GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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その2

リポート31 サイド東京 その2

 

~キアラ視点~

 

六道女学院のカウンセリングの予約は以前から常に満杯になっていたが、隕石落とし、地震の件から更に増え。理事長の許可を得て、放課後だけではなく、精神状況が著しく悪い生徒は授業中もカウンセリングを受けれるようにしていますが……それでも処理しきれないほどの生徒が私の部屋を訪れている。そして、その多くの生徒が抱えている悩みは同じ物でもあった。

 

『霊能者になるのが怖いんです』

 

『わ、私はあんなふうには戦えません』

 

『どうしてあの人はあんなにも自分の命を削るような戦いが出来るんですか……私には判りません』

 

そしてカウンセリングを受けに来た生徒の中には「横島忠夫」が怖いと言う生徒が余りにも多かった……よく笑い、そして人を思いやる心配りも出来る、そして自分よりも未熟な妖使いにも懇切丁寧に指導する。そう言う面では、横島さんを好く人物は多いだろう。だがそれと同じ位彼を嫌う人物も多いのが事実だ。

 

「……話だけで知った気になるからですね」

 

横島さんは一般的な霊能者とは余りに違いすぎる。蛍さんや美神さんが霊能者として非常に高水準で整った能力を持つからこそ、横島さんの異質さは目立ち、そして美神さんの霊能事務所に入れなかったルーキーの霊能者が横島さんの悪評を流し、それを週刊誌が嬉々として書き立てる。

 

(どうした物でしょうねえ)

 

横島さんの一部分だけが今が目立ちすぎている。何も横島さんは命を軽々しく捨てようとする人物ではない……だが彼は余りにも自分の命よりも自分にとって大事な人の命に重きを置きすぎている。それは、霊能の現場を知らない女生徒には自分の命を度外視する異常者にしか見えないのだろう。

 

「キアラさん~今時間いいかしら~?」

 

「はいはい、冥子さん。どうぞ」

 

冥子さんが不安そうな顔で私の部屋に入ってくる。いつも連れている12神将も自身の影に引っ込めている所を見て、私は珍しいと思った。

 

「なんかねえ~最近、横島君が怖い~って話を良く聞くの~でも、横島君は優しくて、とっても可愛い子なのに~なんでそんな話が出てるのかなあ~って思って」

 

その間延びした口調の中に横島さんを真摯に思う気持ちがあるのが、これでもかと伝わって来る。私は冥子さんに椅子に座るように促した。

 

「そうですね、やはり週刊誌が一番大きな部分を占めていると思いますが、教材としている物も悪いといえば悪いかもしれませんね」

 

横島さんの戦闘のビデオは私も見ましたが、特にGS試験の時の血塗れで互いに笑みを浮かべながら殴り合ってる場所をピックアップしたのは明らかに間違いだと思う。

 

「お母様が選んだ奴~?」

 

「ええ、確かに霊能者としては良い戦い方かもしれませんが、やはり実験経験が余りに少ないですからね」

 

実戦経験の少なさ、それと立て続けに起きた霊能事件が恐怖心を煽っているのだと思う。

 

「でも~横島君の悪口とか言われてるのは~嫌なのよ~」

 

「判ります。私も良い気分はしませんからね、とは言え、今の段階では出来る事がそう多く無いのも事実なんです」

 

横島さんと交流が深いのは六道女学院では妖使いの学級の生徒と、留学生のアン・ヘルシングさんに弓さんと一文字さんを20人にも満たない。一応1度交流学級をしましたが、蛍さんがメインで横島さんはおまけと言う感じの扱いでしたしね。

 

「じゃあ~どうすればいいの~」

 

「……美神さんがOKしてくれるかと言う問題がありますが、策は無い訳ではないです」

 

「本当~♪」

 

「本当ですよ、ある程度話が語りましたら冥子さんにも説明しますね」

 

「冥子はん、お仕事の時間でっせ?」

 

「あ~マー君、今行くね~」

 

私に一礼して冥子さんを連れて行く鬼道正樹さん。彼も暫くカウンセリングに通っていましたが、今では安定しているようでよかったですね。

 

「やはり横島さんと触れ合うことは大事なのですね、あとは除霊の実戦を知ることもですが……」

 

横島さんの悪評を流させない為には日常的に横島さんと交流している人物が必要であり、さらには除霊現場の現実と言う物を教える必要がある。

 

