GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! セカンド   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からは原始風水盤の話に入って行こうと思います。序盤は原始風水盤の針を奪取した雪之丞視点、次は横島視点と進めて行こうと思います、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



リポート6 原始風水盤を発見せよ
その1


 

 

リポート6 原始風水盤を発見せよ その1

 

小竜姫が私と合流してから2日経った夜。勢いよくホテルの扉が開き、敵襲か!?と咄嗟に銃を構える

 

「どうした!?何があった!?」

 

姿がぶれている小竜姫と酷く疲弊した様子の美智恵に肩を貸した雪之丞とが転がり込むようにして部屋に飛び込んでくる。その様子に只事ではないと、警戒度を最大まで高め小竜姫に何があったと問いかける

 

「くっ、油断しました……奇襲でブレスレットを破壊され……なんとか逃げて来ましたが……これ以上は……すいません」

 

小竜姫がそう言い残し消える。残った角を見て、霊力の回復に入ったのだと判断する

 

「何があった?説明しろ」

 

念の為に魔界正規軍から送って貰った高密度の精霊石を使い、結界を作りながら何があった?と尋ねると美智恵が

 

「危険を犯す事になったけど、それだけの価値はあったわ」

 

椅子に座り、何度か深呼吸を繰り返してから美智恵は机の上にある物をおいた

 

「それは……まさか!?」

 

おぞましい魔力を放つ金属で出来た破片を見て、即座に理解した

 

「そうだ。ベルゼバブだったか?それが作ろうとしていた原始風水盤の針だ。命懸けで奪ってきた」

 

「でかしたぞ!これがあればあいつらは原始風水盤を起動できない!」

 

原始風水盤で最も肝心なのはこの針だ。何十人という風水師の血と魂を使って作り上げるこの針さえ奪えば、向こうの計画を完全に潰す事が出来る

 

「でも問題はこれをどうするかよ……」

 

私は動く事が出来ず、美智恵も負傷。雪之丞は体力こそ有り余っているが、知力が足りない。

 

(ジークはまだか)

 

今日私はジークの迎えで魔界に帰る事になっている。だが未だに連絡は無く、連絡の後に合流地点に向かうつもりだったが、最悪の場合連絡を待たずに出発しなければならない可能性が出てきた……それに美智恵も雪之丞も保護させるか?と考えてたが

 

(いや、それは駄目か)

 

魔界正規軍にもスパイが居る可能性がある以上。魔界正規軍を容易に信用することは出来ない、美智恵は父上の宮殿に預ければ安全だが、針のほうはスパイに奪われる可能性が高い

 

「俺はこいつを日本に送るべきだと思う。美神令子や唐巣和弘……一流所のGSを呼んで、原始風水盤とやらの本体も壊すべきだ」

 

本体が残っていれば、また針を作られたらお終いだ。本体を壊すのが最優先だが、恐らく今の面子で破壊することは不可能だろう

 

「だがこれは神魔がやるべき仕事だ、人間では「その人間に頼らないとならねえんだろ?」

 

雪之丞の強い視線に言葉が詰まる。正直言ってアスモデウス陣営は人間界でも十全とまでは言わないが、それでも私達よりも強い力を発揮できる。そうなると戦力ではこちらが劣る事になる、だから増援を呼ぶのは必須だが、弱体化した神魔が何人来たところで無駄だろう。下手をすると人間の方が有利に立てる可能性もある

 

「迷ってる時間はねぇ。俺はこれを日本に送る。そして俺自身も1度日本へ逃げる、戦力を整えて戻ってくるつもりだ」

 

それしかないか……小竜姫は霊力が回復するまで動けず、私も負傷。美智恵も負傷、この戦力で戦うことは不可能だ

 

「判った。お前の提案に従う、だが1つだけ言っておく。美智恵の事は言うな」

 

「判ってる」

 

美神美智恵は公式には死者となっている。だからこそ私達と行動を共にすることが出来ているのだが、美神令子に知られるとまずい事になる。だから言うなと口止めをしながら、逃走の準備を進める

 

