GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
その1
リポート30 陰陽寮 その1
~横島視点~
陰陽寮への見学の日程が決まり、俺は荷物を纏めていた。金・土・日の2泊3日の予定なので着替えも3日分用意する。
「みみーむ、みっみーむ!みみみーむむー」
「ぷっぎぎーぷっぎゅぎゅーぴぎぎー」
【ノッブブーノノーノー】
荷造りしている俺の後ろでチビ達が歌っている声がする。多分、踊り付きでノリノリで歌っているんだろうなあと思うと穏やかな気持ちになる。
【TシャツやYシャツの中に札を隠しておけ、それとお前は苦手だと思うが、神通棍も忘れるな】
「やっぱりいるの?」
【当たり前だ。陰陽寮は基本的に他の霊能者を認めていない閉鎖的な組織だ。隠し武器を忘れるな】
招待されているはずなんだけどなあと思いながらも、心眼の助言に従い服の中やタオルの中に破魔札や、神通棍を仕込んでおく。
「みむぎゃっ!?」
【ノバア!?】
チビとチビノブの驚いた声がしたので振り返るが、うりぼーがきょとんとした表情をしているだけだ。チビ達の悪戯かな?と思い荷造りを再開する。
「神宮寺さんも来るから持って行こうか?」
【シルバーアクセサリーか、そうだな。依頼されていた分もあるから持って行っても良いだろう。ただ、蛍達にも持って行け】
心眼の助言が間違った事は無いので、言われた通りペンダントトップや指輪等も鞄の中に詰め込んでおいた。
「みみむう!?」
【ノーブウーッ!?】
「ん?さっきからどうした?」
チビ達の驚いた声に振り返ると何かが顔を目掛けて飛んできていた。
「は?わぷっ!」
顔にしがみついてくる何かに驚きながらそれを引き離して驚いた。くりくりとした真ん丸の目とすべすべとした白い肌、それとおキヌちゃんが着ていたような巫女服に猪の頭を模したであろう帽子を被った幼女が俺の目の前にいた。
「???」
「え、この子何処から来たの?」
チビノブよりも少し大きいくらいの女の子が不思議そうに俺を見つめている。何処から現れたんだろうと思ってそのまま抱きかかえているとぽふんっと言う音を立ててその姿が消えた。そして煙が消えた時に、俺の手の中にはうりぼーがいてぷぎーっと鳴いている。
「どうしよう、うりぼーが変身覚えてる」
【今のを見て第一声がそれで私はある意味安心したよ】
タマモもシロも変身?うん、多分変身するけどうりぼーまで変身を覚えてしまった。とりあえず床の上に降ろすと尻尾を振りながら歩いて、姿がぶれて女の子になって、またうりぼーに戻っている。
「もしかしなくてもコントロールできてない?」
「ぷぎい?」
何?と不思議そうな顔をしているのはその顔をしたいのは俺のほうだと思う。
【とりあえず美神に相談しておけ、あとうりぼーには気をつけろよ。突然変身するからな】
抱きかかえてる時とかに変身されると困るしなぁ、心眼の言う通り少しだけ警戒しておく事にしよう。
「みみーむ、みっみーむ!みみみーむむー」
「ぷっぎぎーぷっぎゅぎゅーぴぎぎー」
【ノッブブーノノーノー】
そしてまた歌って踊り始めたチビ達を見てやっぱりうちの子は可愛いと確信するのだった。
【京都か、あそこにはあんまり良い思い出が無いんじゃがなぁ】
【私も似たようなものですよ。それよりもいざって言う時止めるのを手伝ってくださいよ】
「……それ無理なような気がして来たでござるよ」
「横島様が陰陽寮に……ふふ、あはは……ふふふふ……消し飛ばしてもいいんですよねえ!?」
「……向こうが何かしてきてからだ、そしたらああ、陰陽寮という存在を消し去ろう」
「ついでに呪いで一家断絶ね」
ダークネストリオを前に牛若丸、信長、シロは声には出さなかったが無理と言う事を悟ってしまったのだ。
「じゃあ、ルキさん。行って来ます」
「はい、お気をつけて行って来て下さいね」
ルイさんの命令で俺の家のお手伝いをしてくれているルキさんに2日の間はゆっくりしてくださいとお願いし、俺達は集合場所であるGS協会へと向かうのだった。
~美神視点~
陰陽寮への見学、それは今までのGSやオカルトGメンではありえない事だった。だからこそ念入りに準備をしたつもりだし、計画も練っていた。
「あ、美神さん、西条さん、琉璃さんおはようございます!あの朝起きたらうりぼーが変身してて、清姫ちゃんが居たんですけどどうすればいいですかね?」
