GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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その2

リポート30 陰陽寮 その2

 

~琉璃視点~

 

ちょっぴりバスの中が微妙な空気になってしまった物の、私達は無事に京都に到着していた。陰陽寮からの招待という事で誰か向かえが来ると思っていたんだけど……出迎えは予想外の人物だった。

 

「ようこそ、京都へ。よく来てくれた」

 

躑躅院が迎えに来るとか想定外なんだけど……穏やかな笑みを浮かべているが、それが逆に何かを企んでいるように思えて来る。

 

「まさか君が迎えに来てくれるとは驚きだよ」

 

「ご用意した宿は通常では辿り着けない場所ですからね。私が案内するのは当然でしょう」

 

……霊能者専門の旅館くらいに思っていたけど、どうも躑躅院の管理する特別な場所と見て間違いない見たいね。

 

「シズク様だけではなく、清姫様もおいでくださったのですか、当代の躑躅院でございます」

 

「ええ、初めましてと言っておきましょうか。無能の陰陽寮の当主様」

 

行き成り口撃とか止めて欲しいんですけど……小竜姫様を見るが、首を左右に振る。お願いですから止めてくださいよと叫びたくなった。

 

「無能の陰陽寮、まさしくその通り返す言葉もございません。所詮は古い連中の集まり、無能なのは当然ですね」

 

「……お前よく言うな」

 

「私は別に陰陽寮に拘りがあるわけではありませんから、日本政府の命令で就任しただけで別になんとも思っていませんから」

 

これは本当ね、躑躅院は陰陽寮に対して何も感じていない、命じられたから陰陽寮の当主をしているだけで何の思い入れもある訳ではない。

 

「発言には気をつけたほうがいいのではないかな?」

 

「失言でも何でもありませんよ、嘘偽りの無い本心ですからね、一応陰陽寮の改善は考えていますが……さてさて、それもどこまで出来るものやら」

 

躑躅院を当主に据えた政府関係者は無能だったみたいね、自分の手駒にするつもりが全く御さない相手だった訳だ。

 

「立ち話もなんですから、どうぞこちらへ」

 

穏やかに笑って歩き出す躑躅院に案内され旅館へと向かう、だがその道中でシズクと清姫の顔色が変わり始めた。

 

「2人ともどうかした?」

 

「……いや、ちょっとな……」

 

「そんなありえないですわ」

 

この道に2人は覚えがあるらしく、普段冷静……って訳じゃないけど、それでも冷静な判断が出来る2人が妙にそわそわして来た。

 

「正直に言うと旅館と言う訳ではないのですが、恐らく京都で寝泊りするならここ以上に安全なのは躑躅院の家しかないですからね」

 

「……歓迎されてないって事ね?」

 

「私は少なくとも歓迎していますよ?オカルトGメン、GS協会に今の陰陽寮が抗う術はない。傘下に入るのもまた1つの選択肢」

 

閉鎖的な陰陽寮には家柄自慢だけが脳の無能しかいない、更に陰陽師の家系だったとしてもその力は弱く陰陽術が使えない者も多い。だから京都の霊能関係者の多くは六道女学院に入学させる。それで陰陽寮に戻ればまだ良いが、そのままGS協会、オカルトGメンに就職、霊能関係の大学に進学と陰陽寮に戻る若い人材は少なく、衰退していく一方である。

 

「国に認められた霊能の組織とは思えないわね」

 

「それは良くて明治まで、今の陰陽寮にまともな陰陽師も無い、霊能者もいない。歴史だけの組織になっていますからね」

 

よっぽど政治家との癒着が多いのだろう、冥華さんも女学院の卒業生を陰陽寮に紹介して欲しいって言われたらしいけど、それも真っ向から断ったと聞いている。そもそも生徒自身も大した旨みのない陰陽寮に戻りたいと希望する訳が無い。

 

「平安時代の家を改修して水回りはちゃんとリフォームしてありますので泊まる所としては申し分ないと思いますよ」

 

結界の中に隠されていた膨大な庭を持つ古い屋敷……それを見て清姫とシズクが驚きに目を見開いた。

 

「どうでしょう?清姫様、シズク様、喜んでいただけたでしょうか?高島邸の管理、1000年前よりずっと続けてまいりました」

 