「雪之丞。小竜姫と共に日本へ向かえ、私と美智恵は悪いが、ここで撤退する」

 

小竜姫は霊力さえ回復すれば、再び活動出来る。だが私は骨折をしている上にダメージが大きすぎる、美智恵に至っては知り合いに見つかる訳には行かない。となるとここで撤退するしかない、雪之丞に小竜姫の角を渡し

 

「せめてお前に向く注意が減るように、私と美智恵が囮になる。後は頼んだぞ」

 

「……判った」

 

真剣な表情で頷く雪之丞の肩を叩き、痛む翼に顔を歪めながら翼を広げ

 

「行くぞ美智恵。私の弟が迎えに来る場所まで行ければ何とかなる」

 

合流地点は港。ここから約12キロ……全力で飛べば数分だが、雪之丞が逃げる時間を考えると遠回りする必要がある。負傷した身体でどこまで出来るか判らないが、やるしかない

 

「ええ、雪之丞君。後はよろしくね」

 

美智恵を抱え、私はホテルの窓を突き破って飛び出した。案の定ベルゼバブの嘲笑が直ぐに聞こえてきて、追いかけてくる気配がする。この騒動に紛れ、路地を走っていく雪之丞の姿を見ながら

 

(出来ればお前の顔を見ておきたかったが、それは後の楽しみに取っておくぞ)

 

この世界では既に戦士の片鱗を見せていると言う横島。今は会うことが出来ないが、今度会う時はより戦士として洗礼された姿を見ることになるだろう。その時を楽しみにしていると心の中で呟き

 

「どうした!私はこっちだぞ!これが欲しくは無いのか!」

 

ベッドの柱を削り、原始風水盤の針と同じ形状にした物を見せ付けると案の定馬鹿なベルゼバブが食いついてきた

 

(後はジークと合流するだけだ)

 

問題はそこまで私の体力が持つかだが……やるしかない、ダミーを美智恵に渡し私は全力で翼を羽ばたかせるのだった……

 

 

 

 

【はい、そこまでです。中々筋が良くなって来ましたよ】

 

「あ、ありがとう……」

 

手にしていた木刀を落として川原に倒れこむ、朝焼けの空を見つめながら荒い呼吸を必死に整える。霊力の訓練も重要だが、それ以上に身体を鍛えることも大事と言う事で、最近は訓練の中に体術の稽古が組み込まれたのだが、それが実に厳しい

 

【横島君はやっぱり才能がありますよ。どうです?この際剣術をメインにしてみては?】

 

【む?偶にはまともな事も言うな人斬り。主殿、私も同意見です】

 

沖田ちゃんと牛若丸にこの際剣術をメインにしてみたらどうだ?と提案される。しかし俺が返事を返すよりも先に心眼が口を開いた

 

【横島はまだ成長段階だ。今1つに絞るのは得策では無い】

 

訓練や稽古を繰り返し、自分の型を見つけるべきだと言う心眼。確かに今の俺は自分に何が1番合っているのか?それが判らないから色々やってみたいと思っているしな

 

【いいもん、いいもん。現代じゃ銃なんて手に入らないし……】

 

(あれどうしよう)

 

ワシも鍛えるぞーと気合を入れていたのだが、当然今の時代に銃は銃刀法違反だ。つまりノッブちゃんの射撃を教わることが出来ない。俺に銃を教えるつもりだったらしく酷く落ち込んでいるノッブちゃんのフォローをしようと思うのだが、なんと言えばのか判らなくて

 

「帰りにメロンパン買おうぜ」

 

【メロンパン!?いいのか!?】

 

メロンパン禁止3日目だが、これだ落ち込んでいるのを見ると可哀想なので帰りにメロンパンを買うと約束し、川原で沖田ちゃんと別れ家へと戻るのだった

 

「みーむう!」

 

俺が帰ると元気よく鳴いて飛びついてくるチビを抱き止める

 

「みーむ!みみむー!!!」

 

短い手を振って何か抗議しているように見える。訓練だと危ないので家に置いていった事を怒っているんだろうなと思い

 

「ごめんな。でも今から遊んでやるからな?」

 