……なんで出発当日にとんでもないトラブルを持ってくるのよ……。蛍ちゃんやくえすも驚いているのが良く判る……いや、そうじゃない。うりぼーは乙事主の化身、つまり神の写し身だ。1度人型になったのだから変化を覚えるのは想定内だ
「♪♪」
【ノーブ!ノノーブ♪】
チビノブと手を繋いで楽しそうに歩いているのはまだ大丈夫、想定内だ。だが清姫は良くない、当時の都を焼き尽くした竜の姫。
「どうも今回は同行させてもらいますわ、横島様を守る為に」
「……私が助っ人として呼んだ」
止めてよね……いや本当にやめてよ。デストロイヤー2人とか絶対手に余るに決まっている、恐らくストッパーになると思っていた小竜姫様の顔が引き攣っている。
「また逃走成されたのですか?清姫様」
「ええ、陰陽寮なんて屑の集まりの所に横島様が向かうなんて私耐えられませんわ、やっぱりあの時に全部ぜーんぶ……壊しておけば良かった」
殺気に満ちた瞳孔の開いた瞳。私達が思う以上に陰陽寮をシズクも清姫も嫌っていたようだ……でもこれは考えようによっては最強の抑止力とも受け取れると思う。
「陰陽寮には見学ですが、向こうが何かをしてきたらお力をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、良いですわよ。私は横島様を守りたいのです、奪われないように、2度と殺させぬように……だから殺さないといけないですよね?」
……駄目だ。やっぱり清姫を連れて行くのは危険すぎる、今も横島君に聞こえないと判っていてとんでもない事を言っている。京都が火の海、GS協会とオカルトGメンの関与が疑われる……そんなニュースが頭の中で聞こえた気がした。
「ぷぎ?ぷぎゅー?ぴーぎー?」
「よいしょ、どうしたー?そんなに不思議そうな声して?」
横島君が猪にもどったうりぼーを抱きかかえる。だけど、うりぼーは不思議そうな鳴き声をあげ続けている。
「コントロール出来てない所か、自分が人間になってるのも判ってないのよ」
「今は何で急に視界が狭くなったのかーって混乱してるでござる」
「シロとタマモで何とかならないの?」
私の言葉にシロとタマモは出来ない事はないけど、今は時間が無いと返事を返した。本当に今朝、出発前に判った事なので自分達も驚いていると言われてしまった。
「じゃあ時間のあるときでいいから面倒を見て頂戴」
人型になっているのは恐らくだが体に神通力が溜まりすぎて、それを発散する為に変化しているのだと思われる。霊力過多と言う症状があるのだから、神通力も過多になる可能性は十分にある。だから面倒を見てくれるように頼んでおく、言葉が判るし変化するんだからタマモ達以上の適役はいない筈だ。
「旅行みたいで楽しみだなあ」
「そうね。まぁちょっとした観光って言えなくも無いし」
「そ、そうですわね」
陰陽寮に行くのを旅行と思っている横島君に蛍ちゃんもくえすも苦笑している、旅行所か敵地なのだから警戒して欲しい物だが……横島君にそれを言っても無駄だろう。
「そろそろバスが来るからそれに乗り込んでくれ、さー出発だ」
西条さんが明るく仕切るが、私と西条さんと琉璃の頭の中には一抹の不安があった。それは柩の予知の内容だ、燃え盛る山と凍りついた街。竜の姫に気をつけてと言っていた、柩の予知の精度から考えればこれはほぼ間違いなく当たる。
(馬鹿な事をしないでよね)
横島君ではない、陰陽寮にいる躑躅院やそこに所属する陰陽師を思い、私は心からそう願った。決して陰陽寮の無事を祈ったわけではない、ただ今にも爆発寸前の爆弾が私達を巻き込んで爆発する可能性を考え、巻き込まれたくない。その一心でそう願わずにはいられないのだった……
~蛍視点~
多分今地球上で一番危険な場所に向かっている。私達全員はバスの座席でそう思っていた、1人だけ違うのは横島で膝の上にうりぼーを乗せて前足を持ってうりぼーを踊らせている。
「よいよい」
「ぷぎーぴっぎーぐー♪」
マイペースと言うか、デストロイヤーの殺気が2つが自身に向かっていないので気付いていないのだろう。
「横島様、楽しみですね」
「そうだよなあ、旅行みたいで楽しみだよなあ」
陰陽寮が危険な場所とは説明しておいたけど、招待されているから大丈夫だろうと前向きに考えている横島。その前向きな考え自体は間違っていないと思う……間違ってないと思うんだけど……。
(くえす、あの楽しみのニュアンス絶対違うわよね?)
