GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
その1
リポート4 保父さん横島 その1
我は内心溜息を吐きながら、魔界のある宮殿に部下と共に訪れていた
「……そうか、まぁこうなる事は判っていた」
近づいてくる我達の姿を見た宮殿の住人が宮殿の外に出てくる
「すまない、ネビロス」
中立宣言をしているネビロスとベリアルを一時的に監視下に置けと言う意見が多く、嫌々捕縛に動く事になったのだ。理由は勿論ベリアルがかつてアスモデウス、ガープと共に魔界の4公爵として名を馳せたことが原因だ。中立宣言をしているが、情報を流していると疑っている者が多すぎる
「構わんよ。何も疚しいことはしていない、一時的に私達を捕らえれば納得すると言うのなら、それに従おう」
我だって出来ればこんな事はしたくないが、ネビロスとベリアルに向けられる疑いの目が多すぎる。ならば捕らえて監視下に置くことで無罪を証明した方がベリアルとネビロスの為になると思ったからだ
「アリスまで捕らえると言うのならば貴様らを殺す」
ベリアルがアリスを連れて宮殿から出てきて凄む。かつての巨大な体躯は見る影も無いが、それでもその目は今なお強烈な光を放っている
「貴様やはり!」
「その娘も捕らえるのが道理だ」
「黙らぬか!」
愚かな部下が騒ぎ出す前に黙れと一喝する。魔界側も神界側のネビロスとベリアルが内通者だと思っていない。だが2人ともその経歴が問題だった、かつてサタンの支配を拒絶して暴れまわった魔神と、数多の分霊を持ち、ソロモンにも属する最強の死霊使いにして、かつてのアシュタロスの相談役。その過去があるから疑われている……気持ちは判らないことないが、そんなくだらない事で2人を敵に回す危険性の事を理解していない
「勿論だ。アリスは自由にさせる」
アリスは2人が目に入れても痛くないほどに可愛がっている娘だ。同じ親として2人の気持ちは判るし、最初から捕らえるつもりも無い
「アリスがなーに?」
自分が置かれている状況を理解していないアリスにネビロスとベリアルは微笑みかけながら
「私もベリアルも暫く仕事で宮殿を空ける。その間横島の家でお世話になるといい」
「お兄ちゃんの所に行って良いの!わーい♪」
嬉しそうに笑うアリスの頭を撫でるネビロス。その姿を見てネビロスとベリアルがスパイを行っていると思う者は居ないだろう。気まずそうに目を逸らす馬鹿達を見下しながら
「準備をして、人間界へ行きなさい。そしてブリュンヒルデにこの手紙を渡すんだ、いいね?」
今人間界の拠点を作らせ、無理やり休暇を取らせている娘に負担を掛けるのは嫌だが、信用出来るのはブリュンヒルデだけなので少しの間ブリュンヒルデにアリスを預ける。恐らく娘の所よりも横島を選ぶのは目に見えているので、こちらの状態を伝えるという目的もある
「はーい♪じゃあ準備してくるねー♪」
スキップしながら宮殿に戻っていくアリスを見送ってから、ネビロスとベリアルは我の方を向き
「では行こうか?」
「くだらぬ些事だ。早々に済ませよ」
その堂々とした姿にネビロスもベリアルも敵ではないと確信したのか、今回の事は間違っていたと悟った部下達に深い溜息を吐きながら、我はネビロスとベリアルを連れ、魔界正規軍の本部へと連行したが。連行したというのは形だけで来賓用の部屋に軟禁と言う形になるのだった……
離婚問題も無事に解決した次の日、いつものように朝のランニングに出る
【ふわ……まぁ、たまには走るのもいいな!是非もなし!】
バスターと書かれたTシャツを着て走っているノッブちゃん。あのTシャツはどこからもち出したのかが非常に気になる
「まぁノッブは幽霊だから走っても意味無いけどね」
【気分転換じゃ!】
