GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は大樹生命の危機を書いて行こうと思います。一般人が夜の吸血鬼と人狼相手にどこまで逃げ切れるか?まぁまず無理でしょうね。大樹が助かる道は百合子の説得ですが、そこがどうなるかを楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その4

 

リポート3 父来る その4

 

 

薄暗闇の中男性の悲鳴が街の中に響き渡る……言うまでも無く大樹だ。そして大樹を追いかけているのは勿論クロとブラドー伯爵の2人だ

 

「うおわあああああ!?俺が何をしたああ!?」

 

空を飛びながらコンクリートを穿つ漆黒の弾丸を放つ男と両手から光の刃を出して追いかけてくる着物の男に向かってそう叫ぶと

 

「「不義者死すべし、慈悲は無い」」

 

目が紅く光っているのを見て、交渉するのは無理だと悟り。更に百合子から不倫の話を聞いたのだと悟ったが

 

(殺し屋を雇ったのかぁ!?)

 

帰国して直ぐのこの急襲撃にそんな突拍子も無い事を考えながら、どうしたら百合子に許して貰えるかを必死に考えながら全力で走り続けるのだった……

 

 

 

おキヌちゃんから百合子さんが帰って来ている事とくえすも挨拶に来ているという話を聞いて、私はしまったと思った

 

(参ったなあ……除霊を入れるんじゃなかった)

 

ちょうど除霊に行くときに尋ねてきたので、かるく話をしただけで分かれてしまった。その後除霊の疲れもあり少し仮眠をしていたので完全にタイミングを逃してしまった

 

(とりあえず明日挨拶には行った方が良いわね)

 

横島君を預かっているわけだし、それに私が送った手紙の内容の事もある。横島君の両親がガープの人質にならないように手を打つ必要があるとは思っていた

 

【オーナー。横島さん達が凄い勢いで階段を駆け上ってきます】

 

いっちゃんの言葉と私の事務所の電話が同時になった直後。応接間の扉が弾け飛び

 

「美神さん!馬鹿親父が不倫してて、クロさんとブラドー伯爵が激怒して追い回しているんです!どうすればいいですか?」

 

血相を変えて叫ぶ横島君。恐らく電話の相手は琉璃で暴れているクロさんとブラドー伯爵を止めてくれと言う内容だと悟り私は深く溜息を吐きながら電話を取るのだった……やはり電話の相手は琉璃でクロさんとブラドー伯爵を止めてくれと言う内容で更に溜息を吐くのだった……

 

「んで?くえすも協力してくれるの?」

 

バンに乗り込んでいるくえすにそう尋ねるとくえすは肩を竦めながら

 

「乗りかかった船って奴ですわ。どうせ暇ですし、協力しますわ」

 

……これ絶対あれよね。百合子さんの評価を上げようとかそう言うのを考えてるわよね。でもまぁ……始祖の吸血鬼相手だからくえすが居るのは正直ありがたいし……

 

(横島君が居れば協力してくれそうね)

 

横島君が頼めば嫌そうな顔はしても確実に協力してくれるだろう。まぁシズクとか蛍ちゃんが嫌そうな顔はするだろうけど……魔法使いとして最高峰のくえすが協力してくれるのは正直ありがたい。今後難しい除霊を入れるときに助っ人として協力要請をして見ても良いかもしれない

 

「それで不倫って聞きましたけど、そんなに酷かったんですか?」

 

運転しながら尋ねると百合子さんは目が全く笑ってない笑顔で

 

「私が確認しているだけでも10人以上ですかね?だから離婚するって言って日本に戻ったんですよ」

 

その言葉を聞いて私は死ねば良いんじゃないかな?と思った。多分くえすと蛍ちゃんも同じだろう、妻が居て、息子が居るのに10人以上と不倫。同じ女としては許せる訳が無い。離婚する理由として聞いても直ぐ納得できる

 