遊んでやると言うとにぱっと笑うチビ。うん、やっぱりマスコットの居る生活は穏やかでいいなあと思いながら靴を脱ぐのだった

 

「……おかえり、直ぐ朝食にするか?」

 

キッチンから声を掛けてくるシズク。少し考えたが、今まで動き回っていたことを考えて

 

「少し休んでからにする。チビとモグラちゃんも遊んで欲しそうだし」

 

【ヒャッホー!久しぶりのメロンパンじゃーッ!!!】

 

足元で跳ねているモグラちゃんに苦笑しながら後にすると言うと、シズクは判ったと呟きエプロンを脱いでリビングに出てくる。いつもの指定席で煎餅を齧り始めるシズクに嬉しそうにメロンパンに齧りつくノッブちゃんの姿に苦笑しながらボールで遊んでやりながら、近寄ってきたモグラちゃんを撫でていると妙な違和感を感じた

 

(ん?あ、あれ?)

 

モグラちゃんの頭の横に何か小さくて硬い物が……もしかして角?よく見ようと思ったのだが、それよりも先にモグラちゃんがボールを追いかけ始める

 

(まあ竜だから角くらい生えるか)

 

小竜姫様も角生えてるしと思い。ボールを抱えて戻ってくるチビの頭をなで、もう1度ボールを軽く投げるのだった

 

「コーン」

 

チビ達が満足するまで遊んでやって、それから朝食を食べ始めたのだが、食べ終わる寸前に起きてきたタマモを抱き上げて

 

「どうしたタマモ~最近やけに起きるのが遅いなー?」

 

「クウ?」

 

精霊石を与えれば喋ることが出来るが、シズクに叱られるし、それに何よりもタマモにも影響が大きい。なのでタマモの仕草で判断しようとするが

 

(駄目だな。判らん)

 

タマモ自身も判っていないのか、キョトンとしているだけ。理由なんて判りそうに無いなと苦笑していると、コンコンと家の窓を叩かれる。誰だろうか?と振り返ると険しい顔をした蛍と美神さんの姿があって、これは何かあったのだと思い。タマモをフローリングの上に寝かせ

 

「どうしたんですか?除霊ですか?」

 

窓を開けながら尋ねると美神さんは真剣な表情をしたまま

 

「唐巣先生の教会が襲撃されたわ、悪いけど調査を手伝って頂戴」

 

唐巣神父の!?あそこにはシルフィーちゃんやブラドー伯爵も居るので、滅多な事は起きないと思っていたのに

 

「判りました。直ぐ準備します!シズク、ノッブちゃん!出掛けるぞー!」

 

チビ達を抱え上げながらシズクとノッブちゃんに声を掛け、除霊の荷物を詰めた鞄を背負い美神さんの運転する車で唐巣神父の教会へ向かうのだった……

 

 

 

朝一番で教会が強襲されたと唐巣先生から連絡があり、蛍ちゃんと横島君を連れて教会に来たんだけど

 

「うわ、これは酷いっすねえ」

 

横島君がボロボロの教会を見て酷いと呟く。机や椅子が全部ひっくり返されている、それを直そうとする横島君を止める

 

「やめなさい、ここ相当濃い魔力が満ちてるわ。下手に触ると呪われるわよ」

 

霊糸グローブをつけなさいと言って、私自身も霊糸グローブを嵌めながら

 

「それでブラドー伯爵とシルフィーちゃんは?」

 

あの2人がいればここまで荒らされることは無かっただろうに、それか2人とも負傷しているのかしら?と思いながら尋ねると

 

「シルフィー君は高密度の魔力で我を失いそうだからと言って休んでいるよ。ブラドー伯爵は少し気になることがあるって出てるよ」

 

なるほど暴走しない為の行動って訳ね。箪笥を直しているピートを見ると足を引きずっている

 

【ピートさん?どうかしたんですか?】

 

おキヌちゃんも足を引きずっているのに気付いたのか、どうかしたのか?と尋ねるとピートは険しい顔をして

 

「扉を開くと同時に強襲されまして、咄嗟にヴァンパイヤミストで霧化しましたがダメージを受けてしまって」

 

霧になった吸血鬼にダメージを与える。これは並みの相手じゃないわね……

 

(またソロモンが動き出した?)

