GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はインターバルでほのぼのの話を書いてみようと思います、ずっとシリアスだけでは疲れてしまいますので、ほんの少しの息抜きも必要ですしね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その10

 

 

 

リポート28 切り開け、己の未来 その10

 

~美神視点~

 

ブリュンヒルデのルーン魔術によって強化された、くえすの魔法で私達は無事に氷室神社に戻ってくる事が出来た……。だが、その代わりに大きな謎を山奥に残す結果となってしまったが……。

 

(あの仮面ライダー……見た事無かったわね)

 

別の世界の横島君に出会った時に見たどのライダーにも該当しなかった、1人似ていると言えば……白い鎧武者、確か……鎧武だっけ……?それのベルトに良く似た物を装備していたと思う。

 

「とりあえず、西条さんに連絡しておきますか」

 

横島君が行方不明になっている事は伝えていないが、敵の攻撃が本格的になってきているので、東京の方が心配になりGS協会に電話する。

 

『令子ちゃんか、そっちはどうだい?』

 

「……ぼちぼちって言うところね、ブリュンヒルデとビュレトが合流してくれたから、攻勢に出たい所だけど……」

 

レイから、横島君は御神体を預かったと言っていた。助けられたお礼として……信じられない事に残してくれたらしい。正直これを手にした事で、攻勢に出る事は出来るようになったと思うけど……本当に攻勢に出るかどうかは、今日のシズ達との話によるけどね。

 

『こっちは状況があんまり芳しく無くてね……躑躅院に救難要請を出す事になってしまった』

 

一瞬何を言われているか判らなかったが……主力が抜けている事を考えれば、西条さんの決断が苦渋の決断だったのはわかる。

 

「……向こうの要求は?」

 

『陰陽寮に見学に来て欲しいそうだ、冥華さんがいたから横島君1人ではないけど……』

 

横島君1人で陰陽寮に行く事になれば、全力で反対する。だけど、付き添いがいても大丈夫ならこちらもある程度は妥協しなければならないだろう。

 

「判ったわ、でもこの事は私の胸の中にとどめておくわね」

 

『……蛍君達には僕から言うよ』

 

これは西条さんの決定なので、私から言う訳には行かないのでこの話は聞かなかった事にしようと思う。

 

「それでもし攻勢に出るのならまた連絡するわ、もしかするとエミに協力を頼む必要があるかもしれないし……」

 

相手は神だが、御神体を失い、シズとおキヌちゃんが居れば霊脈の力もこちらにもっと引きこめるのだろう……。そうなれば、ただの獣か悪霊になる、そこをエミとくえすの呪いでさらに弱体化させるって言うのが妥当な所だと思う。

 

『判った、もし必要な物資があればまた連絡をしてくれ、冥子君に届けさせる』

 

「うん、よろしく。じゃあ、また後で」

 

普通に届けるのでは間に合わない、インダラかシンダラで高速で配達して貰うのが一番確実だし、敵に襲われても逃げ切れるわよね。私はもう一度西条さんに感謝の言葉を告げて、受話器を戻す。

 

「はぁ……」

 

広間に戻る前に溜め息を思わず吐いた……疲れているとか、心労とかそういうのじゃなくて……今私を悩ませている物……それは。

 

「「「……バチィッ!!」」」

 

視線が火花を散らしている蛍ちゃんとくえすと琉璃……そしてそれに気付かないというか、気付きたくないのか一生懸命チビの世話をしている横島君。そしてそんな横島君を怪訝そうに見つめているタマモとシロ……そして。

 

【これは面白い事になってきたのう……】

 

【まぁ、そうですね。見ている分には面白いですよね】

 

そんな横島君達を見ている英霊2人……山の中の一晩を過ごした訳だけど、琉璃が横島君にアプローチを掛け始めていていて……、一体山の中で何があったのか問い質しくなる。

 

「美神さん、東京はどうでしたか?」

 

「……私達が出る前はまだ防衛網を維持出来ていましたけど……」

 

私が戻るなりそう尋ねてくる小竜姫様とブリュンヒルデ、正直恋愛でギスギスしているあっちに合流するより、小竜姫様たちと話をしている方が精神衛生上良いと思い、私は横島君の助けを求める視線を無視して小竜姫様達のほうに足を向けるのだった……。

 

 

 

~蛍視点~

 

