GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
リポート30 陰陽寮 その6
~小竜姫視点~
美神さん達を見送り、暫く崩壊した研究所の跡地で待っているとメドーサとブリュンヒルデさんの2人が遠くから飛んで来るのが見えた。2人が思ったよりも早く来てくれたことに安堵した。清姫様とシズクさんが一緒だとしても、恐ろしい力を持つ人造神魔と天狗の長の娘……そして横島さんがいると言うのは魔族……もっと言えばガープにとっては貴重なサンプルを同時に得るチャンスである事は間違いない。早く合流しなければと思っていたので、30分ほどで2人が来てくれたのは本当にありがたい事だった。
「……おいおい、小竜姫。なんとか出来なかったのか?」
「無茶を言わないでください、私は術はあんまり得意じゃないんですよ」
ある程度は扱えるが、私の武器は剣術と体術だ。ガープの仕掛けた遠隔操作の魔術を解除する術は私にはない。
「メドーサ、あんまり無理な事は言わない方がいいですよ?」
「いや、あたしが言いたいのは頭が吹っ飛んでる事についてだよ。死んでるのはいいさ、でも吹き飛ぶ前に切り落とすくらい出来なかったのかよってさ」
「それは確かに私のミスですが……異界が閉じようとしているので逃げるのに手一杯でしたから」
本当ならば首を切り落とせばより情報も入手できただろう。だが異界が閉じると同時に遠隔操作の術が起動してしまえば、流石にどうしようもないのだ。
「ネビロス様のネクロマンシーなどで操る事は可能でしょうか?」
「……正直頭を失っているので確実とは言えないですが……断片的にでも情報を得れる可能性はあります」
断片的……ですか、ガープの遠隔操作があるとしてもやはり1人くらいはまともな状態にしておきたかったという後悔が頭を過ぎる。
「まぁ仕方ないさ、ガープの常套手段だと思えばな」
「簡単に切り捨てますからね、彼らはさほど重要ではなかったのでしょう」
「……そう言って貰えると助かります」
ガープ陣営にビフロンスが居る事は判っている。本当に有能ならば、死体にした後に回収して蘇生しているはずと言う言葉にほんの少しだけ、許された気持ちになった。
「私はメドーサと一緒に死体を運びます。また何か判れば連絡しますね」
「ヒャクメはかなり忙しいみたいで今すぐに動けないらしいからな。横島に気をつけるんだよ」
ヒャクメはすぐに動けないと聞いて内心溜め息を吐いた。横島さんの状態はあんまり良くないものではない、出来れば早く見てもらいたかったんですが……無理ならば横島さんの状態には細心の注意を払う事にしよう。
「それと人造神魔を1人保護しました。転移能力持ちで幼い少女です」
「……それってもしかしなくても横島か?」
「はい。横島さんですね」
横島さんだからこそ保護出来たといえるだろう。子供に好かれる気質だから、警戒心を緩めて保護する事が出来たのだと思う。
「力のほうはコントロールは?」
「正確に出来ている訳ではないですが、ある程度は大丈夫と言った所です。外見は天竜姫様と同じ位で、精神年齢はとても幼いです」
「判りました。そちらも伝えておきます」
横島さんが保護し、そして神魔へと託したのならば横島さんは紫ちゃんの事を気に掛けるだろう。下手をすれば、神魔への不信感に繋がりかねない。
「竜神王様とお父様に伝えてみます」
「よろしくお願いします」
人造神魔とは言え、生きているのだ。そして感情があるのだから難しいと判っていても、優しい場所にいて欲しいと願う。研究者の死体を抱えて転移する2人を見送り屋敷へと戻るのとそこには……
「この度は我が娘を見つけていただき感謝します」
「ああ、いえいえ、その偶然の事ですし」
「いやいや、気難しい我が娘が懐いている。よほど心細かったのでしょう、これほど安堵した表情を見るのは父である私でも久しぶりの事です。我ら天狗――いつでも力を貸しましょうぞ」
「はぁ、どうもありがとうございます?」