タマモを自転車の籠に乗せて走っている蛍の突っ込みにノッブちゃんがうるさいわっと叫んでから気分転換と怒鳴る
「みむ?」
「うっきゅー♪」
いつものように足元を走っているチビとモグラちゃん。あんなに小さいのに、俺に追いついてきているのを見ると凄い体力と脚力だと思わず感心する
【横島。集中が乱れているぞ?】
「っとすまん」
心眼の警告に頷き、緩みかけていた意識を再び引き締める。心眼の補助無しで霊力を手足に循環させるには、今の俺には可なりの集中力が必要なので。深呼吸を数回繰り返すと
【良し、それで良い。今は意識しているがそのうち意識しなくても出来るようになれ】
心眼は無茶を言うなあと苦笑しながら、長い坂道を見て内心溜息を吐きながら坂道を登り始めるのだった……
「ん?横島か?お前もこのコースをランニングコースにしていたのか?」
坂を上り終え、ベンチの上で休憩していると背後から声を掛けられ。驚きながら振り返ると伊達が首からタオルを下げて坂を上ってきた所だった
「伊達も「ああ、雪之丞で良い。伊達って呼ばれなれてないからな」
そう笑う伊達に雪之丞と呼びなおすと、それで良い。俺は横島って呼ぶからなと笑う雪之丞は俺の回りを見て
「お前本当にGSになるつもりか?」
「そうだけど?なんかおかしいか?」
周りを見る。チビとモグラちゃんがいつものように、原っぱを走っており。その上にはランタンがぷかぷかと浮かびイヒヒっと笑っている。そしてノッブちゃんは人魂でお手玉をしてて
「いつも通りだが?」
どこもおかしいところは無いが……あ、ノッブちゃんが居るなと思っていると
「芦蛍だったよな?こいつ素なのか?ボケてるのか?」
「マジよ。でもまぁこれが横島らしさだから」
蛍と雪之丞がひそひそ話をしているのを見て、なんかイラっとした物を感じていると
「まぁ良いけどな。俺は近い内に香港に仕事で行くから、その前にな。ちっと身体を本気で動かしておこうと思ってな」
香港?海外旅行とかか?と尋ねると雪之丞はニヤッと獰猛な笑みを浮かべ
「仕事だ。これを達成すれば俺も仮GS免許が交付される」
マジか……いやまぁ、雪之丞は強かったからな。GSになっても活躍できるだろう、ただ蛍は香港と聞いて目付きが変わっていたが、香港だと何か不味いのだろうか?
「良い機会だ。軽く模擬戦しようぜ、横島」
「ええ……」
なんで朝から痛い目合わんと行かんの?蛍に助けてと視線で訴えると
「じゃあ、霊力なしで1ダウンで決着。時間は3分で」
「OK。そのルールで行こう」
……違います、俺はルールを決めてくれと思って視線を向けたんじゃないです……とは言え向こうがやる気満々だし、チビ達も応援する為に蛍の方に向かったので断ることが出来ないと悟り。俺は溜息を吐きながら雪之丞と向かい合うのだった……
東條達の訓練をママお師匠様に任せ、別のコースをランニングしていると横島に会った。また幽霊が増えていることに驚いたが、まぁそれはそれと置いておく事にし横島を模擬戦に誘った。嫌そうな顔をしていたが、蛍の奴がルールを決めて逃げられないと悟ったのか拳を軽く握って俺を見つめている
(あの時ほどの覇気は感じないな)
GS試験の時の覇気溢れた姿とは似ても似つかないが、ライバルと認めた相手だ。きっと戦っている内にエンジンが掛かるだろうと判断する
「じゃあ、始め!」
蛍の合図と同時に地面を蹴って拳を繰り出す
「うひいっ!?」
情けない悲鳴を上げながら、その拳を左手でいなし間合いに滑るように潜り込んで来る
「せいっ!」
「ぐっ!?」
地面を踏みしめる音と同時に背中での体当たりが叩き込まれる。ダメージはそれほどではないが、今の動きは厄介だな
(中国拳法か?……)
あの踏み込みと背中での体当たり……動きは中国拳法に似ている……だがそれはGS試験での戦い方ではない
(この短い時間で何か掴んだのか?)