横島が無事に帰ってきてくれたのは何よりも嬉しいし、怪我こそしているけど命に別状が無いのも良かったと思う……良かったと思うんだけど……。

 

「「あ……」」

 

朝食の席で横島が醤油挿しに手を伸ばし、琉璃さんも同じタイミングで手を伸ばした。指先が触れた時にお互いの声が重なる、赤面する横島と余裕の表情の琉璃さん……その温度差はある。だけど、その反応を見れば山の中で何かあったのは明らかだ。

 

(……何が……何があったの……)

 

横島が動揺していて、琉璃さんは慈愛に満ちた表情……その表情と反応を見る限りでは私にとって最悪の状況に近いかもしれない。

 

「みみーむうー♪」

 

「ぷっぎぃー♪」

 

ご飯ご飯と言いたげに鳴いて横島に擦り寄るチビとうりぼー、それを見て助かったという反応をしている横島。完全に逃げに回っているけど……気付いていない訳が無い。

 

「……」

 

【……】

 

くえすとおキヌさんの2人は全身から黒いオーラを溢れ出せながら、貫かんばかりのジトっとした視線を向け……それに対して必死に目を背けているが、何時までも逃げれると訳が無いと言う事は理解して欲しいわね。予想に反してタマモは横島と琉璃さんを観察するような感じで、シロは何も判ってないという感じである。

 

「そんなに怖がらせなくても良いと思うんだけど?」

 

先に話を切り出してきたのは、やはり琉璃さんだった。朝食が片付けられ始めている机の上で、私はゴングの音が鳴ったように感じた。

 

「みーみー!!」

 

「ぷぐー、ぴぎー」

 

【ノーノーブー】

 

遊ぼう、遊ぼうと横島の回りにチビ達が集まっている。だけど、逃がしはしない。私達の無言の圧力で横島はその場に座ったまま、机の上にチビ達を乗せて、指を振ってチビ達と遊び始める。

 

「別に苛めている訳ではないですわ、ただ……何があったのか知りたい、ただそれだけですわ」

 

そう、そこである。元々琉璃さんは横島を気にかけていたのは知ってるけど……戻って来てからはもっと横島に甘くなったと言うか……好意的になっている気がする。

 

「何があったか……ね」

 

「……」

 

琉璃さんが横島に視線を向けると横島は首を振るう、懇願しているように見えなくもないリアクションだ。

 

(絶対なんかあった……ッ!)

 

その反応を見れば、山の中で何かあったのだと判る……と言うか、その反応を見て、何も無いと言う話を信じるというのが無理と言う感じだ。

 

「……別に横島をそこまでつるし上げる必要もないだろうに」

 

【人生は色々経験が必要じゃしなぁ……特に女を知る事は大事じゃろうなぁ】

 

あのニマニマしている信長を殴りたい……いや、多分眼魂に逃げると思うんだけど……一線を越えているとか本当無いわよね?私が色々考えている間に決着とか本当に止めて欲しいんだけど……。不安と嫉妬と横島を信じたい気持ちがない交ぜになる……と言うか、横島が本当に何も言わないので不安になる。

 

「……一線は越えてないわよ。ただ……横島君が低体温症で本当に死んじゃいそうだったから、私も恥ずかしかったけど人肌で暖めただけ。やましい事は何も無いわよ」

 

人肌で暖めただけとあっけからんと言う琉璃さんに少し驚いた、横島が気恥ずかしそうにしている理由も判った。

 

「……えうえう……」

 

横島が口を開きかけて、閉じて顔を真っ赤にしているのを見るとその光景を思い出しているのが良く判る。横島は案外純情だから、そういうのを多分まだ処理出来てなかっただけだと思う。

 

【暖を取る術がなく、横島も怪我で血を流しすぎていた。あの場合はあれが最善だったと思う】

 

心眼のフォローも聞いて、確かにその通りだと思った。横島の両手の皮は殆ど剥けていたし、足にも貫通寸前の刺し傷もあった。今は、その両方ともシズクに治療して貰って傷は無いけど、確かに状況はかなり不味かったと思う。

 

【とりあえず、横島さんが意識してるだけって事で良いんですよね?】

 

おキヌさんがそう言って欲しいと思っているのか、琉璃さんにそう問いかけた。だが琉璃さんは猫のような、笑みを浮かべた。

 

「あら。私はそんなにガードの緩い女じゃないわよ?横島君が好きだからしたのよ?」

 