 

ガープは負傷して撤退したが、部下は居るだろうからそれが動いているのかもしれない

 

「とりあえず霊視で痕跡を探ろうと思う。手伝ってくれるかい?」

 

唐巣先生の言葉に頷き、鞄から霊視ゴーグルを取り出すように横島君に指示を出そうとすると

 

「あのー隣の者ですが、これ昨日届いたんですけど、居なかったみたいなので預かってました」

 

「あ、ありがとうございます」

 

蛍ちゃんが何かを受け取って、私達の前に置く。それは霊視ゴーグルなど無くても凄まじい魔力を放っていて

 

「あったわね、ヒント」

 

「ですね」

 

「あ、これ僕宛ですね……住所は香港?なんでそんな所から……」

 

何かする前にヒントが向こうから来たことに苦笑しながら、その包みを開けるのだった

 

「これ……なんですかね?」

 

包みの中身は黒い金属で出来た何かの部品。唐巣先生にどう思います?と尋ねると

 

「うーん……流石に私もこういうのは管轄外だよ」

 

もしかしたら唐巣先生なら知っているかな?と思ったんだけどなあ……シズクにも一応尋ねてみると

 

「……20人くらいの生き血を吸ってるな、これ」

 

「「「はぁ!?!?」」」

 

20人くらいの生き血と聞いて、思いっきりその部品から離れる。どう考えても呪われたアイテムか何かだ

 

「お前が頼んだのか?」

 

「違いますよ!?僕は血よりも薔薇の方が好きなんですよ!」

 

ピートが頼んだわけ無いわよね。つまり香港に居る誰かがピートを頼って荷物を届けてきたって感じかしら?

 

【破壊するか?全力で銃撃すれば粉砕出来るかも?】

 

破壊、そうね。破壊してしまったほうが後腐れないかもしれないわね……どっち道碌な物じゃないし……シズクとノッブに破壊するように頼もうとした瞬間

 

「よお……やっぱりお前を頼って正解だったな」

 

聞こえてきた声に驚きながら振り返ると、そこには黒尽くめの服装をした伊達雪之丞が居た。だが酷く疲労しているのが、この距離でも判る

 

「お、雪之丞。香港に行ってたんだろ?お前怪しい古物商からなんか買ったのか?」

 

横島君が雪之丞に気楽に声を掛ける。何時の間に仲良くなったのかしら……

 

「いや違う……それは神魔の依頼で……奪取しろと言われたブツだ」

 

神魔の依頼!?やっぱりまたガープが動き始めている!?

 

「お前達なら……奪われるようなヘマはしないと思ったんだが……すまねえ……俺がヘマだったぜ……」

 

音を立てて崩れ落ちる伊達雪之丞の後ろから、屈強な体格の大男が10人。そしてその中央に浮かぶ異形

 

「かっははははは!!手間取らせてくれやがって!だがそれもこれで終わりだ!この真の蠅の王!ベルゼバブ様が来たんだからなあ!!!」

 

薄気味悪い声で叫ぶ蠅の姿をした悪魔。そしてその悪魔が名乗った蠅の王の名前に背筋に冷たい汗が流れるのを感じた

 

 

 

ったく、随分と手間取らせてくれやがって……ガープから借り受けたゾンビに指示を出すと、ゾンビは大きく足を振りかぶり倒れている人間を蹴り飛ばす

 

「がはっ!?」

 

「雪之丞!?」

 

苦悶の声を上げて吹っ飛ぶ人間を抱き止める赤いバンダナの男を見て。俺は歓喜した

 

(なんて俺はついているんだ!)

 

間違いない、横島忠夫だ。あれも捕まえる事が出来るなら捕まえろとガープから指令を受けていた

 

(これで香港での失態は帳消しだ!)

