GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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その4

リポート30 陰陽寮 その4

 

~くえす視点~

 

横島が姿を消した。それは私を含めて全員の焦燥感を煽っていたが、闇雲に探しても見つける事が出来ない。まずは情報収集をするべきだという美神の言葉に私達は金閣寺の近くの神社の住職の元を訪れていた。

 

「神隠しの事ですか。陰陽寮の方にはお話しましたが、望まれるのならばまたお話しましょう」

 

住職は人のいい笑みで笑い、神隠しの件についての話を始めてくれた。住職が目撃したのは1週間前の事で目が多数浮かぶ漆黒の穴に人が飲み込まれる姿を見たらしい、慌ててその穴に向かったがその穴はあっという間に消え、飲み込まれた参拝客は3日後に同じ場所に倒れていたらしい。

 

「霊力の方は感じましたか?」

 

「そうですな、私はさほど優れた霊能者ではないのですが……足が竦むほどの凄まじい霊力でした。それにそのー上手く言えませんが、お

祈りをしている間に感じる空気も感じましたね」

 

お祈り……つまり神通力を持つ相手であり、霊力と妖力も持ち合わせている。美神と琉璃に視線を向けると2人も小さく頷くいた。確信はないが、可能性としてはやはり陰陽寮の一部が計画していた人造妖怪……いえ、神通力を持っているなら人造神魔とでも言うべき存在が神隠しの主犯なのだろう。これ以上被害がでる前に、何としても退治する必要がある。

 

「幼子の泣き声を聞きました。きっと寂しくて、悲しくて泣いているのでしょう。どうか迷える魂をお救いください。私には、その力がありませんので」

 

住職の言葉に私達は返事を返す事が出来ず、話を聞かせてくれたことに感謝し寺を後にした。車に乗り込み、次の目的地を考えながら、住職から聞いた話を整理する。

 

「幼い子供の泣き声……もしかすると人型の妖怪なのかもしれないですね」

 

「となると、完全体って事になるんじゃないかしら?もしくは人の声を模範しているか……可能性としては8ー2だと思うけど」

 

人造妖怪を作成していたアジトの周辺には異形の妖怪の姿があったと聞いた。そう考えれば人間の声を真似して油断を誘っていると言う可能性が強い、可能性は窮めて低いが人型になり人間のような感情を持っていると言う可能性もあるが、それは限りなく低い可能性だろう。

 

「いや、私は人型の可能性が凄く濃いと思うけど?」

 

「拙者もでござるな」

 

【ワシも、と言うか断言できる。絶対子供じゃよ、しかも女の子】

 

「……私もそう思う。泣いていたって事は寂しいって事だろう?横島に構ってもらおうとしているに違いない」

 

私達はそう思っていたのだけど、タマモ達が確信めいた口調でそう告げた。

 

「何か理由は?」

 

蛍が引き攣った顔で理由はあるの?と尋ねる。それが一考する価値があれば、人型と言う事で考えてもいいかもしれないですわね。

 

「いや、アリスとか天竜姫の事を考えるとねえ?絶対子供よ」

 

「せんせーを攫う人外とか遊んで欲しいに決まってるでござる。そもそも拙者がせんせーに遊んで欲しいでござるからな」

 

【横島は人外ホイホイだからの】

 

「……横島は子供に好かれる、そして人外にも好かれる。これはもう2倍特攻っていう奴だろう?」

 

それは余りにも抽象的な言葉で何を馬鹿なと思ったのですが、私だけではなく全員が神妙な顔をしていた。ありえなくはないと思ってしまったから……。

 

「どうしよう、もう横島君を攫った相手が子供にしか思えなくなってます」

 

「私もよ、なんでかしらね……」

 

「理由は無いんですけど凄く説得力がありますよね」

 

「私もそう思うんですよね……不思議ですけど」

 

相手が子供でも動物の姿だったとしても横島を隠した相手は幼いという印象が脳裏に焼き付いてしまった。

 