天狗の長が横島さんに頭を下げていて、横島さんが困惑した表情をしている。だけど、困惑したいのは私達の方であると言う事を理解してほしいのだった……。
~琉璃視点~
「あ、おかえりなさい。ふはあ……寝かしつけるだけのつもりが俺まで寝ちゃいました」
皆忙しいのにすいませんと謝る横島君だけど、子供の体温は温かい寝かしつける間に眠ってしまったとしても、それは仕方のないことだ。
「おはよー」
「むにゅー」
まだぼんやりしている紫ちゃんと天魔ちゃんを立ち上がらせて、昼寝をした事で乱れている服を整えてあげていると、夕暮れの空から何かが羽ばたく音が聞こえてきた。
「あれって!?天狗じゃないッ!?」
【おお、長殿が参られたようですね】
4人の天狗が籠を担いでゆっくりと降下してきて、その中の1人が籠を開ける。
「天魔」
「父様!もう参られたのですか?」
「うむ。お前を見つけてくれた御仁に礼を言うのが最優先だと思ってな」
籠から姿を見せたのは若くも見えるが、それと同時に年寄りにも見える。そんな不思議な気配を身に纏った黒と白の翼を持つ立派な体格の天狗だった。
「横島殿でよろしいか?」
「あ、はい。横島です」
「この度は我が娘を見つけていただき感謝します」
おどおどしている横島君と天狗の長の会話を聞きながら、私はとりあえず庭先ではなく屋敷の中へと声を掛けるのがやっとなのだった。
「横島、天魔の父様です」
「天魔の父の幻魔と申します」
「ご丁寧にどうもありがとうございます」
横島君を尋ねて来たので、私達は何も言わないで横島君の後ろに控える。横島君が助けてという視線を向けてくるが、私達に出来る事はないので無視する。
【幻魔殿はもう少し天魔を見ているべきではないのですか?】
「耳が痛いな、牛若丸。だがな、天魔はいたずら好きで、目を離すとすぐにいなくなってしまうのだ。5人のお目付け役から逃げ出して、
山を出ているとは思っても見なかったのだ」
5人の天狗のお目付け役に見つからずに逃げるって……幼くてもやっぱり天狗。しかも天狗の姫と言うのは伊達ではないのだろうけど……お姫様としてそれはどうなのだろうか?
「監視から逃げるのは姫としての嗜みですわ」
「え?そうなの?」
「そうですわよ?外に出たくても監視が付いて回るのは面白くないですもの」
「そっか、お姫様には逃亡が基本技術なんだ……」
清姫様、お願いだから横島君に変な事を言わないでほしい、変な所で素直だから信じてしまうから……。
「天狗の隠れ蓑です。これがあれば見つからないのです!」
「おお、凄い。そんな霊具があるのか」
「天狗は皆持ってますよ?」
天狗すげえっと横島君がキラキラと透き通った目で尊敬の視線を向ける。幻魔様もうむ、まぁ、天狗は凄いからなっと満更でもない様子だ。
(天狗ってもしかしてチョロインですの?)
(まさか!横島さんだからですよ!)
(……傲慢と書いて天狗と読むくらいだぞ)
傲慢と書いて天狗と読むのならば、きっと純粋と書いて横島君と読むに違いない。純粋と傲慢が掛け合わされるとこんな化学反応が起きるのかと私達は半分諦めの境地で見ていた。
「こほん、我が娘を見つけてくれた礼の品を持ってきた」
「いやあ、そんなの良いのに」
「礼の品と言っても、本来の所有者に返すだけだ。どうか受け取って欲しい」
付き人の天狗から受け取った木箱の蓋を開け、幻魔様が机の上に木箱を置いた。横島君はその中身に手を伸ばし、箱の中から持ち上げる。
「これは勾玉ですか?」
【凄まじい高密度の霊石で作られているな、こんな物を受け取ってもいいのですか?】
「かまわない、それは陰陽師高島から預かっていた品。あの男と似た気配を持つ横島が持つのに相応しい」
陰陽師高島の霊具……ッ!京都に来たのだからその可能性は十分に考えていたけど、まさかこのタイミングで渡されるとは思っても見なかった。
(美神さん)
(判ってるわ。蛍ちゃんとくえすも気をつけておいて)