「うーん、私の考えることではないんですけどね」

 

あくまで私はカウンセラーで教諭ではない、だがそれでも見過ごせない物はあるし、手助けしたいという気持ちが無い訳ではない。

 

「1度理事長によーっく話を聞いてもらう事にしましょうか」

 

1度生まれてしまった不穏の種はそう簡単に消す事は出来ない、だがその不穏の種が花を開き、騒動を起こしてしまえばそれは看過して良い問題ではない。六女のカウンセラーとして、そして1人の大人として対処したいと思う。

 

「それにいくつか気になる事もありますし」

 

霊能者になるのが怖いというのはわかります、ですがそこから横島さんが怖いと言う話に飛ぶのは余りにもおかしい、10人に対して4人が横島さんが怖いと言っている。

 

「これも何かの変調の印なのかもしれませんね」

 

人の不安や恐怖を煽り、要らない対立を生み出されている。今はまだ私の予想の範囲ですが、これすらもガープ達の攻撃のような気がしてならない。

 

「こんな時こそ一丸にならなくてはいけないのに……」

 

GS協会、オカルトGメンの査察団問題に人造妖魔を開発していると言う黒い噂が耐えない霊能関係の会社の数々。ガープの襲撃が何時おきるか判らないと言うのに、何故人間同士の争いが続くのかと言う事を考えていると扉をノックされる音が響く

 

「はい、どうぞ」

 

「失礼します」

 

不安な事はある、考えたいこともある。だが迷える者が尋ねて来た時はそれらを全て隠しましょう。それが私殺生院キアラの仕事なのですから……。

 

 

 

 

~ドクターカオス視点~

 

先日から殆ど毎日掛けられてくる電話に辟易しながら、毎回繰り返している返事を返す。

 

「じゃからな、それはワシの管轄外じゃ」

 

『そこを何とかなりませんか、今魔鈴めぐみに日本に行かれるととても困るのです』

 

「そんな事を言ってもな、彼女は日本国籍でそちらには善意で籍をおいているに過ぎないじゃろ?」

 

『そ、それはそうなのですが……』

 

「大体使えもしない白魔術を大々的にアピールするからそんなことになるんじゃ、それにめぐみも教導書を残すと言ってるではないか、真面目に習得の為の修行をせい」

面目に習得の為の修行をせい」

オカルトGメンとGS協会からの徴集にめぐみは2つ返事で了承した。だけど最低限の引継ぎと言う事で1ヶ月徴集日をずらしてくれているのだから、ヨーロッパのGS協会は協会で自分達で対処するべきだ。

 

『そ、それではドクターカオス、貴方が帰国する事はどうでしょうか?』

 

「ごめんこうむる。日本でワシはやるべき事があるからの」

 

横島の為の霊具や、アシュタロスとの共同開発。それにマリアとテレサの恋路を見届けたいという気持ちもある、日本に骨を埋めるつもりなので今更ヨーロッパに戻るつもりも無い。

 

『マリア7世の説得を――』

 

「諦めろ、マリア姫の血筋が人の話を聞くと思うな」

 

これ以上話をしていても泣き言か愚痴しか出てこないと判断して電話を切る。国際電話だから、電話代も馬鹿にならないのだ。これ以上馬鹿げた話を聞いているつもりは無い。

 

(……フーム)

 

篭手型の変身ツールの修理は8割ほど完了しているが、ワシとアシュタロスの出した結論は使用できないだった。呪われるとか、魂に過負荷を掛けるからではない。純粋にこれは使用できないのだ、起動するためのキーが足りないのか、それとも眼魂が必要なのか……理由は判らないが使えないのだ。

 

(惜しいのう……)

 

そこまで量産する必要はないが、せめて美神達にもとおもったが使えないのでは意味が無い。優太郎の言う通り、武器としての分析は完了しているので量産型の武器としてくらいは実戦配備できるかのう……。

 

「カオスー、なんか日本政府の人が会いに来てるよー?」

 

「あー、なるほど、判った。すぐに行こう」

 

マリア7世の来日と竜の魔女の旗。そのどちらも今の日本では手に余る代物と言っても良いだろう、めぐみの来日と予定をあわせてくれるそうじゃが、それでも問題は山積みだ。

 

「ドクターカオス、お忙しい中申し訳無いです」

 

「いや。構わぬよ、それで何の話じゃ?」

 