「俺も死ねば良いと思うんですけど……流石に本当に殺されたら困るし……」

 

横島君が気まずそうに言うと、シロとタマモが励ますように擦り寄っている……まぁこれは横島君に関係の無い話だし、今回の事で不倫が駄目と思えば、大人になっても不倫をするような真似はしないだろう

 

「……ほら、横島。精霊石だ、クロの説得はシロが必要なはずだからな」

 

シズクから精霊石を受け取った横島がシロの首に掛けてやるとぽんっと言う音を立てて、白い子犬が着物を着た少女の姿になる

 

「せんせー、申し訳ないでござるよ。父上は本当は優しい人でござるが、母上と死に別れているので不誠実な男は死ぬほど嫌いでござるから」

 

ごふっ……子犬が人間に……あ、そうか精霊石で霊力を増幅してるのね。シロが出来るならタマモも多分出来るはず……それならもっと戦力が安定するかもしれないわね

 

【美神さん。街を出て行くみたいです。こっちです!】

 

おキヌちゃんに先に様子を見てきて欲しいとお願いしてあった。なんせ移動しているのだからまず見つけることが最優先だからだ

 

「了解!飛ばして行くわよ!」

 

流石に民間人の殺害となるとGS協会も私も動かざるを得ない。ブラドー伯爵も、人狼族も味方にしたい、だからそれだけは阻止しなければ……不倫し、それが妻と死に別れた男の逆鱗に触れたなんて自業自得も良い所だ。本当なら助けるつもりなんて微塵も無いが、今後の事を考え嫌々だけど助けに向かう事にするのだった……

 

 

 

ちぃっ見失った……我は翼をマントに戻して地面に降り立ちながら舌打ちを打った。横島もその母である百合子も良い人間だった。それなのにその夫は不倫を繰り返していると聞く、その様な不誠実な男を許すわけには行かない

 

(呪いを掛けてくれる)

 

不能にした上で、特定の行動をしたら全身に激痛が走る呪いを掛けてやると心に決め、追い回していたが、まさか見失うとは……横島の父親なのだから普通じゃないと思っていたが、まさか閃光弾を落ちていたゴミで作り上げるとは……

 

「む?ウェアウルフか、お前はどうだ?」

 

我と一緒に馬鹿を追いかけていた狼男にそう尋ねると、狼男はそれは違うと呟いてから

 

「ウェアウルフではござらん。人狼のクロだ」

 

同じなのだが、クロと名乗り。人狼と言うことに誇りを持っていると判ったので謝罪し、クロと名前を呼び

 

「それでどうだ?気配はするか?」

 

「いや、気配は感じないでござるな」

 

街中から林の中に追い込んだが、まさか吸血鬼と人狼の索敵をすり抜けるとは……正直恐ろしいな

 

「だが問題は無かろう。逃げることは出来ないのだから」

 

周辺の蝙蝠を使い魔にし、林の外に配置した。これで林から逃げることは出来ない、後はのんびりを追いながら

 

「不誠実の罪を償わせればいい」

 

「うむ、同意するでござるよ。横島殿も百合子殿も良い人間でござる、そんな息子と妻を裏切るような男は許せぬ」

 

やはりこの男は信用出来る。我自身も貴族であるが故に妾を取れという話があったがその都度に激怒した。我には妻1人で十分だった。愛する息子と娘……それで十分であり、他に女が欲しいと思うことは無かった。夫として妻と子供、そして家を守るのは当然の事なのにそれを放棄する。断じて許せぬ

 

「追いつかれる前に処置しよう」

 

「うむ。その通りでござるな」

 

追いついてくれば我とクロを止めるだろう。その前に徹底的に恐怖を植え付け、そして呪いを掛ける。そうすればまた不義を行うと言うことは無くなるだろう……

 

「ではまず燻り出すとするか。離れよ」

 

両手を広げ呪文の詠唱に入ると同時に、林の奥から何かが投げられる。それはにんにくであり、それを蹴り飛ばしながら

 