高島の屋敷を訪れた時のように横島君の魂に刻まれた記憶が姿を見せるかもしれない、そう思って警戒していたのだけど、横島君に変調は見られず。勾玉を木箱に戻して自分の目の前に置いた。
「綺麗ですね。ありがとうございます。大事にしますね」
だが私達が危惧した横島君の魂に変調が起きる事はなかった。だけど、今は起きていないだけで、いずれ起きるかもしれないと思えば何か理由をつけてあの勾玉を一時的にでも取り上げるべきなのかもしれない。
「うむ、それとな。何か困った事があれば、いつでもこれを吹いてくれ。天狗の長の名において助太刀いたそう。さ、天魔。帰るぞ」
「え、あ……はい、判りました。紫、またね?」
「うん、またね……」
紫ちゃんと天魔ちゃんが寂しそうに別れをかわし、横島君もそれを悲しそうに見つめている。
【幻魔殿、1度主殿の家に案内するので主殿の家の場所を覚えておいていただけますか?】
付き人の天狗が何を言っているっと言う顔をしていたが、幻魔様は牛若丸が何を言っているのかを理解していた。
「うむ、それも良かろう。天魔はどう思う?」
「良いのですか?」
何時でも横島君に会いに行けると知って華の様な笑みを浮かべる天魔ちゃん。その姿を見て、本当に横島君が人外に好かれると言う事を改めて思い知った気分になった。
「では横島殿、また何れ、天魔と共に伺います。それまでご健在で」
「とても楽しかったです、また遊んでくださいね」
籠に乗り、山へと帰って行く幻魔様達を見送っている横島君を見つめながら、私は美神さんに声を掛けた。
「また人外との繋がりが出来ましたね」
「……そうね。もう、諦めるしかないのかしら」
「諦めるべきなんだろうね、これはもう横島君の個性だから」
日本でも取り分け強力な妖怪である天狗との繋がりが出来たのはありがたいことだが、それも素直に喜べない理由もある。
「私のことは気にしないでいいよ。どうせ、陰陽寮との繋がりは切れてる」
「まぁ、そう言うなら良いけど、後で逆恨みとかしないでよ?」
「ははは、陰陽寮はGS協会の傘下になるんだ。自分の上司に唾を吐いたりしないよ、私はね」
天狗は陰陽寮と繋がりがあったが、それもいつの間にか切れていたのだろう。その切れた縁が横島君でGS協会と繋がったのはありがたいけれど……正直に喜べないでいた。
(今回は大丈夫だったけど……次も大丈夫とは言えないわよね)
まだ高島の遺品を天狗が持っていて、それが横島君に渡されてなにか影響があるのではと心配してしまう。
「……横島。風呂に入って来い」
「あいよー。チビ達もおいで」
「あ、紫もー」
チビ達と紫ちゃんを連れてお風呂に向かっていく横島君。その余りの自然体に私は溜め息を吐きながら、紫ちゃんの後をなんとも言えない目で見つめているくえすと蛍ちゃんを見て苦笑する。
「少なくとも、目に見える成果は1つは出来ましたね」
「そうね、そう思うことにしましょうか」
天狗との繋がりが出来た。京都での事件には巻き込まれたけど、これを1つの成果として私達は考える事にしたのだった。
~蛍視点~
横島の後ろの雛のようについて回る紫ちゃん。美神さんやくえすが言うには自分の能力で異界に閉じ篭っていたのを、横島が受け入れて甘やかしたのでそれが刷り込みのようになって紫ちゃんは横島に父性を感じているとの事だ。
(ありえない話ではないのよね)
横島の人外に好かれる特徴に子供の神魔となれば、横島に懐くといっても過言ではない。
「ぎゅー♪」
「んー?紫ちゃんは甘えん坊だなあ」
にぱっと笑い横島に抱きついている姿は見ていて微笑ましい、微笑ましいんだけど……。
(なんだろう、凄くいやな感じ)
アリスちゃんや天竜姫様、そして天魔ちゃんとは違うような気がしてならない。
「……とりあえずだが、まだ東京には帰れないんだよな?」
「陰陽寮の事が解決するまでは帰りたくても帰れないのよ」
本当ならば今日東京に帰っている予定だったが、元陰陽寮の研究者達の暴走で人造妖魔、人造神魔の件が明らかになったので、それが解決するまでは東京には帰れないらしい。
「まぁそれならそれで観光旅行でもすればいいのですわ」