「「「え?」」」

 

私とくえすと横島の驚いた声が重なり、琉璃さんはにこにこと笑いながら、横島にウィンクをした。

 

「横島君の事、私は好きよ?」

 

「え……え?」

 

「琉璃……ッ」

 

「ふふん」

 

状況を飲み込めない私と怒りを露にしているくえす、そして横島に微笑みかける琉璃さん。

 

「え、えーっとぉ?「言っておくけど冗談とかじゃないからね?私は本気だから」

 

琉璃さんの同性でも見惚れる様な笑みに本気だと判り、私もくえすも殆ど同時に声を荒げるのだった……。そして横島は、その怒声にびくりと背筋を正したと思うと、チビ達を抱えて逃げていった。とりあえず、横島はおいて置いて良し、問題は琉璃さんだ。

 

「あんまり嫉妬深いと私駄目だと思うなあ」

 

「……余計なお世話です」

 

「そもそも蛍は横島の彼女でもないんですからね」

 

【……琉璃さんもですか……はい、なんとなくそんな気がしていましたよ】

 

とりあえず、今この場にいる3人は敵……しかも私に持ってないものを持っている強敵……私はそれを改めて自覚するのだった……。

 

 

 

 

~タマモ視点~

 

チビ達を抱えて逃げて行った横島、こういう動きは本当に私の記憶の中の横島にそっくりだと思う。

 

「タマモ、なんで喧嘩するでござる?」

 

「とりあえず、そういうことがあるって覚えておきなさい」

 

人狼は一夫多妻はそう珍しい事ではない、むしろシロの父親のクロの考え方が余りにも人間に近い。そして、未来の記憶と現在の記憶の融合がしっかりしていないのか、シロの人格は微妙に現在よりだ。だから、自分が失恋したという経験に結びつける事が出来ないのだと思う。

 

【いやあーッ!良いな!面白くなって来たぞー】

 

【主殿は良い主君ですからね、私も鼻が高いです】

 

「……くだらない話だ。別に妻が1人と言うわけでも無いだろうに……」

 

……とりあえず、英霊2人と妻が複数いてもおかしくないと考えているシズクは無視して、横島を追いかけて見ようと思う。

 

(……まぁ、大体どこにいるか判るし)

 

蛍達の争いに巻き込まれても面白くないし、美神達の話に混ざるのはもっと面白くない。とりあえず、横島が何で逃げたのか……女子ばかりの環境から逃げて何をしようとしているのか、それを見てみれば横島が何を考えているのか判るだろう。

 

「別に横島は誰のものでも無いじゃない、だって今ですら彼女居ないのだし」

 

「……後から来たクセに」

 

「後も先も関係ないでしょう?」

 

「まあまあ、ね、落ち着いて」

 

「別に落ち着いていますよ? それより貴方もはっきりと言ったら?」

 

「じゃあ、言いますけれど今が大変な時に――」

 

その場のピリピリとした空気は知らない人が見ても重さで思わず吐きそうになるほどだった……。あの鈍感なシロでさえもこれはやべえって顔をしてるけど、爆心地が近いから逃げるに逃げれないで私を見て裏切り者って顔をしている。

 

(まぁ気付くのが遅れたのが悪いのよね)

 

最初は互いに嫉妬、それが徐々に焦りと殺気に変わっていって、殺気に気づいた時にはもう逃げられない状況になっている。

 

(こんなの別に慣れたくもないんだけどねえ……)

 

九尾の狐、そして妲己としての記憶はあんまり無いけど、それでも人の感情……とりわけ情念に関しては私は相当強いので、嫉妬を感じた時に逃げに回って大正解だ。

 

【あっはははッ!良いぞ!面白くなってきたのーッ!!】

 

【主殿のような人にはやはり豪胆な妻が必要だと思うんですよね】

 

【……なんで私の味方をしてくれないんですかぁッ!?】

 

……もう駄目ね、やっぱり早く席を立って正解だった。背後でどんどん大きくなる、瘴気めいた殺気を背に私は庭に足を向けるのだった……。

 

「ぷっぎっ!ぴぐー」

 

「1・2、1・2」

 

(……なにやってるの?)