何の話と尋ねても、この外交官が何を言おうとしているかは話を切り出される前から判っている。

 

「……マリア7世と横島忠夫には何か関係があるのでしょうか?」

 

マリア7世の来日の理由は竜の魔女の旗、それを正当な所持者である横島に渡す為だ。これは7代に渡ったマリア姫の遺言であり、それと同時にワシが国に残してきた戦闘の記録から反対する者は居ないだろう。

 

「神魔によって中世に横島達が現れた事があったのじゃ、そしてあの旗は横島がマリア姫に預けた物であり、所有者は横島にあると言う事じゃな」

 

「……そこを何とか日本の国宝にすることは出来ないでしょうか?」

 

「政治的だけではなく、ヨーロッパを敵に回す積りかの?」

 

確かにあの旗の価値は極めて高い、だからこそそう思うのは無理もない話だ。だがそれをすればヨーロッパ諸国を纏めて敵に回すことになるだろう。

 

「判ってます、私も判っているんです。でも、それでも納得しない馬鹿は多いんです。これ……言わないでくださいよ?」

 

「言う物か、お主も苦労しているようじゃなぁ」

 

この外交官には同情するが状況が悪い、まだ正式なGS免許すら持たぬ横島がヨーロッパ方面で国宝としてされているSSS級霊具である竜の魔女の旗を譲り渡されるという事態。マリア7世の来日は大きな騒動を巻き起こすことになる事を嫌がおうもなしに悟ることになるのだった……。

 

 

 

 

~ベルゼブル視点~

 

横島達が京都……陰陽寮の見学に行っていると言うことは私としては承諾出来る内容ではなかった。横島を襲った人形使いは京都の手の者だろう、そんな相手がいる場所に横島を送り出す――リターンよりもリスクが高すぎる。私がその場に居たのならば声を高らかに反対しただろう。

 

「そんなに顰め面をしなくてもいいじゃないですか?」

 

「うるさい、何故横島達が出発してから伝えた」

 

「ルイ様のご命令ですから」

 

勿論出発してから伝えろというのもご命令ですよと笑うルキフグス。ルイ様の命令で横島のメイドをしているが、ルイ様は一体何をさせたいのかと本当に思う。

 

「多分右往左往する私達が見たいんでしょうね」

 

「……多分はいらないと思う」

 

ルイ様にとって世界含めてすべてが遊び道具だ。とりわけ、今は横島を気に入っているので私達を見て遊んでいると言うのは確かだろう。

 

「……なんか、横島に膝枕されて寝てたそうだな」

 

「そう言う貴女は1週間に4日。偶然と言って散歩しているそうですね」

 

嬉しそうにしているルイ様から聞いた互いの恥と言うべき部分の話だ。だがそれは横島が関係している訳で……

 

「「横島って怖いなあ……」」

 

私とルキフグスの声が重なった時、勢いよく横島の家の門が開いた。

 

【横島くーん!沖田さんが遊びに来ましたよー!】

 

英霊が嬉々として入って来たが、縁側で並んで座っている私達を見て首を傾げて、1度門の外に出て表札を確認して戻ってくる。

 

【横島君のお友達ですか?】

 

まぁ初対面だからこの反応は当然か、神魔と名乗る必要もないのでルキフグスが淹れてくれたお茶を啜る。

 

「横島達なら出掛けていて、帰ってくるのは何時になるのか判らない」

 

【え……えーっとちなみに何の?除霊でしょうか?】

 

「霊能に関する意見交流ですね。終わるまでは戻って来ないかと」

 

がーんっと口で言って蹲る沖田は手に提げていた紙袋を差し出してくる。

 

【これ水羊羹なので、横島君に、それとこれはお饅頭です】

 

「ご丁寧にどうも、沖田さんもお茶どうですか?」

 

【いただきます】

 

横島がいないと聞いて曇り顔の沖田が座れるように縁側を詰めて座ると、再び門が開いた。だがそこから見えた顔は決して、人間の家を尋ねてきて良い人物ではなかった。

 

「横島?いるかしらー?」

 

「余が遊びに来たッ!!!む?明星の付き人か……まぁ良い、横島は?」

 

冥界の女主人と魔人姫に横島の不在を伝える。すると冥界の女主人は魔人姫に詰め寄る。

 

「だから最初に電話するべきだったのだわ!」

 

「お前横島の電話番号知ってるのか?」

 

「……知らないのだわ」

 

「じゃあ駄目ではないか」

 

……その気になれば日本を片手間で日本を滅ぼす事が出来る存在が人間の家に集まる。これはきっと異常な事態なのだと思うが、横島の家だと普通だと思えるのは何故だろうな?

