GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド 作:混沌の魔法使い
別件リポート 動き出す神魔
「小竜姫。お前には特別任務を与える」
清姫様を竜神王様の元へ預け妙神山に戻ろうと思っていると、竜神王様に呼び止められた。一体何事だろうか?と思いながら振り返ると
「魔族のワルキューレが人間側の協力者として美神美智恵と伊達雪之丞と共に香港の調査を行っている。悪いが、それの助っ人に向かって欲しいのだ」
ワルキューレが居るのなら、助っ人が必要となる事は無いと思うのですが……私が怪訝そうな顔をしているのに気付いた竜神王様は
「本来ならそれは必要の無いことだが、魔界正規軍の編成を見直す為にワルキューレが1度魔界へ戻される。それと交代と言うことだ、最初から交代と言う事で話を進めると神族が魔族の言い分を全て聞くのか?と騒ぐ馬鹿が出るだろう。だから助っ人という形で頼む」
アスモデウス達と戦わないといけないのに、今も神族と魔族の溝は深いままなのですね。今はそんな事をしている場合じゃないと言うのに……
「判りました。小竜姫、確かにその命承りました」
頼むと言う竜神王様に頷き、私はそのまま香港へと飛んだのだった……合流地点とされていたホテルに向かい絶句した
「くっ、小竜姫か……助かった」
「ワルキューレ!?一体どうしたと言うんですか!?」
ワルキューレは腕に添え木をし、三角巾で腕を吊っている。側にいる人間が美神美智恵なんでしょうが、もう1人GS試験で見た伊達雪之丞の姿も竜神王様2人も聞いたとおりその場に居たのだが、2人とも疲労困憊という感じだ。一体何があったのか?と尋ねるが
「わ、判らない、ベルゼバブと戦ったのは間違いない。だが襲われた場所が思い出せない」
思い出せない?これだけの傷を負っているのに、戦った場所が思い出せない?そんな事はありえない
「違うのよ、小竜姫様。記憶が途中で何かに切り取られたみたいになってるのよ」
事情がまるで飲み込めない。このままでは話も何も進まないと判断し、私は詳しく状況を聞くことにした
「まず俺とこのママに似て美しい人で、こことここの工場を調べていた」
机の上に広げられた地図に印をつけながら、雪之丞さんが話を進めていく、ママに似てと言われて引き攣った顔をしている美智恵さんに心の中で同情する。ママに似ていると言うのが雪之丞さんの褒め言葉としても、それを嬉しいと思うことは出来ないだろう
「そこで大量の血痕を見つけたの、それで思い出したのが香港で有名な風水師の連続失踪事件よ」
連続失踪事件と大量の血痕……どう考えても風水師の殺害現場と言う所ですね
「そして運が良いんだか悪いんだか、何とも言えないのだが……偶然調査していた場所でにベルゼバブとその手下と思われる何かが来た。そして原始風水盤を作ると高笑いするベルゼバブによって風水師が殺され、私達も発見され負傷をした所で記憶が途絶えている。気が付いたら負傷した状態でこのホテルの近くに倒れていた」
それはつまり何者かがその場所に乱入し、ワルキューレ達をここまで運び、記憶を奪い取り。ベルゼバブも退けた……
「何かが香港に居ると言う事ですね?」
「ああ。何か得体の知れない何かが居る」
精神操作を扱い、そしてベルゼバブを片手間で退けるだけの化け物がこの香港に居る……だがその何かは今は敵ではないと言うことだろう。もし敵だと言うのならば、ワルキューレ達を助けるだけのメリットがない。なんせ殺した方が早いのに、精神操作を施し、態々チェックインしているホテルまで運ぶ。そんな面倒なことをするだけの意味が無い
「私はこの通り負傷している。現地で指揮を取ることは叶わない、重大な任務を与えられたのにそれを遂行することが出来なかった……」
ワルキューレが目を伏せ、肩を震わせながら言葉を口にする。軍人である事に誇りを持っている彼女は途中で任務を放棄することが悔しくて仕方ないのだろう
「私の変わりにベルゼバブの陰謀と影に暗躍する何ものかの正体を突き止めてくれ」
「判りました。私に任せてください」
ここまで言われて断る事など出来る訳も無い。無論最初から断るつもりも無かったが、ワルキューレの意思は確かに受け取った。私の言葉に安心したのか、意識を失うワルキューレ。そんな状態でも自分の責務を果たそうとしていたその姿に正直感心する。だが私達には感心している時間なんて無い、もし原始風水盤が完成してしまえば、それこそ私達は人間界で活動することが出来なくなる。完成する前に原始風水盤の針の強奪、もしくはベルゼバブの討伐の両方を成し遂げなくてはならない、つまり私達に残されている時間は殆ど無いのだ