「ですね。やっぱり息抜きは大事ですよ」
互いに賛同しているように見えるけど、その目は全く笑っておらず邪魔者と認識しあっている。それなのに、表面上は笑えるとか本当にすごいと思う。
「ぴぎい♪」
「みむー♪」
「よーし、取ってこーい」
「えーい」
そしてそんなくえすと清姫の空気にも気付かず、ボール遊びをしている横島も横島で本当に凄いと思う。
【横島は基本的に何も考えて無いからの】
【むしろ自分の知り合いが喧嘩するわけないと思っている節もありますよ】
横島から煩悩が消えると恐ろしいレベルの天然になってしまった。そんな横島も可愛いんだけど、可愛いだけじゃ駄目なのよね。もう少し危機感とかを覚えて欲しいと思う。
「冥華さんには連絡したら、六道の調査班が来るまでは待機だね」
「となるとやっぱり息抜きで観光とかになるわよね」
「屋敷に留まっているのも不安ですしね」
横島の変異が屋敷にいることで起きるかもしれないと思うと、冥華さんが来るまで屋敷にいる時間は極力少なくしたい。
「では鹿公園にいくでござるよ」
「止めなさい馬鹿、どんな悲劇を起こす気よ」
全く持ってタマモの言う通りである、横島と動物は決して近づけてはいけない。それは私達の中の絶対のルールだ。
【……】
((((いるッ!!!))))
白い毛の子鹿が今チラっと空を飛んでいた。まだ横島の所に来る事を諦めていないのだ、そんな時に鹿公園に行けばまた天空から舞い降りてくる神々しい鹿になってしまうのでそれは避けなければならない。
「私の提案なのですが、北野天満宮か清明神社に行って見ませんか?」
小竜姫様の提案に全員の視線が小竜姫様に集まる。今の横島的に決して相性のいい場所ではない、だがそのどちらも横島に取っては縁が深い。
「横島さんが文珠に目覚めたのですから、道真公に会っておくべきではと思うのです。勿論、会ってくれるという保障はありませんが……」
文珠は文字通りの最後の切り札だ。人造妖魔、人造神魔が作られている事を考えれば、量産型レブナントを超える脅威になりかねない。そうなれば文珠が必要になる場面は多くなるかもしれない。
「ですが、それはリスクが余りにも大きすぎませんか?」
「はい、リスクは承知の上で提案しています。そしてその上で決めるのは美神さん達にお任せします」
神魔としては戦力向上で文珠は必要だが、小竜姫様個人としては文珠を横島に作らせるのは不安って事なのね。
「……私は北野天満宮か清明神社なら、清明神社を選ぶわ。西条さんと琉璃は?」
「僕も文珠は今はまだ触れるべきではないと思うよ」
「私もです、清明神社にしましょう」
この場の責任者の3人が北野天満宮に行く事を反対した。そのことに安堵の溜め息を吐いていると、いつの間にか横島達は庭に遊び場所を移したのか、屋敷の中にその姿はなかった。
「もう、勝手に外に出ないって言ってるのに」
「……良い、私が呼んでくる」
シズクが外の警戒を兼ねて屋敷の外に出ようとすると、横島と紫ちゃんが誰かを連れて広間に入ってきた。その誰かを見て、私を含めた全員が躑躅院と呟いた。
「えっと、躑躅院美弥です。そのお兄様のご指示で京都の案内に参りました」
「躑躅院さんの妹さんだそうで、何か京都の観光のお金とかを預かってきてくれたって言っているんですけど……」
躑躅院よりも明るい紫色の髪、そして自信に満ちた躑躅院と異なり不安そうに辺りをきょときょとみている美弥さんと目があった。
「そ、そのお……初めまして、よろしくお願いします」
おどおどと挨拶をしてくる美弥さんに挨拶を返す。躑躅院のお兄様と呼んだので、躑躅院の性別が男であると言うこと、そして美弥と言う妹がいると言う事は判った。だけど、その言動と容姿に私は違和感を覚えた。
(余りにも似すぎている)
男女の違いはあるにしても余りにも美弥さんは幼く見えた。それなのに躑躅院にも恐ろしいほどに似ていた……まるで同一人物のように
「それで躑躅院は何処に案内してくれるって?」