 

原始風水盤の針を奪われ、やはりその程度かと言われた。だが俺自身のミスだったので、反論のしようが無かった。だが原始風水盤と横島忠夫を捕まえて戻れば、よりいい地位に登る事が出来るだろう

 

「はっはー!!お前ら!こいつら皆殺しにしなあ!!!」

 

目撃者は消す。これが1番手っ取り早く、そしてあれだけの霊能者を殺して魂を奪えば、俺は更なる高みへ行ける!!!俺の指示に従い、美神令子達に向かっていくゾンビ達だったが

 

【甘いわぁ!戯けがぁ!!!】

 

美神令子達の前に躍り出た幽霊が右手を突き出すと、虚空から火縄銃が飛び出しゾンビ達を貫いていく

 

「これはゾンビ!?しかもただのゾンビじゃない!」

 

(ちいっ……バレちまったか)

 

ゾンビだと言うことがバレた事に舌打ちする。これじゃああのゾンビの両腕に仕込まれた毒針が何の意味も無い

 

「横島君!蛍ちゃん!下がるわよ!普通のゾンビはあんなに早くない!絶対何か仕込んでるわ!霊体ボウガンと破魔札!それで応戦するわ!」

 

「「はいっ!!!」

 

ゾンビとバレた事で美神令子達が倒れている机をバリケード代わりにして篭城姿勢に入る。そしてその前には

 

「……さて、虫如きが私に勝てると思っているのか?」

 

【さーて!じゃんじゃん撃つかの!またメロンパンを貰う為にな!】

 

【これだけ物があれば、ポルターガイスト使い放題ですよ!】

 

水神シズクと2人の幽霊が立ち塞がる。幽霊には当然ゾンビの攻撃など効かないし、水神シズクには近づく前にゾンビが両断か、凍結させられて終わりだろう。更には

 

「みーむうう!!!!」

 

「ココーン!!!」

 

「うーきゅーッ!!!!」

 

グレムリンと妖狐そしてでっかいモグラ。それらが電撃や炎を繰り出しゾンビを問答無用で消し炭にしている。

 

(おいおいおい、なんだあありゃあ)

 

グレムリンは下級も下級の悪魔。そんなのがあんなに強力な電撃を放てるなんて見たことも聞いた事もねぇ。更にはあの狐……めちゃくちゃな妖力を放ってやがる、それこそ下級神魔に届きそうな勢いだ。そしてあのモグラ、ありゃもしかして龍か?なんでこんな所に龍が居るんだよ……想定外の事が続いていることに舌打ちを思わず打つが、イレギュラーであるあの小動物を除けば、俺の計画は殆ど計画通りに進んでいると言える

 

(だが俺の思う壺だぜ)

 

……俺の目的は原始風水盤の針を取り返すこと、そして篭城させることも計算の内、篭城させて土角結界で全員を封印する、それで今後俺達の邪魔者は全員消える。その後はゆっくり原始風水盤の針を奪えば、それで全て解決するが

 

(それだけじゃ終わらないぜ)

 

俺にはクローンがある、それを呼び出し、一気に数を増やして制圧し、原始風水盤の針を奪い、撤退する間際に土角結界で閉じ込めて絶望を与える。その絶望に歪む人間達の顔を想像し、にやりと笑いながらクローンを呼び出そうとした瞬間

 

「がっはあ!?」

 

前と後ろから同時に攻撃される。俺自身はゾンビに護られているので攻撃される筈が無い、そう思っていたから予想外の攻撃に完全に混乱してしまった

 

「愚か者が、貴様如きが蠅の王を名乗るか、この痴れ者が」

 

「街中でこれだけ魔力を撒き散らせば、GSを呼び寄せるって事も判らないのですか?」

 

俺の目の前には貴族の装束に身を包んだ吸血鬼、背後には魔道書を開いた女の姿があった

 

「神宮寺さん!」

 

「ご無事そうで何より、間に合ってよかったですわ」

 

神宮寺くえすとブラドー伯爵。魔族の中でも高名な魔法使い……更に戦力が増えて来たか……これは好都合だ

 

(今がこれを使うときか)

 

ガープから預けられた土角結界を起動しようとした瞬間

 

「おっと、そうはさせないよ」

 

突然聞こえてきた第3者の声。そして俺に向かって飛んで来る何か、咄嗟に身を翻したが

 

「がっがああああ!?くそがああ!!!」

 

肩に槍が突き刺さる、これは!この槍はぁ!!!!