軽くステップを踏みながら、横島を観察する。顔には怯えが浮かんでいるが、その目は俺の動きから片時も離れない。俺も観察しているが、向こうも観察しているという感じだ。嫌な感じだ……初めての完膚なきまでの敗北した事を思い出した瞬間
「しゃっ!」
「ちっ!」
一気に間合いを詰めて蹴りを放ってきた横島の一撃を肘で受け止めるが、直ぐに体勢を立て直して拳を連続で繰り出してくる。それは型等ない喧嘩での拳、計算された物ではなく勢いに任せ放たれる乱打
(ちっ!これは不味い)
横島は勢いに乗るととことん強くなる、横島のペースで戦わせてはいけない。そう判断し距離を取る為。前蹴りを繰り出した瞬間。横島の目がギラリと光る
(しまっ!?)
そう思った直後。俺は脚を捕まれ、素早い動きで持ち上げられると同時に軸足を払われた。咄嗟に地面に手をついて腕力だけで無理やり体勢を直す
「マジで!?今ので倒れないかよ!?」
横島が信じられないと言う感じで叫ぶが、それは俺も同じだ。今のは柔道か?いやそれにしては足の運びが……
(わかんねえな)
我流だと思うが、ここまで複数の格闘技の技が混じっていると動きが読めない。それにここまで武道を修めているのなら、どれか1つを突き詰めたほうが……
「はい!3分経過!そこまで!」
考え事をしている間に3分過ぎてしまったのか……惜しい事をした。こんな事ならもっと仕掛けて横島の動きを見れば良かったと後悔しながら
「ありがとよ。楽しかったぜ」
「あーおっかなかった……こういうのは毎日は嫌だぜ」
怖いかったあと呟く横島に変わった奴だなと苦笑しながら、ベンチの上のタオルで汗を拭いながら
「お前師匠とかいるのか?空手とか、めちゃくちゃ混じってるけど?」
横島の戦い方が気になって尋ねると横島はうーんっと唸りながら
「蛍とか、シズクとか、牛若丸とか、ノッブちゃんとか、沖田ちゃんに色々教わってるから判らん」
……追い待て、その中に聞き流せない名前があったぞ……眉を指で揉み解しながら
「牛若丸って何だ?芸名か?」
まさか牛若丸本人じゃないよな。GSの中には歴史上の偉人の名前を借りる者も居るので、その口かと尋ねると
「いや本人。はい」
差し出されたのは陰念との戦いで使っていた球体が向けられる。そう言えば、これ何だろうな?と首を傾げるとチカチカと光りながら
【主殿に武術を教えている、牛若丸です】
喋った!?その事に驚愕しながらも牛若丸に戦い方を習っているとか、正直うらやましい
【後ワシじゃな。戦国時代の武術などを教えておる】
せ、戦国時代?……なんなのこの幽霊……俺が絶句しているとその幽霊はふふんっと笑いながら
【第六天魔王!織田信長じゃ!】
「え?女……」
マジで信長って女だったのか……と言うか話を聞いて、納得したそりゃ色々混じる訳だ。だからあれだけ変幻自在の戦い方をしてたんだなあと納得し、そしてライバルと認めたのは間違いじゃなかったと確信する。俺が香港で神魔の仕事を請けて強くなるつもりだったが、横島も今よりもなお強くなるだろう。それが楽しみで仕方ない、最高に強くなった横島に勝つ!それが今の俺の目標なのだから
「まぁ良いか。今は引き分けだったが、今度は俺が勝つぜ!じゃあな!」
あんまり遅くまでランニングに出ているとママお師匠様に怒られるので、急いで戻らないとなと思い。横島にまた勝負しようぜ!と叫び白竜寺に向かって走り出すのだった……
お父様からアリスちゃんを迎えに来て欲しいと聞いて、私は慌ててアリスちゃんとの合流地点に向かっていた
「あ、お姉ちゃん!」