「くだらん」

 

始祖の吸血鬼ににんにくなど効くものか、流水だって何の問題も無い。それ所か向こうから自分の居場所を教えてくれた

 

「では狩を始めよう」

 

「うおおおおおんッ!!!!」

 

呪文で炙り出す必要が無くなったのでこの後は直接追えば良い。クロも同じ意見なのか遠吠えを上げる、がさがさと逃げる音を聞きながら我とクロは愚か者を追い林の中を駆け出したのだった……

 

 

 

スーツをあちこち林に引っ掛けながら走る。ナルニアで逃げている時は10人からも逃げ切ったが、今日本で俺を追っているのは2人。たった2人なのだが、その2人が唯の人間ではなかったことが最大の問題となっていた

 

「さあ悔いろ!百合子の前に突き出す前に死の恐怖を教えてやろう!」

 

「あれほどのよき息子と妻を持って不義を行うとは、恥を知れッ!!!」

 

明らかな人外だ。鋭く伸びた犬歯と犬の耳を持つ男。間違いなく吸血鬼と狼男……恐ろしすぎる組み合わせだ。慌てて茂みの中に隠れて息を整える。流石に走り続けていて疲れた

 

(忠夫の奴か?忠夫の奴が呼んだのか!?)

 

手紙には忠夫は人外と仲良くなるのが上手いと書いてあった。だから俺が百合子を追って来ると悟って呼んでいたのかもしれない……そんな事を考えていると俺が隠れていた茂みが燃える

 

「あちちちちち!?!?」

 

スーツに燃え移ったので慌てて地面を転がり消火すると。今度は鋭い風切音と共に拳が振るわれる、頭を抱えてしゃがむと木がまるでだるま落としの様に吹き飛ぶ

 

(あんなの喰らったら死ぬぞ……)

 

柘榴のように頭が消し飛ぶ。そんな末路を想像し、思わず冷や汗が流れる

 

「妻が居るのに不義を繰り返すような男は不能にしてやるのが1番良い」

 

ふ、不能!?そ、それでは折角向こうで仲良くなった女性と夜を過ごす事が出来ない。折角やっと口説き落としたというのに!?

 

「また不埒なことを考えているでござるな。刀が無いのが悔やまれる」

 

いかん……本当に去勢される……だらだらと冷や汗が流れるのが判る

 

「刀など無くても問題ない、これでも我は始祖の吸血鬼にして魔法使いだ。不能の呪いとそれに伴う激痛の呪いを掛ければそれで事足りる」

 

良い提案だと笑う狼男。全然良い提案なんかじゃないぞ!?何にせよ、逃げて逃げて、逃げまくって百合子と話し合わないと……いや、許してくれる、くれないは別にしろ。このままこの2人が俺を追い続けていれば交渉の余地無く去勢され、殺されかねない。助かるためには百合子に会わなければ話にならない。だが紅い刃が喉元に突きつけられているので、動く事が出来ない

 

「それよりもだ。さっきから凄い霊力がこっちに向かっているのがわかる。時間を掛けるとこの愚か者に制裁を加えることができない」

 

もしかしてGS協会から救助が来てる!?もしそうならばここを逃げる事が出来れば助かるチャンスは十分にある。やはり人通りの多い所を逃げ回ったのは正解だった……誰かがその惨劇を見て通報してくれたに違いない

 

「そうでござるな。匂いからして横島殿と百合子殿が向かって来ている、時間を掛けるのは愚策でござるな」

 

百合子と忠夫がこっちに来ている、なんとか忠夫をこっちに引き込む事が出来れば助かる。その為にはまずこの首元の刃から逃れ時間稼ぎをしなければ!