【今戻りました。天狗殿達なのですが、大天狗殿の娘が行方不明らしく見つければどんな事でも協力してくれるそうです……所で主殿は何処ですか?】

 

「……ううう、横島様の気配が何処にもないんです……一瞬、本当に一瞬公園で横島様の気配を感じたのにぃ……」

 

戻って来た牛若丸が天狗からの協力を得れる条件を教えてくれた。教えてくれましたけど……いつの間にか車の中にいて泣き崩れている清姫がかなり気になることを言っていますが、今はそれ所ではなかった。天狗と人造神魔と横島の事で頭の中が一杯だった。

 

「どうしましょう美神さん、もう天狗の娘と横島が一緒にいる姿しか想像できません」

 

「言わないで、私もそう思ってるから」

 

「……横島君と人外の存在ってやっぱり切っても切れないんですよね」

 

「本当ですよね。早く横島さんを見つけれると良いんですけど……」

 

「……とりあえず、清姫。横島の気配があったっていう公園に案内してくれ」

 

「……判ってますわ。まずは手がかりですものね……」

 

とりあえず一番最初の手がかりは何とか入手出来たのですが、横島が何か別の問題を起こしているような気がして私達は頭を抱えざるを得ないのだった。

 

 

 

 

 

~横島視点~

 

美神達が横島の捜索を行っている頃。異界で紫と共にいる横島はと言うと……。

 

「それ!」

 

「ぷーぎゅー♪」

 

「「おーッ♪」」

 

紫と公園に落ちていたフリスビーやボールを回収し、それを使ってうりぼーと共に芸を行っていた。今も横島が投げたフリスビーを横島の背中を駆け上がったうりぼーがジャンプして空中で加えて着地した所だ。

 

「凄い凄い!ねね!凄いよね!」

 

「う、うん。凄い」

 

導師服に身を包んだ紫と並んで座るのは黒い翼を持つ幼い少女。公園で遊具を回収している時に見つけた天狗の女の子も一緒に連れてきて横島は2人と遊んでいたのだ。

 

「紫ちゃんと天ちゃんもやってみる?」

 

やるーっと両手を上げて立ち上がった2人に苦笑し、うりぼーが加えていたフリスビーを受け取る。

 

「うりぼーはキャッチが上手だから上手くとってくれるけど、力任せに投げたら駄目だからな?優しくうりぼーの事を考えて投げてやって欲しい」

 

「「はーい♪」」

 

元気良く返事を返す2人の頭を撫でてフリスビーを渡す。すると紫ちゃんの方が年上なのか、天ちゃんに譲っている姿がありそんな姿を見たからか、微笑ましい気持ちになる。

 

「優しくな。こうもって、手首の力で軽く投げる」

 

「は、はい、えっとこうかな?こうかな?」

 

2~3度素振りをした天ちゃんがフリスビーを手に取り、うりぼーとその隣でぶんぶん手を振っているチビノブ目掛けてフリスビーを投げる。

 

【のーぶーッ!!】

 

うりぼーでは届かない高さだったのでチビノブがジャンプしてフリスビーを受け止める。

 

「あう、失敗です」

 

「大丈夫大丈夫、最初から上手くは出来ないよ」

 

フリスビーって投げるだけなら簡単なんだけど狙った所に投げるのは難しいんだよな。チビノブが俺目掛けて投げてきたフリスビーを受け取り、今度は紫ちゃんに手渡す。

 

「うりぼー行くよー!えいっ!」

 

気合満点だった紫ちゃんだが気合を入れすぎてから回ったのか、フリスビーは地面に叩きつけられ小さく跳ね、ころころと転がって行った。

 

「ぷぎ」

 

うりぼーがゆっくりとフリスビーの元へ歩き、加えて紫ちゃんの所に戻って来た。んだけど、紫ちゃんは酷く複雑そうな表情をしながらそれを受け取るのだった。

 

「ボールにする?」

 

「もっかいやってみる!」

 

「私も!」

 