陰陽師高島の家、それを守り続けてきたと笑う躑躅院。清姫とシズクがどれだけ高島を想っているか知っているから打って来た非常にやらしい一手だ。

 

「……横島?横島ー?大丈夫?」

 

「横島?どうかしましたか?」

 

蛍ちゃんとくえすの声に振り返ると横島君がぼーっとした表情で屋敷を見つめている。その目に映っている筈の蛍ちゃんとくえすの姿は横島君の目の中には無い。

 

「横島!あんたちゃんとしなさい」

 

「いっ!え、あ……あれ?どうかした?」

 

タマモのビンタで正気に戻ったみたいだけど、今のは危なかった。確実に横島君に何らかの異変があったのは確実だ。

 

「大丈夫ですか?気分が悪いなら病院に案内しましょうか?」

 

「いえ、大丈夫よ。荷物を置かしてくれたら横島君を休ませるからとりあえず屋敷に入っても良いかしら?」

 

躑躅院が近づこうとしたのを美神さんがガードして屋敷に入って休ませると言うと躑躅院は笑顔で屋敷へと案内してくれたけど、見学、神隠しの調査に加えて、横島君の様子に警戒する必要があるみたいだ……。

 

 

 

 

 

~美神視点~

 

忙しいのでと神隠しの資料を渡し、見学の時間に迎えを寄越すと去っていった躑躅院だが、その口元には抑え切れていない笑みがあった。横島君の異変は躑躅院の望んだ結果だったのだろう。

 

「それで正直な所、横島君の調子はどうなの?」

 

【……魂が揺らいだ、シズク、清姫、そしてこの屋敷と躑躅院が何かの鍵だったのかもしれない】

 

蛍ちゃんとタマモに様子を見るように頼んで心眼を借りてきて話を聞いているけど、やっぱり魂が関係しているようだ。

 

「……前世の記憶を無理やり引き出そうとしているのかもしれない」

 

「横島様は不完全な転生をしていますしね」

 

「下手をすると、横島さんの記憶の上書きなんて事もありえますね」

 

状況はあんまり良くは無いだろう、躑躅院がこの屋敷を宛がったのは間違いなく、横島君の前世の記憶を刺激するつもりだったからだ。

 

「西条さん、今からでも別のホテルとか取れるかしら?」

 

「……いや、電話で確認したが霊能者の枠は全部埋まっているらしい」

 

「かなりお金を使ってますね」

 

多分と言うか確実に部屋は空いている、だが躑躅院の圧力でホテルも旅館も借りれない状況だ。

 

「横島を見学に連れて行くのは危険ですが……連れて行く以外の選択肢はありませんわね」

 

「横島様を残しておく方が危険ですからね」

 

見学をさせたいって言うのは勿論本当だろう、陰陽の今の戦力で戦えと言われたら困るのでGS協会、オカルトGメンと協力したいのは本音だろう。ただそこに躑躅院個人の思惑が絡んできているのが問題だ。

 

「シズク、清姫。見学の時間は夕方からだから屋敷の中を見てくれないかしら?」

 

「……言われるまでも無い」

 

「隠し部屋とかも知ってますしね」

 

高島の屋敷を知っている清姫とシズクに屋敷の見回りを頼んでおく、気付いてないだけで陰陽寮のスパイがいるとか避けたいしね。

 

「とりあえずやるべき事をしよう、躑躅院も馬鹿じゃないから陰陽寮で仕掛けてくることは……」

 

「あるかもしれないと思いましたね?私もです」

 

躑躅院は陰陽寮に何の執着も未練も無い、もしかすると私達の見学を使って自分で陰陽寮を潰す口実すら作りかねない。あれは自分の目的の為なら手段を選ばない人種だ。

 

「横島君にはノッブの眼魂を所持してもらいましょう。それと心眼もあれば最悪の場合になっても大丈夫です」

 

「私も警戒させてもらいますので大丈夫です」

 

神魔が3人と眼魂と心眼、この万全の守りで横島君にちょっかいを掛けるのは難しいだろう。勿論それに甘えるつもりはないので、私達も警戒するつもりだ。

 

「シロは動物のまま私達についてくれるかしら?」

 

「了解でござる!」

 

タマモは横島君の様子がおかしくなった時に人の姿になってしまっているのでそのまま横島君を守って貰う。シロは万が一横島君が攫われた時に追跡できるように手元に残って貰おう。軽く打ち合わせをしているとあっと言う間に見学の時間が来てしまう。

