丈夫だ」
【の~♪】
頭に両手足でしがみついているチビノブ、顔も横島の頭の上に乗せていて結構重そうなんだけど……妖精だから重さとかはあんまり感じないのだろうか?
「あのさ、話しているところ悪いんだけど、誰か近づいて来てるわよ?」
誰かが近づいて来ている……その言葉に思わず身構えてしまうが、タマモが全然警戒していない素振りを見せていると言う事は敵ではないのだろう
「普通の人間でござるよ、くんくん、ほんの少しだけ霊力を感じるでござるが……」
補足するように言うシロの言葉……他のGSがこっちに来ている。いや、そんな話は聞いてないし、可能性があるとすれば
「氷室神社の人間でしょうか?」
「その可能性はありますね。ちょっと場所を変わってください」
霊能が廃れていると言っても、古文書の類は残っているのかもしれない。それを元に誰かが来たのかもしれない、氷室神社の人間と顔見知りの琉璃さんに交渉を頼んで、私達は1度下がることにした
「あれま、琉璃さんじゃねえか!地震があったばかりになしてこんな所に?」
草木を掻き分けて姿を見せたのはショートカット姿のおキヌさんと少女の姿で思わず、横島がおキヌさんの名前を呟いた
「早苗ちゃん、貴女こそ危ないわよ。今何が起きてるのか聞いてないの?」
「父っちゃに言われて様子を見に来ただ、この近くには氷室神社が祭っている神様の祠があるらしくてなあ」
祠……間違いない、私達が探しているおキヌさんの祠に違いない
「悪いんだけど、その祠の近くまで案内してくれるかしら?」
「琉璃さん。この人達は?」
「いま日本を襲ってる地震について調べに来たGSよ、勿論私もその1人。悪いんだけど、案内してくれるかしら?」
怪訝そうにしていた早苗さんだが琉璃さんにも言われて、納得したのか私達の案内を始めてくれた
「結構きついけど、気をつけてな」
田舎育ちと言う感じでするすると山を登っていく早苗さん。正直荷物を持ったままでついていくのはきついわね……
「シロとタマモは悪いけど、ここで荷物を見てて、すぐ見て戻ってくるから」
「了解、でも念の為に結界くらいは用意して行ってよね」
「せんせー、気をつけていくでござるよー」
シロとタマモを荷物番に残して、私と美神さん、くえすとシズク、そして小竜姫様と横島と琉璃さんの7人でおキヌさんの祠を目指して、山登りを始めるのだった……
蝙蝠の使い魔からの映像を見つめながら、川に足を入れている神秘的な容姿の少女……レイは手にしていた鯛焼きを齧りながら山を登る横島達を見つめていた
「……まだ何も言われて無いし、鯛焼きも残ってるから勿体無い」
無表情のまま鯛焼きを齧り続けるレイ。だが良く見ると、その白い肌には包帯がいくつも巻かれていた
「まず横島よりも先に、あの妖精を何とかする。あれは……危険」
鯛焼きを食べたいから動かないのではない、受けているダメージが大きくて思うように動けないレイは鯛焼きを齧りながら、複数の使い魔が映し出す映像に視線を向ける。自分にダメージを与えたあの規格外の妖精達、横島達と戦うよりも先にあの妖精を何とかするべきだとレイは判断していた。
「氷室舞の捕獲は難しすぎる」
人間を一人攫うくらい簡単だろうとガープ様は言っていた。確かに氷室舞自身はただの人間で捕獲は容易だろう、だが、氷室舞を守っている妖精が強すぎる
「……これも単独じゃ使えない、役に立たないにもほどがある」
ぽいっと草むらに向かって投げ捨てられる眼魂、禍々しい赤と金の眼魂にはEのナンバリングと口を空けた蛇のような模様が刻まれていた
「もぐ……もう少し休憩して、それから考えよう」
1人でやれと命じられていたからこそ、レイは今回の事をガープに報告することは無かった。ガープもまた氷室舞の捕獲完了の報告を受けてから、新しい命令を出すつもりだった。それは氷室舞の捕獲が容易であると思い込んでいたガープのミスであり、レイ自身はガープの命令に従っているだけであり、横島達が現れたことを報告しないのも氷室舞を捕獲するまで連絡するなと命じられたことにしたがっているだけある
「美味しい」
善悪の区別がつかず、命じられた事を実行するだけのレイ。もしガープが横島達が現れたら連絡しろと命じていれば、何か変わったかもしれない、しかしこのオロチ岳で横島達と出会う事がレイに大きな影響を与えることになる事を、ガープは勿論、レイも知る由も無いのだった……
リポート28 切り開け、己の未来 その2へ続く
今回は導入回なので短めです、次回はおキヌちゃんの遺体を見つけ、氷室神社で話を聞く所までを書いていこうと思います。
そしてやっぱりガープから派遣されていたレイの存在に使えない眼魂など、大きく話が変わる要素は多数用意しております、このスリーピングビューティがどんな風に変わっているのかを楽しみにしていてください、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い