(そんなの当たり前じゃないですか)
これは違う、京都が楽しみ等ではない。絶対アレだ、高島って言う陰陽師を殺した陰陽寮の生き残りを燃やすのを楽しみにしているに違いない。
「清姫ちゃんも楽しみなら、一緒に少し観光してみようか」
「まぁまぁ♪嬉しいですわ」
「……なら私も付いて行くか」
「うんうん、皆で見て回るのも楽しいと思うよな。蛍、神宮寺さん」
はじける笑顔の横島にそうねと返事を返した物の、横島がストッパーとして清姫とシズクを見ていないと京都大炎上するので横島には是非清姫とシズクを見ていて欲しい、そして陰陽寮が馬鹿な事をしないことを切に願う。
「とりあえず今日の予定を行っておくわね、昼過ぎくらいに着くからお昼ご飯を食べて、旅館の受付を済ます。その後に陰陽寮での話し合いだけど、何か質問はあるかしら?」
「はい!チビ達は大丈夫ですか!」
「ええ、大丈夫よ。GS関連の旅館だから使い魔で泊まれるわ」
琉璃さんは予想していた質問だったのか、迷う事無くそう返事を返した。横島はチビ達を見つめて良かったなあとほにゃりと笑っている。
「それと陰陽寮の見学の日程については判らないけど、とりあえず躑躅院との話になると思う」
……性別不明で怪しさ満点の躑躅院か、お父さんのネットワークでも、くえすや美神さん、それに冥華さんでも経歴がわからない。判っているのは西条さんが手に入れた平安時代の情報だけだ。
(躑躅院と高島の婚姻)
高島は優れた陰陽師ではあったが、その生まれは平民。類稀なる霊力で陰陽師になり、宮抱えになったがそれゆえに蔑まれていた。それを不憫に思った帝が、高島と躑躅院の婚姻を進めたと聞いている。これはシズクと清姫にも聞いているの事なので間違いない、躑躅院が横島を気に掛けるのは陰陽術だけではない、その婚姻の話が大きく関係していると思う。
「それと見学の時に言う話じゃないんだけど、神隠し事件が多発しているからその事件の共同捜査にもなる」
「神隠し……今もまだ行方不明なのですか?」
「いえ、神隠しになった人物は大体1日から2日後、元いた場所で発見されています。ただ、その時の記憶は曖昧でそこから探すのは難しいでしょう」
神隠し……か、普通の神隠しならば見つかる事は無いだろう。京都と言えば日本の中ではかなり稀有な霊地でもあるし、妖怪なども多い。神隠しが起きる条件は揃っているが、すぐに戻ってくるというのが気がかりだ。
【天狗殿に聞いて見ますか?鞍馬山も近いですし】
牛若丸がそう提案してくる。京都と言えば牛若丸のホームグラウンドだ。情報を集めるのは適役だと思うんだけど……ちょっと気になった。
「牛若丸さん、京都の天狗と話を付けれるのですか?」
【私を覚えてくれていたら大丈夫だと思いますよ?】
牛若丸の言葉に小竜姫様は考え込む素振りを見せた。もしかして天狗って神魔とは別勢力になっているのかしら……。
「竜神王様に連絡を取って文を用意してもらうのでそれを届けて貰ってもいいですか?」
【良いですとも、この牛若丸にお任せください】
やはりガープと言う脅威があったとしても日本の神魔との連携は思うように言っていないのだろう……そこまで考えてふと思った。昔の顔なじみや、知り合いと言う事で神魔や強力な妖怪と話を付けれる可能性があるのは何も牛若丸だけではない、多分私だけではなく、美神さんや琉璃さんもそう思ったのだろう……全員の視線が横島の近くに座っていたタマモへと向けられていた。
「いやあ、車と言うのは何時見ても面白いでござるなあ」
「はいはい、みっともないから椅子に座りなさい」
タマモは九尾の狐なのだから、日本3大妖怪なのだから、大嶽丸や酒呑童子とも交流があるのではと思ったのだが……タマモは冷めた視線で私達を見つめていた。
「人間が勝手に言い出しただけだから、後の2人なんか知らないわよ」
傷ついたと言わんばかりの態度に私達は選択を間違えてしまったという事に気づいた。基本的にタマモもシズクも横島がいるから協力してくれているだけで、別に人間側と言うわけではないのだ。
「くうん」
「あれ、珍しいなタマモ。子狐で甘えてきて、どうしたんだ?」