 

庭でうりぼーの前足を持って、声を掛けながらうりぼーを歩かしている。これはちょっと……いや、こんなの想像できる訳が無い。思わず何をしてるのよと叫びたくなったが、それをギリギリで堪えた私を褒めて欲しい物だ。

 

「横島よ、お前の事で争っているのに逃げるのは、些か男児らしくないぞ」

 

「……ナナシ、めっちゃ怖いの。俺、ああいう空気駄目なんだ」

 

「ナナシ、お前に聞いていた横島と余りに違うんだが」

 

……なんで妖精の群れの中に混ざっているのに違和感が無いのかしらね。本当不思議なんだけど……まぁ不思議と言えば、ナナシとユミルも本当にいい勝負だと思う。

 

(あれ、どうやってるのかしら?)

 

霊力を具現化させて鎧にしているユミルとナナシ、決戦が近いからトレーニングをしていると思うんだけど、なんだろう。あのメカメカしい鎧は……どう考えても妖精が装備して良い鎧には思えない。

 

「では横島はあの3人が嫌いなのか?」

 

「ううん、嫌いじゃない。凄く好き」

 

……ナナシがカウンセリングを始めたわね。でも、これは好都合かもしれない。私が姿を見せるよりも男同士の方が……。

 

(あれ、ナナシって男?)

 

妖精って性別あやふやだけど、口調で多分男だと判断する。

 

「それは妻にしたいという好きか?」

 

「……わかんない」

 

判らないとしょんぼりとした様子で横島は返事を返しながら、チビとうりぼーを膝の上に乗せる。

 

「判らない……そうか、判らないか」

 

「うん」

 

「仕方あるまいって、男は女よりも精神年齢が幼い物だ。好きと言っても、好ましいと思うのか、愛しているのか判らないって事だな?」

 

ナナシの言葉にこくりと頷く横島、それを見てナナシは大口を開けて笑い出す。

 

「笑うようなことか?ナナシ……俺は、人の想いには誠実であるべきだと思う」

 

……あんな玩具みたいな顔をしているのに言ってる事は凄くまともね。

 

「俺は不誠実なのか?」

 

「いや、そう決断するには早い。お前はまだ、まだ今の関係性を壊したくないだけなのだよ」

 

これは結構的を得ているわね、仮にだけど横島が誰かと付き合えば、皆の関係性は大きく変わる。それを横島は恐れていると……、それは判らない話ではないと思う。

 

「俺はどうしたらいいんだろうか?」

 

「せいぜい悩め、悩んで悩んで、お前を好いてくれる者にどんな返事を返すか、それを精々考えるが良い」

 

ナナシは上機嫌に笑う、その姿はハムスターサイズとは思えないほどに好々爺と言う感じだった。

 

「そのうちお前が生涯添い遂げたいと思う相手も出来るだろうよ、行くぞ」

 

「……承知」

 

ナナシが私を見てにやりと笑い、ユミルと共に歩き去っていく……絶対、あれ私に気付いてたわね。好々爺と言うのは止めて、腹黒い爺さんだわ……。

 

「チビー、うりぼー、誰かを好きになるって難しいなー」

 

「みむう?」

 

「ぷぎゅ?」

 

……止めなさいよ、チビ達に話しかけてる姿ってどこからどう見ても、末期の一歩手前だから……いや、むしろそれだけ追詰められていると言うことなのかも知れない。

 

「横島」

 

私が声を掛けると一瞬肩を大きく竦める横島……その姿に怯えすぎとは言えなかった。多分今でも広間は魔窟状態だ、怯えるのは無理もないと思う。

 

「タマモか。どうかしたのか?」

 

「どうかしたってあんたが逃げたから心配して見に来たのよ」

 

心配して見に来たと言うと横島は悪いと頭を下げた。

 

「まぁ、横島が悪いわけじゃないし、少し寝なさいよ。酷い隈よ?」

 

【うむ、もっと言ってやってくれ、私が言っても聞かないのだ】

 

多分山の中の事を横島自身も上手くまだ処理できてないのだろう、大分性格が落ち着いたとは言え、元々横島は女好き。琉璃と抱き合っていた事を思い出せば、性欲をもてあますのは無理も無い話だ。

 

「ほら、すこし寝なさいよ」

 

「……あのタマモ?」

 

「なによ、美少女に膝枕して貰ってるんだから喜びなさい」

 

縁側に座り、横島の頭を半分抱え込むようにして膝の上に横にする。横島は何か言いたそうにしていたが、口を閉じて心眼をずらしてアイマスクの変わりにする。

 