大きなトランクの上に腰掛けて手を振るアリスちゃんを見つけて、ほっと安堵の溜息を吐く。人間界の拠点としてマンションを借り、横島の警護の準備を整え、ご挨拶にとお菓子でも買いに行こうか?としている時の緊急指令、正直かなり焦った。慌ててアリスちゃんとの合流地点に走ったのは言うまでも無い、ベリアル様とネビロス様の娘、何かあれば間違いなくお2人とも人間界に来るのだから彼女の保護は最優先だ
「あのね、赤おじさんと黒おじさんから手紙だよ」
ポシェットから差し出された手紙を受け取り、動かないでくださいね?とお願いしてから手紙を確認する
(お父様でも止めれなかったのですね)
ベリアル様はアスモデウス一派の2人とかつて親交があり、ネビロス様はアシュタロスの相談役をやっていた。疑われるのは当然だが、このタイミングとは正直愚かとしか言いようが無い。魔界正規軍の再編成をしたりしないといけないと言うのに……
「お姉ちゃん。アリスね?お兄ちゃんの所でお世話になりなさいって言われてるの」
お兄ちゃん……横島の事ですね。私の所で保護した方が安全だと思いますが、本人が横島が良いと言っているのならば、横島の所で預けるべきですね。その後は横島の家の周りにルーン魔術で結界を張って何かあれば私も察知出来るようにすれば良い
「判りました。では行きましょうか」
「うん♪」
華のような笑みを浮かべるアリスちゃんと手を繋ぎ、私は横島の家へと向かうのだった。チャイムを鳴らすと水神シズクが姿を見せ、私とアリスちゃんを見て
「……面倒ごとか?」
「申し訳ないですが、その通りです。横島はご在宅でしょうか?」
いると呟き、上がれと言ったシズクの後を着いてリビングに入り、驚愕した
【んお?客か?】
バスターと書かれた赤いTシャツと黒いズボンを履いた幽霊。だがそれは幽霊などではない、感じる霊力と纏う雰囲気から見て間違いなく英霊……何時の間に英霊と一緒に暮らし始めたのだろうか。横島はチビとモグラちゃんと遊んでいたのか、2匹を膝の上に乗せながら振り返りブリュンヒルデさん?それとも聖奈さんですか?と尋ねて来るので
「聖奈でお願いします」
人間界で活動する以上はブリュンヒルデではなく、聖奈の名前の方が良い。横島は判りましたと返事を返してから
「それで聖奈さんとアリスちゃん?どうしたんすか?」
「おっにいちゃーんっ!!!!」
トランクを置いて、横島に突進して行くアリスちゃん驚きながらアリスちゃんを抱き止めた横島に
「すいませんが暫くの間アリスちゃんを預かって欲しいのです」
えへへっと笑いながら抱きついているアリスちゃんの頭を撫でながら横島は
「構いませんけど……どうかしたんですか?黒介さんと赤介さんは?」
偽名が適当すぎる……それがベリアル様とネビロス様の偽名だと知って頭痛を感じながら
「どうしても用事でアリスちゃんの側にいる事が出来ないのです。1週間ほどでいいので預かってください」
黒い噂も何一つ無い。だから直ぐに開放されると思うが、念の為に1週間お願いしますと言うと、横島は嫌な顔をせずに
「判りました。よろしくなーアリスちゃん」
「うん!お兄ちゃん」
これで暫くは安心だろう。水神シズクが居て、英霊も居る。恐らく人間界で今1番安全な所はここだろう
「では申し訳ないですが失礼します。他にもやる事があるので、終わりましたらまたお伺いします」
「気をつけてくださいね。聖奈さん」
「ばいばーい、お姉ちゃん」
笑顔の横島とアリスちゃんに見送られ横島の家を後にする。家の外に出ると同時に横島の家にルーン魔術の結界を設置する。これで何かあっても私が察知できると安心し、私は自分の拠点を整理する為に家へと引き返していくのだった……
今日は夜から除霊があるので横島君と蛍ちゃんを呼んだんだけど
「こんばんわー」
「……なんでアリスちゃんが居るの?」
横島君がアリスちゃんの手を引いて事務所に現れたので、そう尋ねると横島君はソファーに座っててねとアリスちゃんにお願いしてから