子供にはフリスビーは難しかったかなと思い、ボールにする?と尋ねるが2人の気持ちはまだ折れていないのか、フリスビーを投げるとい言うので2人の好きにさせる。

 

【ノーブ、ノーノーブーブウ!】

 

「うんうん、えっとこう?」

 

【ノブノブ、ノーノーブー】

 

「こう?」

 

【ノーッブ♪】

 

……あの2人もチビノブと話を出来るんだな。妖怪?それとも精霊かは判らないけど、チビノブと意思疎通が出来るのは凄いと素直にそう思う。

 

【横島。美神達が探しているのはわかっているな?】

 

「絶対探してくれていると思うよ」

 

この目玉だらけの漆黒の世界は不気味ではあるけど害は無い。紫ちゃんが満足するまで遊んであげて、その後に外に出してくれるか、それとも一緒に外に行かないかと交渉してみるつもりである。

 

「みーむ、みみーむう」

 

「チビもそっちの方が良いと思うよな?」

 

「みっむう♪」

 

話してみて、遊んでみて判った。やっぱり彼女は普通の子供なのだ、そりゃまあ特別な力を持っているかもしれないけど普通の幼い女の子なのだ。話せば判るし、遊んであげれば喜ぶそんな普通の子だ。でもこんな所にいればそれこそ本当に妖怪や化け物になってしまうかもしれない、俺としてはそれを認めることは出来ない。

 

【小竜姫様がいてくれて良かったな、相談出来ると思うぞ】

 

「俺が引き取れれば良いんだけどな」

 

【無茶を言うな、男子高校生が7歳くらいの女の子の面倒を見れると思うか?】

 

「やっぱ厳しいよなあ」

 

シロでも中学校くらいで自分の事は自分で出来るし、タマモも同じだ。だけど幼い紫ちゃんの面倒を見るのは俺の家では無理があると言うのは判りきっている。

 

【小竜姫様に相談して、力をコントロール出来るようにしてやれば何時でも遊びに来るさ】

 

「やっぱりそうなるよなあ」

 

紫ちゃんが妖怪なのか、精霊なのか、神魔なのかは判らない。だけど力をコントロールする術を学ぶ必要は判っている、だって俺もそうだしな……力って言うのはあっても決して幸せとは限らないって言うのを身を持って知った気分だ。

 

「今度はボール!ボールで遊ぶー!」

 

「円盤は難しい」

 

フリスビーに悪戦苦闘していた紫ちゃん達だが、ついにギブアップしボールで遊ぶというので俺はゆっくりと立ち上がりボールを抱えあげる。

 

「よっし、じゃあボールで遊ぼうな」

 

俺の言葉にきゃっきゃっと楽しそうにはしゃぐ紫ちゃん達を見て改めて思う。確かに彼女たちは人間ではないかもしれない、だけど決して敵ではない泣いて笑って、言葉を交わして人と変わらないのだ。だからきっと分かり合える、仲良くなれる。だから俺の夢の人と人なざる者も手を取り合える未来はきっと訪れる――俺は心からそう思うのだった。

 

 

 

 

~躑躅院視点~

 

人造妖魔の拠点の捜査を西条と行っていると横島が神隠しにあったという報告が西条に入った。そうなればこの拠点の調査にばかり気をとられているわけには行かないと、私と西条は1度この拠点の捜索を部下達に任せ車に乗り込んだ。

 

「横島君はそんなにも人外に関係性が深いのかな?」

 

「横島君が歩けばまず人外に出会うと見て間違いないですよ。しかし、参ったな……京都で多発している神隠しならまだいいんだが」

 

京都で多発している神隠し、これも捜査こそされているが有力な手がかりは無い。ただ被害者はいても死傷者がいないから多めに見ていたが、それがあだになった形になってしまった。

 

「京都の結界が破壊された痕跡はないですよ?」

 

「相手は最上級神魔だよ?人間の常識は通用しない」

 

京都にガープ一派が侵入していると思いたくないが、全く持って西条の言う通りである。

 

「……天狗に頼んでみますか?」

 