 

(横島の家が異界になりかけているのは……神魔が集まるだけではないか)

 

確かにきっかけはそれだったはずだ。だが今は横島自身も異界化を進めている要因だろう。眼魂を何度も使い、魔人姫に魔人の末席に座る条件を満たしていると言われていると言うことは神通力と魔力を既に横島は有している。

 

(お前は何処に向かうんだろうな)

 

少なくとも横島は何時までも人間としている事は出来ないだろう、横島は既に人なざる領域に足を踏み入れている。

 

「まぁ、横島は居ないが、遊びに来たんだ。茶でも飲むか?」

 

「和菓子か?和菓子ならば貰おう」

 

「せ、折角だから頂くのだわ」

 

【……横島君の周りって女の子ばっかりですよね、私もですけど】

 

人外ばかりを集めるのは横島の人柄か、それとも人外になりかけていることで周りの人外を集めているのか……

 

(いや、無粋……か)

 

横島の朗らかな人柄が様々な物を引き寄せている。そう思う方が良いと思う、私もその1人になってしまっているのだから、そう思いたいと心から思うのだった……。

 

 

 

~フォーティス視点~

 

東京タワーの展望台の上に腰掛けるフード付きのローブを纏った男「フォーティス」は強風の中にいるとは思えないほどの穏やかな顔で豪華な装飾の施された本を捲っていた。

 

「……さて、私にやれることはやった」

 

自身の能力とそしてこの本を使い、必要な物は全て用意した。だがその全てが十全に稼動するかと言うと、流石の私も自信はなかった。

 

「運命は簡単に形を変える。だがだからこそ、こうして介入できる」

 

ルイ・サイファーに言われたが、正にその通りだ。何度世界を壊した事か、何度慟哭の叫びを上げた事か……だがそれでも私は止まれない、立ち止まりたくは無いのだ。その為だけに、私はこうして再びこの世界に足を踏み入れたのだから……。

 

「……憎くもある、それでも私には必要な力……か」

 

読んでいた本のページを捲ると白紙だったページには6つの文章が増えていた。

 

「……道は増えた。だがそれを選ぶは私ではない」

 

真に定められた道は2つ、しかし今は6つの道が作られた。だがそれは決して、平坦な道ではない。決して幸福に溢れる道ではない、だが決して救われることの無い2つの道よりは可能性が増えた事を私は喜ぼう。決してそれが少なくない対価を持ったとしても、それでも選べる選択肢が増えたことは喜ばしいことなのだ。

 

「選択の時は近い、どうか悔いなき選択を」

 

指し示された道は6つの道。

 

1つは破壊者となり、己を失う道。

 

1つは神の器となり、支配と言う名の救済を齎す道。

 

1つは護りたい者を護る事も出来ず、共に死ぬ道。

 

1つは命を削り、短い仮初の平和を愛する者と生きる道。

 

1つは従属を誓い、支配の下で生き続ける道。

 

1つは誰からも忘れ去られ、大切な者達に平和な世界を残す道。

 

誰も知らない所で運命の歯車は回り始めているのだった……。

 

 

外伝リポート 平安大魔境へ続く

 

 




今回の話でセカンドは終了となり、ファイナルの前に単独リポートで「平安大魔境」をいれたいと思います。話の内容的に30くらいは行きそうなので単独で話にしたいと思います。この話は東方とFGOのキャラを出して行こうと思います。後は、毎回同じですが元の話を大胆にアレンジして行こうと思います。それでは全200話は以上ととても長かったですが、最後までお付き合いしていただき本当に感謝しております。

おまけと言うわけではないですが、完結記念のぷちトトカルチョで本当にセカンドの枠での更新は最後になります。

次回のぷちトトカルチョは~

「絶対に興奮してはいけない横島24シーン」

と言う訳で横島の日常の中でヒロインの平常心を揺さぶる24シーンを厳選して、ルイ様進行で時間軸とか関係なしでお祭り系でやろうと思います。プチトトカルチョのほうは来週に更新させていただきますので、そちらもどうかよろしくお願いします。

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
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