 

「くらええ!!!」

 

さっき拾ったゴミで作った最後の閃光弾を懐から投げる同時に、全力で走る。しかもただ走るだけではない。数秒で復帰し追いかけて来た男達の悲鳴が響く

 

「ふっはははははっ!!!ただ俺が逃げ回っているだけと思ったかぁ!」

 

林に追い込まれたのではない、林を選んで逃げたのだ。そしてそこで罠を仕掛ける、落とし穴に木の枝を作った槍を放つ罠。この程度の罠15分もあれば楽に設置できる。後は忠夫や百合子が来るまで逃げ続けるだけだ!その後は泣き落としでも何でもいいので許して貰う!それで何とかなる!俺はそう考えながら、罠を作動させながら林の中を駆け回るのだった……

 

 

 

林の中で追いかけっこが起きていると聞いて居たんだけど……事態はそれよりも遥かに酷い事になっていた

 

「これ火事じゃない」

 

林が燃えて、ぱちぱちと音を立てている。一体何があったと言うのだろうか……と言うか消防車!公衆電話を探していると

 

「シズク。出来る?」

 

「……任せろ」

 

シズクちゃんが一歩足を踏み出し、両手を向けると大量の水が放たれ、一瞬で消火する。水神様ってこんなに凄いのね……目の前の光景に思わず絶句する

 

「ではせんせー!拙者が案内するでござるよー」

 

都内の林とは言え、中々入り組んでいる。逸れる可能性を考えたのか、鼻をヒクヒクさせて歩き出したシロちゃんの後を追って林の中を歩き出すのだった

 

「みむ。みみみうー」

 

「うきゅーうきゅきゅー」

 

頭の上にタマモを乗せ、腕の中にチビとモグラちゃんを抱えている忠夫だけど。チビちゃん達がその腕の中で暴れている、どうしたんだろうか?と思って見つめていると

 

「駄目や。まだ火の粉がちらちらしとるから怪我するで」

 

ああ、どうやら林の中で遊びたかったんだろう。だから下ろして下ろしてと暴れているのだろう。駄目っと怒られて大人しくなるチビちゃん達に思わず苦笑する

 

【えっとですね。横島さんのお父さんが追いかけられるので罠を仕掛けていたらブラドー伯爵が怒って】

 

【横島の父は馬鹿か?吸血鬼を怒らせてどうする?】

 

おキヌちゃんの話を聞いて、忠夫のバンダナに目が浮かんで驚いていると忠夫がああっと納得した様子で

 

「心眼先生って言うんだ。神様のお師匠様がくれた凄い使い魔なんだ」

 

神様の師匠って……いや、何も言うまい。ここ数日見ていたが確信した。忠夫がエロ関連を捨てて、優しくなった事で本来隠されていた部分が表に出てくるようになったんだろう。人を集める才能や人に好かれやすい人柄と言う所が……

 

(蛍ちゃんも大変よね)

 

話してみたが神宮寺さんも多分忠夫が好きだろう。シズクちゃんは言うまでも無い、もしかすると知らないだけでもっと大勢の人間に好かれているのかもしれない

 

「忠夫、あんたは不倫するような男になったら駄目だよ」

 

馬鹿亭主みたいになるんじゃないよ?と怒ると忠夫は笑いながら

 

「俺はそんな事はしないよ。俺、母さんが泣いてるの見たことあるし、結婚したら奥さんを大事にするよ」

 

隠れて泣いているつもりだったが、忠夫はそれを知っていたのか……ちょっと驚いた。私のそう言う姿を知っているから忠夫は多分不倫はしないだろう、あの馬鹿亭主がちゃんと反面教師になっていて良かった

 

「「……」」

 

蛍ちゃんと神宮寺さんが互いに睨みあっている。忠夫が不倫する心配は無い、なら後は妻になるだけだと思っているんだろう……しかし忠夫はこの雰囲気に気付いた素振りも見せず、周囲を見て顔を青くさせながら

 

「クロさんとブラドー伯爵ってなんかの罪になりますか?これちょっと洒落にならないと思うんですけど……」

 