「それも無理だ、なんでも天狗の長の娘が行方不明だそうだからね。牛若丸がもう頼みに行ったそうだよ、結果は娘を見つけてくれれば手伝ってくれるという話になっている」

 

京都近辺に陣取っている天狗の助力も得れないか、なんとも面倒な話になってきたものだ。

 

「人狼や妖狐は駄目だったんですか?」

 

「匂いが無いそうだからね、匂いさえ残っていればどうにでもなるのだけど……」

 

なんとも世知辛い、横島君の周りには横島君を守ってくれる存在が沢山いるが、その感知をすり抜けるとは素直に賞賛するべきだろう。

 

「それでどうするつもりなんですか?」

 

「とりあえず、清姫様が横島君の気配を感じたといっている公園に向かってみようと思うよ。それで躑躅院君はどうする?」

 

陰陽寮で降りるという選択肢も私にはある。だが折角馬鹿が暴走して私も被害者と言う流れになり、警戒心が緩まっているのだ。ここで一気に仲間内に入り込む方が得策だと思う。

 

「横島君を招待したのは私ですからね。見つけるまでお付き合いします」

 

「すまないね、よろしく頼むよ」

 

オカルトGメンの西条とGS協会の神代琉璃。陰陽寮を廃寮にするにしろ、正式にオカルトGメンかGS協会の傘下に入るにしろ2人への橋渡しは大事だし、何よりも印象を良くする為の行動はしておくべきだろうと判断し、横島君を見つけるまで同行することにする。

 

「ここで横島様の気配を感じたのですわ」

 

「……確かに少しだけ気配が残っているな」

 

公園では清姫様とシズク様が捜索を行っていた。近くには美神達もいて、見鬼君等で痕跡を探している。

 

「ちょっと匂いがするでござるなあ」

 

「うりぼーとチビの匂いもするからこの近くだとは思うんだけど……」

 

見た所それらしい物はないが、横島君の気配がこの公園に残っているらしい。考えられるのは1つ、この公園のどこかに異界があり、その中に横島君がいると言う可能性だろう。

 

「令子ちゃん、何か見つかったかな?」

 

「西条さん、ううん。匂いと痕跡は僅かにあるらしいんだけど……目に見えるそれらしい物は無いのよね」

 

「霊視ゴーグルでも駄目ですね。うーん、本当に横島の気配があるのかしら」

 

霊視ゴーグルや見鬼君は悪霊や霊的存在の発見には適しているが、異界などを見つけるのには適していない。痕跡は見つけれても、横島君本人を見つけるのは難しいだろう。

 

「躑躅院も着てくれたんだ」

 

「招待したのは私ですからね、捜索を手伝うのは当然ですよ」

 

琉璃の目にはまだ若干の警戒の色がある。だがそれで当然なのでそれに対して眉を顰める事はしない。

 

「部下に恵まれてないのね、私も人の事言えないけど」

 

「だから解体するんですよ、判るでしょう?」

 

正直な話GS協会の方が良い人材が揃っていると心から思う、なんせ寝首を掻こうとする相手がいないってだけで十分いい部下だと思う。

 

「異界だと思うのですがどうですか?」

 

「……空間を切り裂いて見ましょうか?」

 

「すいません、ちょっとそう言うのは止めてくれないでしょうか?」

 

神魔の力を全力で振るえば空間くらい切り裂けると思うが、その後の事を考えて小竜姫様を止めに入る。だが、抜き放った神刀を鞘に納める気配が無い。

 

「横島さんを早く見つけるべきだと思うんです。京都には結界があるから大丈夫では?」

 

「あのそれとこれはとは話が別なのですが?」

 

空間を切り裂いてそこから悪霊とか妖怪が溢れ出たらどうするつもりですか?と逆に問いかけるが小竜姫様はそれでも剣を収める気配がない、その事に背中に冷や汗が流れた。

 

「では魔法でこじ開けましょう」

 

「お願いですから空間を破壊するっていう方向から離れてくれないですか?」

 