「……少し寝るわ」

 

「うん、そうしなさい。まだ全部終わったわけじゃないんだからね」

 

横島は多分次の戦いには参加できない、身体は大丈夫でも霊体はボロボロだ。とても戦いに参加できる状態ではない、私の膝の上でもう寝息を立て始めた横島の頭を撫でる。

 

【出し抜いたという所か?】

 

「そういう言い方は好きじゃないわね」

 

横島の事は好きだ、だけどこの好きは未来の私の好きで、今の私の好きはきっと家族としての好きだ。その2つが混じっていて、自分でもこの好きが異性として好きなのか、それとも家族として好きなのかが判らなくなる時がある。多分、子狐の時から一緒にいたからそうなってしまったと思うんだけど……これが嫌だと思わないから不思議なのよね。

 

「……ふあ、私も寝よう」

 

陽射しが暖かいし、正直私も横島が戻ってくるまで心配であんまり寝てなかったし……私も寝ようと思う。チビ達ももう、横島の側で丸くなってるから、このまま皆で寝てしまうのも気持ち良いだろうと思い、私も目を閉じるのだった……。

 

 

 

 

 

~優太郎視点~

 

 

ビュレトとメドーサが氷室神社に向かった事で、東京の戦力は間違いなく落ちている。だがそれに対応するように、敵の攻撃も緩くなってきている……。

 

「ガープめ、何を考えている」

 

ガープは研究者だが、それと同じくらい軍師としての能力も高い。普通ならば、ビュレトとメドーサが抜けた事で戦力が落ちた東京を攻めに行くはず……だがそれをしないと言う事が気がかりだ。

 

「何か、また手を用意しているのか?」

 

まだ東京にはゴモリーとダンタリアンの2人と三蔵法師、そしてアルテミスとオリオンが駐在している。正直ダンタリアンと、アルテミスは戦力として未知数だ。それゆえに攻め手に欠ける……。

 

「いや、無いな」

 

自分で考えておいてこれは無いと断言できる、アスモデウスが共にいる以上その多少の不利なら強引に押し通すだけの突破力がある。アスモデウスには正直それだけの戦闘力があるのだ……そこにアスラが加われば、直接戦闘に秀でていないメンバーが多いので強引に制圧する事は可能なはず……。

 

「駄目だな……判らない」

 

複雑な戦術なのか、それとももっとシンプルな戦術なのか……ガープの打ってくる手はとても複雑でどうしても相手の考えを読む事が出来ない。

 

「……氷室神社が目的とも考えにくい」

 

名も無き神霊がいると聞いているが、正直それがどうしたと言うレベルだ。横島君を確保するとしても、本気を出していれば疾うの昔に確保出来ている筈。

 

「泳がす事に意味があるのか……?」

 

横島君は戦闘の中でその才能を開花させてきた……文珠に開眼しているが、ガープはそれよりも上を求めているのか……?

 

「太極印型文珠……か?」

 

前の世界でルシオラの霊基を取り込んだことで横島君が開眼した、文珠の進化形態……あれは私にはかすり傷程度の傷だったが、人間で考えれば最強の霊具と言える。

 

「いや、待てよ……」

 

ガープは太極印型文珠の事を知らない、そして今の横島君には魔力だけではない、神通力、竜気、妖力が加わっている。

 

「……更に上を作り上げるだけのポテンシャルを持たせようとしているのか」

 

ガープの事だ、文珠については研究し尽くしているだろう。そして文珠は横島君の霊力から作られている、そうなれば横島君の魂の状態をダイレクトに受ける。

 

「……五極文珠……か?」

 

魔力と霊力で太極印型文珠が生まれた、もしも、もしも横島君が今回の世界でも太極印型文珠に辿り着く事があれば、それは魔力・霊力・竜気・神通力・妖力が練りこまれた5種類の力を持つ、前よりも強力な文珠……名付けるのならば5極文珠とでも呼ぶべき物にに進化する――ガープはそれを考えているのか?