地面から生えている巨大な槍を見て、忠夫が心配そうに美神さんに尋ねる

 

「うーん……殺害とかしてないなら大丈夫だと思うわよ?放火はちょっと不味いけど、シズクが消火してくれたしね」

 

クロさんとブラドーさんの事を心配し、少しだけ馬鹿亭主の心配をしていた。その光景を見て少し頭痛がした、子供の時から叱り過ぎたのか、忠夫は自己評価が恐ろしいほどに低い。これは間違いなく私の責任だ、叩いて伸ばす育て方をしていたのだが、叩きすぎて、伸びる前に忠夫が潰れてしまった……これは正直反省している。そして多分そのせいで自分が好かれているとも思えないのだろう……これで自分が好かれていると思って、手当たりしだいに手を出したりしなかったことに安堵しながら、やはり自分の教育方針が間違っていたということを目の前にして

 

(ごめん。私の所為だわ)

 

家の忠夫を好いてくれている蛍ちゃん達に心の中で謝る事しか出来ないのだった……

 

「ブラドー殿。突然の雨で焼き土下座が出来ないでござるよ」

 

「仕方あるまい、また火を起すか、それともあれか、槍の上で槍土下座でもさせるか?」

 

林のかなり奥の方で土下座している馬鹿亭主と焼き土下座に槍土下座と言う恐ろしい単語を口にしているクロさんとブラドーさんを見て、ギリギリ間に合ったのかと安堵する

 

「父上!不義を行っているのが許せないのは判りますが、せんせーの父上を殺そうとするのは良くないでござるよ!」

 

「むっ……し、シロ……」

 

このままだと焼き土下座をさせようとすると悟ったのか、シロちゃんが止めに入る。第3者の声が聞こえたので家の馬鹿亭主が顔を上げ、忠夫の隣の蛍ちゃんと神宮寺さんに美神さん、そしてシズクちゃんを見て

 

「忠夫!お前それだけの美少女を侍らせて恥を知れ「恥を知るのは、お前やこの馬鹿亭主!」へぐう!?」

 

顔を上げた馬鹿の頭に踵落しを叩き込み、無理やり地面とキスさせるのだった……

 

「日本に来たなら丁度良いわ。離婚届はサインしたんやろ?」

 

離婚届にサインしたんやろ?と尋ねると馬鹿亭主の頭を踏みつけながら訪ねると

 

「むひゃであす(まだです)」

 

「はあ?そんなに不倫ばっかしたいなら、離婚して向こうで結婚せいや」

 

「ひゃひや(嫌)」

 

どうして私はこんなのを好きになったんだろうねぇ……本当あの時の自分が判らない、ただ今も離婚したいと思っているが、反省しているならと思う自分も居る。本当に人の心は複雑怪奇だ

 

「俺侍らせたりしてないよな?俺馬鹿親父と一緒とか嫌なんだけど」

 

心底嫌そうな顔をしている忠夫。確かに傍から見れば忠夫が複数の少女を侍らせているように見えるが、実際は違うし……この馬鹿が余計な事を言うから忠夫が困っていると思い、頭を更に踏みつける

 

「そんな訳無いじゃない?気にしすぎよ」

 

「……私は居候だしな」

 

「私は唯の付き添いですし?」

 

【私は幽霊ですしね……横島さんの側が居心地良いんで一緒に居ますけど。そう言う風に思ったことは無いですよ?】

 

蛍ちゃん達もそんな風に思っていないので違うと言う、その言葉で安心したような表情をしている忠夫。女好きなのは馬鹿亭主に似てしまったが、ちゃんとしっかりとした考えを持ったことに安堵する。これで性格まで馬鹿亭主と同じだったら、それこそ蛍ちゃん達に手を出しまくって、それこそ妊娠とかをさせていたかもしれないと思うと、ゾッとする。それと同時に馬鹿亭主に似て無くてよかったと本当に安堵したが、もう少し女心を学んで欲しいと思った、安堵した表情を見て蛍ちゃん達が面白く無さそうな顔をしているからだ