 

「横島君、そろそろ見学の時間だけど大丈夫?」

 

「あ、はい!大丈夫です。ちょっと車酔いしたのかなあって」

 

車酔いか、本当に車酔いなら良かったんだけどねと心の中で呟いた。実際はもっと深刻なんだけど、本人がそう思っているのならそう思わせておいたほうがいい。

 

「みーむー♪」

 

「ぷぎー」

 

横島君が肩にチビとうりぼーを乗せて立ち上がると、チビノブはその足元にぴったりと寄り添う。視線を向けると敬礼されたので、チビノブなりに横島君を守ろうとしてくれているのが判った。

 

「ノッブは眼魂で横島君と一緒ね、それとこれ心眼帰すわ」

 

「どうも、やっぱりバンダナがないと落ち着かないんですよね」

 

慣れた手付きでバンダナを額に巻く横島君。その姿におかしな所は無い、蛍ちゃんとタマモに目配せすると小さく頷いた。おかしい所は何も無いか……この屋敷が関係しているのか、それとも躑躅院か……もう少し様子見しておく必要がありそうだ。

 

「じゃあ、そろそろ出発しましょうか」

 

本当にはあんまり行きたくは無いんだけど……しょうがない。私は心の中で溜め息を吐きながら、迎えに来たと言う陰陽寮のバンに乗り込むのだった……。

 

 

 

 

~横島視点~

 

陰陽寮、昔からあるGS協会みたいなのと聞いていたので神秘的なものを想像していたんだけど、実際はそうではなかった。

 

「何かこう……工場みたいですね」

 

「工場か、はははッ!!ああ、正しくその通りだよ。横島君」

 

美神さん達が顔を顰めている。やっぱり言うのは不味かったかな?と思いはしたが、本当に工場にしか見えなかった。ラインでどんどん生産されている札の山を見て、俺は本当に工場にしか見えなかったのだ。

 

「陰陽寮も地に落ちたものですね」

 

「……何を言ってる、元々陰陽寮なんか大した価値も無い」

 

清姫ちゃんとシズクが物凄く毒を吐いていて、周りにいる職員が顔を歪めている。だが清姫ちゃん達が神族と判っているので、手出しは出来ないようだ。

 

「見た所かなり霊能者の数は少ないみたいだね」

 

「実動隊が約10人ほどでそれに対して裏方は300人近くいますからね。霊能があっても、実働は嫌だと言う者が多くて困ります」

 

それって実働部隊だと死んでしまうから隠れていたいって事か、こんな感じで大丈夫なのかと不安に思った。

 

「京都は霊的被害はさほど多くないですからね、ですが、それでも厳しい数です」

 

「安倍とかね」

 

「ええ、平安時代の有名な陰陽師が残してくれた結界が生きているので今はまだいいですが、それもあと何年効果を持つことか」

 

昔の結界に頼りきって、今の霊能者が努力していない。こんなんじゃ、自分の実家が陰陽寮に所属していても、GS協会に所属したいって言う六道女学院の生徒が多いのも納得だ。

 

「今は破魔札の販売や陰陽札の販売で陰陽寮は活動しておりますので、基本的な除霊活動はしていないと思ってもいいかもしれません」

 

「失礼ですが、東京の隕石落下の時や、地震の時はどうしていたのですか?」

 

小竜姫様の鋭い視線から放たれる言葉に躑躅院さんは肩を竦めて、悲しそうに目を伏せた。

 

「実働隊で意欲のある者は行動してくれましたが、殆どは隠れてしまいました。だからこそ私が動いたでしょう?」

 

部下が逃げてしまったので自らが面に出てくる。それは西条さんや琉璃さんと同じだと思った回りの職員も気まずそうに目を逸らすだけで、反論もしようとしないから間違いなくそれは事実なのだろう。

 

「見学させて頂いて判りましたが、この調子では神魔からしてもあなた達を頼る事はないと思います」

 

「当然ですね、ですがこれが今の陰陽寮の内情です。いっそ国防の地位から外れた方が良いと思いますよ、このままでは死人が増えるだけですからね」

 

「当主様!?何を言っているのですか!?神魔の協力を得れればまた復興だって」

 