あっという間に子狐の姿になり横島の膝の上で丸くなるタマモ。それは気分を害し、自分を絶対に否定せず、そして過去も詮索しない横島とお前達は違うといわんばかりの拒絶の態度だった。
(失敗したわね)
(ですね……すいません)
今の神魔の情勢もそうだが、日本の状況も決して良い訳ではない。難しいのは承知だが、日本3大妖怪である大嶽丸や酒呑童子、そして日本3大怨霊である道真公や将門公の力を借りれればと全員が思っていたのは間違いない、だがその糸口は簡単に切れてしまった。
「よしよし、久しぶりに甘えてきて本当にどうしたんだ?」
「コーン」
横島の優しげな声と甘え声のタマモの声。陰陽寮に向かう道中だが、幸先が不安な物になってしまい。全員が暗い表情でため息を吐くのだった……。
「ん?」
【どうかしたのか横島?】
「何かありましたか?」
「いや、今さ、誰かに見られてる気がしたんだけど……」
「……清姫ならずっと見てるが?」
「24時間365日お慕いしております」
「いや、そう言う感じじゃなくて……うーん、気のせいかな?チビ達はどう思う?」
「みむ?」
「ぷぎ?」
【もぐもぐ】
索敵能力に長けている心眼やチビ達が気付いていない、もしくは何も感じていないという事は自分の気のせいかな?と横島は思うことにしたのだが……
「……」
影の中から横島を見つめる赤い瞳は横島に熱視線を向けていたが、気付かれる前にその場から影の中に溶ける様に消えていくのだった……。
~???視点~
無数の目が浮かぶ暗い世界――常人ならば発狂してもおかしくない世界にすすり泣く様な声が響き続ける。その声にこの世界の主である少女は悲しそうに、寂しそうな表情で、また駄目だったとその幼い容姿に相応しくない諦観めいた表情で声の元へと足を向ける。
「もうやだ、出して助けて」
「いやいやいや」
「暗いよぉ怖いよお」
何処からとも無く老若男女の恐怖に震える声が響く、その声を聞いていた何者かは悲しそうに、そして疲れたように溜め息を吐いて指を鳴らす、しばらくしてまた指を鳴らすと恐怖に震える声は愚か人の気配すら無くなる。
「寂しいな、悲しいなあ……誰か私と遊んでよ」
闇の中に幼い少女の声が響く、黄金色に輝く金髪を赤いリボンで束ね、白い独特な帽子を被った少女が身を翻すと、その動きにそって白いスカートが翻る。
「だーれも私と遊んでくれない、寂しいな、悲しいな」
白と紫の導師服……中国系の服装でありながら、ゴスロリドレスのような意匠もあるそんな複雑な構造の服を着た少女は薄暗い無数の血走った目が浮かぶ暗闇を日傘を差して歩いていく。
「……あ」
そんな中少女は外の光景を見て、驚いたように、そして期待するかのような声を上げた。そこには妖怪や竜に囲まれて笑っている青年の姿があった。
「凄い、楽しそう」
小さな妖怪や精霊が青年の周りで楽しそうに笑う、その光景を見て自分も仲間に入れてくれるかな、私も嫌がらないかな、怖がらないかなと不安と期待をこめた視線を青年に向け続ける。
「ん?」
「きゃっ!」
目を通して目があったのを感じて慌てて目を閉じる、今絶対目が合っていた。そんな事は少女にとって初めての事だった……だからこそ少女は青年に強い興味を抱いた。
「早く来てくれないかなー」
こっちに近づいて来ている事は判っていた、だからその青年が来る事は判っていた。ここに来たら、この世界に招待しよう。怖がるかな、不気味がるかな、それとも優しく笑ってくれるかな?寂しさを誤魔化す為に神隠しを繰り返していた少女は偶然目が合った青年、横島に興味を持ち、駄目元で続けていた神隠しを止めた。横島なら遊んでくれるかもしれない、受け入れてくれるかもしれない。今までのように怖がるだけじゃないかもしれない、そんな期待を抱き、横島が京都の街に足を踏み入れる事を楽しみに待ち続けるのだった……。
リポート30 陰陽寮 その2へ続く
セカンドも最後に近づいているのに、ここで新キャラを突っ込んでいくチャレンジ精神です。セカンドとファイナルの間の平安編でも使えるキャラと言う事で出してみるチャレンジです。多分結構な確率で誰か判っていると思いますけど、この段階ではスルーでお願いします。
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い