 

「ブラドー伯爵。今日本は大きな事件の後で混乱しているんです、軽はずみな行動は控えてください」

 

「むっ……すまぬ。頭に血が上った」

 

美神さんの説得でブラドーさんが落ち着いた所で踏んでいた頭から足をどけると

 

「すまん!すまん!百合子!忠夫!すまん!俺が悪かった」

 

何度も土下座しながら謝る旦那。相当怖い目に合ったのか、ガチ泣きしてる

 

「なー?親父。本当不倫とか止めろよ?別に離婚するのは良いんだけど、離婚が嫌なら不倫なんてするなよ」

 

忠夫が呆れた様に言う。本当にその通りだ、不倫するって事は結婚生活に文句があるということだ。それなら離婚しても私は本当に構わないのだから。溜息を吐きながら旦那に問いかけた

 

「反省してる?」

 

「死ぬほど反省してる」

 

「不倫しない?」

 

「しない!!」

 

うーん。今までの離婚騒動の中では1番反省しているようだけど……ころっと忘れてまた不倫をするのがいつものパターンだ。だから、今回は罰を与えるだけで許そう……まぁめちゃくちゃきつい罰だけど

 

「ブラドーさん。呪いだけ掛けてくれます?それで今回は許すって事で」

 

不能の呪いと不義を行うと放電する呪いを旦那に掛ける事で、とりあえず今回の離婚は取り消すことにし……

 

「私達夫婦の事で迷惑を掛けて、大変申し訳ありませんでした」

 

美神さんや蛍ちゃん達に迷惑を掛けた事に頭を下げながら謝罪するのだった……

 

 

 

親父の不倫の謝罪の後は皆でレストランで夕食を食べ、その後に親父とお袋は美神さんと話があると言って事務所に向かい、俺は神宮寺さんを家に送ってから家に戻った。そして翌朝、朝一番で親父とお袋はナルニアへと帰って行った。親父が魂まで抜け落ちたかの様な顔をしているが妙に印象的だった。まぁそれもそのはず、その日今朝のニュースと新聞の一面には

 

『不倫を繰り返す亭主に制裁を加えた愛妻家「人狼」と「吸血鬼」』

 

『不誠実な人間よりも、誠実な人外の夫』

 

『自分を助けてくれた若きGSに恩返しの為に来日』

 

などと言うニュース番組と派手な見出しの文字が躍っていて、お袋もニュースの音量をこれでもかと上げるので、普段は飄々としている親父も今回はかなり懲りたのか、肩を落として味噌汁を啜っていた。その姿がやけに印象的だった。ついでに言うとブラドー伯爵はと言うと

親父に不能の呪いに始まり、様々な呪いと制約を刻み込んだ契約書で親父の行動のほとんどを封じ込めた後。牙を見せ付けるように笑い

 

『暫くは日本に滞在し、ピエトロを鍛える。我が英知が必要な時は尋ねて来い』

 

と威厳たっぷりに言い放ち、帰って行った。多分唐巣神父の教会に居るだろうから今度困った事があったら相談に行こうと思う。そして今俺は蛍と一緒にランニングの前にクロさん達の見送りに来ていた

 

「ではな、横島殿、これからも励み良き霊能者となれ」

 

「せんせー、もっと大きくなったらせんせーの内弟子になりに来るでござるよー」

 

あまり長く里を開ける訳にも行かないとの事で里に戻ると言うシロちゃんとクロさん。とりあえず俺もお世話になったのでお菓子や飴などをシロちゃんのお土産として持たせる事にした。小さなリュックを背負っているシロちゃんに苦笑しながら

 

「内弟子って……俺そんなに強くないぜ?」

 

俺を師匠にするより、クロさんに教えて貰った方が強くなるだろうと思いながら言うとシロちゃんは数回頭を振ってから

 