「馬鹿者、今の言葉を聞いてなかったのか?神魔は私達に力を貸す理由が無いと言っているのだ」

 

沈むと判っている船に乗り込むものはいないと言われると躑躅院さんに詰め寄っていた中年の男性は呻く事しか出来ない。

 

「下がれ、目障りだ」

 

「……御意」

 

鋭い一瞥に中年の男性は頷きはしたが、俺達を親の敵のように睨みながらその場を後にした。

 

「中々見苦しい物ね」

 

「私もそう思うよ、当主なんて地位は欲しくないのにね」

 

権力や自分達が楽に金を得たい、そんな態度がありありとしていて俺は陰陽寮への嫌悪感を抱いた。

 

「お望みならば修練場なども見学しますか?ここ数年使われた痕跡はありませんが」

 

そう言う躑躅院さんに美神さん達が見学する価値も無いと言って、3時間予定されていた見学は1時間と30分ほどで切り上げられ、俺達は京都にいる間宿泊する屋敷の中にいた。

 

「さてと、目に見えて悪い所ばかり見せられたけど、横島君達はアレを本当だと思っちゃ駄目よ」

 

「え?」

 

「判ってます」

 

困惑する俺に対して、すぐに判ってますと返事を返した蛍に驚いた。俺はなにも判らなかったけど……何かあったのだろうか?

 

「……隠し通路や隠し部屋だらけだな」

 

「ええ、平安時代にもあった仕掛けもそのままでしたわね」

 

ええ……マジで?判ってなかったの俺だけ?

 

「え?隠し通路なんてあったでござるか?そんな匂いはしなかったでござる」

 

「馬鹿ね、私がいるって判ってるんだからそれ相応の準備をしてるに決まってるでしょ」

 

どうも気付いていなかったのは俺とシロとチビ達だけ見たいのようだ。

 

【隠し通路は相当数あるな、多分躑躅院本人も把握していないと思われる、悪い場所だけを見せたのは確実に自分を裏切っている派閥があると言う事を言っているはずだ】

 

「はぁー自分だけで組織を正常化出来ないから私達を利用したって事ね」

 

「そうなるだろうね、でも助けを求められたのだから手伝おうじゃないか」

 

美神さん達は状況を理解しているみたいだけど、正直俺は良く判っていなかった。

 

「蛍、どういう事?」

 

「つまり自分の部下って立場で好き勝手してる連中がいるからって事を伝えてたのよ、普通見学で悪い所を見せる?」

 

確かに他の人間が見に来るならば、良い所とか綺麗な所を見せるのは当然だよな。そう考えると躑躅院さんが案内してくれた場所には違和感しかない。

 

「人間同士で足の引っ張り合いをしている場合ではないですから、さっさと解決してしまいましょう」

 

「そうですね。横島様に害を掛けられても困りますし」

 

「そもそも神隠しも反躑躅院が動いている可能性があるな」

 

「民間人の霊能者で何かを実験しているっていう線もありますわね」

 

「……となると、霊脈が関係している場所を探すべきだな」

 

「じゃあ、私が探すわ。京都にいる2日の間にさっさと解決したいし、何時寝首をかかれるか判らないとかごめんだし」

 

とんとん拍子で話が進むのを見ていると、やっぱりどこかから視線を感じる。

 

「んー?」

 

「せんせーどうしたでござる?」

 

「いやさ、誰か見てる気がするんだよ」

 

【気にしすぎだろう。大体隠れている何者かがいるなら私が気付くし、何よりも清姫とシズクが気付かない訳がない】

 

京都に来てからやたら周囲を警戒しているシズク達。確かに心眼の言う通りで美神さん達がぴりぴりしているから俺も気が立っているのかな?