「なんか1週間くらい預かって欲しいって聖奈さんが」
聖奈ってブリュンヒルデじゃない……もしかして魔界で何か起きているのでアリスちゃんを避難させてきたのかもしれない
(凄く面倒毎になるような気がする……)
とは言え、アリスちゃん自身に罪はないので言っても仕方ないことだが……だが事務所に連れて来るのは正直止めて欲しかった
「横島?今から除霊をするのよ?どうしてアリスちゃんを連れてきたの?」
「だって留守番って言うと泣いちゃったから、そのままにしておくの可哀想だろ?」
はぁ……それは判るけど、せめて連れて来る前に連絡して欲しかったわね……溜息を吐きながら窓の外を見る
(かなり天気が悪くなってきたわね)
今日の除霊は公園に現れるワニの幽霊の除霊。だからシズクにも協力を頼んでいたが、雨が降れば雨の中も自由に行き来し襲ってくるだろう。そうなると全滅する危険性も出て来る
【美神さん。雨降ってきましたけど、どうしますか?】
心配そうに問いかけてきたおキヌちゃん。少し考えてから横島君達の方を向いて
「ごめん。呼び出したけど今夜の除霊は中止するわ。雨が本降りになる前に帰った方がいいわ」
折角呼び出して悪いけど、状況が悪い。幽霊のワニとは言え、牙もある。幽霊だから水滴の中から飛び出してくる可能性もある。こんな天気の日に戦うにはあまりに分が悪すぎる
「雷!?ずいぶんと近いわね」
事務所の目の前に強烈な落雷が落ちる。それも1回じゃない、2回、3回と続いている……これだけ連続だとどうも怪しいと思う。幾らなんでもこれだけ連続で同じ場所に落ちるなんてありえない……
「……何かの攻撃かもしれないぞ?」
シズクがペットボトルを手にそう呟く、確かに攻撃の可能性もあるわね。1度様子を見に行った方がいいかもしれない……
「横島君。蛍ちゃん。念のために外の様子を見るわ、結界札と精霊石を持って着いて来なさい」
「「はい!」」
私自身も結界札と精霊石を持って事務所の外に出て、驚愕に目を見開いた
「マ……!?」
落雷の後に立っていた1人の女性。トレンチコートを着て、子供を抱えた女性は私を見て
「じ、時間が無い。この子をお願いします、娘をよろしくお願いします」
私に子供を渡してくる。間違いない、私だわ……じゃあやっぱりこの人は!?私の抱えている子供を見て、横島君と蛍ちゃんが目を見開きながら
「こ、子供の美神さん!?なんで!?」
「え。じゃあ、まさか貴女は!?」
蛍ちゃんが目の前の女性の正体に気付くと同時に再び目の前に雷が落ち、その一瞬で女性の姿は光と共に消え去るのだった……眠っている私自身をしっかりと抱き抱えながら
「ごめん、ちょっと大変な事になるかもしれないから、直ぐに家に帰るのは諦めて」
何かある。私はそう判断し、家に帰るように言った蛍ちゃんと横島君にごめんねと言ってから、眠っている少女を抱き抱え事務所の中に戻りながら、アリスちゃんの事、そして過去の私自身の事を考え
(なにか大きな事件が起きるのかも……)
また何か大きな事件が起きる前触れかもしれない……私はそんな嫌な予感を感じつつ、周囲を警戒してから事務所の扉を閉めるのだった……眠っている私をソファーに寝かせてから
「多分だけど時間移動だわ。なにか過去で危険な事があって未来に逃げて来たんだわ」
【その線は濃いな、私のほうでも妙な霊力の流れを感知したからな】
心眼も同意してくれた事でやはり、時間移動だったのだと確信する。それにそうでなければ説明がつかない。何故ならママはすでに亡くなっているから。残念な事に子供のときの記憶はあやふやで覚えていないが、ママによく似た女の人に面倒を見て貰ったのをうっすらと覚えている。それがまさか自分自身だったとは……正直驚いた