 

「いや、違う」

 

そこまで考えた所で違うと気付いた、そもそも太極印型文珠を知らないのだ。ありもしない力を求めるような真似をガープはしない。だが……横島君が持ち合わせている5種類の力。これが横島君をガープが攫おうとしない理由の様な気がしている……。

 

「……とりあえず試してみるか」

 

キーボードを入力して、魔力・霊力・竜気・神通力・妖力を設定して、それを観測装置で逐一データ取りをして見る。

 

「これで何か判るかもしれないな」

 

ガープの目的を知るためにも、思いついた事を試してみる事は決して悪くないはずだ。それに、これで文珠が生まれる事も無いだろうし、それに何か起きたとしても、危険な事など起きるわけも無いだろうしね。

 

「もしもし?」

 

観測装置の設定を終えると電話が鳴る、この電話と言う事はGS協会か、それとも令子君か……それともドクターカオスかな?と考えながら受話器を手にする。

 

『ああ、すまんの優太郎。少しばかり協力して欲しいんじゃ、GS協会に来て欲しい』

 

「判りました、直ぐに伺います」

 

私は魔神と言う事を明かしているが、立場的には一般人と言う事になっている。こうして、呼び出されたという事は魔神としての私の知識を求めているのか、それとも霊具を販売している芦コーポレーションの社長としての私を必要としているのか……GS協会に行ってみる事にしよう。蛍から話は聞いているが、それでも手に入らない情報も多い。サポートするにも、正確な情報は必要だ。

 

「父さん、どこか行くのかい?」

 

「ああ。少し出かけてくるよ、それと悪いんだが蓮華。私の研究室の机の上においてある、観測装置。あれの分析を頼むよ」

 

特に危険な事も無いだろうし、蓮華に経過観察を頼んで私はビルを後にするのだった……。

 

「……23時45分、特に変化はなしっと」

 

優太郎に記録を取る様に言われていた蓮華は真面目に記録を取っていたが、反発しあう5種類の力は統合されるわけも、大きな変化もある訳はなく、先ほどの電話で記録を取るのを止めて良いと言われていた事もあり、その記録を最後にして地下の研究室を後にした……。

 

「……1つ目の鍵は手にした」

 

蓮華が消えた地下研究室に突如現れるフード姿の男の姿。その視線の先には、反発しあう霊力があった。だが、男はそれを見て笑みを浮かべると、服の内側から取り出した罅割れた眼魂をその中心においた。すると、魔力・霊力・竜気・神通力・妖力は全て、罅割れた眼魂に吸収されていき、罅割れた眼魂は僅かに虹色の輝きを放った。

 

「……まだ足りないが、1つ目の鍵は手にした、2つ目もそう遠くない内に手に入るだろう」

 

先ほどの輝きはないが、それでも男は満足そうに頷くと再び機械を操作して5つの力を発生させ、現れた時と同じ様に闇の中に溶ける様に消えていくのだった……。

 

 

優太郎はカオスに呼ばれてGS協会に向かったのだが、そこで思わず気を失うほどの衝撃を受ける事になった。

 

「……」

 

3人の土着の竜族が魔法陣の中心に座っているのはまだ判る。東京の地震の被害を抑える為と言うのは判る。

 

疲労で息が荒いのも判る。

 

だけど魔法陣の周りに並べられた横島君の写真とかポスターとかは一体……。

 

「なんか……横島のファンらしくてな」

 

「東洋の龍は俗物なんだな」

 

迎えに来てくれたカオスとブラドー伯爵が何とも言えない表情をするが、優太郎も同じ様な表情をしていた。ついに直接会わなくても人外を魅了するようになったのかと絶望半分の表情を浮かべる。

 

「終わったら褒めて貰える」

 

「凄いって言って貰える」

 

「頭を撫でて貰う」

 

地震を最小の被害を抑えて褒めてもらうとぶつぶつ呟いている竜族はなんか凄い怖かった。

 

「あれ、横島君に会わせたら駄目だと思う」

 

「ワシもじゃ」

 

「ジャパニーズ変態だな」

 

辛辣すぎるが、それに関しては優太郎は何も言えなかった。

 

「滾ってきた!!」

 

「ふううううーーーッ!」

 

「やべ、涎出てきた」

 

駄目だ。手遅れ過ぎる……完全な変態トリオに横島を会わせることは出来ないと優太郎達は心の中で決意するのだった……。

 

 

 

 

リポート28 切り開け、己の未来 その11へ続く

 

 




琉璃がトトカルチョに本格参戦しそうになっております、それ以外の視点も今回はあんまり話が動かずのんびりとした話になりました。最後は怪しいフラグを立てましたけどね、次回は作戦会議と戦闘開始までいけたらと思っております。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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