「は、はい、えっと清明神社の方へご案内するようにと申し付けられています。それと昼食のレストラン等もこちらでご用意しております」
完全に陰陽寮……いや、躑躅院の思い通りになるような気がして、嫌な予感はした。だがこうして、美弥さんが送られてきた事もあり、断る事は出来ないだろう。それに私達の目的地も清明神社だったから美弥さん、そして躑躅院の申し出を受け入れる事にするのだった。
~???視点~
神社の中の鏡の前で禅を組んでいた若い青年が閉じていた目をゆっくりと開いた。
【ん?随分と懐かしい気が近づいているな】
宙に浮かぶように立ち上がった青年の周りには人魂が浮いており、その青年が生きた人間ではないと言う事を如実に示していた。
【……西郷さん、母様か……転生しておられるのか……】
青年は困ったように首を傾げる。青年の名は「安倍晴明」平安時代最強の陰陽師と言われているが、彼自身は決して己が最強の陰陽師とは思っていなかった。
【記憶は恐らく無いだろうし……それなのに出会うのはやはり不味いよなあ】
彼の陰陽術は彼の母親から教わった高島の陰陽術である。つまり、最強の陰陽術師は安倍晴明ではなく、彼の中では高島忠助ただ1人なのである。
【ん?これは……高島殿の気配?いや、あったことはないんだが……この感じは間違いない】
姿を現すべきか、現さざるべきかと悩んでいた安倍晴明はその気配で決断を下す事が出来た。
【すまないが、私はやはり今は会うべきではないと考える。すまないが、私の代わりに母様のお出迎えと御持て成しを頼む】
【【こくり】】
鬼の式神を2柱召喚し安倍晴明は姿を隠す事を選択した。これが西郷の転生者である西条と、母親の転生者である美神だけならば彼は2人の前に姿を見せる事を選択しただろう。だが、ここに高島の転生者である、横島が加われば彼の中に姿を見せるという選択肢は存在しなくなる。
【気まずいなんて物じゃないからなあ】
安倍晴明の功績と高島の功績が入り混じって陰陽師の神として伝わっている。
【もうちょっと加減してくれれば良かったんだけどな】
清姫の大暴れによって平安京が燃やされた事により、高島の陰陽師としての証拠が消え去ってしまった。そこに、高島の陰陽術を知る西郷と葛の葉の指導によって才覚を表した安倍晴明に、高島の記録が無くなり、宙ぶらりんになっていた数多の怪異を調伏した高島の経歴が安倍晴明の経歴として謝って伝わってしまったのだ。
【人の功績を奪うとか、本当嫌なんだよ。私はそれなりの陰陽術師でいいのに……】
確かに安倍晴明は高島の死後の陰陽師では最強だった。だが、西郷と葛の葉から聞く高島の経歴とその優れた術に尊敬と敬意を払っていた。だがそこに高島の陰陽師としての功績と経歴までもが自分の物にされてしまうとなると話は別になる。
【最強の陰陽師は高島殿だよ。私なんかよりもよっぽど優れてる】
その事を苦しく思っている安倍晴明は高島の転生者である横島にあう事を拒み、その場から逃げるように姿を消すのだった。
【……ショウタイ、コッチ】
【アルジカラタノマレテル】
「……美神さん、お出迎えが凄いんですけど」
「怖い……」
「……式神だな、しかも召喚されたばかりに見える」
「まぁ、横島様のお出迎えをしないなんて失礼です事」
晴明神社を訪れた横島達を出迎えた3mは超える巨躯の大鬼の式神に美神達は引き攣った顔で案内され、ヒートアップしそうな形相の清姫とシズクは横島によって宥められ、美神達は大鬼に案内されるまま晴明神社の中の異界へと足を踏み入れるのだった……。
リポート30 陰陽寮 その7へ続く
今回はフラグを用意したのでやや短めの話です。次回は陰陽術の微強化イベントと躑躅院(妹)とのコミュ。そして東京に帰って、リポート31で2話話を書いて、全200話でGS芦蛍セカンドは完結となります。それでは最終話まで後3話、最後までお付き合いのほどをよろしくお願いします。
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い