「雪之丞さん。美智恵さん、まだ動く事は出来ますか?」
私もワルキューレも人間界で活動するに辺り、能力を大幅に下げるブレスレットを着用している。これのおかげで制限時間関係なく活動することが出来るが、その反面戦闘力は大幅に低下している。ワルキューレの骨折も恐らく、これが原因だろう。かと言って外せば3分しか全力で活動することが出来ない、だからお2人に動く事が出来るか?と尋ねると
「全然余裕だぜ。俺は白竜寺の存続の為にここに居る。この程度で引き下がる真似はしねえ」
「私も大丈夫です」
2人の頼もしい言葉に礼を言い、私達は直ぐにベルゼバブの発見と風水師を護る為に動き出すのだった……
「ふむ、相棒よ。あいつらを殺さなかったのは私のミスだと思うかね?」
【ブルルルル】
そんな小竜姫達を見つめるがらんどうの黒い眼……真向かいのホテルの屋上にたたずむ骸骨……ぺイルライダーだ
「しかし不味い、このままでは不味いな。姫の目覚めが遅れる」
姫の目覚めの為に香港でその準備をしているぺイルライダーだが、このままでは不味いと繰り返し呟く
「やれやれ、面倒だが。やるとするか」
壁に立てかけてある大鎌を手に振り返ったぺイルライダーの視線の先には、相棒である怪馬の蹄によって完全に動きを封じられたベルゼバブの姿。完全に動く事の無いベルゼバブは既に死んでいる。既に死んでいると言うことはぺイルライダーの支配の領域下に存在しているという事だった
「お前は我の傀儡となれ」
振るわれた鎌はベルゼバブの身体を切り裂くことは無く、代わりにその魂を引き裂いた
「我が主……私は何をすれば……良いのでしょうか?」
その魂にぺイルライダーへの強い服従心を植えつけた。そしてぺイルライダーはベルゼバブに使命を与え、影の中に溶ける様に消えて行くのだった……
ワルキューレからの報告書を見て深く溜息を吐く、ワルキューレは骨折し、更にはダメージが大きすぎて行動不能になったと長い謝罪の文が送付されていた。更には正体不明で暗躍している何者か?これはガープではないだろう、それならば生かしたまま返す意味が無い。つまり香港で暗躍する何者かは……
「生き残りの魔人と言うことだな?オーディン」
背後から掛けられた声に驚きながら振り返ると、そこには重厚な鎧に身を包んだベルゼブルの姿。その鎧姿からは想像出来ない鈴のような澄んだ声に思わず溜息を吐きながら
「お前本当に人間界に行くつもりか?」
考え直せと言うがベルゼブルはふんっと鼻を鳴らし
「何時までも我の名を騙る偽者に大きな顔をさせるものか。それにビュレトが居ないんだ、魔族としてガープ共を止めれる人員を送らなければ面目たたんだろう」
確かにその通りだが、ベルゼブルが動くと言うのはそれだけで警戒されると思うんだがな
「それに仮に生き残りの魔人が居たとして、下っ端を送り出して態々殺されに行かせるのか?」
それを言われると反論出来なくなる。魔人の恐ろしい所は神魔の魂を砕く、そうなると復活出来るか出来ないか?は本人の資質に左右される。復活してない神魔が多く、バランスが大きく崩れた。それにより我が魔界に来たのだから、その事を忘れる訳が無い
「……判った。ただし名目はベルゼバブの完全なる粛清だ、終わり次第戻れ」
明確な期間を言わなかったのは理由がある。ベルゼバブは無数に増える、それは本体が死ねば、別固体がバックアップとなり再び活動を再開する。だが増えると言う性質上それは早々出来る物じゃない、我の真意に気付いたベルゼブルは判ってると獰猛な笑みを浮かべ
「じゃ我は人間界へ行く、ああ言っておくが、香港とか言う街に行くが協力をする気は無い。神魔にも言っておけ、我は誰にも組しない」
魔法陣を展開して消えて行くベルゼバブを見て深く溜息を吐く
「やはりこうなるか」
ベルゼブルは元豊穣神と言うアシュタロスと似た経歴を持つ魔神だ。サタンの魔界統一もその気になれば、1人で覆すことも出来る。強大すぎる魔神、だがそれをしないのは興味が無いからだ。魔界を治めることにも興味は無いし、魔界正規軍や天界正規軍にすら興味も持たない。一応は我の話を聞いているが、本音を言うとどこまで聞いていてくれるのかさえ不安だ……そんなベルゼブルが今回動いたのはベルゼバブが目障りだからに他ならない
「面倒事にならなければ良いが……」
我の直感では確実に面倒事になるのだが、どうかそうならないようにと心の中で祈り、娘からの手紙の一番下の言葉に涙した
『やっと横島に会えると思ったらこの様ですよ。ふふふ……ふふふふ……泣きそうです』
便箋が濡れているから泣きながら書いたんだと思うと、不憫すぎて思わず涙を流してしまうのだった……