「……今のお前の母親とは連絡が着かないのか?」
「それは無理ね。ママは私が中学生の時に亡くなっているもの」
除霊中に亡くなったので、遺体も何も無いのでもしかすると生きている可能性もあるけど、もう7年も経つから多分死んでいるわと呟くとシズクは申し訳無さそうに
「……すまない、辛い事を聞いた」
確かにママの死は私にとって辛いことだけど、過去のママだけどああして姿を見る事が出来た。それだけでも良かったと思い、そしてママが私に助けを求めてきたのだから、その信頼に応えたいと思う
「良いわ、どうしようもない事だしね。それにしてもこの子どうしようか……」
よく眠っているので起きる心配は無いが、何時起きるか判らないし、ママがいないと判れば間違い無く泣く。
「うーん私と美神さんで一晩面倒見ましょうか?横島はアリスちゃんの方をお願い」
「え?いや、別に俺も残るぞ?」
ふあっと大きな欠伸をしているアリスちゃん、彼女もまた魔界から逃げてきた筈だ。1箇所に複数のターゲットが集まるのは危険すぎる
「横島君。アリスちゃんも何か危険な魔族に狙われている可能性があるわ。勿論私自身も、だから1箇所に集まるのは危険なの、事務所ごと攻撃されたら手も足も出せないからね。明日早朝に今後の方針を連絡するから、それまでは自宅待機よ。判ったわね?」
全滅のリスクを避ける為にも分かれる必要がある。それに単独行動で人質にされる可能性もあるので自宅待機するように指示を出す。子供の私は私自身と蛍ちゃんで護るから、アリスちゃんはお願いと言うと横島君は納得していないという表情をしながらも
「判りました。アリスちゃんの方は任せてください、さ、アリスちゃん帰ろうか?」
「んーおんぶー」
眠いのかおんぶと両手を広げたアリスちゃんの前にしゃがみ込んだ横島君に、アリスちゃんは欠伸を繰り返しながらおぶさる、雨は降っているけど、シズクがいれば濡れる心配も無いだろう。後は自分達自身の護りを固める事だ
「……水を通じて私も様子を見ておく。何かあれば跳んでくる」
【私も横島の家の周辺を警戒する、私の索敵能力なら仕掛けてくれば直ぐに判る】
シズクの言う飛んで来るが、水を媒介にした転移だと判り。頼りにしてるわと呟く、それに心眼も憑いているから奇襲を受ける可能性はかなり低いはずだ。なら後は自分達のほうの警戒の準備をする必要がある、蛍ちゃんの方を見て
「除霊道具置き場からありたっけ結界札持って来てくれる?下手すると事務所に篭城することになるからおキヌちゃんは横島君と一緒に行ってくれる?電話が駄目になったらおキヌちゃんが頼りだから」
【判りました!じゃあ横島さん、行きましょうか】
「ああ、急ごう。何かあっても困るから」
「じゃあ私は結界札を取ってきます。美神さんは念の為に窓からは離れててくださいよ
シズクとおキヌちゃんと一緒に事務所を出て行く横島君と、除霊具置き場に走る蛍ちゃんを見ながら、窓の外を見る。外は真っ暗でこれからの行く末を指し示しているようで流石の私も不安に思わずには居られなかった。私は頭を振って、その不安を振り払い、外から監視されない為にカーテンを勢いよく閉めながら……
「いっちゃんも悪いけど、周囲の警戒と結界の密度を上げて。霊力は回すから」
【判りました。オーナー!】
オーナーの椅子に腰掛け、いっちゃんに向けて霊力を供給し、事務所の防御を上げる作業に集中するのだった……
リポート4 保父さん横島 その2へ続く
アリスちゃんも魔界から人間界へ、アリスちゃんと令子ちゃんが護る対象となりました。次回は横島サイドと美神と蛍サイドで書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い