 

(うーん、でも誰かの視線を感じるんだけどなあ)

 

どこからずっと見つめられている、そんな感覚を感じながら美神さん達の話し合いに耳を傾けるのだった。

 

 

 

 

~躑躅院視点~

 

いくつか計算違いはあったが、それでも概ね私の計画通りに話は進んでいる。

 

「道真。状況は?」

 

「まずまずって言いたい所なんですがねえ。どーも、奴さん達厄介すぎる相手とつるんでるみたいで」

 

道真がこういう言い回しをするときは状況が極めて悪いと言う事で内心舌打ちする。当初の予定では見学に来る前にある程度決着をつける予定だったのだが、それも失敗してしまっている。

 

「魔族か」

 

「正解でさボス、鬼道の関係者ですねえ」

 

「ちっ、あの疫病神め」

 

既に捕えられて精神病棟に監禁されている鬼道の名前が出て来たことに心底腹が立つ。この見学を利用して馬鹿な連中を一掃してやろうと思っていたのに、それも上手く行かなくなってくると流石に苛立ちを覚える。

 

「南武グループと関係してるみたいで、その施設は破壊したんですけどねえ。人造妖怪プロジェクトをやってたみたいなんですよ」

 

「あいつらはアホか?」

 

「アホって言うか間抜けでしょうねえ、乗り込んだ時はもうパニック状態でしたよ」

 

自分達でも退治出来る様な弱い妖怪を大量に作り出し、それで金を巻き上げようとして失敗して殺されたか、重傷を負っていると言う所だろうな。

 

「証人として何人かは生かしておけ」

 

「あーすんません、どっちみちもう助からないレベルでしたし、もう死んでますよ全員。ほら南部グループって良い話を聞かないでしょう?」

 

「ああ、人造神魔とか人造妖怪とかの霊的兵器を作りたいとか言って接触してきていたな」

 

勿論断ったが、人外を兵器にするリスクと全く持って理解していない。制御できる内は良いが、相手が自我を持って暴れだしたらどうするつもりかと言って追い返したが、馬鹿な連中と共謀した様だな。

 

「培養装置は壊しましたから増える事はないと思うんですが、明日一応美神達も連れて行って下さい」

 

「ああ、判った」

 

霊法で人造的に妖怪を作ることは重犯罪だ。オカルトGメンの西条がいるならそれも十分に利用してやろうじゃないか。

 

「ただボスを排除しようとしていた連中の拇印付きの書類も山ほど出て来てるんで、陰陽寮は関係ないって方向でいけますよ」

 

「それはいいな、道真。余り深追いせずに戻れ、夜明けを待つんだ」

 

「あいあいさー。んじゃま、もう少し調べたら撤退しますわ」

 

道真からの報告を聞いて、苛立ちと同時に計算通りになっているなと微笑む。高島の屋敷に宿泊させる事で、横島に何かか起きているのは私の思惑通りだ。全てが全て自分の思い通りになるなんて都合の良い事は考えていなかったが、反私の人間と南部グループの件を除けば概ね計算通りだ。

 

「このまま陰陽寮を作り変える」

 

今の歳を取っただけの害悪がいる陰陽寮を変える、GS協会でもオカルトGメンの傘下にでも入ってしまえば良い。最早この組織に悪霊や妖怪と戦うだけの力は無いのだから、むしろ傘下に入る事で他の人間が責任者になってくれれば私は躑躅院を復興する事だけの尽力出来る。元々陰陽寮に何の未練も執着も無い、むしろ私の邪魔をするくらいにしか陰陽寮の事は思っていない。

 

「さて、次はどうするかな」

 

この強気の態度が自分を守る為の物と解釈してくれれば、それはそれで好都合だ。流れはそう悪くない、あの時私に噛み付いてきた馬鹿な男のそれを後押ししてくれるだろう、崩壊しかけの組織を押し付けられ、それを何と改善しようとしているが邪魔者扱い。

 

「悲劇のヒロインとでも思われればまた良し」

 

私が妖しいと思っていても目に見える悪意があれば人間の目はそちらに向かう、そうすれば私に向けられる警戒のまなざしも少しは緩いものとなるだろう。

 

「動き出した歯車は止まらない、陰陽寮消滅のシナリオはもう止まらない」

 

やはり陰陽寮は私にとって足枷でしかない、ここまで来たらもう壊してしまい、新しく作り直すしかないのだ。そうすれば私は自由になる、もう拘束されることは無い。私の真の目的の為だけに進んでいけるのだから……。

 

 

 

リポート30 陰陽寮 その3

 

 




次回は捜査フェイズを書いていこうと思います、少し早めに南部の名前が出ましたが、まだ表には出てこないのでご了承願いします。
躑躅院の目的は陰陽寮壊滅、しかし自分に関係ないように全てを壊そうとします。実際GS協会、オカルトGメンよりも酷い状況ですしね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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