横島君に対する対応が余りにも過激すぎる。神魔であれ、女性なのだから恋をすることはあるだろう。だがその恋が空回りしているような気がしてならない。

 

(おかしいな。私はこういうキャラじゃないはずなんだが……)

 

なんか横島君達が来てから突込みとかストッパーばかりをやっている気がする、そんなの私のキャラじゃないのに……。

 

【むむむ、本当に主殿の気配があるんですか?】

 

【あるって言ってるじゃん?だから探し……ぐぶおうッ!?「ノッブちゃん!?どうしよう、思いっきり踏んづけちゃった……」

 

信長の苦悶の声と動揺しきった青年の声、振り返ると紫の導師服の幼女と天狗の少女を背中に背負っている横島君が信長を踏んづけていた。横島君を呼ぶ声があちこちから聞こえる、予定通りではないが横島君が戻って来た。それだけで今はよしとしよう……。

 

(天狗の娘に神通力を持つ子供……か、私の手柄ではないが、まぁ良いだろう)

 

京都を騒がしていた神隠し事件の主犯も見つかり万々歳、これが今回の横島君の神隠しの落とし所では妥当な所だなと思う。

 

「美神さん、えっと天狗の天魔ちゃんと、良く判らない妖怪?神様の赤ちゃん?良く判らないですけど、紫ちゃんです」

 

「天魔です、よろしくですー」

 

「紫ですわ、よろしくお願いしますね」

 

のほほんと笑いながら2人を紹介する横島君。その姿に動揺や、恐れなどは無く、横島君が人外に好かれるのはその図太い精神なのではないかと思いながら、横島君のほうに足を向ける。今回の件はこれで解決、神隠しの件でばたばたしているから滞在期間を延長させて……

 

(まだまだやれる事はあるな)

 

京都にいる間に警戒するべき存在から、ある程度の信頼は勝ち取っておく必要がある。そうでなければ、態々横島君達を京都に招待した意味がない、紫と言う少女に険しい視線を向けている小竜姫様とそんな紫を庇う素振りを見せている横島君。

 

「小竜姫様、そのような視線を向ければ彼女が怖がってしまうでしょう?まずは話を聞くべきではないですか?」

 

「……そうですね、すいません。怖がらせてしまいましたね」

 

横島君の後ろに隠れて、その服を握っている紫からの視線と庇ってくれたという安堵の表情をしている横島君。今一番信用を勝ち取りたい相手からの安堵した表情に笑みを浮かべる。

 

「彼女は人を殺している訳でもない、何もそんなに警戒する必要はないでしょう?」

 

「躑躅院さん」

 

「大丈夫だよ、私は君の味方だよ」

 

私は君の味方だとも、私に君が必要な限り……はね。表面上は笑みを浮かべ、内心は冷酷なまでに横島を品定めする。君の価値は君が思っている以上に大きい、だからどうか私に君を見限らせないで欲しい。いつまでも私にとって利用出来る存在であって欲しい。

 

(美弥の為にもね……)

 

私に取って横島君の価値は陰陽術にしかない、だが美弥にとってはそうではないのだから、私にとって何よりも大事な美弥に相応しい相手であることを私は心から望むだけなのだから……。

 

 

 

 

~小竜姫視点~

 

横島さんが無事に見つかったのは本当に嬉しい事だ、怪我も無い、洗脳された痕跡も無い。それだけで本当に心から安堵したのですが……目の前の光景を見ると些か複雑な気分になるのは何故でしょうか?

 

「はい、メロンパン。美味しいよ?」

 

「ありがとー」

 

「すーすー」

 

メロンパンを食べている天狗の少女と横島さんの膝の上で寝ている紫と言う少女の神魔を見ていると何とも言えない気持ちになる。

 

「みむふうみむふう」

 

「ぷーぎりゅうるうりうー」

 

【のーのー】

 

チビ達も遊び疲れたのか横島さんの側で寝ているその姿はとても微笑ましいのに、寝ている少女を見るともやっとする。この気持ちは一体何なのだろうか?