やっと自由に動けるようになったので、遅れていた計画を一気に進める。香港での原始風水盤を設置しての魔人の解放、これが今やる最優先課題だ
「ガープ。今神魔の方から緊急連絡があったよ、人間界にベルゼブルが赴く。決して邪魔をするなってさ」
久しぶりに戻って来たセーレの報告に舌打ちする。あいつが動くとなると計画がすべて狂ってくる
「どうするガープ。あの馬鹿を戻すか?」
狂神石を渡したら案の定増長したベルゼバブ。少し考えたが、これから先戦力的価値が出てくるとも思えない。それにどの道切り捨てる駒の為に作戦を変える必要は無い
「生贄にするつもりだったから構わんだろう?ベルゼブルが来た事でより成功率が高まると言う物だ」
ベルゼバブに狂神石を与えたのは単純に保有する魔力量を上げたかったからだ。原始風水盤が起動すれば、それで香港に封印されている魔人は目覚める。だがそれでは全ての魔人の開放は出来ない、満月と原始風水盤と生贄。その3つが揃う必要があり、かと言って生贄に出来るレベルの仲間を切り捨てるわけには行かない。故に切り捨てて良い存在としてベルゼバブを迎え入れたのだから
「それでどうする?我らは動くのか?」
「いや?動かないぞ?寧ろ何で動く?」
今回の事はベルゼバブの独断。我らは決して動かない、それが第一条件だ。騒乱や何かの影に必ず居ると思われては作戦が思うように進まない、下手に向こうの警戒心を煽ることはないのだから、寧ろ向こうが勝手に警戒し、疲弊してくれる方が都合がいい、だから今は動かないのが得策
「ああ、それであいつを選んだんだね?納得」
セーレが納得としたと笑う。ベルゼバブは権力欲に塗れている。そんな奴が原始風水盤を設置する。それは自分の力を強化する為と誰もが思うだろう。そして更に魔人を復活させ、その恩に応えて従えと言う事も容易に想像出来る。そうなればこっちに疑惑の目は向けられない、そしてその間に
「戦力を整える。アスモデウス、演説の内容を覚えろよ」
「むう……またか」
嫌そうにするアスモデウスだが、このメンバーの中で演説を行い。味方の鼓舞が出来るのはこの男だけだ、そもそもお前を旗印として集まってきているんだ、お前以外誰がするんだ?と諭すと判っていると呟く
「さてとではアスラ」
「……なんだ?」
戦わせると言ったが、まだ1度も戦闘に出ていないアスラが不機嫌そうに返事を返す。頃合だな、本当は戦いに出す事も出来たのだが、私の目的の為にあえてアジトに残しておいた。それが功を奏したのか、不機嫌に加えて力も何もかも充実している、これ以上に無い最高のタイミングだろう
「協力しろ、我らの傘下に入ったが、裏切りを考えている者がいる。処刑してくれるよな?」
来る物拒まずだが、去る者は殺す。それが絶対のルール、あくまで私達はテロリスト。こっちの情報が流れてアジトがばれては折角の研究が無駄になる。だからその前に制裁を加える
「いいだろう、直ぐにでも構わないか?」
「ああ、好きにしろ。ただし1つだけ付け加える」
殺す事は決まっている。だがそれについて条件が1つだけある
「惨たらしく殺せ、裏切ろうなどと2度と思わせぬように徹底的にな」
獰猛な笑みを浮かべ出て行ったアスラを見送り、正面を向き再びキーボードを叩き始めると
「何をするつもりなんだ?いい加減に教えてくれないか?」
目覚めてからずっと私が研究している物が気になるのか、いい加減に教えてくれと言うアスモデウス。ああ、確かに何時までも秘密にしていたのでは私の信用も危ないな。ただでさえ私の負傷で計画が遅れ始めているのだから、形になる成果を見せないと駄目か……私はそう苦笑し、1度作業を停止し作っている物を見せた
「む?それは……まさか?」
アスモデウスは一目で私が何を作ろうとしていたのか理解した。
「ああ、複製してみようと思ってな。あの横島忠夫が使うものをな」
私の視線の先には黒い球体が形成されようとしていたのだった……
リポート6 原始風水盤を発見せよ その1へ続く
ワルキューレ嫌いじゃないんです、嫌いじゃないんですが……使うタイミングが難しくて、その前に退場となりました。申し訳ない、代わりに小竜姫とオリキャラのベルゼブルが登場します。そして暗躍しているアスモデウス陣営は眼魂の複製を始めました。そのうち変身アイテムも作成するかもしれないですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか
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サイドまたは視点は必要
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今のままで良い