 

「メドーサッ!!!」

 

裏切り者の魔族。神族へと寝返った愚かな女がニヤニヤと笑いながら俺を見下ろしていた

 

「うるさいね。人の名前を勝手に呼び捨てにするんじゃないよ」

 

俺の肩に突き刺さっていた槍を呼び戻し、向かってきたゾンビを両断したメドーサは槍を肩に担ぎ、美神令子達の前に着地して

 

「天界からの応援だ。ま、元魔族だが……今はあちらとは関係ない。頼りにしてくれよ」

 

ニッと笑うメドーサに舌打ちする。土角結界を失い、向こうの戦力は完全にこっちを超えた。

 

「あーあ、こりゃ無理だな。今の俺じゃあ無理だ」

 

ゾンビも凍結されて動けない、戦力は向こうが完全に上。力技で針を奪い返すことが出来ない

 

「ここは逃げさせて貰うぜ、精々針を護るんだなあ!」

 

そう叫んで背を向けると同時に、背後から何かが砕ける音がし

 

【ガアア!!】

 

「そんな!?地下から!?」

 

驚愕する人間達を見て、遂に我慢していた笑いが込み上げて来た

 

「はっはー!!馬鹿が!!!」

 

ゾンビは11体居た。その内の一体を地下に潜らせ、地面から針を奪わせる。保険として考えていたことだが、まさかここまで梃子摺るとはな……だがそれもどうでも良い、精霊石と結界札に切り刻まれながらゾンビが針を俺へと投げ渡す。それを受け取り

 

「くっくっく!じゃあな!!馬鹿な魔法使いに裏切り者!これで人間界は魔族の物だ!!!」

 

原始風水盤が起動すれば全てが魔族にとって有利な世界になっていく、俺は高笑いしながらその場を後にしたのだった……

 

 

 

逃げられちまった……飛び去っていくベルゼバブを見て舌打ちする。アシュ様と合流して原始風水盤の事について話し合い。魔力反応を感知したので慌てて来たが……まさかベルゼバブが動いているとは思ってなかった

 

(前は勘九朗だったんだよな)

 

勘九朗が居ないから、ダミアンの辺りが出張ってくると思っていたが、まさか臆病者の癖に権力欲が凄まじいベルゼバブが動いているなんて思ってなかった。完全に出し抜かれた事に舌打ちをしながら

 

「竜神王からの増援のメドーサだ。そこで気絶してる、雪之丞の元師匠になる。ただ完全に出遅れたみたいですまないね」

 

原始風水盤の針を奪い返されるとは……まさか地面からゾンビが襲撃してくるなんて思ってなかった。それが全ての敗因だろう

 

「増援って事は、今の状態と原始風水盤の事は教えてくれるのね?」

 

美神令子が一歩踏み出し、横島や蛍を背中に隠しながら尋ねて来る。それにブラドーと神宮寺くえすも臨戦態勢で完全に警戒されていることに苦笑しながら、両手を上げて敵対する意思は無いと言いながら

 

「原始風水盤。これの起動の阻止は神魔の最優先課題だ。協力する、しないは強制しない。だがこれが起動してしまえば人間界も天界も壊滅一歩手前の大打撃を受けるだろう。話だけでも聞いてくれないか?」

 

判ったと返事を返す美神令子達にありがとうよと返事を返すのだった……そしてそれから1時間後。この時代での原始風水盤の起動を阻止するための話し合いが始まるのだった……

 

 

リポート6 原始風水盤を発見せよ その2へ続く

 

 




次回はメドーサと雪之丞による状況把握となります。香港編はベルゼバブをメインで書いていくつもりです、後は真の蠅の王登場とかもですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

視点が変わる時にそのキャラの視点と言う事を表記するべきか

  • サイドまたは視点は必要
  • 今のままで良い
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