「せんせーはきっと強くなるでござるよ!だから拙者はせんせーに弟子入りするでござる」

 

にぱっと笑うシロちゃん。そんな風に言われてもなぁ……とてもじゃないが、強くなるなんて思えないが……その信頼に応えれるくらいには強くなりたいかなと思うのだった……

 

「じゃあね、シロ。元気で」

 

別れと言う事でタマモも精霊石の首飾りをして、人間の姿で別れを告げていた。精霊石は危ないので、ずっと身につけているわけではないが、これからたまには精霊石の首飾りをして話が出来ると聞いて、正直俺は嬉しかった。最近満月の時に雨が降るので話が出来なくて寂しいと思っていたからだ

 

「うむ!ではなタマモ!またいずれ会おう!」

 

「ええ」

 

シロちゃんは元気だけど、タマモは冷静って感じで別れを告げるが、タマモが寂しそうにしているので、仲良くなったんだなあっと思い、タマモの友達が出来たことに安堵した

 

「じゃあ、クロさん。これおにぎりと保存食の乾し肉。長い旅になると思うので、味噌などの調味料も用意しました」

 

「おおかたじけない!拙者では塩焼きや煮るのが手一杯なので、これは助かる。半月は走らなければならんから」

 

蛍が大量のビーフジャーキーの包みを渡している。その数20……これだけあれば多分暫くは大丈夫だと思う。と言うか半月も走ってきたのか……人狼ってすげえ……

 

「では失礼、またいずれ会おう」

 

「せんせー、さよならでござるよー」

 

シロちゃんを背負って凄い勢いで走って行くクロさん。姿が見えなくなるまでは手を振っていようと思ったが、あっと言う間に姿が見えなくなったので手を下ろす。しかしこうして見ると、自分の親がいかに無茶苦茶だったか思い知らされたような気がする

 

(クロさんもブラドー伯爵もいい父親って感じだったよなあ)

 

俺が物を欲しいといえばカッターと木材を渡して自分で作れだったっけ……それにあんまり良い思い出も無い。別に両親を憎んでいる訳じゃないけど、距離感が今一判らないよなと心の中で呟く

 

「じゃあ横島ランニングに行きましょうか?」

 

ランニングに行きましょう。そう笑いかけてくる蛍に頷き、少し普段の時間より遅れたが、朝のランニングの為に走り出すのだった……

 

 

横島がシロとクロと別れを告げた頃。魔界では……

 

「死にたくなければ言う通りにするんだな。判ったな?」

 

どこか判らない暗い建物の中で大柄な悪魔の前に怯えた様子で座り込む女性の姿があった。その背に翼があり、足には鋭い鉤爪……この女性はハーピーと言われる悪魔だった

 

「うう……判ったじゃん……」

 

「泣くことはないだろう?これが終われば開放してやるのだからな、さあ、これが次のターゲットだ。確実に仕留めろよ」

 

写真を無理やり押し付け、泣いているハーピーを見てくっくっくっと笑いながら悪魔が消える。悪魔が消えてから、ハーピーはよろよろと立ち上がり無理やり渡された写真を見て、更に涙しながら

 

「ううっ……もう殺しなんてしたくない……でも死にたくないよぉ……」

 

言う通りにしなければ殺される、だから殺したくないけど殺さなくてはならない。悪いことはしたくない、でも死にたくない。良心の呵責に押しつぶされながら彼女は涙しながらハーピーは空を舞う……その場に残された写真には幼い令子とその母である美智恵の姿が映されていたのだった……

 

別件リポート 過去と未来の私

 

 




大樹はブラドーに呪われナルニアに帰国。次はきっと確実に離婚ですな、シロはレギュラーも考えましたが、今回は保留。まだ早すぎると思ったので、もう少しタイミングを見てからレギュラーにしようと思います。次回の別件は陰念ではなく美智恵のリポートにしようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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