 

「天魔様、お帰りは……」

 

「まだ帰りませぬ、父様にそうお伝えください。判りましたね?」

 

「は、はい、判りました」

 

天魔ちゃんはすぐに迎えが来たのですが、きっぱりとした口調でそう追い返し横島さんに甘えている。

 

「つまり紫ちゃんは寂しくて遊んでくれる相手を探していただけと?」

 

「そうみたいです、フリスビーとかボールで遊んであげて、外に出たいって言ったら簡単に出してくれましたよ。まぁ、紫ちゃんも着いて来ましたけど」

 

でも元から連れて来るつもりだったので問題ありませんとはじける笑顔の横島さんに頭痛を覚える。

 

「と、とりあえず討伐事案にはなってないから退治する必要はないですね」

 

「それはそうだけど……どうするのよ?」

 

横島さんに懐いているのは良いとしても相手は力をコントロールできない神魔、横島さんがそれを望もうとも、紫ちゃんがそれを望んでも私達はそれを認めることが出来ない。

 

【小竜姫様、天竜姫様のお友達にどうでしょうか?】

 

「俺からもその線でお願いしたいですけど……」

 

天竜姫様には友達がいない、そう言う面ではきっと横島さんと心眼の頼みは決して間違いではない。間違いではないのですが……

 

「それは私の一存では決めれないので、後で連絡を取ってみます」

 

「すいません、よろしくお願いします」

 

力をコントロールできない神魔を野ざらしには出来ない、こうして見つけた以上は保護するのが一番妥当だ。

 

「大丈夫なのですか?」

 

「大丈夫ではありますよ?見た所天竜姫様と年齢も近いですし、竜神王様次第ですが」

 

天竜姫様の友達にするかどうかは竜神王様の決定次第だが、天界で保護するのは間違いない。

 

【横島ーワシを踏みつけるとか酷くない?】

 

「ごめんごめん、本当事故だったんだよ」

 

【言葉だけかの?】

 

「東京に帰る前に京都のメロンパンを沢山買って帰ろう」

 

【なら許す!】

 

気の抜ける会話をしている横島さんと信長はいつも通りと言うことにしておいても、私達は私達で解決するべく問題が残ってしまった。通常の神魔ではない、やはり危惧していた通り人造神魔と言うべき存在だ。まだ京都でそう言う開発が続いている可能性はゼロではない

 

「やっぱりすぐに東京に戻らず、もう少し調査を続けようか?」

 

「そのほうがいいですよね、やっぱり」

 

今回は自爆と言う形で終わりましたが、人造神魔や人造妖魔が実戦段階になりそれが日本で暴れるかもしれないとなれば、この近辺でそう言う研究所がないか念入りに調査する必要がある。

 

「人造神魔とかを開発できる組織となると限られてきますしね」

 

「でもそうなっても一筋縄じゃ行かない相手よ」

 

政治家との癒着や検察とのやり取りなど、陰陽寮のお膝元で人造神魔計画などを進めていることを考えればやはり陰陽寮は既に抑止力として機能していないのだろう。躑躅院さんが1人で努力しても、1人では出来る限界がある。正直あんまり信用出来ない相手ですが、京都にいる間は協力するのと同時に躑躅院さんを見極めようと思う。

 

(味方として信用していいのかどうかを……)

 

神魔だけではない、人間が人造神魔などを製造している。恐らくだが、その知識を与えたのはガープだろう、同じ人間同士でさえも信用出来ないそんな状況になりつつあるのが今の日本だ。

 

(これもきっと計画の内なのですね)

 

隕石落としと大地震と続けて作戦を行ったガープだが、今は不気味なほど沈黙している。その不気味な沈黙がまた大きな事件を起こそうとしている予兆に思えて仕方ないのだった……。

 

 

 

リポート30 陰陽寮 その5へ続く

 

 




NEWメンバーの追加で今回の話は終わりとなります、次回はロリィと戯れている横島君と人造妖魔、人造神魔の件を調査する美神達とシリアスのほのぼので書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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